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Quantum ESPRESSO Effective Screening Medium (ESM) Copyright 2008-2020 X-Ability Co., Ltd. チュートリアル 株式会社クロスアビリティ V10.2.4 1 2020106

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Quantum ESPRESSO

Effective Screening Medium (ESM) 法

Copyright 2008-2020 X-Ability Co., Ltd.

チュートリアル

株式会社クロスアビリティ

V10.2.4

1

2020年10月6日

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• 本書はWinmostar V10の使用例を示すチュートリアルです。

• 初めてWinmostar V10をお使いになる方はビギナーズガイドを参照してください。

• 各機能の詳細を調べたい方はユーザマニュアルを参照してください。

• 本書の内容の実習を希望される方は、講習会を受講ください。

– Winmostar導入講習会:基礎編チュートリアルの操作方法のみ紹介します。

– Winmostar基礎講習会:理論的な背景、結果の解釈の解説、基礎編チュートリアルの操作方法、基礎編以外のチュートリアルの一部の操作方法を紹介します。

– 個別講習会:ご希望に応じて講習内容を自由にカスタマイズして頂けます。

• 本書の内容通りに操作が進まない場合は、まずよくある質問を参照してください。

• よくある質問で解決しない場合は、情報の蓄積・管理のため、お問合せフォームに、不具合の再現方法とその時に生成されたファイルを添付しご連絡ください。

• 本書の著作権は株式会社クロスアビリティが有します。株式会社クロスアビリティの許諾なく、いかなる形態での内容のコヒー、複製を禁じます。

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本書について

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• Al単原子膜(スラブ)を電極として扱うESM法計算を実施します。ここではVacuum-slab-metal(bc3)を表す境界条件を使用します(下図)。

• ※QEのESMの実装の都合上、スーパーセルの端が下図の中央に位置します。

• まず印加電圧なしのconstant-N(電子数一定)計算、次に印加電圧0.5 Vのconstant-μ(化学ポテンシャル一定)計算を実施する。

• その後、slab-仮想的な電極(metal)間に0.5 Vの電位差が生じていることを確認する。

注意点:

• k点の取り方、バンド数、擬ポテンシャルの種類、カットオフエネルギー、smearing幅は計算結果に影響を与えます。本チュートリアルではすぐに結果を取得できるよう、精度を落とした設定を用います。

• ESM-RISM対応版QEを使用する場合は補足の説明を確認してください。

◆ Quantum ESPRESSOの計算方法及び計算設定内容の詳しい説明は、次の弊社記事をご覧ください。https://qiita.com/xa_member

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概要

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slab metal

constant-N計算印加電圧なし

constant-μ計算印加電圧0.5 V

結果の解析

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• 本機能を用いるためには、Quantum ESPRESSOとCygwinWMのセットアップが必要です。

• https://winmostar.com/jp/installation/インストール方法のWindows用のQuantumESPRESSOとCygwinWMの設定手順に従います。

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動作環境設定

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• 本チュートリアルを実施するためには、追加の擬ポテンシャルファイルが必要です。

• 以下のURLより擬ポテンシャルファイルをダウンロードする。

• https://www.quantum-espresso.org/pseudopotentials/original-qe-pp-library/

• リンク先に表示される周期表の[Al]から[Al.pbe-n-van.UPF]を

• QEのインストールフォルダの下のpseudoフォルダに保存し、Winmostarを再起動する。

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擬ポテンシャルの用意

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1. 固体|結晶ビルダをクリックする。

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I. 結晶ビルダで初期座標の作成

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2. Lattice ConstantsのLengthにおいてa, bを「2.8634」に変更する。

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I. 結晶ビルダで初期座標の作成

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3. 1番目の原子のAtomをCからAlに変更する。そして右下のOKボタンを押す。

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I. 結晶ビルダで初期座標の作成

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4. メインウィンドウで編集|セルを作成/編集をクリックし、V3のzの値を「22.5」に変更する。そしてOKボタンを押す。

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I. 結晶ビルダで初期座標の作成

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5. メインウィンドウで固体|スーパーセルを作成をクリックし、Generate Supercellウィンドウを開く。Generate Supercellウィンドウで、a, bの値を「2」に変更する。最後にOKボタンを押す。

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I. 結晶ビルダで初期座標の作成

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1. ソルバを選択メニューでQuantum ESPRESSOを選択し、キーワード設定ボタンをクリックする。

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II. constant-N計算

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1. Reset…ボタンをクリックする。

2. K_POINTSにautomaticを指定し、6 6 1 1 1 0(スペース区切り)と入力する。

3. nosymにチェックを入れる。

4. occupationsをsmearingに変更する。

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II. constant-N計算

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5. ESMタブを選択し、assume_isolated = 'esm'にチェックを入れ、esm_bcをbc3に変更する。

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II. constant-N計算

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6. Pseudo Potentialsタブを選択し、Pseudo Potentialにpbe-n-van.upfを選ぶ。

7. ※「pbe-n-van.upf」が無い場合は、P. 5の手順に従いpseudoファイルをpseudoフォルダに格納しReload pseudo Filesをクリックする。

7. Runをクリックし、ファイル名をal_slab_v0.pwinとして保存する。

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II. constant-N計算

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1. 計算終了後、選択|すべてをグループ選択をクリックする。次に、編集|属性を変更|最適化フラグを変更をクリックする。開いたChange Optimization ...ウィンドウでX, Y, ZcoordinateをすべてFixedに変更し、OKをクリックする。

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III. 印加電圧0.5 Vのconstant-μ計算

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2. 再び (キーワード設定)ボタンを押す。

3. Basicタブてcalculationをrelaxに、ion_dynamicsをbfgsに変更する。

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III. 印加電圧0.5 Vのconstant-μ計算

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3. ESMタブにおいてlfcoptにチェックを入れ、Enter Relative Potential.ボタンを押す。

4. 基準(0.0 V)とする計算の出力ファイルを聞かれるので、デフォルトで選択される先ほどの出力ファイル(al_slab_v0.pwout)を指定する。Enter Relative Potentialダイアログでは「0.5」と入力する。情報ダイアログでははいを押すと、fcp_muに値が入る。

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III. 印加電圧0.5 Vのconstant-μ計算

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※通常に配布されているQuantum ESPRESSOを使用する場合は次のページに進む。

ESM-RISM対応版QEを使用し、RISMを使わずconstant-mu計算を実行する場合は、OptionsタブでUse RISM-enabled QEにチェックを入れる。これによりESM-RISM対応版QEの仕様に合わせてキーワードが設定される。

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III. 印加電圧0.5 Vのconstant-μ計算

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5. 最後に、右下のRunボタンを押し、ファイル名「al_slab_v05.pwin」として保存し計算を開始する。

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III. 印加電圧0.5 Vのconstant-μ計算

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6. 計算終了後、 (アニメーション)|構造最適化/BOMDをクリックする。デフォルトで選ばれるファイルを開くとAnimationウィンドウが開く。ウインドウ下部のColumnを「11」に変更するとフェルミエネルギーの変化がグラフ化される(ウィンドウ上部のリストの11列目がフェルミエネルギー)。 ESM-RISM対応QEの場合は「9」にする。具体的な値を表示するためウィンドウの幅を広げて、fcp_muの値(-0.27863 Ryd= -3.791 eV)の付近にフェルミエネルギーが収束していることを確認する。

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III. 印加電圧0.5 Vのconstant-μ計算

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7. 続けてColumnを「9」に変更し、系全体の電荷の変化の様子も確認する。 ESM-RISM対応QEの場合は「7」にする。確認後、Closeボタンを押す。

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III. 印加電圧0.5 Vのconstant-μ計算

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1. 固体|Quantum ESPRESSO|結果解析|電荷/エネルギー分布 をクリックし、デフォルトで選択されるファイルを開く。TermsにてTot chgとAvg v_hart+v_locにチェックを入れてからDrawボタンを押すと、電荷とポテンシャルの分布がグラフ化される。ここで、z=0(スラブの位置)が中央に来るよう作図されている点に注意されたい。

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IV. ESM計算のチェック

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2. Select another esm1 file and plot differenceにチェックを入れ、1回目の計算の出力ファイル(al_slab_v0_qe_data/wm.esm1)を選択する。Drawを押すと、1回目と2回目の計算の差が表示される。キーワード設定時に入力したRelative Potentialの値の程度に、スラブとESMの位置(z=11.25)の間にエネルギー差が生じていることを確認する。

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IV. ESM計算のチェック

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• 各機能の詳細を調べたい方はユーザマニュアルを参照してください。

• 本書の内容の実習を希望される方は、Winmostar導入講習会、Winmostar基礎講習会、または個別講習会の受講をご検討ください。(詳細はP.2)

• 本書の内容通りに操作が進まない場合は、まずよくある質問を参照してください。

• よくある質問で解決しない場合は、情報の蓄積・管理のため、お問合せフォームに、不具合の再現方法とその時に生成されたファイルを添付しご連絡ください。

以上

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最後に

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