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特 集 腸内細菌と循環器疾患
CARDIAC PRACTICE Vol.29 No.4 17 (265)
数百兆個の微生物から構成されるヒト腸内細菌叢が疾患を含むさまざまなヒトの生理状態と密接に関係することが近年明らかになってきた1)2)。こういった細菌叢がもつ生理作用やその生態系の研究は,細菌叢DNA(メタゲノム)のゲノム・遺伝子情報を直接収集・解析する次世代シークエンサー
(next generation sequencer:NGS)を用いたメタゲノム解析技術によるところが大きい。本稿では,NGSを用いた細菌叢メタゲノム解析とその臨床応用に関する技術背景を紹介する。
ヒト腸内細菌叢のメタゲノム解析は2006〜2007年の米国と日本のグループ
はじめに
NGSを用いたヒト腸内細菌叢の解析
による論文発表に始まる3)4)。2008年以降はNGSによるメタゲノム解析が一般的となり,最近では千人規模でのコホート研究も報告されている5)6)。NGSを用いた細菌叢解析は主に細菌の必須遺伝子である16SリボソームRNA
(16S)遺伝子に特化した①メタ16S解
析と②ゲノム・遺伝子情報を網羅的に解析するメタゲノム解析の2つがある
(図1)。
1.メタ16S解析
メタ16S解析の第1ステップは,糞便から調製した細菌叢DNA7)から16S
ヒト腸内細菌叢解析技術の臨床研究への応用Application of human gut microbiome analysis technologies to clinical study
基 礎
腸内細菌,メタゲノム,16Sリボソーム遺伝子,次世代シークエンサー
早稲田大学理工学術院先進理工学研究科教授理化学研究所生命医科学研究センターマイクロバイオーム研究チーム チームリーダー
服部正平 Hattori Masahira
ヒト試料(糞便・唾液・皮膚など)
細菌叢DNA 16Sアンプリコン 菌種,菌種数,菌種組成, 細菌叢構造解析など
①16Sデータ
アセンブリ
ユニークな細菌ゲノム配列 遺伝子データ
遺伝子の予測 機能・代謝系解析など
②メタゲノムデータ 菌種,菌種数,菌種組成, 細菌叢構造解析など
16S遺伝子DB
機能DB(KEGGなど)
個別ゲノムデータ RefゲノムDB分離培養株
マッピング
PCR NGS
NGS
NGS
図 1 NGSを用いたヒト腸内(常在)細菌叢の解析法
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