佐々木康之 SASAKI Yasuyuki 2. OS別最新OOo導入/ 設定ガイド...
Transcript of 佐々木康之 SASAKI Yasuyuki 2. OS別最新OOo導入/ 設定ガイド...
2.
OS 別最新 OOo 導入/
設定ガイド
Windows/Linux/FreeBSD/Mac OS X
Copyright (C) 2006 Yasuyuki Sasaki,Masahisa Kamataki,Yoshiyuki Takeuchi
この文書は,以下の利用条件の元で公開されています.
この文書は,Software Design 2006.5 (技術評論社)に掲載した第 2 特集「OpenOffice.org で実現!次
世代オフィススイート活用法」の原稿に加筆・修正したものです.原稿の公開にご協力いただいた Software
Design 編集部に感謝します.
クリエイティブコモンズ 帰属 2.1 日本
http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/
あなたは以下の条件に従う場合に限り,自由に
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せん.
佐々木康之 SASAKI Yasuyuki
http://www.center-left.com
鎌滝雅久 KAMATAKI Masahisa
武内義幸 TAKEUCHI Yoshiyuki
Windows 編 佐々木康之
OpenOffice.org のダウンロード
OpenOffice.org は表 1 の条件を満たすパソコンにインストールできます.マイクロソフトの Office2003
が Windows2000/XP しかサポートしないのに対し,OpenOffice.org は Windows98/Me にも対応して
います.また,Office2003 はインストールに 500MB 以上の HDD 空き容量を要求しますが(Professional
Edition の場合),OpenOffice.org は 300MB 以上の空き容量でインストールできます.条件は非常にゆる
やかなので,ほぼすべてのパソコンに問題なくインストールできるはずです.
表 1:OpenOffice.org インストール要件(Windows)
CPU Pentium 互換の CPU
メモリ 64MB 以上
ハードディスク容量 300MB 以上
モニタ解像度 800×600 ドット以上,256色以上
OS Windows98,Me,NT4(ServicePack6 以降),2000,XP
OpenOffice.org の 最 新 版 は , OpenOffice.org 日 本 ユ ー ザ ー 会 の ウ ェ ブ サ イ ト
(http://ja.openoffice.org/)から入手できます.トップページにある「最新版をダウンロード」をクリックする
と,Windows や Linux,MacOS など各プラットフォーム向けのパッケージをダウンロードできます.
OpenOffice.org には JRE(Java Runtime Environment)を含むバージョンと,含まないバージョンの 2
種類があります.最新の JRE をインストールしていない場合は,JRE を含むバージョンをダウンロードするとい
いでしょう.OpenOffice.org と同時に JRE もインストールすることができます.
OpenOffice.org のインストール
OpenOffice.org のインストールは簡単です.ダウンロードしたファイルをダブルクリックすると,デスクトップ
の「OpenOfice.org 2.0 Installation Files」フォルダにファイルが展開され,図 1 のようにインストーラが自
図 1:ダウンロードしたファイルをダブルクリックすればインス
トーラが起動する.あとは画面の指示通りに操作する
動的に起動します.後は画面の指示に従ってインストールを進めるだけです.JRE付きをダウンロードしたとき
は,OpenOffice.org に続き,JRE のインストーラが自動的に起動します.
インストールで難しい設定はありませんが,唯一注意したいのは「ファイルの種類」という設定項目です.図
2 ではマイクロソフト Office の文書ファイルを OpenOffice.org に関連付けるかを設定します.チェックを付
けると Word のファイル(拡張子.doc)をダブルクリックしたときは Writer で開くようになります.また,Excel
のファイル(拡張子.xls)は Calc,PowerPoint のファイル(拡張子.ppt)は Impress で開くようになります.マ
イクロソフト Office と OpenOffice.org を併用したいときはチェックを外しておくことをおすすめします.もちろ
んチェックを外して拡張子と OpenOffice.org を関連付けなくても,メニューの「開く」ダイアログボックスから
マイクロソフト Office のファイルを開けます.
インストールが終了すればデスクトップの「OpenOfice.org 2.0 Installation Files」フォルダは必要あり
ません.100MB近くもあるので削除しておきましょう.
OpenOffice.org の起動と設定
OpenOffice.org はほかのアプリケーションと同様にスタートメニューから起動します.初回起動時のみラ
イセンス条項の同意など簡単な設定が必要になります.ユーザー名を登録する項目がありますが,これはテン
プレートの中で作成者の名前を埋め込んだり,文書ファイルのプロパティの中の作成者情報として利用するも
のです.空白のままにしておいてもかまいません.また,後からでも「ツール」→「オプション」とメニューをクリック
すると名前などの情報を変更することができます.
また,最後に「OpenOffice.org の登録」という項目がありますが,登録をしなくても OpenOffice.org を利
用できます.「今すぐ登録」を選ぶと,OpenOffice.org の利用状況を調査するアンケートページがブラウザで
開きます.アンケートの結果は開発に生かされるため,時間に余裕があればぜひご協力ください.ただし,アン
ケートページはすべて英語になっています.
コラム:OpenOffice.org で Java を有効にする 佐々木康之
JRE がなくても OpenOffice.org は動作しますが,表 2 の機能が使えなくなります.OpenOffice.org の
バージョン 1xでは JRE がないと使えない機能は DocBook形式での保存や Java アプレットの埋め込みぐ
らいでしたが,バージョン 2xでは Javaへの依存度が高くなっています.特に標準のデータベースエンジン
HSQLDB はすべて Java で記述されています.また,4章以降のアドオンパッケージを利用するときも Java
図 2:マイクロソフト Office を OpenOffice.org と併用すると
きは関連づけのチェックを付けてはいけない
が必要になります.特別な理由がない限りは最新の JRE をインストールしておくことをおすすめします.
表 2:OpenOffice.org 2.x系で Java を利用する機能
ウィザードを利用した差し込み印刷
Base(データベース)のデータベースウィザードを除くウィザードと JDBC接続,および標準データベースで
ある HSQLDB の利用
Java アプレットの埋め込み
DocBook(xml)形式など
その他,Java を利用したウィザード
ひとつ注意が必要なのは,JRE をインストールしても特定の条件では OpenOffice.org から JVM を利用
できないところです.たとえば,複数バージョンの JRE がインストールされている環境に OpenOffice.org をイ
ンストールしたときは,どのバージョンを使用するか明示しなければなりません.
メニュー か ら 「ツー ル 」→「 オプション 」 と ク リ ッ ク し て オプション画面を 開 き ,左側のツリ ー で
「OpenOffice.org」→「Java」と選択します.
(1)「Java Runtime環境を使用」にチェックが付いているか
(2)バージョンのラジオボタンが選択されているか
の 2点を確認してください.図 3 のようにラジオボタンがチェックされていない状態では,OpenOffice.org
から Java を利用できません.
図 3:オプション画面で JRE のラジオボタンがチェックされているかを確認す
る
Linux 編 鎌滝雅久
RPM パッケージでインストール
OpenOffice.org Linux版は,2.0 から RPM パッケージでリリースされるようになりました.現在の一般的
なディストリビューションである Fedora Core,SUSE,Mandriva,Vine など多くの Linuxで標準のパッケー
ジシステムとして採用しています.このほか,Debian,Gentoo,Slackware といった独自のパッケージシステ
ムを持つLinuxでも,RPM関連のコマンド1を利用すればインストール可能です.
表 3:OpenOffice.org インストール要件(Linux)
メモリ 128MB 以上
HDD 容量 300MB 以上
画面解像度 800×600 以上,256色以上の X サーバー
カーネル バージョン 2.2.13 以降
ライブラリ glibc2バージョン 2.2.4 以降
インストールの前に,表 4 で Linux のシステム要件をご確認ください.日本語版のダウンロードは,
Windows と同じユーザー会のサイトから行えます(P.2参照).Javaランタイム(JRE)の有無により,2種類あ
りますので気をつけてください.ここでは,JRE を含むインストールパッケージを利用します2.
パッケージの展開と基本パッケージのインストール
図 4 の(1)を実行後,'OO'で始まるディレクトリに展開されます.次に(2)で,その下のRPMSディレクトリに
ある基本パッケージをインストールします3.どのようなパッケージがあるかは, 'ls'コマンドで RPMSディレクトリ
を調べてください.この時点で,JRE もインストールされます.
メニューパッケージのインストール
メニューパッケージは,図 5 のように,お使いのディストリビューションに合わせインストールします.再ログイ
ンしないとメニューに表示されない場合もあるので注意してください.
注1: Debian なら rpm パッケージなど.
注2: 同梱される JRE は 1.5.0_06バージョンになります.JRE を含まないパッケージ名は
OOo_2.0.2_LinuxIntel_install_ja.tar.gzとなります.
注3: もし,パッケージの依存関係でエラーが表示される場合は,適宜必要なパッケージをインストールしてください.た
だし,openoffice.org-gnome-integration は,KDE を使用する限り,必要ありませんし,GNOME でも必ず必要な
パッケージではありません.このパッケージで依存関係のエラーが表示される場合は,インストールしなくてもかまい
ません.
$ tar zxvf OOo_2.0.2_LinuxIntel_install_ja_wJRE.tar.gz (1)
$ su -c 'rpm -ivh OO*/RPMS/*.rpm' (2)
図 4:パッケージの展開とインストール
Debian,Gentoo,Slackware へのインストール時の注意点
● 'sh'パッケージの依存関係エラーが表示される場合
ユーザー会で用意したダミーの'sh'パッケージをインストールしてください4.
● rpm コマンドの実行に失敗する場合
Debian,Gentoo では,rpm関連のライブラリが異なるディレクトリにインストールされるため,図 6
のコマンドで修正しておきます.
OpenOffice.org の起動
KDE,GNOME のメニューに登録されている場合は,[オフィス]カテゴリにある「OpenOffice.org
Writer」などのアプリケーションを選べば,OpenOffice.org を起動できます.表 4 のコマンドも利用できます.
初めて OpenOffice.org を起動した際は,初期設定が必要です.これは Windows と同様なので,P.2をご
覧ください.
なお,Linuxでは,バージョン 2.0.2 以降,図7,8 のように KDE,GNOME の UI に合わせたデザインで表
示されます.
注4: 「 OpenOffice.org Documet Project Wiki 」 の「OOo で実現!次世代オフィススイート活用法」ページの添付
ファイル,filedummy-bin-sh-1-1orc.noarch.rpm.zip がダミーの'sh'パッケージ.なお,このパッケージをインストー
ルしてもRPMデータベースに登録されるだけで,既存の sh コマンドには影響しません.同ファイルの MD5値は
「1eb4b20cd1943d9cbf8bb337c8cdc578」です.
$ su -c 'ln -s /usr/lib/rpm /var/lib/rpm'
図 6:rpm ライブラリのインストール先を修正
● Red Hat,Fedora Core の場合
$ su -c 'rpm -ivh OO*/RPMS/desktop-integration/openoffice.org-redhat-menus*.rpm'
● SUSE の場合
$ su -c 'rpm -ivh OO*/RPMS/desktop-integration/openoffice.org-suse-menus*.rpm'
● Mandriva の場合
$ su -c 'rpm -ivh OO*/RPMS/desktop-integration/openoffice.org-mandriva-menus*.rpm'
● その他のRed Hat系ディストリビューションの場合
$ su -c 'rpm -ivh OO*/RPMS/desktop-integration/openoffice.org-freedesktop-menus*.rpm'
● Debian の場合
$ su -c 'dpkg -i OO*/RPMS/desktop-integration/openoffice.org-debian-menus*.deb'
図 5:Linux メニューパッケージのインストール
表 4:OpenOffice.org の起動コマンド
Base /opt/openoffice.org2.0/program/sbase
Calc /opt/openoffice.org2.0/program/scalc
Draw /opt/openoffice.org2.0/program/sdraw
Impress /opt/openoffice.org2.0/program/simpress
Math /opt/openoffice.org2.0/program/smath
Writer /opt/openoffice.org2.0/program/swriter
アンインストール方法
公式パッケージでは,個別にアンインストールすると,依存関係のエラーが表示されてしまいます.そこで,図
9 のように,OpenOffice.org の全パッケージを一度にアンインストールするようにしましょう5.
ディストリビューション独自のパッケージ
Fedora,SUSE などでは,独自に OpenOffice.org パッケージを用意しています.現在は,公式パッケージ
からやや遅れてリリースされますが,それを待てば,yum や YaST といった使い慣れたパッケージシステムで
インストールできます.
なお,これらは各国の OpenOffice.orgネイティブラングプロジェクトのQA(品質検査)を経てリリースさ
れたものではありません.不具合などのサポート情報を得るには,各ディストリビューションのコミュニティを利
用してください.また,公式リリースのソースを利用せず,機能拡張や大幅なバグフィックスを加えた Ooo-
build(コラム P.9参照)という,OpenOffice.org の派生プロジェクトの成果を利用しているディストリビュー
ションもあります.そのため,時に開発バージョンがインストールされる場合もあるので注意してください.
注5: JRE のパッケージ jre-1_5_0_06 も,不要でしたらアンインストールしてください.
図 7:KDE の UI
図 8:GNOME の UI
$ su -c 'rpm -e `rpm -qa | grep "openoffice\.org.*2\.0"`'
図 9:OpenOffice.org のアンインストール
FreeBSD 編 鎌滝雅久
FreeBSD にインストール
OpenOffice.org の FreeBSDバージョンは,ボランティアによる開発となっています.したがって,必ずしも
公式バージョンに追従してリリースされるわけではありませんが,最近では,ほぼ時をおかず新バージョンが登
場しています.FreeBSD では,独自のパッケージシステムである Ports にも収録されているので,ソースから
のインストールも可能です.しかし,ビルド時に 10GB 以上の HDD 容量が必要であったり,環境によっては
10~20時間もの作業時間が必要になるなど,あまり現実的ではありません.そこでここでは,ビルド済みの
パッケージをインストールする方法を紹介します.入手先は,日本の OpenOffice.org サポート企業である
グッデイが用意した FTP サーバーになります.
● FreeBSD版OpenOffice.org 公開先
ftp://ooopackages.good-day.net/pub/OpenOffice.org/FreeBSD/
システム要件は,5.3-RELEASE から 7-CURRENT までの FreeBSD に対応しているほかは,Linuxと同
じです.パッケージはバージョン 5,6 系それぞれに用意されており,バージョン 6 系なら,図 10 のように
pkg_add コマンドでインストールします.アンインストールは pkg_delete コマンドを使います.
起動コマンドは,表 5 をご覧ください.図 11 のように OpenOffice.org を起動できます.
表 5:OpenOffice.org の起動コマンド
Base openoffice.org-2.0.1-sbase
Calc openoffice.org-2.0.1-scalc
Draw openoffice.org-2.0.1-sdraw
Impress openoffice.org-2.0.1-simpress
Math openoffice.org-2.0.1-smath
Writer openoffice.org-2.0.1-swriter
$ su -c 'pkg_add -f OOo_2.0.2.rc4_FreeBSD61Intel_install_ja.tbz'
図 10:pkg_add コマンドでインストール
図 11:FreeBSD で動作する OpenOffice.org
コラム:Waooo,Ooo-build などのオリジナルビルド 鎌滝雅久
OpenOffice.org はソースが公開されているため,多くのオリジナルビルドが存在します.日本ユーザー会
でも,日本語環境の実験的改善を目指した独自ビルドプロジェクトから Waooo の愛称でオリジナルビルドを
リリースしています.メーリングリストなどのユーザーの声を反映し,デフォルト書式の改善「書式の両端揃え,
句読点のぶら下げなし」や用紙サイズに「葉書」を追加するなど,将来の公式バージョンへの採用を目的とし
た改善が加えています.Linuxユーザー向けには,Debian,Slackware 用のパッケージも用意しています.ビ
ルドは,curvirgo さんがほぼ 1 人で行っています.
Ooo-build は,OpenOffice.org の改善を目的とした国際的なプロジェクトです.現在は,2.0.2 の新機能
アイコンテーマなど,Ooo-build の成果が公式バージョンに採用されるという流れも出てきています.こちらの
プロジェクトでは,FreeBSD版OpenOffice.org のビルダーである中田真秀さんも参加しています.というわ
けで,FreeBSD の Ports には Ooo-build も用意されています.
● 日本ユーザー会独自ビルドプロジェクト
http://waooo.sourceforge.jp/wiki/
● Ooo-build
http://wiki.services.openoffice.org/wiki/Ooo-build
MacOS 編 佐々木康之
MacOS版のシステム要件は表 6 の通りです6.しかし,インストールするだけですぐ使えるわけではない点
に注意が必要です.これは OpenOffice.org が MacOS X のネイティブアプリケーション(Cocoa アプリや
Carbon アプリ)ではなく,X11 を利用して動作するアプリケーションであるためです(図 12).
表 6:OpenOffice.org インストール要件(Mac OS X)
CPU G3 400MHz以上
メモリ 256MB 以上
ハードディスク容量 400MB 以上
画面解像度 800×600 以上,1677万色表示
OS MacOS X 10.3(Panther)以降,X11 が必要
注6: 2006年 3月現在,Intel版Mac OS X の OpenOffice.org も開発が進んでいます.ただし,EasyPackage で
は Intel CPU 対応のパッケージは配布されていないため、自分で kinput2 をビルドしなければ日本語の入力は
できません.
図 12:OpenOffice.org はウィンドウごとにメニューが表示されるなど,MacOS
X のネイティブアプリとは違いがある
MacOS X は UNIX系OS のひとつである FreeBSD をベースにしており,ウィンドウシステムの X11 を導
入すれば UNIX系のアプリケーションを比較的簡単に移植できます.しかし,標準では X11 が組み込まれな
いため,OpenOffice.org のインストールに先立って,X11 を導入しなければなりません.
また,X11 アプリケーションからは MacOS X が管理しているフォントや日本語入力システムを利用できま
せん.MacOS X の中に X11 の小宇宙があるようなもので,X11 用にフォントや日本語入力システムをセット
アップする必要があります.そのままでは日本語の表示や入力ができないわけです.
X11 のインストール
X11 のインストール方法は MacOS X のバージョンごとに異なります.
Tiger(10.4)は MacOS X のインストール DVD の中に X11 が収録されています.インストール DVD の
「Optional Installs」アイコンをダブルクリックし,パッケージリストが表示されたら「アプリケーション」の中に
ある「X11」にチェックを付けます.
Panther(10.3)は MacOS X の 3枚目のインストール CD の中にある「Packages」フォルダを開き,
「 X11User.pkg 」 をダブ ル ク リ ッ ク す る と イ ン ス ト ー ル で き ま す . ま た , ア ップル のウェ ブ サ イ ト
(http://www.apple.com/support/downloads/x11formacosx.html)からパッケージをダウンロードす
ることもできます.
また,日本語環境を整備するとき,ソースを入手して自分でビルドしたいときは,X11 の開発環境もインス
トールしなければなりません.Tiger ならインストール DVD の「Xcode Tools」フォルダから,Panther なら 4
枚目の「Xcode Tools CD-ROM」からインストールします.そのとき,カスタムインストールで「X11 SDK」が
チェックされているかを必ず確認してください.
OpenOffice.org のインストール
OpenOffice.org の MacOS版をダウンロードします7(P.2の Windows 編を参照).ダウンロードしたファ
イルをダブルクリックするとディスクイメージがマウントされるので,「OpenOffice.org 2.0」アイコンをアプリ
ケーションフォルダにコピーします.また,コピーしたアイコンをドックにドラッグして追加すると,ドックのアイコン
をクリックするだけで OpenOffice.org が起動するようになります.このあたりは通常のアプリケーションと手
順は同じです.
ドックのアイコンをクリックして OpenOffice.org が起動するか確認してください.まず X11 が起動して
xterm のウィンドウが開いてから,OpenOffice.org のウィンドウがあらわれます.しかし,この段階ではまだ日
本語入力ができないため,OpenOffice.org と X11 をいったん終了してから,日本語環境の整備を行います.
日本語入力システムをインストール
日本語の入力には「かんな」と「Kinput2」の 2つをインストールします.かんなはカナ漢字変換を行うエン
ジンであり,Kinput はかんなを X11 から呼び出すためのシステムです.この 2 つをインストールするには
「EasyPackage」を使うのが簡単です.メニューからパッケージの名前を選択するだけでインストールができ
ます.
まずは「EasyPackage」のウェブサイト(http://www.ie.u-ryukyu.ac.jp/darwin2/)を開き,メニューの
「インストール」をクリック.GUI 版のインストーラをダウンロードしてインストールします.デスクトップに
「EasyPackage」というアイコンができるのでダブルクリック.EasyPackage を起動したら,メニューから「パッ
ケージ」→「一覧を取得」と選択してください.パッケージの一覧が表示されたら,「japanese」カテゴリの中に
ある「canna」「canna-dics」「kinput2」の 3つを順にダブルクリックしてインストールしてください.それぞれ
注7: OpenOffice.org の MacOS版には JRE付きのパッケージがありません.最新の JRE が必要なときはアップル
のウェブサイト(http://www.apple.com/macosx/features/java/)から入手します.
「log」ウィンドウに「installed」と表示されれば,インストールは完了です.
次に,X11 を起動したときに Kinput2 を自動起動するように設定します.次の手順で作業してください.
(1)ファインダーで「アプリケーション」→「ユーティリティ」の順にフォルダを開き,「ターミナル」を起動する.
(2)キーボードから「cp /etc/X11/xinit/xinitrc ~/.xinitrc」と入力し,Enterキーを押す.
(3)キーボードから「nano ~/.xinitrc」と入力し,Enterキーを押す.
図 13:EasyPackage を使って,「canna」「canna-
dics」「kinput2」の 3つのパッケージをインストー
ルする
図 14:Kinput2 を自動起動するように設定する.エディタで
「.xinitrc」に記述を追加する
(4)エディタが起動したら「xterm &」の下に次の 3行を追加する.
export LANG=ja_JP.eucJP
export.XMODIFIERS="@im=kinput2"
kinput2 -canna&
(5)Ctrl+Xキーを押す.Yキーで変更内容を保存してからエディタを終了する.
なお,.xinitrc に追加した行の中で「kinput2 -macim」と指定すると,かんなのかわりに「ことえり」で日本
語入力をおこなえます.その場合,EasyPackage で canna と canna-dics をインストールする必要はありま
せん.ただし,CPU パワーがないときは入力や変換にやや時間がかかります.
日本語フォントをインストール
OpenOffice.org で 日 本語の TrueType フォン ト を 使 う に は , /Applications/OpenOffice.org
2.0.app/Contents/openoffice.org/share/fonts/truetype フォルダに TTFファイルをコピーします.もし
日 本 語 の TrueType フ ォ ン ト が な け れ ば , フ リ ー の 日 本 語 フ ォ ン ト 「 さ ざ な み フ ォ ン ト 」
(http://wiki.fdiary.net/font/?sazanami)を使うといいでしょう.
TTFファイルをホームフォルダにコピーしたら,ターミナルで図 15 のコマンドを入力します.さざなみフォント
の例であり,ほかのフォントではファイル名を適宜変更してください.これで日本語環境の整備は完了です.
ドックのアイコンをクリックし,OpenOffice.org の Writer が起動します.Shift+スペースキーを押して日本
語が入力できるか確認してください(MacOS X とは言語を切り替えるキーが違います).また,日本語のファイ
ルを読み込んで表示に問題がないかを確認します.
メニューにアプリケーションを追加
ドックのアイコンをクリックすると,Writer が起動します.Calc や Impress などほかのアプリを直接起動す
るには,X11 の「アプリケーション」メニューに各アプリを追加します.X11 を起動して,メニューから「アプリ
ケーション」→「メニューをカスタマイズ」とクリック.表 7のようにメニュー名とコマンドを指定してください.次
回からは「アプリケーション名」からアプリの名前を選ぶだけで起動します(図 16).
表 7:OpenOffice.org の起動コマンド
Writer /Application/OpenOffice.org 2.0.app/Contents/openoffice.org/program/swriter
Calc /Application/OpenOffice.org 2.0.app/Contents/openoffice.org/program/scalc
Impress /Application/OpenOffice.org 2.0.app/Contents/openoffice.org/program/simpress
Draw /Application/OpenOffice.org 2.0.app/Contents/openoffice.org/program/sdraw
Base /Application/OpenOffice.org 2.0.app/Contents/openoffice.org/program/sbase
$ cp ~/sazanami-mincho.ttf /Applications/OpenOffice.org 2.0.app/Contents/openoffice.org/share/fonts/truetype/
$ cp ~/sazanami-gothic.ttf /Applications/OpenOffice.org 2.0.app/Contents/openoffice.org/share/fonts/truetype/
図 15:さざなみフォントの設定
コラム:NeoOffice とは 佐々木康之
X11 アプリケーションである OpenOffice.org は導入が面倒なだけでなく,MacOS X のネイティブアプリ
ケーションとは操作性に違いがあります.たとえば,メニューは画面最上部でなく,ウィンドウの中に表示されま
す.また,コピーにはコマンド+Cキーではなく,コントロール+Cキーを使うなどキーアサインも異なっています.
「NeoOffice」は OpenOffice.org をネイティブアプリとして移植したものです.X11 がなくても,通常の
MacOS X アプリと同じようにインストールできます.ただし,NeoOffice はバージョンが古く,現時点では
OpenOffice.org 1xをベースにしたバージョンしかありません.しかし,OpenDocument Format(ODF)に
読み込みに対応するなど,OpenOffice.org 2.0.xの機能の一部もサポートされています.
NeoOffice はGPLの下で公開されているオープンソースソフトウェアであり,NeoOffice のウェブサイト
(http://www.planamesa.com/neojava/)で最新版を入手できる.
コラム:日本語フォントの登録 鎌滝雅久
複数の OS が混在する環境では,OpenOffice.org で使用する TrueType フォントを共有することで,文
章デザインの互換性を保つことが可能です.しかし,Windows では日本語の書体名が使われる日本語の
TrueType フォントが,それ以外の OS では英語で表示されてしまいます.このままだと互換性で問題が生じ
ます.そこで,Windows 以外の OS では,日本語 TrueType フォントの OpenOffice.orgへの登録をおすす
めします.図 17のようなGUI による設定ツールもありますが,~/.openoffice.org2/user の下に fontsディレ
クトリを作成し,TrueType フォントをコピーするかシンボリックリンクを作成すれば登録できます.
図 16:メニューをカスタマイズすれば,メニューから各アプリケーションを
起動できるようになる
図 17:[フォントの追加]画面での設定
コラム:かもめ焼きプロジェクトについて 武内義幸
かもめ焼きプロジェクトとは
「かもめ焼きプロジェクト」は,OpenOffice.org の CD を作成している OpenOffice.org 日本ユーザー会
の分科会です.OpenOffice.org やNeoOffice だけでなく,ツール・フォント・ドキュメントなどを CD イメージ
(.iso ファイル)として収録し,配布しています.また,CDラベルやジャケットも製作しています.
製作実績
- OpenOffice.org 1.1.1 CD (ワンワンワン CD)
- OpenOffice.org 1.1.2 CD(箱根CD)
- OpenOffice.org 1.1.3 CD (ベルリン CD)
- OpenOffice.org 1.1.4 CD (さくら CD)
- OpenOffice.org 2.0.0/1.1.5 CD
CD イメージは「かもめ焼きプロジェクト」ホームページからダウンロードできます.ナローバンドユーザー様
向けに,OpenOffice.org CD の販売を行っているところもあります.
プロジェクト実績
OpenOffice.org 日本ユーザー会の公式書籍に収録した CD や,「オープンソースカンファレンス」などの
イベントで配布する CD も製作しています.最近では,3/17(金)・18(土)に開催の「オープンソースカンファレ
ンス 2006 Tokyo/Spring」向けに「OpenOffice.org 2.0.2rc4 CD」を製作しました.
今後の予定
OpenOffice.org 2.0.2 CD をリリースする予定です.この原稿が本になる頃には正式リリースされている
でしょう8.
注8: 2006年 6月現在,筆者多忙のためまだリリースされていません.
図 18:「かもめ焼きプロジェクト」ホームページ
OpenOffice.org Icon Lancher
筆者は,「Portable OpenOffice.org」のランチャーを改良した「OpenOffice.org Icon Lancher」を製作
しています.OpenOffice.org の実行ファイルやユーザー設定の場所を任意に設定できるので,USB メモリか
らの起動だけでなく,OpenOffice.org の CD ブータブル化など多用途に使えます.
Icon Lancher の活 用例として ,「 CD ブ ータブ ル OpenOffice.org 」 を試作中で す .現時点で は
OpenOffice.org の CD起動時間が非常に遅いのですが,起動時間を短縮できるよう改良したいと思いま
す9.
参照情報
● OpenOffice.org 日本ユーザー会 かもめ焼きプロジェクト
http://ja.openoffice.org/cdrom/
● 筆者ホームページ
http://www.geocities.jp/yo_take_uchi/
● OpenOffice.org Icon Lancher
http://www.geocities.jp/yo_take_uchi/OOo/OOoLaunch.html
● CD Bootable OpenOffice.org
http://www.geocities.jp/yo_take_uchi/OOo/CDBootOOo.html
注9: 2006年 6月現在,OpenOffice.org 2.0.2 をベースとした「CD Bootable OpenOffice.org Ver.002」を公開
しております.ただし,若干の不具合があるため,改良の余地があります.
図 19:OpenOffice.org Icon Lancher