UC-MILLによる形状制御技術 - Hitachi小特集 圧延設備...

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小特集 圧延設備 U.D.C.る21.771.237.01る.3.0る4:る81. UC-MILLによる形状制御技術 UniversalCrown ControIMill(UC-Milりfor Higher Shape ControITechnologY エレクトロニクスを主体とする先端産業指向の産業界の発展に伴い,薄板材 圧延製品の分野では高品質化が強く要望され,平たん度,光沢,板厚精度及び 強度の向上と薄厚化が指向されている。これに対応する圧延機として,日立製 作所はHC-MILLを開発した。その後,更に形状制御機能を向上させたUC【MILL を開発し,鉄鋼,非鉄を問わず圧延業界の顧客から好評を得てきた。 引き続いて広幅・硬質・薄物材の複合形状修正と光沢性向上のため,作業ロ ールの径′j、化に努め,センジマミル並みの作業ロールを備えたUC4-MILLを開 発した。これにより,多岐にわたる顧客ニーズに対応可能とするUC-MILLのラ インアップが完成された。 n 日立製作所は板材圧延分野で,板厚精度の向上のための油 圧圧下装置"HYROP”の開発を行い,更に形状,板クラウン の向上と生産性,省エネルギーなどを目的としてHC-MILL (HighCrownControIMill)を開発し,冷問圧延,熱間圧延 の分野で鉄鋼圧延だけでなく非鉄圧延の分野でも質用され, 実績を挙げてきた。 他方,近年の産業界はエレクトロニクス関連の発展が著し い。これに対応して板材の圧延分野でも,軽量化,高品質化, 高生産性のため,より幅広く,より薄く,より硬く,表面光 沢が良好で,かつ平たん度の良い材料が圧延できる圧延機に 対するニーズが一段と強くなってきている。 UC-MILL(UniversalCrown ControIMill)は,このよう なニーズに対応するために開発されたもので,HC-MILLより も作業ロール径の小径化を可能とするとともに,形状制御手 段を強化して,はん(汎)用性のある形状制御を可能としたも のである。すなわち,中間ロールベンダ,中間ロールシフト 及び作業ロールベンダの3種の形状制御手段によって,′ト径 の作業ロールを用いながらも高精度の形状制御を可能とする もので,その構造及び特徴は表1に示すとおりである。 以下,UC-MILL発展の必要性,形状制御能力,実圧延例, 実機への適応状況,今後の展開などについて述べる。 8 UC-MlJ+の発展 2.1UC-MILL発展の必要性 UC-MILL発展の背景となった応用分野は,大略二つに区分 される。一つは普通鋼を主体とする大量生産設備用のもので, 他の一つはステンレス鋼,ICリードフレーム材などを主体と する硬質・高級材生産設備用のものである。前者に関しては 既に多〈の説明がなされている1)ので後者について主に説明を 小林一雄* 小山憲一* 安田健一** 中島正明*** 助z〟0 肋∂のⅥSゐ才 月七乃'言c如月bユⅦ〝㍑ ∬β〝'オcぁざilz5〟ゐ 肋5αα々g∧b材∠〃∽ 表l UC-MILLの構造と特徴 UC-MルLは小径作業日ールを持ち, 中間ロールベンダ,中間ロールシフト及び作業ロールベンダの3制御手 段で形状制御を行う。 ミル名称 HC-MILL UC-MILL ミル形式 6 6J設 形状制御 一芸 (1)中間ロールシフト〃Cお (2)作業ロールベンダf、Il′ 1)中間ロールベンダflノ 2)中間ロールシフト【ノ〔二ざ 3)作業ロールベンダF川・ く=> 〟C∂(-) く=> 凡・ 凡′ 爪† 凡・ F) <=三> UC粥-) く=::> n 爪l・ lfl 注:略語説明 HC-M】L+(High Crown ControIMilり UC-MILし(UniversalCrownControIM…) 〃C∂(中間ロールシフト) UC∂-(中間ロールシフト) 凡7(作業ロールペンディングカ) f「J(中間ロールペンディングカ) する。 ステンレス鋼などの圧延にはいわゆる多段圧延機が用いら れており,大きな役割を果たしてきた。しかし近年,形状, 表面品質共により高い品質への要望が強まり,多段圧延機で はこの両者を同時に満足することは困難になってきた。 *日試製作所日立工場 **日立製作所機械研究所工学障卜 ***日立製作所大みか工場 81

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小特集 圧延設備 U.D.C.る21.771.237.01る.3.0る4:る81.532.2

UC-MILLによる形状制御技術UniversalCrown ControIMill(UC-Milりfor Higher Shape ControITechnologY

エレクトロニクスを主体とする先端産業指向の産業界の発展に伴い,薄板材

圧延製品の分野では高品質化が強く要望され,平たん度,光沢,板厚精度及び

強度の向上と薄厚化が指向されている。これに対応する圧延機として,日立製

作所はHC-MILLを開発した。その後,更に形状制御機能を向上させたUC【MILL

を開発し,鉄鋼,非鉄を問わず圧延業界の顧客から好評を得てきた。

引き続いて広幅・硬質・薄物材の複合形状修正と光沢性向上のため,作業ロ

ールの径′j、化に努め,センジマミル並みの作業ロールを備えたUC4-MILLを開

発した。これにより,多岐にわたる顧客ニーズに対応可能とするUC-MILLのラ

インアップが完成された。

n 緒 言

日立製作所は板材圧延分野で,板厚精度の向上のための油

圧圧下装置"HYROP”の開発を行い,更に形状,板クラウン

の向上と生産性,省エネルギーなどを目的としてHC-MILL

(HighCrownControIMill)を開発し,冷問圧延,熱間圧延

の分野で鉄鋼圧延だけでなく非鉄圧延の分野でも質用され,

実績を挙げてきた。

他方,近年の産業界はエレクトロニクス関連の発展が著し

い。これに対応して板材の圧延分野でも,軽量化,高品質化,

高生産性のため,より幅広く,より薄く,より硬く,表面光

沢が良好で,かつ平たん度の良い材料が圧延できる圧延機に

対するニーズが一段と強くなってきている。

UC-MILL(UniversalCrown ControIMill)は,このよう

なニーズに対応するために開発されたもので,HC-MILLより

も作業ロール径の小径化を可能とするとともに,形状制御手

段を強化して,はん(汎)用性のある形状制御を可能としたも

のである。すなわち,中間ロールベンダ,中間ロールシフト

及び作業ロールベンダの3種の形状制御手段によって,′ト径

の作業ロールを用いながらも高精度の形状制御を可能とする

もので,その構造及び特徴は表1に示すとおりである。

以下,UC-MILL発展の必要性,形状制御能力,実圧延例,

実機への適応状況,今後の展開などについて述べる。

8 UC-MlJ+の発展

2.1UC-MILL発展の必要性

UC-MILL発展の背景となった応用分野は,大略二つに区分

される。一つは普通鋼を主体とする大量生産設備用のもので,

他の一つはステンレス鋼,ICリードフレーム材などを主体と

する硬質・高級材生産設備用のものである。前者に関しては

既に多〈の説明がなされている1)ので後者について主に説明を

小林一雄*

小山憲一*

安田健一**

中島正明***

助z〟0 肋∂のⅥSゐ才

月七乃'言c如月bユⅦ〝㍑

∬β〝'オcぁざilz5〟ゐ

肋5αα々g∧b材∠〃∽

表l UC-MILLの構造と特徴 UC-MルLは小径作業日ールを持ち,

中間ロールベンダ,中間ロールシフト及び作業ロールベンダの3制御手

段で形状制御を行う。

ミル名称 HC-MILL UC-MILL

ミル形式 6 段 ミ ル 6J設 ミ ル

形状制御

手 一芸

(1)中間ロールシフト〃Cお

(2)作業ロールベンダf、Il′

1)中間ロールベンダflノ

2)中間ロールシフト【ノ〔二ざ3)作業ロールベンダF川・

く=>

〟C∂(-)

く=>

造 凡・ 凡′

爪†

凡・

F)

<=三>

UC粥-)

く=::>

n

爪l・

lfl

注:略語説明 HC-M】L+(High Crown ControIMilり

UC-MILし(UniversalCrownControIM…)

〃C∂(中間ロールシフト)

UC∂-(中間ロールシフト)

凡7(作業ロールペンディングカ)

f「J(中間ロールペンディングカ)

する。

ステンレス鋼などの圧延にはいわゆる多段圧延機が用いら

れており,大きな役割を果たしてきた。しかし近年,形状,

表面品質共により高い品質への要望が強まり,多段圧延機で

はこの両者を同時に満足することは困難になってきた。

*日試製作所日立工場 **日立製作所機械研究所工学障卜 ***日立製作所大みか工場

81

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640 日立評論 VOL.70 No.6(1988-6)

すなわち,光沢の向上や硬質材圧延のために必要な最適な

小径の作業ロールを備えていながら,形状制御能力の優れた

圧延機に対するニーズが大きく,それに対する日立製作所の

対応策をまとめると図1のように整理される。

2.2 UC-MILLの機能

HC-MILLが導入されて,その形状制御能力だけでなく高圧

下圧延による高生産性,小径作業ロールによる省エネルギー,

エッジドロップの低減などが実機で実証されるにつれて,更

に作業ロ「ル径を小さくすることの効果が期待された。

そこで開発されたのがUC-MILLである(最近は構造,ロー

ル径により数字を付けて区分しているが,UC-MILLの原理を

用いるものを捻称してUC-MILLとする)。これは作業ロール

のいっそうの小径化を行うとともに,中間ロールベンダ機能

の導入によって形状制御機能を増強させたものである。すな

わち,径の大きい中間ロールベンダは全体的な中伸び又は耳

伸びを修正する機能を持ち,径の小さい作業ロールベンダは

根端部に効果を及ぼし,クォータバックル(W形板厚分布)や

中伸び・耳伸び両立状態(M形根厚分布)の防止に機能する。

なお,中間ロールシフトは,その制御量の拡大だけでなく根

端近傍での板厚の急激な減少,すなわちエッジドロップの改

善に効果を発揮する。これらの一例を解析プログラムによっ

て求めたものを図2によって示す。これはICリードフレーム

材の仕上圧延を想定して行われたもので,ハッチングによっ

て示すHC-MILLの制御範囲に比べてはるかに制御範囲が広

Ⅳ:板幅

0.90×Ⅳ

作業

82

ヒ:

l司

【コ

ロロ

産性

形 状 の 向 上

硬質,薄物圧延

エッジドロップ減少

光沢向上と縦じま防止

チャタマーク防止

高 速 圧 延

サーマルクラウン

振 動 防 止

高 圧

広 幅 圧 延

組 替 え 迅 速 化

対 応 策

高次形状制御機能

中間ロールベンダ

中間ロールシフト

作業ロールベンダ

一体補強ロール

小径(最適)作業ロール

大径ロール駆動(中間ロール)

ベアリングなL

作業ロール

図l硬質材用冷間圧延機のニーズ 形状,光沢などの品質を向上

Lながら高生産性を確保するためには,小径作業ロールのUC-MルLが

二一ズに正に適合している。

0.45×W +ど~/10■5

300

150

ル+制御範囲

/

UCざ=+50

l

≠ 一r′

誓u屯ユ:

加ぞ=〃c諾OH。_M

\uc♂=0

l

、、二三;≡:ヒニⅠ=‾59kN'加q=加一肌5(ハッチング部)

〃c

一..0

. l(Fw=14.7kN,Fl=-59k

t

ヽl l l

-75-60-30

/

/-150

(Fw=0,Fl=78kN)

、弓3060 75加仰

(Fw=14.7kN,Fl=0)

中間ロールベンダ効果

ロール仕様:¢80・¢190・

口一ルベンダ効果

(Fw=14,7kN,

-300

板 幅:550mm

人 側 板 厚:0.25mm

F戸78kN) 出 側 板 厚:0・20mm

圧 延 荷 重:660kN(67

ロールクラウン:フラット

N)

¢460×650J

tf)

図2 UC-MlJ+の形状制御平面 UC-MlJ+の形状制御平面を板幅端∠k-一,クオーター部dE.∫の形状制御平面で評価す

ると,HC-MlJ+に比べてはるかに広い面積を持つだけでなく原点をも通り,平たんな圧延が可能なことを示している。

なお,450のこう配は放物線状の変化を意味する。

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がっていることと,中間ロールベンダによる凸から凹への二

次曲線的な制御機能,作業ロールベンダによる板端部形状修

正機能を示すとともに,縦軸と横軸の交点,すなわち加e=0,

∠k.~=0のデッドフラット圧延が可能なことを示唆してい

る。

また,社内の実験機による実圧延結果を図3,4に示す。

図3から前述のUC-MILLによる形状制御能力範囲の広いこ

とが分かるとともに,図4によって正にデッドフラット圧延

が実現できることを実証している。

田 UC-MILLの形状制御システム

3.1システム構成

UC-MILLは前述のように3種類の形状修正機構(作業ロー

ルベンダ,中間ロールベンダ及び中間ロールシフト)を持って

おり,形状制御の自由度が高い。一方,操作すべき機構が増

えたことは,手動による操作が複雑になるという側面もあー),

自動形状制御システムの重要性もまた大きい。このため新た

に自動形状制御システムを開発し,社内実験機に設置した。

図5に示すように,圧延機の出側に設置された形状検出器に

よって,圧延材の幅方向張力分布が測定される。形状認識装

置は得られた張力分布のパターンを,時間軸に沿って3次元

的に表示するもので,形状の時間的変化を容易に観察できる。

次にメインの計算機では,この張力分布パターンを定められ

た定義に従って定量化し,数式モデルを用いて各制御量を決

11.2

(=)

7・〝吋

3・7叫

{三(Zヱ一恥入て上丁巳淋亡

-1 -0.5

叶』0。.5

50050

ー1 -0.5 500

急しゅん度%

UC【MILLによる形状制御技術 641

定する。決定された制御呈は形状操作盤に出力され,作業ロ

ールペンディングカグw,中間ロールペンディングカ凡,中間

ロール位置♂の各制御が行われる。これはいわゆるフィードバ

ックループであるが、本計算機は当然のことながら,圧延開

始前のプリセット値を計算するためのセットアップ機能をも

持っている。

3.2 数式モデル

数式モデルは,圧延荷重,板幅,ペンディングカなどの庄

急しゅん度(%)

-1 ー0.5 0 0,5

板幅:550mm

ロール仕様圧 延 機

入・出板厚

圧延荷重

¢80・¢190・¢460×650J

SUS430

0,21・0.17mm

784kN(80tf)

Fll・=7,4kN(0.75tf)

fll=5.9kN(0.6tf)UC∂l=-2mm

図4 デッドフラット圧延例 板幅端をトリミング除去すると,急

しゅん度0.1%以下の極めて平たんな板が実験機によっても実現可能なこ

とを示している。

1-1-0.5

0

1-1-0.5

1-1 -0.5

1-1-0.5

50

500

500

叶LO。.5

1-1 -0.5

1-1-0,5

1+1 -0.5

500

500

500

-1 -0.50 0.5

l 板幅

人側形状

急しゅん度α=与×100%

「一一1

U 18.6 38.2

(1.9〉 (3.9)

中間ロールベンダFJ(kN)(tり

注:口‾ル仕様紬86・¢190・¢460),板幅(550mm),板厚〔素材0・5mm(軟鋼)〕人側0.20mm 出側0.16mm,UCざ(-10mm)

図3 UC-Mル+による形状制御 ∪…〟+Lによる実圧延の結果,平たん形状,単純な中伸び,端伸びだけでなく,W形及びM形の複合形状を

発生させ得る。

83

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642 日立評論 VOL.了O No.6(1988-6)

UCざ

Fl

FⅥ「

形状

制御盤

群分

⊂コ

[コ

胃℡

手動

操作盤

ロギングタイプライタ

ASR

]C-MlJ+

、 _

形状検出センサ

操作デスク

⊂J⊂J⊂J

[ ]形状制御装置

3次元形状

表示装置

形状認識

装置

[:ニコ

[二=コ

⊂==l

形状検出

用変換器

]形状検出

装置

注:略語説明 ASR(AutomaticSendand Receiver)

図5 形状制御システム構成 形状制御システムは板幅方向の張力

分布測定から形状分布を得,それらをマトリックス演算してアクチュエ

ータ(F、.いh,UC∂)を作動させてフィードバック制御を行う。

延条件と,その際の板形状の関係を表す式で,形状制御シス

テムの中核をなすものである。図6に数式モデルの構成を示

すが,大き〈分けて,基本モデルとその補正を行う補正モデ

ルから成る。基本モデルは次式で表される。

C

G

G卜ここで,Cg,Cヴ,C乃は形状パターンを表すパラメータで,図2

の∠ke,∠k。と同様な考え方で定めたものである。ただし,よ

り複雑な形状を表現するために,代表点をもう1点追加し,

3種類のパラメータで一つのパターンを表現するようにした。

次にんメ2 =‥=は,中間ロール位置乙忙♂,圧延荷重P,板

幅βの関数で,これらの二次式で表す。

上式は解析プログラムを用いて種々の圧延条件での形状パ

ターンを計算し,それから定まる形状パラメータと圧延条件

の関係を回帰化して求める。これにより,各制御量の形状パ

ターンに及ぼす定性的な特性を得る。

補正モデルでは,上式の定量的な補正及びロールのサーマ

ルクラウンや圧延前の板クラウンによる影響の補正を行う。

これらの補正によって,実用上十分なモデル精度を達成する。

更に,適応修正モデルは実績データによる学習機能を持ち,

モデルのいっそうの高精度化に貢献する。

84

圧 延 条 件

基本モデル

肘芸三ん〉

凡n

l

√〃

J刈

「l.

1

1lll

「卜人側板クラウンの

補正モデル

補正係数:γ

適応修正モデル

ロールサーマル

クラウンの予測

モデル

形状パラメータ

C¶ Cq Cp

′句.仙

.‰

咄準蜂蜜

/

ヽヽ

ヽ.

0 端 ふ ズp

中央 (0・538)(0・8)(0・906)

板幅位置

補正モデル

注:γ(定量的補正のための係数)

図6 数式モデルの構成 数式モデルは基本式とそれを補助する人

側板クラウン補正,サーマルクラウン補正などから成り,実用性の向上

を図っている。

3.3 形状制御システムの効果

圧延前に各制御量の最適値を求めるセットアップモデルと

しては,左の式をそのまま用いる。左の式のダw,ダl,乙JC♂に目標

形状を代入し,圧延荷重や板幅は圧延スケジュールから別途

与え,ダw,耳,のについて解けばよい。ただし,代数的に解く

のは困難なため,山登り探索法などの数値的解法が採られる。

一方,フィードバック制御用モデルは,左の式の微分形とする。

これらによr),実験ミルでフィードバック形状制御実験を

行った結果の一例を図7に示す。制御開始と同時に,形状パ

ラメータ(ここではCβ,Cqの2種だけ制御対象とした。)が0に

近づいてゆき,形状制御の効果を発揮している。

巴 UC-MlJ+の実機への適用

このようなメリットが評価され,UC-MILLは既に26プラン

トの受注を得るに至った。その内訳は,

大形タンデムミル最終スタンド:9プラント

大形可逆ミル:4プラント

電子部品材用小形可逆ミル:6プラント

銅,銅合金用小形可逆ミル:4プラント

ステンレス鋼用小形可逆ミル:3プラント

(注:ここでは最大板幅が1,200mm以上のものを大形ミル

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〕C-MtLLによる形状制御技術 643

とし,1,200mm未満のものを小形ミルとした。)

既に19基は稼動中であり,その高度な形状制御能力を発揮

している。

形状制御システムに関しては,HC-MILL,UC-MILL合わ

せてこれまでに10プラントが稼動中で,このうち4プラント

がUC-MILLを対象としたものである。更に,現在3プラント

のシステムを鋭意製作中である。

実機冷間タンデムミルでの形状制御システムの採用効果を

国8に示す。これはやや中伸びの圧延を目指したものである

が,システムの採用によって急しゅん度の測定点が0点側へ

移動していることがよく分かる。

向 UC-MlJLの展開

5.1作業ロール径の小径化への展開

日立冷間圧延機の開発は,ある意味では小径化への展開で

ある。時系列的な作業ロール小径化への展開は図9に示すよ

うに従来の4H MILLの世界からHC-MILL,UC-MILLへと

発展した2)。なお,UC2~4-MILLでは,小径の作業ロールを

用いるので中間ロール駆動が採用され,駆動接線力による作

業ロールのパス方向曲がり防止のためのサポート装置を設け

ることによって小径化を可能とした。

手動介入による外乱

制御:入

††

制御:切

型召蟹へ1ヽ小て案蔽

(巨ュ):~U

(∈ユ)≡廿U

血丁

耳.

わ=

∩ウ

甘中伸び

凸耳伸び

31引

0

31引

78郎0

78郎

3

■1

▼←

(苧≒

(専当

準尺玉定義増撃

トーーー+1mln

図7 フィードバック形状制御実験結果 圧延材:550mm鳳 8.8

mm厚軟鋼板,圧延速度川m/minの例で,形状制御ONで急速に形状が改善されていることが分かる。

1.0

【.n)0

(訳)軸ヾ争+鵬薄紫

1.0

50

(訳)

軸ヾ魯+鵬張潜

自動形状制御システム使用時

コイル数:899

操業上腹伸び圧延を実施

0.5 1.0

中央部急Lゆん度(%)

手動形状制御時

コイル数:76

/1/「\

記号と点数の関係

∵り+

∴ぺ\.リ}

0.5

中央部急しゅん度(%)

1.0

図8 冷間タンデムミルにおける形状制御効果 最終スタンドに

UC-MILLを採用した設備での手動制御に対し,自動制御の効果を示して

いる。

作業ロール径の小径化に際しては,日立製作所のセンジマ

ミルでの経験を踏まえて実機化を展開してきた。すなわち,

ロールバイト部でのオイルピットに起因する圧延材表面の光

沢の低下を防ぐためには小径化が必す(須)であるが,分割ロ

ーラによる荷重支持に起因する圧延材表面のパス方向縦じま

模様の防止が重要である。このために次の配慮を行った。

第一は,サポートローラに加わる圧力の大きさである。UC-

MILLでは圧延荷重のほとんどは一体の補強ロールへ伝達さ

れ,サポートローラへの分力はその10%程度にとどめること

とした。

第二は,サポートローラ表面の斉列性で,最外端のサポー

トローラは分割ローラとするが,それらは十分な剛性を持つ

ビームに装着され,ローラ表面の凹凸が防止され,荷重の均

等化を図っている。このようにして,表2に示すようにサボ

85

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644 日立評論 VOL.70 No.6(1988-6)

年度'65 '70 ,75 180 ■85 ,90

鯉上「-巳淋鞋

0.05

0.10

】帽0.15-∈≡-

楚+く噛

0.20

0.25

0.30

ll

UC-3MルLO-

uc肌+0+uc仙+

UC-1MILL

HC-Mルし

4H MルL

図9 UC-MlJ+開発の歴史 作業ロール径を小さくするための努力

の経過が分かるとともに,UC-4MルLでのはん(汎)用性が実現された。

表2 HC-MILLからUC-MlJLへの展開 HC-MルLに新しい機能

を付加したUC-MlJLは,作業ロールの小径化とともにUCl-Mル+から

UC4-MIL+へと展開Lてきた。そLて対象圧延材と用途により,その最適

な形式が選定される。

丁重延機形式

∠)什,

(月=1,250)0 250375500625mm

mm 用途乃Ⅳ/β 0 0,1 0.2 0.3 0.4 0_5

訂し++lEコl l 普通鋼

ユ?こ土.lb⊂=可⊂=l

ロ1‾干l l

普通鋼

中硬

度材

㍊?∴lI⊂⊂ll亡=コd b

l普通鋼

亡∃ 中・高

□l-F硬度材

㍊?ごこIl⊂⊂lヒコ 中・高

ql:::::b

ll

硬度材

㍊?こl】

中・高亡:⊂lヒコ

l:::::コ

ll::=b

リl

硬度木オ

光沢

必一要木オ

lll巨コ

_「「

q】1ニコ==コ

リl

l

高硬

度材

極薄材

光輝材

注:略語説明 伽(作業ロール径),β(圧延材最大板幅)

86

パッキングベアリング

アイドルローラ

中間ロール

作業ロール

図10 UC4-MILLの構造 パッキングベアリングのジグザグ配置に

よって,作業日ールの小径化を実現した。

ートローラ付きのUC-MILLとしてUC2,3-MILL,更にUC

4-MILLへと展開してきた。

5.2 UC4-MlJ+の開発

UC4-MILLは仇y(作業ロール径)/β(圧延材最大板帽)を

0.07まで可能としたものであるが,その適用上のメリットは

単にロール径が小さなことだけでなく,そのロール径使用範

囲の広さで,その作業ロール径の使用範囲は約2倍に及ぶ点

である。これによって,圧延材ごとに要望される最適なロー

ル径が1台の圧延機によって容易に実現可能となった。

UC4-MILLの構造のポイントは,図10に示すようにパッキ

ングベアリングのジグザグ配置によってアイドルローラの安

定支持を確保したことである。

これによって,すべての圧延条件に対応して,最適な形式

のミルのラインアップが完成した。

凶 結 言

薄板圧延成品の高級化の中にあって,平たん度,光沢など

を高めながら広幅,高硬度材指向が強いニーズの中でUC-

MILLは普通鋼だけでなく特殊鋼の分野にも適用され効果を上

げてきた。

日立製作所は,今後とも,より以上の高硬度化,薄厚化,

広幅化をはじめとして,ユーザーの要望にこたえ,圧延機の

開発に努める考えである。

終わりに,UC-MILLの実機採用に際し,始終,適切な御指

導をいただいた多くのユーザー各位に対し深謝する次第であ

る。

参考文献

1)西:ロールシフト装置を有する圧延機,第92・93回西山記念技

術講座,p.89~125(1983-8)

2)秦,外:高精度形状制御圧延機"UC-MILL'',日立評論,67,

4,287-292(昭60-4)