はじめに(4)はじめに AutoCAD...

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はじめに 2はじめに 設計チームに貢献できる個人のスキルレベルは? 「遼クンも藍ちゃんも、PAR4 のコースでワンオンは狙わない」 プロゴルファーは、最適なアプローチを計画してプレーをしています。的確な戦略とそれを 可能にする高い技術が、よいプレーにつながるのでしょう。 さて、私は AutoCAD を日本で出荷する際の技術面の取りまとめの仕事をしているのですが、 ユーザの皆さんに製品を使いこなしていただくためのセミナーなども行っています。ここ 3 は、東京、大阪や、ときには企業に訪問して、『CAD 標準化で設計チームの効率をアップする』 セミナーを行ってきました。 大変好評なセミナーだったのですが、どうもこのセミナーでは、PAR4 のコースでワンオン を狙っていたように思います。セミナーの中で実施したセルフチェックの結果では、 AutoCAD で図面が書けると思っている人でも、AutoCAD の作図機能のうちの 10%~ 15%程度の機能 しか使えていません。このような状況では、設計チームの効率をアップするには無理がありま す。チームの生産性向上の前に、メンバーのスキルアップのほうが重要課題だったのです。 強いサッカーチームは、メンバーがうまく連携して良いパフォーマンスを出しますが、その 前提は、個人のポテンシャルが高いことです。設計チームもこれによく似ています。 別の見方をすると、チームの生産性はメンバーのスキルの平均値ではなく、最低値に影響さ れるということです。たとえば、チーム全体で完璧な図面セットを作成しても、誰か一人が無 意識にその構成ルールを破ってしまえば、その図面セットは不完全で機能の低下したものにな ってしまいます。ですから、設計チームのメンバーの底上げが重要なのです。チームメンバー は、チームの活動を阻害しないように成長することが必要なのです。 この書籍は、自らのスキルを向上して、チームに貢献したい AutoCADAutoCAD LT ユー ザが、成長するための多くのヒントがまとめられています。

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はじめに(2)

はじめに

設計チームに貢献できる個人のスキルレベルは?

「遼クンも藍ちゃんも、PAR4のコースでワンオンは狙わない」

プロゴルファーは、最適なアプローチを計画してプレーをしています。的確な戦略とそれを

可能にする高い技術が、よいプレーにつながるのでしょう。

さて、私は AutoCADを日本で出荷する際の技術面の取りまとめの仕事をしているのですが、

ユーザの皆さんに製品を使いこなしていただくためのセミナーなども行っています。ここ 3年

は、東京、大阪や、ときには企業に訪問して、『CAD標準化で設計チームの効率をアップする』

セミナーを行ってきました。

大変好評なセミナーだったのですが、どうもこのセミナーでは、PAR4のコースでワンオン

を狙っていたように思います。セミナーの中で実施したセルフチェックの結果では、AutoCAD

で図面が書けると思っている人でも、AutoCADの作図機能のうちの 10%~ 15%程度の機能

しか使えていません。このような状況では、設計チームの効率をアップするには無理がありま

す。チームの生産性向上の前に、メンバーのスキルアップのほうが重要課題だったのです。

強いサッカーチームは、メンバーがうまく連携して良いパフォーマンスを出しますが、その

前提は、個人のポテンシャルが高いことです。設計チームもこれによく似ています。

別の見方をすると、チームの生産性はメンバーのスキルの平均値ではなく、最低値に影響さ

れるということです。たとえば、チーム全体で完璧な図面セットを作成しても、誰か一人が無

意識にその構成ルールを破ってしまえば、その図面セットは不完全で機能の低下したものにな

ってしまいます。ですから、設計チームのメンバーの底上げが重要なのです。チームメンバー

は、チームの活動を阻害しないように成長することが必要なのです。

この書籍は、自らのスキルを向上して、チームに貢献したい AutoCAD、AutoCAD LTユー

ザが、成長するための多くのヒントがまとめられています。

はじめに (3)

生産性を向上させるAutoCADキャリアアッププログラムの活動とは

オートデスクでは、設計チームを強化するプロセスを見直し、個人のスキルアップとキャリ

アアップに着目して、『AutoCADキャリアアッププログラム:ACP』の活動を開始しました。

ACPの基本コンセプトは、個人がキャリアアップして、その結果、チームの生産性を向上

することです。キャリアアップのために、ACPの 3段階のスキルレベルを習得してください。

この活動は、目標設定、教材、トレーナーの 3つの要素で構成されています。この書籍は

AutoCADキャリアアッププログラムを進めるための教材として作成されています。また、皆

さんの成長を支援するトレーナーは、オートデスクのパートナー企業の協力を受け、セミナー

やトレーニングなど、さまざまな活動を展開していきます。

さて、目標設定については、ACPのスキルレベルを 3段階とし、各レベルの目標を以下の

ように設定しました。

AutoCADビギナー(白帯) :本書 1章―8章、11章と15章のレッスン1

■仕組みの理解と完璧な図面セットの作成能力

データ構造、ツールの仕組みを完全に理解し、AutoCAD、AutoCAD LTを使い、合理的で完璧

な図面セットを作成可能なスキルを習得する。古い操作を排除し、新しい操作体系で、今後の

スキルアップにつながる十分な基礎技術を習得する。

AutoCADエキスパート(茶帯) :本書 9章から15章(11章、15章のレッスン1を除く)

■効率を追求した操作技術

合理的で完璧な図面セットを作成可能なスキルを持つ人が、さらに効率を追求した操作方法を

学習し、その操作方法を確立するためのスキルを習得する。

AutoCADマネージャ(黒帯) :本書 16章

■作業環境の実装と説明

AutoCADエキスパートのチームメンバーが、効率よく作業を行える「チームの作業環境」を

構築する技術を習得する。「チームの作業環境」の仕様取りまとめと体系的な説明を行う技術

を習得する。

はじめに(4)

AutoCADビギナーのスキル設定は、その名前に反してかなり高いといえます。少なくとも

AutoCADの機能の 60%程度の機能を習得していなければ、チームの生産性向上に貢献できま

せん。AutoCADエキスパートは、異尺度対応やダイナミックブロックなど飛躍的に効率を向

上する機能を習得するという、さらに高い目標を設定しています。

さて、ACPの最終目標は AutoCADマネージャです。スキルの高いメンバーが連携して作業

を行える環境を構築するスキルにとどまらず、チームビルディングのスキルも期待される点で、

他の 2つのスキル設定との違いがあります。

CADマネージャのキャリア

多くの「ものづくり」の現場では、CADで作成されたデジタルデータをもとに進められて

います。しかし、成果物の品質を保証するはずのデジタルデータの扱いは、十分に配慮されて

いないのが現状です。この重要な課題を解決できるのが CADマネージャです。しかし、ほと

んどの企業や組織で、CADマネージャの人材が不足しています。

CADの操作を専門としている方は、CADマネージャのキャリアを目指してください。設計

者で自ら AutoCADを使っている方は、デジタルデータの管理について理解のある新しいタイ

プのプロジェクトマネージャを目指しください。多忙なプロジェクトマネージャは、CADマ

ネージャの協力を得て効率的なプロジェクトの運営ができるようになるでしょう。

この書籍は、機能の解説に加え、その機能を使う際の指針を「ガイドライン」の項目にまと

めています。CADマネージャやプロジェクトマネージャが設計チームを運営する際の有力な

資料となるように構成しているのが特徴です。

スキルを維持するには、高いモチベーションを維持することが重要です。繰り返しスキルア

ップのためのトレーニングを実施し、「ガイドライン」の項目を確認することをお勧めします。

オートデスク株式会社 プラットフォームソリューション

インダストリーマーケティングマネージャ

清水 卓宏

はじめに (5)

 各章は「レッスン」という学習単位の集まりでできています。ほとんどの「レッスン」で、「実

習」を用意してあります。実習の手順を示したPDFファイルや実習に必要なDWGファイルを

付属のDVD-ROMに収録していますので、AutoCADを実際に操作しながら学習を進めてくださ

い。実習の操作手順は動画ファイル(WMV形式)でも確認できます。動画ファイルは

Windowsに標準で搭載されているWindows Media Playerで再生できます。きちんと実習に取

り組んで、AutoCADの上手な使い方をしっかりと身につけていきましょう。

実習用のPDFの画面 操作手順の動画の画面

 本書はアイコンで注記、ヒント 、アラートなどを示しています。

注記アイコンは注意点や補足情報などを説明しています。

ヒントアイコンは作業効率を高めるちょっとしたポイントなどを紹介しています。

アラートアイコンはAutoCADとAutoCAD LTの機能的な違いや、操作上の重要な注意事項

などについて説明しています。

 ボタン、コマンド、メニュー、ダイアログボックス、各種ボックス内の選択項目などを原則

として[ ]で囲んで表記しています。キーボードのキーはShiftキーのように表記しています。

 コマンドの実行方法を説明する箇所で、操作の順番を

  リボン:[ホーム]タブ >[作成]パネル >[円]

のように表記しています。これはリボンの[ホーム]タブをクリックし、表示される[作成]

パネルの中の[円]ボタンをクリックするということを表します。

本書の使い方

本書の表記

目次(6)

* 目次のレッスン項目の左の色は、AutoCADキャリアッププログラムのスキルレベルに対応し

て学習すべき項目を示しています(詳細は「はじめに」を参照)。

:AutoCADビギナー

:AutoCADエキスパート

:AutoCADマネージャ

はじめに

第1部  AutoCADを理解する 1

基本操作を理解する 2レッスン1 AutoCADのインタフェース 2レッスン2 AutoCADの基本操作 1 2

オブジェクトを作成する 2 0レッスン1 データを入力する 2 0レッスン2 基本的なオブジェクトを作成する 2 8レッスン3 作図補助設定を使用する 3 4レッスン4 単位を使用する 4 9

オブジェクトを編集する 5 2レッスン1 面内のオブジェクトを選択する 5 2レッスン2 図面内のオブジェクトを操作する 5 8

オブジェクトプロパティを扱う 7 4レッスン1 画層を使用する 7 4レッスン2 オブジェクトプロパティを操作する 8 2レッスン3 オブジェクトを計測する 9 8

オブジェクトを修正する 1 0 1レッスン1 効率よくオブジェクトを選択する 1 0 1レッスン2 図面内のオブジェクトを修正する 1 0 6レッスン3 高度なオブジェクトの作成、修正 1 2 6

第1章

第2章

第3章

第4章

第5章

(7)目次

図面注釈を作成する 1 4 5レッスン1 注釈尺度の概要 1 4 5レッスン2 テキストオブジェクトを作成する 1 4 8レッスン3 ハッチングオブジェクトを作成する 1 6 2レッスン4 寸法オブジェクトを作成する 1 7 2レッスン5 マルチ引出線オブジェクトを作成する 1 9 5

図面を印刷し、パブリッシュする 2 0 1レッスン1 レイアウトを使用する 2 0 1レッスン2 ページ設定を使用する 2 1 3レッスン3 図面を印刷する 2 1 7レッスン4 ファイルへパブリッシュする 2 2 8

図面テンプレートを作成する 2 3 5レッスン1 図面テンプレートを作成する 2 3 5

第2部  AutoCADを利用する〜個人の作図効率を向上させる〜 2 4 1

異尺度対応注釈を使いこなす 2 4 2レッスン1 注釈尺度の概要 2 4 2レッスン2 注釈尺度をコントロールする 2 4 7

パラメトリックデザインを使用する 2 6 0レッスン1 パラメトリックデザインの基本 2 6 0レッスン2 幾何拘束 2 6 5レッスン3 寸法拘束 2 7 6

コンテンツを再利用する 2 8 6レッスン1 ブロックを使用する 2 8 6レッスン2 アクションとパラメータによるダイナミックブロックを作成する 2 9 5レッスン3 拘束ベースのダイナミックブロックを作成する 3 1 0レッスン4 高度な拘束ベースのダイナミックブロック 3 2 1

第6章

第7章

第8章

第9章

第10章

第11章

目次(8)

アクションレコーダを使用する 3 3 0レッスン1 アクションマクロを使用する 3 3 0

ユーザインタフェースをカスタマイズする 3 3 8レッスン1 ツールパレットをカスタマイズする 3 3 8レッスン2 ワークスペースをカスタマイズする 3 4 9レッスン3 ユーザインタフェースのカスタマイズ 3 5 4

第3部  AutoCADを活用する〜チームの生産性を向上させる〜 3 7 3

外部参照を使用する 3 7 4レッスン1 DWGファイルを参照する 3 7 4レッスン2 イメージやその他のファイルを参照する 3 8 3

図面データを参照する 3 8 8レッスン1 表オブジェクトを使用する 3 8 8レッスン2 属性定義を使用する 3 9 9レッスン3 フィールドを使用する 4 0 9

シートセットマネージャを使いこなす 4 1 7レッスン1 シートセットを作成する 4 1 7レッスン2 シートセットを使用する 4 2 6レッスン3 シートセットを設定する 4 3 9

索引� 4 5 8

付属DVD-ROMのご使用上の注意� 4 6 2

第12章

第13章

第14章

第15章

第16章

第 部AutoCADを 理解する 1

第1章 基本操作を理解する

第2章 オブジェクトを作成する

第3章 オブジェクトを編集する

第4章 オブジェクトプロパティを扱う

第5章 オブジェクトを修正する

第6章 図面注釈を作成する

第7章 図面を印刷し、パブリッシュする

第8章 図面テンプレートを作成する

第1章 基本操作を理解する2

1AutoCADのインタフェースレッスン

AutoCADの起動AutoCADを起動するには、次の2つの方法のいずれかを使用します。

Windowsデスクトップの[AutoCAD 2012 - Japanese]アイコンをダブルクリックします。 ●

[スタート]>[すべてのプログラム](または[プログラム])>[Autodesk]>[AutoCAD 2012 - Japanese]>[AutoCAD ●

2012 - Japanese]をクリックします。

AutoCAD LTを使用している場合は、AutoCAD LTに関連付けられたアイコンまたはスタートメニューオプシ

ョンを選択してください。

AutoCAD 2012が起動すると次の図のようなウィンドウが表示されます。

図面の作成を開始する前に、AutoCADのインタフェースについて良く理解しておきましょう。主なインタフェース要素

は次の図の通りです。

ワークスペースワークスペースとは作業内容に応じた作図環境で、その環境に関連する作業を実行するために必要なツールとインタフ

ェース要素のみが表示されます。AutoCADを起動すると、ワークスペースに基づいたインタフェース要素が表示されます。

既定では、AutoCAD には次の4つのワークスペース設定があります。

製図と注釈 ●

3D基本 ●

3Dモデリング ●

AutoCADクラシック ●

本書で扱う操作方法と実習手順は、[製図と注釈]ワークスペースに基づいています。このワークスペースを

有効にしていない場合は、設定してください。

1アプリケーション メニュー

7 クロスヘア

2クイック アクセス ツールバー

8コマンドウィンドウ

3 情報センター 9 ステータスバー

4 タイトルバー 10ナビゲーションバー

5 リボン 11 View Cube

6 作図領域 12ビューポートコントロール

第1章 基本操作を理解する

3既定のワークスペースは[製図と注釈]ワークスペースです。次の図のようにAutoCAD が表示されます。

AutoCAD LTには2つのワークスペースがありま

す。1つ は[ 製 図 と 注 釈 ] で、 も う1つ は

[AutoCAD LT クラシック]です。

図面ファイルが開かれていない状態では、新

規図面を作成してください。クイックアクセ

スツールバーで[クイック新規作成]をクリ

ックします。テンプレートファイルとして、

acadiso.dwt(メートル法)を選択します。

なお、AutoCAD LTの場合はテンプレートフ

ァイルとしてacadltiso.dwt(メートル法)を

選択します。

AutoCADを開始するとき、最後に使用されたワークスペースが引き続いて適用されます。AutoCADの開始後、希望す

るワークスペースに切り替えることができます。[ワークスペース切り替え]ドロップダウンリストは、クイックアクセ

ス ツールバー、またはスクリーン右下のステータスバーから開くことができます。

操作方法: [製図と注釈]ワークスペースを設定する

次に、[製図と注釈]ワークスペースを有効にする手順について説明します。

1. AutoCAD を起動します。

2. 図面ファイルが開かれている状態で、クイックアクセスツールバーの[ワークスペース切り替え]ドロップダウン リ

ストをクリックします。[製図と注釈]を選択します。

レッスン1 AutoCADのインタフェース

第1章 基本操作を理解する

第1章 基本操作を理解する4

AutoCADのユーザインタフェースAutoCADには、リボンパネル、ツールバー、メニューバーなど、他のWindows アプリケーションと共通のインタフェ

ース要素があります。他のWindows アプリケーションの使用経験がある場合は、これらのユーザインタフェース要素に

見慣れているはずです。ただし、コマンドラインやステータスバーなど、AutoCAD に固有のインタフェース要素もあり

ます。

AutoCADは「ヘッズアップデザイン」というコンセプトを持っており、これはAutoCADでの作図効率の向上を目的と

しています。画面上の設計から目を離してメニューやツールを使おうとすると、作業の速度が低下します。したがって、

ダイナミック入力、右クリックで表示されるショートカットメニュー、リボンパネルなど、最も効率的な実行方法をでき

る限り使用してください。

リボン

リボンは、各ワークスペースに関連付けられた特殊なパレットウィンドウで、そのワークスペースに関連付けられてい

るツールやコントロールだけが含まれます。たとえば、[製図と注釈]ワークスペースには、2D製図、寸法記入、注釈記

入に関連するツールが含まれますが、3Dオブジェクト作成のツールは含まれていません。

リボンはディスプレイ上の領域を切り替えて表示することで、ヘッズアップデザインを推進します。AutoCADの操作を

妨げることなく、スクリーン上により多くの作図領域を使用できます。

リボンのコントロール

既定では、[製図と注釈]または[3D基本]、[3Dモデリング]ワークスペースのいずれかでAutoCADを起動するとリ

ボンが表示されます。リボンは複数の「タブ」で構成されています。そしてリボンの各タブには、2D製図、寸法、文字の

記入、印刷など関連したコマンドとコントロールのグループを含んだ「パネル」と呼ばれるセットがあります。

リボンのタブおよび関連付けられたパネルのオン/オフを切り替えるには、リボン上で右クリックして、[タブ]または[パ

ネル]から目的の項目を選択します。

一部のツールでは、アイコンのコーナーにある下向き矢印をクリックすると追加のオプションを展開表示できます。そ

して一部のパネルでは、パネル右下コーナーの黒い矢印をクリックすると追加のツールが展開表示されます。展開された

パネルの左下コーナーにある画びょうアイコンをクリックすると、常にパネルが展開されてすべてのツールを表示できます。

1 タブコントロールパネルの目的と名前を識別します。

2 パネル関連するツールのグループが含まれます。

3 その他のツール下向き矢印をクリックすると、パネルが展開表示され、その他のツールとオプションが表示されます。

5

リボンパネル

リボンパネルはコマンドや設定を実行するための1つの手段です。各リボンパネルは、関連する作業や類似した作業を

実行するツールの集まりで構成されています。[製図と注釈]ワークスペースの場合、作図領域上部に水平表示されるリ

ボンにはさまざまなパネルを含んだタブのセットが表示されます。

既定では、各パネルはリボンにドッキングされています。ドッキングされた位置からパネルを移動して作図領域内に浮

動状態に配置することも、リボンに戻すこともできます。

リボンパネルのアイコンをクリックしても、マウスボタンを離すときにカーソルがアイコンの上にない場合は、

コマンドは実行されません。間違ったアイコンをクリックした場合は、マウスボタンを離す前にカーソルをド

ラッグしてそのボタンから移動します。

コマンドウィンドウ

通常、コマンドウィンドウはAutoCADウィンドウの下部にあり、作図領域とステータスバーの間にドッキングされてい

ます。コマンドラインでコマンドを手動入力しても、リボンでコマンドツールをクリックしても、すべてのコマンドはコ

マンドラインに渡されます。

コマンドウィンドウに表示される内容/メッセージに注目することは重要です。AutoCADは、コマンド処理の各段階で、

ユーザに一連のオプションを選択するよう提示したり、その処理に関連する値の入力を求めたりします。

コマンドウィンドウにおいて、背景がグレーで表示されている箇所はコマンドの履歴が表示されます。実行したコマン

ド内で使用した値またはオプションが表示されます。

背景が白く表示されている最後の行がコマンドラインです。多くのコマンドでは、次の点に注意する必要があります。

入力は、コマンドライン、つまり[コマンド:]と表示されているラインのカーソル位置で実行します。コマンドライン

に値を入力した後は、必ずEnterキーを押します。

コマンドウィンドウは、通常、作図ウィンドウの最下部にドッキングされていますが、図面の周囲に自由に移動するこ

とができます。アプリケーションウィンドウの端にドッキングしたり、作図領域の上で浮動状態にしたりしておくことが

できます。コマンドウィンドウの左側にある垂直バーをドラッグすると、作図領域上の任意の位置に浮動状態で配置する

ことができます。

AutoCADを十分に使用してコマンドラインやその他のインタフェース要素に注目すれば、次第にコマンドラインを見な

くても必要とされている情報がすぐに理解できるようになるでしょう。

レッスン1 AutoCADのインタフェース

第1章 基本操作を理解する6

キーボード入力

キーボードからの入力は、コンピュータを使うすべてのユーザが使い慣れている方法です。AutoCAD で行う多くの作

業でキーボードを使用しますが、最も頻繁に使用するキーは以下のキーです。これらのキーはAutoCADにおいて特別な意

味があります。

Escキーを使用すると現在のすべての操作をキャンセルし、[コマンド:]プロンプトに戻ることができます。 ●

キーボード入力の後にEnterキーを押すことで入力が完了します。また、多くのコマンドはEnterキーを押して完了します。 ●

Spaceキーを押すのは、Enter キーを押すのと同じですが、こちらの方が簡単に使用できます。 ●

SpaceキーまたはEnterキーを[コマンド:]プロンプトで押すと、最後に使用したコマンドが繰り返されます。 ●

上および下矢印キーを押すと、前に使用したコマンドが循環してプロンプト表示されます。 ●

Tabキーは、ダイアログ ボックス内で移動する際に特に便利です。フィールド間を移動する場合もTabキーを使用する ●

ことができます。

オートコンプリート

AutoCADのコマンド、およびコマンドの動作を制御しているシステム変数にはすべて名前があります。これらの名前に

は短いものもあれば、大変長いものもあり、そのすべてを覚えることは難しいでしょう。これらコマンド名の入力を支援

するのがオートコンプリート機能です。

コマンドラインが空白、つまり[コマンド:]と表示されている状態でコマンドやシステム変数の名前を入力し始めると、

入力の途中でそれまで入力された文字から始まる候補がリスト表示されます。そのため、すべてを入力し終わらなくても、

表示されたリスト内の候補をマウスカーソルや矢印キーで選択して実行することができます。オートコンプリート機能は

コマンドライン、またはダイナミック入力のモードで利用できます。

アプリケーションメニュー

アプリケーションメニューからは、[新規作成]、[開く]、[保存]、[印刷]、[閉じる]などの一部の主要なコマンドを

実行できます。項目をクリックするとサブメニューが表示され、より詳細なオプションを選択できます。

7

ステータスバー

ステータスバーはAutoCAD ウィンドウの最下部にあります。

ステータスバーの左端には、作図領域内のクロスヘアカーソルの位置を数値で表す座標が表示されます。この領域をク

リックすると、座標表示のオンとオフが切り替わります。座標表示がオンの場合は、2つの表示方法があります。X,Y,Z の

値、もしくはクロスヘアカーソルを作図ウィンドウ内で移動したときの距離と極角度が値として表示されます。

座標表示の右側には、図面の作成に役立つ機能のオン/オフをコントロールするためのボタンがあります。これらの機能

をまとめて作図補助設定と呼びます。

ステータスバーの中央右には、図面内のモデルと図面のレイアウトビューを表示するためのボタンがあります。

ステータスバーの右側には、文字や寸法などの異尺度対応オブジェクトをコントロールするためのオプションがあります。

異尺度対応プロパティを使用して注釈を作成するとき、ステータス バーに表示される注釈尺度は作成されるオブジェクト

の尺度を表します。

クイックアクセスツールバー

クイックアクセスツールバーには頻繁に使用するツール、[新規作成]、[開く]、[上書き保存]、[名前を付けて保存]、[印

刷]、[元に戻す]、[やり直し]などが収められています。クイックアクセスツールバーの右端にある黒い矢印をクリック

するとメニューが表示されます。このメニューからはさらに追加のツールをクイックアクセスツールバーに表示させたり、

メニューバーを表示させたりすることができます。

リボンパネル内の各ツールを右クリックし

て[クイックアクセスツールバーに追加]

を選択すると、選択したツールをクイック

アクセスツールバーに追加することができ

ます。

追加したツールは、クイックアクセスツー

ルバーで右クリックすると除去することが

できます。

 座標表示

 ペーパー/モデルの切り替え、クイックビュー

 注釈の設定

 作図補助設定

レッスン1 AutoCADのインタフェース

第1章 基本操作を理解する8

ナビゲーションバー

[ナビゲーションバー]には頻繁に使用する画面移動やズームのほか、画面操作のためのさまざまなツールが配置され

ています。

ショートカットメニュー

作図領域で右クリックするとショートカットメニューが表示されます。メニュー内のツールやオプションを使用してさ

まざまな操作を実行できます。AutoCADのショートカットメニューは状況対応型です。コマンドプロンプトが表示されて

いる場合、コマンドを実行している場合、オブジェクトを選択している場合の3種類の状況に応じて、ショートカットメ

ニューの内容は異なります。

ショートカットメニューのオプションは領域によって整理されています。

メニューの上部には、[Enter]、[キャンセル]、および[最近の入力]オプションなどが示されます。 ●

コマンドの実行中には、メニューの中央部に現在実行中のコマンドに固有のオプションが示されます。ショートカット ●

メニューからコマンドのオプションを使用しても、コマンドラインにオプションの文字を入力しても結果は同じになり

ます。設計作業を手早く行えるので、この方法がコマンドのオプションを選択する際の推奨方法です。

メニューの下部では、[画面移動とズーム]機能や[クイック計算]コマンドの呼び出しなどが行えます。 ●

コマンドプロンプトが表示されている(コマンドラインが空白)の場合

コマンド を実行している場合(例:CIRCLEコマンド)

オブジェクトを選択している場合

1 画面移動カーソルをドラッグして、図面のビューを画面移動します。

2 ズーム画面表示の拡大、縮小を行うためのツールのグループが含まれます。

9

レイアウト

モデル空間は設計を行う領域です。それに対してレイアウト(図面シート)では注釈、表、図枠、表題欄を配置して印

刷を行います。

モデル空間は設計のための無限の空間であり、常に実寸で作図します。そして作業が完了したら、レイアウトを使用し

て実際の用紙サイズで図面シートを作成します。

AutoCAD ウィンドウ下部のステータス バーにあるボタンや作図領域下側のタブを選択してモデル空間とレイアウトを

切り替えることができます。

レイアウトの使用についての詳細は後の章で詳述します。

パレットウィンドウ

パレットウィンドウは開いたまま他の操作を行うことが可能なダイアログボックスです。[OK]や[適用]などのボタ

ンはなく、行った操作はすぐに図面に適用されます。AutoCADはさまざまパレットウィンドウを持っています。[画層プ

ロパティ管理]、[オブジェクトプロパティ管理]、[ツールパレット]のほか、[外部参照管理]や[Design Center]とい

った多種多様なパレットウィンドウが作図作業を効率化します。

パレットウィンドウには共通して、その表示をコントロールするためのオプションが用意されています。パレットウィ

ンドウを右クリックして表示されるショートカットメニューから、フローティング表示やアンカー表示の切り替え、不透

明度の設定などを行えます。

オプション 説明

移動パレットウィンドウを移動できます。また、単にタイトルバーを選択して画面上にドラッグすることでもリボンを移動できます。

サイズパレットウィンドウのサイズを変更できます。画面上でリボンのエッジをドラッグすることでもサイズ変更が行えます。

閉じる 図面スクリーンでパレットウィンドウを閉じます。

ドッキングを許可図面スクリーンのいずれかの端にパレットウィンドウをドッキングできます。

アンカー左/右図面スクリーンの左/右側にパレットウィンドウを固定して、自動的に隠します。

自動的に隠すパレットウィンドウからカーソルを移動したときにパレットウィンドウが非表示になります。

透明化 下に隠れているオブジェクトが表示または非表示できるように、パレットウィンドウの透明度を設定します。

レッスン1 AutoCADのインタフェース

第1章 基本操作を理解する10

情報センター

AutoCAD のタイトル バーの一番右に示される情報センターは、検索ボックスとAutodesk Exchangeのツールで構成さ

れています。

Autodesk Exchange

Autodesk Exchangeは情報センターから起動するだけでなく、AutoCADの起動時にも表示されます。Autodesk

Exchangeは2つのページから成り立っています。

「ホーム」ページでは、AutoCAD 2012の新機能についての「概要」や「機能の説明」のほか、製品の最新情報をWebブ

ラウザで表示することができます。

「ヘルプ」ページでは、オンライン ヘルプ システム、スタートアップビデオやチュートリアルなどのコンテンツなどを

呼び出すことができます。豊富なドキュメントを参照するとAutoCADをさらに詳しく理解できます。

1 ヘルプを検索するためのキーワードを入力します。

2検索キーワード を入力したら、[検索]アイコンをクリックして検索結果を表示します。結果は[Autodesk Exchange]ウィンドウで参照できます。

3オートデスクオンラインサービスにサインインできます。Autodesk IDとパスワードを使用してサインインします。Autodesk アカウントを持っていない場合は[サインイン]ダイアログボックスからアカウントを作成することもできます。

4 クリックすると、[Autodesk Exchange]ウィンドウの[ホーム]ページを開きます。

5 クリックすると、[Autodesk Exchange]ウィンドウの[ヘルプ]ページを開きます。

11

ツールチップ

AutoCADではさまざまなツールチップが表示されて機能をガイドします。たとえば、リボンパネルのツールボタンにカ

ーソルを合わせると2段階に分かれてツールチップが表示されます。初めにコマンドの名称やその説明が表示されます。

数秒後にはオンラインヘルプを検索してその機能についての詳細が表示されます。

ツールチップが表示されている状態でキ

ーボードのF1キーを押すとオンライン

ヘルプが起動します。その機能について

のより詳細な情報を閲覧できます。

レッスン1 AutoCADのインタフェース