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卒業論文 複素係数フィルタの設計 電子基礎研究室 藤吉啓一 平成 14 3 22

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卒業論文

複素係数フィルタの設計

電子基礎研究室藤吉啓一

平成14年3月22日

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目次

1 序論 2

1.1 目的 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 2

1.2 本論文の構成 • • • • • • • • • • • • • • • 2

2 複素係数フィルタ[2] 3

2.1 原理................................... 3

2.2 複素リープフログ[1] . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

3 複素有極フィルタの構成 7

3.1 有極フィルタの変換 • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • • 7

3.2 複素有極フィルタの構成........................ 8

3.3 構成例.................................. 13

4 結論 15

1

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1 序論

1.1 目的

実係数フィルタは原理的に周波数w=Oに関して正負の周波数で応答が対称で

あるものしか実現できないのに対して,複素係数フィルタは正負の周波数で応答

が異なるものも実現可能である.

この複素係数フィルタの性質を有効に利用した例として,イメージ混信除去法

が挙げられる.従来のイメージ混信除去方法に関して, IF周波数を RF周波数よ

り高くする方法やイメージ周波数に対する RFトラップによる方法が挙げられる.

しかし,これにはそれぞれRF周波数が高くなるほどIF段以降の回路実現が困難

である, RF信号帯域内にあるイメージ周波数成分が除去できないといった欠点が

ある.これらの方法とは異なり,複素係数フィルタを用いた場合は, RF信号に複

素正弦波を乗算することで得た複素IF信号に対して, IFフィルタとして複素係数

フィルタを用いることで, IF周波数を RF周波数より低く,かつ, RFトラップな

しでイメージ混信除去が可能であり,有効なイメージ混信除去方法である[1].これまでの複素係数フィルタの研究[1][2]では,無極フィルタのみを扱っており

有極フィルタについては取り上げられていない.有極フィルタは大きな減衰量,減

衰傾度を得ることができるためイメージ混信除去においても有効である.しかし,

有極フィルタを RC能動フィルタで実現する場合,無極フィルタに比べてオベアン

プ所要数が多く,高次になるほど消費電力が増大する問題がある.

そこで本研究では,実フィルタにおける回路の等価変換をもとにオベアンプの

所要数を少なく抑えた複素有極フィルタの設計について検討する.

1.2 本論文の構成

本論文は第 1章から第4章までの構成となっている.ここでは,各章の概要に

ついて説明する.

第1章では本研究の目的を明らかにする.

第2章では,複素係数フィルタ設計における周波数シフトについて,及び\オ

ベアンプを用いた複素共振器,複素リープフログについて述べる.

第3章では,オペアンプの所要数を少なく抑えた複素有極フィルタの構成につ

いて述べる.

第4章は本研究の結論である.

2

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複素係数フィルタ[2]2

原理

ここでは,複素係数フィルタの設計法の 1つである周波数シフト法について説

明する.

図1のようにフィルタの周波数特性を凶だけ周波数シフト(平行移動)するこ

とでw=0に関して対称性をもたない複素係数フィルタを設計する問題を考える.

2.1

gain(DB)

実係数フィルタ

複素係数フィルタ

frequency(Hz)

,r

\、

仙一十

lノ

r

図 1:フィルタ特性

基準となる実フィルタの伝達関数万(s)を凶だけ周波数シフトすると,シフト

後の伝達関数は H(s-jw8)となる.このように実フィルタから複素係数フィルタ

へと伝達関数を周波数シフトさせるには, R,Lρ を

(1) 、E

BltztEEEEノ

Lc

eueu

ωω

ヮーィJ

.qJ

i

一一

一Q

U

Q

U

R

↓↓

Lc

g

L

Q

U

とすればよい.これは実フィルタのL及びCに仮想素子である虚数抵抗品及び虚

数コンダクタンス Giとして

(2) Ri = -jwsL l Gi = jwsC J

なる値を付加することで構成できる.このように,実係数フィルタの伝達関数の

各次数の係数を複素数に拡張することで複素係数フィルタが得られる.実フィル

タから複素係数フィルタに周波数シフトした時の各素子R,L,Cを図2に示す.

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R R 日愉4 →叶ト

Z=R Z=R

L L f3.i = -j Wsl

o--JW--o ー・静

Z=sl Z=(s -j ffis )L

c c

日寸卜--0 ー静

Y=sC Gi=-j msC

Y=(s-jms)C

図 2:R、L、Cの複素素子

2.2 複素リープフログ[1]

前節で述べた虚数抵抗及び虚数コンダクタンスは複素係数フィルタである LCRRi

回路網の重要な構成要素であるが,実在しない仮想素子である.この節では,虚

数抵抗及び虚数コンダクタンスを含むはしご形回路を RC能動フィルタで実現す

る方法として複素リープフログを説明する.

ー--ーー四回目4・・ 問問ーー--

v6

図 3:はしご形回路

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ここでは図 3のようなはしご形回路を例に説明する.各枝路の電圧と電流の関

係を示す.

(3)

(4)

(5)

(6)

(7)

(8)

日(Vi一九)

Z2(I1ーん)

ち(九-%)

Z4(f3 -h)

九(九%)

Z5fs

hv日

hv叫ん

%

この回路をすべての変数が電圧である RC能動フィルタで実現する時,電圧を

使用して電流をシュミレーションしなければならない.そこで,記号をんから竹1

というようにそれぞれ置き換える.また,各ブロックはRCオベアンプの伝達関数

によって実現されるため,記号を Yiから Hれというようにそれぞれ置き換える.

置き換えた式は次式となる.

(9)

(10)

(11)

(12)

(13)

(14)

Hれ(Vi一九)

Hz2(Vi1 1う3)

H巧(九-%)

Hz4(Via Vi5)

Hぉ(九一%)

Hz61-う5

v同九V叫

V吋

この式から,この回路のブロック図は図4のようになる.この形の回路をはしご

形回路から導かれたリープフログ回路という.Hy1~Hz6の伝達関数を RC能動回

路で実現することで図 3のようなはしご形回路をシミュレーションすることがで

きる.

v6 V1

図 4:はしご形回路のブロック図

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このリープフログ回路は実フィルタだけでなく,前節で説明した虚数抵抗及び虚

数コンダクタンスを付加した複素係数フィルタにも適用できる.これを複素リープ

フログという.複素リープフログにおいて,各ブロックの複素伝達関数を実現する

手段としてオペアンプを用いた複素共振器と OTA(Operational Transconductance

Amplifier)を用いた複素共振器があるが,ここではオベアンプを用いた複素共振

器について述べる.

オペアンプを用いた複素共振器の構成を図 5に示す.この回路の入力は,上側

の入力端子に加える信号を Vとすると,下側の入力端子は goo位相のずれた信号

jVを入力する.このように, Iつの信号から gooの位相差を持つ2つの信号を作

る手段としては,例えば,図6のように互いに gooの位相差を有する局部発振信号

を使った 2つの乗算器による方法,ポリフェイズフィルタによる goo移相器を用い

る方法などがある.

こうした信号を入力信号とする複素共振器の伝達関数は

(15) 1

- CRt(s十合-j合)H(s) =一一一」 R

sしftt十言-j号

となり,実伝達関数H(s)=一例s:訪)の極-誌を S平面の虚軸方向へ+誌

だけ周波数シフトした複素伝達関数となる.

この複素共振器によって各ブロックの伝達関数を実現することで複素係数フィ

ルタを構成することができる.

実部入力 V

虚部入力 jV

図 5:複素共振器

円実部出力

RF信号V

ω虚部出力

cos由 t

sin白 t

実部信号

虚部信号

図 6:複素信号を得る回路例

6

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3 複素有極フィルタの構成

RC能動フィルタの欠点にオベアンプ所要数の多さがあげられる.これは複素係

数フィルタの場合も同様であり,消費電力の増大へとつながる.そこで,次節で

示す実フィルタにおける回路の等価変換をもとに,複素有極フィルタのオペアン

プ(複素共振器)の所要数を少なく抑えた構成を示す.

3.1 有極フィルタの変換

図7の3次有極実係数フィルタについて説明する.回路の状態変数である節点

電庄町?%と Lを流れる電流hを保存するように回路を等価変換する.

C2

Vo .. 目白同司田由

A

U

M一TLrl前

日引

図 7:3次有極はしご形フィルタ

節点Aにおいて,キルヒホッフの電流則より次式が成り立つ.

11α十lib=ん+ん

sC1V1十SC2(同一%)=ん+12In -I・っ C明

日 二 υ £, +(一二!:_______)Vis(C1 + C2) C1 + C2

節点Bにおいても同様に,キルヒホッフの電流別より次式が成り立つ.

I3α+ I3b = h + I4 sC3九十SC2(九- Vi)=ん+I4

Iヮ-IA Cっ. v.; = £, 生 +(一二!:_______)Vis(C2 + C3) C2 + C3

(16)

(17)

これらの式により,図7の等価回路である図8の回路を得る.この図8の回路を能

動RC回路で実現する場合,図7の回路の場合より伝達関数志の分だけオペアン

プの数が少なくて済む.この回路の等価変換は複素有極フィルタにも適用できる.

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Vo .‘ーー同-帽

V2 骨一一一回 12

HU

O

V

aallll1111111

qL R

図 8:等価回路

3.2 複素有極フィルタの構成

ここでは図9のような 5次の複素有極フィルタを例に説明する.

図9の回路を前節で述べた等価変換を用いると図 10の回路となる.

各枝路の関係は,次のようになる.

1 ん口一(V -Vi)

R1 1 C2

= (s -jws)(C1 + 02) (Io -h)十 C1+C2 九

1 = ( )L (Vi -Vi)

S - )Ws 1

1 1合 (s -jws)(C2 + 03十04)(hーん)

C2 04 十C2十C3+C4日ム+ C2 + 03十C4h

1 = ( )L (Vi一%)

S - JWs 2 1 04

= (s -jws)(C4 + 05) (I4 -I凶 t)+ 04 + 05 Vi 1 1

lout = Vout二%R2 R2

(18)

(19)

(20)

(21)

(22)

(23)

(24)

これを RC能動フィルタで実現する際,伝達関数古本は積分器を必要としな

いためそれぞれ式(19)ぅ式(23)の伝達関数に含ませることができる.したがって,

式(18)を式(19)に,式(24)を式(23)に代入する.また, RC能動フィルタの変数

はすべて電圧であるため,記号を電流から電圧に置き換えると同~巧は次のよう

になる.

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G;2 G~

R11 = jWsl R12 =-jwsl Gi1 =-jwsC1 Gi2 =-jWs C2 G;3 =-jWsCJ G14 =-jWsC4 Gis =-jWs Cs

C2 C4

Vo

4一一一ーーV2

L1 Ri1

V4

L2 R;2

図 9:5次複素有極フィルタ

V2

し R11 loci

v. L2 R12

V3

AIH--

nm

l宝干|V

且且EEBB-

EEBB-

図 10:等価変換後の 5次複素有極フィルタ

V1 l {V -Ri1'う2

+ sC2R1 ¥13 + WsC2R1(-j¥;3)} (25)

(26) lう2 1 (同一%)(s -jws)L1

1 {竹2- 1う4十 sC2Vi

十W8C2(-jVi_)+ sC41も+W8C4( jV[;)} (27)

(28)

Lも

lう4 1 (V4一九)(s -jws)L2

l {R21'う4+ sC4R2九十W8C4R2(-j九)} (29) l告

g

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この式から, V1,九?%については図6の複素共振器に 1つ,または2つの入力を

加えることができればよいことがわかる.

例として,%の式(27)について説明すると,入力巧2'竹4に接続されている抵抗の

値を Rtとしたとき,入力九九にはそれぞれ号?誌のコンデンサ,入力一j九一j%

にはそれぞれ」L 」ι の抵抗を接続すればよい.図6の複素共振器にこれらの素sC2 'wsC4

子を付加した回路構成を図 11に示す.Vi,,V5についても%と同様に図6の回路に

新たな入力を加えた複素共振器を用いる.これにより,構成された 5次複素有極

フィルタ全体の回路構成を図 12に示す.この回路構成は,等価変換を行ったこと

により,等価変換前である図9の回路を RC能動回路で実現したものに比べ,必要

なオペアンプが8傭(複素共振器2個分)減ったことになる.これは,割合で表す

と会のオベアンプ削減となる.

ここで,フィルタの次数と複素共振器の減少数の関係を表1に示す.これによ

り,オベアンプ所要数を約2~3割減らせることがわかる.また,同次数である複

素無極フィルタと複素有極フィルタは,同所要数のオペアンプで実現できること

がわかる.

表 1:フィルタの次数と複素共振器の数の関係

|フィルタの次数nl 複素共振器の減少数|

1 or 2 日

3 or 4 1

5 or 6 2

7 or 8 3

n(偶数)n 2

2

n(奇数)n-l 2

10

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Via

-Vl2

mMmR

Cu

jV1

-jVs

Vs

V1

Rt -jVl2

Rt jV lo

Rt

図 11:6入力端子複素共振器

11

V3

jV3

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3.3 構成例

前節で述べた構成を確認するため,構成例として5次複素連立チェピシェフフィ

ルタを SPICEによりシュミレーションする.

ここでは,遮断周波数3[kHz]の 5次連立チェピシェフフィルタを+3[kHz]周波

数シフトした構成を例として示す.図 9における回路の素子値は表2のようにな

る.この値をもとに,図 12のRC能動フィルタにおける素子値を表3のように設

定した.

SPICEでは負の周波数はシュミレーションできないため,以下に示す方法でシュ

ミレーションをおこなった.複素係数フィルタの入力である goo位相差のある信号

をcoswt ,sin wtとしたとき,これに負の周波数-ωを代入すると次のようになる.

cos(-w )t = cos wt l sin(-w)t = -sin wt J

(30)

この式より, SPICEで複素係数の負の周波数応答をシュミレーションするには,実

部入力の位相を基準としたとき 虚部入力の位相は-90° または 270° とすればよ

いことがわかる.

SPICEで正負の周波数応答をシュミレーションした結果を図 13,図 14に示す.

表 2:図 9の回路における素子値[3]

|素子| 素子値 ||素子| 素子値

R1 l[D] R2 l[D]

C1 18.148[μF] Gil ーj0.342[μD]

C2 64.015[μF] Gi2 ーjl.207[μ口lC3 67.418[μF] Gi3 ーjl.27l[μD]

C4 17.033[μF] Gi4 一j0.321[μD]

C5 39.482[μF] Gi5 サ0.744[μD]

Li 28.871[μH] Ril 刊 544[μD]

Lz 55.665[μH] R泣 ーjl.049[μD]

13

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表 3:図 11の回路における素子値

素子値 ||素子| 素子値 ||素子 素子値

R l[D] Rn 82.163[0] Rt2 28.871[0]

flt3 148.466[0] Rt4 55.665[0] Rts 56.515[0]

九1~~ 53.053[0] 九1 82.163[0] 凡;5 56.515[0] 生l 82.163[0] 旦主旦 56.515[0] 一皇Lー 68.029[0] R, Rっ WoCっRi

l主昌一 123.039[0] 品主ー 462.426[0] _fl込ー 176.024[0] W.oCっ WoG4 WoGJ.Ro.

Cui~Gus l[μF] 豆品L 0.779[μF] Sh,ι 0.431[μF] Rn R,3

~ 0.115[μF] G主主 0.301[μF] R.o R+5

素子

[∞刀]

Z一〈の

20

FREQUENCY[kHz]

4 80 0

図 13:シュミレーション結果(正の周波数応答)

14

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M

a

t12

’t’’E

’EaE

’’’’FE

---’’r

’’E

’L

’’’’’』F

’’BEara

’sa

M

M

M

M

R

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--叶EE「

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M

M

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B

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i

g

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m

-M

M

E

M

a

a

a

J

E

l

l

i

v

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ω

M

4

R

m

l

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g

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l

l

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E

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l

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時開

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1

E’EE

目目FE

U

U

白てコz -40 ・-〈。

20 16 12

FREQUENCY[kHz]

8 4 -80

0

図 14:シュミレーション結果(負の周波数応答)

結論

本研究では,複素係数フィルタのRC能動回路による構成原理,及び,複素有極

フィルタのオベアンプ所要数を少なく抑えた RC能動回路の構成方法について述

べた.

この提案した回路構成は,結果的にオベアンプ所要数を減らす代わりに抵抗,

ンデンサの所要数は増加してしまった.しかし,構成例として挙げた 5次複素有

極フィルタでは会の割合でオベアンプを減らすことが可能であった.また,他の

次数の複素有極フィルタにおいても約2~3割のオペアンプを減らすことが可能で

ある.したがって,消費電力の増大が大きな欠点である RC能動フィルタにおい

て,特にオベアンプ所要数が多い複素有極フィルタの消費電力を軽減させる手段

としては有効であったと考えられる.

また,この提案した回路構成は,同次数において複素無極フィルタと同じ所要

数のオペアンプで複素有極フィルタが実現可能である.つまり,同所要数のオペ

アンプで,複素無極フィルタより大きな減衰量,減衰傾度を有したフィルタ特性

を得ることができるという利点がある.

これらの点から,本研究で提案した回路構成は複素係数フィルタが利用される

イメージ混信除去などに有効であると考えられる.

15

4

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謝辞

本研究を終えるにあたり,ご指導,ご鞭提を頂いた谷本洋教授,並びに柳沢英

人助手に深く感謝申し上げます.また,数多くの助言を頂きました院生の林誠さん,

福良純也さん,一年間お世話になった同研究室の方々にも感謝申し上げます.さら

に,谷本教授を通じて星川氏の論文[1]をご提供頂いた武藤浩二先生(当時,詫間

電波工業高等専門学校助教授)に深謝致します.

参考文献

[1] 星川博;複素係数フィルタを用いた集積化イメージ除去システムの構成に関

する,研究詫間電波工業高等専門学校卒業論文,平成 13年3月

[2] 強瀬敬司;複素係数フィルタの研究,北見工業大学修士論文, 1994

[3] 今田悟,深谷武彦;実用アナログ・フィルタ設計法, CQ出版社, 1989

[4] M.E.VAN VALKENBURG (柳沢健監訳);アナログフィルタの設計 ,秋

葉出版, 1985

[5] 武部幹,岩田穆,国枝博昭,高橋宣明;スイッチトキャパシタ回路,現代工

学杜, 1985

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