第2章 H27.ppt [互換モード] - 筑波大学abe/ohp-cfd/cfd-2_H27.pdf第2回目10/9 阿部...
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講義予定
1. 第1回目 10/2 阿部 数値シミュレーションの手続き
2. 第2回目 10/9 阿部 差分方程式と差分スキーム
3. 第3回目 10/16 田中 方程式の代数化,連立1次方程式の解法
4. 第4回目 10/23 田中 並列計算法
5. 第5回目 10/30 阿部 MAC法など差分の計算方法
6. 第6回目 11/13 田中 有限要素法
7. 第7回目 11/20 田中 有限要素法
8. 第8回目 12/4 田中 有限要素法,N-Sプログラムによる実習
9. 第9回目 12/11 阿部 乱流・熱流体・多相流
10. 第10回目 12/18 田中 津波解析など事例紹介
11. 第11回目 12/25 (試験予定日)
変換 ー変化する方程式の定性的性質ー
物理現象(熱流体挙動)
計算モデル(差分方程式)
厳密解
代数方程式数学モデル(偏微分方程式)
差分解 数値解
工学への応用(開発、設計、性能評価)
仮説(定式化)
変換(差分近似)(離散化)
数値計算
適切性 安定性
収束性
適合性
Laxの同等定理
有限差分方程式とそのスキーム空間(x,y)と時・空間(x,t)の離散化
∆x
∆y
ii-1 i+1x
y
j
j-1
j+1
内点境界点
∆x
∆t
i-1 i i+1x
tn-1
n
n+1
0 初期値
終端値
差分法における空間の記述
連続的な空間(x,y)を等間隔に
x方向にi番目、y方向にj番目おける変数をu(ix,jy)
で分割。
x方向にx
y方向にy
と記述する。jiu ,
∆x
∆y
ii-1 i+1x
y
j
j-1
j+1
内点境界点
差分法における時空間の記述
連続的な時・空間(x,t)を等間隔に
x方向にi番目、n番目の時間における変数u(ix,nt)を
で分割。
空間をx、
時間をt
と記述する。niu
∆x
∆t
i-1 i i+1x
tn-1
n
n+1
0 初期値
終端値
xOx
uu
xOxxu
21
xuu
xu
j,ij,1i
2
j,i2
2j,ij,1i
j,i
3
,3
32
,2
2
,,,1 6
121 x
xux
xux
xuuu
jijijijiji
空間の前進差分近似(1/2)
ui+1,jを点(i,j)においてxについてTaylor展開し
jixu ,/ について解く
これは、導関数 を表現する差分商 の1つがx/u xu /
xOx
uuxu
xu jiji
,,1
空間の前進差分近似(2/2)
であることを示している。これを空間の前進差分近似(forward space difference)という。
Taylor展開の打ち切りの状況から、この式は空間について「1次の正確度を持つ」という。
xOxuu
xOxxu
xuu
xu
jiji
ji
jiji
ji
,1,
2
,2
2,1,
, 21
3
,3
32
,2
2
,,,1 6
121 x
xux
xux
xuuu
jijijijiji
空間の後退差分近似(1/2)
ui-1,jを点(i,j)においてxについてTaylor展開
について解くjixu ,/
これは、導関数 を表現する差分商 の1つがx/u x/u
xOxuu
xu
xu j,1ij,i
空間の後退差分近似(2/2)
x/u
であることを示している。これを空間の後退差分近似(backward space difference)という。
Taylor展開の打ち切りの状況から、この式は空間について1次の正確度を持つ。
3
,3
32
,2
2
,,,1 6
121 x
xux
xux
xuuu
jijijijiji
空間の中心差分近似(1/2)
ui+1,j 、ui-1,jを点(i,j)においてxについてTaylor展開
上式から下式を差し引く
3
,3
32
,2
2
,,,1 6
121 x
xux
xux
xuuu
jijijijiji
3
,3
3
,,1,1 6
122 xxux
xuuu
jijijiji
2,1,1
, 2xO
xuu
xu jiji
ji
jixu ,/ について解く
2,1,1
2xO
xuu
xu
xu jiji
空間の中心差分近似(2/2)
であることを示している。これを空間の中心差分近似(centered space difference)という。
Taylor展開の打ち切りの状況から、この式は空間について2次の正確度を持つ。
これは、導関数 を表現する差分商 の1つがx/u x/u
3
,3
32
,2
2
,,,1 6
121 x
xux
xux
xuuu
jijijijiji
2階の導関数の差分商(1/2)
ui+1,j 、ui-1,jを点(i,j)においてxについてTaylor展開
上式と下式を足し合わせる
3
,3
32
,2
2
,,,1 6
121 x
xux
xux
xuuu
jijijijiji
22
,1,,1
,2
2 2xO
x
uuu
xu jijiji
ji
2
,2
2
,,1,1 2 xxuuuu
jijijiji
j,i
22 x/u について解く
22
,1,,12
2 2xO
x
uuuxu
xu jijiji
2階の導関数の差分商(2/2)
であることを示している。これを空間の中心差分近似(centered space difference)という。
Taylor展開の打ち切りの状況から、この式は空間について2次の正確度を持つ。
これは、導関数 を表現する差分商 の1つがx/u x/u
空間の差分商(1/2)
j,iu の時空間の点(i,j)における空間についての差分商
22
112
2 2 xOx
uuuxu n
ini
ni
xOx
uuxu n
ini
1 (前進差分近似)
xOxuu
xu n
ini
1 (後退差分近似)
2112
xOxuu
xu n
ini
(中心差分近似)
時空間の差分商(2/2)
niu の時空間の点(i,n)における時間についての差分商
22
11
2
2 2 tOt
uuutu n
ini
ni
tOt
uutu n
ini
1
(前進差分近似)
tOtuu
tu n
ini
1
(後退差分近似)
211
2tO
tuu
tu n
ini
(中心差分近似)
波動方程式(双曲型)の差分スキーム
波動方程式の有限差分スキーム
波動方程式
02
22
2
2
xuc
tu
差分方程式(中心差分)
022 222
1122
11
xOtOx
uuuct
uuu ni
ni
ni
ni
ni
ni
1niu について解く。
ni
ni
ni
ni
ni uuuuu 1
221
211 12 x
tc
→ CFL(Courant-Friedrichs-Lewy)スキーム
:CFL数(CFL number)
波動方程式の差分スキームのプログラム例
ni
ni
ni
ni
ni uuuuu 1
221
211 12
1niu についての差分方程式
xtc
1490 *CFL1500 FOR I=2 TO IM11510 U(I)=-U2(I)+L2*U1(I+1)+2*(1-L2)*U1(I)+L2*U1(I-1)1520 NEXT I:RETURN
を求めるためのプログラム (BASIC)1n
iu
対流方程式の(陽)差分スキーム
対流方程式: 0
xuc
tu
差分方程式: 02
2111
xOtOxuuc
tuu n
ini
ni
ni
1niu について解く。
ni
ni
ni
ni uuCuu 11
12
xtcC
→ FTCS(Forward-Time Centered Space)スキーム
C:Courant数(Courant number)
クーラン(Courant)条件
速度をcとすると、微小時間⊿t に進む距離は、c ・⊿tと
なる。物理的には、この距離が、差分した微小区間⊿xを超えると計算が発散してしまう。そのためには、
でなければならない。すなわち、以下の条件を、Courant条件といい、計算結果の安定性に影響を与えものとである。
xtc
1xtc
Δx
cΔt
Δx
cΔt
対流方程式の差分スキーム(その1)(FTCSスキーム)
ni
ni
ni
ni uuCuu 11
12
1niu についての差分方程式
xtcC
1620 *FTCS1630 FOR I=2 TO IM11640 TP1=-.5*CDTDX*(UN(I+1)-UN(I-1))1660 U(I)=UN(I)+TP1:NEXT I:RETURN
FTCSスキームによるプログラム例
Δx
Δt
i-1 i i+1
n
n+1
n-1t
x
Δx
Δt
i-1 i i+1
n
n+1
n-1t
x
対流方程式の差分スキーム(その2)蛙とび法(Leap frog scheme)
ni
ni
ni
ni uuCuu 11
11
∆x
∆t
i-1 i i+1x
tn-1
n
n+1
01670 *LPFRG1680 FOR I=2 TO IM11690 TP1=-CDTDX*(UN(I+1)-UN(I-1))1710 U(I)=U2(I)+TP1:NEXT I:RETURN
蛙とび法によるプログラム例
蛙とび法による差分方程式
対流方程式の差分スキーム(その3)風上差分(Upwind scheme)
0CuuCuu
0CuuCuuni
n1i
ni
1ni
n1i
ni
ni
1ni
風上差分法による差分方程式
1570 *UPWND1580 FOR I=2 TO IM11590 TP1=-CDTDX*(UN(I)-UN(I-1))1610 U(I)=UN(I)+TP1:NEXT I:RETURN
風上差分法によるプログラム例
∆x
∆t
i-1 i i+1x
tn-1
n
n+1
0
0C
対流方程式の陰解法(Implicit scheme) (1/3)
対流方程式:
対流方程式を時刻n+1において、時間:後退差分近似、空間:中心差分近似すると、次のような差分方程式が得られる。
、 、 を変数値として差分スキームを求めると、
0xuc
tu
x2uuc
tuu 1n
1i1n
1ini
1ni
1n1iu
1n
iu 1n1iu
ni
1n1i
1ni
1n1i uu
21uu
21
対流方程式の陰解法(Implicit scheme) (2/3)
の区間をi分割した場合を考えると:
i=1のとき
i=2のとき
i=3のとき
i=iのとき
以上の連立方程式を行列で表すと、
1x0
n1
1n2
1n1
1n0 uu
2uu
2
n2
1n3
1n2
1n1 uu
2uu
2
n3
1n4
1n3
1n2 uu
2uu
2
ni
1ni
1n1i
1n1i
1ni
1n1i uu
21u
2u
2uu
2
Δx
Δt
i x
t
n
n+1
0 1 … i-1
対流方程式の陰解法(Implicit scheme) (3/3)
差分方程式の行列式:
以上の行列の式を解くことによって、各時刻における変位が求まる。
1ni
ni
n1i
n2
1n0
n1
1n1i
1n2i
1n2
1n1
u2
u
u
u
u2
u
uu
uu
12
002
12
02
12
02
12
002
1
境界条件
を利用して決定する
0x
uni
新の空間差分スキーム- QUICK -
21in
21in
21in
21i SuF
0u3681
0u3681
i1i2i
1ii1i
21i
x
ut
1次元対流方程式 セルiで積分
1n2/1iu
セル境界の物理量 を境界の前後を挟む2つのセルと風上側に1つ離れたセルの値を用いて2次の多項式で内挿
i
n21i
n21in
i1n
i VFF
t
i i+1Fi+1/2
i i+1Fi+1/2
差分式:
0ux8733tu
0ux8733tu
2i1ii1ini
2i1ii1ini
1ni
新の空間差分スキーム- QUICKEST -
1n2/1iu
セル境界の物理量 を境界の前後を挟む2つのセルと風上側に2つ離れたセルの値を用いて2次の多項式で内挿
i i+1Fi+1/2
i i+1Fi+1/2
差分式:
i1i2i
2
i1i1ii
1ii1i
2
i1i1ii
21i
26c1
2c
21
26c1
2c
21
0336
22
6326
211
3
11
2
211
cc
cc
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
0336
22
6326
211
3
11
2
211
cc
cc
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
1ni
新の空間差分スキーム- TVD (Total Variation Diminishing) (1/2)-
0u21
0u21
n1i
n2i23i
n1i
n1i
ni21i
ni
n21i
23i23i23i
21i21i21i
r
r
n1i
n2i
ni
n1i
23i
n1i
ni
ni
n1i
21i
r
r
セル境界で物理量を内挿する際、数値振動が発生する場所には1次精度の風上差分を、それ以外では高次精度の差分スキームを用いる。
ただし
ここで、ψはリミッターで近傍のφの分布によって値を変化させる
TVD条件を満たす代表的なリミッターには、以下のminmod関数がある
21i21i r,1modmin
0yx
y,xmodmin0xy
0xyandyx0xyandyx
新の空間差分スキーム- TVD (Total Variation Diminishing) (2/2)-
0u21
0u21
n1i
n2i23i
n1i
n1i
ni21i
ni
n21i
23i23i23i
21i21i21i
r
r
n1i
n2i
ni
n1i
23i
n1i
ni
ni
n1i
21i
r
r
21i21i r,1modmin
これにより、3種類の差分スキームを状況に応じて使い分けることができる。・ 1<rの場合: 変数の勾配が風下方向の増加 → 2次風上差分を適用・ 0<r<1の場合:変数の勾配が風下方向に減少 → 2次中心差分を適用・ r<0の場合: 変数の勾配が逆転 → 1次風上差分を適用
0r1
r,1modmin0
101
rrr
0yx
y,xmodmin0xy
0xyandyx0xyandyx
新の空間差分スキーム- CIP (Cubic-interpolated pseudo particle) -
物理量の空間1階微分を変数として持ち、その移流方程式を同時に解く。
xu
t
xxu
xt
さらに、φの空間分布を3次の補間式で近似する。
33
2210 xaxaxaax
この補間式の4つの係数は、位置iと位置i-1での変数と空間微分値によって、次式によって決定する
3
1ii2
1ii3
21ii1ii
2
i1
i0
x2
xx,x,
a
x3
xx,x,2
a
x,aa
n
i
ni
1ni x
tu
2
n1i
ni
n
1i
n
in
i
1n
i x3
xxx
22tu
xx
熱伝導方程式(放物型)の差分スキーム
熱伝導方程式の陽解法(Explicit scheme)
熱伝導方程式
2
2
xu
tu
差分方程式
22
111 2 xOtO
xuuu
tuu n
ini
ni
ni
ni
1niu について解くと、以下のFTCSスキームが得られる。
ni
ni
ni
ni
ni uuuduu 11
1 2 2x
td
FTCSスキーム d:拡散数(diffusion number)
熱伝導方程式の陽解法
ni
ni
ni
ni
ni uuuduu 11
1 2
2xtd
i-1 i i+1x
tn-1
n
n+1
0
∆x
∆t
差分方程式
陽解法によるプログラム例
1590 *FTCS1600 FOR I=2 TO IM11610 U(I)=UN(I)+D*(UN(I+1)-2*UN(I)+UN(I-1))1620 NEXT I:RETURN
熱伝導方程式の陰解法 (Implicit scheme)
熱伝導方程式:2
2
xu
tu
時間に後退差分近似、空間に中心差分近似した差分方程式:
22
11
111
1 2 xOtOx
uuut
uu ni
ni
ni
ni
ni
11
111 ,,
ni
ni
ni uuu を変数値として差分スキームを求める。
ni
ni
ni
ni uduuddu
1
111
1 21 2xtd
熱伝導方程式の陰解法
ni
ni
ni
ni uduuddu
1
111
1 21
(例) i=1~5を考える。i=1, i=5を
境界条件を満足する境界点とし、i=2, 3, 4を内点とする。
tn
i1 2 3 4 5
n
n+1
境界差分方程式:
112
13
1221 nnnn duuduud nnnn uduuddu 3
14
13
12 21
154
14
13 21 nnnn duuuddu
N元連立一次方程式
熱伝導方程式の陰解法
三重対角行列
154
3
112
14
13
12
21021
021
nn
n
nn
n
n
n
duuu
duu
uuu
ddddd
dd
陰解法によるプログラム例(行列の設定)2020 *SPMTRX2030 FOR I=1 TO IBAR2040 A(I,I)=1+2*BETA:NEXT I2050 FOR I=1 TO IBAR-1:A(I,I+1)=-BETA:NEXT I2060 FOR I=1 TO IBAR-1:A(I+1,I)=-BETA:NEXT I:RETURN
熱伝導方程式の陰解法
1580 '*Gauss-Jordan eliminator1590 *GSSJOD1591 ' *forward elimination1600 FOR K=1 TO IBAR1610 D1(K)=1/A(K,K)1620 FOR I=1 TO IBAR1630 IF I=K THEN GOTO 17001640 M(I,K)=A(I,K)*D1(K)1650 FOR J=K+1 TO JBAR1660 A(I,J)=A(I,J)-M(I,K)*A(K,J)1670 NEXT J1680 B(I)=B(I)-M(I,K)*B(K)1690 A(I,K)=01700 NEXT I1710 NEXT K
1720 '*back substitution1730 FOR I=1 TO IBAR1740 U(I)=B(I)*D1(I)1760 NEXT I
陰解法によるプログラム例(三重対角行列の解法)
歴史的な経緯 - 初期の差分法Richardson(1881-1953) の方法
差分の考え方は1860年代、既にあった。しかしながら、
放物型方程式に対して初めて差分法を適用したのは、Richardon(1881-1953)で、1910年のことである。
Richardon は1次元熱伝導方程式対して、時間と空間微分に中心差分を用いることにより、以下の差分式を導いた。
2
2
xu
tu
2
n1i
ni
n1i
1ni
1ni
xuu2u
t2uu
n1i
ni
n1i
1ni
1ni uu2uduu
2xtd
残念ながら、このスキームは、拡散数dの値によらず不安定となるため、正しい解が得られないスキームであった。
近年、このRichardonスキームは不安定なスキームの代表例として扱われることがあるが、初めて実用的な計算に差分法を適用しようとした試みとして高く評価されるものである。
-2dd d
1niu
niu 1
niu n
iu 1
1niu1
1
-2dd d
1niu
niu 1
niu n
iu 1
1niu11
11
Richardsonの夢
リチャードソンは気象学に興味を持ち、微分方程式を離散化して数値的に解くという現在使われている気象予測の原型ともいえる数値予報システムを提案した。
そのために、大戦中に集めたデータを用いた計算を実際に行ったが、計算をすべて手で行ったためわずか6時間の予報に2ヶ月かかり、しかも数値の処理に問題があったため、予報は失敗に終わった。
1922年に著書の中で彼は、64,000人の計算者を巨大なホールに集めて指揮者の元で整然と計算を行えば実際の天候の変化と同じくらいの速さで予報が行えると見積もった。この構想は「リチャードソンの夢」と呼ばれた。
またリチャードソンは乱気流に関する実験も数多く行っている。乱流に関する無次元数「リチャードソン数」は彼の名前にちなんでいる。
デュフォール・フランケル法(DF法)
Richardson法は、拡散数に関わらず不安定な差分スキームであったが、DufortとFrankelは、1953年、空間の2階微分に対する差分表示を時間平均値とする差分スキームを導いた。
このスキームは、拡散方程式に対するLeapfrog法(あるいはPyramid法)とも呼ばれているが、対流方程式に対するLeapfrog法と異なり、安定なスキームとなっている。 (→ 安定解析により証明)
2xtd
2
n1i
ni
n1i
2
2
xuu2u
xu
2uuu
1ni
1nin
i
2
n1i
1ni
1ni
n1i
2
1ni
1ni
xuuuu
t2uu
1ni
n1i
n1i
1ni ud21uud2
d211u
1niu
niu 1
niu 1
1niu
1niu
niu 1
niu 1
1niu
アダムス・バシュフォース法(AB法)
2xtd
2
1n1i
1ni
1n1i
2
n1i
ni
n1i
ni
1ni
xuu2u)1(
xuu2u
tuu
1n1i
1ni
1n1i
n1i
ni
n1i
1ni duud21du
21duud21du
23u
23
n+1
n
n-1
i-1 i i+1
n+1
n
n-1
i-1 i i+1
クランク・ニコルソン法(CN法) ← 陰解法
CN法は、空間微分に対してnとn-1の2つの時間レベルの算術平均を取っている。
得られる漸化式は、各種の行列演算を用いて解かれる。
2xtd
2
11
1111 2
xuuuf
ni
ni
nin
nnni
ni ff
tuu
1
1
21
2
2
xu
tu
ni
ni
ni
ni
ni
ni duudduduuddu 11
11
11
11 1212
n
n
i-1 i i+1
n+1
i-1 i i+1
Poisson方程式(楕円型)の差分スキーム
(1/6)中心差分スキームの適用
Poisson方程式
gyu
xu
2
2
2
2
空間に中心差分近似を用いた差分方程式
jijijijijijiji g
yuuu
xuuu
,21,,1,
2,1,,1 22
jijijijijiji gxuuuuu ,2
1,1,,,1,1 4
x=yとする。
(2/6) Natural ordering
u1,1, u1,2,……, u3,3をu1, u2, ……, u9と番号を付け直す
x
y
1 2 3
4 5 6
7 8 9
11 12 13 14
15
16
17
18
19
21 22 23 24 25
20
10x
y
(1,1) (1,2) (1,3)
(2,1) (2,2) (2,3)
(3,1) (3,2) (3,3)
(0,0)
(1,0)
(2,0)
(3,0)
(4,0)
(0,1)
(4,1)
(0,2)
(4,2)
(0,3)
(4,3)
(0,4)
(1,4)
(2,4)
(3,4)
(4,4)
Natural ordering:
(3/6)行列式
Natural ordering によって差分式は以下のように表すことができる
9
8
7
6
5
4
3
2
1
242092
2382
221772
1962
52
1642
181332
1222
151112
9
8
7
6
5
4
3
2
1
bbbbbbbbb
uugxugx
uugxugx
gxugx
uugxugx
uugx
uuuuuuuuu
4111411
1411411
114111141
1411141
114
(4/6) 行列式の要素 ~ 三重対角行列
以上の置き換えによって、行列式は、以下の形に書き換わる
3
2
1
3
2
1
3332
232221
1211
BBB
UUU
AAAAA
AA
TTT
TTT
bbbBbbbBbbbBuuuUuuuUuuuU
987365423211
987365423211,,,,
jiji
i
AA
A
jiij
ii
:3,2,1,
3,2,1
11
141141
14ここで
(5/6) ブロック三重対角行列の解法
1710 '*specification of A1720 *MTRX1740 FOR I=1 TO IBAR:AII(I,I)=4:NEXT I1750 FOR I=2 TO IBAR:AII(I,I-1)=-1:NEXT I1760 FOR I=1 TO IBAR-1:AII(I,I+1)=-1:NEXT I1770 FOR I=1 TO IBAR:AIJ(I,I)=-1:NEXT I1780 FOR J0=1 TO JBAR1790 FOR I=1 TO IBAR:FOR J=1 TO JBAR1800 IP=I+JBAR*(J0-1):JP=J+JBAR*(J0-1)1810 A(IP,JP)=AII(I,J):NEXT J:NEXT I1820 NEXT J0
1830 FOR J0=1 TO JBAR-11840 FOR I=1 TO IBAR:FOR J=1 TO JBAR1850 IP=I+JBAR*J0: JP=J+JBAR*(J0-1)1860 A(IP,JP)=AIJ(I,J):NEXT J:NEXT I1870 NEXT J01880 FOR J0=1 TO JBAR-11890 FOR I=1 TO IBAR:FOR J=1 TO JBAR1900 IP=I+JBAR*(J0-1):JP=J+JBAR*J01910 A(IP,JP)=AIJ(I,J):NEXT J:NEXT I1920 NEXT J0:RETURN
1940 '*specification of b1950 *RHS1960 FOR I=1 TO IJBAR:B(I)=G0*DXDY:NEXT I:RETURN1970 'FOR I=IBAR TO IJBAR STEP IBAR:B(I)=U0:NEXT I:RETURN
係数行列の設定:
A行列の設定:
b行列の設定:
(6/6)ブロック三重対角行列の解法
1440 '*Gaussian eliminator for A*u=b 1450 *GAUSS1470 FOR K=1 TO IJBAR1480 D1(K)=1/A(K,K)1490 FOR I=K+1 TO IJBAR1500 M(I,K)=A(I,K)*D1(K)1510 FOR J=K+1 TO IJBAR1520 A(I,J)=A(I,J)-M(I,K)*A(K,J)1530 NEXT J1540 B(I)=B(I)-M(I,K)*B(K)1550 A(I,K)=01560 NEXT I1580 NEXT K1590 D1(IJBAR)=1/A(IJBAR,IJBAR)
1600 '*backward substitution1610 U(IJBAR)=B(IJBAR)*D1(IJBAR)1620 FOR I= 2 TO IJBAR1630 IR1=IJBAR-I+11640 SUM=0:FOR J=IR1+1 TO IJBAR1650 SUM=SUM+A(IR1,J)*U(J):NEXT J1660 U(IR1)=(B(IR1)-SUM)/A(IR1,IR1)1690 NEXT I
ガウスの消去法による行列の解法
5点差分スキーム(Five-term recurrence scheme)
jijijijijiji gxuuuuu ,2
1,1,,,1,1 4
x=yとした場合のPoisson方程式の差分近似式
jijijijijiji gxuuuuu ,2
1,1,,1,1, 41
ui,jについて整理すると、
変数、ui+1,j, ui-1,j, ui,j+1, ui,j-1 が既知の場合、ui,j の値が求まることを示している。
表計算ソフトによる熱伝導解析(1/2)100 100 100 100 100 100 100 100 100 100
0 51.07237 64.4262 66.64282 65.19423 61.99906 57.19167 49.72089 37.43022 00 31.6532 39.86327 39.9896 36.95083 32.13504 25.61034 17.04673 4.261682 00 18.33154 22.32332 21.16744 17.95006 13.67962 8.787319 3.538683 0.884671 00 9.599884 11.13954 9.804685 7.44554 4.818129 2.370757 0.884245 0.221061 00 4.507474 4.936661 3.986152 2.683597 1.479724 0.668902 0.241968 0.060492 00 1.896977 1.953679 1.448326 0.878807 0.45038 0.195639 0.069671 0.017418 00 0.716155 0.697562 0.483257 0.27722 0.136799 0.058171 0.020536 0.005134 00 0.227735 0.213375 0.142508 0.079438 0.038443 0.016165 0.00568 0.00142 00 0 0 0 0 0 0 0 0 0
1 3 5 7 9 S1
S5
S9
0
20
40
60
80
100
80-100
60-80
40-60
20-40
0-20
表計算ソフトによる熱伝導解析(2/2)
20 20 20 20 20 20 20 20 20 2020 20.36674 20.69783 20.954 21.09569 21.09575 20.95416 20.69803 20.3669 2020 20.76934 21.47087 22.02284 22.33339 22.3335 22.02314 21.47124 20.76962 2020 21.24008 22.39394 23.33364 23.88207 23.88221 23.33402 22.39441 21.24042 2020 21.79738 23.53172 25.03634 25.97965 25.9798 25.03674 23.53221 21.79775 2020 22.41812 24.89976 27.30095 29.02103 29.02117 27.30133 24.90022 22.41846 2020 22.97566 26.34872 30.24724 33.78289 33.78301 30.24755 26.3491 22.97595 2020 23.13608 27.27259 33.55684 42.08071 42.08079 33.55705 27.27286 23.13628 2020 22.29624 26.04895 34.62707 58.90258 58.90262 34.62718 26.04909 22.29634 2020 20 20 20 100 100 20 20 20 20
加熱部
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10S1
S3
S5
S7S9
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
90-100
80-90
70-80
60-70
50-60
40-50
30-40
20-30
10-20
0-10
差分法の特徴
対流方程式の偏微分方程式
(1/5)微係数を差分商に置き換える
0
xuc
tu
差分方程式
011
xuuc
tuu n
ini
ni
ni
微係数を差分商に置き換える操作は数学的表現として、元の方程式の形が大きく崩れないで、差分方程式に引き継がれる。
対流方程式の差分方程式:
(2/5)物理の過程を忠実に再現
xtcCuuCuu n
ini
ni
ni
,11
Laplace方程式の差分式 (gi,j=0とし、u:物質の濃度)
1,1,,1,1, 41
jijijijiji uuuuu
周囲の4点の平均として、注目している点の濃度が決定される。という物理学における拡散の過程までもが理解される。
初期値問題において、時間の進展を一つ一つのΔtの増分として現象を追跡している。
偏微分方程式の従属変数をTaylor展開して差分方程式に変
換したとみなすと、
打切り誤差、境界条件の誤差の評価が容易となり、高次項ま
で考慮した差分法の数学的な意味付けも容易に得られる。
(3/5)数学的な意味付けが容易
差分法では、対象としている偏微分方程式についての汎関数が存在するか否かを気にかける必要がない。
(4/5)汎関数の存在を必要としない
02
2
2
2
yuc
xu
スカラー関数u(x,y)に対するDiirichlet積分は、対象領域をDとして
dxdyyu
xuI D
22
で定義される。この汎関数を 小とする問題のEular-Lagrangeの方程式は、次のLaplace方程式である。
差分スキームによる計算アルゴリズムは、物理的直感が働きやすく、定式化と変換の次にくる計算過程の設計や検証が容易である。例えば、
(5/5)検証が容易
においてC=1としたとき、次の厳密な差分解
xtcCuuCuu n
ini
ni
ni
,11
ni
ni uu 1
1
が得られる。この場合にはtが1つ増加すると、点(i-1,n)の変数uがxの正方向にxだけ移動して点(i,n+1)に進行するという有向性の意味が明確になる。
変換 ー変化する方程式の定性的性質ー
物理現象(熱流体挙動)
計算モデル(差分方程式)
厳密解
代数分方程式数学モデル(偏微分方程式)
差分解 数値解
工学への応用(開発、設計、性能評価)
仮説(定式化)
変換(差分近似)(離散化)
数値計算
適切性 安定性
収束性
適合性
Laxの同等定理
差分法方程式の適合性の評価
対流・拡散方程式について、
3.風上差分: 1次の打切り誤差
2.Leap Frog スキーム: 2次の打切り誤差
1.FTCSスキーム: 1次の打切り誤差
(打切り誤差O(x), O(t))
(打切り誤差O(x2), O(t2))
(打切り誤差O(x2), O(t))
FTCSスキーム (1.5次の打切り誤差)
対流・拡散方程式について、FTCSスキームを用いて差分近似する
21111
1 22 x
uuuxuuc
tuu n
ini
ni
ni
ni
ni
ni
差分スキーム:
ni
ni
ni
ni
nin
ini uuuduuCuu 11
111 22
2xtd
xtcC
Leap Frog スキーム ( 2次の打切り誤差)
対流・拡散方程式について、2次の打切り誤差となる差分近似
21111
11 222 x
uuuxuuc
tuu n
ini
ni
ni
ni
ni
ni
(打切り誤差O(x2), O(t2))
差分スキーム:
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni uuuduuCuu 1111
11 22
2xtd
xtcC
風上差分 (1次の打切り誤差)
対流・拡散方程式について、1次の打切り誤差となる差分近似
差分スキーム:
2111
1 2x
uuuxuuc
tuu n
ini
ni
ni
ni
ni
ni
(打切り誤差O(x), O(t))
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni uuuduuCuu 111
1 2
2xtd
xtcC
差分法方程式の適合性の評価
対流・拡散方程式について、
3.風上差分: 1次の打切り誤差
2.Leap Frog : 2次の打切り誤差
1.FTCS: 1.5次の打切り誤差
Program: ADVDIF1
不安定
安定
不安定
動的不安定性と静的不安定性
拡散・対流方程式に対するFTCS近似
21111
1 22 x
uuuxuuc
tuu n
ini
ni
ni
ni
ni
ni
niu
この方程式の解に「ゆらぎ」が含まれているとする。時刻nの解をゆらぎのない差分解 とゆらぎ に分ける。i
ini
ni uu
この式をFTCS近似式に代入し、時刻nでゆらぎのない差分解が存在すると仮定すると、t進めたときの増分uiは
211
112
2 xt
xctu iii
iii
動的不安定性
右辺第2項のみを考える。点i近傍の初期摂動を
が得られる。つまり点iの摂動はi<0であったがui>0となって、時間をt進めることによって摂動iを増分uiが補償する傾向になる。同様に点i+1における増分ui+1を考えると、
0,0,0,0 211 iiii
とする。この初期摂動をuiの式に代入すると
02211
xtu iii
i
022
121
x
tu iiii
となり、摂動i+1を増分ui+1が補償する傾向になる。
静的不安定性
右辺第1項のみを考える。点i近傍の初期摂動を
となる。つまり点iの摂動はi<0であるのに、対流による補償ui<0となってしまい、摂動は単調に成長する。
0,0,0,0 211 iiii
とする。同様に、この初期摂動をuiの式に代入すると
02 11
iii xutu (ただし、 )11 ii
動的不安定性と静的不安定性
動的不安定性 静的不安定性
i-1 i i+1 i+2
x
i-1 i i+1 i+2 xi-1 i i+1 i+2
x
初期摂動
ゆらぎのない差分解
Program: ADVDIF
熱伝導方程式の厳密解― モデル問題5 -
102
2
x
xu
tu
初期条件と境界条件: xxu sin0,
0,1,0 tutu
(解)
xetxu t sin,2
熱伝導方程式:
Von Neumannの安定性解析(1/4)
熱伝導方程式に対するFTCSスキーム
ni
ni
ni
ni
ni uuuduu 11
1 2
この方程式の解のFourier級数のそれぞれの部分を次式のようにする。
2/ xtd
xjkinni eVu
とする。Vnは波数がkである成分の時刻nにおける振幅関数である。jは虚数単位である。
Von Neumannの安定性解析(2/4)
ijnni eVu
jinni
ijnni eVueVu 1
111 ,
=kxとして上式を書き改めて、
同様に もそれぞれ、ni
ni
ni uuu 11
1 ,,
これらをFTCSスキームに代入する。
2eed1VV jjn1n
Gをパラメータとすると、この式はVn+1=GVnの形をしている。Gを書き改めると
cos121 dG :増幅行列
Von Neumannの安定性解析(3/4)
熱伝導方程式のFTCSスキームが有界ならば
1Gが全てのについて成立しなければならない(安定規準) 。
1cos1211 d
よって、左側の不等式の に注意すると、2cos1
21
d あるいは
2xt
2
これが熱伝導方程式のFTCSスキームに対する安定性確保の条件である。ここでdを拡散数(diffusion number)という。
Program: HEAT拡散数の条件:
Von Neumannの安定性解析(4/4)
214.0
xtcd
00125.0t191x
2
(計算例1) 安定な条件の場合
Program: HEAT拡散数の条件についての計算例:
(計算例2) 不安定な条件の場合
218.0
xtcd
002.0t221x
2
安定な差分スキーム: 完全陰解法
熱伝導方程式を時間に後退、空間に中心差分近似したスキーム
これらをスキームに代入して増幅行列Gを求めると、
11
111
1 2
ni
ni
ni
ni
ni uuuduu
jinni
ijnni eVueVu 111
1,
von Neumannの安定解析を行う。
2cos121/1 dG
0cos1,0 d であることから である。すなわち1G
この差分スキームは、どのようなdに対しても、安定である。
daada
duuuuuduubuuuu
bAu
jiji
ii
TnI
nI
nI
nnnn
TnI
nn
mmm
m
1,,1
,
124312
11
13
12
21
完全陰解法によるモデル計算例(問題5)
先の解析よりも変域の分割を多くする。すなわち、i=1とi=Imを境界点、i=2,3,…,Im-1を内点とする。
基礎式に対応する連立一次方程式は、境界条件を含めて
Program: HEAT
完全陰解法によるモデル計算例(問題5)
214.0
xtcd
00125.0t191x
2
(計算例1) 陽解法では安定 → 陰解法でも安定
Program: HEAT完全陰解法による計算例:
(計算例2) 陽解法では不安定 → 陰解法では安定
218.0
xtcd
002.0t221x
2
Courant条件(1/2)
対流方程式の風上差分スキームは
である。このスキームの安定性について吟味する。まず、数値解のFourier成分をjを虚数単位として、
xtcCuuCuu ni
ni
ni
ni /,1
1
xkeVu ijnni ,
とする。この式と jinn
iijnn
i eVueVu 11
11 ,
を上述したスキームに代入して増幅行列Gを求める。
Courant条件(2/2)
増幅行列Gは、
となる。von Neumannの安定性規準は任意のに対して 1cos1122
CCG
となることである。この式において、C>0、1-cos>0であるから、この条件を満足するためには、
である。この条件をCourant条件という。
1G
1
xtcC
対流方程式の数値解の挙動ー モデル問題3 -
0
xuc
tu
対流方程式:
初期条件と境界条件:
)15/2(0)5/25/1(1
)5/10(00,
xx
xxFxu
0,0 00 ggtu 0,1
x
tu
(解) ctxFtxu , Program: ADVEX
対流方程式の数値解析結果例(1/2)
18.0025.002.01C
02.0t025.0x
1c
(計算例1) 安定な条件の場合
Program: ADVECクーラン数の条件についての計算例:
(計算例2) 不安定な条件の場合
104.1025.0026.01C
026.0t025.0x
1c
対流方程式の数値解析結果例(2/2)
(計算例3) 厳密解と一致する場合
Program: ADVECクーラン数の条件についての計算例:
1025.0025.01
025.0025.0
1
C
tx
c
FTCSスキームの移動性
対流方程式のFTCSスキーム
ni
ni
ni
ni uu
xtcuu 11
12
摂動が点iにi=として存在し他の全ての点では=0と仮定する。まず、点i+1における摂動は、
xtc
xtcun
i
2
02
011
tの間に、対流によって摂動が下流へ運ばれている。
摂動の発生点iでは、
002
1
xtcun
i
上流点i-1では、 xtc
xtcun
i
2
02
011
摂動は上流へも運ばれている。
FTCSスキームにおける摂動の移動
d d
(1-2d)
‘
(1-4d+6d2)
i-1 i i+1
n
n+1
n+2
十分な時間
風上差分スキームの移動性(1/2)
拡散方程式の風上差分スキーム
ni
ni
ni
ni uu
xtcuu 1
1
この式に注目し点iでの摂動をi=とし、他の全ての点で0と仮定する。振動発生点iの下流i+1では
xtc
xtcun
i
001
1
となり、対流によって摂動が運ばれている。
風上差分スキームの移動性(2/2)
摂動の発生点iでは同じく、
となる。摂動が発生した上流点i-1では、
xtcun
i
1
となる。摂動の発生点では、摂動が減少し、その分だけ下流の点に運ばれている。さらに上流点における摂動を調べると、対流による寄与は何もない。すなわち、このスキームは移動性を備えている。
0002
011
x
tcuni
Program: TRANSP
風上差分スキームにおける摂動の移動
n
n+1
xtc
0
xtc
差分法方程式の移動性の評価
対流方程式について、
3.風上差分: 移動性あり
2.Leap Frog : 移動性なし
1.FTCS: 移動性なし
Program: ADVDIF1
不安定
安定
不安定
FTCS(Forward-Time Centered Space)スキーム
差分式:
時間:前進差分、空間:中心差分で差分化
差分解
n1i
n1i
ni
1ni uu
2Cuu
0x2uuc
tuu n
1in
1ini
1ni
xtcC
Δx
Δt
i-1 i i+1
n
n+1
n-1t
x
Δx
Δt
i-1 i i+1
n
n+1
n-1t
x
蛙とび(Leapfrog)スキーム
差分式
時間:中心差分、空間:中心差分
差分解
x2uuc
t2uu n
1in
1i1n
i1n
i
n1i
n1i
1ni
1ni uu
xtcuu
)uu(Cuu n1i
n1i
1ni
1ni
i-1 i i+1
n
n+1
n-1
i-1 i i+1
n
n+1
n-1
ひし形(Rhomboid)スキーム
差分式
差分解
xuuc
t
)uu(21)uu(
21
n1i
ni
1n1i
ni
n1i
1ni
n1i
ni
1n1i
ni
n1i
1ni uu
xtc2uuuu
n1i
ni
1n1i
ni
n1i
1ni uu
xtc2uuuu
n1i
ni
1n1i
ni
n1i
1ni Cu2Cu2uuuu
)uu(C21uu n1i
ni
1n1i
1ni
i-1 i i+1
n
n+1
n-1
i-1 i i+1
n
n+1
n-1
風上(Up-wind)スキーム
差分式
時間:前進差分、空間:風上差分(この場合:後退差分)
差分解
xuuc
tuu n
1ini
ni
1ni
n1i
ni
ni
1ni uu
xtcuu
n1i
ni
ni
1ni CuCuuu
n1i
ni
1ni Cuu)C1(u
Δx
Δt
i-1 i i+1
n
n+1
n-1t
x
c≧0
Δx
Δt
i-1 i i+1
n
n+1
n-1t
x
Δx
Δt
i-1 i i+1
n
n+1
n-1t
x
c≧0
FTCS Schemeによる計算例
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.020.040.060.080.1
-20-15-10
-505
101520
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
0 s0.2 s0.4 s0.6 s0.8 s1.0 s
-1E+14-8E+13-6E+13-4E+13-2E+13
02E+134E+136E+138E+131E+14
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.81
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.81
C=0.1 [c=1, TMAX=1000, XMAX=100]
C=0.001 [c=0.01, TMAX=1000, XMAX=100]C=1.0 [c=1, TMAX=100, XMAX=100]
Leapfrog Schemeによる計算例
-0.5
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
-2-1.5
-1-0.5
00.5
11.5
22.5
3
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.020.040.060.08
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
2
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
C=0.1 [c=1.0, TMAX=1000, XMAX=100]
C=1.0 [c=1, TMAX=100, XMAX=100] C=0.001 [c=0.01, TMAX=1000, XMAX=100]
Rhomboid Schemeによる計算例
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.250.50.751
-0.5
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
-0.5
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.020.040.060.08
-0.5
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
C=0.1 [c=1, TMAX=1000, XMAX=100]
C=0.5 [c=1.0, TMAX=200, XMAX=100] C=0.001 [c=0.01, TMAX=1000, XMAX=100]
1n1i
1ni
n1i
ni
1n1i
1ni uu5.0C)uu(C21uu
Up-wind Schemeによる計算例
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U00.20.40.60.8
C=0.1 [c=1,TMAX=1000,XMAX=100] C=1 [c=1, TMAX=100, XMAX=100]
C=0.01 [c=0.1, TMAX=1000, XMAX=100]
0
0.5
1
1.5
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1X
U
00.20.40.60.8
C=0.001 [c=0.01, TMAX=1000, XMAX=100]
n1i
1ni
n1i
ni
1ni uu1CCuu)C1(u
Newtonの粘性則
Newtonの粘性則
dydu
yx
2
2
xu
xP
xuu
tu
これは、流体に関する運動方程式に という形で記述される。
22 / tu
また、uを濃度とみたときには なる項は濃度の拡散をなしている。
22 / tu
人工粘性
対流方程式
この式に対する風上差分スキームは
0
xuc
tu
ni
ni
ni
ni uuCuu 1
1
点(i,n)まわりのTaylor展開を考えると
22
21
21 t
tut
tuuu n
ini
22
2
1 21 x
xux
xuuu n
ini
人工粘性
これらの式をスキームに代入し、整理すると
となる。次の関係
2
2
2
2
2 tu
xct
xuxc
xuc
tu
から、上述の式は
2
2
2
2
xuc
tu
xc
xuc
ttu
xtcCCxc
xu
xuc
tu
ee
,1
2,2
2
人工粘性
この式と対流方程式を比べると右辺に新たな項が誘起されている。この項は人工的な付加項である粘性としての効果を持つことがわかる。これを人工粘性(artificial viscosity)または数値拡散と(numerical diffusion)と呼ぶ
2
2
xu
xuc
tu
e
風上差分スキームによって離散化した対流方程式は、実際には、以下の式を解いていることに相当している。
Program: ADVEX
変換 ー変化する方程式の定性的性質ー
物理現象(熱流体挙動)
計算モデル(差分方程式)
厳密解
代数分方程式数学モデル(偏微分方程式)
差分解 数値解
工学への応用(開発、設計、性能評価)
仮説(定式化)
変換(差分近似)(離散化)
数値計算
適切性 安定性
収束性
適合性
Laxの同等定理
位相誤差(1/4)
対流方程式の風上差分スキームは
ni
ni
ni
ni uuCuu 1
1
uのFourier成分 をkを波数としてniu
とする。ここにGは増幅係数、k=2/(:波長)である。同様に、
xkeGeGeGu jinxjkinjkxnni ,
11
ijnn
i eGu
とする。
位相誤差(2/4)
両式を差分スキームに代入して整理するとGは
cos1121
sincos1
CCGiCCCG
である。ここに、Re(・)とIm(・)はそれぞれ実数部と虚数部を示す。
sin1
sintan
ReImtan
1
1
CCC
GGG
となる。また位相シフト は、G
位相誤差(3/4)
いま、風上スキームの数値安定性を大きくとり、しかも空間変化を可能なだけ正確に記述しようとする。つまり、
12,1
xxkC
と評価される。増幅係数と位相シフトを用いてuのFourier成分を書くと、
xkCCG sinsinとすれば、位相シフト は、G
ikxnxkjCnni eeGu sin
となる。
位相誤差(4/4)
ここで、iCsin(kx)nを変形すると、
tnx
xkCik
nk
xkxtciknxkiC
sin
sinsin
となる。したがってFourier成分 はniu
tntxk
xkCCeGu ktCxiknn
ik
,sin,
となる。この式は波数kが大きくなると(波長が短くなると)、成分の伝播速度Ckは小さくなることを示している。
分散性(Disperse property)
対流項の差分近似(1/3)
対流・拡散方程式の差分スキーム(モデル10)
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni uuu
xtuu
xtcuu 1121
1 2
Burgers方程式の差分スキーム(モデル11)
ni
ni
ni
ni
ni
nin
ini uuu
xtuu
xtuuu 1121
1 2
Burgers方程式の の近似はいくつかの方法が考えられる。
xuu /
対流項の差分近似(2/3)
Burgers方程式のいくつかの差分スキームを評価してみる。
ni
ni
ni
ni
ni
nin
ini uuu
xtuu
xtuuu 11211
11 2
• FTCSスキーム
ni
ni
ni
ni
ni
nin
ini uuu
xtuu
xtuuu 11211
1 22
• 蛙飛びスキーム
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
nin
ini uuu
xtuut
xuuuuu 11211
1111 223
• uの鋭いピークに対する緩和スキーム
対流項の差分近似(3/3)
Burgers方程式では、対流項には のなかから適当なu0を代表として選び、Courant条件に準じて
,3,2junj
10
xtufC
などとtを設定する。しかし、安全のために安全係数f (0<f<1)を乗ずる。あるいは、
1max
f
xtu
Cn
i
i
などとCourant数が解そのものに依存している状況を厳重に監視するなどの制御策を考える。
双曲型方程式の陰スキーム(1/3)
対流方程式
差分スキームを求めると
ただし、
対流方程式を時刻n+1において、時間を後退差分近似、空間を中心差分近似すると、
0xuc
tu
x2uuc
tuu 1n
1i1n
1ini
1ni
ni
1n1i
1ni
1n1i uCu
21uCu
21
xtcC
双曲型方程式の陰スキーム(2/3)
内点をI=2, 3,…,Im-1として、
n1
1n2
1n1
1n0 uu
2Cuu
2C
n2
1n3
1n2
1n1 uu
2Cuu
2C
n3
1n4
1n3
1n2 uu
2Cuu
2C
ni
1ni
1n1i
1n1i
1ni
1n1i uu
2C1u
2Cu
2Cuu
2C
:1i
:2i
:3i
:ii
という連立一次方程式が得られる。
双曲型方程式の陰スキーム(3/3)
となる。これを行列表示すると、nn uAu 1
1ni
ni
n1i
n2
1n0
n1
1n1i
1n2i
1n2
1n1
u2Cu
u
u
u2Cu
uu
uu
12C00
2C1
2C
02C
12C0
2C1
2C
002C1
以上の行列の式を解いていくと、時刻 における変位が求まる。
1nt 1n
i1n
1 uu
放物型方程式の陰スキーム
熱伝導方程式
21
111
11 ,2
xtduuuduu n
ini
ni
ni
ni
これに倣ってBurgers方程式の差分方程式を導出すると
に対する陰スキームは、
2
2
xu
tu
ni
1n1i
1ni
1n1i uduu)d21(du
以下同様
陽スキームと陰スキーム(1/3)
である。整理すると、
2
11
111
11
111
,
,2
xtd
xtc
uuuduucuuu ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni
ni uduududcu
1
111
11 21
に対して、対流項を風上差分として、陰スキームとすると、
2
2
xu
xuu
tu
Burgers方程式
陽スキームと陰スキーム(2/3)
内点をI=2, 3,…,Im-1として、
Tn
Innn
TnI
nnn
m
m
uuuu
uuuu
132
11
13
12
1 ,
として、この式をまとめると となり、非線形代数方程式をtごとに解かなければいけない。行列 は非対称行列である。
Burgers方程式の対流項を中心差分近似すると、
nnn uuuA 11
1nuA
xtcuudcuududcu n
ini
ni
ni
ni
ni
2,21 1
1111
11
陽スキームと陰スキーム(3/3)
tを小さく設定するとして対流項を次式のように線形化する。
xuuu
xuu
ni
nin
i
2
11
11
とすると、陰スキームの代替案は
xtcuudcuududcu n
ini
ni
ni
ni
ni
2,21 1
111
1
となる。これをまとめて書くと、nn uAu 1
とした連立一次方程式となる。
課題(1) 各自が行ったことのある数値解析(流体解析に限定
しない)について、その対象となった物理、基礎方程式、境界条件、数値解析手法、解析結果、(もしあれば)実験との比較、等に関して、簡潔に纏めなさい。
もし、数値解析の経験がない場合には、数値解析に関して考えるところを述べなさい。
課題(2) 以下のテンソル表現で記載されているNavier-
Stokes方程式の各項の成分を書き下しなさい。
ただし、
提出期限は、次回(10/9)までとする。
gpDt
vD
Tvv
vv
tvvv
tv
DtvD
v,v,vv zyx
課題(3) 熱伝導方程式
に、次の関数を代入すると、
以下の式が導かれることを示せ。
02
2
xt
udx
21exp
2
2
xu
xuu
tu
対流方程式の数値解の挙動~スキームの選択 ー モデル問題3 -
以下の対流方程式を
以下の境界条件と初期条件の下で、
以下の各スキームを用いて数値的に解析しなさい。• FTCS
• 蛙とび法
• 風上差分
0
xuc
tu
)15/2(0)5/25/1(1
)5/10(00,
xx
xxFxu
0,0 00 ggtu
0,1
x
tu
Program: ADVEC
課題(4) 前ページに指定する微分方程式を、与えら
れた境界条件の下で、指定する差分スキームを用いて数値的に解析しなさい。
提出期日: 10月30日(金)
提出物は、・内容の説明したレポート
・プログラムリスト
・解析結果(数値出力、作図結果)
以上の全てを、A4レポート用紙ならびに電子媒体(CD)の両方により提出すること。
提出課題(5)以下のPoisson方程式を、中心差分近似を用いた差分方程式とした上で、
gyu
xu
2
2
2
2
5×5に分割された空間に対して、周囲境界を既知のものとするとき得られる9元連立一次方程式を、Natural orderingによって書き下しなさい。
提出課題(6) 対流方程式に対する以下のスキームの安定性を、Neumann
の安定解析により判定せよ。• FTCSスキーム:
• 蛙とび法(Leap frog scheme)
• 風上差分(Upwind scheme)
• 陰解法(Implicit scheme)
ni
ni
ni
ni uuCuu 11
12
n1i
n1i
1ni
1ni uuCuu
0CuuCuu
0CuuCuuni
n1i
ni
1ni
n1i
ni
ni
1ni
0
xuc
tu
xtcC
ni
1n1i
1ni
1n1i uu
21uu
21
提出課題(7) 熱伝導方程式に対する以下のスキームの安定性を、Neumann
の安定解析により判定せよ。• FTCSスキーム:
• Richardon法
• 蛙とび法(Leap frog scheme, DF法)
• 陰解法(Implicit scheme)
n1i
ni
n1i
ni
1ni uu2uduu
1ni
n1i
n1i
1ni ud21uud2
d211u
2xtd
n1i
ni
n1i
1ni
1ni uu2uduu
ni
1n1i
1ni
1n1i uduud21du
2
2
xu
tu
提出課題(8)
以下に示すラプラス方程式を、右図の境界条件のもとで、差分法によって数値解析するとともに、以下の解析解と比較しなさい。
1cossinh
sinh112,
m
m
xmymmm
yxu
04 1,1,,,1,1 jijijijiji uuuuu
1,1,,1,1, 41
jijijijiji uuuuu
02
2
2
2
yu
xu
ラプラス方程式:
差分式:
解析解:
1 3 5 7 9 S1
S5
S9
0
20
40
60
80
100