物理化学Ⅰ 第01回 2019P - Takahashi Lab · 物理化学Ⅰ第1回2019/06/13 ......
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波と粒子の二重性波と粒子の二重性波と粒子の二重性
物理化学Ⅰ 第1回 2019/06/13
医薬保健研究域薬学系医薬保健研究域薬学系
活性相関物理化学活性相関物理化学
髙橋髙橋 広夫広夫
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講義スケジュール
6/21(6/21(金金) 08:45) 08:45--10:15 10:15 原子価結合法と原子価結合法と混成軌道混成軌道
6/14(6/14(金金) 08:45) 08:45--10:15 10:15 シュレーディンガー方程式シュレーディンガー方程式とと量子数量子数
6/27(6/27(木木)) 08:4508:45--10:15 10:15 分子軌道法分子軌道法
6/13(6/13(木木) 08:45) 08:45--10:15 10:15 波と粒子の二重性波と粒子の二重性・・前期量子論前期量子論
6/20(6/20(木木)) 08:4508:45--10:15 10:15 シュレーディンガー方程式と化学結合シュレーディンガー方程式と化学結合
6/28(6/28(金金)) 08:4508:45--10:15 10:15 静電相互作用・ファンデルワールス力静電相互作用・ファンデルワールス力
7/04(7/04(木木)) 08:4508:45--10:15 10:15 疎水性効果・電磁波疎水性効果・電磁波
7/05(7/05(金金)) 08:4508:45--10:1510:15 講義講義((前半前半))++試験試験((後半後半))
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量子化学
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微視的(ミクロ) (分子の速度や運動量)
巨視的(マクロ) (圧力、体積)
微視的な世界では、日常生活の「常識」は通用しない
量子論
量子化学
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・小さいものほど量子論的な効果が大きい。
・物質の性質はほとんど電子で決まる。
→ 電子を扱う場合には量子論が必要。
→ 化学には量子論が必須。
量子論
正確には
「 運動量が小さいもの ほど」
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本日のお題
• 量子化
• 波と粒子の二重性
• クーロン力
• 原子の構造
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連続と離散
→ その物理量はどんな値でも取る
ある物理量が離散
(身長、体重、温度、速度)
(サイコロの目、人数、ビー玉の個数)
ある物理量が連続
→ その物理量はある決まった値しか取れない
量子化
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・これまでに習ってきた内容
エネルギーは連続
1 J でも1.1 J でも1.0000001 J でも
エネルギー
エネルギー
力や距離を調節すればどんな値でも可能
=力×距離 なので、
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・現実
エネルギーは離散のこともある
どんな値でも取れるわけではない
エネルギーがビー玉のように「かたまり」として存在しているように振る舞う
→ エネルギーの量子化
■理由:
例:水素原子中の電子のエネルギー3.03 x 10-19 Jの次は4.09 x 10-19 J
エネルギー
・これまでに習ってきた内容
すべての物質が 波の性質と粒子の性質の両方を持っている ため
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・波:パターンが空間を伝わること
干渉性:重ね合わせが起こる
・粒子:かたまり
独立性:重ね合わせが起こっても通り過ぎればもと通り
エネルギーや運動量を持った「つぶ」
数えられる
波と粒子
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すべてのものは
粒子が波打ちながら移動 粒子の中に波が入っている
・波だと思われていたものが粒子として振る舞う
・粒子だと思われていたものが波の性質を持つ
波と粒子の二重性
波の性質と粒子の性質の両方 を持っている
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物体がここにある
空間
①
空間
②
物体がここにある
ここにあるかもしれない
物体が”存在する”ということ
ここにあるかもしれない
かもしれない
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・観測技術が発達していないからではなく、
実際は②
→ すべての物体は 確率的にしか存在していない
物体が”存在する”ということ
空間
②
物体がここにある
ここにあるかもしれない
ここにあるかもしれない
かもしれない
本当にどこにあるのかわからない
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確率
(の
よう
なも
の)
位置
この位置に存在する確率はこのくらい
この位置に存在する確率はこのくらい
この位置に存在する確率はこのくらい
物体の存在確率を波としてグラフにすると
どれくらいの確率でそこに存在しているのか
しかし、日常生活で波動性を実感しない
→巨大な物体では、横軸が極めて短いからである
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Youngの実験
光は 干渉性 がある
→ 光は波
光は波か粒子か?
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・飛び出す電子の数は 光のエネルギーではなく強さ(振幅) に比例
・どんなに強い光でも 波長が長い と飛び出さない
・どんなに弱い光でも 波長が短い と飛び出す
光電効果
光は波か粒子か?
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・強さ(振幅)を大きくしても電子が飛び出さないのは変
光が波だとすると
・弱い光でも電子が飛び出すのは変
→ エネルギーが閾値を超えない と飛び出さない
→ 光の強さ(振幅)は光の粒(光子)の数
→ 波長の長い光は低エネルギー、短い光は高エネルギー
光は波か粒子か?
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光は = hν のエネルギーを持った 粒
h : プランク定数
ν: 振動数
→ 光は波でもあり粒子でもある
光量子仮説
アインシュタイン
光は粒子である
しかし、Youngの実験 から波であることも証明されている
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荷電粒子間には力が働く
・正電荷と負電荷
・正電荷と正電荷
クーロン力(静電力・静電気力)
+ -
+
+
-
-
・負電荷と負電荷
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1 2:粒子の電荷の大きさ
:粒子間の距離
荷電粒子間に働く力は、 電荷の積 に比例し、
: 荷電粒子間に働く力の大きさ
: 比例定数
ε0 :真空の誘電率
q1 q2
クーロンの法則
F kq1q2r2 k
14πε0
粒子間の距離の2乗 に反比例する。
経験即
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既に電荷1 が存在している場所の近くに
クーロンエネルギー(クーロンポテンシャル)
1 2
電荷2を置いたときに、
電荷2が獲得するエネルギーの大きさは
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原子は陽子・中性子・電子からできている
→ どんな形で?
葡萄パン モデル 長岡・ラザフォード モデル
+--
--
+-
正電荷の霧の中に負電荷が存在原子の中心にある正電荷
の周りを負電荷が回る
原子の構造
19世紀末~20世紀初頭の仮説は2つ
中性子は未発見なので+-のみ 遠心力で落下を防ぐ
これ以外のモデルは正電荷・負電荷のクーロン力 で引き寄せられてぐちゃぐちゃに
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+--
--
+-
物質に放射線をぶつけてみて検証
全部通過 一部散乱
長岡・ラザフォードモデルが良さそう
実際
ラザフォードの実験
葡萄パンモデル 長岡・ラザフォードモデル
→ほとんどが通り抜けるが、一部が散乱 する
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電子がぐるぐる回る
電磁波はエネルギーを持っている
∴
原子核の周りを電子がぐるぐる回っているのだとするとエネルギーがどんどん減っていくはず
現実には勝手に減っていったりしない
どういうこと?
-+ -→ 電磁波が放出される
→ エネルギーが放出される
長岡・ラザフォードモデルの問題点
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-+ -動いているのは電子のみ
ボーアは、
→原子のエネルギーは「軌道」のみに依存
ボーアモデル
電子が特定の「軌道」のみを通る ため、
原子は、 特定の振動数 の光しか吸収しない
なぜ?
だと考えたボーアモデル
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-+ -
エネルギーは特定の値しかとれない
rボーアの量子条件
r:「軌道」の半径
m :電子の質量
v :電子の速度
n :整数
エネルギーは とびとびの値(離散) になる
ボーアモデル
π×
h :プランク定数
=量子化
電子が特定の軌道のみを通るため特定の振動数のみ吸収
実験結果にあうように立てた式
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ド・ブロイの考え
光は粒子と波の両方 の性質を持っている
電子も光と同じ性質をもっているのでは?
ド・ブロイ波
ボーア なぜ電子が特定の軌道のみを通るのかは分からない
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電子が波の性質を持っていたらどうなるか
ちゃんとスタート地点に戻らないと波として成立ない
ちゃんと一周できるような波しか存在できない
限られた波長の波 しか存在できない
ド・ブロイ波
定常波 非定常波
原子核 原子核
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限られた円周の「軌道」しか存在できない
(n: 整数 , λ: 波長)
(m: 物体の質量)
だとすると、ボーアの量子条件と同じ式
ド・ブロイの結論
「物質は 波長λ=h/mvの波 である」 波と粒子の二重性
ド・ブロイ波
π r λ
物体が波として振る舞ったとき、その波をド・ブロイ波とよぶ
λ
大きな物体の波長は短く観測不可観測できる長さの限界がある
波長は存在しないと等価
円周が飛び飛びの値
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電子の何が波?
電子を1個づつ照射して二重スリットを通過させる
電子は波だった
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一方のスリットを通過した電子は何と干渉するの?
今回電子を1個ずつ照射している
→同時に2つのスリットを通過したと考えるしかない
波は干渉する
→つまり電子は波だった
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物体がここにある
空間
①
空間
②
物体がここにある
ここにあるかもしれない
物体が”存在する”ということ
ここにあるかもしれない
かもしれない
→ すべての物体は確率的にしか存在していない