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1 / 18 三協化学株式会社 SDS エタノール 安全データシート(SDS) エタノール 作成日 2019 年 11 月 1 日 1.化学物質等及び会社情報 化学物質等の名称:エタノール 会社名 :三協化学株式会社 住所 :〒461-0011 愛知県名古屋市東区白壁 4 丁目 68 番地 電話番号 :052-931-3111 FAX番号 :052-931-0976 緊急連絡先 :052-931-3111 担当部門 :技術部 中村 喜一郎 推奨用途 :工業用の溶剤、洗浄剤。 2.危険有害性の要約 GHS分類 物理化学的危険性 引火性液体 区分2 健康に対する有害性 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 生殖毒性 区分1A 特定標的臓器 全身毒性(単回曝露) 区分2(中枢神経系、全身毒性) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 特定標的臓器 全身毒性(反復曝露) 区分1(肝臓) 区分2(血液系、神経系) 環境に対する有害性 絵表示又はシンボル 注意喚起語 危険。 危険有害性情報 引火性の高い液体及び蒸気。 強い眼刺激。 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。 臓器(中枢神経系、全身毒性)の障害のおそれ。

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三協化学株式会社 SDS エタノール

安全データシート(SDS)

エタノール

作成日 2019 年 11 月 1日

1.化学物質等及び会社情報

化学物質等の名称:エタノール

会社名 :三協化学株式会社

住所 :〒461-0011 愛知県名古屋市東区白壁 4 丁目 68 番地

電話番号 :052-931-3111

FAX番号 :052-931-0976

緊急連絡先 :052-931-3111

担当部門 :技術部 中村 喜一郎

推奨用途 :工業用の溶剤、洗浄剤。

2.危険有害性の要約

GHS分類

物理化学的危険性 引火性液体 区分2

健康に対する有害性 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A

生殖毒性 区分1A

特定標的臓器 全身毒性(単回曝露) 区分2(中枢神経系、全身毒性)

区分3(気道刺激性、麻酔作用)

特定標的臓器 全身毒性(反復曝露) 区分1(肝臓)

区分2(血液系、神経系)

環境に対する有害性

絵表示又はシンボル

注意喚起語 危険。

危険有害性情報 引火性の高い液体及び蒸気。

強い眼刺激。

生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。

臓器(中枢神経系、全身毒性)の障害のおそれ。

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眠気又はめまいのおそれ。

呼吸器への刺激のおそれ。

長期又は反復曝露による臓器(肝臓)の障害。

長期又は反復曝露による臓器(血液系、神経系)の障害のおそれ。

注意書き【安全対策】

すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。

この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。

熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。-禁煙。

防爆の電気機器、換気装置、照明機器を使用すること。

静電気放電や火花による引火を防止すること。

個人用保護具や換気装置を使用し、曝露を避けること。

保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。

ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。

取扱い後はよく手を洗うこと。

環境への放出を避けること。

【救急処置】

火災の場合には適切な消火方法をとること。

吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。

吐かせないこと。気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。

飲み込んだ場合:無理して吐かせないこと。直ちに医師の診断、手当てを受けること。

眼に入った場合:水で数分間、注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易に外せる場合

は外して洗うこと。眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。

皮膚(又は毛髪)に付着した場合:直ちにすべての汚染された衣類を脱ぎ、多量の水と石鹸で

洗うこと。

曝露又はその懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。

【保管】

容器を密閉して涼しく換気の良いところで施錠して保管すること。

【廃棄】

内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。

国/地域情報 15.適用法令の項を参照。

3.組成、成分情報

成分名 CAS番号 濃度(WT%)

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イソプロピルアルコール 67-63-0 5

メチルエチルケトン 78-93-3 2

エチルアルコール 64-17-5 87

4.応急措置

吸入した場合

被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。

気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。

皮膚に付着した場合

汚染された衣類を脱ぐこと。皮膚を速やかに多量の水と石鹸で洗浄すること。

皮膚刺激が生じた場合や気分が悪い時は医師の診断、手当てを受けること。

汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。

目に入った場合

水で数分間、注意深く洗うこと。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。

その後も洗浄を続けること。眼の刺激が持続する場合や気分が悪い時は医師の診断、手当てを受けること。

飲み込んだ場合

口をすすぐこと。吐かせないこと。医師の診断、手当てを受けること。

予想される急性症状及び遅発性症状

咳、頭痛、めまい、息切れ、嘔吐、下痢、腹痛、意識喪失。

最も重要な兆候及び症状

めまい、頭痛、咳。

応急措置をする者の保護

救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。

医師に対する特別注意事項

症状は遅れて発現することがあり、過剰に曝露したときは医学的な経過観察が必要である。

5.火災時の措置

消火剤:小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、散水、耐アルコール性泡消火剤。

大火災:散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤。

使ってはならない消火剤:棒状注水。

特有の危険有害性

火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。

極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。加熱により容器が爆発するおそれがある。

引火性の高い液体及び蒸気である。

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特有の消火方法

散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤

を利用すること。

散水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には散水する。

危険でなければ火災区域から容器を移動する。移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。

消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。

消火を行う者の保護

消火作業の際は、空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。風上から消火する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

作業者は適切な保護具(8.曝露防止及び保護措置の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの

吸入を避ける。漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。

直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。関係者以外の立入りを禁止する。

漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。風上に留まる。

低地から離れる。密閉された場所に入る前に換気する。

環境に対する注意事項

排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。環境中に放出してはならない。

回収

少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。後で廃棄処理する。

少量の場合、吸収したものを集めるとき、清潔な帯電防止工具を用いる。

大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。

大量の場合、散水は、蒸気濃度を低下させる。しかし、密閉された場所では燃焼を抑えることが出来ない

おそれがある。

封じ込め及び浄化方法と機材

危険でなければ漏れを止める。漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。

蒸気抑制泡は蒸発濃度を低下させるために用いる。

二次災害の防止策

すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。

排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

蒸気発生の多い場合は、噴霧注水により蒸気発生を抑制する。関係箇所に通報し応援を求める。

7.取扱い及び保管上の注意

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取扱い

技術的対策

電気設備及び工具は防爆型の物を使用し、静電気放電に対する予防措置を講ずること。

周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。-禁煙。

『8.曝露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。

静電気対策のために、装置、機器などの接地を確実に行う。

局所排気・全体換気

『8.曝露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行なう。

液の漏洩や蒸気の発散を極力防止する。

安全取扱注意事項

すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。

周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。眼への刺激性があるので眼に触れないようにする。

眠気又はめまい、呼吸器の刺激、器官の損傷のおそれがあるので、本製品に接触、吸入、飲み込みを

してはならない。

容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。

ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。

眼に入れないこと。接触、吸入又は飲み込まないこと。

取扱い後はよく手を洗うこと。屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。

接触回避

『10.安定性及び反応性』を参照。

保管

技術的対策

保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。

保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。

保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。

保管場所の床は適当な傾斜をつけ、かつ、適当な溜升を設けること。

保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。

保管条件

熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。-禁煙。

冷所、換気の良い場所で貯蔵すること。酸化剤から離して保管する。

容器は直射日光や火気を避けること。

容器を密閉して換気の良いところで貯蔵すること。

指定数量1/5以上の量は危険物貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵してはならない。施錠して貯蔵すること。

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混触危険物質

『10.安定性及び反応性』を参照。

容器包装材料

消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.曝露防止及び保護措置

イソプロピルアルコール

管理濃度 200ppm

日本産衛学会(2015年版) 400ppm

ACGIH(2013年版) TLV-TWA 200ppm

メチルエチルケトン

管理濃度 200ppm

日本産衛学会(2015年版) 200ppm

ACGIH(2014年版) TLV-TWA 200ppm

エチルアルコール

管理濃度 設定されていない。

日本産衛学会 設定されていない。

ACGIH(2013年版) TLV-TWA 1000ppm

設備対策

防爆の電気、換気、照明機器を使用すること。

静電気放電に対する予防措置を講ずること。

この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。

空気中の濃度を曝露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。

「火気厳禁」、「関係者以外立入禁止」等の必要な標識を見やすい箇所に掲示すること。

安全管理のため状況に応じて、ガス検知器等を設置する。

保護具

保護具は保護具点検表により定期的に点検する。

呼吸器の保護具

適切な呼吸器保護具(防毒マスク(有機ガス用)、高濃度の場合、送気マスク空気呼吸器、)を着用すること。

手の保護具

保護手袋を着用すること。

眼の保護具

眼の保護具を着用すること。

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皮膚及び身体の保護具

保護長靴、耐油性(不浸透性・静電気防止対策用)前掛け、防護服(静電気防止対策用)等保護具を着用すること。

衛生対策

取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質

物理的状態、形状、色など 無色透明液体。

臭い アルコール臭。

pH データなし。

融点・凝固点 -10℃以下。

沸点、初留点及び沸騰範囲 78-100℃

引火点 -7℃

爆発範囲 下限 1.7vol%、上限 19.0vol%

蒸気圧 データなし。

蒸気密度(空気=1) 2 以上。

比重(密度) 0.810(20/4℃)

オクタノール/水分配係数 データなし。

自然発火温度 370℃

蒸発速度(酢酸ブチル=1) データなし。

粘度 データなし。

10.安定性及び反応性

安定性

通常の取扱いにおいては安定である。流動、撹拌などにより、静電気が発生することがある。

危険有害反応可能性

強酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。

避けるべき条件

加熱。

混触危険物質

強酸化剤。強アルカリ。

危険有害な分解生成物

燃焼により一酸化炭素、二酸化炭素を生じる。

11.有害性情報

急性毒性(経口)

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エチルアルコール

ラット LD50:6,200 mg/kg、11,500 mg/kg、17,800 mg/kg、13,700 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、

15,010 mg/kg、7,000-11,000 mg/kg (SIDS (2005))

イソプロピルアルコール

ラット LD50:4,384 mg/kg (EPA Pesticides (1995))、4,396 mg/kg (EHC 103 (1990))、

4,710 mg/kg (EHC 103 (1990)、PATTY (6th, 2012)、SIDS (2002))、5,000 mg/kg (環境省リスク評価第 6 巻 (2006))

5,045 mg/kg (環境省リスク評価第 6 巻 (2006))、5,280 mg/kg (EHC 103 (1990)、SIDS (2002))、

5,300 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、5,480 mg/kg (EHC 103 (1990)、PATTY (6th, 2012))、

5,500 mg/kg ((EHC 103 (1990)、SIDS (2002))、5,840 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2002))

メチルエチルケトン

ラット LD50:2,737mg/kg(環境省リスク評価第 6 巻(2008)、IRIS TR(2003)、ATSDR(1992))、

5,522mg/kg(PATTY(6th,2012)、IRIS TR(2003)、ACGIH(7th,2001)、ATSDR(1992)、EHC 143(1992))、

2,000-6,000mg/kg(DFGOT vol.12(1999)、EHC 143(1993))、2,600-5,400mg/kg(SIDS(2011))

総合判断 区分外

急性毒性(経皮)

イソプロピルアルコール

ウサギ LD50:12,870 mg/kg (EHC 103 (1990) , (PATTY (6th, 2012) , (SIDS (2002))

エチルアルコール

ウサギ LDLo:20,000 mg/kg bw(SIDS(2009))

メチルエチルケトン

ウサギ LD50:>5,000mg/kg(PATTY(6th, 2012))、6,480mg/kg (環境省リスク評価第 6 巻(2008))、

>8,000mg/kg(PATTY (6th,2012)、DFGOT vol.12 (1999)、EHC 143(1993)、ATSDR(1992))、

6,400-8,000 mg/kg(SIDS(2011))、13,000mg/kg (PATTY(6th, 2012))

総合判断 区分外

急性毒性(吸入:蒸気)

イソプロピルアルコール

ラット LC50:68.5 mg/L (27,908 ppmV)/4h (EPA Pesticides (1995))、72.6 mg/L (29,512 ppmV)、

(EHC 103 (1990) 、 SIDS (2002))

エチルアルコール

ラット LC50:63,000 ppmV (DFGOT vol.12 (1999))、66,280 ppmV (124.7 mg/L) (SIDS (2005))

メチルエチルケトン

ラット LC50:11,700ppm/4h(EHC 143(1992)、PATTY(4th,1994)、IRIS(2003)、ATSDR(1992))

総合判断 区分外

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皮膚腐食性・刺激性

イソプロピルアルコール

EHC 103 (1990)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC TR66 (1995) のウサギ皮膚刺激性試験では、刺激性なし又は

軽度の刺激性の報告があるが、EHC 103 (1990) のヒトでのボランティア及びアルコール中毒患者の治療のため

皮膚適用した試験では刺激性を示さないとの報告から、軽微ないし軽度の刺激性があると考えられる。

区分3 軽度の皮膚刺激。

メチルエチルケトン

ウサギの皮膚に適用した結果、軽度から中等度の刺激性ありとの報告や (SIDS (2011)、EHC 143 (1993)、

DFGOTvol. 12 (1999))、軽度の刺激性ありとの報告がある (EHC 143 (1993)、DFGOT vol. 12 (1999)、

PATTY (6th, 2012)、ATSDR (1992))。また、ヒトでは、曝露による刺激性はみられなかったとの報告がある

(PATTY (6th, 2012))。以上、ウサギの「中等度の刺激」に基づき区分 2 とした。

区分2 皮膚刺激。

エチルアルコール

ウサギに 4 時間曝露した試験(OECD TG 404)において、適用 1 および 24 時間後の紅斑の平均スコア

が 1.0、その他の時点では紅斑および浮腫の平均スコアは全て 0.0 であり、刺激性なし(not irritating)

の評価(SIDS(2009))に基づき、区分外とした。

区分外

総合判断 区分外

眼に対する重篤な損傷・眼刺激性

イソプロピルアルコール

EHC (1990)、SIDS (2002)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC TR48 (1998) のウサギでの眼刺激性試験では、

軽度から重度の刺激性の報告があるとの記述があるが、重篤な損傷性は記載されていないことから、

区分 2 とした。

区分2A 強い眼刺激。

メチルエチルケトン

本物質をウサギの眼に適用した結果、重度の刺激性がみられたとの報告があり (SIDS (2011)、EHC 143 (1993)、

DFGOT vol. 12 (1999)) 、角膜障害や強膜の出血、瞼の浮腫、化学火傷がみられたとの報告がある (EHC 143 (1993))。

その他に、ウサギへの適用試験において、24 時間後の評点の平均値は角膜混濁 2.5、結膜発赤 2 であったが、

7 日以内にほぼ回復していたとの報告や (ECETOC TR48 (1992))、軽度の刺激性ありとの報告がある

(EHC 143 (1992)、DFGOT vol.12 (1999)、PATTY (6th, 2012)、ATSDR (1992))。ヒトでは、本物質の曝露に

より刺激性がみられたとの報告 (PATTY (6th, 2012))、刺激性はみられなかったとの報告の両方がある

(PATTY (6th, 2012))。以上、「重度の刺激」に基づき区分 2A とした。なお、本物質は EU DSD 分類において

「Xi; R36」、EU CLP 分類において「Eye Irrt.2 H319」に分類されている。

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区分2A 強い眼刺激。

エチルアルコール

ウサギを用いた 2 つの Draize 試験 (OECD TG 405) において、中等度の刺激性と評価されている (SIDS (2005))。

このうち、1 つの試験では、所見として角膜混濁、虹彩炎、結膜発赤、結膜浮腫がみられ、第 1 日の平均スコア

が角膜混濁で 1 以上、結膜発赤で 2 以上であり、かつほとんどの所見が 7 日以内に回復した

(ECETOC TR 48 (2) (1998)) ことから、区分 2B に分類した。

区分2B 眼刺激。

総合判断 区分2A 強い眼刺激。

呼吸器感作性又は皮膚感作性

エチルアルコール

呼吸器感作性:データ不足のため分類できない。なお、アルコールによる気管支喘息症状の誘発は血中

アルデヒド濃度の増加と関係があると考えられている。一方、軽度の喘息患者 2 人がエタノールの吸入誘発

試験で重度の気管支収縮を起こしたことが報告されている (DFGOT vol.12 vol.12 (1999)) が、その反応が

アレルギー由来であることを示すものではないとも述べられている (DFGOT vol.12 vol.12 (1999))。

皮膚感作性:ヒトでは、アルコールに対するアレルギー反応による接触皮膚炎等の症例報告がある

(DFGOT vol.12 vol.12 (1999)) との記述があるが、「ヒトでは他の一級または二級アルコールとの交叉

反応性がみられる場合があること、動物試験で有意の皮膚感作性はみられないことにより、エタノールに皮膚

感作性ありとする十分なデータがない」 (SIDS (2005)、DFGOT vol.12 vol.12 (1999))

区分外

総合判断 区分外

生殖細胞変異原性

イソプロピルアルコール

In vivo では、体細胞変異原性試験であるマウスの骨髄細胞を用いる小核試験 (SIDS (2002))、

ラットの骨髄細胞を用いる染色体異常試験 (EHC 103 (1990)) で陰性の結果が報告されている。

in vitro では、染色体異常試験のデータはなく、細菌を用いる復帰突然変異試験 (SIDS (2002)、EHC 103 (1990))、

哺乳類培養細胞を用いる hgprt 遺伝子突然変異試験 (SIDS (2002)) で陰性である。なお、IARC 71 (1999)、

環境省リスク評価第 6 巻 (2008) では変異原性なしと記載している。

区分外

メチルエチルケトン

ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、

in vivo では、マウス及びチャイニーズハムスター骨髄細胞の小核試験で陰性である(環境省リスク評価

第 6 巻 (2008)、SIDS (2011)、EHC 143 (1993)、IRIS TR (2003)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 12 (1999))。

In vitro では、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験で

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陰性である (NTP DB (Access on October 2014)、IRIS TR (2003)、環境省リスク評価第 6 巻 (2008)、

ACGIH (7th, 2001)、SIDS (2011)、EHC 143 (1993)、PATTY (6th, 2012))。

区分外

エチルアルコール

In vivo、in vitro の陰性結果あるいは陰性評価がされており、分類ガイダンスの改訂により「区分外」が

選択できないため、「分類できない」とした。すなわち、マウスおよびラットを用いた経口投与 (マウスの

場合はさらに腹腔内投与) による優性致死試験において陽性結果 (SIDS (2005)、IARC (2010)、DFGOT

vol.12 (1999)、PATTY (6th, 2012)) があるものの、試験条件の不十分性や試験結果の誤りなどが認められ

信頼性は低い又は信頼性なしと評価している (SIDS (2005)、DFGOT vol.12 (1999))。また、ラット、

マウスの骨髄小核試験で陰性、ラット骨髄及び末梢血リンパ球の染色体異常試験で陰性 (SIDS (2005)、PATTY

(6th, 2012)、IARC (2010)、DFGOT vol.12 (1999))、チャイニーズハムスターの骨髄染色体異常試験で陰性

(SIDS (2005)) である。また、マウス精子細胞の小核試験、精母細胞の染色体異常試験、ラット精原細胞の

染色体異常試験、チャイニーズハムスター精原細胞の染色体異常試験 (異数性) で陰性である

(IARC (2010)、DFGOT vol.12 (1999))。なお、陽性の報告として、ラット、マウスの姉妹染色分体

交換試験がある (DFGOT vol.12 (1999)、PATTY (6th, 2012))が、SIDS (2005) などでは評価されていない。

in vitro 変異原性試験として、エームス試験、哺乳類培養細胞を用いるマウスリンフォーマ試験及び

小核試験はすべて陰性と評価されており (PATTY (6th, 2012)、IARC (2010)、DFGOT vol.12 (1999)、

SIDS (2005)、NTP DB (Access on June 2013))、in vitro 染色体異常試験でも CHO 細胞を用いた試験 1 件の

陽性結果を除き他はすべて陰性であった (SIDS (2005)、PATTY (6th, 2012)、IARC (2010))。

なお、この染色体異常の陽性結果は著しく高い用量で生じており、高浸透圧のような非特異的影響に

起因した染色体傷害の可能性があると記載 (SIDS (2005)) されている。

区分外

総合判断 区分外

発がん性

イソプロピルアルコール

IARC 71 (1999) でグループ 3、ACGIH (7th, 2001) で A4 に分類されていることから、分類できないとした。

区分外

メチルエチルケトン

EPA で I (inadequate) に分類されている (IRIS (2003)) ことから、「分類できない」とした。

区分外

エチルアルコール

ACGIH はエタノールを A3 に分類しており(ACGIH(2009)) 区分2(発がんのおそれの疑い)相当であるが、

この評価に用いたデータは、ラット雌雄を用いた飲水による生涯試験であり、ヒトでの飲酒を想定して

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高用量(10%濃度)で実施されている。

その他エタノールについて人の食道などに悪性腫瘍を誘発するなどのデータはあるがいれも飲酒に起因する

データであり吸入曝露データではないことから使用目的を考慮し、発がん性分類に採用するデータとしては

適当でないと判断した。

なお、EUではエタノールについての発がん性分類はされていない。

区分外

総合判断 区分外

生殖毒性

メチルエチルケトン

ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物に影響 (体重増加抑制) のみられる用量

(3000 ppm) においても胎児に対してわずかな影響 (骨化遅延、過剰肋骨) がみられたのみで、奇形は

みられていないとの報告がある (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011)、 環境省リスク評価第 6 巻 (2008)、

IRIS (2003) ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.12 (1999))。また、マウスを用いた吸入経路での催奇形性

試験において、母動物毒性 (肝臓の相対重量増加、腎臓の相対重量増加) がみられる用量 (3,000 ppm) に

おいて胎児にわずかな影響 (胎児体重減少) がみられたが有意な奇形の発生はみられていないとの

報告がある (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011)、 環境省リスク評価第 6 巻 (2008)、IRIS (2003) ACGIH (7th,

2001)、DFGOT vol.12 (1999))。

以上、催奇形性はみられていない。旧分類では催奇形性試験の結果のみから区分外と分類していたが、

生殖能に関する試験の報告がないことから分類できないとした。

区分外

イソプロピルアルコール

ラットの経口投与による 2 世代試験では生殖発生毒性は認められなかったとの記述がある (IARC 71 (1999)、

EHC 103 (1990)) が、このデータの詳細は明らかではない。比較的新しいラットの経口投与による 2 世代試験

では親動物に一般毒性影響 (肝臓及び腎臓の組織変化を伴う重量増加) が認められる用量で、雄親動物に交尾率

の低下、児動物には生後に体重の低値及び死亡率の増加が見られたと記述されている (PATTY (6th, 2012))、

SIDS (2002))。雄親動物における交尾率の低下と新生児への有害影響は、親動物への一般毒性による二次的・

非特異的な影響とは考えがたい。また、妊娠雌ラットに経口投与した発生毒性試験において、胎児には軽微な

影響 (体重低値、骨格変異) が見られたのみで、奇形の発生はなかったが、母動物毒性 (不安定歩行、嗜眠、

摂餌量及び体重増加量減少) がみられる用量で着床不全、全胚吸収など生殖毒性影響がみられている

(PATTY (6th, 2012))。以上の結果、分類ガイダンスに従い区分 2 に分類した。

区分2 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い。

エチルアルコール

ヒトでは出生前にエタノール摂取すると新生児に胎児性アルコール症候群と称される先天性の奇形を生じること

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が知られている。奇形には小頭症、短い眼瞼裂、関節、四肢及び心臓の異常、発達期における行動及び認知機能

障害が含まれる(PATTY (6th, 2012))。これらはヒトに対するエタノールの生殖毒性を示す確かな証拠と

考えられるため、区分 1A とした。なお、胎児性アルコール症候群は妊娠期に大量かつ慢性的にアルコールを

飲んだアルコール依存症の女性と関連している。産業的な経口、経皮、吸入曝露による胎児性アルコール

症候群の報告はない。また、動物実験でも妊娠ラットに経口投与した試験で奇形の発生がみられている。

区分1A 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。

総合判断 区分1A 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。

特定標的臓器・全身毒性 (単回曝露)

イソプロピルアルコール

SIDS (2002)、EHC 103 (1990)、環境省リスク評価第 6 巻 (2005) の記述から、本物質はヒトで急性中毒として

中枢神経抑制 (嗜眠、昏睡、呼吸抑制など)、消化管への刺激性 (吐き気、嘔吐)、血圧、体温低下、不整脈など

循環器系への影響を含み、全身的に有害影響を生じる。また、吸入曝露により鼻、喉への刺激性 (咳、咽頭痛)

を示す (EHC 103 (1990)、環境省リスク評価第 6 巻 (2005)) ことから、気道刺激性を有する。以上より、区分 1

(中枢神経系、全身毒性)、及び区分 3 (気道刺激性) に分類した。

区分1 臓器(中枢神経系、全身毒性)の障害。

区分3 気道刺激性。

メチルエチルケトン

本物質は気道刺激性及び麻酔作用がある(環境省リスク評価第 6 巻 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (1992))。

ヒトにおいては、吸入曝露で、頭痛、めまい、悪心、嘔吐、運動失調、眼のかすみ、ふらつき、過呼吸、眩暈、

嗜眠、中枢神経系抑制作用、代謝性アシドーシス、意識喪失、経口摂取では意識喪失の報告がある

(PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第 6 巻 (2008)、HSDB (Access on September 2014)、ACGIH (7th, 2001)、

ATSDR (1992)、EHC 143 (1993)、IRIS TR (2003))。

実験動物では、麻酔作用、ラットの経口投与 1,080 mg/kg で腎臓の軽度の腎尿細管壊死が認められている

(ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (1992)、EHC 143 (1993)、PATTY (6th, 2012)、IRIS TR (2003)、

HSDB (Access on September 2014))。ラットの腎臓への影響は区分 2 の範囲の用量で認められた。本物質は

腎臓への影響、並びに気道刺激性、麻酔作用を有すると考えられる。

以上より、区分 2 (腎臓)、区分 3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。

区分2 臓器(腎臓)の障害のおそれ。

区分3 気道刺激性。麻酔作用。

エチルアルコール

ヒトの吸入曝露により眼及び気道への刺激症状が報告されている (PATTY (6th, 2012))。血中エタノール濃度

の上昇に伴い、軽度の中毒(筋協調運動低下、気分、性格、行動の変化から中等度の中毒(視覚障害、感覚麻痺、

反応時間遅 延、言語障害)、さらに重度の中毒症状 (嘔吐、嗜眠、低体温、低血糖、呼吸抑制など) を生じる。

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さらに、呼吸または循環不全により、あるいは咽頭反射が欠如した場合には胃内容物吸引の結果として死に至る

と記述されている (PATTY (6th, 2012))。ヒトに加えて実験動物でも中枢神経系の抑制症状がみられている

(SIDS (2005))。以上より、区分 3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。

区分3 気道刺激性。麻酔作用。

総合判断 区分2 臓器(中枢神経系、全身毒性)の障害のおそれ。

区分3 気道刺激性。麻酔作用。

特定標的臓器・全身毒性(反復曝露)

イソプロピルアルコール

ラットに本物質の蒸気を 4 ヶ月間吸入曝露試験で、100 mg/m3 (ガイダンス値換算濃度: 0.067 mg/L/6 hr)

以上で白血球数の減少が見られ、500 mg/m3 (ガイダンス値換算濃度: 0.33 mg/L/6 hr) 群では呼吸器

(肺、気管支)、肝臓、脾臓に病理学的な影響が認められた (EHC 103 (1990)) との記述から、標的臓器は血液系、

呼吸器、肝臓、脾臓であると判断し、血液は区分 1、呼吸器、肝臓、脾臓は区分 2 とした。なお、吸入又は

経口経路による動物試験において、区分 2 のガイダンス値を上回る用量で、麻酔作用、血液系への影響が

みられている (SIDS (2002)、PATTY (6th, 2012))。

区分1 長期又は反復曝露による臓器(血液系)の障害。

区分2 長期又は反復曝露による臓器(呼吸器、肝臓、脾臓)の障害のおそれ。

メチルエチルケトン

ヒトでは本物質以外に他の溶媒への曝露を含まない有害性知見として、慢性的な職業曝露により、

ニューロパシー (神経症) との診断には至らないが、神経伝達速度の低下がみられたとするイタリアでの

報告、及び手指と腕の無感覚感を訴えた米国工場作業者の例が報告されており (EHC 143 (1993) , DFGOT

vol. 12 (1999)) これらの職業曝露事例の知見より初期には本物質の反復曝露影響として、ヒトで

神経系障害の発生が懸念された。一方、IRIS は関連する症例報告及び疫学研究結果は、曝露の状況が

明確でないこと、他の物質の混合曝露であることなど問題があり、職場での本物質への反復曝露が

慢性的な神経障害の危険性を増加させるとの証拠は限定的で不確実であると結論している (IRIS TR (2003))。

しかし、ACGIH は上気道への刺激のみならず、本物質又は本物質を含む溶媒への吸入曝露による中枢及び

末梢神経系への有害性影響を回避することを目的に本物質の TLV 値を設定しており (ACGIH (7th, 2001))、

本物質の単独又は他の溶剤との複合反復曝露による影響として、神経系障害の発生を否定する強固な

証拠は依然としてないと考えられる。

一方、実験動物ではラットに本物質蒸気を 5,000 ppm (14.7 mg/L: 1 ppm= 2.91 mg/m3 (ACGIH (7th, 2001)) で、

90 日間吸入曝露したが、体重増加抑制、肝臓の重量増加 (生体適応反応と考えられた) 以外に、

一般毒性学的影響、神経毒性影響ともにみられていない (SIDS (2011)、EHC 143 (1993)、IRIS TR (2003)、

環境省リスク評価第 6 巻 (2008))。この他、神経毒性の有無を検討したラットでの複数の吸入曝露

試験において、いずれも神経毒性は陰性の結果を示し (SIDS (2011))、本物質は n-ヘンキサンのように

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ジケトン代謝物 (直接的な神経毒性物質) を生成しないため、神経毒性を生じないと考察されている

(SIDS (2011))。

以上、ヒトで本物質の単独又は他の溶剤との複合反復曝露により、中枢及び末梢神経系への有害性影響が

生じる懸念は依然として持続していると考えられたため、区分 1 (神経系) に分類した。

区分1 長期又は反復曝露による臓器(神経系)の障害。

エチルアルコール

ヒトでのアルコールの長期大量摂取はほとんど全ての臓器に悪影響を及ぼすが、最も強い影響を与える標的臓器

は肝臓であり、障害は脂肪変性に始まり、壊死と 線維化の段階を経て肝硬変に進行する (DFGOT vol.12 (1999))

との記載に基づき区分 1 (肝臓) とした。また、アルコール乱用及び依存症患者の治療として、米国 FDA は

3 種類の治療薬を承認しているとの記述がある (HSDB (Access on June 2013)) ことから、区分 2 (中枢神経系)

とした。なお、動物実験では有害影響の発現はさほど顕著ではなく、ラットの 90 日間反復経口投与試験に

おいて、ガイダンス値範囲をかなり上回る高用量で肝 臓への影響として脂肪変性が報告されている

(SIDS (2005)、 PATTY (6th, 2012))。

区分1 長期又は反復曝露による臓器(肝臓)の障害。

区分2 長期又は反復曝露による臓器(中枢神経系)の障害のおそれ。

総合判断 区分1 長期又は反復曝露による臓器(肝臓)の障害。

区分2 長期又は反復曝露による臓器(血液系、神経系)の障害のおそれ。

吸引性呼吸器有害性

メチルエチルケトン

13 を超えない炭素原子で構成されたケトンで、動粘性率が 0.50 mm2/sec (25℃、CERI 計算値) であり、

区分 2 に該当するため、現行分類ガイダンスに従い分類できない。

区分2 飲み込み、気道に侵入すると有害のおそれ。

総合判断 区分外

12.環境影響情報

水生環境急性有害性

イソプロピルアルコール

魚類 (ヒメダカ) LC50: >100mg/L/96H

区分外

メチルエチルケトン

魚類 (ヒメダカ) LC50: >100mg/L/96H

区分外

エチルアルコール

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魚類(ファットヘッドミノー)LC50: >100mg/L/96h(SIDS, 2005)

甲殻類 (ネコゼミジンコ) LC50: 5012mg/L/48h(SIDS, 2005)

藻類(クロレラ)EC50: 1000mg/L/96h(SIDS, 2005)

区分外

総合判断 区分外

水生環境慢性有害性

イソプロピルアルコール

難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低い

ことから、区分外とした。

区分外

メチルエチルケトン

難水溶性でなく(水溶解度=2.23×105mg/L)、急性毒性が低い。

区分外

エチルアルコール

難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低い。

区分外

総合判断 区分外

残留性・分解性

情報なし。

生体蓄積性

情報なし。

オゾン層への有害性

構成物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意

残余廃棄物

廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。

都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合には

そこに委託して処理する。

汚染容器及び包装

容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。

空容器を廃棄する時は、内容物を完全に除去した後に処分する。

14.輸送上の注意

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国際規制 海上規制情報 IMO の規定に従う。

UN No.:1263 Class:3 Packing Group:Ⅱ

航空規制情報 ICAO の規定に従う。

UN No.:1263 Class:3 Packing Group:Ⅱ

国内規制 陸上規制情報 消防法の規定に従う。毒劇法の規定に従う。

海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。

国連番号:1263 クラス:3 容器等級:Ⅱ

航空規制情報 航空法の規定に従う。

国連番号:1263 クラス:3 等級:Ⅱ

特別の安全対策

消防法の規定に従う。

危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載

すること。危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。

危険物の運搬中、危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急

措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。食品や飼料と一緒に輸送しては

ならない。重量物を上積みしない。移送時にイエローカードの保持が必要。

緊急時応急措置指針番号 128

15.適用法令

労働安全衛生法 第 57 条第 1 項 名称等を表示すべき有害物。

(プロピルアルコール、メチルエチルケトン、エタノール)

第 57 条第 2 項 名称等を通知すべき有害物。

(プロピルアルコール、メチルエチルケトン、エタノール)

有機溶剤中毒予防規則 第2種有機溶剤。

特定化学物質障害予防規則 該当せず。

危険物 引火性の物(4-2)

労働基準法 疾病化学物質に該当せず。

消防法 危険物 第四類 アルコール類 危険等級Ⅱ

毒物劇物取締法 該当せず。

悪臭防止法 該当せず。

化審法 優先評価化学物質(イソプロピルアルコール 政令番号 102)

(メチルエチルケトン 政令番号 115)

PRTR法 該当せず。

船舶安全法 中引火性液体類。

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16.その他の情報

参考文献

溶剤ポケットブック。

メルクインデックス。

溶剤ハンドブック。

危険防止救済便覧。

厚生労働省 職場の安全サイト GHSモデルSDS情報。

シグマアルドリッチ SDS情報。

記載内容について

この SDS は JIS Z 7253:2012 に準拠して作成しております。

この SDS は最新の情報に基づいて作成されておりますが、すべての情報を網羅しているものでは

ありませんので新たな情報を入手した場合には追加又は訂正されることがあります。

記載内容は現時点で入手できた資料、情報、データをもとに作成しておりますが、化学的性質、

危険・有害性等に関しては、いかなる保証をするものではありません。

記載の注意事項は通常の取扱を対象としたものであり、特殊な取扱をする場合は状況に応じた安全対策を

実施の上、お取り扱い願います。

すべての化学製品には未知の危険性、有害性の可能性がありますので取り扱いには十分ご注意ください。