鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta...

62
鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 1 2013/3作成 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 Version.1.7 幾何学精度 線量精度 照射野精度 照合装置 改定:2013.6.26 2013.9 2014.5 2014.10 2015.9 この書類は、装置のアクセプタンスや校正証書など 治療全般にかかわる履歴書として作成した。ベースラ インデータとして、また受け入れ時の考え方や初期の トラブルなども含め広い範囲でのデータを収載してい る。 施設の受け入れ担当者の狭い範囲での知識な ので非常に偏っており、間違った内容や手順も含ま れている可能性があるが、俯瞰的に装置を知るため には役立つと考えている。

Transcript of 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta...

Page 1: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 1

2013/3作成

鳥取県立厚生病院

Elekta Synergyの初期特性

Version.1.7

幾何学精度

線量精度

照射野精度

照合装置

改定:2013.6.26

2013.9

2014.5

2014.10

2015.9

※この書類は、装置のアクセプタンスや校正証書など治療全般にかかわる履歴書として作成した。ベースラインデータとして、また受け入れ時の考え方や初期のトラブルなども含め広い範囲でのデータを収載している。 施設の受け入れ担当者の狭い範囲での知識なので非常に偏っており、間違った内容や手順も含まれている可能性があるが、俯瞰的に装置を知るためには役立つと考えている。

Page 2: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 2

2013/3作成

目次

幾何学特性

• レーザー精度/垂直性

• スターショット

• メカニカル検証/スプリットフィールド

• メカニカル回転解析と仮説

• 金尺によるアイソセンター距離測定

• ガントリー角度依存性'距離による影響(

• 3Dアイソセンター特性'中心/詳細(

• 幾何学特性のまとめ

線量特性

• Photon TMR 基礎データ

立ち上がり特性

• 線量率依存性'X線(

• ウェッジ特性と係数

• Scp/Sc/Scp

• MLC・Jaw Transmission factor

• 軸外測定'フラットニングフィルター精度解説(

• Electron PDD 基礎データ

立ち上がり特性

• 1日の安定性'X線、電子線(

照射野精度

• X線平坦度・対称性

• 電子線平坦度・対称性

• ガントリー角度による平坦度特性'X線(

• 光照射野と実照射野'IP解析(

• 電子線コーン係数

• レーザーセットアップの問題

照合装置

• 付属のQA機器

• iView EPID特性

• iView スケール板の位置精度

• iView MVアイソセンター測定

• FPD位置再現性

• kV-CTの照合精度

• CTの被ばく線量 2013.9.25

付録

• 搬入からアクセプタンスまで

• ビーム測定と使用制限線量

• 漏えい線量測定結果

MLC特性 フェンステスト

漏れ線量

寝台特性

• しなり剛性・角度、垂直性・寝台係数

• セッティングと寝台位置

2013.4.23

・エレクタ特有の業務形態 2013.8.13

・設置1年で発生した大きな故障 2014.5.15

・故障事例'半年( 2013.6

・モーニングチェック表

・12法校正証書 2014.5.15 更新

・エレクタとバリアンの違い 2014.5.19

Page 3: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3

2013/3作成

幾何学特性

エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

主な原因としては細いガントリーアームの重力特性に起因する。

定在波加速管は短く、強固な逆L型のフレームに搭載されている。L型の腕部分の強度を支えているのは箱型の30×58cm'シーメンス機器(の断面であるのに対し、シナジーでは30×40cmの鉄製の柱である。コリメータヘッド部は14cmのでエレクタの方が薄い。長さもアイソセンターの奥行の違いからシナジーの方が長い。

シナジーのアームは6㎜鋼板が使用してあり、ドラム部周辺は2枚鋼板だがヘッド周囲は1枚鋼板で作られている。

エレクタ装置は当初のドラム型ガントリーと進行波型加速管の組合せは変わっておらず、最新装置でも基本的な幾何学特性は変わらない。

定在波型機器が

「メカニカルアイソセンターの位置にビームアイソセンターを合わせこむ構造」

であるのに対し、

進行波型機器は

「メカニカルアイソセンターとビームアイソセンターを切り分けて考えている。」

ともいえる。XVIという高精度なkV照合装置を得たことにより、機器のダレ特性や照合装置のダレも含め、的確なビームアイソを定義するフレックスマップを得ることに成功している。

Page 4: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 4

2013/3作成

レーザー精度

レーザーの精度は臨床治療・QAともに重要。

エレクタシナジーでは特に「ビームアイソセンターの位置」をレーザー位置にしている。

ビームアイソセンターの位置 とは ガントリー回転・コリメータ回転によって与えられるビームの総重心を示している。 これらアイソセンターに関しては後述するのでそちらを参照願う。

レーザーは竹中オプトニクス製のリモコン式レーザー。

ライナック室には6チャンネル

CH1 : G270度側 十字

CH2 : G90度側 十字

CH3 : 天井 十字

CH6 : Foot側 シングル

サイドに5cm高い位置を示すものとして

CH4/CH5 が存在する。

レーザーは一定時間で消灯するため、 点灯直後での位置精度が重要である。また時間経過とともに変化しないかどうかチェックが必要。

初期特性としては非常に優秀だがFootレーザーだけは良くない。

傾きがあるようだ。→2014/9修正

TOPレーザーは一番近い距離にあるため非常に輝度が高く目立つため常に精度の確認が必要。

今後アイソセンターの定義については変化する可能性もある。

壁のレーザー基準点もいろいろと変わる可能性がある。

アイソセンターレベルではTOP・footともに合致しているが、床面ではズレが見られる。

一度調整をお願いしたがうまく修正できていないようだ。→2014/9修正

Footレーザーに注意。

サイドレーザーは優秀。

Page 5: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 5

2013/3作成

レーザーの垂直性

振り錘を使ってレーザーの垂直性について検証した。この方法は竹中の出荷検査にも使われている。

結果として、Foot側のサジタルレーザーが斜めになっている。

TOPレーザーは合致。両者はアイソセンター面で合致しているが床面では相違が見られる。

壁の横レーザーは両側ともに非常によく合致していた。

■ foot レーザー は曲がっている。

アイソセンター面での使用はOK。

他 TOP、横の垂直性は非常に良い。 2013/3/1

2014/9/23 竹中さんの協力により傾きの修正は終わりました。すべての軸が合うため気持ちの良い状態です。

Page 6: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 6

2013/3作成

ガントリースターショット

C90 C270

交差部分を評価

C270とC90を比較するとややC90で偏りの兆候が見られるがわずかなズレと考えられる。

ガントリー角度によるビームの収束性は問題ないといえる。

装置の評価において、照射における誤差成分がどのようになっているか視覚化・数値化することは重要である。 ガントリースターショットは照射装置のアイソセンター精度を評価する簡便な手法で古くから用いられている。

IPプレートを用い、2cm幅で72度ステップ 各5MUで撮影したものである。

過去の経験からコリメータを反転して撮影することも重要。

もしずれていたら、左のような状態になる。

シーメンス機器だとゼロスリットが可能だが、エレクタでは不可能。

装置によって可能なQAが異なるということ。

この手法だと0.3㎜程度のズレでも星印が見えるのではと考えている。

2012.10 Mevatronにおける焦点ズレ時のGantry Starshot

2013.2.21

Page 7: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 7

2013/3作成

シナジーの幾何学特性

ビームアイソセンター'レーザー点(とメカニカルポインターの位置関係

球体はレーザー位置'ラジエーションアイソセンター(を表している。メカニカルポインターをセットし回転させながら動画撮影し、任意の静止画像を合成した。

・ヘッドダレ'GT方向の違い(

・高さの違い

が認められる。

ヘッドダレによる影響はどの機種でもみられる現象だがシナジーではやや大きい印象を受ける。

Inline,crosslineという呼び方は

加速管を基準とした表現。

G0 G180

G0

G180

ヘッドダレの状態は

ガントリースプリットフィールド

を撮影することで、実際のビームのズレとして確認できる。

IPプレートを使用し、井桁'イゲタ(型のフィールドで評価した。

Image-Jでの評価は

Inline方向 :1.4㎜

Crossline方向:0.3㎜

ガントリー0度に対しガントリー180度では1.4㎜程度ターゲット側へビーム軸がズレており、メカニカルポインターでの現象と合致している。

ここで使用した井桁型スプリットフィールドは、もう尐し間隔を狭くすると コリメータ角度の精度検証としても使える。

後にわかったことだが、エネルギー毎に若干焦点位置が変動するようなので、これらの撮影も各エネルギーで実施したほうが良い。

ガントリースプリットフィールド

2013.2.21

2013.2.21

Page 8: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 8

2013/3作成

幾何学中心との違いによる影響 メカニカルポインターを動画で撮影後に画像合成処理をおこなった。

赤い輪はメカニカルポインターの先端をトレースしたもの。やや楕円。

先端の軌跡と反してポインター自体は球体の方向を指示している。

考えられる原因として

アームのダレ特性として

・G0/180 のダレに対し

G90/270のダレ量が大きい

・ガントリー横方向でヘッドが傾く

この2点ではないかと考えられる。

これはガントリー横方向でガントリーアームもしくはヘッドの傾きによる影響と考えられる。

メカニカルアイソセンター

ラジエーションアイソセンター

左右でメカニカルポインターの長さが合うようにセットした状態で細かく観察すると、ガントリー上下で隙間が存在する。ガントリー180度で

ヘッドが尐しだれていることがわかる。

Page 9: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 9

2013/3作成

「エレクタの幾何学特性」 発表データ

Radiation isocenter

Mechanical isocenter

2014.5

当院の初期特性データより幾何学特性の全国発表をいくつかおこなった。

2013第29回技師会 全国'松江(「装置構造によるビーム軸特性の違い」

2013第41回技術学会秋季'福岡(「「ドラム型ガントリー機器におけるメカニカルアイソセンターとビー

ムアイソセンターの違い」 前者はオンコアとの違いとして、後者はアイソセンターの高さが違う発見について。これらの内容を総括した形で、2014第70回技術学会'横浜(「ドラム型ガントリー機器の機械的特性がアイソセンターに与える影響」を発表した。発表に用いたキー測定はメカニカルポインター回転とWLテスト。これらを通してエレクタの機械的な特異性についての注意喚起をおこなった。

バリアンユーザーはエレクタ機器の特性に対する知識はほとんどないため、今後理解を深めてもらいたい。また本発表においてはメカニカルとラジエーションの視覚化、3次元アイソセンター表記などにもチャレンジしている。

メカニカルポインター先端の軌跡中心'メカニカルポインター(と実際にポインターが向いている方向は異なっている。 本体機能を用いた測定では1.5㎜の差がある。

WLテストでは総重心しか扱わないがデータをうまく処理すると3次元的な関係性が取得できる。

3次元アイソ表記。 これ一つでスプリットやコリメータ対称性など多くの計測が可能となる。

Image-jのAnalyze Particles を用いているがInclude holesをうまく使いこなすのがポイント。

SI方向で定在波型よりも大きなズレが存在する。

初期特性データとして要素をまとめ始めた結果として、様〄な学会発表へつなげられた。まだまだユーザー数の尐ないエレクタ機器だが、特徴的な特性に見合ったQA基準やQA手法が必要であり、必ずしもバリアンと同列で考える必要はないと思う。

見直しが必要と思われるQA

・「アイソセンター精度」高精度ともRICを基準とするエレクタには合わない規定。

・「定格距離」MICとRICの違いを明確化する必要がある。 装置自体のアイソセンターをどこに規定しているのかが非常に重要。

その後の研究でわかったがimage-jの処理によって結果が変化した。

ここでは1.2cmのダレだが最新の値は0.9cmである。 処理のポイントはBounding Rectangle

を用いること。

Page 10: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 10

2013/3作成

金尺によるアイソセンター距離測定

横方向からのアイソセンター距離を100cmとすると、

ガントリー 0度 100.20cm

ガントリー180度 99.88cm

ではないかと仮定される。

差異G0 2 mmG90 0 mmG180 -1.2 mm

基準 G270 0 mm

ガントリー90/270度を基準とした場合

基準

1㎜縮小

2㎜縮小

メカニカルポインター部に金尺を取り付け、

レーザー位置'ビームアイソセンター(との相違を評価した。

200㎜の位置にレーザーを

セット。横方向からの撮影。ガントリー0度で0.5㎜付近を示し、G180では1㎜付近を示している。

ラッツテストの結果と尐し乖離した結果がでている。

Y方向で1.5㎜近い差

AP方向で1~1.6㎜の違いがあると想定される。

2013.2.26

2013.5.20

Page 11: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 11

2013/3作成

ガントリー角度依存性

シナジーの出力にガントリー角度依存がないと仮定した場合。

レーザーセットでガントリー角度依存性測定をおこなうと、わずかだが偏芯した結果を得る。

これを純粋にメカニカルアイソセンターとの違いによる距離の影響と考えた場合、予測される移動量は1㎜が適切であった。

アイソセンター距離の違いが線量にどうあらわれるのか測定してみた。

レーザー位置にミニファントムを正確にセットして測定。

実際に1㎜と2㎜高さを上げた位置で測定をおこなってみた。

1㎜高い位置でほぼ均一な測定結果を得た。

線量の角度依存がないと仮定した場合、現在のレーザー位置'ビームアイソ(よりも1㎜高い位置がメカニカルアイソセンターなのかもしれない。

メカニカルポインターの測定結果ではラジエーションアイソ'レーザー(よりもメカニカルアイソは2㎜高い場所にありそうであったが、出力自体の中心は1㎜高い位置ということ。

仮説としては、焦点位置の変化は1㎜だが、ヘッド表面は2㎜落ちている。ということなのかもしれない。

ヘッドは、ガントリーアームにベアリングを含む状態で取り付けられている。重力によって若干下がるのかもしれない。

ヘッドの取り付け部のがたつきで距離が変化するのだとすると、高さ変化の原因は、横方向にした場合のヘッドの傾きによるものだと考えられる。

傾きよりもアームのダレがガントリー横方向で弱いのだと思っていた。確定した話ではない。

G0を基準

※東芝の話ではガントリー角度による出力の調整も行っているそうだ。かなり良い。しかし調整エラーを考えると角度依存性はゼロというわけではなさそうだ。

2013.2.26

Page 12: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 12

2013/3作成

6MV ガントリー角度毎ビーム軸特性

独自の小照射野分割法によるYジョー

のビームアイソセンター特性を示したものである。

X Y ZG0 0.16 0.41G180 -0.16 -0.69G90 0.12 -0.01G270 0.16 0.01

Y軸'GT方向(の差は 1.1㎜

左右方向は0.3㎜

総じて2㎜球体内に収まっている。

中心位置はビームの総重心であるとともにレーザー指示位置を示している。

レーザーセッティングをおこなってしまうと

実際のビーム中心と異なることを深く認識しておく必要がある。

2013.2.6

Page 13: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 13

2013/3作成

レーザーセットアップの問題

プロファイラーのセットアップをレーザーと十字盤でおこなってみた。

6MV 20×20

Y Axis Analysis レーザー 十字盤 差分Field Size 20.15 20.20 cm 0.05 cm

Beam Center 0.05 0.00 cm -0.05 cm

Light/Rad Coinc. Btm 0.03 0.10 cm 0.07 cm

Light/Rad Coinc. Top 0.12 0.10 cm -0.02 cm

Flatness Result 102.28 102.19 % -0.09 %

Symmetry Result 100.32 100.32 % 0.00 %

Penumbra Bottom 0.50 0.32 cm -0.18 cm

Penumbra Top 0.31 0.32 cm 0.00 cm

Y方向の誤差が一番問題であったが、十字盤合わせだとセンター値がゼロとなり、精密測定では十字盤の方が良いことがわかる。

半影'Penumbra(も改善している。

十字セットアップ時は

レーザーがズレる

レーザー合わせをおこなうと、十字はずれる

ガントリー0度で行うことが多いQAでは

レーザーセッティングとヘアークロスセッティングの使い分けが必要。

2013.2.28

Page 14: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 14

2013/3作成

6MV ガントリー角度毎ビーム軸特性

コリメータ特性を合成したもの

Y-jawのコリメータ特性を表現した3次元アイソセンターグラフである。

これらを含めても2㎜球体におさまっている。

メカニカルアイソセンターは1~2㎜異なる

が、レーザー位置をビーム重心としているならば、最も実治療において誤差の尐ない点だといえる。

2013.2.6

Page 15: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 15

2013/3作成

幾何学特性のまとめ

X Y ZG0 0.16 0.41G180 -0.16 -0.69G90 0.12 -0.01G270 0.16 0.01

ビームアイソセンターに対し

GT方向のズレとして

ガントリー0度で Gun側に0.4㎜

ガントリー180度で T側に0.7㎜

のズレはみられる。

コリメータ対称性も含め他のズレは非常に小さなものであり、すべての誤差を含めて2

㎜球体内に収まっている。

メカニカルアイソセンターはビームアイソセンターの1~2㎜上方に位置している。

今後注意すべき項目

・ガントリー0度において常にGT方向で0.4㎜の誤差を生じている。

・ガントリー0度でレーザー位置は100.1~100.2cmの位置

ガントリー180度で99.8~99.9cmの位置

問題点

>モニター校正は100cmとするべきか→ とりあえずレーザー

>RTPSのビーム測定はどの距離?→ とりあえずレーザー

軸に関しては調整しなおしているため問題は尐ないが、距離は避けられない。

>QA時の位置合わせは レーザーor十字盤?→

照射野系の測定では十字盤。朝QAとかはレーザーで良い。

※H25.2末時点での考え

レーザー中心に対する各ガントリー角度

のビーム中心座標

Page 16: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 16

2013/3作成

線量特性

定在波型加速管は3極管のパルス制御で線量率コントロールをおこない、密封型モニターを使用している。密封型は気圧によって電離容積が変化する可能性がある。

シナジーの進行波型加速管は2極管でGUN制御とよばれるもの。パルス数は一定。

当院はIMRT'V-MAT(をやらない仕様なので可変線量率は使えない。このため7段階の線量率しか使えない。1、1/2,1/4,1/8などと半分ずつしか調整できない。

モニター線量計は開放型でチェンバー温度と気圧による常時補正をおこなっている。温度補正機能はないが結露防止のためのヒーターはついている。線量計はX線、電子線が切り替わっても動かず固定されている。

モニター線量計の直下にヘッド部の散乱線の影響を防ぐアルミ製のシャッターを搭載している。

仕様線質は

X線 線質 最高線量率 '実際の線量率( パルス数

4MV 300MU/min 315MU/min 399

6MV 500MU/min 480MU/min 342

10MV 500MU/min 480MU/min 199

電子線 線質 最高線量率 '実際の線量率( パルス数'最高(

4MeV 400MU/min 385MU/min 199~200

6MeV 〃 〃 〃

9MeV 〃 〃 〃

12MeV 〃 〃 〃

15MeV 〃 〃 〃

モニター線量計の温度・気圧はサービスモードで確認できる。

気圧計はおおよそ1.6~2.5hPa程度の誤差はあるがほぼ正確。

定期的に確認が必要。

導入時の状態として 実気圧 1010.0 hPa とすると 1007PSI を示す。

温度は1日6時間の照射をおこなうようなタフなビーム測定時でも28度くらいからじわじわと上昇し、37度程度にしかならない。41度を超えると故障となるケースもあるようだ。

Page 17: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 17

2013/3作成

第3者検証

2013.4 臨床使用開始前のコミッショニングの最終仕上げとして、第三者機関による出力測定'ガラス線量計に郵送検証(をおこなった。4,6,10MVの基本照射野、および6MV ウェッジ60度のすべてにおいて1%以内精度という結果であった。 これにより「治療計画装置のデータを含む装置の出力精度」「ウェッジ係数」「測定器などの扱い方」の精度の一部が担保されたと判断する。

過去のエラーとして

・ウェッジ係数の入力間違い

・測定器の扱い方の間違い

などが原因となった事例がある。

第三者検証はこれらを保証する役割を担っている。

おおよそ3年に一度の実施が目安。

装置立ち上げ時にこのような第三者検証をおこなうことは非常に安心感が得られる。

Page 18: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 18

2013/3作成

Photon

X線 ピーク深 TPR20/10 TMRc エネルギー

4MV 13㎜ 0.6378 0.7417 4.6MV

6MV 18㎜ 0.6817 0.7830 6.2MV

10MV 25㎜ 0.7270 0.8321 9.2MV

TMRグラフ'Pinacle測定 2013/2/4(

X線 ピーク深 TPR20/10 TMRc

4MV 13㎜ 0.6380 0.7451

6MV 18㎜ 0.6837 0.7872

10MV 25㎜ 0.7340 0.8365

2013.2.4

2013.4.3

3D-scaner cc08

WP!D 0.6cc

測定機器が異なる。 10MVで変化量が大きい。

途中調整などもおこなったため変移とは考えたくないが・・

RTPS内のデータとの整合性が重要。要検証

Page 19: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 19

2013/3作成

立ち上がり直後の特性 'X線(

プロファイラーのマルチフレーム機能を用いて立ち上がり直後の特性を取得した。

■CAX Dose

積算線量グラフでは立ち上がりでロスがあることがわかる。

安定すると変移がすくない。

■Doserate

通常レートの90%まで立ち上がる時間は4MV 0.4 6MV 0.8

10MV 0.5秒

■Palse/sec

進行波加速管はGUN制御のためパルスは一定。

■Dose/Pulse

パルスあたりの出力を示す。

Gun制御の影響はここらで出ている。Doserateと同じ特性となる。

■Symetry

だいたい1秒を過ぎるまではバタバタと不安定。

まとめ

エネルギーによって特性はやや異なる。6MVの立ち上がりが悪い

おおむね1秒まてば安定する。

Page 20: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 20

2013/3作成

Electron

H23.6.13 独自PDD測定

測定結果より メディックPPC40 10*10コーン

公称エネルギー: 4MeV 6MeV 9MeV 12MeV 15MeV

 R50= 1.75 2.43 3.64 4.82 5.96 gcm-2

平均E= 4.09 5.68 8.52 11.26 13.93 MeV

校正深 dc= 0.95 1.36 2.09 2.79 3.48 gcm-2

PDDc= 1.000 0.997 0.998 0.996 0.988KQ= 0.9495 0.9389 0.9247 0.9142 0.9057

校正深のKs 1.0020 1.0020 1.0020 1.0023 1.0020 boag

校正深kpol 0.9992 1.0001 0.9998 0.9990 0.9994※R80 1.40 2.00 3.00 4.05 5.00 gcm-2

Ndw(ROOS) 0.0896 0.0896 0.0896 0.0896 0.0896 Gy/nC

※メディック 0.0866 0.0866 0.0866 0.0866 0.0866

2013/7/5修正

Page 21: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 21

2013/3作成

立ち上がり直後の特性 '電子線(

プロファイラーのマルチフレーム機能を用いて立ち上がり直後の特性を取得した。

■CAX Dose

6MeVだけ尐し仲間外れ。

■Doserate

6MeVだけ尐し仲間外れ。

全体的に0.5秒は立ち上がりに必要。

■Palse/sec

進行波加速管はGUN制御のためパルスは一定。

エネルギーによる差もない。

■Dose/Pulse

パルスあたりの出力を示す。

Gun制御の影響はここらで出ている。Doserateと同じ特性となる。

■Symetry

時間がたつほど安定してくる

まとめ

電子線のパルス数はエネルギーによって変化しない。

立ち上がり0.5秒あたりまでかなり荒いが徐〄に落ち着いてくる。

Page 22: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 22

2013/3作成

X線 線量率依存性・線量直線性

線量直線性 Dose/MU Synergy

100.0%

100.5%

101.0%

101.5%

102.0%

102.5%

103.0%

103.5%

104.0%

0 5 10 15設定MU

4MV

6MV

10MV

100MUで正規化

2013.1.28

シナジー X線 線量率依存性

99.0%

99.2%

99.4%

99.6%

99.8%

100.0%

100.2%

max '1/2( '1/4( '1/8(

線量率

4MV

6MV

10MV

線量率によって出力の変化がみられる。エネルギーによって影響量に差がある。

とくべつ線量率を変える必要はないため影響はない。

10MU未満で誤差が増大する。

6,10MVでField in Field を使用する場合などは最低処方目安を10MU以上とする。4MVの目安は5MU以上とする。

これらは進行波加速管のビーム特性として出力が安定するまでの時間特性が影響しているのではと考えられるが、詳細は不明。今後の検証が必要。

低MUは注意が必要!

Page 23: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 23

2013/3作成

安定性

チェックメイト2を用い1日の安定性を測定した。

X線、電子線ともに安定している。

8:30 11:00 13:30 15:00 17:00 平均Water temp 28.36 28.75 28.22 28.8 28.64 28.554Dos.temp1 26.04 30.19 31.65 32.26 32.81 30.59Pressure1 1011 1011 1011 1012 1013 1011.6 標準偏差変動係数X-6MV 99.3 99.7 99.9 99.8 99.6 99.66 0.23 0.23%X-10MV 89.0 89.4 89.4 89.3 89.3 89.28 0.16 0.18%X-4MV 105.1 105.3 105.4 105.4 105.4 105.32 0.13 0.12%E-4MeV 94.9 95.2 95.6 95.3 95.4 95.28 0.26 0.27%E-6MeV 93.4 93.8 93.9 93.8 93.7 93.72 0.19 0.21%E-9MeV 88.0 88.2 88.4 88.4 88.3 88.26 0.17 0.19%E-12MeV 89.6 89.9 90.0 89.9 89.9 89.86 0.15 0.17%E-15MeV 93.7 94.0 94.1 94.0 94.0 93.96 0.15 0.16%

水温は外部からの供給水の温度を測定している。

朝測定値が低い原因は不明。照射装置の特性だとは思う。

考えられる原因は・・・水冷? ・・・ モニター温度計の特性? 気圧?

1日、1週間における変動は尐ない。

Page 24: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 24

2013/3作成

ウェッジ係数 エレクタでは物理ウェッジの供給停止後、内蔵ウェッジのみとなった。

モニター線量計の直下に60度ウェッジが自動で入るようになっている。

ミラーの上に位置しているためウェッジの入った状態でも照射野形状が確認できる利点がある。

ウェッジ角度は 60度物理ウェッジのプロファイルとオープン照射を組み合わせて行われるためジョーや線量率によるコントロールが入らない。このため途中停止時の回復処理はシンプルで間違いが尐ない。

シーメンスのソフトウェアウェッジ'VW)では20㎝の照射野制限があるが、この内蔵ウェッジでは30cmまで利用が可能である。 利用域が広がった反面中心厚が増大しウェッジ係数も大きくなる。

サービスモードでは60度ウェッジとしてのみしか利用できない。モザイク上では0~60

度までのウェッジ角度が利用でき、装置へ適用した時点で自動的に60度ウェッジのプランとオープンのプランに分かれる。オープンとウェッジの比率によってウェッジ角度が形成される。

一番上にあるため通常懸念されるウェッジ挿入による散乱線低線量被ばくの影響は尐なくなる。

臨床ではMotoliyzed Wedge

サービスでは Auto Wedge と呼ばれる。

60度ウェッジは厚く、ビームハードニングは強く働く。PDD、他影響は大きい。

ウェッジ係数が大きいため多門照射で線量分布を向上させたいが・・

Page 25: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 25

2013/3作成

Motorized Wedge 2013.5

ElektaのウェッジはW60以外はRTPS上でしか設定できない。

サービスモードでも手打ちでも 「W30度」 とか設定したくてもできない。

ピナクル内部でウェッジ角度をどう設定してるかというと。エレクタから提供されたエンジンのソフトで計算しているため詳細は不明らしい。

実際にウェッジ角度が何度になるのか検証した。

20*20照射野 SCD100cm コリメータ90度 WP1D 0.06cc 測定において

Universal Wedge とか Auto Wedge とかまぎらわしい

p q d9

d11

IC

20×20照射野

X 深さ

D9 0 9

D10 0 10 ※使わない

D11 0 11

P -5 10

Q 5 10

Wedge Angle=tan-1

Λdose'Lateral(

Λwidth

Λdose(depth(

Λdepth

=tan-1

Dp-Dq

10cm

D9-D11

2cm

実測検証 RTPS上

4MV 6MV 10MV 4MV 6MV 10MV

60度 58.7 59.9 61.7 58.7 59.8 60.9

30度 27.5 28.6 30.8 27.6 31.1 33.3

予備測定ではウェッジ角度が浅くなるほどRTPSと実測の差が大きくなるようだ。

30度ウェッジにおいては1%から1.5%程度の分布誤差があるのかもしれない。

ウェッジ角度の検証として、実測による検証と 同じ測定位置でRTPS上の線量によるウェッジ角度の比較をおこなった。

Page 26: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 26

2013/3作成

Scp/Sc/Sp Scp: ピナクル測定データ 2013.2.? 近似式作成:2013/2/19 砂Sc: 2013.2.19 取得

近似式によるScp表正方照射野辺 4MV 6MV 10MV

2 0.7801 0.8082 0.8108

3 0.8196 0.8423 0.8480

4 0.8546 0.8728 0.8799

5 0.8858 0.9000 0.9072

7 0.9383 0.9461 0.9512

10 0.9986 0.9994 0.9986

12 1.0301 1.0272 1.0223

15 1.0687 1.0608 1.0508

20 1.1180 1.1029 1.0864

25 1.1533 1.1329 1.1102

30 1.1755 1.1524 1.1239

35 1.1872 1.1634 1.1316

40 1.2019 1.1743 1.1395

近似式によるSc表正方照射野辺 4MV 6MV 10MV ※ONCOR10MV

2 0.9384 0.9396 0.9209 0.9193

3 0.9531 0.9521 0.9363 0.9339

4 0.9647 0.9628 0.9497 0.9470

5 0.9737 0.9718 0.9613 0.9586

7 0.9865 0.9860 0.9800 0.9782

10 0.9989 1.0002 0.9994 0.9997

12 1.0054 1.0068 1.0083 1.0099

15 1.0141 1.0141 1.0178 1.0203

20 1.0258 1.0232 1.0275 1.0295

25 1.0316 1.0301 1.0335 1.0336

30 1.0327 1.0338 1.0364 1.0362

35 1.0348 1.0335 1.0362 1.0380

40 1.0338 1.0318 1.0347 1.0372

近似式で作ったSp表正方照射野辺 4MV 6MV 10MV

2 0.8304 0.8604 0.8805

3 0.8600 0.8846 0.9056

4 0.8866 0.9063 0.9263

5 0.9105 0.9259 0.9437

7 0.9513 0.9597 0.9707

10 0.9987 0.9994 0.9992

12 1.0236 1.0204 1.0138

15 1.0539 1.0460 1.0324

20 1.0914 1.0777 1.0573

25 1.1181 1.0999 1.0744

30 1.1364 1.1149 1.0843

35 1.1487 1.1255 1.0921

40 1.1623 1.1381 1.1014

0.90

0.92

0.94

0.96

0.98

1.00

1.02

1.04

0 10 20 30 40 50

Sc

4MV

6MV

10MV

※ONCOR10MV

0.80

0.85

0.90

0.95

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

0 10 20 30 40 50

Sp

4MV

6MV

10MV

0.80

0.85

0.90

0.95

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

1.25

0 10 20 30 40 50

Scp

4MV

6MV

10MV

Sc:古いオンコアのデータと重ね合わせてみたが、特に後方散乱

軽減用のアルミ製シャッター'2㎜厚(があったとしてもそれほどSc

に変化がないことがわかる。

30*30よりも40*40のほうが測定値が減尐する。

4MVと6MVで差がほとんどみられない。

Scp:近似式で大照射野付近が

スワンネック状になるが中照射

野域での整合性を優先させた

結果である。

今回の表は近似式で作成してある。独立検証などで利

用する場合はこれを利用する。

Page 27: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 27

2013/3作成

軸外測定

軸外測定は治療計画においてリファレンスポイントを中心以外に設定する場合に利用される値である。しかし、この測定ではフラットニングフィルターの位置精度を判定できるとされている。

■ エラー事例 鳥取市立病院から提供を受けた資料

中心位置のズレ、左右の山の高さの違いなどが認められる。

プロファイルだけでは原因がよくわかりにくい。

対策としてフラットニングフィルターの取り付け位置をわずかに動かして調整。

プロファイルでは原因が分からない。

フラットニングフィルターの設置精度に問題がある。

この状態の

プロファイル→

Page 28: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 28

2013/3作成

照射野精度

シナジーのヘッド構造は独特である。

MLC

バックアップジョー Yジョー

スラロームベンディング

内蔵ウェッジ

Yジョー MLC

270度ベンディング

ONCOR 41対MLC

他機種では一番下にMLCが位置しているのに対しエレクタでは一番上に位置している。

MLC位置はリーフ端に反射板が貼られCCDカメラで監視・管理されており、そのため照射ランプは常時点灯している。

当院の仕様ではMLCi'40対1cm幅リーフ(。

オーバートラベルは12.5cmまで可能。

2段目にはMLCの濾過線量を防護するためのバックアップジョー'Xジョー(が配置されている。

MLCは完全には閉じない。'1cm空く(

これはYジョーでも同じである。

このためシーメンス機器では可能であったゼロスリットは不可能ということ。

コリメータヘッドはジョー以下がミラーも含めて回転する。これにより光の軸はコリメータ回転させれば簡単に確認できる。

CCDカメラも一緒に回転するためヘッドの傾き特性は除外できないがポテンションメータに左右されない高度な位置精度管理が可能。

MLCが一番上にあるということで半影が大きく出る。照射野形状を左右するMLCの切れ味が悪いということ。

照射野ランプが切れると照射ができなくなる。定期点検時に交換をおこなっている。照度は電圧をコントロールすることで対応できる。务化した場合は40×40cmにすると反射板への照度が落ち

るためエラーが発生する。朝のチェックなどで一度ダミーで動かしてみるだけで確認できる。他施設情報では照度調整したことはなく、切れたこともないらしいので安心してもよいかも。

平坦度や対称性に関しては、モニター線量計でコントロールされており、線質も管理しているようだ。スラロームベンディングはコントロール性が良いが調整項目が多く難しいらしい。

電子線平坦度はエネルギーごとにジョーの位置を調整することで更なる平坦度を維持するようになっている。

十字盤は取り外せない。薄い透明なプラスチック製だが、光が反射するとCCDに影響を与えるため真ん中に折り目がついている。コーン装着時など破らないように気を付ける必要がある。またガントリー0度では十字盤の影はレーザー位置と異なる。違いをよく知ること。

ランプは一体型で位置調整機構はない。

交換後はキャリブレーションが必要。

十字盤'Close hair(は精密機器の扱いが必要。

Page 29: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 29

2013/3作成

X線照射野・平坦度

プロファイラー2を用い10cm深'後方10cm(、レーザー合わせ

X center Flat Sym Penum Penum

10×10x 9.97 0.02 102.33 100.34 0.48 0.55

10×10y 9.98 0.04 101.79 100.53 0.31 0.49

20×20x 20.09 0.02 101.71 100.12 0.57 0.51

20×20y 20.13 0.04 102.06 100.40 0.50 0.31

10×10x 9.99 0.03 101.38 100.26 0.46 0.56

10×10y 10.01 0.05 101.07 100.21 0.31 0.52

20×20x 20.11 0.03 102.36 100.33 0.56 0.42

20×20y 20.14 0.05 102.25 100.28 0.50 0.31

10×10x 10.02 0.03 101.38 100.51 0.55 0.61

10×10y 10.02 0.05 102.06 100.63 0.33 0.55

20×20x 20.13 0.03 103.66 100.60 0.64 0.63

20×20y 20.16 0.04 103.99 100.41 0.54 0.34

4MV

6MV

10MV

4MV

6MV

10MV

後にわかったことだが

十字盤あわせだとフラットネス・センター・ペナンブラなど多くが改善する。

ここで見えているのはレーザー位置が実際にはガントリー0度の照射野中心を表していないことなのかもしれない。

Page 30: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 30

2013/3作成

電子線照射野・平坦度

エレクタでは電子線治療は95cm基準だが、当院では100cmを採用している。

プロファイラー2を用い校正深'後方10cm(、レーザー合わせ

size center Flat Sym Penum Penum

10×10x 10.45 0.01 100.12 100.56 1.24 1.26

10×10y 10.42 0.11 100.00 100.78 1.31 1.23

10×10x 10.48 0.01 100.71 100.46 1.24 1.28

10×10y 10.45 0.11 100.6 100.69 1.32 1.23

10×10x 10.56 0.01 100.34 100.59 1.19 1.24

10×10y 10.54 0.11 100.3 100.59 1.28 1.21

10×10x 10.6 0.01 100.26 100.46 1.19 1.24

10×10y 10.59 0.1 100.24 100.58 1.27 1.22

10×10x 10.61 0.00 100.18 100.70 1.00 1.02

10×10y 10.60 0.10 100.14 100.65 1.05 1.01

4MeV

6MeV

9MeV

12MeV

15MeV

10*10profile

4MeV

6MeV

9MeV

12MeV

15MeV

校正深での測定。ややがたつきも見られるが、おおむね良好。

レーザー合わせだが、十字合わせ?

電子線は光照射野合わせになると思うので、センターのズレは改善される。

Page 31: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 31

2013/3作成

MLC fence test

CRカセッテを用いた2.5cm間隔のフェンステスト

どちらを使うかは微妙。端のタン&グルーブはオーバーがよくわかるが、GAP間隔の評価はunderの方がよさそう。

どちらにしてもMLC位置精度は非常に良い。

No Gap法では顕著に半影の違いによる痕跡が現れている。MLC位置精度としてやや小さめということか。

Page 32: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 32

2013/3作成

MLC精度

MLCはヘッド構造の1段目にあるため他社に比べ半影が大きい。

リーフエンドの反射板を常時カメラでとらえているため位置精度が高い。カメラはヘッド回転部分に取り付けられている。

MLC 光源

カメラ

調整可

調整可

Yjaw MLC

4分の1ブロック照射野をコリメータ回転させて撮影させたもの。

Yジョーの切れ味に対し、MLCの半影は大きく不整。

最上段でのMLCの半影の影響。

プロファイラーによるペナンブラ'半影(の度合いを示している。

Page 33: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 33

2013/3作成

ガントリー角度による平坦度依存性

プロファイラー2のガントリーマウントユニットを使用し、角度依存について調べた。

照射野、平坦度、Dose他多くの特性が取得できる。

ガントリーマウントのため距離の違いによる影響をうけにくい。

角度依存性評価X Axis AnalysisG 0度 G 90度 G 180度 G 270度 平均Field Size 19.86 19.90 19.88 19.86 cm 19.88Beam Center 0.04 0.01 0.06 0.09 cm 0.05Flatness Result102.31 102.79 102.78 102.45 % 102.58Symmetry Result100.14 100.84 100.84 100.31 % 100.53Penumbra Bottom0.60 0.59 0.60 0.60 cm 0.60Penumbra Top 0.57 0.58 0.57 0.54 cm 0.57

Y Axis AnalysisG 0度 G 90度 G 180度 G 270度 平均Field Size 19.94 20.01 20.05 20.00 cm 20.00Beam Center -0.07 -0.04 -0.04 -0.05 cm -0.05Flatness Result102.24 102.34 102.39 102.30 % 102.32Symmetry Result100.14 100.24 100.36 100.18 % 100.23Penumbra Bottom0.46 0.45 0.39 0.44 cm 0.43Penumbra Top 0.56 0.55 0.53 0.55 cm 0.55

CAX Dose 103.73 103.59 103.48 103.55 103.59100.14% 100.00% 99.90% 99.96%

数値はともかく、非常に安定していることがわかる。

Page 34: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 34

2013/3作成

機械的動作時間

ガントリー : 手動 1回転 60秒 '6度/秒( 運動照射時 3.75度/秒

コリメータ回転 : 手動 1回転 26秒 '14度/秒(

XVI'KVパネル( パーク位置 待機 撮影位置'M) 横移動'L) ※M→S

11秒 +8秒 ++9秒 ++13秒

iViewI'MVパネル( パーク位置 待機 撮影位置

13秒 +7秒

※コリメータは360度回転が可能

動作可能域 設定可能域

ガントリー -178~182 -179.9~180

コリメータ -180~180 -180~180

寝台iso -90~90 -90~90

※臨床開始後1か月経過した状態

通常診療時、パネルはXVI用は出しっぱなし。位置はS。

位置照合はほぼ毎回CTを撮影する。プロトコルはS20CW ハーフスキャン(34秒:196枚(

骨盤部は S20CW High ハーフ 360度スキャンはあまり活用していない。

iViewは初回の形状確認以外はほとんど活用されていない。MV-isoを決定するのが主な仕事のようだ。 乳房の影照合のベースとして出し入れはする。

前立腺など骨盤照射時は延長天板を使用するため、iViewパネルがあるとダメ。

照合不要とするケースとしては、最初の5回の照合で確認できた場合を原則として、

乳房'影と光(、シェル'マージンが比較的ゆるやかなもの(を想定している。

Index barを使った治療が中心。

■悔やまれる仕様■

仕様書や契約時には気付かなかったこととして、IMRTオプションの有無によってかなり制限があるということがあげられる。IMRTオプションがない場合

・オートシークエンスが動かない。 → 手動でガントリー回転・ビームオンが必要。

これがもっともつらい。効率が悪すぎる。

・iCalが入らない。 → MLC調整が一段浅いものになる。

・MLCの入れ子ができない。'MLCi2( →照射形状で制限がでる。

・可変線量率オプションが入らない → とくに影響はない。

当院のタイプはnonIMRTだが 比較的動作は他機種に比べ早い。

Agirity160列だともっと高速に動作するらしい。

Page 35: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 35

2013/3作成

光照射野と実照射野 アイソアライン 十字盤合わせ

IPプレートを使って撮影した。

距離100cm 15*15cm

距離125cm 12*12cm'※15*15(

■結果

・光と実照射野のズレ

15cmの照射野として

Y軸 ほぼ合致

X軸 やや内側 左側は足りない。 右側はオーバー気味

距離を離すとその現象も拡大したように見える。

・定格治療距離

Y軸の評価より、光と実の拡大率に差がなかったことから

焦点と光源までの距離は合致していると考えられる。

Page 36: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 36

2013/3作成

電子線コーン係数

コーン辺 4MeV 6MeV 9MeV 12MeV 15MeV6×6 0.8184 0.9221 0.9601 0.9789 0.9911

10×10 1.0000 1.0000 1.0000 1.0000 1.000014×14 1.0492 1.0154 0.9846 0.9856 0.980120×20 1.0472 1.0220 0.9683 0.9776 0.972625×25 1.0509 1.0358 0.9901 0.9896 0.9837

電子線は アプリケータとして 6/10/14/20/25 辺のコーンが存在する。

95cm処方用のサイズなのでやや大きくなる。治療用の測定は100cmでおこなっているため

公称サイズとして運用する。

円筒型コーンもあるが測定は行っていない。

各エネルギー、コーンサイズごとにジョーを調整して平坦度調整をおこなっている。

低融点鉛のものとして10*10cmコーン用の6cm、8cmの円形ブロックを作成した。

初期の段階での電子線測定は必要最小限とし、X線の精度検証に時間をかけたい。

Page 37: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 37

2013/3作成

Electron PDDから見る実用飛程

実用飛程 2.2cm

実用飛程 3.2cm

実用飛程 4.6cm

実用飛程 5.9cm

実用飛程 7.3cm

電子線 校正深 R80 実用飛程 ※使える目安

4MeV 0.91cm 1.35cm 2.2cm 3φ

6MeV 1.38cm 2.00cm 3.2cm 3φ

9MeV 2.05cm 3.02cm 4.6cm 4x4cm

12MeV 2.74cm 4.01cm 5.9cm 6x6cm

15MeV 3.45cm 5.00cm 7.3cm 6x6cm'グラフより(

電子線は照射野が小さくなり、散乱成分が飽和しなくなるととたんにエネルギーの変位が大きくなる。

エネルギー毎の実用飛程がPDD再取得不要な最尐照射野の目安として扱われている。

実用飛程はPDDの接線と制動放射線のバックグラウンドと交わる線

もし目安よりも小さな照射野を用いる場合は、PDDを新たに取得すること。

Page 38: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 38

2013/3作成

照合装置

エレクタシナジーはIGRTとして開発された。MV照合としての iView,KV照合としてXVIを搭載している。最も大きな特徴としては精度管理としてBB-PhantomとiViewを使ったMV-isocenter測定が可能で、BB-

Phantom後方に搭載されているマイクロメーターに

よって正しいビームアイソセンター位置に調整が可能となっている。ガントリー4方向、コリメータ2方向の8画像から総平均ビーム重心を決定する。ここにレーザー位置を設定することでビームアイソセンター位置をアイソセンターとすることが可能になる。 更にその状態からkVコーンビームCTを撮影しFLEXMAPを取得することによりkV管球のダレやFPDのダレの補正をおこない、精密な照合が可能となる。

MV-ISO測定やFLEXMAPは素晴らしいシステムではあるが、FPDの位置再現性が保証されないと意味がない。故障、衝突、部品交換など物理的な手が入った場合にはFPD位置再現性に問題がないか確認を行い、フレックスマップの再取得も考慮に入れる必要がある。

KV-CTではFOVによりFPD位置をシフトさせ撮影をおこなう。MV・KV両方でシフト機構を持つためこれらが位置再現性に影響をあたえていないかもチェックが必要。

エレクタの照合ソフトはツールが尐なく利便性が悪い。今後の改善を期待したい。

照合画像はモザイク経由でDICOM画像として取り出しが可能。

フラットパネルは1枚2~3000万円必要。

高額交換部品として機器保守費用へ見積もる必要がある。

ほとんど出しっぱなしになるが、パネルをたたむ順番に注意。

■2013/6時点

照合はほぼCTのみで行われている。iViewは計画時の照射野形状確認のみで使われているが、ほとんど「位置」の確認には使われていない。

シナジーはkV-CTマシン

Page 39: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 39

2013/3作成

MV-isocenter測定

エレクタ推奨 MV-ISO テスト結果 参考資料2013/03/22 結果 2013/03/07 結果

4MV 6MV 10MV 4MV 6MV 10MV

X -0.12 -0.06 0.06 ㎜ -0.08 -0.03 -0.03

Y 0.6 0.03 -0.12 ㎜ 0.77 0.01 0.03Z 0.11 0.05 0.01 ㎜ 0.07 -0.03 -0.03

※1pixel 0.25㎜

エレクタのビームアイソセンター測定方法

・付属のBB-Phantom と MV照合機能を使用し、 10×10cm照射野で

ガントリー4方向、各コリメータ角度90度/270度の計8回の撮影をおこなう。

→内部の解析プログラムにより 球体位置'レーザーセッティング(をゼロとした場合の

ビーム総重心座標を算出する。

BB-phantomのマイクロメーターを動かし'1回転0.5㎜ ±5㎜移動可能(、理想的なビームアイソセンター位置にレーザー位置を設定できる。

FPDの機械的分解能は1Pixel 0.25㎜だが実際の感覚では0.05㎜の再現性がある。

球体を基準に正規化するためFPD位置再現性に左右されないが、球体をセッティングする際の人的誤差は避けられない。

照合装置

Page 40: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 40

2013/3作成

エレクタ推奨の方法は正確なのか?

■MV-Isoのアルゴリズム検証2013/3/7

[目的] MV-isoの解析アルゴリズムは公開されない。DICOMデータを取り出しImage-Jで独自解析をおこなう。

[方法]各エネルギー毎に代表的な測定ファイルからDICOM画像を取り出し解析を行い、結果の相違点を評価する。

総重心 X Y Z

XVIで求めた値 4M -0.08 -0.77 0.07 X Y Z

再解析4M -0.19 -0.64 -0.34 差分 -0.11 0.13 -0.41

16分割 0.01 -0.27 -0.54 差分 0.09 0.50 -0.61

6M -0.03 -0.01 -0.03 X Y Z

再解析6M 0.31 -0.26 -0.14 差分 0.34 -0.25 -0.11

16分割 -0.04 -0.06 -0.37 差分 -0.01 -0.05 -0.34

10M -0.03 -0.03 -0.03 X Y Z

再解析10M 0.14 -0.28 -0.40 差分 0.17 -0.25 -0.37

16分割 0.03 -0.04 -0.31 差分 0.06 -0.01 -0.28

同じ素材から解析されたものであっても 0.1~0.4㎜程度の誤差があった。アルゴリズムは不明のため評価はできない。独自解析のものは若干信頼度が低いような印象を受ける。

16分割 いわゆるフルLutzテスト。こちらは6MVと10MVのXYはほぼゼロの評価であったが、Zだけがばらつく4MVはYもZもばらつく。

c0/180系でもc90/270系でも重心の位置自体に大きな差がないという結果を踏まえ、16分割でも8分割でもどちらでも精度に大きな偏りが見られないことを示している。

フルLutzテストが正しいとすると

・Z'高さ(方向の信頼性が悪い。 0.3~0.6㎜ほど高めに表現される。

・4MVのY'SI(方向誤差はそれほど大きくないかもしれない。

照合装置

※h25/5/24 上記はimage-jの影響が強く出ている。今は本体解析機能を利用したWLテストを開発している。 これによるとエレクタ推奨の方法は0.1㎜以内の精度で信頼できそう。

Page 41: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 41

2013/3作成

フレックスマップキャリブレーション

フレックスマップキャリブレーションによってkV照合精度を保っている。

①BB-phantomが理想的な配置になる までMV-Isocenter 測定を繰り返す。

②レーザー基準点を球体'ビーム重心( に設定。

③そのままkV-コーンビームCTを撮影し、フレックスマップキャリブレーションをおこなう。

・kV管球の剛性特性

・FPDの剛性特性

この2つを内包したまま各ガントリー角度での補正値を決定する。

理想的なアイソセンターの測定とレーザー位置の調整

kV-CTの位置精度補正が一連の流れで構築できる。

MV=レーザー=kV をねらえるシステム

※FlexMap取得時の補正Map

キャリブレーション時の機械的特性が維持されていることが前提。

FPD位置再現性が重要。

FPDの傾き方向'ねじれ?(の誤差は補正できない。

照合装置

Page 42: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 42

2013/3作成

KV コーンビームCTによる位置評価

※BB1 Ball_Bearing Bill   S20CWhalfマニュアル合わせで評価MV-ISO 結果

4MV 6MV 10MV KV-結果

X -0.12 -0.06 0.06 -0.07

Y 0.6 0.03 -0.12 0.07Z 0.11 0.05 0.01 -0.02

臨床で用いるハーフスキャンのコーンビームCT評価でも精度は高い

単位:㎜

臨床における位置照合の位置づけ

位置合わせはXVIによるCTが基本。

だいたい0.6mGyハーフスキャンでOK。30秒

MVパネルは初回のみプランの各門確認に使用する。

Drが望めば正側の照合撮影も行う。

照合頻度は 初回~5回目まではCTを撮影。

その後は目的やマージンと相談。

照合装置

Page 43: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 43

2013/3作成

FPD位置再現性

FPD位置再現性が問われるのは

XVIのY方向。他はあまり注意しなくても良い。

位置精度を決定するのはkV-CTでありiViewの2D画像はリーフ形状の確認やシナプス転送用のものという認識。

KV-CTにおいてはLR方向の誤差は回転によって相殺されてしまうが、Y方向はまったくの誤差として表示される。

繰り返しFPD位置再現精度は0.5㎜以内であるが、修理や調整の際にはチェックが必要。

またFPD位置再現性に用いているのはカバーの上に貼ったテープ。ネジの締め方やバネテンションに違いによって容易に動く。簡易的なものとして認識すべし。

ガントリー角度精度も影響する。

・FPD位置再現性 Y方向では1㎜程度の誤差がいつでも存在する。

・FPD Y方向の位置は アームの動きとパネルの動きの2種類で動く

・位置はワイヤーの長さによってきめられているため、パネル+アームの組み合わせが異なっても正確に合う。

・iViewにおいてはチェックの必要はない。MV-isocenterテストにおいてもパネルのズレは影響がない。'位置照合には使用しない(

将来的にはマイクロメーターを用いた検証が必要。

Page 44: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 44

2013/3作成

スケール盤の位置精度

これは尐し心配。コリメータ回転させるとズレがわかる。

光照射野の影でもクロスヘアとズレが生じている。

ペンタガイドファントムで検証すると見た目で大きくずれがある。

PentaGuide Lasersetting MorningQAより

左上より G0→G180 G270→G90 球体の位置はガントリー角度によっていろいろ。

これはそのままビーム軸のズレを表している。ヘッド全体でダレを生じているのがわかる。

G0 G180

G270 G90

Page 45: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 45

2013/3作成

照合用CTの被ばく線量

照合CTはkVであり治療線量に比べると圧倒的に尐ない。しかし毎日照合をおこなうとなると線量の把握は必要。 2013.6時点ではkV被ばくに関しては知識が尐ないため、電離値の比較により線量推定をおこなってみる。

XVIのCT条件と 診断用CTの条件を比較してみると

照合用のCTは診断用の電流よりも大幅に尐ない。 通常条件だとほぼ無視できるくらいの条件。

前立腺照合で「ProstateX8」を使用しているため、診断用のCTに対して1割程度、毎日照合CTを撮影したとして、診断用のCTを2週に1回撮影したものと同じくらいだといえる。前立腺で35回プランで毎日照合CTを1回だけ撮影すると、その期間内に4回診断CTを撮影したのと同じくらいだといえる。

Symmetryは4D撮影用のプロトコル。横隔膜の振幅を基準とした10分割の4DCTが簡単に撮影できる。4分。7倍の撮影枚数だが被ばく量は意外に尐ない。

より尐ない線量で照合CTが撮影できないか検討。 100kV→120kVをベースに構築した。

画質評価と線量評価をジョイントさせた評価方法が見つからない'知らない(ためうまく機能していない。 骨盤部位では 石灰化のある場合 低線量条件も望めるが、尿量評価をおこなうにはもっと線量が必要。 長期にわたって条件の適正化に取り組む必要がある。

Synergy

診断CT

2013.9.25改定

Page 46: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 46

2013/3作成

寝台特性

Precise Table

iBEAM evo カウチトップ EP

'P10105-148)

iBEAM evo エクステンション415

'P10105-412)

iBEAM evo エクステンションH&N

'P10105-413)

可動範囲

Long 100cm

Lat ±25cm

最低寝台高さは 64cm

寝台上昇はガントリー0度のヘッド部分との隙間5cm以下まで接近するため

注意が必要。

寝台垂直性はほぼ問題はない。'天井レーザー基準(

各移動量に対し

表示精度は1㎜程度ある。

■剛性・たわみ■

先端から2mにわたって135kgの負荷をかけて、寝台のたわみや傾きについて検証した。

寝台の送りだし位置として

A'-1( 頭を想定

B(2( 胸を想定

C'5( 骨盤を想定 とした。

無負荷状態に比べ

寝台の傾き'GT方向( A(-1) B(2) C(5)寝台位置 頭 胸 骨盤

無負荷 -0.1° -0.1° -0.1°135kg荷重 -0.1° -0.1° -0.1°

変化量 0.0° 0.0° 0.0°

'左右方向( A(-1) B(2) C(5)寝台位置 頭 胸 骨盤

無負荷 -0.1° 0.0° -0.1°

135kg荷重 -0.1° 0.0° -0.1°

変化量 0.0° 0.0° 0.0°

寝台の沈みこみA(-1) B(2) C(5)

寝台位置 頭 胸 骨盤

無負荷 0.5mm 0.0mm -0.5mm135kg荷重 -2.3mm -2.5mm -3.mm

変化量 2.8mm 2.5mm 2.5mm

寝台は図の赤い部分で寝台ベースに固定されている。このため送り出し量による特性変化はすくない。

位置による傾きの変化がないことからもうかがえる。

135kg負荷では一様に2.5㎜ほど沈み込みが存在する。'許容は5㎜(

傾き特性の変化がないことから

ベース自体の沈み込みによる影響がもっとも多いのではと考えられる。

寝台係数

4MV -3.1%

6MV -2.5%

10MV -2.5%

■寝台係数■ ピナクル上で寝台を外して計算した場合は寝台係数を乗じて使用する。もし仮に寝台を含めて計画した場合はそのままのMU計算値を使用する。

斜入における場合も考慮にいれるのであればRTPS上で寝台を囲い込むか、バーチャルカウチを作成する。

Page 47: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 47

2013/3作成

セッティングと寝台位置

インデックスバーの位置は

拡張天盤を使用する場合は 「-1」

拡張なしの場合は 「1」

骨盤などでは拡張天板を使用し、

枕は拡張天盤の端にそろえてセットする。

基本的にはインデックスバーを使う。

またウィングボードも積極的に使う。

枕位置の再現性が向上する。

拡張天板なしでウィングボードを使用した場合

'インデックスバー位置:1(

剣状突起あたりまでしか照射できない。

頭~気管分岐部 当たりの照射に適している。

拡張天盤+ウィングボード

'インデックスバー位置:-1(

腸骨稜上縁あたりまで可能。

頸レベルで接合するため注意

胸~腹部に適する。

腕は胸か拳上

拡張天盤で枕をエンドポジションに置いた場合

'インデックスバーなし(

大腻骨上部までOK。

接合部は肩の下あたり。

腹~恥骨の治療に適する。

※iViewパネルは出しておく。

骨盤用

胸~腹

頭~気管分枝

拡張を使う場合iView FPDを出しておく

拡張天盤を限界まで使うと

奥行は15cmほど開くが、FPD収納位置では衝突する可能性がある。

Page 48: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 48

2013/3作成

Jaw/MLC Transmission Factor

測定1

4-1 leaves trans 10*10MLCトランスミッションファクター  きちんと形で再測定

測定2

4-2/Jaw'mid) trans10*10X-jaw トランスミッションファクター

Y-jaw transmisson factor

コリメータ180度回転 コリメータ0度端 15cm中心でセット 端 15cm中心でセットシャドートレイ+block シャドートレイ+鉛ブロック

横に11.5cm縦に12cm

係数のまとめSynagy Transmission Factor RESULT   2013/02/28

各遮蔽体の厚み 8.2cm 3.0cm 7.8cm

MLC X-Jaw Yjaw

4MV 0.0046 0.0777 0.00246MV 0.0054 0.0915 0.0030

10MV 0.0064 0.0994 0.0032'10*10( '10*10( '??2cm?)

通常は自動追随

通常は自動追随

かなり測定が難しい。

測定値の信頼性に疑問はある。

エレクタはソフトウェアウェッジを持たないため、YjawのTransmission

factorへの依存性は尐ない。

※ピナクルのモデリングデータの中でMLCのモデリングで問題が発生した。原因はMLCiとMLCi2のリーフトランスミッションファクターの違いによるもの。危ないところであった。

※MLC-i2のみの問題

Page 49: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 49

2013/3作成

ハーフビームプランの接合部

2013/6/26

幾何学特性に特徴のあるシナジーにおけるハーフビームプランについて検証した。

[仮説] 仮説① ヘッドダレの影響により重なりが生じる可能性がある。

検証方法 テストプランによりハーフビームで G0/G180 の撮影をおこなう。使用プランは4MV Upper 8*8/Lower 10*10 のハーフビーム

設定送信を用いガントリー角度を入れ替えて使用した。

既知の測定結果としてY方向'SI(のヘッドダレの影響は約1㎜存在する。

Gun側

G0

G180

G180

G0

■結果 ガントリー角度による接合部の重複が認められたUpper側がG180で Lower側が G0の場合、かなり重複が見られる。

ハーフビームプランを用いる場合は、アームのダレ特性を理解し、むやみに多門化を行わないようにする必要がありそう。★実臨床プランの総門打ちでアイソセンター面のフィルムに焼きこんで接合部重複がないか検証が必要だと考えられる。

この現象はおおかれ尐なかれ他メーカーでも発生する。実際のガントリー角度で打って検証しないとわからないこと。

Upper

Lower

接合部→

Page 50: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 50

2013/3作成

エレクタ装置付属のQA機器

・Pb SCALE GRID PLATE

・CAT-PHANTOM

・LASVEGAS PHANTOM

・LEEDS-PHANTOM

・PENTA-GUIDE PHANTOM

・BB-PHANTOM

・MECHANICAL-POINTIER

CAT-Phantom Lasvegas-Phantom

kV-CT 性能評価用 コントラスト分解能評価

Penta-Guide IGRT-QA用

BB-phantom IGRT-QA用

LEEDS Phantom

分解能評価用

Mechanical Pointer

標準でかなり優秀なQA機器が付属する。

Pb Scale Grid

Page 51: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 51

2013/3作成

搬入からアクセプタンスまで

当院は東芝-エレクタ初の設置施設である。4MVオンリーの装置から4/6/10 3本のX線を有するIGRTマシンへと変わった。 新建屋の建設、10MVの中性子対策としてのバッジ変更などもおこなっている。

11/26 装置搬入開始 最初の3日間くらいは変化が大きいので見学するべし

装置はかなり分解されて現地組立をおこなう。ドラムとアーム、ヘッドなど主要パーツの取り付け時などは特に注意してみておく。 水冷系のパイプも電気配線も後からおこなうため他メーカーの設置に比べてビーム出力までに時間がかかる。

現地組立のため設置調整にも時間がかかるし、設置技術者の仕事も非常に多い。

12/24 施設検査 ここはキーポイント。事前検査を含め計画的に準備する。

1/21 アクセプタンス開始 3日間で終了。事前に資料を求めても来なかったので、十分な準備ができなかった。

アクセプタンス1日目

目視評価の項目が多すぎてベースラインにはなりにくい。初めて扱う機能なのであっているのかどうかわからない。

アクセプタンス2日目

ブルーファントムを使った測定。出荷性能を満たしているかどうかの検証。

基本的にこれで終了

アクセプタンス3日目 メカニカルとの違いについての再検証。ビームアイソ測定、kv-コーンビームなどアイソセンター関連の手順を再取得。

独自測定として・メカニカルアイソ測定、・スターショット、スプリットなどをおこない、アイソセンターの違いについて検証。

同日サインした。

アクセプタンスに関しては内容がショボイ。クロスマッチするような厚みが全くない。証拠性の高い内容に変えてほしいものだ。

このアクセプタンスに用いたデータ、画像だけでなく、調整に用いたデータなどすべて紙ファイル、CDデータとして受け取った。

Page 52: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 52

2013/3作成

組立とアクセプタンス時の様子

Page 53: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 53

2013/3作成

治療計画装置用ビームデータ収集

pinacle3用の測定をH25/2/4~2/18でおこなった。X線3本、電子線5本で週の利用時間の制限に注意しながら行った。日立'津久井(。3D水槽。使ったのはcc13、Enhanced Murkus、Diode。

この期間の特別利用制限は 週 6000Gy。時間に直すと 23.3時間くらいが目安となる。実際にはGyの把握は難しいため、「HV hour 」に平均線量率を適用して求めた。

第1週目 day1 X線

day2

day3

day4

使用制限にかかり休み

第2週目 day5

day6

day7

day8

day9

第3週目 day10

PDD'open、Wedge、jaw固定(。Radcalc用pdd

OCR inline 'open、Wedge 、jaw固定(

OCR inline→ OCR crossline

OCR crossline

40*40 シフトさせたOCR

40*40再測定、Output factor'open,wedge(

X線小照射野output、 電子線PDD

OCR'E5本×4コーン+5block(

Cutout block / E output factor

電子線

Radcalc用E 測定、水抜きOCR

5934Gy(23h)

5564Gy(23.1h)

1761Gy(6.6h)

この期間で 3か月最大3万Gy中 1万3千Gyと半分近くを消費している。

もし仮にラドカルク用測定を別に最初から測定するとユーザー測定も機器調整もできなくなってしまうため、ピナクル測定時に同時に取得することとした。

OCRでは縦、横それぞれで7.3時間くらいビーム時間がかかる。1本で5つの深さをおこなうため

20分以上連続で出力を行う場合もある。しかしエレクタで出力の停止は一度もなかった。

高負荷時の測定でも安定した出力を得られる加速管であると実感した。水温の上昇もパルス特性の変化もなく非常に安定している。 モニター温度だけはわずかに上昇し続けるが6時間照射後で38度くらいまでしか上昇していない。 温度は適切に補正され出力が変動することもない'と思う(。

測定時は熱対策としてヘッドカバーを外す。また10Gyでの照射制限を解除するための「Ctr T」設

定など特別なモードも使用する。この時期はまだ装置の扱いに慣れていない時期。 ゆっくりと扱い方を習熟すること。

高負荷でも非常に安定したマシン

ビーム測定時は、使用制限に気を付ける。

ピナクル測定もラドカルク測定も測定計画があいまいで綱渡り状態であった。事前によく担当者と話を詰めておく必要がある。特にピナクルの担当者との連絡は難しい。

測定終了後はビームデータをエクセルの形で欲しかったがテキスト形式であった。自施設で追従測定をおこない、測定内容のチェックをおこなった。

Page 54: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 54

2013/3作成

治療計画装置

治療計画装置は日立の取り扱いPhilips Pinnacle v9.2

ピナクルの特徴としては計画アルゴリズムがモデルベースのみという点。

ビームデータ取得したファイルをそのまま内装し利用しているのも特徴。

水ファントムソフトOmni Proで収集したデータはピナクル用のrfb形式で利用される。

これらのデータはPhisicsで確認できる。

RTPSの計算精度はやや偏りが見られる。

RTPSと実測データの違い (水(4MV 5*5 10*10 20*20 30*301.2cmピーク深-1.1% -0.9% -0.8% -0.5%5cm -0.3% -0.3% -0.4% 0.0%10cm -0.3% -0.3% -0.2% -0.2%15cm -0.4% -0.6% -0.7% -0.4%20cm -0.2% -1.3% -1.2% -1.5%

6MV 5*5 10*10 20*20 30*301.8cmピーク深0.1% -0.1% -1.4% -1.4%5cm -0.3% -0.5% -0.5% -0.1%10cm -0.5% -0.4% -0.5% -0.4%15cm -0.8% -0.9% -0.9% -0.7%20cm -1.4% -1.7% -1.6% -1.6%

10MV 5*5 10*10 20*20 30*302.4cmピーク深-1.0% -1.1% -1.6% -1.4%5cm -0.2% -0.3% -0.3% -0.1%10cm -0.6% -0.5% -0.3% -0.3%15cm -0.7% -0.8% -0.7% -0.5%20cm -0.9% -1.2% -0.9% -1.0%

深い部位で誤差が増大する傾向にある。

RTPSで計算したMUを照射すると尐し大目に照射される可能性がある。

線量系のQAはすべてこのRTPSビームデータ時がベースラインであることを認識しておく必要がある。

矩形なら合う。しかし、ブロック率を上げたプランなど様〄な条件で検証が必要。

ピナクルのアクセプタンスに使用するパターンは貧弱。自前で用意しておく必要がある。

ここでは簡単な初期コミッショニング結果のみを記す。

Page 55: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 55

2013/3作成

漏えい線量測定結果 ※2013.6.24 測定結果も問題なし

Page 56: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 56

2013/3作成

漏えい線量測定結果

E側の鉄板はB側よりも薄い。

A点下部には4本の

ピットが開いているが漏えいは尐ない。

Page 57: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 57

2013/3作成

モーニングチェックシート

鳥取県立厚生病院 ELEKTA Synergy 朝チェックシート 2013.5.16修正

週1回     月   日(月)     日(火)     日(水)     日(木)     日(金)

確認項目 週最大 23.4h 目安 9h 使用時間 備考

(6以上(ガス圧: 電源投入時間

イオンポンプ'青(: 空調確認

40*40→10*10: リセットモーター

機械室室温/湿度 / / / / /

'10~12ps)水圧

1mm以内レーザー位置 (G270側(Aサイド壁 G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕

'OKなら✓( (G90側(Bサイド壁 G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕ G ↔ T  ↕

床 TOP ↔ TOP ↔ TOP ↔ TOP ↔ TOP ↔

合致性

チェックメイトの設置10×10cm 目視

距離計

Display Service Page 276 HT hours

[sys.test] 223 Water Temp

224 Dose Temp1

[dose cal] 558 pressure

実気圧

チェックメイト 温度/気圧 / / / / /

ウォームアップ 6MV 線量率

300MU 10MV 線量率

4MV 線量率

照射中ランプ・中断スイッチ・再開

ドアインターロック、ドアレーザー、接触

校正'  /  ( ※h25.2.1(±1%( X線 10*10 100MU  M1使用 SSD100

% → 106.1(105~107.2) 4MV

% → 100(99~101)   6MV

% → 89.5'88.6~90.4( 10MV

校正'  /  ( '±1.5%(電子線  10*10コーン  線量率400/min

% → 94.5'93.1~95.9(4MeV

% → 93.3 (91.9~94.7)6MeV

% → 87.9'86.6~89.2(9MeV

% → 89.3(88~90.6) 12MeV

% → 93.5(92.1~94.9)15MeV

kV-CT結果x , y , z x , y , z x , y , z x , y , z x , y , z

iView スケール盤 G0

G270

FPD位置 XVI FPD'G0時(iView FPD'G0時(接触インターロック

Photon 4MV 6MV 10MV Electron inline Crosslineプロファイラー Size/center'in( / / / 4MeV※光十字盤で合わせる。 Flat(in) 6MeV

Sym(in) 9MeVSize/center'in( / / / 12MeV

Flat(cross) 15MeVSym(Cros)

毎朝と修理点検後に用いる。 週のQA結果も記入。これ1枚でだいたい流れがつかめる。

チェックメイトは 6MV-Xしかキャリブレーションしていない。その他は電子線も含め相対値を基準値としている。これだと好きなだけ繰り返せ、省略も可能。

Page 58: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 58

2013/3作成

故障事例

治療計画装置用のビーム測定時にも停止しないタフな装置

・水冷系の漏れ 2013.2

事実トランスの上に水が垂れていた。ホースの接続部分の切り方が悪かったらしい。

またフィルターの接続部分でも漏れが発生していた。 見えない部分で発生している可能性もある。あまり圧力をかけすぎるとダメ。毎朝の水漏れチェックは必要。

水が漏れるのは朝電源が入った時。 ポンプが回り始めた瞬間が危ない。

・MLCモーター

他施設で故障例があったらしい。 ごくまれな現象。当院で発生せず'半年(

・iViewの接触センサー 2013.5

戻りが悪い。向かって左側の上から2番目。

ピーピーと音がするが、インヒビットには何も表示されない場合、この現象が発生していると思われる。

・朝一番の出力安定性 2013.2~2013.6

出力しない状態で落ちる。この場合LCSのキーリセットが必要。

しばらく休んだ状態でも発生する。間が長く開いた場合には、臨床開始前に

kVウォームアップとともには出力しておいた方が良い。

出力直後のエラーを無視する時間と立ち上がり特性を調整すると改善する。

・ガントリー回転時のきしみ音 2013.6~

発生部位はXVI、iViewのFPD台座内のスプリング。構造上の問題。

・XVIのパネル位置センサー 2013.5~

マイクロスイッチの位置設定が微妙。

パネル位置はワイヤーの巻き取りで感知している。

・高圧変換部のダイオード破損 2013.5.1

整流部のダイオードが破断していた。アーク放電の焦げも見られ、東大病

院で発生した事例と同一の現象。レア事例とはいえ危険な兆候。ガラス管

に封入されているため火災は防げるが・・・

・ケーブルの固定を忘れた。

ダイオード破断の修理時、ドラムに固定すべきXVIのケーブルの処理を忘れていたため、ドラム回転時にコネクターが外れ撮影ができなくなった。日本仕様の地震対策部品にケーブルが引っかかりやすい。

■治療休止に至った事例

・整流トランジスタ破損による休止。朝2例目で発生。部品調達などで時間がかかり翌日午後に交換修理完了。

加速管系での停止はない。定在波型だともっと初期エラーが多かった印象があるが、進行波型は安定が良い。

2013.6

要観察

2014.4時点未決

2014.4時点 解決

調整によって対応できる

2014.4時点

対策しだい

2014.4時点

対策しだい

接触センサーが異常作動し、半日停止していた事例。 リモートでは判別できない部位。

通信系のエラーは再起動で治る。

Page 59: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 59

2013/3作成

設置1年内で発生した大きな故障

水漏れ 2013.2 アクセプト後に発見。以後1年半たっても改善しない。

最初はこの部分。 高圧トランスの上に漏水の跡がのこっている。漏電しなかったのは偶然。週に1~2減尐していた。この時の対策としては設置時の水ホースの接続が甘いのではないかということでチューブの端を専用ツールで切断しなおして取り付けた。 その後週0.2も減らない状態が続く。

2013.9 定期点検後1日0.2~0.3抜けるようになった。 金属部分の

つなぎ目が濡れていることに気付きパテによるシーリングをおこなった。 その後週に 0.2~0.4程度で収まっていた。

2014.2頃から週0.5 2014.3末には週0.9の抜けを認める。

2014.4.14 パテ埋めした部分に水漏

れの痕跡を発見。追加のパテ盛り+タオルで包んで対策を行うが、全く改善しない。週1以上抜ける。タオル地は湿っているのでここが原因だとは思うがもしかして別部位にあるのかもしれない。

2014.5.14 改善していない。

回転構造体に組み込まれた水冷システムは弱い部分のひとつ。漏電にもつながるため朝チェックは欠かせない。

2013.5.1 臨床開始直前 ダイオード破損により出力しなくなった。東大の高圧部火災と全く同じ状況。エレクタ、東芝共に回答はあいまい。誠意なし。

国内在庫が唯一1本あった。

アーク放電の痕跡

2014.2.26 コリメータヘッド取り付け部のボルト落下。

カラカラと音がしていたのでカバーを外すとボルトが落下してきた。8か所中脱落が1か所、ゆるんでいたものが1か所。他は大丈夫。

東芝だから?

点検時確認を要求した。

この事象によって照射休止になったことはないが、大きな故障の原因にはなりうる。

2014.5.14

Page 60: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 60

2013/3作成

エレクタ特有の業務形態 2013/8/20

これまで三菱、シーメンス機器の経験しかないが、それらの業務との比較をおこなう。

・フットファーストが減った

奥行が深く10cmほど余分に狙える。このため恥骨付近がアイソセンターのプランで苦労していた患者方向が、ほとんど問題なくヘッドファーストで行える。

・2D撮影は苦手

原因としては被ばくもあるが、画像の悪さ'MV(があげられる。シーメンスのフィルターは非常に優秀であった。 数値として表示されず時間もかかる。 照射野形状の確認 として初回治療前だけに使用している。

・ハーフビームに注意

ヘッドダレが1.2㎜あるため乳房鎖骨上窩プランなどでは注意している。

・こまめにウォームアップ

2時間くらい間が空くと平気で出力が落ちる。再開後はすぐに回復しているが、ビーム、kV管球とこまめにウォームアップが必要

・パネルは出したまま。

kV照合用のパネルは展開させ退避状態で治療。 CTはS20ハーフビームで十分。被ばく量を低減させるため線量を低下。前立腺ではS10を使用し線量を増加。

・接触機構は有効

エレクタはあらゆるところに接触機構がついている。復帰も楽。安心できる。

・レーザーセッティングと影セッティング

機械的特性の弱さからしかたがない。QA時に気を付けている。

・役に立たないデプスポインター

見えにくいのもあるが、幾何学特性からもともと距離があっていない。

・プラン選択

モザイクのカレンダー機能により事前に照射するプランの予定を組み込むため、当日どのプランを落とすのかで悩むことが尐ない。反面、休みや変更は大変。

・回転が速い。

ガントリー回転、コリメータ回転などが非常に速い。 しかしIMRTオプションが導入されていないためオートシークエンスが自動でできない。

・QA上の特徴

MLC精度や平坦度などは非常に良いが、線量校正などドーズ系は不安定か・・・

開放型チェンバーとか気圧計とかに関係しているのか?

・コントローラー類

いわゆるペンダントと呼ばれるものはなく、壁にモニターとコントローラーがあるが慣れると気にならなくなる。むしろ情報量が多いので重宝する。

・レーザーマーク中心

以前は照射野形状を確認したりしていたが、CT照合重視、カレンダー機能によるプラン選択などによりレーザーマークのみを利用するようになった。

・故障が尐ない

致命的な故障は、電源部のダイオード破損くらい。他は適度に復旧できる。インテリマックスはそれほど役にたたないが確かに活用はされている。 装置としては優秀。

Page 61: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 61

2013/3作成

12法による校正証書

我〄の施設は12法による校正の初期ユーザーだったと思う。2012年9月ごろから開始されたと記憶している。

2014.4.17 1年半ぶりに校正をおこなった結果PPC40の数値がかなり動いた。

2012.10.29 2014.4.17

PPC40 0.0896 0.0889 変動 0.8% 従来よりも多く照射される

PPC3013 0.0540 0.0539 変動 0.2% 誤差範囲か

これらは校正手順の成熟によって発生した差なのか、電子線水中測定の難しさなのか。

01法から12法で電子線は2%程度多くなっている。それに加えて今回0.8%。

0.1法のままと比べると3%ほど上昇することになる。日〄のQAっていったい何してるんだという気持ちは抑えられない。

2014.5.14追記

Page 62: 鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期特性 …...鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 3 2013/3作成 幾何学特性 エレクタシナジーは ドラム型ガントリーによる構造的な独特な特性を保有している。これらの理解を正しくおこない今後のQAにいかさなければならない。

鳥取県立厚生病院 Elekta Synergyの初期性能 62

2013/3作成

エレクタとバリアンの違い 2014.5.19

装置特性の理解のため作成した本書類だが他機種と対比することで特性がより鮮明になる。

表に示した数値は概算でありイメージしやすくする目的で記載。

エレクタ

バリアン

ix True

形状 ドラム型 L型?スタンド型? 新設計

加速管 進行波 定在波

モニター 開放型 密封型

調整 デジタル アナログ デジタル

機械特性 弱い 強い 更に強い

SI'ヘッドダレ( 1.2mm 0.7mm ??

IC基準 Radiation isocenter Mechanical isocenter ※option RIC

レーザとMIC 1.5mm 0mm ?

RICとMIC 1.5mm 0.3mm ?

レーザとRIC 0mm 0.3mm ?

ウェッジ 内蔵60度+open ソフトウェアウェジ&Hard Wedge

コリメータ回転 360度 270度

MLC位置 カメラ'信頼高( ポテンション'??)

照射野光 常時点灯 必要時

2D照合 △'使えない( メインの照合方法

CT照合 メインの照合方法 高精度で実施

CT照合時間 +2~3分 +??分

照合線量 診断の1/5 診断の1/2

故障

QA

'正式名称不明(

高さの

違い

前立腺 200° バリアンの線量は多め

バリアンに比べるとエレクタは機械的な剛性で务るし、RIC基準特有の様〄な問題を抱えている。しかし実際の臨床上の問題はほとんどない。アイソセンター距離の変化による線量変動が0.3%ほど生じる。SI方向の差もマージン内で納められる。QAの時に神経を使う程度の問題。

計画時の注意点はほとんどない。コリメータが360度回るおかげで制限を気にせずプランできる。

エレクタはCT照合専用マシン。被ばく量も尐なくスループットに影響を与えない。ハーフで十分。

パネルQAもキャリブレーションだけでそんなに気を遣わなくても良い。

サービスは東芝が行っている。サービス網は充実しているがもう2~3年は成熟するのに必要か。バリアンは精度によって価格が異なる。'2014時点(

装置としては非常に安定している。水回りの信頼性が低い。水圧のチェックは欠かせない。

電気系の接続エラーが多いと聞く。原因不明も多く長引くことも。

不明。フルデジタル。ログだけ?

MLCは独立したカメラコントロー

ルなので非常に優秀。点検後に線量が動くことがある。点検後QAは欠かせない。線量の安定性は疑問。加速管?チェンバー?

MLCはポテンション誤動作などのチェックが

欠かせない。キャリッジ自体のズレなど多くの照射野系QAが必須。

2D照合中心だとFPDのQAが重要。