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Title FreeBSDで作るマルチメディアマシン
Author(s) 池永, 全志
Citation センターレポート, 17, pp.71-86; 1998
Issue Date 1998-03
URL http://hdl.handle.net/10069/25684
Right
NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
FreeBSDで作るマルチメディアマシン
総合情報処理センター
池永全志
ike~cc.nagasaki-u.ac.jp
1 はじめに
遠隔授業を行うためにはどのようなシステムが必要だろうか?
とりあえずは,
・映像入力/出力ができること
-音声入力/出力ができること
-通信機能を持っていること
という条件を満足していればよいであろう.さらにこのシステムは授業をする教室に持ち込むことに
なるため,持ち運べて,教室で邪魔にならない大きさでなければならないし,遠隔授業を行う相手が
同時に複数いることも想定しなければならない.また,この遠隔授業の様子をインターネットを通じ
て広く見てもらいたいと思うかもしれない.これらのことを考えると,先ほどの条件にさらに,
・ポータプルであること
-多地点、を接続できること
• TCPjIPで通信ができること
という条件を追加したいところである.
このようなことを考えてたどりついた答えが,ノートパソコンに UNIXを入れて,マルチキャスト
アプリケーションを使用する,というものだった.そこで本稿では,遠隔授業に使用できるようなマ
シンの作成(インストールと設定)について述べる.
ノートパソコンに入れる UNIXとしては フリーの PC-UNIXである FreeBSD2.2.5-RELEASE
を,マルチキャストアプリケーションとしては, vicとvatを使用する.
2 準備
2.1 機材
まず,使用する機材(ハードウェア)を準備する.次の表に,今回使用した機材の品名を挙げる.
表 2.1:今回使用した機器
|種目 |今回使用したもの
ノートノTソコン Fujitsu FMV・575NAjT(Pentium 75MHz, Mem 24MB, HDD 800MB)
Audio入出力 内蔵サウンドカード (SoundBlaster Pro互換)
Video入出力 IBM Smart Capture Card (PCMCIA TypeII Card)
Ethernet Fujitsu FMV-JI82A (PCMCIA TypeII Card)
噌
E4マ'
最近のノートパソコンでは,ほとんどのものが SoundBlaster Pro互換程度のサウンド機能を内蔵
しているため,音声の入出力についてはさほど心配する必要はない.欲を言えば, Sound Blaster Pro
相当のものではなく,全二重通信ができるサウンド機能があればなお好ましい.
ノートパソコンで映像の入出力を行うために,今回は, PCMC1Aスロットに挿して使用するタイ
プのビデオキヤプチャカードである, IBM製 SmartCapture Cardを使用した.
2.2 デバイス情報の確認
インストールを行う前に,まず今からインストールしようとしているパソコンのハードウェアデバ
イスのa情報を知っておく必要がある.このような情報はマニュアル等にも記載されていないことが多
いので,そのパソコンで Windows95を起動してデバイス情報を確認するのが最も手っ取り早い↑
Windows95では,次のようにしてデバイス情報を確認することができる.
1.“システムのプロノfテイ"を開く.
[マイコンピュータ]→[コントロールパネル]→[システム]
2.“デバイスマネージャ"タプを選択
3.デバイスマネージャの一覧から, “コンビュータ"を選択し,“プロパテイ"ボタンを押す.
上記の操作で各リソースが表示されるので,それぞれの情報をメモしておくとよいだろう.その中
でも,現在使用していない割り込み要求 (1RQ)番号と↑2 サウンドカードが使用している 1RQ,現
在使用されているダイレクトメモリアクセス (DMA)の番号くらいは知っておいた方がよい.
2.3 インストールメディア
FreeBSDのインストールは, FreeBSDインストール用の CD-ROMを利用する方法, ftpを利用す
る方法, NFSを利用する方法などがある.ノートパソコンには CD-ROMドライブが搭載されていな
いため,今回は, ftpによるネットワークインストールを行うこととした.
3 FreeBSDのインストール
インストール作業中に設定するパラメータなどは,パソコンの機種やハードディスクの容量の違い
などによって若干変わってくるため,細かい設定内容にとらわれずに,全体の流れをつかんでいただ
きたいと思う.
今回インストールするのはFreeBSD2.2.5・RELEASE,インストーラとして, PAO版 boot-pao.flp
を使用する.PAOというのは,ノートパソコンなどで使用される PC(PCMC1A)カードやAPM(Advanced
Power Management) B10Sのための一連のドライノTをまとめたパッケージのことである.PAO版イ
ンストーラというのは,この PAOを組み込んだインストーラのことで,これを用いることによって,
ノートパソコンの PCカードを経由して簡単にFreeBSDをインストールすることができる.
3.1 インストーラディスクの作成
まず最初に,インストーラディスクを作成する. 2.2.5-RELEASE-PAOのインストーラ(データ)
は,
http://www.jp.freebsd.org/PAO/flp/2.2.5・RELEASEjboot-pao.flp
tl Windows95も,こういうときは役に立つ
↑2 PCMCIAのカードに割り当てる IRQを決定するときに必要
円ノ副
司f
から入手できる↑3 これを使用してもいいのであるが,今回は, JapanesejEnglish bilingual version
を使用した.これは,
ftp:j fjaz必.FreeBSD.orgjpubjFreeBSD-jpjI18N-fipj2.2.5-RELEASEjboot中 ao.fip
から入手できる.どちらでも好きな方を使えばよいだろう.
インストーラ(データ)を入手したら,それをフロッピーディスクに書き込む.これには, Windows95
や MS-DOSなどの環境からであれば,“rawrite.exe"や, "fdimage.exe"などのツールを使う.これ
らのツールは,
ftp:j jftp.nagasaki-u.a抗£ι.必/ルp由/ルprgjMS-DOSjl凶 il
から入手できる.例えば, "fdimage.exe"を使用する場合は,“fdimage.exe"と先ほど取って来た"boot-
pao.fip"を同じディレクトリに置き,そこで,
!…d吋 exe 川 ao.flp a:
と実行するとインストーラディスクの完成である.
3.2 FTPインストール
インストーラディスクの準備ができたら,続いて実際のインストール作業を行う.
3.2.1 インストーラディスクで起動
準備したインストーラディスクをフロッピーディスクドライブに入れ,パソコンの電源を入れる.す
ると,色々なメッセージを画面に表示しながらインストーラが起動し,“KernelConfiguration Menu"
が出る.ここではあまり深く考えずに,
"Skip kernel configuration and continue with installation"
を選択すればよい.
3.2.2 使用言語の選択
図 3.1:使用言語の選択画面
↑3最新のインストーラは.http://www.jp.freebsd.org/PAO/からたどることができる
円喝
Uヴ
t
続いて,上図のような使用言語の選択メニューが出る.ここで, [↓|キーを押して“Japanese"を
選択し, [Return]キーを押す.これで,日本語メニューによるインスLールができるようになる.
3.2.3 PCカードの環境設定
言語選択で日本語を選ぶと,次に日本語で, PCカードに関する設定メニューが出る.最初は, PC
カードコントローラが使用するアドレスの指定である.ここでは,そのパソコンで他のデバイスに使
用されていないメモリアドレスを指定すればよいが,多くの場合は Defaultを選択すれば問題ない.
"Default I/D address OxdOOOO-Oxd3fff・-
続いて PCカードが使用する IRQの設定メニューが出る.ここでは,準備段階で調べた空き IRQ
を思いだしながら,どの IRQを割り当てるかを決定する-'-例えば,今回インストールしたパソコン
では,サウンドカードが IRQ=5で, IRQ 10, 11が両方とも空いていたため, Defaultを選択した.
l"D叫 t IRQ 札口"
3.2.4 インス卜ーラのメインメニュー
図 3.2:インストーラのメインメニュー画面
ここでは,
"5初心者用インストールを開始する"
を選択する.
3.2.5 fdisk パーティションエディタ
メインメニューから初心者用インストールを選択すると, fdiskパーテイションエディタが起動す
る.ディスクのパーティション設計については,インストールしようとしているマシンのディスクの
容量や,管理者のポリシに大きく依存するので,ここでは今回どのような設定をしたかについてだけ
↑4機種によっては別のアドレスを指定しなければ動作しない場合もあるが,それに関しては Webや市販図書などを参考
のこと. (IBM ThinkPad560などは, Defaultでは動かないことが知られている)
-74ー
述べることにする.設計方針を決めるための指針等については, Webや市販図書等の別の資料を参
照していただきたい.
今回は,次のような条件,方針でディスクの設定を行った.
・ディスク容量は全部で 800MB.
• Windows95とFreeBSDを共存させる.
• 300MBをWindows95用に{吏用し,残りをFreeBSD用とする.
手順は次のようになる.
1. DOS領域以外を "D"で削除する
2.削除した領域に "C"でスライスを作成
(a)スライスの大きさを指定→(全てを指定)
(b)生成するパーテイションのタイプを指定→ 165(Fre.eBSDネイテイブ)
3.作成したスライスに, “B=不良ブロック調査"“s=ブート可能に設定"の二つを指定
これで設定し終った状態は次の通りである.
ディスク名 wdO
ジオメトリ 789シリンダ/32ヘッド/63セクタ(計 1590624セクタ)
開始位置 大きさ 終了位置 名称 タイプ 種別副タイプ フラグ
O 63 62 6 unused O
63 614817 614879 wdOs1 2 fat 6 = 614880 975744 1590623 wdOs2 3 freebsd 165 CAB
1590624 1008 1591631 6 unused O
3.2.6 ブートセレクタのインストール
図 3.3:ブートセレクタインストール画面
民U
司
t
fdiskパーティションエディタで、の設定が終ったときに,対象となるハードディスクに他の OSで使
用するスライスが存在する場合などには,上図のような,ブートセレクタのインストール画面となる.
今回は,ブート時に Windows95とFreeBSDを切り換えて使うことを考えているため, Booteasy
というブートマネージャをインストールすることにする.従って,このインストールメニューから,
"FreeBSDブートマネージヤ ("Booteasy")をインストール"
を選択する.
3.2.7 ディスクラベルエディタ
続いて,ディスクラベルエディタが起動されるので,ここで FreeBSDで使用するパーテイション
を作成する.今回は, FreeBSDに割り当てたディスクが 476MBあったため,“A=全てをデフォル
トに設定!"を選択したところ,次のようなパーテイショレ構成となった.
区画 マウント位置 ,谷zモ,亘Eヨ Newfs
』ーーー一一ーーーーーー
wdOsl <none> 300MB DOS
wdOs2a / 32MB UFS Y
wdOs2b swap 55MB SWAP
wdOs2e /var 30MB UFS Y
wdOs2f /usr 358MB UFS Y
3.2.8 配布ファイルの選択
図 3.4:配布ファイルの選択画面
ディスクに関する設定が終ったら,続いて実際にインストールするものを選択する.ハードディス
クに余裕があれば,全てをインストールすればよいが,ディスク容量の限られている今回は,
・全バイナリ,文書
• X Window System
-カーネルのソース
向。円
i
これらだけをインストールする.そのため,配布ファイル選択メニューから“カスタム"を選ぶ.
“カスタム"を選択すると次のメニューが出る.今回はそこでは,次のものを選択した.
• binバイナリ基本ファイル
.manシステムマニュアルページ
• proflibsプロファイル版のライブラリ
• src DE8を除く全てのソース
→ base, 1km, sysを選択
• ports The Free B8D Ports collection
• XFree86 XFree86 3.3.1配布ファイル→ "B基本"→ bin,cfg, 1ib, man, prog, setを選
択→ "8サーバ"→ SVGA,VGA16を選択→ "Fフォント"→ fnts,nonを選択
3.2.9 インストールメディアの選択
CDRa'1 申 FTP町Ppassive 政溶町Sファイルシステムフロッピーテーアオアション
図 3.5:インストールメディアの選択画面
配布ファイルを選択したら,次はインストールメディアの選択を行う.今回は,
ルを行うため,
"2 FTP FTPサーバからインストールする"
を選択する.
3.2.10 FTP配布サイトの選択
FTPインストー
続いて,どの FTPサーバからインストールするかを決める.現在のところ,オフィシャルな(この
メニューに出てくる)国内の FTPサーバは次の 6つである.この中から,ネットワーク的に最も近い
ところを選択する.長崎大学からであれば, ftp4 (京都大学)が最も近い.下の一覧の中の()内が実
際にサーバの置かれている場所であるが,これは 1998年3月現在のものであり,将来的には変わる
ことがある.
• ftp.jp.freebsd.org (東京インターネット)
-77 -
• ftp2必.freebsd.org(BT-NIS)
• ftp3伊企eebsd.org(ASAHIネット)
・ftp4伊企eebsd.org(京都大学)
・庇p5.jp.仕eebsd.org(電気通信大学)
• ftp6.jp.freebsd.org (会津大学)
3.2.11 ネットワークインタフェースの設定
FTPサーバを選択したら,次は,ネットワークインタフェースの設定を行う.始めに,どのイン
タフェースを使用するかを選択する.今回は,富士通製の PCMCIAのEthernetカードを使用する
ため“feO"を選ぶ.
"feO Fujitsu MB86960A!MB86965A ethernet carc;1"
続いて,ホスト名,ドメイン名,ゲートウェイアドレス,ネームサーバアドレス, feOインタフェー
スのIPアドレス,ネットマスクを設定する.設定画面の最後にある, “ifconfigへのその他のオプショ
ン"は,特に何も設定する必要はない.
3.2.12 インストール実行
ネットワーク設定が終ったら,最終確認のためのダイアログが表示され,ここで“Yes"とすること
で,先ほど設定したディスクのパーテイション,ラベルの情報に基づいて newfsが行われ,その後
ftpサーバに接続して配布ファイルのインストールが行われる.
3.2.13 インストール後の環境設定
初心者インストールを選択した場合は,基本的な部分のインストールが終ると環境設定モードに入
る.これらの設定は,画面に現れる問い合わせに答えていくことで簡単に行うことができる.今回は,
次のように設定した.
1. IPゲートウェイとして設定するか?→ No
2.匿名 FTP接続を許可するか?→ No
3. NFSサーバとして設定するか?→ No
4. NFSクライアントとして設定するか?→ No
5.コンソール機能のカスタマイズを行うか?→ Yes
・"Fフォント"→ ISO8859-1
・"Kキーマップ"→ Japanese 106
・"Sセーパ"→ Sスター
• "Sスクリーンマッフ"→ ISO8859-1 to IBM437
6.タイムゾーン
・UTCに合わせるか?→ No
・タイ.ムゾーンの選択
→ "5アジア"
→ "18 Japan"
→ "1 most locations"
→ "JST" yes
au
司
t
7.マウス→ Yes→ PS/2
8. Xサーバの設定を今行うか?→ No(あとで設定する)
9.パッケージコレクションの一覧→ No(あとで行う)
10.新規ユーザの登録→ Yes
• Add Group (新規グループの作成)
・AddUser (新規ユーザの作成)
11. rootパスワードの設定→ Yes
12.ユーザ登録→ Yes(ぜひユーザ登録しましょう)
ここまで終ったら,メインメニューへ戻る.メインメニューへ戻ったら, “導入終了"を選ぴ,フ
ロッピーディスクを抜いてリブートする.
3.3 PCカード環境の設定
無事にハードディスクからブートできたら,まず最初に PCカード環境の設定を行う.ここで行う
最初の PCカードの設定では,カーネルの再構築,インストールを行うため,数十分程度の時聞が必
要である.
1. rootでログインする
2. /stand / sysinstallを実行
lroot# 1st…n叫
3.メインメニュー画面から, “c設定"を選択
"c設定 インストール後の FreeBSDの設定を行う H
4.次のようなメニュー画面が出る.
図 3.6:設定メニュー画面
-79 -
5.このメニュー画面から, “c PCカード"を選択
"C PCカード PCカード対応カーネルのコンパイルとインストール H
6.この後出てくる問いに答えていけば, PCカードの設定が完了する.
・jetcファイルの置き換え
→ R置換 jetcファイルを置き換える→ OK
.カーネルソースのノfックアップ
→ Bパックアップカーネルソースをjusrjsrcjsys.2.2.5・RELEASEにbackup→ OK
・新しいカーネルのコンパイルとインストール
→ P続行新カーネルへのパッチの適用,コン〆イル,インストール→ OK
・ラップトップ用のシステムノfイナリをインストール
→ P続行新しいシステムバイナリをインストールする→ OK
• PCカードの設定→ PPCカード有効化
3.4 パッケージのインストール
FreeBSDには,様々なアプリケーションを手軽にインスト ι ルできるようにまとめられた,パッ
ケージコレクションというものカまある.
3.4.1 sysinstallによるインスト-)レ
パッケージコレクションは, /stand/sysinstallコマンドでインストールすることができる.
l.r'ootでログインし, /s抗七a釦nd/s句ys回ins出st凶al口lを実行
l roo吋叩…。∞附吋。抗叫t叫# / 坑m山ωa釦制吋n凶附d/…t
2.メインメニユ一画面カか冶ら, “c設定"を選択
"c設定 インストール後の FreeBSDの設定を行う"
3.この設定メニュー画面から, “9パッケージ"を選択
"9パッケージ FreeBSD用にパッケージ化されたソフトのインストール"
4.インストールメディアを選択
例えば,最初と同様に ftpインストールを選択した場合は,ここで ftpサーバを選択する
5.パッケージのリストが表示されるので,必要なパッケージを選択する
6.→ Install
各自必要なアプリケーションをインストールすればよいが,ここでは,マルチキャストでの遠隔授
業に使用でき・るマシン作りを目指しているので,最低でも, “mbone"というカテゴリの中の
• vat-4.0b2
• vic-2.8
• wb-1.59
の三つはインストールすること.
-80 -
3.4.2 pkg_addコマンドによるインストーjレ
パッケージをインストールするには,先ほどのように sysinsta11コマンドをf吏って,ファイルの
取得とインストールを同時に行う方法と,あらかじめ取得しておいたパッケージファイルを pkg_add
コマンドでインストールする方法がある.
遠隔授業のためのマシン作りを行ううえで, tcl-80, tk-80というこつのパッケージが必要となる
のだが, FreeBSD2.2.5-RELEA8Eの sysinstallでは,なぜかインストールできないため,これらを
pkg_addコマンドでインストールする.
1. tcl-8.0.tgzを取得
ftp://ftp4.jp.freebsd.org/pub/FreeBSD/packages-2.2.5/tc180/
2. tk・8.0.tgzを取得
ftp://ftp4.jp.freebsd.org/pub/FreeBSD/packages-2.2.5/tk80/
3. rootになる
4.インストール
root# pkg_add tcl-8.0.tgz
root# pkg_add tk-8.0.tgz
4 カーネルの再構築 (SCC,Multicast)
08のインストール, PCカード環境の設定,必要なアプリケーション(パッケージ)のインストー
ルまで終了したら,通常のFreeB8Dマシンとしては使用可能である.
次の作業は,このマシンで画像の入力を行えるようにするために, IBM製の PCMCIAビデオキャ
プチャカードである SmartCapture Card (SCC)を使用できるようにすることと,音声の入出力が
できるようにすること,マルチキャストのルーティングができるようにすること,の三つである.
まず最初の準備として, PAOのカーネルコンフイグレーションファイルをコピーして,新しいカー
ネル用のコンフイグレーションファイルを作っておく.ここでは, PAO_MROUTE_8CCというファ
イルを作成している.
root# cp /usr/src/sys/i386/conf/PAO /usr/src/sys/i386/conf/PAO_MROUTE_SCC
4.1 SCC用ドライバの準備
まず, 8CCドライパのソースを用意する.
ftp://ftp.nagasaki-u.ac.jp/pub/prg/PC-UNIX/FreeBSD/225-PAO-scc.tar.gz
これを展開すると,中身は次のようになっている.
root# ls -1 225-PAO-scc/
-rw-r--r-- 1 usr group 391 J紅 1 12 19:57 OOreadme
-rw-r--r-- 1 usr group 25619 J出 1 12 19:30 scc.c
-rw-r--r-- 1 usr group 3795 Jan 12 19:30 scc.h
-rw四 r--r-- 1 usr group 9348 Jan 12 19:30 scc_cs.h
-rw-r--r-- 1 usr group 39023 J叩 1219:30 scc_subr.c
噌
EE-QU
このうち, scc.hを /usr/src/sys/i386/includeへそれ以外を /usr/src/sys/i386/isaへ入
れる.
root# cp scc.h /usr/src/sys/i386/include
root# cp scc.c scc_cs.h scc_subr.c /usr/src/sys/i386/isa
続いて, PAO_MROUTE_SCCを編集する.ここで,
・sccに関する記述はすでにあり,コメントアウトされているので, sccOのコメントをはずす.
-富士通の FMV-J182Aという PCMCIAEtherCardが irql0を使っているので, sccOの irqを
11にする.
• scc1はコメントアウトしたまま.
ということに注意して,以下のように変更する.
# device sccO at isa? port Ox240 irq 10 iomem ~xd4000 vector sccintr
# device scc1 at isa? disable port Ox244 irq 11 iomem Oxd8000 vector sccintr
device sccO at isa? port Ox240 irq 11 iomem Oxd4000 vector sccintr
# device scc1 at isa? disable port Ox244 irq 11 iomem Oxd8000 vector sccintr
4.1.1 サウンド関連の設定
サウンド関連の設定は,使用しているパソコンのサウンドカードの種類によって違ってくる.これ
については, /usr/src/sys/i386/conf/LINTファイルを参照しながら,先ほど SCC関連の設定を
追加したコンブイグファイル PAO-.MROUTE_SCCに適切なサウンドドライバの設定を追加する.
今回使用したパソコンのサウンドカードは, Sound Blaster Pro互換のものであるので,次のよう
な設定を追加した.
# Audio drivers: 'snd', 'sb', 'pas', 'gus', 'pca'
controller sndO
device sbO at isa? port Ox220 irq 5 conflicts drq 1 vector sbintr
device sbxviO at isa? drq 5
device sbmidiO at isa? port Ox330
4.1.2 マルチキャストルーティングに関する設定
マルチキャストルーテイングを行うための, mroutedを使用可能とするために,コンフィグファイ
ル PAO-.MROUTE_SCCに次の一行(コメントを入れて二行)を追加する.
# for Multicast Routing
options MROUTING
円
4no
4.1.3 カーネルの再構築
先ほど作ったコンフイグファイル PAO-.MROUTE_SCCを使用して,次の手順でカーネルのコンパイル
とインストールを行う.
root# cd /usr/src/sys/i386/conf
root# config PAO_MROUTE_SCC
root# cd ../../compile/PAO_MROUTE_SCC
root# make depend && make
root# make install
root# reboot
4.1.4 デバイスファイルの作成
再構築したカーネルで無事に起動したら,追加したドライパ関連のデバイスファイルを作成する.
1.サウンド関連のデバイス作成
lroot# cd /………dO
2. SCCのためのデバイス作成
(a) MAKEDEV. sccを取得する.
ftp://ftp.nagasaki-u.ac.jp/pub/prg/PC-UNIX/FreeBSD/
(b) MAKEDEV.sccを jdevへ
|root#町 MAKEDEV.scc/dev
(c)デバイスの作成
l ro川 cd/白V 脱出 MAKEDEV.sccsccO
5 SCCを使う
ここまでくれば, FreeBSDのカーネルとしては,音声入出力も,ビデオキャプチャもできる状態
になっている.そこで,まず SCCを使用するアプリケーションを動かしてみて, SCCが正しく動作
するかをチェックする.その後, multicast対応のアプリケーションである, vicをSCC対応にする
作業について説明する.multicast対応の音声用アプリケーションである vatについては,特に何も
しなくても動作するはずである.
5.1 xfsccによる sccの動作確認
xfsccというアプリケーションを動かしてみることで, SCCによるビデオキャプチャが正しく動
作していることを確認する.
5.1.1 xformsのインストール
xfsccを makeする際に, xformsが必要となるため,まず xformsパッケージをインストールする.
円。no
1. xforms-O.86.tgzを取得する
ftp://ftp4.jp.freebsd.org/pub/FreeBSD/packages-2.2.5/x11/
2. rootになる
3.インストール
lr… 5.1.2 xfsccのインストール
xfsccを makeしてインストールする.
1. xfscc・O.41.tar伊を取得する
ftp://ftp.nagasaki-u.ac.jp/pub/prg/PC-UNIX/FreeBSD/
2. xfscc・O.41.tar.gzを展開して,インストール.
user% zcat xfscc-O.41.tar.gz I tar xf -
user% cd xfscc-O.41
user% make
user% su
root# mv xfscc /usr/local/bin/
root# chown root:wheel /usr/local/bin/xfscc
もしも, makeがうまくいかないようであれば, FreeBSD用のバイナリを,
ftp://ftp.nagasaki-u.ac.jp/pub/prg/PC-UNIX/FreeBSD/xfscc-freebsd.bin
として置いているので,それを利用してもよい.
5.1.3 xfsccの実行
SCCをPCMCIAスロットに挿し,カメラを接続したのちに,コマンドラインから,
|u叫 xfscc
とすれば, xfsccが動作する. SCCに関する設定に問題がなければ,画面にはビデオからの映像
が表示されるはずである.
5.2 SCC対応 vicの作成
1. grabber-scc.ccを取得.
ftp.nagasaki-u・ac.jp/pub/prg/PC-UNIX/FreeBSD
2. portsディレクトリでソースを展開して, makeする.
root# cd /usr/ports/mbone/vic
root# make extract
…ここでソースが展開される…
root# cp grabber-scc.cc /usr/ports/mbone/vic/work/vic-2.8/
root# cp -p /usr/src/sys/i386/include/scc.h /usr/include/machine/
root# make
-84ー
3. vic-2.8が既に入っていれば,それをいったん消す.
|…いtevic-2.8
4.新しい Vl.C をインストールする.
l root# m…叫
6 おわりに
以上,ノートパソコンにFreeBSDをインストールし,ビデオキャプチャカード (SCC)を使用する
方法を中心に述べた.多くのノートパソコンでは,サウプドカードとして SoundBlaster Pro互換の
ものを使用しているため,カーネルさえきちんとできていれば vat等による音声の取扱いで苦労す
ることはないだろう.
このようにしてできたマシンを使用して,実際に遠隔授業を行っている画面を以下につける.
図 6.7:遠隔授業での使用例 (vic,vat)
最近は以前ほど"マルチメディア"という言葉を聞かなくなったような気がする.それだけ"マルチ
メディア"という言葉が普及して一般的になったということなのか,それともブームが終ってしまっ
たのか.私としては"マルチメディア"という言葉はなんとなく恥ずかしくてあまり使いたくないの
だが.r動画像データと音声データを処理するjという内容に相当する言葉が他に思いつかなかったの
で,今回はこのようなタイトルとなった.
-85 -
【付録】
付録として, FreeBSDをインストールする上で役に立つと思われる文献や, URLを一部紹介する.
・fFreeBSD徹底入門」 細川達己ほか著,朔泳社, ISBN4-88135-473・6
FreeBSDのコントリビュータが集まって書いたものであり,おそらくFreeBSDのインストール
に関して最も優れた本.
付属の CD-ROMと日本語インストーラは, FreeBSD 2.2.1・RELEASEなので今となっては古く
てあまり嬉しくないが,もう一つの特典,デーモン君シールはなかなかよい.
• http:j jwww伊 丘eebsd.orgj
日本版FreeBSDオフィシャルページ
FreeBSDに関する最新情報と, FreeBSDに関する各種リンク.
• http:j jwww.jp企eebsd.orgjPAOj
PAOオフィシャルページ.
PAO版インストーラの最新版と, PAOに関する各種.リンク.
• http:j jwww.mickey.ai.kyutech.ac.jpj百 hashijsccj
九州工業大学の大橋さんによる, IBM Smart Capture C~rd のドライパに関するページ
Linux用のドライパや, Windows95用のドライパに関するリンクもある.
• http:j jwww.ee.t.u-tokyo.ac.jp j -mitajFreeBSD jFreeBSD .html
東京大学の三田さんによる初心者向け(? )の解説ページ
• httゆp:jjwww伊.f仕reebsd.orgj縛-yu北kiザjFr町eeBSDjβsearch.h蜘u山削tm
日本における, FreeBSD関連の MailingListのアーカイブ.
• http:j jwww.yy.cs.keio.ac.jpj-sanpeijFreeBSD j sd9.html
FreeBSDの 100MEthernetとATM(!)に関する解説ページ.
• http:j jwww.emsphone.comjFreeBSDj
ircのチャンネル#FreeBSDのログ(非常に膨大,もちろん英語).
なにかトラブルがあったときに,解決の糸口が見つかるかもしれない.
• http:j jwww.仕eebsd.orgj
本家FreeBSDのページ.対応する日本語ページも用意されている.
• http://www.x企ee86.orgj
本家XFree86のページ.
• http:j jwww.st.rim.or担;-ikkcト/
日本語化された XFree86関連文書のページ.
• http:j jyslab.shinshu-u.ac.jp;-ikedajcdromjyslabj FreeBSD-Bookj→(次の行へ続く)
→(前の行から)chapterlOjPAO-970331jX1LSURVEY jXF86Configsj
XF86Configファイルのサンプル集.
• ftp:j jftp.nagasaki-u.ac必jpubjprgjPC-UNIXjFreeBSD j
長崎大学のFreeBSD関連ディレクトリ
今のところ情報量は非常に少ないが,本稿にでてくるファイルは,一通り置いてある.
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