WTPとWTAの 環境政策への適 用可能性:乖離要因の検討とス コー …

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論文

WTPとWTAの 環 境政策への適

用可能性:乖 離要因の検討とス

コープテス ト*

塚原 康博**

竹内 憲司

1.は じめに

政府が高速道路や原子力発電所の建設などの施

策を行う際,環 境の悪化を通 じて,周 辺地域の住

民の健康便益が低下する場合がある.こ のような

場合,便 益の低下を測定 し,費 用便益分析 にそれ

を反映させて,そ の地域に高速道路や原子力発電

所の建設を行 うべきかを判断 した り,住民に対 し,

失われた便益 に相当する補償を行 う必要がある.

市場で取引されている財であれば,便 益 を市場

価値(あ るいは市場価値よ り類推される価値)で

代替することも可能であるが,市 場では取引され

ない財については,そ の価値を直接聞き出す必要

がある.そ の際の方法として,も しある便益が得

られるならば,最 大,い くら支払ってもよいかを

問う方法 と,も しある便益を失うな らば,最 低,

いくら補償 してもらいたいかを問う方法がある.

前者はWTP(Willingness To Pay:支 払い意志額)

と呼ばれ,後 者はWTA(Willingness To Accept:受

け取 り意志額)と 呼ばれる.こ のようにWTPと

WTAに 関する情報は,適 切な経済政策を実施する

上で,基 礎 となるものである.

WTPとWTAは,厚 生経済学的にはそれぞれ補

償変分 と等価変分の概念で定義でき,従 来の経済

理論では,補 償変分 と等価変分は所得効果が正で

あって もそれほど大き く異なることはない,と さ

れてきた.し かしなが ら,実 証研究で観察 される

WTPとWTAに は,1.6倍 から10倍 以上もの乖離

が発生している.WTPとWTAと の乖離の発生原

因の説明については,代 表的なものとして,(1)代

替可能性(substitutability)に よるもの,(2)賦 存効

果(endowment effect)に よるもの,を あげること

ができる.前 者はHanemann(1991)に よる説明で

あり,所 得効果を代替の弾力性 を用いて分解する

ことで従来理論の延長上でも乖離が大きくな りう

るという,合 理的行動を前提 とした内容である.

一方後者はKnetsch(1989)やKaheman et al .(1990)

による説明であ り,乖 離は 「いったん手に入れた

ものを人は高 く評価する」という賦存効果 によっ

て発生 してお り,消 費者の損失回避 という心理的

な特質を要因としている.

本研究では,市 場で評価することが困難な種類

*本研 究 の草稿 は 日本経 済政 策学 会第56回 全国大 会で 報告 さ

れた が,そ の際,田 中廣滋 教授(中 央大 学),安 田八 十五 教授

(筑 波大 学),駒 井 正晶教 授(慶 応大学)よ り有益 な コメン トを

いた だいた.ま た,本 誌 の匿名 レフェ リー か らも有益な コ メン

トをいただいた.記 して感謝 申 し上 げた い.

**塚原 氏 は明 治大学 短期 大学 助教 授,竹 内氏 は明治 大学 短期

大学専任 講師.

※ 本 稿 は レフェ リー の審査 を経た もので ある.2000年4月 受

理.

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論文:WTPとWTAの 環境政策への適用可能性:乖 離要因の検討 とスコープテス ト

の便益 を評価する手段としてWTPとWTAを 測定

し,乖 離がみられるか どうかを検証する.ま た,

乖離がみられる場合 には,そ の原因についての考

察も行 う.さ らに,評 価対象(環 境悪化による健

康便益の低下や死亡)や リスクの大きさ(発 病確

率や死亡確率)を 変えた分析 も行 う.

2.乖 離の解釈における2つ の立場

WTPとWTAと の乖離の発生原因の説明につい

ては,代 表的なものとして,(1)代 替可能性によ

るものと,(2)賦 存効果によるものがある.ま ず,

前者の代替可能性を図を用いて説明してみよう.

図1代 替可能性による乖離の説明

図1の 横軸にはある財の量をと り,縦 軸には貨

幣の量 もしくは合成財の量がとってある.こ こで,

x2-x1の 大きさに相当するある財の量の所有権 を

持 っている場合 と持っていない場合を考 える.持

っていない場合の財の保有量の組み合わせは点A

で示され,持 っている場合のそれは点Bで 示 され

るとしよう.こ のとき,x2-x1の 大きさに相当す

るある量の財の取引に関して,WTPとWTAを 以

下のように定義できる.ま ずWTA(こ の場合は,

x2-x1の 大きさに相 当するある財の量を失うとき,

最低限,補 償 してもらいたい貨幣の量 もしくは合

成財の量)は 無差別曲線上の点Bか ら点Dへ の動

きで示 され,〃23-m2の 大きさに相当する貨幣の量

もしくは合成財の量で測 られる.他 方で,WTP(こ

の場合は,x2-x1の 大きさに相当するある財の量

を手に入れるとき,最 大限,支 払ってもよい貨幣

の量もしくは合成財の量)は 無差別曲線上の点A

から点Cへ の動きで示され,m2-m1の 大きさに相

当する貨幣の量もしくは合成財の量で測 られる.

図か ら明 らかなように,代 替財でなくなるほど,

無差別曲線の曲が りが大 きくなるため,WTPと

WTAの 乖離が大きくなる.も し横軸の財 と縦軸の

財が完全代替財であれば無差別曲線は傾きが一定

の直線 になるため,WTPとWTAは 等 しくなる.

このように,分 析で取 り上げている2つ の財の間

の代替可能性をWTPとWTAの 乖離原因とするの

が,代 替可能性 による説明である.

図2賦 存効果による乖離の説明

次に,WTPとWTAの 乖離原因として,賦 存効果

による説明を紹介する.賦 存効果 とは,一 度手に

入れたものは高 く評価するという人間の心理的な

傾向を示 してお り,財の初期保有量を基準として,

同 じ量のある財を得る場合と同じ量のある財を失

う場合では,後 者の損失のほうを前者の利得より

も大きく評価するという現象を指す.図2を 用 い

て説明すると,x2-x1の 財 に対するWTPは 無差別

曲線上の点Aか ら点Cへ の動きで示 され,m2-

m1の 大きさに相 当する貨幣の量 もしくは合成財

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公共選 択の研究 第34号2000年

の量で測 られるが,こ れは初期保有量を基準 とし

て,財 を新たに得るという利得に対する評価であ

る.他 方で,WTAは 無差別曲線上の点Bか ら点D

への動きで示され,m3-m2の 大きさに相 当する貨

幣の量もしくは合成財の量で測 られるが,こ れは

初期保有量 を基準として,財 を失 うという損失に

対する評価である.こ こで,賦 存効果が働いてい

たとすると,損 失は大きく評価 されるため,無 差

別曲線は通常の場合と比べて,点Bを 通る点Bよ

り左の無差別曲線は点Bを 起点 として上方(13)

へ とシフ トす る.こ のとき,縦 軸の財 で測 った

WTA,す なわちm4-m2は 値が大き くなるため,

WTPとWTAの 乖離が説明できる.

3.先 行研究と本研究の特徴

環境政策に関してWTPとWTAの 乖離を発見し

た例としてはBishop and Heberline(197g),Rowe et

al.(1980),Brookshire et al.(1980)等 が ある.そ れ

らの研究で得 られた結果を表1に 示す.過 去の研

究例では,1.6~16.6倍 もの乖離が報告 されている.

しかしながら,こ れ らの研究では所得効果によ

る影響 を除去 してお らず,乖 離が代替可能性によ

るものか賦存効果によるものかを判断できない.

他方で,所 得効果による影響を除去 した研究とし

て,Morrison(1997)が ある.彼 女は大学生を対象

とし,財 としてマグカップを用いた実験 を行った.

実験では,先 にWTAを 尋ね,そ の金額を与え

たうえでWTP(補 償されたWTP)を 聞 くという

手続きがとられた.図3で いうと,m4-m2で 測 ら

れるWTAを 質問によ り聞き出 し,そ の金額を

WTPの 質問に答える回答者にあ らか じめ与える

ことで,回 答者の財の保有量を点Dに 引き上げる.

そして,こ の状況の下でWTPを 聞くのである.

図3補 償されたWTPに よる賦存効果の検討

ここで,賦 存効果が働いていないのであれば,

同じ無差別曲線上の同じ部分(点Bか ら点Dの 部

分)の 比較になるため,無 差別曲線の湾曲の程度

(すなわち代替可能性の程度)と 無関係 に,補 償 さ

れたWTPとWTAは 一致するはずである.他 方で,

賦存効果が働いていたとすると,財 の損失の尺度

であるWTAは 財の利得の尺度である補償された

WTPよ り大き く認識されるので,点Dを 通 る無

差別曲線は点Dを 起点として上方(13)へ とシフ

トする.こ の場合,補 償されたWTPは 点Dか ら

点Eへ の動きをとらえることになり,m4-m3で 測

られる.つ まり,WTAと 補償 されたWTPを 計測

表1既 存研 究 にお いて見 られたWTPとWTAの 乖離

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論文:WTPとWTAの 環境政策への適用可能性:乖 離要因の検討 とスコープテス ト

して,両 者が同じならば,代 替可能性による説明

が可能であり,前 者が後者よ り大きいときは賦存

効果による説明が可能であるといえる.Morrison

(1997)の 実験結果は,WTAよ り補償されたWTP

が有意 に大きいことを示 していたので,賦 存効果

の存在を支持している.

本研究ではWTPとWTAに 加え,Morrison(1997)

に従い,所 得効果 による影響 を除去 した場合の

WTPも 測定している.

4.調 査の内容と結果

調査は1998年12月 に,明 治大学短期大学の学

生延べ882名 を対象に行われた.調 査の方法は,

回答者に仮想的な状況を提示 し,質 問に答えても

らうというものである.提 示 された仮想的な状況

とは,高 速道路 もしくは原子力発電所の近 くに住

んでいるという2種 類のものである.

評価対象 となるのは,(1)高 速道路が建設され

て排気ガスを原因とした大気汚染が悪化し,カ ゼ

にな りやすくなるというリスク(健康便益の低下),

および(2)原 子 力発電所が建設 されて放射線 に

よる甲状腺ガンにかか り死亡するというリスク,

の2つ の仮想的な財である.わ れわれはさらにリ

スクの大きさをそれぞれ3段 階に設定して,回 答

者に提示した.す なわち,前 者の高速道路に起因

するカゼの発生 リスクについては,1ヶ 月あた り

の発生確率が100分 の1,10分 の1,2分 の1の3

段階を設定 し,後 者の原子力発電所に起因する甲

状腺ガンの死亡 リスクについては,1ヶ 月あた り

の死亡確率が1,000万 分の1,100万 分の1,10万

分の1の3段 階を用意した.

高速道路 と原子力発電所,そ れぞれについて3

種類ずつのリスクを想定 しているので,仮 想的に

設定 している評価対象とリスクの大きさの組み合

わせは6種 類になる.こ のような仮想的な状況の

下で,WTPに ついての質問では,「 高速道路(も

しくは原子力発電所)の 使用を1ヶ 月間禁止でき

るとした ら,最大 いくら支払ってよいと考えるか」

を,WTAを 聞く質問では,「 高速道路(も しくは

原子力発電所)の 使用を1ヶ 月間許可するとした

ら,最低いくら支払ってもらいたいか」を尋ねた.

さ らに,所 得効果による影響 を除去 した場合 の

WTP(以 後,CWTP)に ついての質問では,こ の

質問より先にWTAの 質問を行い,メ ディアンに

相当する金額1)を あらか じめ補償 した上で,「 高

速道路(も しくは原子力発電)の 使用を1ヶ 月間

禁止できるとしたら,最 大,い くら支払ってよい

か」を尋ねた2).

結局,高 速道路および原子力発電所に関する3

種類 のリスクお のおのについて,WTA,WTP,

CWTPの3つ の質問を実施 したので,合 計18種 類

の質問が存在す ることになる(図4).

回答者1人 につき答えて もらう質問は,高 速道

路の9種 類のうちか ら1つ と原子力発電所の9種

類のうちから1つ の合計,2つ である.で きるだ

け履修者が重複 しない授業に出席 している学生が

対象になるよ う調査を行ったが,重 複 している学

生も若干いたため,4つ の質問に答えている学生

もいる3).各 質問に対するサンプルサイズが40か

ら50程 度 になるように質問票を割 り振った.

以下では,分 析の結果を示すが,無 回答および

異常値についてはサ ンプルか ら除いてある4).な

お結果の傾向は,異 常値を含めた場合と変わ らな

い.

1)後 で見 るよ うに,WTAの 平均 値が 非常 に高か ったた め,メ デ

ィア ンを用 いた.な お,こ のメデ ィア ンは全サ ンプル の もので

あ り,分 析 で用 いて いる異 常値 を除 いた 値 と異な る。補償 のた

め用 いた メデ ィア ンは,リ スク の小 さいものか ら順 に,カ ゼの

場合 は5,000円,4,500円,10,000円,ガ ンの場合 は30,000円,

39,000円,50,000円 である.2)調 査で使 用 した質 問票につ いては付 録1を 参照 された い.3)厳 密 には同 じ回答 者 にWTPとWTAの2つ を尋 ね るべき であ

るが,本 研 究の 調査 では,異 な った回 答者 にWTPとWTAを 尋

ね てい る.こ れ は,WTPとWTAと を同 じ回 答者 に聞 くと,回

答 を 同 じに しよ うとす るな ど一方 で の 自 らの回 答が 他 方 での

自らの回答 に影 響 され るおそ れが ある か らで ある.対 象 となっ

たサ ンプル の年齢,性 別,教 育水 準は ほぼ均一 で あるので,サ

ンプルの同質性 は保たれ ている と思 われ る.4)「 平均 値よ り2け た大 きい値」 を削 除 した のち,「 最大 値 と

2番 目に大 き い値の問 に平均 値が ある」1つ のサ ンプル を削除

した.こ れ は とびぬ けて高 く,平 均値 を大き く左右 して いるデー タを異常 値 と考 え た結果 であ る.な お,仮 想 評価法 で は実際

の取 引 をして いない ため に異常値 が出現 する可 能性が 高 い.そ

れ ゆえやや 恣意 的で はあ るが この よ うに異常値 を定義 し,そ れ

を除 外 した.な お,仮 想評価 法 にお ける異常値 の取 り扱 いに関

して は特に決 まった手続 きはな い.

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公共選択の研究 第34号2000年

図4ア ンケー ト種類 の概念 図

表2調 査 の結果(カ ゼ)

(注)単 位 は 円で,カ ッコ内 の数字 はサ ンプル 数(人)を 示 す.確 率 は1

ヶ 月あた りの数値で ある.

表3調 査の結果(ガ ン)

(注)単 位 は 円で,カ ッ コ内 の数字 はサ ンプル 数(人)を 示す.確 率 は1

ヶ 月あた りの数 値で ある.第1行 目カ ッコ内 の数値 は,余 命を60

年 と した場合 の死亡確 率であ る.

5.結 果の解釈

5.1乖 離要因の検討

もし代替可能性の説明が正 しければ,WTA=

CWTPと な り,賦 存効果の説明が正 しければ,

WTA>CWTPと なるはずである.

まず,メ ディアンに注 目してみると,カ ゼの場

合,3段 階のカゼ発生確率のすべてにおいてWTA

>CWTPと なってお り,賦 存効果の存在が支持さ

れる.他方で,ガ ンの場合のメディアンをみると,

3段 階のガン死亡確率において,カ ゼの場合のよ

うな明確な傾向はみられない.こ れは,人 命に関

する評価は人によってばらつきが大きいためでは

ないかと考えられる.ま た,カ ゼの場合のメディ

アンは,3段 階のカゼ発生確率のすべてにおいて

CWTP>WTPと なってお り,所 得を増や した こと

による賦存効果は,そ れほど強くないことを示 し

ている.

他方で,平 均値 に注 目してみると,カ ゼとガン

のいずれの場合にも,3段 階のリスクの水準すべ

てにおいてWTA>CWTPと なっており,賦 存効果

の存在が支持される.CWTPとWTPの 関係では,

WTP>CWTPと なっているケースが多く,メ ディ

アンとは逆 に所得を増やしたことによる賦存効果

が強 く出ていることを示している.こ の分析では

メディアンと平均値で賦存効果の大きさに違いが

見 られるが,こ れは異常値をすべて排除できてな

いためと思われる.し たがって,メ ディアンがよ

り妥当な指標であると考 えられる.

さらに代表値での比較によらずにデータの分布

そのものを比較す るために,Mann-Whitney検 定 を

用いてWTA=CWTPと いう帰無仮説を検討した5).

もしWTA=CWTPで あれば,賦 存効果は存在 しな

いものと言える.表4に 示 してあるとおり,ほ と

ん どのケースで帰無仮説を棄却し,賦 存効果 と矛

盾しない結果を得た.

表4Mann-Whitney検 定 の 結 果

5)Mann -Whitney検 定 とは,2つ の グルー プ間で 母集 団の分布 に

差が あるか 否か を検 討す る方 法の1つ であ り,2つ のグルー プ

のデ ー タに順位 をつ け順 位 和 を用 いて検 定 を行 うもの で ある.

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論文:WTPとWTAの 環境政策への適用可能性:乖 離要因の検討 とスコー プテス ト

5.2ス コー プテス ト

ス コ ー プテ ス トと は,財 の 規 模 を 変 化 さ せ た 時

に,WTPが そ れ に応 じて 変 化 す る か ど う か を統 計

的 に 検 討 す る こ と を 意 味 す る.も し評 価 対 象 とな

っ て い る 財 の 数 量 が 大 き く変 わ っ た に も か か わ ら

ず 評 価 額 が 統 計 的 に 有 意 な ほ ど変 化 しな い の で あ

れ ば,そ こ で 得 られ た 便 益 や 損 失 の 指 標 は 普 遍 性

の な い 値 と も考 え られ る た め,あ る 施 策 の 是 非 を

判 断 す る材 料 と して の 妥 当 性 に疑 問 が 生 じて し ま

う.

ス コ ー プ 問 題 に 関 す る 論 争 は,Kahneman(1986)

に始 ま る.彼 は,カ ナ ダ の オ ン タ リオ 州 にお け る

全 て の 湖 の 水 質 を 改 善 す る こ と に 対 す るWTPが,

同 じ州 の あ る1つ の 湖 の 水 質 改 善 に対 す るWTP

よ りそ れ ほ ど大 き くな い こ と を発 見 し た.そ の後,

ス コ ー プ 問 題 の 存 在 は い く つ か の 文 献 で 指 摘 され

て い る(Kahneman and Knetsch1992,Diamond et al.

1993,Desvousges et al.1993,Schkade and Payne

199 4).こ れ らの研 究 者 は,無 反 応 性 の 存 在 を,仮

想 的 状 況 を設 定 してWTPを 直 接 尋 ね る 方 法(環

境 経 済 学 の 分 野 で は 特 にContingent Valuation

Method:CVM,仮 想 評 価 法 と呼 ば れ る)が 信 頼 で

き な い こ と を 示 す 重 要 な 証 拠 と し て い る(竹 内

1999).米 国 商 務 省(National Oceanic and

Atomospheric Administration:NOAA)が 編 成 し た

委 員 会(NOAAパ ネ ル)は,環 境 破 壊 に 関 す る損

害 賠 償 額 を計 算 す る 際 にCVMを 使 う場 合,ク リ

ア す る の が 望 ま し い と され る 要 件 を ガ イ ドライ ン

と し て ま と め た が,そ の 中 に も ス コ ー プ テ ス トは

含 まれ て い た(Arrow et al.1993).

本 研 究 に お け る ス コー プ テ ス トは,「WTPあ る

い はWTAが,発 生 リス ク の 大 き さ の 違 い に対 応

して 変 化 し て い るか 」 を検 討 す る こ とで あ る.こ

こで もMann-Whitney検 定 を採 用 し,リ ス ク の大

き さ の 異 な る デ ー タ 間 で 分 布 に 差 が あ る か ど う か

を調 べ た.結 果 を表5に 示 す.表5中 の 「帰 無 仮

説 」 の 列 に 示 され て い るS,M,Lの 記 号 は,リ

ス ク の 小,中,大 と い う大 き さ(カ ゼ の 場 合 は1/100,

1/10,1/2,ガ ン の 場 合 は1/1,000万,1/100万,1/10

万)を 示 し て お り,例 え ば 表5の1行 目(S=M)

で は カ ゼ に 関 す る1/100の リ ス ク に対 す るWTAに

つ い て,1/100の リス ク に対 す る デ ー タ の 分 布 と

1/10の リ ス ク に対 す る デ ー タ の 分 布 と の 間 に 差 が

な い と い う仮 説 を 検 定 して い る.

表5Mann-Whitney検 定 の 結 果(ス コ ー プ テ ス ト)

検定の結果,カ ゼのケース6個 中3個 について

「分布に差がない」という帰無仮説が5%水 準で棄

却され,ス コープテス トをクリアした.ま た,ガ

ンのケースでは6個 中2個 で帰無仮説を5%水 準

で棄却 した.カ ゼのケースでスコープテス トをク

リアしたのはWTP,WTA,CWTPと もM=Lと い

う帰無仮説のものであった.一 方,ガ ンのケース

でスコープテス トをクリア したのはWTP,WTA

のS=Mと いう帰無仮説のものであった.つ ま りカ

ゼの場合は中程度のリスクと大きな リスクの差に

ついて,ガ ンの場合は小さな リスクと中程度の リ

スクの差 について,回 答者がその違いを明確 に認

識 したと言える.

カゼの場合は リスクが小さくなると差が認識で

きず,ガ ンの場合はリスクが大きくなると差が認

識できないという結果についての解釈 としては,

事象(評 価対象:こ こでは発ガン死あるいはカゼ

にかかるということ)が 深刻であるかどうかによ

って,人 々が リスクの大きさの認識について異な

った判断を下 しているということが考え られる.

すなわち,ガ ンの場合は 「事象が深刻であるため

にリスクが一定以上大きくなると結果 としての違

いはない」ものと認識 し,カ ゼの場合は 「事象が

それほど深刻でないためにリスクが一定以上小さ

くなると結果 としての違いはない」 ものとして認

識 したのである.

次に,リ スクの大きさと回答結果との関係 を調

べるため,リ スクの大きさの変化に応 じて,回 答

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Page 7: WTPとWTAの 環境政策への適 用可能性:乖離要因の検討とス コー …

公共選択の研 究 第34号2000年

図5変 動係 数(カ ゼWTA)

図6変 動 係数(ガ ンWTA)

図7変 動係数(カ ゼWTP)

図8変 動 係数(ガ ンWTP)

図9変 動係数(カ ゼCWTP)

図10変 動係数(ガ ンCWTP)

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論文:WTPとWTAの 環境政策へ の適用可能性:乖 離要 因の検討 とスコー プテス ト

のばらつきがどのように変化 しているかを検討し

た.図5か ら図10ま でに,各 リスクのWTA,WTP,

CWTPに ついて変動係数 を計算 したものを示す.

図よ り,ガ ンのWTA,カ ゼのCWTP以 外の4

つでは,リ スクが大きくなるほど変動係数が大き

くなっていることが分かる.取 引対象となるリス

クが大きくなるほど平均値まわ りのちらば りが大

きいということは,リ スクが大きいほど人々の評

価が収束せず意見の一致 をみない状況が増す こと

を意味する.ま たサンプルがほぼ均一であること

か ら考えると,リ スクが大きいほど個人の無差別

曲線はより不安定 になる,と も言えるだろう6).

もしこうした傾向が一般的に見 られるならば,リ

スクが大きくなるほど,費 用便益分析を使って合

意形成を図ることは困難 になる.

6.ま と め

これまでの分析の結果か ら,総 じて,WTAは 所

得効果 の影 響を除去 した場合 のWTP,つ ま り

CWTPを 上回ってお り,WTAとWTPに は,無 視

できないような乖離が見 られた.ま た賦存効果 に

よる説明を裏付けるような証拠を得ることができ

た.潜 在的にパ レー ト改善をもたらす という観点

から,WTAとWTPが 乖離するときは,補 償変分

を用いるべきだという主張を受け入れるな らば,

よい変化に対してはWTPを 用い,悪 い変化に対

してはWTAを 用 いるべきだということになる.

もしそうだとすると,こ れまでの分析から,悪 い

変化に対 しては,そ れを大きく評価 し,よ い変化

に対しては,そ れを小さく評価す るという結果が

得 られているため,現 状をあまり変えないという

政策バイアスがかか りそうである.た だし,こ の

ような傾向の主な原因が賦存効果 によるものだと

すれば,そ れは人間の本性に根差す心理的な要因

によるものだといえる7).

またわれわれは,ス コープテス トを行い,リ ス

クの認識可能性 について考察を加えた.ス コープ

テス トの結果は,評 価対象が些細なものである場

合には小さな リスク領域の変化が,深 刻な もので

ある場合には大きな リスク領域の変化が,「 さし

て変わ らないもの」 として認識されることを示 し

ていた.さ らに変動係数の分析から,リ スクが大

きくなるほど,そ れに対する評価のばらつきが大

きいというファクト ・ファインディングが得 られ

た.こ れ らの ことは,リ スクの事象そのものの性

格や,リ スクが大きい場合 の評価の不安 定さが

WTPやWTAに 与える影響を示唆している.し た

がってWTPやWTAを 環境政策に役立てるために

は,リ スクに関する適切な認識を人々に促すよ う

な情報提供のあり方や,WTPやWTAの 不安定さ

が許容できるような リスクの種類や幅の解明,と

いった課題 について十分に検討す る必要があると

言えよう.

参考文献

Arrow, K., Solow, R., Portney, P. R., Learner, E. E., Radner,

R. and Schuman, H. (1993) •gReport of NOAA panel on

contingent valuation•h, 58 Federal Register 4601

(January 15).

Bishop, R. C. and Heberline, T. A. (1979) •gMeasuring

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biased?•h, American Journal of Agricultural Economics

61, 926-930.

Brookshire, D. S., Randall, A. and Stoll, J. R. (1980)

•g Valuing increments and decrements in natural

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New York: North Holland.

Diamond, P. A., Hausman, J. A., Leonard, G. K. and

Denning, M. A. (1993) •gDoes contingent valuation

6)岡(1998:1143 -167)は ,WTPとWTAの 乖離 原 因を 「無差 別

曲線 の シフ ト」 と して ま とめ,そ れ を 「消費者 の主観 的評価 が

動揺 してい る」状 態であ ると説明 して いる.7)仮 想 的な財 の評価 にお けるWTPとWTAの 乖離 の原 因 として

は,例 え ば高速道 路や原 子力発 電所 の近 くに実 際 に住 んで いる

な ど,実 体 験の違 いな どの属性 が影 響 を与え ると も考 え られ る.

こうした点 につ いては今後 の検 討課題 と した い.

67

Page 9: WTPとWTAの 環境政策への適 用可能性:乖離要因の検討とス コー …

公共選択 の研究 第34号2000年

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Hausman, J. A., ed., Contingent valuation: A critical

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between WTP and WTA: Endowment effect,

substitutability, or imprecise preference?•h, Economics

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respond to contingent valuation questions: a verbal

protocol analysis of willingness to pay for an

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竹内憲 司 (1999)『 環 境評価 の政策 利用』勁 草書房.

(つか は ら や すひ ろ/た け うち けん じ)

Application of WTP and WTA Estimates to

Environmental Policy: Examination of the

Disparity and Scope Test

Yasuhiro Tsukahara and Kenji Takeuchi

Economic justification of environmental policy

needs some estimation of benefits and cost brought by

the policy. Because environmental resources are

rarely transacted within a market system, economists

have developed methods to elicit people's

appreciation for the environment. One of such method

is contingent valuation method, which asks how much

people would pay for environmental improvement (or need to accept environmental degradation).

The aim of this article is twofold. First, it examines

two major explanations for the disparity between

WTP (willingness to pay) and WTA (willingness to

accept) observed in contingent valuation survey:

Haneman's (1991) substitutability argument, and the

endowment effect proposed by Tversky and

Kahneman (1991). We used the Morrison's approach

that compensates WTA values to minimize the income

effect. Our result supports existence of the

endowment effect.

Second, the paper tested the scope insensitivity.

Scope insensitivity is the phenomenon that the WTP

for larger goods is not significantly larger than WTP

for smaller goods. Many researchers regard the issue

of the scope as the evidence of shortcomings of the

contingent valuation method, but did not fully explain

when it can occur. In this study, scope insensitivity

was found in some regions of risks, and these regions

were different between the endpoint of the risks. This

suggests that the scope insensitivity can be affected

by the endpoints of the risk. We also found that

coefficient of variation was larger when risk was

larger. These phenomena show the importance of risk

communication by public administrator to assess

social benefit and costs adequately.

68

Page 10: WTPとWTAの 環境政策への適 用可能性:乖離要因の検討とス コー …

論文:WTPとWTAの 環境政策への適用可能性:乖 離要因の検討 とス コー プテス ト

付録1質 問票(カ ゼ リスク1/100,ガ ン リス ク1/100万 の ケ ース:WTA)

WTAあ

注 意:こ れ か ら答 えて も らう質 問は,正 解 の ある 問題 で は あ りませ ん の

で,人 と相談 せ ず に,自 分 の思 っ た とお りに答 えて 下 さ い.

質問1

あなたの家の近くに高速道路が建設されることが決まり,こ のたび完成しました.た だ

し,こ の道路を使用するかしないかは,地 元の住民との話し合いで1ヶ 月ごとに決めるこ

とになっています.道 路の使用を許可しない場合には排気ガスが出ないため,そ れが原因

で風邪(か ぜ)に かかる人は0人 ですが,こ の道路の使用を許可すると,排 気ガスが原因

で1ヶ 月あたり100人 に1人 の割合で風邪にかかることがわかっています.も しこの道

路の使用を1ヶ 月間許可するとしたら,そ の代わ りに,あ なた1人 につき少なくとも最低

いくら支払ってもらいたいと思いますか.

回答()円

質問2

あなたの家の近くに原子力発電所(原 発)が 建設されることが決まり,こ のたび完成し

ました.た だし,こ の原発を使用するかしないかは,地 元の住民との話し合いで1ヶ 月ご

とに決めることになっています.原 発の使用を許可しない場合には放射線が出ないため,

それが原因で甲状腺ガンにかかり死亡する人は0人 ですが,この原発の使用を許可すると,

放射線の影響で1ヶ 月あた り100万 人に1人(60年 生きるとして,人 口1000人 あ

たり7.2人)の 割合で甲状腺ガンにかかり死亡することがわかっています.も しこの原

発の使用を1ヶ 月間許可するとしたら,そ の代わりに,あ なた1人 につき少なくとも最低

いくら支払ってもらいたいと思いますか.

回答()円

1998年12月16日(水)(公 共 経済 学)

短 大 経済 科 年 組 番 氏名 【 】

69

Page 11: WTPとWTAの 環境政策への適 用可能性:乖離要因の検討とス コー …

公共選択 の研究 第34号2000年

質問票(カ ゼ リスク1/100,ガ ンリスク1/100万 のケース:WTP)

WTPあ

注意:こ れか ら答 えても らう質 問は,正 解 のある問題で はあ りませんの

で,人 と相談せずに,自 分の思ったとお りに答えて下 さい.

質問1

あなたの家の近くに高速道路が建設されることが決まり,こ のたび完成しました.た だ

し,こ の道路を使用するかしないかは,地 元の住民との話 し合いで1ヶ 月ごとに決めるこ

とになっています.道 路の使用を許可しない場合には排気ガスが出ないため,そ れが原因

で風邪(か ぜ)に かかる人は0人 ですが,こ の道路の使用を許可すると,排 気ガスが原因

で1ヶ 月あたり100人 に1人 の割合で風邪にかかることがわかっています.も しこの道

路の使用を1ヶ 月間禁止することができるならば,そ のために、あなた1人 につき、最高

いくらまでなら支払ってもよいと考えますか.

回答()円

質問2

あなたの家の近くに原子力発電所(原 発)が 建設されることが決まり,こ のたび完成し

ました.た だし,こ の原発を使用するかしないかは,地 元の住民との話し合いで1ヶ 月ご

とに決めることになっています.原 発の使用を許可しない場合には放射線が出ないため,

それが原因で甲状腺ガンにかかり死亡する人は0人 ですが,この原発の使用を許可すると,

放射線の影響で1ヶ 月あたり100万 人に1人(60年 生きるとして,人 口1000人 あ

たり7.2人)の 割合で甲状腺ガンにかかり死亡することがわかっています.も しこの原

発の使用を1ヶ 月間禁止することができるとするならば,そ のために、あなた1人 につき、

最高いくらまでなら支払ってもよいと考えますか.

回答()円

1998年12月16日(水)経 済 学

短 大経 済 科1年 組 番 氏 名 【 】

70

Page 12: WTPとWTAの 環境政策への適 用可能性:乖離要因の検討とス コー …

論文:WTPとWTAの 環境政策への適用可能性:乖 離要因の検討 とスコープテス ト

質問票(カ ゼ リスク1/100,ガ ン リスク1/100万 のケース:CWTP)

cWTPあ

注意:こ れか ら答 えて も らう質 問は,正 解 のある問題で はあ りませ んの

で,人 と相談せず に,自 分の思 った とお りに答 えて下 さい.

質問1

あなたの家の近くに高速道路が建設されることが決まり,こ のたび完成しました.建 設

を許可する段階で,地 元の住民に対し1人 につき1ヶ 月あた り5,000円 が毎月支払わ

れることが決まっており,こ の高速道路を使用してもしなくてもこの金額は永久に支払わ

れます.

ただし,こ の道路を使用するかしないかは,地 元の住民との話し合いで1ヶ 月ごとに決

めることになっています.も し,道路の使用を許可しない場合には排気ガスが出ないため,

それが原因で風邪(か ぜ)に かかる人は0人 ですが,こ の道路の使用を許可すると,排 気

ガスが原因で1ヶ 月あたり100人 に1人 の割合で風邪にかかることがわかっています.

もしこの道路の使用を1ヶ 月間禁止することができるならば,そ のために、あなた1人 に

つき、最高いくらまでなら支払ってもよいと考えますか.

回答()円

質問2

あなたの家の近くに原子力発電所(原 発)が 建設されることが決まり,こ のたび完成し

ました.建 設を許可する段階で,地 元の住民に対し1人 につき1ヶ 月あたり39,000

円が毎月支払われることが決まっており,こ の原発を使用してもしなくてもこの金額は永

久に支払われます.

ただし,こ の原発を使用するかしないかは,地 元の住民との話 し合いで1ヶ 月ごとに決

めることになっています.も し,原 発の使用を許可しない場合には放射線が出ないため,

それが原因で甲状腺ガンにかかり死亡する人は0人 ですが,この原発の使用を許可すると,

放射線の影響で1ヶ 月あたり100万 人に1人(60年 生きるとして,人 口1000人 あ

たり7.2人)の 割合で甲状腺ガンにかかり死亡することがわかっています.も しこの原

発の使用を1ヶ 月間禁止することができるとするならば,そ のために、あなた1人 につき、

最高いくらまでなら支払ってもよいと考えますか.

回答()円

1998年12月16日(水)経 済 学

短 大経 済 科1年 組 番 氏 名 【 】

71