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2019/7/15 1 教育方法研究(中・高) 第11回 情報教育と情報活用能力の育成の続き 学習評価と授業評価 担当 克彦 海外の生徒のICT活用状況 ポイント 1人1台環境を実現している国 オーストリア・ビクトリア州 私有端末の学校での利用(BYOD: Bring Your Own Device)➡デンマークなど 国により大きなばらつきがあるものの、小学4 年段階で約3割、中学 2年段階で約5割の児 童生徒がBYODを認められているという調査 結果があり、BYODは浸透しつつあるといえ る。(総務省) 外国の整備状況(利用者/1台) 調査年 小学校 中学校 高等学校 備考 米国 2008 3.1人/台 フィンランド 2013 3.5/台 2.1/デンマーク 2011 2.9/2.9/2.1/オーストリア 2014 1.3/1.9/1.0/シンガポール 2011 4.0人/台 韓国 2012 4.7人/台 日本 2014 6.5人/台 (総務省) デンマークもBYOD戦略 欧州の中でも最もBYODが一般化して いるデンマークでは、20112015年の 電子政府戦略で児童生徒の情報端末 は原則BYODで1人 1台用意し、私有 端末の用意が困難な家庭には学校が端 末提供を保 証するという方針が示され、 自治体・学校にも受入れられている。 (総務省) OECD PISAについて 経済協力開発機構(OECDOrganisation for Economic Co-operation and Development)の国 際的な学習到達度調査(PISA Program for International Student Assesmento 日本はじめ、各国の教育政策に大きな影響を与 えてきた。 OECD2000年から15歳(日本は高校1年生)の 生徒に3年ごとに実施。 知識を日常でどのように活用できるかを重視。 2015年には、72ヵ国・地域が参加。 2018年は、日本は不参加 1 2 3 4 5 6

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教育方法研究(中・高) 第11回

情報教育と情報活用能力の育成の続きと

学習評価と授業評価

担当 原 克彦

海外の生徒のICT活用状況

ポイント

1人1台環境を実現している国

• オーストリア・ビクトリア州

• 私有端末の学校での利用(BYOD: Bring Your Own Device)➡デンマークなど

• 国により大きなばらつきがあるものの、小学4年段階で約3割、中学 2年段階で約5割の児童生徒がBYODを認められているという調査

結果があり、BYODは浸透しつつあるといえる。(総務省)

外国の整備状況(利用者/1台)

調査年 小学校 中学校 高等学校 備考

米国 2008 3.1人/台

フィンランド 2013 3.5/台 2.1人/台

デンマーク 2011 2.9人/台 2.9人/台 2.1人/台

オーストリア 2014 1.3人/台 1.9人/台 1.0人/台

シンガポール 2011 4.0人/台

韓国 2012 4.7人/台

日本 2014 6.5人/台

(総務省)

デンマークもBYOD戦略

• 欧州の中でも最もBYODが一般化しているデンマークでは、2011~ 2015年の

電子政府戦略で児童生徒の情報端末は原則BYODで1人1台用意し、私有

端末の用意が困難な家庭には学校が端末提供を保証するという方針が示され、自治体・学校にも受入れられている。

(総務省)

OECD PISAについて

• 経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)の国際的な学習到達度調査(PISA :Program for International Student Assesmento )

• 日本はじめ、各国の教育政策に大きな影響を与えてきた。

• OECDが2000年から15歳(日本は高校1年生)の生徒に3年ごとに実施。

• 知識を日常でどのように活用できるかを重視。

• 2015年には、72ヵ国・地域が参加。

• 2018年は、日本は不参加

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6歳以下で初めてインターネットを使用した生徒の割合

学校内でのICTの利活用状況

学校外でのICT利活用状況 学校外でのICT利活用状況

出店 OECD

PISA2015

学校で月1回以上ICTを使ったグループワークに取組む生徒の割合

学校外で月1回以上学校の課題のためにインターネットを使う生徒の割合

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「余暇のためのICT 利用」指標と「宿題のためのICT 利用」指標の男女別分布

出所:OECD PISA2015データベースをもとに国立教育政策研究所が作成したものを利用

学校外でのイとンターネット利用時間別生徒の割合

インターネットを利用する時間

1時間未満(割合)

1~2時間(割合)

2~6時間(割合)

6時間以上(割合)

日本

平日 30.3 25.0 30.6 6.4

休日 18.9 18.9 41.0 17.3

OECD平均

平日 16.5 20.8 43.3 16.2

休日 11.5 15.1 44.9 26.1

出所:OECD PISA2015データベースをもとに国立教育政策研究所が作成したものを利用

学校外でのイとンターネット利用時間と3分野の得点

インターネットを利用する時間

日本 1時間未満(平均得点)

1~2時間(平均得点)

2~6時間(平均得点)

6時間以上(平均得点)

平日

科学的リテラシー 542 550 540 497

数学的リテラシー 539 547 531 482

読解力 519 529 518 474

休日

科学的リテラシー 537 549 547 521

数学的リテラシー 533 549 540 508

読解力 513 528 525 497

出所:OECD PISA2015データベースをもとに国立教育政策研究所が作成したものを利用

学校外でのイとンターネット利用時間と3分野の得点

インターネットを利用する時間

OECD平均 1時間未満(平均得点)

1~2時間(平均得点)

2~6時間(平均得点)

6時間以上(平均得点)

平日

科学的リテラシー 487 511 506 468

数学的リテラシー 485 508 503 464

読解力 483 509 506 466

休日

科学的リテラシー 474 503 509 488

数学的リテラシー 473 501 506 483

読解力 469 501 510 486

出所:OECD PISA2015データベースをもとに国立教育政策研究所が作成したものを利用

海外事例と日本の取り組み

• 学習・教育分野のICT活用を通じて人材育成

• 教育機会の保証、地方創生・経済活性化

• 全国への普及・展開、コスト削減等の課題解決

– (1)クラウド・プラットフォームの構築・標準化

– (2)多様なICT利活用モデルの展開

– (3)官民一体となった教育ICT活用推進コミュニティ・エコシステムの形成

(総務省)

(1)クラウド・プラットフォームの構築・標準化

●事例・動向

①低コストなオープンソース型クラウド・プラットフォーム構築・展開 [フィンランド]

②多様な事業者の参画するデジタル教材マーケット[フィンランド]

③教員の自作教材の共有プラットフォームを国が提供[オランダ]

④教材流通やデータ活用のための技術標準化推進[オランダ・米国]

(総務省)

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(1)クラウド・プラットフォームの構築・標準化の事例・動向(フィンランド)

• 【取組概要】 フィンランドのカウニアイネン町カサヴオリ中学校では学校改革プロジェクト(Dream School Project)において、オープンソー スによりブラウザベースで利用可能な学習・教育用クラウド・プ ラットフォーム(Dream Platform)を構築し、国内外に展開。

• 【特徴】オープンソースにより構築することでライセンス料等を抑え低コストでのプラットフォーム整備を実現。またAPI(Application ProgrammingInterface)等も公開し様々な事業者によるプラットフォーム開発への参画や、プラット フォーム上へのコンテンツ提供を促している。

(総務省) (総務省)

(1)クラウド・プラットフォームの構築・標準化の事例・動向(米国)

• 米国の民間非営利団体Ed-Fi Allianceでは、学校・学区・州や教育関係企業の円滑なデータ連携・活用を可能にするデータ標準(Ed-Fiデータスタンダード)や、これを活用したデー

タ分析ツールを提供。米国各州で導入が広がっている。

(総務省) (総務省)

(1)クラウド・プラットフォームの構築・標準化に向けた取組の方向性

• 実証事業の学習・教育クラウド・プラットフォーム構築でも、オープンソース化等により課題となっている

• ICT環境コスト低減を図る

• デジタル教材の流通

• 自作教材共有の仕組みの提供

• 日本でも官民が連携した技術標準化が教育ICTの普及・市場活性化のために重要

多様な教材を入手可能とすることが重要

(総務省)

(2)多様なICT利活用モデルの展開

●事例・動向

①クラウドを活用して時間と場所を選ばない学習環境を実現[英国]

②個に応じた学びの実現に向けた学習記録データ活用[米国]

③MOOCs等の活用による幅広い教育機会提供[米国・日本]

④地方におけるICTを活用した特色ある教育の実現[日本]

⑤児童生徒・教員・保護者等をつなぐ教育用SNSの活用[米国]

⑥ICTを活用した先端的教育実践の広がり[海外各国・日本]

⑦学習に困難を抱える子供たちへのICTを活用した支援[日本]

(総務省)

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(2)多様なICT利活用モデルの展開の事例・動向(英国北アイルランド)

●クラウドを活用して時間と場所を選ばない学習環境を実現

【取組概要】英国北アイルランド教育省では、2012~17年の5年間は1.7億 ポンド(約290億円)を投じて学校回線・無線LAN強化を進める とともに、小中学校の児童生徒・教員約35万人を対象にクラウド サービスを提供。

【特徴】学校・家庭の双方から、様々な端末を通じていつでも教材・アプリ・サービスを利用可能なクラウド・プラットフォームを提供。 BYODや反転学習の基盤ともなっている。

(総務省)

(2)多様なICT利活用モデルの展開の事例・動向(米国)

●個に応じた学びの実現に向けた学習記録データ活用

【取組概要】米国の非営利団体New Classroomsでは個に応じた数学学習プログラム(Teach to One: Math)を実施。多数のファンドからの 投資も受けて、2014年現在5つの州・15の学校に広がり、6千人 の生徒を対象に実施されている。

【特徴】生徒の特性や日々の成績等のデータを独自のアルゴリズムにより解析し生徒一人ひとりに合った学習方法を提示。これにより 成績向上の成果が挙がっている。

(総務省)

(2)多様なICT利活用モデルの展開

●取組の方向性

1. 個に応じた教育や多面的能力を養う教育

2. 教育機会の保証や地方創生への貢献

3. 全国でICTを活用した多様な学習・教育実践モデルを展開

4. 成果・課題等を共有していくことが重要

5. 多様な学習・教育実践モデルを支えるため、児童生徒・教員等のニーズに応じて柔軟に利用できるかたちでクラウド・ プラットフォームを整備することも重要

(総務省)

(3)官民一体となった教育ICT活用推進コミュニティ・エコシステムの形成

●事例・動向

• 政府・民間事業者・教育研究機関が連携した教育ICTソリューション開発・輸出ビジネス推進[フィンランド]

●取組の方向性

• 多様なデジタル教材・コンテンツの開発・流通

• 教育ICT市場の活性化や輸出促進

• 民間団体・ EdTechベンチャー・政府等が一体となった取組が期待される。

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ICTCONNECT21(みらいの学び共創会議)

ICTCONNECT21(みらいの学び共創会議)

学習評価と授業改善

• 生徒の学習状況の把握や評価方法の今後のありかたについて考えます。

• また、学習支援システム等を用いた生徒による授業評価の可能性について紹介します。

学習評価とは?

学習指導要領の目標の実現状況を把握し

指導の改善に生かすもの

(文部科学省)

児童生徒の学習評価の在り方について(報告)の概要より(平成22文部科学省)

児童生徒の学習評価の在り方について

評価の観点を整理

(文部科学省)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/gaiyou/attach/1292216.htm

評価の観点(中学国語)

• 国語への関心・意欲・態度

• 話す・聞く能力

• 書く能力

• 読む能力

• 言語についての知識・理解・技能

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評価の観点(中学社会)

• 社会的事象への関心・意欲・態度

• 社会的な思考・判断・表現

• 資料活用の技能

• 社会的事象についての知識・理解

評価の観点(中学数学)

• 数学への関心・意欲・態度

• 数学的な見方や考え方

• 数学的な技能

• 数量や図形などについての知識・理解

評価の観点(中学理科)

• 自然事象への関心・意欲・態度

• 科学的な思考・表現

• 観察・実験の技能

• 自然事象についての知識・理解

学習評価の現状と課題

現状

• 「観点別学習状況の評価」

• 「目標に準拠した評価」

• 小・中学校においては、教師に定着

課題

• 小中学校では負担感

• 高等学校においては,観点別学習状況の評価が定着していない

児童生徒の学習評価の在り方について(報告)の概要より(平成22文部科学省)

次回の課題

• 授業中に紹介した、教員によるICTの活用事例の写真や児童生徒のICT活用事例、ハンドブックの具

体例(84~116頁)等を踏まえ、第6回の課題で自身が作成した教材を活用した授業場面を図やイラストを用いて作成しなさい。

• 「授業での教員によるICT活用」または「児童生徒によるICT活用」の特徴が分かるようにする。

• 配布したイラストなどを用い、吹き出しなどの説明を挿入して分かりやすく作成する。

• 文字数は、300字以内。資料や文献の引用ではなく、自身でまとめて図解すること。

第7回の課題

• パワーポイント等のツールを利用して、各自が取得予定の教科のスポット的な教材を小単元(1時間)分作成しなさい。

• 教材の目的を明確にすること。

• 授業の中での利用場面を想定して作成すること。

• 他者に発表することを前提として、著作権(第35条等)に配慮して作成すること。

• 締め切り、6月10日(月)13:00

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どのような場面で活用するのか

• 教科

• 対象学年

• 単元名

• 教材名

• 該当単元の目標

• 教材のねらい

• 活用する授業場面

– 導入、展開、深化、まとめ など

• 想定される利用時間(分)

どのような場面で活用するのか

• 教科 技術・家庭科

• 対象学年 中学2年生

• 単元名 高齢者理解

• 教材名 介護の実際

• 該当単元の目標

– 高齢者の身体の特徴を理解し、適切にかかわることができるようする

• 活用する授業場面– 授業導入部分での興味・関心を高める

足腰が弱ると段差が大変

作成した教材を使い、各班で疑似体験を計画する加齢による視覚や聴覚の変化

意見を交換し、分かったことをまとめる

グループ間で発表交流し、様々な事例と適切な対応を理解する

(学習目標)高齢者の身体の特徴を理解し、適切にかかわることができるようする

視力が低下すると介助が必要

適切な支援や関わり方は? 介助の方法をまとめよう。

(発展課題)身近な介護や

支援について考え、できる範囲で日常的にかかわることの必要性を考える。

次回の課題 高等学校 家庭の事例:「高年齢の身体特性に応じた介助方法」

(205文字)

次回の準備物

• はさみ

• のり

• 色鉛筆

Hara.K

教育方法研究

提出について

• A4用紙1枚にまとめます。

• 次回の授業の中で作成し、終了時に回収します。

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