3.AA: Anglo American plc....

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A A A n g l o A m e r i c a n p l c . ( ) 1) 企業概要 本社 London 主要事業〔鉱種〕 非鉄金属、ダイヤモンド、石炭、工業原料、鉄鋼、製紙・梱包 Cu, Zn, Pb, Au, Pt, Pd, Rd, Al, Ni, Ti, Nb, Cr, Mg, Zr, Cr, 鉄鉱石, ダイヤモンド, 燐灰石, 石炭〕 従業員数 100,000 (2011 年末) 決算日 12 月末日 主要関連会社 AngloGold Ashanti Ltd.: 41.716.616.20%(アングロゴールド・アシャンティ) Anglo American Platinum Ltd.: 79.8%(アングロ・アメリカン・プラティナム) 2011 4 月に Anglo Platinum Ltd.から改称。本稿では略称の Amplats を用いる。 Anglo Base Metals Ltd.: 100%(アングロ・ベースメタル) De Beers: 45%(デビアス) DB Investments SA: 45%(DB インベストメント) Kumba Iron Ore Ltd. : 65.3%(クンバ・アイアン・オア) Anglo Coal: 100%(アングロ・コール) Tarmac Group Ltd.: 100%(タルマック・グループ) 2) 財務状況 (mUS$) 2011 年の売上高(持分法適用会社を含まない)は前年比約 9%増の 30.6bUS$であった。生産 量は伸び悩んだものの、金属価格の上昇したことにより、売上増に至った。当期純利益は同 6%減の 6.2bUS$となった。銅部門での販売量減少、物流インフラの障害による追加コストの 発生、亜鉛資産の処分などが減益の要因となった。 年度 2009 2010 2011 売上高 ( 持分法適用会社を含む ) Group revenue including associates〔①〕※ 1 24,637 32,929 36,548 売上高(持分法適用会社を含まない) Group revenue①’〕※ 2 20,858 27,960 30,580 売上高(持分法適用会社を含まない)の割合〔①’/①〕 84.7% 84.9% 83.7% 当期純利益 Profit attributable to equity shareholders of the Company〔②〕 2,425 6,544 6,169 売上高(持分法適用会社を含む)利益率〔③=②/9.8% 19.9% 16.9% 売上高(持分法適用会社を含まない)利益率〔③’=②/①’11.6% 23.4% 20.2% 資産 Total assets〔④〕 56,308 66,656 72,442 流動資産 Total current assets 10,411 14,348 19,302 負債 Total liabilities〔⑤〕 28,239 28,685 29,253 流動負債 Total current liabilities 6,745 7,882 8,178 純資産 Net assets〔⑥=④-⑤〕 28,069 37,971 43,189 探鉱費 Exploration expenditure 3 172 136 121 1 売上高(持分法適用会社を含む)は、持分法適用会社に於ける Anglo American plc.のシェア(持ち分) の売上高を含む。 2 売上高(持分法適用会社を含まない)は、持分法適用会社に於ける売上高を含まない。 3 探鉱費はアニュアルレポートによる。 <参考> <主要関連会社に有する権益比率(%)Anglo American platinum(Amplats) 79.7 79.7 79.8 De Beers 45 45 45 Ferrous Metals and Industries Kumba Iron Ore 62.8 65.3 65.2 Scaw Metals 74 74 74 Samancor 40 40 40 為替レート(Rand/US$) End of the year 6.15 6.63 8.14 ※権益比率はアニュアルレポート、為替レートは IMF による。 3.AA 資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 95 -

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    3.AA: Anglo American plc. (アングロ・アメリカン) 1) 企業概要 本社 英 London

    主要事業〔鉱種〕 非鉄金属、ダイヤモンド、石炭、工業原料、鉄鋼、製紙・梱包 〔Cu, Zn, Pb, Au, Pt, Pd, Rd, Al, Ni, Ti, Nb, Cr, Mg, Zr, Cr, 鉄鉱石, ダイヤモンド, 燐灰石, 石炭〕

    従業員数 100,000 名(2011 年末) 決算日 12 月末日

    主要関連会社

    ・AngloGold Ashanti Ltd.: 41.7→16.6→16.2→0%(アングロゴールド・アシャンティ) ・Anglo American Platinum Ltd.: 79.8%(アングロ・アメリカン・プラティナム) ※2011 年 4 月に Anglo Platinum Ltd.から改称。本稿では略称の Amplats を用いる。

    ・Anglo Base Metals Ltd.: 100%(アングロ・ベースメタル) ・De Beers: 45%(デビアス) ・DB Investments SA: 45%(DB インベストメント) ・Kumba Iron Ore Ltd. : 65.3%(クンバ・アイアン・オア) ・Anglo Coal: 100%(アングロ・コール) ・Tarmac Group Ltd.: 100%(タルマック・グループ)

    2) 財務状況 (mUS$)

    2011 年の売上高(持分法適用会社を含まない)は前年比約 9%増の 30.6bUS$であった。生産量は伸び悩んだものの、金属価格の上昇したことにより、売上増に至った。当期純利益は同

    6%減の 6.2bUS$となった。銅部門での販売量減少、物流インフラの障害による追加コストの発生、亜鉛資産の処分などが減益の要因となった。

    年度 2009 2010 2011

    売上高 (持分法適用会社を含む ) Group revenue including associates〔①〕※1

    24,637 32,929 36,548

    売上高(持分法適用会社を含まない) Group revenue〔①’〕※2 20,858 27,960 30,580

    売上高(持分法適用会社を含まない)の割合〔①’/①〕 84.7% 84.9% 83.7%

    当期純利益 Profit attributable to equity shareholders of the Company〔②〕

    2,425 6,544 6,169

    売上高(持分法適用会社を含む)利益率〔③=②/①〕 9.8% 19.9% 16.9%

    売上高(持分法適用会社を含まない)利益率〔③’=②/①’〕 11.6% 23.4% 20.2%

    資産 Total assets〔④〕 56,308 66,656 72,442

    流動資産 Total current assets 10,411 14,348 19,302

    負債 Total liabilities〔⑤〕 28,239 28,685 29,253

    流動負債 Total current liabilities 6,745 7,882 8,178

    純資産 Net assets〔⑥=④-⑤〕 28,069 37,971 43,189

    探鉱費 Exploration expenditure ※3 172 136 121 ※1売上高(持分法適用会社を含む)は、持分法適用会社に於ける Anglo American plc.のシェア(持ち分)

    の売上高を含む。 ※2売上高(持分法適用会社を含まない)は、持分法適用会社に於ける売上高を含まない。

    ※3探鉱費はアニュアルレポートによる。 <参考>

    <主要関連会社に有する権益比率(%)> Anglo American platinum(Amplats) 79.7 79.7 79.8 De Beers 45 45 45 Ferrous Metals and Industries Kumba Iron Ore 62.8 65.3 65.2 Scaw Metals 74 74 74 Samancor 40 40 40 為替レート(Rand/US$) End of the year 6.15 6.63 8.14

    ※権益比率はアニュアルレポート、為替レートは IMF による。

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    図3.1 AA: 財務状況の推移

    図3.2 AA: 資産と負債の推移

    図3.3 AA:売上高の自社権益分の割合推移

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    売上高(自社権益分) 当期利益 売上高利益率(自社権益分)(mUS$)

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    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 96 -

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    3) 主要鉱産物の生産・開発状況 〔※鉱山名(所在国、権益比率):生産量は権益分〕

    2011 年の銅生産量は、Collahuasi 鉱山で豪雨や豪雪や品位低下、11 月にストライキが発生したことを受けて前年比約 4%減の 610kt となった。また、亜鉛・鉛事業では、Lisheen 亜鉛・鉛鉱山、Scorpion亜鉛鉱山、Black Mountain多金属鉱山を売却した。ニッケル生産ではBarro Alto鉱山が稼動したこと等を受けて、前年比約 30%増の 45.3kt となった。

    年度 2009 2010 2011 ’11 年の世界シェア等

    銅鉱(kt) 678.4 634.4 609.5 第 6 位(3.4%) Los Bronces(チリ M、100%*) 238.4 221.4 221.8 Collahuasi(チリⅠ、44%) 235.8 221.8 199.5 Mantos Blancos(チリⅡ、100%) 90.2 78.6 72.1 El Soldado(チリⅤ、100%*) 41.4 40.4 46.9 Mantoverde(チリⅢ、100%) 61.5 61.1 58.7 Black Mountain(南ア、74%→0%) 2.2 2.5 0.3 '11 年 2 月売却 Amplats(南ア、権益分) 8.9 8.7 10.2 Amplats(南ア、100%ベース) ※参考 (11.2) (10.9) (12.8)

    銅地金(粗銅+銅地金:kt) 314.4 311.2 302.4 粗銅(kt) 137.7 137.9 138.2 銅地金※SxEw カソード(kt)+Amplats(権益

    分) 176.7 173.3 164.2

    内 SxEw カソード(kt) 167.8 164.6 153.9 Mantoverde SxEw(チリⅢ、100%) 61.5 61.1 58.7 Mantos Blancos SxEw(チリⅡ、100%) 37.6 39.1 36.0 Los Bronces SxEw(チリ M、100%*) 45.5 42.6 38.4 Collahuasi SxEw(チリⅠ、44%権益分) 19.0 17.1 15.8 Collahuasi SxEw(チリⅠ、100%ベース) 参考 (43.1) (38.8) (36.0) El Soldado SxEw(チリⅤ、100%*) 4.2 4.7 5.0 Amplats(南ア、権益分) 8.9 8.7 10.2 Amplats(南ア、100%ベース) ※参考 (11.2) (10.9) (12.8)

    モリブデン鉱(t) Collahuasi,Los Bronces 3,888 3,899 3,880 第 11 位(1.5%) Los Bronces(チリ M、100%*)※RMG データ 2,770 1,930 950 Collahuasi (チリⅠ、44%権益分) 1,118 1,969 2,930 Collahuasi (チリⅠ、100%ベース) ※参考 (2,541) (4,476) (6,659)

    硫酸(kt) Chagres Smelter (チリ、100%) 457.6 466.7 487.5

    亜鉛鉱(kt) 350.4 349.7 22.5 Lisheen(アイルランド、100%(02年以前 59%)) 171.8 175.1 19.2 '11 年 2 月売却 Skorpion(ナミビア、100%) 150.4 138.5 '10 年 12 月売却 Black Mountain(南ア、100%→74%) 28.2 36.1 3.3 '11 年 2 月売却

    亜鉛地金(kt) Skorpion 150.4 138.5 '10 年 12 月売却 鉛鉱(kt) 68.3 71.2 8.3

    Black Mountain(南ア、100%→74%) 49.1 50.6 5.4 '11 年 2 月売却 Lisheen(アイルランド、100%(02年以前 59%)) 19.2 20.6 2.9 '11 年 2 月売却

    ニッケル鉱(t) 35,442 34,945 45,299 第 7 位(2.4%) Amplats(南ア、権益分) 15,542 14,745 16,199 Amplats(南ア、100%ベース) ※Northam 込

    参考 (19,500) (18,500) (20,300)

    Loma de Niquel(ベネズエラ、91.4%) 10,400 11,700 13,400 Barro Alto(ブラジル、100%) 6,200 '11 年 Q1 生産開始 Codemin(ブラジル、100%) 9,500 8,500 9,500

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012- 97 -

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    金鉱(t) Amplats(権益分) 2.3 2.0 2.6 第 103 位(0.1%) Amplats(南ア、100%ベース) ※参考 (2.8) (2.5) (3.3)

    銀鉱(t) ※参考:RMG データによる 134.4 125.7 89.1 第 41 位(0.3%) Los Bronces SxEw(チリ M、100%*) 50.0 50.0 50.0

    Mantos Blancos(チリⅡ、100%) 40.0 35.0 35.0 Black Mountain(南ア、74%→0%) 44.4 40.7 4.1 '11 年 2 月売却

    Amplats に有する権益比率(%) (79.7) (79.7) (79.8) 白金族(t) Anglo American 権益分 117.8 122.4 121.3 第 2 位(20.1%)

    Pt(t) Anglo American 60.8 63.7 62.8 第 1 位(26.4%) Pd(t) Anglo American 33.7 35.9 35.5 第 2 位(14.2%) Rh(t) Anglo American 8.7 8.2 8.4 第 1 位(26.4%)※2010 年データ 上記以外の白金族(t) Anglo American 14.6 14.6 14.6

    白金族 (t) Amplats( 南ア、権益分 ) ※Northam 込 参考 (147.8) (153.6) (152.0)

    Pt(t) Amplats (76.3) (79.9) (78.7) Pd(t) Amplats (42.3) (45.1) (44.5) Rh(t) Amplats (10.9) (10.2) (10.5)

    上記以外の白金族(t) Amplats (18.3) (18.3) (18.3)

    Kumba Iron Ore に有する権益比率(%) 62.8 65.3 65.2 鉄鉱石グロス量(kt) (南ア、ブラジル、権益分) 28,197.4 31,150.9 30,281.5 第 15 位(1.2%)

    Kumba Iron Ore(南ア、権益分) 26,340.2 28,330.3 26,906.5 Kumba Iron Ore(南ア、100%ベース)計 参考 (41,943.0) (43,384.9) (41,267.6) Lump(Shishen Mine(Kumba)

    (南ア、100%ベース)) ※参考 (25,300.0) (25,922.3) (25,445.1)

    Fine(Shishen Mine(Kumba) (南ア、100%ベース)) ※参考 (16,643.0) (17,462.6) (15,822.5)

    Amapá(ブラジル、権益分(70%)) 1,857.2 2,820.6 3,375.1 Amapá(ブラジル、100%ベース) 計 ※参考 (2,653.2) (4,029.4) (4,821.5) '10 年 1 月商業生産開始 Amapá(ブラジル、100%ベース) (Sinter feed) (576.1) (2,136.9) (1,401.0) Amapá(ブラジル、100%ベース) (Pellet feed) (2,077.1) (1,892.5) (3,420.5) 鉄鋼(kt) Scaw M.(南ア、100%) 693.0 710.0 677.4 鉄鋼(kt) Scaw M.(その他、100%) 718.0 794.2 '10 年 12 月売却

    ニオブ鉱(t) Catalão(ブラジル、100%) 5,100 4,000 3,900 第 3 位(6.4%)※2010 年データマンガン鉱 グロス量(kt) Samancor(40%) 1,570 2,953 2,787 第 3 位(6.7%)※2010 年データマンガン合金(kt) Samancor(40%) 129 312 301 ダイヤモンド(k Carat)

    ※De Beers に有する権益分 45% 11,070 14,849 14,098

    ダイヤモンド(k Carat) ※100%ベース 参考(南ア、ボツワナ、ナミビア、タンザニア)

    (24,600) (32,997) (31,328)

    砕石(kt) Tarmac(英、100%) 72,767 58,876 42,878 石灰製品(kt) Tarmac(英、100%) 1,214 1,256 1,264 コンクリート製品(1000m3) Tarmac(英、

    100%) 3,521 3,306 3,286

    リン鉱石(kt) Copebrás(ブラジル、73%) 829 1,002 1,061 第 14 位(0.6%) 石炭(kt) 97,491 98,984 95,375 第 7 位(1.3%) 原料炭(kt) 14,015 16,006 14,513

    南ア産(kt) 747 437 323 豪州産(kt) 12,623 14,702 13,253 加産(kt) 645 868 936

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    一般炭(kt) 83,476 82,977 80,862 南ア産(kt) 58,411 58,015 56,684 豪州産(kt) 14,052 14,461 13,427 加産(kt) 73 '08~09 のみ一部生産 コロンビア、ベネズエラ産(kt) 10,940 10,502 10,752

    (注)生産量は原則アニュアルレポート記載のものを使用しているが、世界シェアおよび順位に関しては Raw Materials Group データの暦年データを使用

    * Los Bronces 鉱山、El Soldado 鉱山の権益は、AA が 100%の株式を所有するチリの現地子会社 Anglo American Sur SA (AA Sur)社を通じて 100%所有していた。AA が 2011 年 11 月に三菱商事に AA Sur の株式 22.5%を売却した結果、AA の AA Sur に於ける株式所有比率は 77.5%になった。2012 年 8 月以降は 50.01%になった。詳細は、本文5) 事業内容の(2) 銅の項目を参照のこと。

    4) 沿革

    (1) これまでの経緯

    Anglo American(以下 AA)の前身である Anglo American Corporation of South Africa(以下 AAC)は、1917 年、南アに設立された。その後、経営の多角化、AA への改組を経て、金属鉱物資源のみならず工業用鉱物、燃料鉱物、製紙・林業、建設業、金融サービス業など幅広い分野に

    事業を展開する一大企業グループを形成する代表的な大手総合資源メジャーであったが、鉱

    山業以外の資産を売却し鉱山業への集中を進めつつある。 1917 年 9 月、ダイヤモンド投資で成功した Sir Ernest Oppenheimer(アーネスト・オッペ

    ンハイマー氏)は、East Rand(イースト・ランド)深部金鉱床の開発を目的としてAAC を設立した。同社社名は、英国、米国、南アなどから資本金が集められたことに由来する。

    1926 年 Daggafontein 金鉱山の開発成功ならびに Brakpan、Springs 両金鉱山の拡張により成長の足掛りとなった。ダイヤモンドのリーディング・カンパニーDe Beers(デ・ビアス)社の筆頭株主となる。

    1928 年

    現ザンビアのカッパーベルト開発を目的として Rhodesian Anglo American 社設立。

    南アの“Bushveld Igneous Complex (ブッシュフェルト複合岩体)”を発見したHans Merensky (ハンス・メレンスキー)氏とパートナー・シップを結んだ。

    1929 年 Sir Ernest Oppenheimer が De Beers 社の会長に就任するなど、この頃までに貴金属・ベースメタル・ダイヤモンドを軸とした AAC の基礎が固められた。

    1944 年 Western Reefs (ウエスターン・リーフス)周辺地域の調査・開発を目的としてVaal Reefs Exploration & Mining(バール・リーフ)社を設立。南アでの金鉱山開発を積極的に推進。

    1960 ~70 年代

    金属資源以外の分野へ相次いで投資、Amic 社(63 年工業原料)、Mondi グループ(67 年製紙・林業)、Amcoal 社(75 年石炭)などを設立するとともに、鉄鋼生産技術の開発にも乗り出した。

    1971 年 ザンビア政府によるカッパーベルトの国有化に伴い、Rhodesian 社はザンビアの直接権益を処分、南ア Bermuda に本社を移し、社名を Minerals & Resources社に変更。

    1974 年 Minorco 社に再度、社名を変更。 1987 年 ルクセンブルグに本社を移転した。1985 年 Free State 鉱区の鉱山を整理・統合

    し、Freegold 社(Free State Consolidated Gold Mines Ltd.)を設立した。 1995 年 AAC が 39.7%の権益を保有した JCI 社の資産を白金族・ダイヤモンド部門

    (Amplats ダイヤモンド資産は後に De Beers 社に移管)、その他鉱業部門(新 JCI社)、工業部門(Johnnic 社)に分割し、Johnnic 社及び新 JCI 社の権益を黒人投資

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    家に譲渡することを決定した。 1998 年 6 月 Vaal Reefs 鉱山を母体として Freegold 社を含む傘下の 5 金生産者、2 探鉱

    会社及び JCI 社が権益を保有した Joel 鉱山を合併し、AngloGold 社を設立した。 更に同年 Amcoal 社及び Amic 社の少数権益を買い占め、これらを 100%子会社

    にするとともに、世界最大のマンガン・クロム合金生産者 Samancor 社の権益40%取得。

    1999 年 5 月 24 日、再編の結果、AAC は事業部門別に系列子会社を所有する持株会社としての性格を強め、Minorco 社を合併し、AA として London 株式市場に上場し、同時に本社を London に移転した。その後 5 年間に 12bUS$に上る事業買収と 7bUS$の売却により企業の構造改革を実施し、高価値の資産と地域的バランスの取れた企業へ変貌した。

    2000 年 Tony Trahar が CEO に就任し、南アに集中していた事業の多様化・多国籍化を開始(1999 年当時の南ア事業の収益は 74%であったが 2004 年には 1/3 に減少)。

    2001 年 4 月、Billiton の 165 百万株(7.1%相当、754.3mUS$)を機関・有資格投資家に売却。

    2002 年 12 月、Anglo Platinum 社への年間投資額 767mUS$により同社の権益を 58.39%から 66.75%に引き上げた。

    2003 年 世界第 5 位の鉄鉱石生産会社で石炭も生産する Kumba 社(南ア)の支配株(66.6%)確保し、鉄鉱石事業への進出を果たした。

    2004 年 4 月、AngloGold 社はガーナの大手金生産業者 Ashanti Goldfields 社と合併してAngloGold Ashanti 社となった。一方、大規模で、低コストの資産に重点を置くとの基本方針に沿って、その後幾つかの権益を売却。

    2005 年 4 月、上記事業再編方針に従い、従来 51%を所有する AngloGold Ashanti 社の株式の一部(1,969 万株)を売却して、持株比率を 41.8%に減資。今後、段階的にさらに比率を減らし、2~3 年後には全株式を売却して、完全撤退の方針。

    2007 年 3 月、南ア BEE 規定に基づき、子会社の Scaw Metals 社(鉄鋼、合金鉄製造)の21%を新設南ア企業 Scaw South Africa(Scaw SA)社に 704mUS$相当で売却。

    9 月、BEE 規定(※)に基づき、Amplats の Lebowa(51%)、Ga-Phasha(1%既得の50%と合わせ 51%)両白金族鉱山の Anooraq Resources 社への売却(3.6mZAR)及び、Booysendal プロジェクト(50%)と Northam 社(22.4%)権益を Mvela Resources社に売却(4bZAR)等を発表。

    2009 年 Q2、2009 年末までにグループ全体で 19,000 人の人員削減を計画し、既に 15,000人削減。

    3 月、AngloGold Ashanti 社の株式(発行株式の 11.3%、39,911,282 株)全株を、Paulson & Co(米系ヘッジファンド)に 12.8 億 US$にて売却を発表し 1917 年以来、創業の礎であった金部門から完全撤退。

    10 月、組織改編と非中核資産の更なる売却計画を発表。コア部門は、①白金(南ア)、②銅(チリ)、③ニッケル(ブラジル)、④原料炭(豪)、⑤一般炭(南ア)、⑥鉄鉱石(南ア)、⑦鉄鉱石(ブラジル)とし、その他の非中核事業は、Scaw Metals、Copebras、Catalao 及び亜鉛資産を売却対象とする。また、管理部門の人員 25%削減により年間 120mUS$のコスト削減を見込む。

    2010 年

    亜鉛事業の資産をインド Vedanta Resources 社へ総額 13 億 3,800 万ドルで売却すると発表。

    南ア鉱物資源省、AAが持つSishen鉄鉱石鉱山の探査権の20%を Imperial Crown Trading 社に与えた。事実上、AA は南ア政府により鉱業権をはく奪される。

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 100 -

  • -101-

    (2) 最近の動向

    2011 年 11 月、チリの子会社である Anglo American Sur 社の株式 24.5%を三菱商事に売却。Anglo American Sur 社については、CODELCO が 49%の株式取得オプション権を保有しているが、この売却によって 24.5%に制限されるとの見解を AAが示したところ、CODELCO がこれに反発。チリ政府も巻き込み、三菱商事に売却された 24.5%を除く 75.5%についてCODELCOのオプション権保全のための法的手続きを開始。

    11 月、Anglo American Sur 社株を三菱商事へ売却したことにより、株式取得のオプション権が侵害されるとして CODELCO から提訴される。裁定を差し止めるための訴えへ。

    12 月、Anglo American Sur 社の株式をこれ以上売却させないようにするCODELCO からの提訴に対し、その取り消しを申し立てたものの、Santiago の上訴裁判所によって却下される。その後、CODELCO とのオプション権契約については、CODELCO 側に契約違反があるために無効であると申し立て。

    2012 年 1 月、2012 年 3~4 月から各地の白金鉱山等に対して従来のバッテリー式機関車に代わる燃料電池式機関車の走行を開始する予定であると発表。

    1 月、南アフリカの Amplats 及び Lonmin 社は南ア鉱山安全衛生法に基づく鉱山の強制的操業停止の件数が激増し、白金生産量に悪影響を与えたと発表。

    2 月、豪 TAS 州で操業する TEMCO マンガン製錬所(BHPB が 60%出資、残り40%を AA が出資)について、製品相場の下落、豪ドル高、生産コスト高等から一時的に操業を停止させると発表。

    3 月、ブラジル Minas Gerais 州 Minas Rio 鉄鉱石プロジェクト(フェーズ I)から生産される鉄鉱石の 75%について販売契約を締結。50%は中東向け、25%はアジア向け、残り 25%は鉄鋼大手 Ternium 社(ルクセンブルグ)向けに。

    4 月、南ア Zibulo Colliery 炭鉱の操業を開始。生産される一般炭は国内で消費される他、Richard Bay 港を経由して海外へ輸出される。

    7 月、ペルーQuellaveco 銅プロジェクトについて地元と合意達成。社会基金として 3 億 8 千万 US$を拠出するほか、飲料水や農牧用の水資源を利用せず、貯水池を建設することで水資源量の増加に貢献すること、鉱山建設で必要とな

    る人員の 80%を県内で確保することを約束。 7 月、モザンビーク Revuboè 原料炭プロジェクトの権益 58.9%を約 5 億 5,500

    万 US$で取得。 8 月、CODELCO による Anglo American Sur 社に対するオプション権行使問題

    に関し、CODELCO と AA が和解。結果として Anglo American Sur 社の株式所有比率は、AA が 50.1%(オペレータを継続)、三菱商事 20.4%、CODELCO24.5%、三井物産 5%となった。

    9 月、南ア北部に位置する Impala Platinum 社の Rustenburg 白金族鉱山の坑内作業員による違法ストライキが発端になり 8 月の Lonmin 社の Marikawa 鉱山での暴動に発展し、Anglo American Platinum 社も長期ストライキの影響で、大きな生産障害を及ぼした。 Anglo American Platinum 社の CEO であった Neville Nicolau(2008 年~)が退任し、Chris Griffth が、2012 年 9 月に Kumba 鉄鉱山社長から赴任し、この組織変更が以前のストライキ対応と違い、鉱山会社側の姿勢が待ったなしの非常に

    厳しい状態になっているのではと推測される。

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012- 101 -

  • -102-

    5) 事業内容

    AA の事業分野は、①鉄鉱石・鉄鋼添加元素、②原料炭、③一般炭、④銅、⑤ニッケル、⑥白金族、⑦ダイヤモンド、⑧その他工業用鉱物に分類されている。

    2009 年以降のセグメント状況を以下に示す。2009 年は白金族や鉄鉱石を中心に金属価格が下落したため売上、利益ともに低迷していたが、その後景気回復や金属価格上昇に伴い、業

    績は回復している。営業利益でみた場合、鉄鉱石及びマンガンを主とする鉄系金属・製品か

    らの利益が一番大きく約4割を占める。これに銅および石炭(原料炭及び一般炭)がそれぞれ約2割ずつを占めている。同社における白金族関連事業での利益は、利益全体のうち1割弱を

    占めている。

    表3.1 AA: セグメント 〔2009~:売上高 (mUS$)〕

    2009 2010 2011 ベースメタル 6,856 8,174 7,772 白金族 3,989 5,532 6,357 鉄系金属・製品 3,701 6,802 7,761 工業用鉱物 3,473 3,359 3,273 ダイヤモンド 1,728 2,644 3,320 石炭 4,890 6,418 8,065 売上高合計 24,637 32,929 36,548

    図3.4 AA: セグメント 〔2009~:売上高〕

    表3.2 AA: セグメント 〔2009~:営業利益 (mUS$)〕

    2009 2010 2011

    ベースメタル 2,012 2,913 2,518

    白金族 32 837 890

    鉄系金属・製品 1,489 3,681 4,520

    工業用鉱物 506 661 195

    ダイヤモンド 64 495 659

    石炭 1,172 1,493 2,419

    当期利益計 5,275 10,080 11,201

    0

    1,000

    2,000

    3,000

    4,000

    5,000

    6,000

    7,000

    8,000

    9,000

    ベースメタル 白金族 鉄系金属・製品 工業用鉱物 ダイヤモンド 石炭

    2009 2010 2011(mUS$)

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 102 -

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    図3.5 AA: セグメント 〔2009~:営業利益〕

    表3.3 AA: セグメント 〔2009~:売上高営業利益率〕

    図3.6 AA: セグメント 〔2009~:売上高営業利益率〕

    0

    500

    1,000

    1,500

    2,000

    2,500

    3,000

    3,500

    4,000

    4,500

    5,000

    ベースメタル 白金族 鉄系金属・製品 工業用鉱物 ダイヤモンド 石炭

    2009 2010 2011(mUS$)

    0%

    10%

    20%

    30%

    40%

    50%

    60%

    70%

    ベースメタル 白金族 鉄系金属・製品 工業用鉱物 ダイヤモンド 石炭 総合

    2009 2010 2011

    2009 2010 2011

    ベースメタル 29.3% 35.6% 32.4%

    白金族 0.8% 15.1% 14.0%

    鉄系金属・製品 40.2% 54.1% 58.2%

    工業用鉱物 14.6% 19.7% 6.0%

    ダイヤモンド 3.7% 18.7% 19.8%

    石炭 24.0% 23.3% 30.0%

    総合 21.4% 30.6% 30.6%

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012- 103 -

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    (1) 白金族

    AA は、Anglo American Platinum 社(2011 年 4 月に Anglo Platinum 社から名称を変更。略称は Amplats)に 79.8%の権益を有する。2002 年 12 月に権益比率をそれまでの 59.6%から 67.6%に引上げ、更に 2003 年に 74.8%へ、2009 年には 79.7%へ、2011 年には 79.8%と権益を増やしてきた。同社は、1995 年、旧 JCI 社の白金族資産を保有する Rustenburg Platinum Holdings 社、Potgietersrust Platinum 社、Lebowa Platinum Mines 社の運営母体として設立され、世界の白金生産量の約 40%を生産する世界最大の生産者である。なお、Amplats が生産する白金族は、主に英国 Johnson Matthey 社を通じて市場に流通している。 同社の鉱山は南アにある Bushveld 複合岩体を対象として採掘しており、Merensky 鉱脈、

    UG2 鉱脈及び Platreef 鉱脈が知られている。合計 16 か所の鉱山で採掘を行っており、尾鉱からの金属回収設備と 3 か所の製錬所を保有しているほか、白金族の精錬所及びベースメタルの精錬所をそれぞれ 1 か所ずつ保有している。製錬及び精錬は Rustenburg 鉱山地区で行われている事が多い。ここでは白金族(プラチナ、パラジウム、ロジウム等)のほか、副産物としてニッケル、銅、金等などが産出されている。 同社最大の白金族鉱山である Rustenburg 鉱山地区は、Bathople 鉱山、Khomanami 鉱山、

    Thembelani 鉱山、Khuseleka 鉱山、Siphumelele 鉱山 5 つの鉱山から構成される同社最大の生産拠点となっている。同社が保有する鉱山の中には、Union 鉱山のように権益比率が 100%に満たないものがあるが、これは南ア政府の BEE 政策(黒人の経済的権利拡大政策)に基づくものである。ジンバブエに位置する Unki 鉱山は、100%の権益を保有しているが、その生産物の引取割合については、現在同国における法令等に照らし合わせて同国政府と交渉中である。

    表3.4 Anglo American Platinum:生産量 〔各鉱山の生産量は 100%ベース (単位:t)〕 2009 2010 2011

    プラチナ(t) Bathople(100%)※Rustenburg の一部 4.16 4.40 3.68 Khomanani(100%)※Rustenburg の一部 3.28 3.14 3.18 Thembelani(100%)※Rustenburg の一部 2.47 3.04 3.31 Khuseleka(100%)※Rustenburg の一部 4.88 4.10 4.14 Siphumelele(100%)※Rustenburg の一部 3.44 2.99 3.14 Tumela(100%) 9.14 9.42 8.85 Dishaba(100%) 4.67 4.86 5.04 Union(85%) 9.08 9.46 8.49 Mogalakwena(100%) 7.26 8.47 9.73 Twickenham(100%) 0.23 0.11 0.03 Unki(100%) 1.58 Western Limb Talings(100%) 1.01 1.35 1.34 Modika(50%) 4.21 4.20 4.04 Kroondal(50%) 7.18 8.30 6.77 Marikana(50%) 1.19 1.66 1.51 Mototolo(50%) 3.31 3.44 3.58

    Amplats 計(100%ベース) 65.49 68.93 68.39

    パラジウム(t) Bathople(100%)※Rustenburg の一部 2.30 2.54 2.05 Khomanani(100%)※Rustenburg の一部 1.47 1.47 1.49 Thembelani(100%)※Rustenburg の一部 1.26 1.62 1.72 Khuseleka(100%)※Rustenburg の一部 2.36 2.02 2.04 Siphumelele(100%)※Rustenburg の一部 1.59 1.31 1.35 Tumela(100%) 4.16 4.38 4.03 Dishaba(100%) 2.09 2.23 2.26 Union(85%) 3.96 4.18 3.63 Mogalakwena(100%) 7.77 8.81 9.97 Twickenham(100%) 0.22 0.10 0.02

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 104 -

  • -105-

    Unki(100%) 1.05 Western Limb Talings(100%) 0.32 0.43 0.41 Modika(50%) 3.98 3.95 3.65 Kroondal(50%) 3.45 4.12 3.31 Marikana(50%) 0.52 0.78 0.71 Mototolo(50%) 1.91 2.02 2.08

    Amplats 計(100%ベース) 37.38 39.97 39.78

    ロジウム(t) Bathople(100%)※Rustenburg の一部 0.81 0.77 0.65 Khomanani(100%)※Rustenburg の一部 0.35 0.30 0.34 Thembelani(100%)※Rustenburg の一部 0.40 0.44 0.48 Khuseleka(100%)※Rustenburg の一部 0.68 0.47 0.52 Siphumelele(100%)※Rustenburg の一部 0.41 0.22 0.23 Tumela(100%) 1.46 1.43 1.45 Dishaba(100%) 0.59 0.60 0.65 Union(85%) 1.54 1.45 1.47 Mogalakwena(100%) 0.54 0.51 0.64 Twickenham(100%) 0.05 0.02 0.01 Unki(100%) 0.09 Western Limb Talings(100%) 0.06 0.06 0.07 Modika(50%) 0.85 0.75 0.78 Kroondal(50%) 1.26 1.34 1.28 Marikana(50%) 0.21 0.24 0.25 Mototolo(50%) 0.53 0.58 0.55

    Amplats 計(100%ベース) 9.73 9.18 9.45

    PGMs(t) Bathople(100%)※Rustenburg の一部 8.65 9.11 7.56 Khomanani(100%)※Rustenburg の一部 5.70 5.43 5.59 Thembelani(100%)※Rustenburg の一部 4.84 5.91 6.40 Khuseleka(100%)※Rustenburg の一部 9.11 7.44 7.64 Siphumelele(100%)※Rustenburg の一部 6.13 4.88 5.10 Tumela(100%) 18.03 17.60 16.89 Dishaba(100%) 8.31 8.65 9.05 Union(85%) 17.13 17.60 16.03 Mogalakwena(100%) 16.18 18.32 21.04

    Twickenham(100%) 0.59 0.26 0.08

    Unki(100%) 2.80 Western Limb Talings(100%) 1.58 2.03 2.04 Modika(50%) 10.32 10.20 9.70 Kroondal(50%) 14.27 16.26 13.87 Marikana(50%) 2.22 3.26 2.86 Mototolo(50%) 6.68 7.21 7.31

    Amplats 計(100%ベース) 129.75 134.17 133.96 (※出典:Anglo American Platinum Annual Report 2011)

    南アの North West 及び Limpopo 州にある Bushveld Complex(ブッシュフェルト複合岩体)に

    おいて白金族の採掘を行っている。主な鉱床には、Merensky Reef(メレンスキーリーフ)、Upper Group 2 Reef(UG2 Reef:ユージ-2 リーフ)及び Plat Reef(プラットリーフ)の 3 層準があり、Amplats は、Potgieterstust 鉱山では Plat Reef を、それ以外の鉱山では Merensky Reef 及び UG2 Reef を対象に採掘している。埋蔵量及び品位は次表のとおりである。埋蔵量は経済前提の再計算やアロケーション方法の違いによって前年、前々年から大きく変化している。

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012- 105 -

  • -106-

    表3.5 Amplats: 白金族埋蔵量 (Proved + Probable:鉱床胚胎層・尾鉱別、同社権益分)

    (※出典:Anglo American Annual Report 2011, 4E:Pt+Pd+Rh+Au) (2) 銅

    AA が現在操業する銅鉱山はチリに集中している。主なものとして、チリの Collahuasi(AAが直接保有。権益比率は 44%)、Mantos Blancos(AA が 100%の株式を有するチリ現地子会社のAnglo American Norte 社が保有。同社の権益比率は 100%)及び Mantoverde(同)、このほかチリ現地子会社 Anglo American Sur 社(旧 Minera Sur Andes 社。2011 年 11 月まで AA が 100%の株式を所有。2012 年 8 月以降の株式所有比率は 50.01%へ)を通じて保有している Los Bronces、El Soladado の 2 鉱山がある。以前、南アにも Black Mountain 多金属鉱山を有してたが、2011年 2 月には売却されている。

    AA が保有している銅鉱山のうち、最大の銅鉱山はチリ第Ⅰ州の Collahuasi 鉱山(権益比率44%)であり、AA 以外では Xstrata(同 44%)、三井物産㈱(同 6.9%)、JX 日鉱日石金属㈱(同 3.6%)及び三井金属鉱業㈱(同 1.5%)が権益を保有している。AA が保有する各銅鉱山の鉱山別生産量の推移は下図のとおりである。 なお 2011 年 11 月、100%子会社であった Anglo American Sur 社の株式 24.5%を 5.39bUS$(約

    4,200 億円)で三菱商事へ売却したが、Anglo American Sur 社の株式に対してオプション権を有する CODELCO は、同社が有する権利を侵害されたとして AA を提訴していた。その後、2012年 8 月になって AA と CODELCO の間で和解が成立している。この結果、CODELCO は Anglo American Sur 社の株式 24.5%を 18 億 US$で取得することとなった。三菱商事は AA から取得した 24.5%株式の一部である 4.1%を AA に 8.95 億 US$で譲渡することとなったほか、AA が保有する 0.9%を加えた 5%を Acrux 社へ(CODELCO と三井物産が Anglo American Sur 社株式を共同保有のために設立した合弁会社。CODELCO が 83%、三井物産が 17%を保有。)譲渡することになった。三井物産は Acrux 社に 11 億 US$を出資することで、Anglo American Sur 社株式 5%を取得した。結果として合意された Anglo American Sur 社の株式所有比率は、AA が50.1%(オペレータを継続)、CODELCO が 24.5%、三菱商事が 20.4%、三井物産が 5%となった。

    白金族(Anglo Platinum)

    鉱山・鉱床名及び鉱種 鉱量(mt)品位4EPGE(g/t)

    金属量(100%:t)

    金属量(権益分:t) 鉱量

    (mt) 品位4E

    PGE(g/t)金属量

    (100%:t)金属量

    (権益分:t)Merensky Reef 113.0 10.21 576.05 459.1 1,005.4 10.75 5,380.54 4,288.3UG2 Reef 640.7 8.88 2,796.87 2,229.1 1,608.2 10.48 8,432.37 6,720.6Platreef 725.3 7.79 1,564.39 1,676.8 2,785.4 4.37 6,068.75 4,836.8鉱石計 1,479.0 3.34 4,937.3 4,365.0 5,399.0 3.68 19,881.7 15,845.7尾鉱(Tailings) 18.9 0.86 16.3 13.0 105.5 1.09 115.0 91.7Anglo Platinum合計 1,497.9 3.31 4,953.6 4,377.9 5,504.5 3.63 19,996.7 15,937.3

    埋蔵量(Ore Reserves) 資源量(Mineral Resources)

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 106 -

  • -107-

    *Hudson Bay 鉱山は、2004 年 12 月に売却

    図3.7 AA :銅生産量 (権益分) の推移

    Collahuasi 銅鉱山(チリⅠ州、OP:精鉱+SxEw、44%)

    AA が 44%の権益を持つ世界最大級の銅鉱山である。AA 以外の権益は Xtrata44%、三井物産 7.4%、JX 日鉱日石金属 3.6%、三井金属鉱業 1.0%である。1996 年 9 月に開発着手、1998年 12 月に精鉱生産を開始、99 年 1 月に商業生産が開始された。

    2011 年における生産量は銅精鉱が 417.3kt(純分換算)であり、SX-EW 法によるものが 36ktであり、合計 453.3kt となっている。このうち、権益分生産量は 199.5kt である。鉱山寿命は68 年と見積もられている。同鉱山の生産量は 2010 年に比して 1 割ほど減少しているが、この背景としては鉱石品位の低下、集中豪雨及び豪雪の影響、また 2011 年 11 月に発生したストライキなどがある。

    Mantos Blancos(OP:SxEw)、Mantoverde(OP:SxEw)銅鉱山(チリⅡ州、Mantos Blancos 社、100%)

    2000年 3月、同社の残り 22.65%の権益を 92mUS$にて取得し 100%取得した銅鉱山である。2005 年 8 月に Mantos Blancos 鉱山を鉱量枯渇から閉山すると発表したが、2010 年に実施された調査の結果、鉱山寿命が延長され現在に至っている。2012年現在、鉱山寿命はMantos Blancosが 10 年、Mantoverde が 6 年と見積もられている。

    2011 年における生産量は銅精鉱が 36.1kt(Mantos Blancos 鉱山のみ:純分換算)、SX-EW 法によるものが両鉱山合わせて 94.7ktとなっている。両鉱山の生産量は 2010年に比して、Mantos Blancos で 8%、Mantoverde で 4%減少しているが、主な要因は鉱石品位の低下が挙げられている。

    Los Bronces 銅鉱山(OP:精鉱、SxEw)、 El Soldado 銅鉱山(UG:精鉱、SxEw)、及び Chagres 銅製錬

    所(自溶炉:ブリスター・アノード)(チリ首都圏州、Anglo American Sur 社(旧 Minera Sur Andes)、

    100%)

    2002 年 11 月に 1.3bUS$で Exxon Mobil 社から買収した銅鉱山である。その後、AA における銅生産の主力となり、銅製錬も加えてチリにおける一貫生産体制の基礎となった。Los Bronces 銅鉱山と El Soldado 銅鉱山とがある。

    2011 年における生産量は銅精鉱が Los Bronces 鉱山で 178.8kt(純分換算)、El Soldado 鉱山で41.9kt(同)となっている。また SX-EX 法によるものは Los Bronces 鉱山で 47kt(電気銅及び硫酸銅両方の出荷形態を含む)、El Soldado 鉱山で 5kt となっている。2012 年現在の鉱山寿命は、

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    800

    900

    200

    2

    200

    3

    200

    4

    200

    5

    200

    6

    200

    7

    200

    8

    200

    9

    201

    0

    201

    1

    Others(Palabora(南ア,28.7%)etc.)

    Hudson Bay(カナダ,100→0%)*

    BlackMountain(南ア)

    Mantoverde(チリ,100%)

    El Soladad(チリ,100%)

    Mantos Blancos(チリ,100%)

    Collanhuasi(チリ,44%)

    Los Bronces(チリ,100%)

    (kt)

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012- 107 -

  • -108-

    Los Bronces 鉱山で 34 年、El Soldado 鉱山で 23 年と見積もられている。Los Bronces 鉱山の生産量は 2010 年よりも増加しており、これは鉱山拡張による影響を受けている。また同様にEl Soldato 鉱山でも 2010 年よりも 2 割弱生産量が伸びているが、これは高い鉱石品位に支えられた点が大きいとしている。

    表3.6 AA :銅の埋蔵量・資源量 (2011 年 12 月 31 日時点)

    (3) 亜鉛・鉛

    従来、南アの Black Mountain 鉱山、ナミビアの skorpion 鉱山、アイルランドの Lisheen 鉱山で生産を行っていたが、2010 年 5 月にこれら 3 つの鉱山(Lisheen 亜鉛・鉛鉱山、Scorpion 亜鉛鉱山、Black Mountain 多金属鉱山)を Vedanta Resources 社へ売却することを発表した。2010年 12 月には Scorpion 鉱山、2011 年 2 月には Lisheen 鉱山及び Black Mountain 鉱山の売却が完了し、これに伴い AA は亜鉛・鉛事業から撤退することとなった。 (4) ニッケル

    Niquelandia 及び Barro Alto(ブラジル)、Loma de Niquel(ベネズエラ)の各鉱山に権益を保有している。いずれもフェロニッケルの形態で供給を行っている。

    Niquelandia ニッケル鉱山・Codemin 製錬所(ブラジル、権益 100%)

    元々の鉱山権益保有率は 90%であったが、2004 年中に IFC 社 (International Finance Corporation)から残りの 10%を購入して 100%子会社としたものである。2011 年における生産量は 9.5kt(純分換算)である。2012 年における鉱山寿命は 25 年と見積もられている。

    Barro Alto ニッケル鉱山・製錬所(ブラジル Goias 州)

    2006 年 12 月に開発が決定され、2011 年から生産を開始している鉱山である。2011 年における生産量は 6.2kt(純分換算)である。2012 年における鉱山寿命は 32 年と見積もられている。

    鉱山・鉱床名及び鉱種 鉱量(mt) 品位Cu(%)金属量

    (100%:mt)金属量

    (権益分:mt) 鉱量(mt) 品位Cu(%)

    金属量(100%:mt)

    金属量(権益分:mt) 鉱量

    (mt) 品位Cu(%)金属量

    (100%:mt)金属量

    (権益分:mt)

    Los Bronces 2,182.1 0.53 11.546 8.717 1,332.0 0.42 5.659 4.272 3,514.1 0.49 17.205 12.990 Sulfide 1,498.4 0.62 9.290 7.014 1,133.9 0.43 4.876 3.681 - - - -

    83.7 0.58 0.485 0.367 - - - - Leach 683.7 0.33 2.256 1.703 0.0 0.00 0.000 0.000 - - - -

    114.4 0.26 0.297 0.225 - - - -El Soldado 166.2 0.88 1.464 1.105 61.8 0.78 0.484 0.365 228 0.85 1.948 1.471 Sulfide 162.7 0.89 1.448 1.093 40.7 0.77 0.313 0.237 - - - -

    20.9 0.81 0.169 0.128 - - - - Leach 3.5 0.46 0.016 0.012 0.2 0.71 0.001 0.001 - - - -

    0.0 0.00 0.000 0.000 - - - -Mantos Blancos 122.4 0.49 0.595 0.595 219.2 0.48 1.046 1.046 341.6 0.48 1.641 1.641 Sulfide 46 0.82 0.377 0.377 116.0 0.64 0.742 0.742 - - - -

    2.7 0.57 0.015 0.015 - - - - Leach 24.7 0.40 0.099 0.099 24.5 0.45 0.110 0.110 - - - -

    1.9 0.53 0.010 0.010 - - - - Dump 51.7 0.23 0.119 0.119 8.3 0.20 0.017 0.017 - - - -

    65.8 0.23 0.151 0.151 - - - -Mantoverde 88.1 0.42 0.366 0.366 35.7 0.38 0.135 0.135 123.8 0.40 0.501 0.501 Heap 42.7 0.58 0.248 0.248 34.2 0.38 0.130 0.130 - - - -

    0.6 0.53 0.003 0.003 - - - - Dump 45.4 0.26 0.118 0.118 0.0 0.00 0.000 0.000 - - - -

    0.9 0.22 0.002 0.002 - - - -Collahuasi(44%) 2,895.9 0.80 23.096 10.162 2,042.4 0.77 15.643 6.883 4,938.3 0.78 38.739 17.045 Heap 35.4 0.63 0.223 0.098 15.1 0.60 0.091 0.040 - - - -

    3.9 0.62 0.024 0.011 - - - - Sulfide 1,925.3 0.95 18.290 8.048 630.1 0.91 5.734 2.523 - - - -

    660.6 0.99 6.540 2.878 - - - - Sulfide(stockpile) 935.2 0.49 4.582 2.016 153.7 0.46 0.707 0.311 - - - -

    579.0 0.44 2.548 1.121 - - - -<開発待>

    Quellaveco(Sulfide:80%) 916.4 0.65 5.957 4.765 831.9 0.44 3.683 2.946 1,748.3 0.55 9.640 7.712Mantoverde(Sulfide) 144.0 0.66 0.950 0.950 144.0 0.66 0.950 0.950Pebble(Sulfide:50%) 5,268.8 0.45 23.710 11.855 5,268.8 0.45 23.710 11.855

    AA合計 6,371.1 0.68 43.023 25.711 9,935.8 0.52 51.3 28.454 16,306.9 0.58 94.334 54.165

    埋蔵量 資源量 埋蔵量+資源量(AAは外数表示)

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 108 -

  • -109-

    Loma de Niquel・製錬所(ベネズエラ)

    AAが権益91.4%を所有する鉱山である。2011年における生産量は13.4kt(純分換算)である。2012 年における鉱山寿命は 4 年であると見積もられている。 Amplats

    子会社である Anglo American Platinum 社が操業する白金族鉱山において副産物としてニッケルを回収している。2011 年の権益分生産量は 16.2kt である。

    表3.7 AA :ニッケルの埋蔵量 (Proven + Probable、2011 年 12 月 31 日時点)

    (5) 鉄及びマンガン

    AA では鉄鉱石及びマンガン鉱石の採掘事業を製鉄事業者向けの事業としてまとめて一つの事業として取り扱っている。

    Kumba 鉄鉱山地区(南ア、権益 48.2%)

    Kolomela 鉱山、Sishen 鉱山、Thabazimbi 鉱山の 3 鉱山が存在する。これらは AA が 65.2%の株式を保有する Kumba Iron Ore 社を通じて権益を保有している鉱山であり、AA からみた場合 48.2%に相当する権益となる。2011 年における生産量は凝結鉱が 25,445.1kt、非凝結鉱15,822.5kt である。2012 年における鉱山寿命は、Kolomela 鉱山が 23 年、Sishen 鉱山が 18 年、Thabazimbi 鉱山が 4 年と見積もられている。

    Minas-Rio 鉄鉱山・Amapa ペレット工場(ブラジル、権益 70%)

    AA が権益を 70%保有する鉄鉱山である。ここで採掘された鉄鉱石は焼結鉱もしくはペレットとして供給されている。2011 年における生産量は焼結鉱が 1,401kt、ペレット形態のものが 3,420.5kt である。2012 年における鉱山寿命は 25 年と見積もられている。

    Hotazel マンガン鉱山(南ア Kalahari Basin 、権益 29.6%)

    世界における高品質マンガン鉱石の 80%は南ア Northern Cape 州の Hotazel 近くに埋蔵しているとされる。BHPB と AA の合弁会社である Samancor Manganese 社(AA の株式所有比率は40%)は、この付近の鉱山権益を有する Hotazel Manganese Mines 社の株式 74%を保有している(南アで実施されている BEE 政策(黒人の経済的権利拡大政策)ために出資比率に制限がある)。Hotazel Manganese Mines 社は、露天掘りの Mamatwan 鉱山と坑内掘りの Wessels 鉱山を所有しているが、両鉱山で産出するマンガン鉱石の品位が高いために、大がかりな選鉱を必要とせ

    ず、粉砕プロセスおよび簡単な選別プロセスのみを経て出荷している。2011 年におけるマンガン精鉱の権益分生産量は 2,786.8kt(以下の GEMCO を含む)である。Mamatwan マンガン鉱山の鉱山寿命は 21 年、Wessels マンガン鉱山の寿命は 46 年と見積もられている。

    GEMCO マンガン鉱山(豪 NT 準州 Groote Eylandt、権益 40%)

    BHPB が 60%、AA が 40%を出資する Groote Eylandt Mining Company 社によってマンガン精鉱の生産を行っている。同社が所有するマンガン鉱山の寿命は 12 年と見積もられている。

    ニッケル

    鉱山・鉱床名及び鉱種 鉱量(mt) 品位Ni(%)金属量

    (100%:mt)金属量

    (権益分:mt) 品位Ni(%) 金属量

    (100%:mt)金属量

    (権益分:mt)

    Barro Alto 52.2 1.60 0.835 0.835 1.30 0.172 0.172Niquelandia 4.6 1.35 0.062 0.062 1.25 0.075 0.075Loma de Nickel(91.4%) 4.6 1.48 0.068 0.062 1.32 0.075 0.069

    AA合計 61.4 1.57 0.965 0.960 1.29 0.322 0.315

    埋蔵量 資源量

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012- 109 -

  • -110-

    表3.8 AA :鉄鉱石の埋蔵量 (Proven + Probable、2011 年 12 月 31 日時点)

    6) 探鉱活動

    (1) 概要

    1993 年から 1998 年まで、アフリカ以外のベースメタルを対象とした探鉱開発は Minorco社に委ねられていたが、AA 設立後は、同社の探鉱部門(Exploration & Acquisitions Division)が探鉱開発を統括管理している。AA は、Johannesburg、Santiago、Vancouver、Perth に探鉱事務所を置き、幅広い地域で探鉱を実施している。

    2011 年の AA の探鉱費(実績額)は DeBeers(ダイヤモンド)を除いて 121mUS$(2010 年136mUS$)であり、16 か国を対象とした。なお、DeBeers は 40mUS$(2010 年 43 mUS$)。

    図3.8 AA: 探鉱費(実績額)の推移(Amplats を除く)

    (出典:アニュアルレポート) (2) 対象段階・対象鉱種・対象地域

    MEG によれば、2012 年度の AA の探鉱予算(Amplats の権益分含む)は 153.6mUS$を探鉱段階別に見ると、Mine Site(鉱山周辺探鉱)5.4mUS$(3.5%)、Late Stage(後期ステージ探鉱・FS)55.6mUS$(36.2%)、Grass Roots 探鉱 92.6mUS$(60.3%)となっている。鉱種別内訳は、白金族 33.5mUS$(21.8%)、ベースメタル 117.9mUS$(76.7%)(銅 60.4mUS$、ニッケル 57.5mUS$)となっており、鉱種を絞り込んだ選択的な投資となっていることが分かる。 また、地域別では、中南米 48.3mUS$(31.4%)、アフリカ 46.0mUS$(30.0%)、カナダ

    11.0mUS$(7.2%)、豪州 9.2mUS$(6.0%)、太平洋・東南アジア 4.7mUS$(3.1%)、その他 34.4mUS$(22.4%)である。

    鉄鉱石

    鉱山・鉱床名及び鉱種 鉱量(mt) 品位Fe(%)金属量

    (100%:mt)金属量

    (権益分:mt) 品位Fe(%) 金属量

    (100%:mt)金属量

    (権益分:mt)

    Kolomela(48.3%) 203.4 64.6 131.4 63.5 0.6 70.3 33.9Sishen(38.0%) 983.9 59.1 581.5 221.0 0.6 3.2 1.2Thabazimbi(48.3%) 10.4 60.7 6.3 3.0 61.9 7.0 3.4 outside Vanderbijl Pit 0.0 0.0 61.9 7.0 3.4 Vanderbijl Pit hematite 0.0 0.0

    AA合計 1,197.7 60.0 719.2 287.5 11.8 80.5 38.5

    埋蔵量 資源量

    132

    157

    212

    172

    136121

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    2006 2007 2008 2009 2010 2011

    探鉱費 Mineral Exploration Expenditure(mUS$)

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012 - 110 -

  • -111-

    (3) 最近の動向

    Kumba 鉄鉱山地区・Kolomela 鉱山の拡張工事(南ア)

    Kumba 鉄鉱山地区には Kolomela 鉱山をはじめとして 3 つの鉄鉱山があるが、このうちKolomela 鉱山の拡張工事が行われており、2012 年中に年間 4~5mt 程度まで生産能力を引き上げ、最終的には 2013 年には年間 9mt にまで生産能力を引き上げる計画である。またこのほかにも Northern Cape 州において年間 15mt の生産、また Limpopo 州において年間 5mt の生産を行うプロジェクトが検討されている。

    Minas-Rio 鉄鉱山の拡張工事(ブラジル Minas Gerais 州)

    ブラジルに権益 70%を保有する鉄鉱山として Minas-Rio 鉄鉱山がある。事前 FS 調査の第 2段階が 2011 年に開始され、現在進行中である。2010 年段階の調査結果によれば、可採埋蔵量は 5.8bt と見積もられている。

    GEMCO マンガン鉱山の拡張工事(豪 NT 準州)

    世界最大級のマンガン鉱山である同鉱山は、BHPB が 60%、AA が 40%を出資する Groote Eylandt Mining Company 社によって運営されており、第 2 次拡張工事計画が 2011 年 3 月に取締役会で承認されている。この拡張工事計画は 2013 年後半に終了することが見込まれている。

    Los Bronces 銅鉱山の拡張工事(チリ首都圏州)

    同鉱山の拡張工事が 2011 年の第 4 四半期に終了した。これによって今後 10 年間は年間平均 200kt 近くの生産拡大となる見込みである。

    Collahuasi 銅鉱山の拡張工事(チリⅠ州)

    同鉱山の拡張工事に関する事前 FS 調査が行われており、生産稼働に移った段階では年間1mt もの生産力増強になるものとみられている。

    Quellaveco 銅鉱床の探鉱(ペルー)

    本プロジェクトについては、環境保全の観点から地元住民との間で争議に発展していたが、

    2012 年 7 月に地元住民との合意が成立している。社会基金として 3 億 8 千万 US$を拠出するほか、飲料水や農牧用の水資源を利用せず、貯水池を建設することで水資源量の増加に貢

    献すること、鉱山建設で必要となる人員の 80%を県内で確保することを約束した内容となっている。今後本プロジェクトの再開が見込まれる。

    Michiquillay 銅鉱床の探鉱(ペルー)

    本プロジェクトは、2007 年 4 月に AA が 403mUS$で落札したものであるが、その後地元住民との合理が成立せず、探鉱活動が進展していなかった。これについては地元住民との議

    論が完了次第、再開される見込みとなっている。試掘及び鉱量計算が終了次第、本プロジェ

    クトは事前 FS に移行する予定である。

    Pebble 銅鉱床の探鉱(米 Alaska 州)

    2012 年後半には事前 FS が終了する見込みとなっており、今後 10 年間のうちに開発及び初期段階の精鉱生産段階に移行する予定とされている。

    Twickenham 白金族鉱床の探鉱(南ア)

    AA が 100%の権益を有するプロジェクトであり、現在鉱石輸送設備や発電設備などの建設が済み、これから選鉱設備を建設する予定である。開発及び初期段階の精鉱生産は 2016 年には開始する予定となっている。2019 年にはフル操業に入り、原鉱ベースで 3mt の採掘ができる鉱山となる見込みである。

    3.AA

    資源メジャー・金属部門の動向調査 2012- 111 -