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マラウイ国 農業・灌漑・水開発省(MoAIWD) マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力 強化プロジェクト 最終報告書 平成 26 年 12 月 (2014 年) 独立行政法人 国際協力機構 (JICA) 株式会社 建設技研インターナショナル 株式会社 オリエンタルコンサルタンツ 株式会社 ニュージェック 環境 JR 14-193

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マラウイ国

農業・灌漑・水開発省(MoAIWD)

マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力

強化プロジェクト

最終報告書

要 約

平成 26年 12月

(2014年)

独立行政法人 国際協力機構

(JICA)

株式会社 建設技研インターナショナル

株式会社 オリエンタルコンサルタンツ

株式会社 ニュージェック 環境

JR

14-193

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マラウイ国

農業・灌漑・水開発省

(MoAIWD)

マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力

強化プロジェクト

最終報告書

要 約

平成 26年 12月

(2014年)

独立行政法人 国際協力機構

(JICA)

株式会社 建設技研インターナショナル

株式会社 オリエンタルコンサルタンツ

株式会社 ニュージェック

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マラウイ国水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート

ファイナルレポート構成 (和文)

1 要約

通貨換算レート USD1.0=MWK329=EUR 0.77=JPY84.88

2012年 12月 1日

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L

Location Map

プロジェクト対象地域図

Zambia

Zambia

Mozambique

Mozambique

Tanzania

Lilongwe

Blantyre

Nkhota Kota

Monkey Bay

Chipoka

Nkhata Bay

Chilumba

Karonga

Songwe River

Linthipe River

Shire River

Likangala River

North Rukuru River

Muzuzu

Zomba

Legend

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水資源エリアと水資源開発施設

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カムズ I ダム

ゾンバの浄水場

Photo 2.8.15

自然流下式給水施設(Mulanje)

Bwanje 灌漑スキームの取水施設

Bwanje 灌漑スキームの灌漑用水路

リウォンデのカムズ堰

写真集

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1m

Ruo 川付近の洪水マーク

Dzalanyama 森林保全地域

雨期の Rusa 川 (WRA 5)

(2013 年 3 月)

乾期の Rusa 川 (WRA 5)

(2013 年 10 月)

測量訓練 1

ドラフトファイナルレポートセミナー

(2014 年 10 月 10 日)

写真集

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート:主要要約

㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ ㈱ニュージェック

ES-i

主要要約

プロジェクトの背景と目的

背景

マラウイの平均年降水量は1,000mmで、数多くの河川水系が存在し、他のアフリカ諸国に比べて比較的

豊かな水資源に恵まれている。近隣諸国に比べると鉱物資源には恵まれておらず、マラウイ政府はこ

の水資源を利用して経済成長を図ろうとしている。2005年のマラウイ国家水政策と2008年の国家衛生

政策では、それぞれ「継続的かつシステマティックな水資源の管理と開発」、「継続的な衛生サービ

スの提供と水供給」が目標とされている。こうした環境条件の下で、適切なアプローチによる目標の

達成が望まれている。

しかしながら、水資源の適切な管理および効果的な利用は、これまであまりなされたことがなく、

UNDPの支援によって1986年に国家水資源マスタープランが策定されて以後、水資源やその利用に関す

る基本情報が系統立てて更新されたことはない。こうした現状の問題を解決するため、マラウイ政府

は上記マスタープランの更新を最重要施策として取り組むことにし、日本政府に対して新しい国家水

資源マスタープランの策定とそれに関する能力開発を要請した。

この要請に対して、JICAは2011年2月から3月に事前調査団を派遣し、2011年3月にJICAと灌漑・水開発

省(MoIWD)の間でS/WとM/Mを調印した。プロジェクトは2012年3月の現地調査に始まり、2013年10

月の中間報告書を経て、2014年10月に現地調査を終了し12月に本最終報告書を提出した。

目的等

プロジェクトの目的は、(1) 国家水資源マスタープラン(M/P)を策定し、(2) マラウイ側の要員に対し

て技術および知識を移転することである。M/Pの策定を通じてマラウイの水資源管理に係る問題点を明

らかにし、マラウイ側の能力開発のための戦略と水資源管理の適切な方向性を提案した。したがっ

て、将来マラウイの関係機関は一貫性のある水資源管理が実施可能となる。さらに、データの収集、

分析、管理、計画等の技術移転が、OJT、セミナー、ワークショップを通じて実施した。

プロジェクトの対象地域は、面積118,000 km2、人口1,310万人のマラウイ国全体である。

プロジェクトを取り巻く現状

関連組織等

国の水資源の管理について、その政策策定および灌漑と水供給分野の監督は主に農業・灌漑・水開発

省(MoAIWD)が所管している。天然資源・エネルギー・環境省(MoNREE)は、水力発電開発を所

管している。MoAIWDは、マラウイの水資源開発と管理を管轄する中央官庁である。主な役割として

は、安全な水と衛生の確保、農村部での安全な飲料水の供給、水資源の管理、灌漑計画の策定、水文

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ファイナルレポート:主要要約

マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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データの収集とモニタリング、流域の保全を行い、政策策定を支援することである。この他、水資源

委員会、地方政府、水公社が主要な関連組織である。

主要産業

農業はマラウイ経済において最も重要な産業である。全労働者の 80%が就業し、外貨獲得の 80%に寄

与し、また GDP の 39%を占め、さらに国および家計のための重要な食糧供給を担っている。農業の重

要な 2つのカテゴリーとして、小規模農家(農業の GDP 寄与分のうちの 70%以上)と大規模農園(農

業の GDP 寄与分のうちの 30%以下)がある。小規模農家は、トウモロコシ、キャッサバ、サツマイモ

など様々な種類の作物を自給のために生産している。大規模農園では、タバコ、茶、砂糖、コーヒー、

マカダミアなどの輸出を目的とした高付加価値な商品作物を生産している。

河川流域

マラウイは、河川流域に基づいて 17 の水資源区域(WRA)に分けられ、それらの WRA には、1 つの

流域しかないものと、いくつかの小規模流域が集まったものがある。さらに、WRA は、いくつかの水

資源ユニット(WRU)に分けられる。

気象水文

マラウイの気候は亜熱帯に分類され、一年には、暖かく湿度が高い 11 月から 4 月、涼しくて乾燥して

いる 5 月から 8 月、そして暑くて乾燥している 9 月から 10 月という 3 つの季節がある。暖かく湿度が

高い 11 月から 4 月は、年間降水量の約 95%が集中する雨期である。過去 30 年間の平均年間降水量は

971mmで、そのレンジは約 700mmから 1,200 mmである。雨期の流出高は雨量の約 20%であり、河川

の年流出率は、プロジェクトで収集した雨量と流量のデータに基づくと、0.2 と 0.3 の間で変動してい

る。

MoAIWDの水位観測所136と水公社の観測所3の合計139が運用され、164が閉鎖されている。また気象

観測は、MoNREE管轄下で行われ、1980年代には約800の雨量観測所があったが、現時点で100〜200が

運用されているに過ぎない。さらに23の気象観測所を管理している。

地下水モニタリングに関しては、2012 年において 35 観測井のうちわずか 18 でしか実施されていない。

また水質に関して、195 の水質監視ポイントがあり、それらは表流水用、廃水等の排水口に設置された

汚染監視用、地下水用の 3 つに分類されるが、予算制約等により定期的なモニタリングは実施されて

いない。

1986年マスタープランの評価

1986 年のマスタープラン(NWRMP 1986)では、都市部と地方双方に多くの給水プロジェクトが提案

された。これらの情報およびレポートの散逸のため、NWRMP1986 で提案された多数の給水プロジェ

クトの実施結果を追究することが困難であることから、給水状況の進行は、実際のおよび提案された

給水率を参照することにより検討した。この結果、都市部で計画値(2005 年)65%に対して、現状(2010

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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ES-iii

年)で 93%、地方で計画値 68%に対して、現状 72%、合計で計画値 67%に対して、現状 75%と計画を上

回る進捗を果たしていることが確認できた。

水力発電に関しては、1986年時点で発電容量 178MWを、2001年までに 230MW増強して 408MWに供

給能力を上げる予定であったが、実際には 140MWの増強に留まっている。

灌漑については、給水と同様に灌漑総面積で評価すると、1985年時点で 19,400haを 2005年に 39,500ha

に増加する計画であった。しかし、現状は 2005 年にはこれを上回る 67,000ha を達成し、2011 年には

90,600haが灌漑されている。

水利用現況

給水

安全な水へのアクセシビリティが全国で 83%とされている。農村部でのアクセシビリティは、継続的

な改善の結果 81%である。しかし、都市部では給水インフラの障害と高い人口増加率のため、アクセ

シビリティは 2010年の 92%から 2011年の 88%に低下した。

灌漑

小規模農家のための灌漑累積面積は 2009/10年の 37,960haから 2010/11年の 42,181haに増加している。

いっぽう、2010/11 年大規模農園の総灌漑面積は 48,382ha であった。大規模農園は、砂糖や茶が中心で

あった。

水力発電

既存の水力発電の設備容量は、286MW で、そのうちの 98%がシレ川沿いにある階段状の流れ込み式発

電所によるもので、残りの 2%が Wovwe川沿いにある。

マスタープランの基本方針

目標年

水資源開発管理にかかる目標年次は、長期目標 2035年、中期目標 2025年、短期目標 2020年とした。

水資源開発管理の基本方針

水資源開発については、今後増加していく水需要に対して、(1) 乾季の効率的な水需要管理、(2) 各流域

の雨季の豊富な水資源の活用、(3) 常時豊富な水量を有するマラウイ湖-シレ川の水資源の活用が、持続

的な開発を実施するうえでのキーになる。水資源管理については、流域の特徴をベースにして、(1) 適

正な水文水質モニタリング、(2) 関連組織の体制・能力の強化、(3) 流域管理体制の強化が主要な対応と

なる。

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水利用の優先順位

上水、農業、畜産業の順とする。環境流量については、環境流量の具体的ユーザー(特定保護種等)が明

らかになっていないばかりか、マラウイ国の水資源開発管理方針・政策において環境流量に関する明

確な方針・指針が述べられていない。水文学的な手法による流量 Q90で環境流量を設定すると、灌漑の

水需要量に匹敵するほど過大な量となってしまうため、水資源開発の最大の阻害要因とならざるを得

ない。ここでは、将来の水資源開発量と環境流量の関係を示すとともに、適正な環境流量を設定する

ために、特定保護種の調査および環境流量の算定手法の選択並びに環境流量設定ガイドラインの策定

等の必要性を提案した。

水利用の安全度

水利用の安全度は、上水に関し、4 大都市は 20 年渇水確率、地方都市・マーケットセンターは 10 年、

村落は 5年とした。また灌漑は 5年渇水確率とした。

都市および地方給水開発計画

4都市給水開発

既往のフィージビリティ調査および詳細設計をもとに 4 都市の給水計画を整理し、優先順位付けを行

った。優先順位は、ゾンバの既存浄水場の拡張を進めているプロジェクトを 1 位、これにリロングウ

エの新規井戸による給水量の増強、カムズダムの嵩上げと続いている。各都市の目標年次 2035 年にお

ける給水率、無収水率、および事業費を以下に列記する。これらの経済的内部収益率 EIRR は、

10~21%と高い値を示している。

1. リロングウエ:給水率 100%、無収水率 20%、事業費 517.1百万米ドル

2. ブランタイア:給水率 86.9%、無収水率 25%、事業費 315.4百万米ドル

3. ムズズ:給水率 100%、無収水率 20%、事業費 228.5百万米ドル

4. ゾンバ:給水率 100%、無収水率 20%、事業費 29.2百万米ドル

地方都市(町)給水開発

北部、中部、南部の地域水公社(RWB)は、マラウイの町に家庭用水を供給している。それぞれの町の

人口予測に対応するように、既存施設のリハビリと拡張が主体となる。総事業費は 143.3 百万米ドルで

あり、北部で 7、中部で 20、南部で 22の給水スキームを計画している。本事業の EIRRは、17.3%と高

い値を示している。

地方(マーケットセンター)給水

地方の中心である北部 34、中部 58、南部 62、合計 154のマーケットセンターを対象に、自然流下式な

いし深井戸により、人口増と老朽化に対応した給水施設を計画する。2015 年時点での給水率 73%を

2035 年には 98%に引き上げる計画である。総事業費は 123.2 百万米ドルである。本事業の EIRR は、

15.1%と高い値を示している。

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地方(村落)給水

地方の村落を対象に、自然流下式ないし深井戸によって安全な水を村落住民に供給する。2015 年時点

での給水率 73~95%を 2035 年には 98%に引き上げる計画である。総事業費は 424.2 百万米ドルである。

本事業の EIRRは、BHNに基づくものであるため、算定していない。

灌漑用水開発計画

灌漑開発シナリオ

灌漑開発は、2つの開発シナリオに基づいて検討した。第 1は 2,500 ha/年という現実的なシナリオであ

り、第 2 は 5,000 ha/年という少し野心的なシナリオである。後者は SADC 諸国の標準的な開発進度に

ほぼ等しい。

作付パターン変更による非構造物的対策

当初の水収支分析の結果から、乾期の初期段階においても依然として水利用が可能であることが分か

った。従って、耕作時期の前倒しや促成品種への転換などの作物の多様化を非構造物的対策の一つと

して提案した。5,000 ha/年のケースでは、作付方法の変更によって通常の作付に比べて構造物のコスト

を 34%下げることが分かった。

計画コンセプト

水資源賦存量と 2 つのシナリオによるシミュレーションを通じた水需要量のバランスを、WRU を単位

として検討した。水資源賦存量の多寡に応じて、提案する構造物を廉価な施設から、費用の掛かる施

設へと変化させた。この構造物コンポーネントは、堰又はポンプによる取水施設、搬送および配水路

網、そして、配水池および農業用溜池から成っている。適切なコンポーネントは、水の利用可能性と

地形特性に応じて決めた。

事業の段階的施工計画と経済性

上記コンセプトに従って、WRU 毎に灌漑開発計画を提案し、経済効率、開発効果および水供給賦存量

をパラメータとして優先順位を定め、これに基づいて 2035 年までの段階的施工計画を提案した。全体

の事業費は 914.9 百万 USD であり、全体事業の EIRR は両シナリオで 2.2~3.2%と低い値となっている。

これは、灌漑による作物を主としてトウモロコシとしたためである。

水力発電開発計画

水力発電計画の評価

水力発電事業は天然資源・エネルギー・環境省(MoNREE)によって 2030 年までの計画が策定されて

おり、その計画に沿っていくつかの事業が実施されている。その水力発事業を評価し、現在および将

来の条件に基づいて統合水資源管理(IWRM)の観点から整理した。

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マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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マラウイにおける水力発電事業は、水資源の観点から実現可能であるといえる。さらに、世銀の 1998

年におけるマスタープランレベルの調査で提案された複数の連続した開発は、単一の開発よりも有益

である。したがって、進行中の事業のためのフィージビリティ調査、さらに詳細な設計のための調査

は、より実現性の高い水力発電開発のために必要である。

情報共有の必要性

降雨データを含む気象データは MoNREE によって、河川流量データを含む水文データは MoAIWD に

よって観測されていることから、これらのデータを水力発電開発調査のために共有することは、水力

発電を管理するために非常に重要である。

水資源管理

新たな水資源管理のための組織

2013年に制定された水資源法の意味するところと IWRM政策に基づいて、NWRA と流域管理委員会を

中心としたすべての利害関係者の調整は、マラウイの IWRM の実現において大きな課題である。

NWRA は独立した組織であるが、MoAIWD と密接な関係があるため、水資源管理と開発プロジェクト

に関する情報を共有するためには MoAIWDと相互関係を持っていなければならない。MoAIWD以外の

関連する政府機関については、NWRAがセクター間調整を行うこととなる。

NWRAが MoAIWDの既存データベースシステムを引き継ぎ、地表水、地下水、水質等の水文情報をモ

ニター・管理することになるが、NWRA による観測・管理業務をスムーズに移行・実施するために、

まずは MoAIWDにおいて統合的な水文情報管理システムの設置が必要である。

提言

本水資源マスタープラン策定のための現況調査および計画策定の過程において、さまざまな課題に遭

遇した。他のアフリカ諸国に比して比較的豊富な水資源は、マラウイ国の将来における経済浮揚に寄

与する数少ないドライバーの一つと言われている。これら課題は、将来のマラウイ国の効率的な水資

源管理における克服すべきものであるばかりでなく、国家経済の浮揚に寄与する重要な構成要素であ

るため、ここに提言として整理しておくものである。

MoAIWDの組織強化と NWRAへの円滑な移行

2013 年に新水資源法が制定され、新たな組織として NWRA が設立される運びとなった。これによって

水利権の管理が強化されることにより、モニタリング活動を含む水資源管理の財政基盤が強固になる

と期待できる。今後は、MoAIWDの組織内の水文モニタリング部門等が NWRAに移行していくものと

思われるが、スムーズな移行と機動的な組織への改編を期待するものである。

さらに、水位観測と流量観測といった水文モニタリングは、全国 28 カ所にある地区水事務所が主とし

て担当しているが、観測所の稼働状況も低く、必要な人員も確保できていないのが現状である。これ

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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ES-vii

ら地方組織を NWRA がどのように連携ないし吸収していき、水文モニタリング活動を如何に活性化し

ていくか、地方組織も含めた将来の活性化を展望した組織改編が肝要である。

表流水・地下水・水質の観測体制の強化と観測データの共有と活用

上記の事項と関連するが、表流水の水位・流量のみならず、観測井における地下水水位観測、水質監

視地点における水質観測を定期的に実施し、これらの結果をデータべースに入力し、さらにプロジェ

クトで別途観測したデータも追加して、統合的な観測データの管理を目指すべきである。

これら統合データベースの運用を NWRAに移管して、MoAIWDのみならずマラウイの関連組織が利用

出来るようなデータ提供システムないしアクセスシステムを構築するものとする。これによって、

NWRA はマラウイの水文・水質データセンターの機能を果たすこととなり、経年的に観測所の稼働状

況が低下していることに見られるような活動状況の沈滞を解消できる手立ての一つとなると考えられ

る。

都市および地方給水事業の推進

都市および地方給水における事業費の概算によると、4 大都市で 11.9 億 USD、地方都市で 1.4 億 USD、

さらにマーケットセンターと村落に 5.5 億 USD と膨大な事業費が必要であることが分かった。安全な

水へのアクセスは、都市・地方住民の安全で快適な生活を支える最低限の保障である。これらの事業

を支え得る事業費を確保すべく、世銀、アフリカ開発銀行および支援国等の援助を確定していくべき

である。

新規の水源開発のみならず、配水網のリハビリ等の漏水対策を実施し、都市域での無収水率の向上を

図ることが必要である。また地方給水における深井戸に対しても、目詰まりや底泥堆積による機能低

下対策として、ジェティング工法やブラッシング工法の機材を用いた機能回復も有効である。

灌漑開発計画の促進と世銀灌漑マスタープランとの調整

灌漑開発計画では、水資源区(WRU)毎の水資源ポテンシャルに対する開発方式を提案している。本プ

ロジェクト期間に世銀による灌漑マスタープランが開始され、時間的制約から互いの成果に十分な調

整が取れなかった。現在継続中の世銀の灌漑マスタープランに水収支シミュレーション結果を提供し

ている関係から、本マスタープランの成果を活用されることを期待する。

さらに、灌漑開発における国家プロジェクトとして GBI(Green Belt Initiative)プロジェクトがあるが、

小規模農家への灌漑水の供給とともに、経済活性化のためには、民間投資家による換金作物を栽培す

る農業への大規模投資が不可欠である。したがって、海外の民間投資家が投資しやすい環境整備を行

い、民間投資を呼び込むような努力を国を挙げて行うべきである。

環境流量の詳細検討

水資源開発管理を検討する際に重要なユーザーとして環境があり、対象となる環境を保全すべき環境

流量を設定する必要がある。しかしながら、本マスタープランでは、具体的な保全対象となる環境因

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マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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子が定かではなく、水文的なアプローチによると水資源開発をむしろ阻害する要因にすらなるため、

優先順位を落とさざるを得なかった。今後、各河川の水資源開発の F/Sを進める際に、より具体的な保

全対象の生存特性を踏まえて、的確なアプローチによる環境流量の設定を行っていただきたい。

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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i

目 次

プロジェクト対象地域図

水資源エリアと水資源開発施設

写真集

主要要約

ページ

1. はじめに ............................................................................................................................................................. 1-1

1.1 プロジェクトの背景 ................................................................................................................................... 1-1

1.2 プロジェクトの目的 ................................................................................................................................... 1-1

1.3 プロジェクトの対象地域 ........................................................................................................................... 1-1

1.4 プロジェクトの実施スケジュール ........................................................................................................... 1-1

1.5 要員構成 ....................................................................................................................................................... 1-2

2. 組織制度および社会経済状況 ......................................................................................................................... 2-1

2.1 行政組織と行政界 ....................................................................................................................................... 2-1

2.2 水資源管理に係る現行の組織的枠組み ................................................................................................... 2-2

2.2.1 農業・灌漑・水開発省(MoAIWD) ................................................................................................ 2-2

2.2.2 水資源委員会 ........................................................................................................................................ 2-3

2.2.3 地方政府(地区役所と市役所/町役場) ........................................................................................... 2-3

2.2.4 水公社 .................................................................................................................................................... 2-3

2.3 国家開発政策と法令 ................................................................................................................................... 2-3

2.3.1 マラウイ・ビジョン 2020 ................................................................................................................... 2-4

2.3.2 マラウイの成長と開発のための戦略 II (MGDS II) .......................................................................... 2-4

2.3.3 国家水政策(2005) ................................................................................................................................. 2-4

2.3.4 国家衛生政策 ........................................................................................................................................ 2-5

2.3.5 水道法 (No. 17 of 1995) ........................................................................................................................ 2-5

2.4 人口統計 ....................................................................................................................................................... 2-5

2.5 土地利用 ....................................................................................................................................................... 2-6

2.6 農業、畜産業、漁業および工業 ............................................................................................................... 2-6

3. 自然条件 ............................................................................................................................................................. 3-1

3.1 河川流域 ....................................................................................................................................................... 3-1

3.2 地形 ............................................................................................................................................................... 3-3

3.3 水文地質 ....................................................................................................................................................... 3-3

3.3.1 地質概要 ................................................................................................................................................ 3-3

3.3.2 帯水層 .................................................................................................................................................... 3-4

3.4 気象と水文 ................................................................................................................................................... 3-6

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3.4.1 気象........................................................................................................................................................ 3-6

3.4.2 水文........................................................................................................................................................ 3-6

3.4.3 地下水 .................................................................................................................................................... 3-9

3.4.4 モニタリング・ネットワークと活動 .............................................................................................. 3-11

3.5 洪水と干ばつ ............................................................................................................................................. 3-12

3.6 エコシステム ............................................................................................................................................. 3-13

3.6.1 陸生動植物 .......................................................................................................................................... 3-13

3.6.2 水生動植物 .......................................................................................................................................... 3-13

3.6.3 林業...................................................................................................................................................... 3-14

4. 既存の計画と活動のレビュー ......................................................................................................................... 4-1

4.1 国の水資源開発と管理 ............................................................................................................................... 4-1

4.1.1 水資源に関連する国の開発と管理の戦略 ........................................................................................ 4-1

4.1.2 過去 10年における戦略の下での開発成果 ...................................................................................... 4-1

4.2 1986年マスタープランのレビュー .......................................................................................................... 4-3

4.2.1 給水........................................................................................................................................................ 4-3

4.2.2 水力発電 ................................................................................................................................................ 4-4

4.2.3 灌漑........................................................................................................................................................ 4-5

5. 水利用 ................................................................................................................................................................ 5-1

5.1 家庭用水と工業用水の供給および衛生 ................................................................................................... 5-1

5.1.1 全体概要 ................................................................................................................................................ 5-1

5.1.2 4大都市における給水 ......................................................................................................................... 5-1

5.1.3 その他の都市部における給水 ............................................................................................................ 5-3

5.1.4 地方給水 ................................................................................................................................................ 5-3

5.1.5 衛生/下水 .............................................................................................................................................. 5-4

5.2 灌漑 .............................................................................................................................................................. 5-5

5.2.1 耕作........................................................................................................................................................ 5-5

5.2.2 小規模農家の耕作 ................................................................................................................................ 5-5

5.2.3 大規模農園の耕作 ................................................................................................................................ 5-5

5.2.4 Irrigation Potential Area灌漑可能エリア ............................................................................................ 5-5

5.3 水上交通....................................................................................................................................................... 5-6

5.4 水力発電....................................................................................................................................................... 5-6

6. 基礎解析 ............................................................................................................................................................ 6-1

6.1 水文解析....................................................................................................................................................... 6-1

6.2 地下水 .......................................................................................................................................................... 6-3

6.3 人口予測....................................................................................................................................................... 6-5

6.4 水需要 .......................................................................................................................................................... 6-5

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iii

6.4.1 生活用水および工業用水 .................................................................................................................... 6-5

6.4.2 農業 ........................................................................................................................................................ 6-7

6.4.3 水力発電 ................................................................................................................................................ 6-8

6.5 水収支 ........................................................................................................................................................... 6-9

6.6 水質 ............................................................................................................................................................. 6-13

6.7 気候変動の影響の傾向 ............................................................................................................................. 6-14

6.8 GISのコンセプト ...................................................................................................................................... 6-14

7. 能力開発 ............................................................................................................................................................. 7-1

7.1 対象組織 ....................................................................................................................................................... 7-1

7.2 プロジェクト期間中における能力開発プログラム ............................................................................... 7-1

7.2.1 プログラムのスケジュールと内容 .................................................................................................... 7-1

7.2.2 個別のプログラムの実施状況 ............................................................................................................ 7-1

7.2.3 政策ガイドラインおよび組織の機能 ................................................................................................ 7-2

7.2.4 2013年 10〜11月技術セミナー ......................................................................................................... 7-3

8. 水資源の管理および開発の基本方針 ............................................................................................................. 8-1

8.1 マラウイの水資源の現況 ........................................................................................................................... 8-1

8.1.1 水資源開発管理計画策定における課題と検討結果概略 ................................................................ 8-2

8.1.2 マスタープラン(M/P)の基本方針 ................................................................................................. 8-4

9. 都市および地方給水開発計画 ......................................................................................................................... 9-1

9.1 都市給水開発計画 ....................................................................................................................................... 9-1

9.1.1 現況における課題 ................................................................................................................................ 9-1

9.1.2 計画策定のコンセプト ........................................................................................................................ 9-1

9.1.3 アクションプランと実施スケジュール ............................................................................................ 9-3

9.1.4 事業とそのコンポーネントの評価 .................................................................................................... 9-5

9.1.5 地域水公社による町への給水 ............................................................................................................ 9-8

9.2 地方給水 ..................................................................................................................................................... 9-11

9.2.1 開発コンセプト .................................................................................................................................. 9-11

9.2.2 マーケットセンター .......................................................................................................................... 9-11

9.2.3 自然流下式水道による給水スキームで給水される村落 .............................................................. 9-16

9.2.4 深井戸で給水される村落 .................................................................................................................. 9-18

9.2.5 地方給水事業のまとめ ...................................................................................................................... 9-20

10. 灌漑用水開発計画 ......................................................................................................................................... 10-1

10.1 計画フレームとコンセプト ................................................................................................................... 10-1

10.1.1 計画渇水年 ........................................................................................................................................ 10-1

10.1.2 段階的改善 ........................................................................................................................................ 10-1

10.1.3 灌漑開発シナリオ ............................................................................................................................ 10-1

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10.1.4 計画コンセプト ................................................................................................................................ 10-2

10.2 灌漑開発エリアおよび非構造物対策 ................................................................................................... 10-3

10.2.1 灌漑可能エリア ................................................................................................................................ 10-3

10.2.2 作付パターンと非構造物対策 ........................................................................................................ 10-3

10.2.3 灌漑方法による灌漑効率の違い .................................................................................................... 10-5

10.3 水収支解析............................................................................................................................................... 10-5

10.3.1 水収支解析 ........................................................................................................................................ 10-5

10.4 構造物対策............................................................................................................................................... 10-6

10.4.1 構造物対策の適用基準 .................................................................................................................... 10-6

10.4.2 灌漑開発における構造物対策の単価 ............................................................................................ 10-6

10.5 事業費用と実施計画 ............................................................................................................................... 10-7

10.5.1 事業費用積算 .................................................................................................................................... 10-7

10.5.2 事業の優先順位付け ........................................................................................................................ 10-8

10.5.3 実施計画 ............................................................................................................................................ 10-8

11. 水力発電開発計画 ......................................................................................................................................... 11-1

11.1 水力発電開発計画の背景 ....................................................................................................................... 11-1

11.2 電力開発のロードマップ ....................................................................................................................... 11-1

11.3 水力発電開発の評価結果 ....................................................................................................................... 11-2

11.3.1 水力発電開発についての提言および結論 .................................................................................... 11-2

11.4 情報の共有............................................................................................................................................... 11-3

11.5 施設管理................................................................................................................................................... 11-3

11.5.1 土砂対策 ............................................................................................................................................ 11-3

11.5.2 雑草対策 ............................................................................................................................................ 11-3

11.6 コンフリクト・マネジメント ............................................................................................................... 11-4

12. 水関連災害..................................................................................................................................................... 12-1

12.1 水関連災害の背景 ................................................................................................................................... 12-1

12.1.1 災害状況一般 .................................................................................................................................... 12-1

12.2 統合的洪水管理(IFM) ........................................................................................................................ 12-1

12.2.1 洪水制御の目的と基本方針 ............................................................................................................ 12-1

12.2.2 洪水の状況と洪水管理戦略 ............................................................................................................ 12-1

12.2.3 IMFの目的とロードマップ ............................................................................................................ 12-2

13. 土壌浸食対策計画 ......................................................................................................................................... 13-1

13.1 調査結果................................................................................................................................................... 13-1

13.2 流域保全の状況と方向性 ....................................................................................................................... 13-1

13.3 ロードマップと活動 ............................................................................................................................... 13-1

14. 水資源管理..................................................................................................................................................... 14-1

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14.1 マラウイの統合水資源管理 ................................................................................................................... 14-1

14.2 統合管理のための組織制度 ................................................................................................................... 14-1

14.2.1 組織の管理と調整 ............................................................................................................................ 14-1

14.3 表流水の管理 ........................................................................................................................................... 14-4

14.3.1 情報管理の状況 ................................................................................................................................ 14-4

14.3.2 水位観測と流量観測 ........................................................................................................................ 14-4

14.3.3 降雨観測 ............................................................................................................................................ 14-6

14.3.4 環境流量 ............................................................................................................................................ 14-7

14.4 地下水管理 ............................................................................................................................................... 14-7

14.4.1 地下水開発のガイドライン ............................................................................................................ 14-8

14.4.2 地下水管理計画 ................................................................................................................................ 14-9

14.4.3 地下水観測 ...................................................................................................................................... 14-10

14.5 観測情報管理システム ......................................................................................................................... 14-10

14.6 水質管理 ................................................................................................................................................. 14-12

14.7 公衆衛生 ................................................................................................................................................. 14-13

14.8 水資源開発施設の管理運営向上 ......................................................................................................... 14-14

14.8.1 上水関連施設 .................................................................................................................................. 14-14

14.8.2 灌漑施設 .......................................................................................................................................... 14-14

15. 事業実施計画 ................................................................................................................................................. 15-1

15.1 費用積算 ................................................................................................................................................... 15-1

15.1.1 費用積算の条件 ................................................................................................................................ 15-1

15.1.2 事業費用の概要 ................................................................................................................................ 15-1

15.2 事業の経済評価 ....................................................................................................................................... 15-5

15.2.1 方法 .................................................................................................................................................... 15-5

15.2.2 事業の費用便益分析 ........................................................................................................................ 15-5

15.3 社会および環境の観点からの評価 ....................................................................................................... 15-7

15.3.1 社会および環境の観点からの評価の目的 .................................................................................... 15-7

15.3.2 IEEを通じた評価 ............................................................................................................................. 15-7

15.3.3 結論と提言 ...................................................................................................................................... 15-10

16. 提言 ................................................................................................................................................................. 16-1

MINUTES OF MEETINGS

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表 目 次 表 1.1 JICAプロジェクトチームの要員構成 .................................................................................................. 1-2

表 2.1 水分野に係る政府機関の役割 ............................................................................................................... 2-2

表 2.2 MoAIWDの部局(2012年現在) ......................................................................................................... 2-2

表 2.3 人口の経年変化 ....................................................................................................................................... 2-6

表 2.4 地域別人口 ............................................................................................................................................... 2-6

表 2.5 2011年、2025年、2035年の地域別人口予測 .................................................................................... 2-6

表 3.1 マラウイの WRAと WRU ..................................................................................................................... 3-1

表 3.2 帯水層の特徴 ........................................................................................................................................... 3-6

表 3.3 1987年から 2012年の間の代表的な干ばつ ...................................................................................... 3-12

表 4.1 MGDSおよび MGDS IIにおける指標の当初の値と計画値 .............................................................. 4-2

表 4.2 NWRMP 1986における給水計画と現況との比較 .............................................................................. 4-3

表 4.3 NWRMP 1986において推奨された代表的な電源開発計画 .............................................................. 4-4

表 5.1 給水にかかる主要指標 ........................................................................................................................... 5-1

表 5.2 北部、中央部、南部地域水公社の概要 ............................................................................................... 5-3

表 5.3 農村部の給水ポイント ........................................................................................................................... 5-3

表 5.4 衛生サービスの主要指標 ....................................................................................................................... 5-4

表 5.5 2010/2011年の灌漑種類別灌漑面積と農民数 ..................................................................................... 5-5

表 5.6 灌漑可能エリア ....................................................................................................................................... 5-6

表 5.7 既存の水力発電所とその主な特徴 ....................................................................................................... 5-7

表 6.1 人口予測の方法 ....................................................................................................................................... 6-5

表 6.2 推奨される給水率 ................................................................................................................................... 6-6

表 6.3 水需要予測に適用した一人一日当たりの水使用量 ........................................................................... 6-6

表 6.4 水需要予測結果 ....................................................................................................................................... 6-6

表 6.5 基準年における水需要 ........................................................................................................................... 6-7

表 6.6 各 WRAにおける水力発電の最大水需要のまとめ ............................................................................ 6-9

表 6.7 シミュレーションモデルの入力データ ............................................................................................. 6-10

表 6.8 適用結果 ................................................................................................................................................. 6-11

表 6.9 気候変動シナリオごとの水収支 ......................................................................................................... 6-14

表 8.1 マスタープランの安全レベル ............................................................................................................... 8-5

表 9.1 4市の現況における課題 ........................................................................................................................ 9-1

表 9.2 4市の実績評価指標 ............................................................................................................................... 9-3

表 9.3 短期、中期、長期のアクションプランと実施スケジュール ........................................................... 9-5

表 9.4 4市の給水施設開発の状況 .................................................................................................................... 9-6

表 9.5 4市の事業コンポーネントについての優先順位 ................................................................................ 9-6

表 9.6 地域水公社の事業概要 ........................................................................................................................... 9-8

表 9.7 既存の取水量および給水システムの将来の水需要 ........................................................................... 9-9

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vii

表 9.8 短期、中期、長期の事業概要 ............................................................................................................. 9-10

表 9.9 3組織の事業についての責任および活動 .......................................................................................... 9-11

表 9.10 マーケットセンターの事業概要 ....................................................................................................... 9-12

表 9.11 マーケットセンターのリスト (1/3) .................................................................................................. 9-13

表 9.12 マーケットセンターのリスト (2/3) .................................................................................................. 9-14

表 9.13 マーケットセンターのリスト (3/3) .................................................................................................. 9-15

表 9.14 自然流下式水道事業の優先性 ........................................................................................................... 9-16

表 9.15 自然流下式水道スキームのリスト (1/3) .......................................................................................... 9-17

表 9.16 自然流下式水道スキームのリスト (2/3) .......................................................................................... 9-17

表 9.17 自然流下式水道スキームのリスト (3/3) .......................................................................................... 9-18

表 9.18 地域水公社の事業概要 ....................................................................................................................... 9-19

表 9.19 地区の優先順位に基づく深井戸事業のリスト ............................................................................... 9-19

表 9.20 地方給水事業のまとめ ....................................................................................................................... 9-20

表 10.1 灌漑方法による灌漑効率の違い ....................................................................................................... 10-5

表 10.2 灌漑開発における構造物対策の適用基準 ....................................................................................... 10-6

表 10.3 灌漑開発における構造物対策の適用可能性判断基準 ................................................................... 10-6

表 10.4 構造物対策の単価 ............................................................................................................................... 10-7

表 10.5 費用積算の条件 ................................................................................................................................... 10-7

表 10.6 総事業費 ............................................................................................................................................... 10-7

表 10.7 事業の優先順位付けの評点 ............................................................................................................... 10-8

表 10.8 実施期間の設定 ................................................................................................................................... 10-9

表 10.9 2,500 ha/年開発シナリオにおける実施計画 .................................................................................. 10-10

表 10.10 5,000 ha/年開発シナリオにおける実施計画 ................................................................................ 10-11

表 11.1 水力発電需要の評価結果 ................................................................................................................... 11-1

表 14.1 NWRAの能力開発のために提案されたプロジェクト .................................................................. 14-3

表 14.2 短期、中期、長期の活動計画 ........................................................................................................... 14-5

表 14.3 短期、中期、長期活動計画 ............................................................................................................... 14-7

表 14.4 マーケットセンターにおける地下水開発の要件 ........................................................................... 14-9

表 14.5 地下水管理についての短中長期活動 ............................................................................................... 14-9

表 14.6 地下水観測に関する短中長期的活動 ............................................................................................. 14-10

表 14.7 情報管理システム導入において必要な能力強化 ......................................................................... 14-12

表 14.8 水質管理のための短中長期活動 ..................................................................................................... 14-13

表 14.9 上水関連施設の運営維持管理のための中短長期の活動 ............................................................. 14-14

表 14.10 灌漑施設の運営維持管理のための短中長期活動 ....................................................................... 14-15

表 15.1 事業費用の積算条件 ........................................................................................................................... 15-1

表 15.2 マスタープラン事業の費用概要(1/3) .......................................................................................... 15-2

表 15.3 マスタープラン事業の費用概要(2/3) .......................................................................................... 15-3

表 15.4 マスタープラン事業の費用概要(3/3) .......................................................................................... 15-4

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表 15.5 家庭用および工業用給水の計算結果 ............................................................................................... 15-6

表 15.6 灌漑の計算結果 ................................................................................................................................... 15-7

表 15.7 潜在的なマイナスの影響と緩和策(ダム分野) ........................................................................... 15-8

表 15.8 水源に表流水を用いる事業の潜在的なマイナスの影響と緩和策(給水分野) ....................... 15-9

表 15.9 水源に地下水を用いる事業の潜在的なマイナスの影響と緩和策(給水分野) ....................... 15-9

表 15.10 潜在的なマイナスの影響と緩和策(灌漑分野) ....................................................................... 15-10

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ix

図 目 次 図 1.1 プロジェクトの実施スケジュール ....................................................................................................... 1-2

図 2.1 マラウイの地区(District) ................................................................................................................... 2-1

図 3.1 WRA、WRU、河川、湖の関係 ............................................................................................................ 3-2

図 3.2 マラウイにおける帯水層の分布 ........................................................................................................... 3-5

図 3.3 リロングウエにおける平均的な気候条件 ........................................................................................... 3-7

図 3.4 地域別年間降水量 ................................................................................................................................... 3-7

図 3.5 シレ川の 1G1流量観測所と Bua川の 5C1流量観測所における雨量と流量 .................................. 3-8

図 3.6 月毎の流出高と雨量 (5C1) ............................................................................................................... 3-8

図 3.7 地下水位変動の経年変化 ..................................................................................................................... 3-10

図 4.1 NWRMP1986における計画と設置実績、需要の比較 ....................................................................... 4-4

図 4.2 NWRMP 1986で予測された灌漑エリアと実績との比較 .................................................................. 4-5

図 6.1 欠測のない雨量観測所数 ....................................................................................................................... 6-1

図 6.2 パン蒸発量観測所データの取得率 ....................................................................................................... 6-1

図 6.3 標高と平均雨量との関係図 ................................................................................................................... 6-1

図 6.4 雨量およびパン蒸発量の雨期および乾期の割合 ............................................................................... 6-2

図 6.5 流出率と流域面積の関係図 ................................................................................................................... 6-2

図 6.6 流出率と年雨量との関係図 ................................................................................................................... 6-2

図 6.7 マラウイ湖水位の変動 ........................................................................................................................... 6-3

図 6.8 マラウイ湖における月平均水位 ........................................................................................................... 6-3

図 6.9 ダルシーの法則により計算された涵養量 ........................................................................................... 6-4

図 6.10 マラウイにおける 1966年-2035年の全人口 ..................................................................................... 6-5

図 6.11 2012年における人口の割合 ................................................................................................................ 6-5

図 6.12 水需要予測および進行中/将来のプロジェクトとの関係 ................................................................ 6-8

図 6.13 モデル構築とシミュレーションのフロー図 ................................................................................... 6-10

図 6.14 マラウイ湖水位の検証 ....................................................................................................................... 6-11

図 6.15 マラウイにおける水収支 ................................................................................................................... 6-12

図 6.16 地下水収支 ........................................................................................................................................... 6-13

図 6.17 10年渇水における WRUごとの 現況水需要の充足率 .................................................................. 6-13

図 6.18 WRUごとの 2035年水需要の充足率 ............................................................................................... 6-13

図 8.1 マラウイの水収支 ................................................................................................................................... 8-1

図 8.2 年間水需要量の変遷(左図)および最乾期の水需要量と水資源量の比較(右図).................... 8-2

図 8.3 WRA毎の水資源量と灌漑地区/灌漑開発可能地区への水需要量の比較 ........................................ 8-3

図 9.1 リロングウエとブランタイアにおける施設の給水率と拡張計画 ................................................... 9-4

図 9.2 ムズズとゾンバにおける施設の給水率と拡張計画 ........................................................................... 9-4

図 9.3 RWBごとの水需要と事業の実施 ....................................................................................................... 9-10

図 10.1 灌漑開発シナリオ ............................................................................................................................... 10-2

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図 10.2 灌漑用水開発プロセス ....................................................................................................................... 10-3

図 10.3 作付方法の変更による水不足の改善効果(2035年時点) .......................................................... 10-4

図 10.4 耕作方法の変更による経済効果 ....................................................................................................... 10-4

図 10.5 2,500ha/年と 5,000ha/年の開発シナリオにおける WRUごとの灌漑用水賦存量 ....................... 10-5

図 10.6 WRAごとの総事業費積算結果 ......................................................................................................... 10-8

図 10.7 策定された実施計画の累積面積と累積コスト ............................................................................... 10-9

図 11.1 電源開発のスケジュール ................................................................................................................... 11-1

図 11.2 水力発電にかかる水需要評価結果 ................................................................................................... 11-2

図 14.1 組織間の関係と必要な調整活動 ....................................................................................................... 14-1

図 14.2 提案された MoAIWDと NWRAの組織構成 ................................................................................... 14-2

図 14.3 水分野 TWG組織構造の提案 ............................................................................................................ 14-4

図 14.4 優先度の高い水位・流出観測所 ....................................................................................................... 14-6

図 14.5 村落における深井戸の適切な設置 ................................................................................................... 14-8

図 14.6 提案する情報・データ管理システムの概観 ................................................................................. 14-11

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xi

頭字語および略語

ACDF : Africa Catalytic Growth Fund(アフリカ触媒成長基金)

ADC : Area Development Committee(地域開発委員会)

ADD : Agriculture Development Division(農業開発部)

ADMARC : Agricultural Development and Marketing Corporation(農業開発流通公社)

ADP : Agriculture Development Programe(農業開発プログラム)

AEC : Area Executive Committee(地域執行委員会)

AfDB : African Development Bank(アフリカ開発銀行)

AIDs : Acquired Immuno Deficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群、エイズ)

AUSAID : Australian Agency for International Development(オーストラリア国際開発庁)

BCC : Blantyre City Council(ブランタイア市役所)

BGS : British Geological Survey(英国地質調査所)

BOD : Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素要求量)

BWB : Blantyre Water Board(ブランタイア水公社)

CA : Capacity Assessment(キャパシティ・アセスメント)

CBM : Community-Based Management(村落主体の施設維持管理)

CD : Capacity Building(キャパシティ・ビルディング)

CDO : Community Development Officer(地域開発普及員)

CIDA : Canadian International Development Aid(カナダ国際開発庁)

CRWB : Central Region Water Board(中央部地域水公社)

CSOs : Civil Society Organizations(市民社会団体)

COD : Chemical Oxygen Demand(化学的酸素要求量)

CWP : Community Water Point(公共給水所)

CWR : Crop Water Requirement(作物要水量)

DAs : District Assembly(県議会)

DAO : District Agriculture office(県農業所)

DC : District Committee(県庁)

DCCMS : Department of Climate Change and Meteorological Services(気候変動・気象局)

DCP : Doppler Current Profiler(ドップラー流速計)

DCT : District Coordinate Team(県調整小委員会)

D/D : Detail Design(詳細設計)

DDC : District Development Committee(地方開発委員会)

DEC : District Executive Committee(県執行委員会)

DEM : Digital Elevation Model(数値標高モデル)

DHI : Danish Hydrological Institute(デンマーク水理環境研究所)

DPD : Department of Planning and Development(計画・開発局)

DoI : Department of Irrigation Services(灌漑局)

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DoE : Department of Energy Affairs, MoNREE(エネルギー局)

EAD : Environmental Affairs Department(環境局)

EIA : Environmental Impact Assessment(環境影響評価)

EIB : European Investment Bank(欧州投資銀行)

EIRR : Economic Internal Rate of Return(経済的内部収益率)

ESCOM : Electricity Supply Corporation of Malawi Limited(マラウイ電力供給公社)

EU : European Union(欧州連合)

FAO : Food and Agriculture Organization of the United Nations(国連食糧農業機関)

F/S : Feasibility Study(フィージビリティスタディ)

GBI : Green Belt Initiative(グリーンベルトイニシャティブ)

GDP : Gross Domestic Product(国内総生産)

GIS : Geographic Information System(地理情報システム)

GPS : Global Positioning System(全地球測位システム)

GWP : Global Water Partnership(世界水パートナーシップ)

ha : hectare(ヘクタール)

HA : Health Assistant(保健衛生士)

HD : High Density(高密度)

HIV : Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)

HPP : Hydropower Plant(水力発電所)

HQ : Headquarters(本部)

HRPU : Human Resources Planning Unit(人事計画部)

HSA : Health Surveillance Assistant(衛生普及員)

IDA : International Development Association(国際開発協会)

IAEA : International Atomic Energy Agency(国際原子力機関)

IEE : Initial Environmental Examination(初期環境調査)

IFAD : International Fund for Agricultural Development(国際農業開発基金)

IPP : Independent Power Producer(独立系発電事業者)

IT : Information Technology(情報技術)

ITCZ : Intertropical Convergence Zone(熱帯収束帯)

ISD : Irrigation Service Division(灌漑事業部)

IWA : International Water Association (国際水協会)

IWRM : Integrated Water Resources Management(統合水資源管理)

JICA : Japan International Cooperation Agency(国際開発機構)

JPC : Joint Permanent Commissions(共同恒久的委員会)

JPY : Japanese Yen(日本円)

JSR : Joint Sector Review(ジョイントセクターレビュー)

LCC : Lilongwe City Council(リロングウエ市役所)

LD : Low Density(低密度)

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xiii

LWB : Lilongwe Water Board(リロングウエ水公社)

MBS : Malawi Bureau of Standard(マラウイ標準局)

MCA : Millennium Challenge Account(ミレニアムチャレンジ基金)

MCC : Millennium Challenge Corporation(ミレニアムチャレンジ公社)

MD : Middle Density(中密度)

MDGs : Millennium Development Goals(ミレニアム開発目標)

M&E : Monitoring and Evaluation(モニタリング・評価)

MDPC : Ministry of Development, Planning and Cooperation(開発、計画・協力省)

MEGS : Malawi Economic Growth Strategy(マラウイ経済成長戦略)

MEIP : Malawi Electricity Investment Plan(マラウイ電力投資計画)

MG : Malawi Government(マラウイ政府)

MGDS : Malawi Growth and Development Strategy(マラウイ成長・開発戦略)

MIS : Management Information System(管理情報システム)

MK : Malawi Kwacha(マラウイ クワチャ)

MoAIWD : Ministry of Agriculture, Irrigation and Water Development(農業、灌漑、水開発省)

MoAFS : Ministry of Agriculture and Food Security(農業・食糧安全保障省)

MoEM : Ministry of Energy and Mine (former MoNREE)(エネルギー・鉱山省)

MoF : Ministry of Finance(財務省)

MoIWD : Ministry of Irrigation and Water Development(灌漑・水開発省)

MoLGRD : Ministry of Local Government and Rural Development(地方政府・地方開発省)

MoNREE : Ministry of Natural Resources, Energy and Environment(天然資源、エネルギー、環境

省)

MoPW : Ministry of Public Works(公共事業省)

MoWDI : Ministry of Water Development and Irrigation (fomer MoAIWD)(水開発・灌漑省)

MP : Member of Parliament(国会議員)

M/P : Master Plan(マスタープラン)

MPRS : Malawi Poverty Reduction Strategy(マラウイ貧困削減戦略)

MPUWSP : Malawi Peri-Urban Water and Sanitation Project(給水エリアの拡大および無収水改善

プログラム)

MW : Mega Watts(メガワット)

NFRA : National Food Reserve Agency(国家食糧備蓄機構)

NGO : Non Governmental Organization(非政府組織)

NIB : National Irrigation Board(国家灌漑委員会)

NIPDS : National Irrigation Policy and Development Strategy(国家灌漑政策およびか開発戦

略)

NRW : Non Revenue Water(無収水)

NRWB : Northern Region Water Board(北部水公社)

NSO : National Statistical Office(国家統計局)

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NSP : National Sanitation Policy(国家公衆衛生政策)

NWDP : National Water Development Project or National Water

Development Programme.N.B. The former is abbreviated as NWDPI and the latter NWDPII.

(国家水資源開発プログラム)

NWP : National Water Policy(国家水政策)

NWRA : National Water Resources Authority(国家水資源機構)

NWRMP : National Water Resources Master Plan(国家水資源マスタープラン)

ODA : Official Development Aid(政府開発援助)

OJT : On-the-Job Training(オンザジョブトレーニング)

O&M : Operation and Maintenance(維持管理、運用および整備)

OPC : Office of President and Cabinet(大統領府)

OPEC : Organization of the Petroleum Exporting Countries(石油輸出国機構)

PMU : Project Management Unit(事業管理本部)

POW : Plan of Work(作業プログラム)

PPP : Private Public Partnership(官民連携)

PRSP : Poverty Reduction Strategy Paper(貧困削減戦略報告書)

PSB : Programme Steering Board(プログラム運営委員会)

PSIP : Public Sector Investment Programme(公共セクター投資プログラム)

PV : Photovoltaic(太陽光発電)

RE : Rural Electrification(地方電化)

RGF : Rapid Gravity Filters (急速重力フィルター)

RWBs : Regional Water Boards(地域水公社)

SAFRIEND : The Southern Africa Flow Regimes from International Experimental and Network Data(南

アフリカ圏流況観測網)

SADC : Southern Africa Development Community(南アフリカ開発共同体)

SAPP : Southern Africal Power Pool(南アフリカ電力プール)

SC : Steering Committee(運営委員会)

SEA : Strategic Environmental Assessment(戦略的環境評価)

SFPDP : Smallholder Flood Plains Development Programmes(小規模農家洪水平野開発プログラ

ム)

SFFRFM : Smallholder Farmers Fertilizer Revolving Fund of Malawi(小規模農家肥料回転資金)

SRBMP : Shire River Basin Management Program(シレ川流域管理プログラム)

SRWB : Southern Region Water Board(南部地域水公社)

S.T.A : Sub Traditional Authority(郡長)

TAs : Traditional Authorities(伝統首長領)

TNA : Training Needs Assessment(訓練必要性評価)

STA : Senior Traditional Authority(上級伝統首長)

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xv

TAMS : Tippett, Abbett, McCarthy and Stratton Engineers(ティペット・アベット・マッカーシ

ー・アンド・ストラットン技術社)

TC : Technical Committee(技術委員会)

TCC : Tobacco Control Commission(タバコ規制委員会)

THA : Traditional Housing Area(伝統的居住区)

UNDP : United Nations Development Plan(国連開発計画)

UNICEF : United Nations Children’s Fund(国連児童基金)

US AID : United States Agency for International Development(米国国際開発庁)

USD : United States Dollar(米ドル)

VDC : Village Development Committee(農村開発委員会)

VHC : Village Health Committee(農村保健衛生委員会)

VHWC : Village Health and Water Committee(農村保健衛生・水委員会)

VIP : Ventilated Improved Pit(換気型改善ピットトイレ)

VLOM : Village Level Operations and Maintenance(農村レベルでの運転・維持)

WASH : The Water, Sanitation and Hygiene Project(WASHプロジェクト)

WB : World Bank(世界銀行)

WES : Water and Environmental Sanitation(水および環境衛生)

WMA : Water Monitoring Assistant(水管理普及員)

WPCs : Water Point Committees(水管理委員会)

WRAs : Water Resources Areas(水資源地域)

WRB : Water Resources Board(水資源委員会)

WRD : Water Resource Division(水資源部)

WRF : Water Resources Fund(水資源基金)

WRIS : Water Resources Investment Strategy(水資源投資戦略)

WRM : Water Resources Management(水資源管理)

WRUs : Water Resources Units(水資源ユニット)

WQEO : Water Quality and Environmental Officer(水質・環境担当官)

WSGPG : Water and Sanitation Development Partners Group(水・衛生開発パートナーグルー

プ)

WUA : Water Users Association(水利組合)

WUP : Water Utility Partnership(水利用パートナーシップ)

WWA : Water Works Act(水道法)

WWTP : Wastewater Treatment Plant(下水処理場)

ZAMCOM : Zambezi Watercourse Commission(ザンベジ水路委員会)

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1-1

1. はじめに

1.1 プロジェクトの背景

マラウイの平均年降水量は 1,000 mm で、数多くの河川水系が存在し、他のアフリカ諸国に比べて比

較的豊かな水資源に恵まれている。近隣諸国に比べると鉱物資源には恵まれておらず、マラウイ政府

はこの水資源を利用して経済成長を図ろうとしている。

水資源の開発と経済成長への利用は「マラウイ成長・開発戦略(MGDS)」の主要部分である。2005

年のマラウイ国家水政策と 2008 年の国家衛生政策では、それぞれ「継続的かつシステマティックな水

資源の管理と開発」、「継続的な衛生サービスの提供と水供給」が目標とされている。こうした環境条

件の下で、適切なアプローチによる目標の達成が望まれている。

しかしながら、水資源の適切な管理および効果的な利用は、これまであまりなされたことがなく、

UNDP の支援によって 1986 年に国家水資源マスタープランが策定されて以後、水資源やその利用に関

する基本情報が系統立てて更新されたことはない。

現状の問題を解決するため、マラウイ政府は上記マスタープランの更新を最重要施策として取り組

むことにし、日本政府に対して新しい国家水資源マスタープランの策定とそれに関する能力開発を要

請した。

そうした要請に対して、JICA は 2011 年 2 月から 3 月に事前調査団を派遣し、要請の背景とその内容

の確認、他の機関による現行の援助とその内容、マラウイ側の実施機関、その他について調査を実施

した。その調査結果を踏まえて、2011年 3月 4日に JICAと灌漑・水開発省(MoIWD)の間でS/WとM/M

が調印された。

1.2 プロジェクトの目的

プロジェクトの目的は、(1) 国家水資源マスタープラン(M/P)を策定し、(2) マラウイ側の要員に対

して技術および知識を移転することである。

M/Pの策定を通じてマラウイの水資源管理に係る問題点を明らかにし、マラウイ側の能力開発のため

の戦略と水資源管理の適切な方向性を提案する。したがって、将来マラウイの関係機関は一貫性のあ

る水資源管理が実施可能となる。さらに、データの収集、分析、管理、計画等の技術移転が、OJT、セ

ミナー、ワークショップを通じて実施される。

1.3 プロジェクトの対象地域

プロジェクトの対象地域は、面積 118,000 km2、人口 1,310 万人のマラウイ国全体である(Population and

Housing Census, 2008)。

1.4 プロジェクトの実施スケジュール

プロジェクトの実施スケジュールは、図 1.1 に示すとおりである。プロジェクトの進捗と結果を伝達

するため、スケジュールに基づいて関係機関に報告書が提出された。

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年/月 2012 年 2013 年 2014 年

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

現地作業

国内作業

報告書

フェーズ

凡例:IC/R: Inception Report; P/R1: Progress Report 1; P/R2: Progress Report 2; P/R3: Progress Report 3, IT/R: Interim Report, DF/R: Draft Final Report; F/R: Final Report Phase-I: Water resources assessment Phase-II: Formulation of water resources master plan

図 1.1 プロジェクトの実施スケジュール

1.5 要員構成

JICA プロジェクトチームの要員構成は、表 1.1 のとおりである。

表 1.1 JICA プロジェクトチームの要員構成

氏名 担当業務 森下 甲子弘 総括 / 水資源管理 後藤 俊宏 副総括 / 水資源開発 黒江 博信 都市給水 山口 雅弘 地方給水 山川 精一 農業・灌漑 猿橋 崇央 水力発電 森田 健治 観測モニタリング 宮城 昌和 水文/ 水収支/ 洪水 上田 広和 水理地質(地下水)/ 水質 真屋 学 GIS データベース 水寄 僚子 組織/制度/能力強化

セバスチャン・ハラ 環境社会配慮/ステークホルダー会議 谷島 誠 経済・財務 佐竹 俊昭 施設計画・設計

IC/R P/R1

DF/R F/R Phase-I

Phase-II

P/R2 IT/R P/R3 DF/R F/R

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2-1

2. 組織制度および社会経済状況

2.1 行政組織と行政界

マラウイ共和国は、南東アフリカにある内陸国であり、東、南、西はモザンビークに、北西はザン

ビアに、そして北東はタンザニアに接している。国境の一部がマラウイ湖の沿岸又は湖の中に引かれ、

タンザニアとモザンビークから国土を分かつものとなっている。国土面積 118,484 km2 の約 93.2%がザ

ンベジ川流域に含まれ、総人口の 86.1%

がそこで生活している(Water and

Sanitation Sector Joint Sector Review,

2009)。マラウイはザンベジ川委員会

(ZAMCOM)のメンバーである。総人

口は 1,310万人で、増加率は 2.8%である。

(Population and Housing Census, 2008)。

国内で最も使われているのがチチェワ

語であるが、英語が政府の公用語とな

っている。マラウイの 4大都市として、

リロングウエ、ブランタイア、ムズズ、

ゾンバがあげられる。

国は、北部、中部、南部の 3つの地域

(Region)で構成されている。地域の下

のレベルに行政単位として 28 の地区

(District)が置かれている。リロングウ

エ地区のリロングウエ市のような商業

センターでは、都市化の拡大と、ビジ

ネスチャンス、そしてよりよい就業機

会を求める人々が流入することから、

高い人口増加率を示している。タンザ

ニアやザンビアとの国境に接する北部

のMchinji、Chitipa、Karonga地区では、

交易が盛んなことからリロングウエに

次いで高い人口増加率を示している。

2007 年に Mwanza地区が Mwanzaと Nenoに分かれたため、現在 28地区体制となっている。地区の境界

を図 2.1 に示す。地区の下に伝統的な支配体制(traditional authorities)が存在する。その長は世襲である。

村(Village)は人口の少ない集落である。一般的に、伝統的なルールや価値に基づいて村長が決められ

る。そのうちの約 80%が農村部にある。

出典:プロジェクトチーム

図 2.1 マラウイの地区(District)

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2.2 水資源管理に係る現行の組織的枠組み

水資源は、農業、工業生産、家庭用水そして水力発電などの異なる目的によって様々な機能と役割

を持っている。現在、様々な分野の水利用について、それぞれ異なる省庁が担当している。国の水資

源の管理について、その政策策定および灌漑と水供給分野の監督は主に農業・灌漑・水開発省

(MoAIWD)が所管している。天然資源・エネルギー・環境省(MoNREE)は、水力発電開発を所管し

ている。水力発電を含むエネルギー開発のマスタープランは既に策定されている。表 2.1 は、水分野の

政府機関をまとめたものである。

表 2.1 水分野に係る政府機関の役割

政府機関名 役割と責任 農業・灌漑・水開発省 水分野に関わる監視、規制、投資、政策策定 天然資源・エネルギー・環境省 水力発電と供給 保健省 公衆衛生、衛生教育 水資源委員会 水料金設定、水利権、ライセンス 水公社 給水事業の実施 地方政府 給水および公衆衛生事業の計画、調整 出典: Completion Report on the Dispatch of Expert to the Government of the Republic of Malawi in the Field of Water Resources Phase I revised by the Project Team.

2.2.1 農業・灌漑・水開発省(MoAIWD)

MoAIWD は、マラウイの水資源開発と管理を管轄する中央官庁である。主な役割としては、安全な水

と衛生の確保、農村部での安全な飲料水の供給、水資源の管理、灌漑計画の策定、水文データの収集と

モニタリング、流域の保全を行い、政策策定を支援することである。水に関しては、表 2.2 に示されて

いるとおり、4 つの技術部局と 3 つの管理部局を擁する。

表 2.2 MoAIWD の部局(2012 年現在)

局 課 水資源局 表流水、地下水、水質 給水局 操作・維持・監視および評価、計画および建設 衛生局 衛生 灌漑事業局 計画および操作、灌漑管理、研究開発、事務管理 事務管理局 計画、事務管理 人事局 人事 財務局 財務 出典: The Ministry of Water Development and Irrigation Organogram, 2012

上記の 4つの技術部局のうち、水資源局が水資源管理の主管部署である。具体的な役割として以下が

ある。(i) 表流水の管理(観測、評価および保全を含む)と開発、(ii) 地下水の管理(観測、評価および

保全を含む)と開発、(iii) 水質のモニタリング・評価・管理(水質汚染の規制を含む)、(iv) 水資源に

係る法令の管理、(v) 国際河川の水資源管理。

他方で、MoAIWD の中央組織と地方組織との間の関係を見ると、本部はリロングウエに設置され、

地方水開発事務所が北部、中部、南部地域に設置されている。また、地区水事務所が全国 28 地区に設

置されている。地域事務所の役割は、管内の地区水事務所の支援と役割の調整である。地区水事務所

には、水資源、水供給、管理に関わる分野(部局)からその地区の要請に応じて要員が配置される。例

えば、いくつかの地区では水文業務を含め水資源分野から要員が配置されていない。さらに、灌漑局

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2-3

では形態が異なり、灌漑業務の本部はリロングウエにあるが、地方レベルで 8 つの灌漑事務所(ISD)

があり、25 の地区に地区灌漑事務所がある。なお、8 つの ISD は将来 3 つに統合される予定である。

中央、地方を通じた MoAIWD の組織上の重大な問題は、主に人材および予算上の制約から適切な組

織管理に必要な多くのポストが空席となっていることである。

2.2.2 水資源委員会

水資源局に水資源委員会(WRB)が設置され、公共および民間セクターの水利権の管理と(水利用と

下水排水の)料金徴収を担当している。水利用者数の記録はあるが、データの管理が実際の水配分を検

討するためには不十分である。

WRB は 2011 年 8 月現在で 911 件の水利権を付与した。水公社、民間企業、農民、投資家、その他に

水利権が付与されたが、1 ユーザーが何件もの水利権を持つ事例がいくつか見られた。例えば、水公社

がその管轄区域内の複数のユーザーのために水利権を申請していた。残念ながら、WRB はユーザー数

を記録しているが、機器と人材不足のため水利権の数までは記録していない。このため、マラウイ全

体では数多くの未登録のユーザーと数多くのユーザー数記録が存在する可能性がある。

2.2.3 地方政府(地区役所と市役所/町役場)

地区役所が農村部および都市部の水供給に第一の責任を有する。都市部では、地区役所と市役所/町

役場が併存するため、両者の間で役割分担がなされている。水供給と衛生事業の運転・管理について、

地区役所は農村部、市役所/町役場は市/町の中心部を担当する。規模が小さいため町役場が設置されて

いない町については、地区役所が町の農村部と都市部の両方を担当する。

2.2.4 水公社

1995年水道法に基づき 5つの水公社が半官半民の組織として設置されている。その内の 2つ、ブラン

タイアとリロングウエの水公社はそれぞれの市とその周辺部を担当している。残りの 3 つ(北部、中部、

南部の各地域水公社)は前述の 2 つよりも広範囲のエリアである、管轄内の市、町および商業センター

に水を供給している。水道法によれば、公社は特に特定のエリアにおける衛生事業の促進、水供給お

よび衛生のための施設整備に関連する水道法令の執行に責任を有する。(しかしながら、現実には現在

下水道事業は市役所の責任となっている。)

水公社は利益が比較的高い市や町をターゲットにしている。他方で、他の農村部(マーケット・セン

ター:人口規模が 5,000〜10,000 および村)において、MoAIWD または他の開発援助機関が給水施設を

建設し、住民、水利組合(WUA)、給水所委員会(WPC)がその施設の維持を行っている。

水公社に加えて、マラウイ水事業協会(WASAMA)が水公社間の料金調整にかかる共通の問題の解

決にあたっている。また、マラウイ政府はこれら 5 つの水理事会が効率的に運営されているかをチェッ

クしている。

2.3 国家開発政策と法令

水資源管理に係る重要な法令は下記の機関で行われている。なお、2013 年には新しい国家水資源法

が施行されており、これについては第 14 章水資源管理において記載している

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2.3.1 マラウイ・ビジョン 2020

この戦略的文書において、マラウイが 2020 年までに環境に優しい中所得国になるという長期的な展

望を展開している。この文書の作成が開始されたのは 1996 年であった。この文書に経済開発戦略のア

プローチが変更されたことが述べられている。以前は、マラウイ経済は主として自然の相対的優位性

に依存していた。この長期的展望の策定プロセスにおいて、経済成長を確かなものとし、国民を支援

して行くためには、社会・経済の全ての分野において競争的優位性を創出することが重要であると理

解されるようになった。

水分野においては、水資源保全と流域管理を強化することが述べられている。森林伐採、干ばつ、

水供給システムの不適正な管理によって、水資源が枯渇する脅威も述べられている。水質汚染防止、

流域保全および給水システムの改善についての戦略的な選択肢も概要が記載さている。

2.3.2 マラウイの成長と開発のための戦略 II (MGDS II)

これは、マラウイ・ビジョン 2020 で述べられていた中期目標を達成するための政策ツールである。

重要な分野における課題にどう取り組むかの戦略と段階的な方法が示されている。2006 年から 2011 年

の期間でのMGDSの実施が成功したことにより、マラウイ政府は 2011年から 2016年の期間にMGDS II

の実施を計画している。MGDS IIでは、持続的な経済成長とインフラの整備によって、貧困の削減を引

き続き目指している。このため、9 つの優先分野と 6 つの課題分野を明確にしている。グリーンベルト

灌漑および水開発は、それらの優先分野のひとつである。

安全な水道水へのアクセスは水開発戦略における重要な目標のひとつである。近年、水道へのアク

セスを向上させるため様々な努力が払われてきた。MGDS II では、全体の給水の普及率は 2004 年の

58%から 2009 年の 76%に上昇したことが述べられている。農村部では、2004 年の 58%から 2008 年の

64%に上昇した。しかしながら、こうした成果にもかかわらず、水分野において国が取り組むべき重要

な課題がある。そうした課題に、農村部での水道普及率が低いこと、インフラの老朽化、施設の維持

管理能力の不適切さ、盗難や破壊行為の結果、インフラが 30%以上も使用不能になっていること等で

ある。

工業や商業開発が拡大した見地からすると、水は発電、灌漑、生活用水のための多目的資源である。

様々な分野における水需要の増大により水利用者の間で紛争が発生している。そのため、水資源の効

率的な利用がとても重要な問題点となっている。しかし、組織制度の枠組みが頻繁に変わり、異なる

計画が実施されるため、進捗をモニタリングするために利害関係者間で協力する必要がある。

2.3.3 国家水政策(2005)

国家水政策は、一部不明確だった課題を明確にし、明確な目標を設定するため、2005 年と 2007 年に

改訂されている。水および衛生分野で直面している数多くの課題と水資源の保全と管理、さらに施設

の運用と維持管理を関連づけて作成されている。こうした問題を解決するための方策として、統合的

水資源管理(IWRM)や共同体を基盤とした管理(CBM)等のメカニズムの適用があげられる。この政

策文書では、水に関係する 13 の分野が含まれている。それらは、水資源管理、農村給水、農業、灌漑、

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2-5

水上交通、漁業、水力発電、エコ・ツーリズムとリクリエーション、植林、防災、政策モニタリング

と評価である。それぞれの目標と将来の発展のための戦略が述べられている。

2.3.4 国家衛生政策

国家衛生政策策定の準備作業はカナダ国際開発機構の支援と様々な政府機関、地方政府(地区と市の

役所)、UNICEF、水公社、市民団体などの主要な利害関係者からのインプットに基づいて開始された。

2008 年 10 月に内閣が国家衛生政策を採用した。全体目標は、マラウイ国民の健康と社会経済的な発展

のために衛生を向上させ、安全な保健活動を促進することである。全体の政策目的は、経済成長のた

めに持続的な環境管理を行う一方で向上した衛生に誰でもアクセスできるようにし、安全な保健活動

を行うことである。

2.3.5 水道法 (No. 17 of 1995)

本法により、水公社が担当する水域が設定され、水道および衛生的な下水道の整備、運用と維持の

ための水域管理とそれに関連する事項が規定されている。

水公社の権限として、法律に従った料金の徴収、水道および衛生的な下水道に関する調査・研究を

他のものと協力して行えることである。この法律に基づいて、ブランタイア、リロングウエ、北部地

域、中部地域、南部地域の水公社が設置された。

2.4 人口統計

国家統計局(NSO)は 1967 年統計法によって、統計データの収集と普及のための主要な政府機関と

されている。人口統計の情報について、NSO は 10 年ごとに「人口と住宅統計」を発表している(最新

版は 2008 年発表)。

2008年の国勢調査に基づいてNSOは「マラウイの人口予測」を発行し、そこにおいて2008年から2050

年までの国全体の人口予測と 2008 年から 2030 年までの地区レベルの人口予測が記載されている。さら

に、人口予測に基づいて 2012 年の人口特性を示した「マラウイ人口データシート 2012 年」が NSOによ

り発行されている。表 2.3は、1966年から 2008年までの人口の経年変化を示している。表 2.4 は、地域

別人口を示している。

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表 2.3 人口の経年変化

指標 Census 1966

Census 1977

Census 1987

Census 1998

Census 2008

人口 4,039,583 5,547,460 7,988,507 9,933,868 13,077,160 次の国勢調査までの人口増加率 3.3 2.9 3.7 2.0 2.8 人口密度(人/km2) 43 59 85 105 139 都市人口の比率 5.0 8.5 10.7 14.0 15.3 出典: Demographic and Health Survey 2010

表 2.4 地域別人口

地域 1987 1998 2008 北部地域 911,787 (11.4%) 1,233,560 (12.4%) 1,708,930 (13.1%)

中部地域 3,110,986 (38.9%) 4,066,340 (40.9%) 5,510,195 (42.1%)

南部地域 3,965,734 (49.6%) 4,633,968 (46.6%) 5,858,035 (44.8%)

出典: Census 2008; (%): percentage against total population

NSO ではコーホート要因法によって人口を予測している。この手法によれば死亡、出生、社会的移

動の効果を考慮して将来の人口を予測することが出来る。地域別の人口予測を表 2.5 にまとめた。

表 2.5 2011 年、2025 年、2035 年の地域別人口予測

(人) 地域 2008 年 2011 年 2025 年 2035 年

合計 13,077,160 14,388,550 22,358,190 30,296,833 北部地域 1,7108,930 1,891,579 3,003,745 4,086,546 中部地域 5,510,195 6,145,539 9,952,421 13,654,484 南部地域 5,858,035 6,351,432 9,402,024 12,555,803 出典: Population Projection in Malawi and Census 2008

2.5 土地利用

最新の土地利用図は、森林・天然資源省が「マラウイの森林資源マップ作成およびバイオマス評価プ

ロジェクト 1993」において、1990/91 年に撮影された衛星画像を解析した 1993 年作成のものである。土

地利用図によれば、マラウイ全体で農業利用地(低密度農業地帯を含む)が 48.8%と最大で、森林 22.4%、

湛水域 20.5%と続き、市街地は 0.2%にとどまる。

2.6 農業、畜産業、漁業および工業

(1) 農業および畜産業

農業はマラウイ経済において最も重要な産業である。全労働者の 80%が就業し、外貨獲得の

80%に寄与し、また GDPの 39%を占め、さらに国および家計のための重要な食糧供給を担ってい

る。農業の重要な 2 つのカテゴリーとして、小規模農家(農業の GDP 寄与分のうちの 70%以上)

と大規模農園(農業の GDP 寄与分のうちの 30%以下)がある。小規模農家は、トウモロコシ、キ

ャッサバ、サツマイモなど様々な種類の作物を自給のために生産している。大規模農園では、タ

バコ、茶、砂糖、コーヒー、マカダミアなどの輸出を目的とした高付加価値な商品作物を生産し

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2-7

ている。小規模農家は、慣習的な土地保有条件の下での小規模かつ分散した農地で生産している

ため、大規模農園に比べて生産性が低い。

畜産業では主にニワトリ、ヤギ、ウシ、ブタを生産している。中部と北部地域では主に小規模

農家が生産しているが、他方シレ川の地溝帯低地部では、ブランタイアにおける牛乳や食肉生産

と結びついた大規模なウシの飼育が見受けられる。

(2) 漁業

マラウイの漁業には、獲得漁業、養殖漁業および観賞魚の取引があり、その経済的な重要性は

広く認識されている。直接漁業に従事している人口は約 60,000 人であるが、45 万人以上が加工、

販売、造船、エンジンの修理に従事している。さらに、160万人近い人々が湖の沿岸に居住し、漁

業の恩恵を被っている。国土の 24%が湛水域であり、大規模および小規模双方の獲得漁業が、

MGDS や農業セクター全体アプローチにおいて強調されているマラウイ政府の貧困削減目標の達

成に貢献している。漁業資源はマラウイ国民が摂取する動物タンパク質のうちの 60%以上を占め

ている。漁業は、マラウイ湖沿岸における経済活動のうち、余剰生産のある数少ないもののひと

つである。

(3) 工業

アフリカ開発銀行の中期国別戦略報告書によると、2009 年のマラウイの GDP は 2000 年価格で

270 万米ドルであり、工業分野は 2009 年に GDP の 16%を占め、2007 年から 2009 年の間に年平均

6.9%で成長した(2010 年は 21.3%)。工業分野のうち半分は、食品、飲料、タバコ、繊維、被服、

皮革製品である。2003 年時点で、工業およびサービス分野での労働人口は全体の 10%である。

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3-1

3. 自然条件

3.1 河川流域

マラウイは、表 3.1 に示すように、河川流域に基づいて 17 の水資源区域(WRA)に分けられる。そ

れらの WRA には、1 つの流域しかないものと、いくつかの小規模流域があるものがある。さらに、

WRA は、表 3.1 に示すように、いくつかの水資源ユニット(WRU)に分けられる。なお、同表には水

文観測所が現在設置されているか、または以前に設置されたことがある WRU を選び出し、その WRU

内にある主要河川、湖につながる河川、主要な支流が記載されている。また、WRA および WRU の境

界、河系、湖沼も示されている。

上記 17 の WRA のうち、WRA 2(Chilwa 湖)と WRA 11(Chiuta 湖)を除く 15 の WRA はザンベジ国

際河川の支川流域である。マラウイ湖の流域と唯一マラウイ湖から流れ出すシレ川の流域もそうした

流域である。15 の WRA にある流域面積の合計は約 87,000km2あり、マラウイ全体の総流域面積の 93%

である。WRA 1(Shire)と WRA 14(Ruo)を除く 13 の WRA にある河川は全てマラウイ湖に流れ込ん

でいる。

表 3.1 マラウイの WRA と WRU

WRAs (水資源エリア) WRUs (水資源ユニット) 流域 i) (km2) 流域 ii) (km2)

No. 名称 ユニット数 ユニット名 1 Shire 16 A to T 18,910.6 18,945 2 Lake Chilwa 4 A to D 4,567.6 4,981 3 South West Lakeshore 6 A to F 4,997.8 4,958 4 Linthipe 6 A to F 8,884.8 8,641 5 Bua 4 C to F 10,658.1 10,654 6 Dwangwa 4 A to D 7,750.5 7,768 7 South Rukuru/North Rumphi 8 A to H 12,719.2 12,705 8 North Rukuru 1 A 2,088.3 2,091 9 Songwe/Lufira 2 A to B 3,729.7 3,680

10 South East Lakeshore 1 A 1,658.7 1,540 11 Lake Chiuta 1 A 2,442.7 2,462 12 Likoma Island 1 - 17.3 18.7 13 Chizumulu Island 1 - 3.3 3.3 14 Ruo 4 A to D 3,518.9 3,494 15 Nkhota-kota Lakeshore 3 A to C 4,819.2 4,949 16 Nkhata-Bay Lakeshore 3 E to G 5,532.7 5,458 17 Karonga Lakeshore 3 A to C 1,945.1 1,928

合計 (大陸エリア) 94,244.6 94,276

湖エリア合計 23,855.8 24,208 全エリア合計 118,100.4 118,484

i) MoAIWDの GISデータ; ii) National Water Resources Master Plan (1986)で使われたエリア 出典: プロジェクトチーム

マラウイの主要な湖は、マラウイ湖、Chilwa湖、Chiuta湖そしてMalombe湖の 4湖沼である。そのう

ちマラウイ湖はアフリカで 3 番目に大きい淡水湖であり、世界では 8 番目である。湖の面積は

29,000km2 である。流域面積は 98,000km2 あり、そのうち 64,000km2 がマラウイ、27,000km2 がタンザニ

ア、残りがモザンビークに属している。縦 570km、幅は 16kmから 80kmあり、湖水の量は 8,000 km3あ

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る。水面の高さは海抜 474m である。マラウイ湖は水資源の観点からだけでなく、国の観光資源、水上

交通、そして漁業の観点からも重要な役割を担っている。

出典: プロジェクトチーム

図 3.1 WRA、WRU、河川、湖の関係

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3-3

3.2 地形

マラウイの最も重要な地形上の特性は、大地溝帯(Great Rift Valley)がマラウイを縦断し、沈下した

地溝がマラウイ湖を形成していることである。シレ川は湖から南へ地溝に沿って下っている。地形の

特性は以下に記載する 4 つに分けられる。

(1) 地溝帯低地部

地溝帯低地部は、高さが海抜 600m以下で、マラウイ湖の浜(WRA 13 と WRA 15、16、17 の西

部)およびシレ川の氾濫原(WRA 1 の大部分)である。氾濫原では、「ダンボ」と呼ばれる湿地

草原が広がり、雨期に氾濫する。

(2) 急斜面部

急斜面部は、マラウイ湖西側の高地と低地の間にある急斜面とシレ谷の両側の急斜面で構成さ

れている。北部の山岳地帯では、マラウイ湖の近傍で高度が 2,000 から 2,500m あり、激しい急斜

面を形成している(WRA 7 と 16 の周辺北西部)。

大河川の河口が高地に形成され(事例:WRA 4 のリロングエ川、WRA 5 の Bua 川、WRA 6 の

Dowangwa 川)、そこからの流れが急斜面部を通って湖に流入している。このため、地表を継続的

に浸食し、斜面の岩盤を露出させている。一般的に地表の土壌層が薄く、高地や低地に比べて植

生が貧しい。

(3) 高地部

高地部は、高さが 900 から 1,400m で、マラウイ湖を除いた陸地の大部分を占める。地形的には

なだらかな起伏があり、地質はラテライトで、基盤の岩が分解して赤色粘土になっている。ラテ

ライト層が厚いところでは、「ダンボ」を形成する傾向がある。

(4) 山岳部

北の山岳部では、WRA 9 の Ruwenya Hills、WRA 7 の北部の Nyika Plateau、WRA 7 と WRA 16

の間の大規模流域のあるViphya Mountainsのように、高さが1,400から 2,500mあり、南北に延びて

いる。中部から南部にある高地では、2,000 mを超える山岳があり、それらは孤立している。そう

した山岳のうち、WRA 4 にある 2,918mの高さの Dedza山、WRA 2 にある 2,098mの高さの Zomba

山、WRA 14にある 3,000mの高さのMulanje山が代表的である。上記の山岳は一般的に火成岩のか

たまりで形成されている。残積土または風化岩石の層はとても薄く、植物があまり育たない。

3.3 水文地質

3.3.1 地質概要

高地部の大部分には、モザンビーク構造帯に属するいわゆる大理石の層がある。この岩石は主に片

麻岩、片岩、および珪岩からなり、先カンブリア紀から古生代の初めに粒状になったものである。高

地部では、こうして新しく形成された岩石の上に地層成分が分解したものが厚く堆積しているため、

地表からはほとんど見ることが出来なくなっている。急斜面では、河川や水路による継続的な洗掘の

結果、地表で観察することが出来る。

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ドレライト、玄武岩、斑れい岩と花崗岩で構成される火成岩はマラウイの様々な地区に点在してい

る。ほとんど全ての岩石はジュラ紀から白亜紀の間に発生したマグマの侵入によるもので、浸食や風

化に耐えて岩石が変成されずに山岳部を形成している。

ペルム紀から三畳紀時代に生成された Karroo 盆地の堆積岩シークエンスはマラウイの北部および南

部において小さな露頭として広がっている。これらの堆積岩は砂岩、頁岩、赤色泥岩と炭層で構成さ

れている。シーケンス内の岩は方解石により接合されて硬化している。Karroo 盆地のシーケンスの基

盤境界は、堆積岩が分布する地域で露出していない。ただし、厚さは過去の地質調査に基づいて

3,500mを超えると推定されている。

低地部では、基盤岩が未固結粘土、シルト、砂および礫岩で構成される第四紀沖積層の堆積で厚く

覆われている。これらの堆積面は、過去の河道の遷移を反映しており、縦および横方向に非常に変動

している。

3.3.2 帯水層

地表の地質条件によると、帯水層は、大きく以下の 3 つのタイプに分けられる:風化した基盤(WB)、

破砕した基盤(FB)、および第四紀沖積層(QA)。マラウイにおけるこれらの分布は、表 3.2 に示し、

各帯水層タイプの特徴は、表 3.2 にまとめた。

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出典: プロジェクトチーム

図 3.2 マラウイにおける帯水層の分布

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表 3.2 帯水層の特徴

帯水層分類 地理的特性 水文特性 期待水算出量

風化基盤

地下:硬化した粘土で構成されたラテライト.

風化層上部:粘土質砂混合砂利で構成された、分解された基盤

風化層下部(最も浸透率が高い層):風化による基盤の分離されたブロック

一般的に厚みは 15mから30mあるが、場所によって大きく変わる。.

基本的に地下水は、風化層下部内のブロックに沿って層流として送られる。風化層の上にラテライト層が覆っている場合は、粒子が細かいことから降雨の浸潤を妨げるため、地下水の存在は期待できない。透過性は、大部分は風化の度合いによるものであるが、基盤を構成する岩にも多少影響される。

風化した帯水層は地下水開発の非常に大きな可能性があり、マラウイで最も広範に広がっている。しかし、ひとつの深井戸からの水産出量は比較的少ない。

破砕基盤

そのようなすべての大きな基盤岩の結合、亀裂、破砕、および地質断層などの不連続面。

地下水は、大規模な岩体に流入することはできないが、唯一不連続面に沿って流れることができる。流れがランダムになるため、層流理論は破砕した基盤に当てはめることが出来ない。地下水の容量は、結合の発生と消滅の密度に依存する。

通常低い。

第四紀沖積層

湖沿岸の堆砂 河道堆積物 扇状地または山岳部ないし

断崖の先端の崩積地 上記の堆砂は粘土、シルト、

砂および小石で構成されている。しかし、構成のパターンは場所によって大きく異なる。

厚みは一般的に 40〜80mある。

地下水は、基本的に層流として粒子間を移動する。帯水層の透水性は、粒子サイズに依存する。粗い粒子は、透水性が高い傾向がある。

このような河道堆積物などの粗大沈殿物は水産出率が高いことが期待される。一方、粘土質堆積物は地下水産出率が悪い可能性がある。

出典: プロジェクトチーム

3.4 気象と水文

3.4.1 気象

マラウイの気候は亜熱帯に分類され、一年には、暖かく湿度が高い 11 月から 4 月、涼しくて乾燥し

ている 5月から 8月、そして暑くて乾燥している 9月から 10月という 3つの季節がある。暖かく湿度が

高い季節は、年間降水量の約 95%が集中する雨期である。図 3.3 に示すように、雨期の相対湿度は乾燥

期よりも高く、計器蒸発量の棒グラフは一般的に湿度とは逆の表示をしている。

3.4.2 水文

(1) 年降水量

マラウイの過去 30 年間の平均年間降水量は 971mm である。これは、プロジェクトにおいて

Thiesen Polygon Method によって計算されたもので、そのレンジは約 700 mm から 1,200 mmである。

各 WRA の年間降水量は、その地形や気候条件によって 400 mmから 1,800 mmのレンジである。

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3-7

地域別の年間降水量特性を図 3.4に示す。年間降水量の最大値と最小値の差は、北部および中部

地域では約600 mmである。しかし、南部地域は他の地域に比べ1,000mmの比較的大きな差を有す

る。したがって、南部における降雨の変動が他の地域よりも高いといえる。

出典: weatherbase (http://www.weatherbase.com), Graph made by Project Team

図 3.3 リロングウエにおける平均的な気候条件

出典: プロジェクトチーム

図 3.4 地域別年間降水量

0

10

20

30

40

Jan. Feb. Mar. Apr. May Jun. Jul. Aug. Sep. Oct. Nov. Dec.

Tem

pera

ture

(C°)

Ave. Temp. Ave. High Temp. Ave. Low Temp.

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600

Rainfall (mm)

Average

Max

Min

North

Middle

South

North

South

Central

Central

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(2) 雨量と流量

雨量と流量の特性を確認するために、典型的な雨量と流量のデータを図 3.5に整理した。典型的

河川の流量として、年間を通じて河川に流量があるシレ川の1G1流量観測所とBua川における5C1

流量観測所のデータが示されている。

1G1観測所に関しては、ピーク雨量が 1月に発生した後、大きな流量が 4月まで続く。マラウイ

湖からの流出によって、他の河川と比べて乾期に大きな値を維持している。5C1 流量観測所につ

いては、ピーク雨量が 1月に発生した後、ピーク流量が 3月に発生する。乾期には雨量がほぼゼロ

であるが、流量は雨期のピーク流量の半分以下に減少する。

図 3.5 シレ川の 1G1 流量観測所と Bua 川の 5C1 流量観測所における雨量と流量

一例として、5C1 観測所における毎月の流出高及び雨量を図 3.6 に示す。流出高は流量を流域面

積で割って雨に換算したものである。雨期では、流出高は雨量の約 20%である。乾期の減水期で

は、ベースフローの効果によって流出高が雨量よりも少し高くなる。マラウイの河川の年流出率

は、プロジェクトで収集した雨量と流量のデータに基づくと、0.2 と 0.3 の間で変動している。

出典: プロジェクトチーム

図 3.6 月毎の流出高と雨量 (5C1)

0.00

50.00

100.00

150.00

200.00

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Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct

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出典: プロジェクトチーム

出典: プロジェクトチーム

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Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct

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Nov Dec Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct

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Month

5C1

RainfallDischarge

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート:要約

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3-9

3.4.3 地下水

マラウイ全国において、地下水の変動は降水量と強く対応している。地下水位は、11 月から 12 月の

雨期に上昇し始め、3 月にピークを迎える。乾期には、地下水位が次の雨期まで徐々に低下する。

GN174(Chitipa 水事務所)、DM136(Balaka 水事務所)、GN166(Nagabu 水事務所)がその例である。

乾期と冬期の間の地下水位の差は、高地部で 2.0〜3.0m あり、雨期の開始から 3 または 4 カ月後に水

位が最も高くなる。降水と地下水位の上昇との間に時間的な差が生じるのは不飽和帯への浸透率を反

映したものと見られる。

湖岸平野に位置する DM135(Mangochi 水事務所)などの観測井では、地下水位が季節に沿って周期

的に変動しているが、約 1.0m の水位差は高地に比べて小さい。そのため、湖岸での地下水位は、降雨

ではなくマラウイ湖からの浸透流入の影響を受けていものと見られる。

南部において、シレ川流域の地下水位は、モニタリングを始めて以来、周期的に減少を繰り返して

いる(すなわち、DM136 と GN166)。これらの観測井における降雨記録によると、年間降水量が年々

減少している。これは、図 3.7 に示すようにモニタリング期間においてシレ川流域における地下水位が

降水量の減少とともに低下した主な理由として考えられている。一方、GN174 における地下水位の最

低水位はほぼ同じレベルに維持されており、これは、北部地域における降雨が一定であることに起因

する。地下水位の変動と降水量との間のこの関係によって、降雨記録のみを用いて潜在的な地下水量

を予測することを可能にしている。

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ファイナルレポート:要約

マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

3-10 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

Chitipa Water Office (GN174) in WRA9 Ngabu Water Office (GN166) in WRA1

Mangochi Water Office (DM135) in WRA3 Balaka Water Office (DM136) in WRA1

出典: プロジェクトチーム

図 3.7 地下水位変動の経年変化

0.00

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9

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31-M

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0

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2

31-M

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2

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2

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2

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2

31-J

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3

31-M

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3

31-M

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3

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3

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3

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Date

Fluctuation Chart of Groundwater Monitoring Borehole

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31-M

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0

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1

31-M

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1

31-M

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1

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1

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1

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2

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2

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3

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3

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Daily Rainfall Records

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Fluctuation Chart of Groundwater Monitoring Borehole

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nfal

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Date

Daily Rainfall Records

0.00

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Date

Fluctuation Chart of Groundwater Monitoring Borehole

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2

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3

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Date

Daily Rainfall Records

At Chitipa Rainfall Sta. At Ngabu Rainfall Sta.

At Mangochi Rainfall Sta. At Balaka Rainfall Sta.

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3-11

3.4.4 モニタリング・ネットワークと活動

(1) 水文モニタリング

300以上の水文観測所がマラウイに存在し、運用数はこれまでに変化しいている。国家水資源マ

スタープラン(1986)によると、173 が 1986 年に設置された。そのなかで、自動日流量記録計が

設置されている 52を含む 149が水位と流量観測を行い、その他の 24が水位観測を行っている。水

資源委員会の強化に関する 2003 年の水資源開発省の報告によると、2002 年に運用されているのは

194 あり、そのうち 170 は水位や流量観測を行い、残りの 24 水位観測を行っている。

一方 MoAIWD は、2011 年に水資源モニタリング・システム設置のためのコンサルティングサー

ビスに関する報告において、同省の観測所 136 と水公社の観測所 3 の合計 139 が運用され、164 が

閉鎖されていると述べている。

現在運用されている観測所はWRAと主要河川のレファレンス・ポイントをほとんどカバーする

ように設置されていると判断される。マラウィは、過去にかなり包括的な水文観測所ネットワー

クを持っていたので、現在運用されている観測所によってカバーされないいくつかのサイトは、

過去に閉鎖された観測所をリハビリすることによって対処することができる。

流量観測は、プロペラ流速計のいくつかの機種を使用して MoAIWD の地区水事務所の職員によ

って行われている。高流量の流量観測は橋からないし空中ケーブルを利用してプロペラ流速計に

よって行っている。フロート測定は MoAIWD では一般的でないので行われていない。 (高流量の

流量観測をするために、チームが雨期の間にフィールドに出て行った)洪水キャンプは、1980 年

代にすべての雨期で行われたが、1990 年代初頭から行われていない。現在、いくつかの地区では

定期的に年に何回か流量観測を行っているが、他方で測定が長年行われていない地区もある。

(2) 気象観測

MoNREE 下の気候変動と気象サービス局は、気象観測を管理している。 1980 年代には約 800 の

雨量観測所があったが、現時点で 100〜200 が運用されているに過ぎない。

蒸発や他の気象データは全ての気象観測所で記録されている。同局は 23 の気象観測所を管理し

ている。

(3) 地下水モニタリング

MoAIWD水資源局の地下水課では地下水モニタリングを管理している。35の観測井が2009年か

ら 2010 年の間に建設された。観測井は多くの努力で設置されたが、機材の盗難、データの未収集、

不十分な管理その他の問題から、モニタリングは 2012 年において 35 のうちわずか 18 でしか実施

されなかった。

(4) 水質モニタリング

MoAIWD 水資源局の水質課は、水質モニタリングを管理している。同課は政府の唯一の水試験

所である中央部、南部、北部の水質試験所を管轄している。マラウイで最も先進的である中央部

水質試験所は、1973 年に設立され、1980 年代初頭以来同時水質モニタリングを実施している。同

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マラウイ国

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3-12 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

試験所は、マラウイ標準局が規定した、飲料水と排水の化学的および生物学的成分のほとんどを

分析するのに十分な装備を持っている。また、サンプルをその場で収集・分析するための機材(す

なわち、EC / TDS/ pH 計等)もある。最近では、農薬分析およびガスクロマトグラフィー(GC)

のための近代的な測定機器が無償資金協力によって試験所に設置された。しかし、運用·保守のた

めに訓練された人材や GC の消耗品が不足していることから機器は操作されていない。

ブランタイアの南部水試験所とムズズの北部水試験所は、1993 年に設立された。両方の試験所

とも小さく、中央部水質試験所に比べて分析のため機器が少なく、分析データ保存専用のコンピ

ューターもない。貧弱な設備・スタッフ、そして予算制約のため、これらの研究所の機能は非常

に制限されている。

マラウイには 195 の水質監視ポイントがあり、それらは表流水用、廃水等の排水口に設置され

た汚染監視用、地下水用の 3 つに分類される。多くの表流水監視ポイントが水文観測所から、ま

た地下水監視ポイントが 2009 年以降に設置された観測井から選択された。GPS 機器の欠如のため

に、水文観測所ないし観測井から選択されたもの以外のサンプリング地点の正確な位置が不明で

ある。その他のサンプリング地点は 25 万分の一地形図を用いておおよその位置が決定されてい

る。

3.5 洪水と干ばつ

1985 年と 2010 年に国土に影響を与えたいくつかの洪水が発生した。過去の研究と記録によると、過

去 25 年に 10 以上の洪水が発生し、特に南部地域に影響を与えている。南部にあるシレ川は、マラウイ

湖から南に流れ、シレ川の水位の季節的な上昇に起因してゆるやかに氾濫する広い氾濫原を経て国境

まで通じている。北部地域も深刻な洪水の影響を受けている。特に、Songwe 川で頻繁に洪水が発生し

ている。また、中央部と北部のいくつかの地区でも、洪水の影響を受けている。

マラウイの人々は、過去数十年にわたって深刻な干ばつ被害に苦しんだ。WHO の災害疫学研究協力

センター(CRED)の EM-DAT によると、表 3.3 に示すように大きな干ばつは 1987 年から 2012 年の間

に 7 回発生し、約 2,100 万人が影響を受けた。さらに、CRED は、1965 年以来洪水の影響を受けたのは

200 万人近くだが、同時期に干ばつの影響を受けた人はほぼ 2,000 万人であったと報告している。

表 3.3 1987 年から 2012 年の間の代表的な干ばつ

発生 (Month/Year) 位置 死亡者数 Total Affected

People 08/2012 Balaka, Blantyre, Chikhaw, etc. nil 1,630,007 10/2007 Karonga, Mzimba (North), etc. nil 520,000 10/2005 Southern and central region nil 5,100,000 02/2002 Balaka, Nlantyre, Chikwawa, etc. 500 2,829,435 04/1992 Dedza, Dowa, Mzimba, Nkho,

etc. nil 7,000,000 02/1990 N.A. nil 2,800,000

1987 South nil 1,429,267 Total 21,308,709

出典: EM-DAT, CRED

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3-13

3.6 エコシステム

3.6.1 陸生動植物

国立植物標本・植物園によると、マラウイには押し葉標本に基づく推定で約 5,500〜6,000 種の顕花植

物がある。しかし、種の数は分類学上の見直しを受けており、顕花植物の正確な数は不明である。同

様に、非開花植物(蘚苔類およびシダ類)の数は新たな研究で更新されていないが、蘚苔類の数は 250

種と推定されている。

一方、5000 種以上の植物のうち 261 種が脆弱または希少であると考えられている。しかし、わずか

11 種が法的保護を受けているに過ぎない。最近の研究では、乱獲や環境の悪化のため個体数が減少し、

数多くの種が絶滅を危惧されているとしている。

哺乳類については、約 192 種が記録され、そのうち 125 種がコウモリやげっ歯類などの小型哺乳類で

ある。国際自然保護連合(IUCN)によると、8 哺乳類が絶滅危惧種であり、特にクロサイの絶滅が非常

に危惧されている。

マラウイに記録されている鳥類の種の数は 648に達するが、最近更新されていない。鳥類の保全状況

に関する現在のデータが欠けている。したがって、9 種だけが国際自然保護連合(IUCN)のレッドデー

タリスト(2010)に引き続きリストアップされている。

3.6.2 水生動植物

すべての両生類は、マラウイの水生エコシステムと関連がある。IUCN(2010)によると、両生類の

約 11 種が脅かされている。爬虫類については、12 種がマラウイの固有種である。

マラウイは、魚について豊富な多様性を持つ国の一つである。世界の淡水魚種の約 14%が生息する。

マラウイで見出すことができる魚種の総数は 1,000 以上であると推定される。マラウイ湖だけでも 800

以上の魚種が生息している。マラウイ湖の魚種の約 9%がマラウイ湖の固有種であり、これらの種の

95%が急速な種分化の顕著な例として国際的に認識されている haplochromine cichlidsである。

IUCNは、2005年に 423マラウイ魚種のレッドリスト評価を行った。評価は、マラウイの魚の 65.72%

は、非常に豊富で、最も懸念が少ないものであった。27.42%が脆弱であり、4.12%は評価のために十分

なデータがなかった。2.36%が絶滅の危機に瀕し 0.47%が評価しされなかった。絶滅危惧魚種は、マラ

ウイで最も多様な種をもつカワスズメ科やコイ科のものであった。商業目的で漁師が乱獲するために、

おそらく 10 種が絶滅の危機に瀕している。

水生植物としては、水資源管理の観点から、ホテイアオイ(Eichhornia crassipes)が最も広まってお

り、マラウイの植物侵入種の中で最も有害である。現在、ホテイアオイは、最北地を含むマラウイの

大部分に分布している。ホテイアオイは水面において、水の自由な流れを阻害し、密生することによ

って通過する光の量を減らし、プランクトンの成長に影響を与える。

ホテイアオイは、シレ川下流の Nkula と Tedzani における発電に被害を与えし、断続的な停電を生じ

させて、経済に影響を及ぼした。ESCOM(マラウイ電力供給公社)は、機械的に除去するために毎月

300 万 MK を費やしていると報告されている。

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マラウイ国

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3-14 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

3.6.3 林業

世界銀行の調査によれば、1972/3年の森林面積は合計44,515 km2あり、マラウイの全国土面積の47%

を覆っている。しかし、1990/91 年には 26,428 km2に減少し、28%の被覆率となっている。この 18 年間

に森林面積が 19%減少し、減少率が約 41%となっている。この期間での地域別の減少率は、北部地域

で 27%、中央地域で 51%、および南部地域で 45%である。このように森林破壊/劣化は、人口密度の高

い中部と南部の地域で進行した。

森林破壊/劣化の過程に関しては、地域共有林や森林保護区の区域内の村の森林地域で特に進んでい

る。それは、農地の拡大と木炭生産や薪の利用のための伐採の増大が主な原因である。

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4-1

4. 既存の計画と活動のレビュー

4.1 国の水資源開発と管理

4.1.1 水資源に関連する国の開発と管理の戦略

マラウイ・ビジョン 2020が開始された 1998年以来、マラウイ政府はマラウイ貧困削減戦略(MPRS:

2004 年から 2007 年)と、マラウイ成長開発戦略(MGDS:2006 年から 2011 年)の 2 つの中期国家開発

戦略を実施していた。 それゆえ MGDS II は、3 番目の国家開発戦略となる。

年次レビューは、その実施から教訓を引き出すために MGDS の期間を通して実施された。とりわけ

これらの教訓は、MGDS IIの戦略的方向性を指し示している。MGDS策定と同様のプロセスの後、次の

5 年間(2011 年から 2016 年)の包括的かつ実行可能な中期戦略である MGDS II がビジョン 2020 を達成

するために策定された。MGDS II は即時実施するプロジェクトを追加し、以前の MGDS と比較して重

要な戦略を策定して、新たに以下の分野の向上を図るものである。

「グリーンベルト灌漑プロジェクト」が重要な優先分野として明確に提案され「グリーンベ

ルト灌漑および水開発」として述べられている。

Nsanje 内陸港プロジェクトもまた重要な優先分野として明確に提案され「交通インフラと

Nsanje 内陸港」として述べられている。

「気候変動、天然資源および環境管理」は、盛んに論じられる問題として新たに追加されて

いる。

4.1.2 過去 10 年における戦略の下での開発成果

いくつもの国家レベルの 5 カ年開発戦略の結果は、水資源の開発と管理に関連した状況が改善可能で

あるということである。しかしながら、戦略で示された指標は、特にMPRSの指標と一致していない。

表 4.1ではMGDSとMGDS II間の指標を比較している。明確化された指標に基づいて、計画の成果と課

題は以下のように説明されている。

(1) 一般的な指標

インフレ率がこの 5 年間で落ち着いているため、GDP の年成長率と一人当たりの所得は着実に

上昇している。貧困レベルも大きな改善を示しているが、識字率のみは計画よりも改善進んでい

ない。

(2) エネルギー

電気へのアクセス率の上昇に比例して、固形燃料を使用する人口が減少している。しかし、電

気自体へのアクセス率は、依然として非常に低い。この問題に関して、MGDS II は次のように述

べている。

「信頼性の高い電力供給源の欠如は、マラウイの発展に対する重大な制約である。 283MW の

現在の設備容量は334MWの推定需要よりはるかにはるかに少ない。近代的エネルギーサービスに

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ファイナルレポート:要約

マラウイ国

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4-2 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

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アクセスできないことが低い経済活動や生産性、低い生活水準の原因であり、特に鉱工業の主要

セクターに影響を与えることで、全国の新規投資を抑制している。」

表 4.1 MGDS および MGDS II における指標の当初の値と計画値

指標 MGDS 2006/2007 – 2010/2011 MGDS II 2011/2012 – 2016/2017 Baseline in 2005 Target for 2011 Baseline in 2010 Target for 2016

一般 GDP 最小年成長率 3.5% 6.0% 7.5% 7.3% インフレ率 16.9% 5.0% 6.3% 5.9% 消費の貧困ラインで計測し

た貧困者数 52.4% 30.4% 39% 37%

一人あたり所得 170 USD 450 USD 380 USD 727 USD 女性の識字率 51% 85% 59% 89% 若年者(15 才から 24 才)の

識字率 75% 95% 86% 95%

天然資源 土地の森林被覆率 27% 30% 35% 50% エネルギー 電力へのアクセス率 7% 10% 9% 15% 固形燃料使用人口比率 94% 85% 78% 水と衛生 安全な水道にアクセスでき

る人口の比率 66% 80% 81% 86%

改善されたトイレにアクセ

スできる人口の比率 (83%) (95%) 46% 75%

ダムの建設数 75 750 運輸 輸入/輸出金額に占める輸送

コストの比率 56% 12%

水上輸送利用者数の増加 9,935 630,000 水上輸送量 56,457 tons 160,600 tons 灌漑 灌漑農業による生産量 482,555 tons 1,292,555 tons Note: Figures in parentheses are based on basic type of sanitation. 出典: Malawi Growth and Development Strategy 2006-2011、Malawi Water Sector Investment Plan

(3) 水と衛生

水と衛生のセクターでは、水および衛生(WASH)の推進を含め、顕著な実績をあげている。

MGDS IIは、次のように述べている。

「近年、飲料水へのアクセスが全国的に改善された。統計によれば、総給水率が 2004年の 58%

から 2009年の 76%に増加している。2008年の農村部での給水率は、64%であった。これらの成果

にもかかわらず、国は水セクターでかなりの課題に直面している。これらには、飲料水へのアク

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4-3

セスが比較的低いこと、老朽化したインフラ、不十分な維持管理能力、盗難が含まれ、その結果、

インフラの 30%以上が機能していない。」

(4) 水上輸送

現在シレ〜ザンベジ水路だけでなく Nsanje 港も閉鎖されている。港湾に接続する様々なインフ

ラの新規建設、国際的な港湾施設の設置、水路浚渫、密生するホテイアオイの清掃を含め、莫大

な努力が必要である。

(5) 灌漑

灌漑の進展は、戦略文書における関連データの不足のために評価することができなかった。グ

リーンベルト灌漑プロジェクトについては、マラウイで利用できる豊富な水資源を活用し、灌漑

可能エリア 100 万 ha のうち、現状の 9 万 ha から 40 万 ha への増加を計画している。

4.2 1986年マスタープランのレビュー

4.2.1 給水

一般に、給水プロジェクトは、様々なパラメータ、特に、将来の人口予測によって左右される。

1986 年のマスタープラン(NWRMP 1986)では、都市部と農村部の両方のための多くの給水プロジェク

トが提案された。情報レポートの散逸のため NWRMP1986 で提案された多数の給水プロジェクトの実

施結果を追究することが困難であることから、給水状況の進行は、実際のおよび提案された給水率を

参照することにより検討された。マラウイでは急速に人口が増加しているため、給水率は人口増加や

住居地域の拡大に伴って低下する。表 4.2 に 1985 年の当初のデータ、2005 年の予測値、2010 年の実際

のデータを示す。都市部と農村部の両方で給水人口が大幅に増加している。

マラウイの一人当たり GDP を考慮すれば、水供給のこれらの成果は、アフリカ諸国の中で高く評価

されるべきものであるが、以下の問題は次の段階ですぐに解決しなければならない:

リロングウエ、ブランタイア両都市の給水システムを改善するためには非常に大きな投資金

額を必要とする。

世界銀行が指摘したように、地域ごとに給水率が大きく異なる。北部の農村地域では 80%

を超えるが、一方、中央部と南部の一部の地区では 40%よりも低い。

表 4.2 NWRMP 1986 における給水計画と現況との比較

都市部 地方部 合計

1985 年の状況 人口 870,000 6,190,000 7,060,000 給水率 79% 33% 39%

2005 年の 計画目標 人口 3,590,000 10,070,000 13,660,000 給水率 65% 68% 67%

2010 年の実際の状況 人口 2,232,000 11,716,000 13,948,000 給水率 93% 72% 75%

出典:NWRMP 1986 and Water Sector Investment Plan, WoAIWD, 2012

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4.2.2 水力発電

NWRMP 1986 は、電源開発の記述を、主にマラウイ電力供給公社(ESCOM)のために実施された

Tippett, Abbett, McCarthy and Stratton Engineers (TAMS)の研究に基づいて行っている。主要な電源開発の

うち、推奨される計画を表 4.3 に示す。この表は需要予測と比較するために、基本ケースにおける需要

予測を示している。

1986 年以降に建設された水力発電所は、Nkula B(1992 年に 20MW)、Wovwe(1995 年に 4.5MW)、

Tedzani III(1996 年に 51.2MW)および Kapichira I(2000 年 64MW)である。1986 年に予想されたよう

に電力需要が増加していないが、NWRMP 1986 に計画されたにもかかわらず、全く水力発電所が設置

されていない。

図 4.1 に NWRMP1986 の計画と実際(発電所の設置や需要)の間の比較を示す。運転年数と設置容量

はマラウイ電力投資計画(MEIP)2011 に基づいており、電力需要は南アフリカの電力プール(SAPP)

の年次報告書からの値に基づいている。

表 4.3 NWRMP 1986 において推奨された代表的な電源開発計画

年 事業名 (河川名)

提案された発電量

(MW) 累積発電量

(MW) 安定流量

(m3/s) 基本ケースでの需要量

(MW) 事業実施

(1986) (Existing capacity) - 178 -

1991 Kapichira (Shire)

3 x 25 253 136 151.3 2000 年に Phase I (2 x 32 MW)

1993 1 x 25 278 192.1 Phase IIが進行中

1995 Power from Mozambique 30 308 - 215.8 未実施 1997 Low Fufu with dam at

Rumphi or Henga valley (South Rukuru)

3 x 25 383 24 242.5 未実施 2001 1 x 25 408 24 288.8 未実施

出典: プロジェクトチーム、 NWRMP 1986

出典: プロジェクトチーム、 (1) NWRMP 1986, (2) MEIP 2011, (3) Statistical Year Book 2011, (4) SAPP Annual Report

図 4.1 NWRMP1986 における計画と設置実績、需要の比較

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

Ele

ctri

city

Sup

ply

/ Dem

and

(MW

)

Year

NWRMP1986 - Cumulative CapacityNWRMP1986 - Load ForecastCumulative Installed Capacity (MEIP 2011)ESCOM Total Installed Capacity (NSO 2010)Annual Maximum Demand Record (SAPP 2006)

Wovwe Mini Hydro(Wovwe) 4.5MW (1995)

Nkula B (Shire)20 MW (1992)

Tedzani III (Shire)51.3 MW (1996)

Kapichira I (Shire)64 MW (2000)

Kapichira (Shire) 75 MW

Kapichira (Shire) 25 MW

Power from Mozambique 30 MW

Low Fufu (South Rukuru)75 MW

Ditto 25 MW

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4-5

4.2.3 灌漑

1985 年の NWRMP1986 の計画段階では、主に 16,000ha にまで拡大する 2 つの大規模なサトウキビ農

園が灌漑されていた。また、3,440ha の総面積を持つ小規模灌漑の 15 のスキームがその当時運用されて

いる。残り 200万 ha以上の耕作地が、天水であった。すなわち、1985年現在、総耕地面積のわずか 1%

が灌漑によるものであり、水の灌漑目的への消費は非常に少なかった。

NWRMP1986 では、主にシレ川低地における 2 種類のプロジェクトが提案されていた。ひとつは大規

模な重力式灌漑プロジェクトであり、もうひとつがパイロットポンプで灌漑を行うスキームである。

大規模な灌漑プロジェクトについては、プロジェクトエリア内の土壌条件は灌漑に適している。

Kapichira瀑布からのグラビティ水路が約 2万 haの新しい農地と 9,000haの既存のサトウキビ農園に対し

て計画されていた。パイロットポンプによるプロジェクトに関しては、100 ha の面積を持つ自立灌漑ス

キームが川の主要な灌漑プロジェクトに対して農業データ/情報を提供するために推奨された。

2011 年には、2 種類の灌漑エリアがあった。一つは大規模農園であり、もう一つは小規模農家である。

これらの状況は、「5. 水利用」に記載されている。大規模農園は、大きさが 2ha から 22,000ha の範囲

の 65 農園があり、それらは重力式、ダム、電動ポンプ、スプリンクラー、ピボット・スプリンクラー、

ドリップ散水などの様々な灌漑方法が適用されている。それらの灌漑面積は合計で 48,382ha である。

一方、全国に分布し 42,181ha の総面積を持つ小規模農家でも重力式、電動ポンプ、足踏みポンプ、じ

ょうろのような様々な灌漑方式を採用している。この結果、総灌漑面積は 2011 年に 90,563ha となって

いる。世界銀行はそのレポートで、2005 年の実際の灌漑面積として 67,000ha と報告している。

上記のマラウイ全体の灌漑プロジェクトの進行状況は、次の図に示されている。灌漑開発は、

NWRMP1986の計画よりも迅速に進んでいるものの、3,994,000hsの耕地面積に対する灌漑面積比率は、

2011 年時点でまだ 2.3%である。

出典: 5 and 6 in the reference and Project Team

図 4.2 NWRMP 1986 で予測された灌漑エリアと実績との比較

Historical Change of Irrigation Area

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

1975 1985 1995 2005 2015

Year

Irrigation Area

(ha)

1986NWRMP

Actual Data

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5-1

5. 水利用

5.1 家庭用水と工業用水の供給および衛生

5.1.1 全体概要

分野別実績レポートは、主要な 7分野を対象としている。すなわち、資金調達、水資源管理、生産の

ための水、水と衛生サービスのアクセスおよび利用、公平性、機能性、および給水の管理である。報

告書は、福祉モニタリング調査と人口保健調査(サンプリング調査)に基づいている。

2011 年のレポートでは、安全な水へのアクセシビリティが全国で 83%とされている。農村部でのア

クセシビリティは、継続的な改善の結果 81%である。しかし、都市部では給水インフラの障害と高い

人口増加率のため、アクセシビリティは 2010年の 92%から 2011 年の 88%に低下した。表 5.1 は、給水

サービスへのアクセスと使用にかかる主要指標をまとめたものである。

表 5.1 給水にかかる主要指標

実績と重要指標 実績の傾向 目標の詳細 2006 2007 2008 2009 2010 2011

1

改善された水源

への距離が 500m(地方)および

200m(都市)以

内 の 人 口 比 率

(%)

75 81 80 80 79 83

国: MGDS I: 500m以内が 2005 年の 66%から 2011 年の 80% にする

73 79 77 78 77 81

地方: MDG: 2015 年までに 67% MGDS I: 2016 年までに 75% JSR: 2011 年までに 75%, 2015年までに 85%

94 98 94 94 92 88 都市: MDG: 2015 年までに 95% MGDS II: 2016 年までに 86%

2

飲料水を獲得す

るための平均時

間が 30 分以内の

人口の比率(%)

57 54

76

3

安全な水への地

区のアクセスの

公平性について

の標準偏差

10.16 10.24 8.89 10.97 14.9

出典: Welfare Monitoring Survey, 2011

5.1.2 4 大都市における給水

(1) リロングウエ水公社(LWB)

2008 年、LWB は約 400 km2を供給対象としていた。しかし、水のサービスエリアを拡張し、現

在では約 450 km2となっている。 46,000 以上のメーター付き接続によって LWB は、家庭、公的機

関、工業分野だけでなく、商業分野の顧客にも飲料水を供給し、その担当する地域の約 66%の

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人々に供給している(個人 45%、給水栓 19%、公的機関 2%)。給水地域は、北、中央、南の 3

つの区域に区分される。LWB の所管地域はリロングウエ市であるが、政府の指示によって他の地

域にも供給している。現時点では、中部地域水公社に一括して水を販売している。

(2) ブランタイア水公社(BWB)

1953 年の Mudiダムスキームと 1963 年にはシレ川河岸の Walker's Ferryスキームが人口と水需要

の急速な増加により開始された。水のサービスエリアは、ブランタイア市の外側のエリアを含め、

1972 年の 390 km2から現時点の 760 km2に拡大した。 BWB は、ブランタイア市内の供給網内に 10

の給水区域を設定している。さらに、2つの補足的な区域が Walker’s Ferryの居住区と Chileka村エ

リアのため、給水区域の境界の外に建設された。現在、BWBの給水区域は 12区域から 3つの区域

(Kabula、Soche、Limbe)に再設定されている。

原水の 90%はシレ川河岸の Walker's Ferryから来ており、残りの 10%は Mudi ダムから取水され

ている。BWB は、 4 万のメーター付き接続を介して、およそ 65%(個人 53%、給水栓 12%)の

人々に給水している。

(3) ムズズ市(北部地域水公社のムズズ地区)

北部地域水公社(NRWB)は 1995 年水道法上の半官半民組織として設立された。NRWB は 3 区

域と 9 つのスキームで構成される分散型の組織構造により運営されている。(区域は二つ以上のス

キームの集まりである。)ムズズ区域はその一つであり、それはムズズ市と Ekwendeni スキームで

構成されている 118,422 の被サービス人口を有する最大の区域である。(Ekwendeni 町はムズズ市

から 24kmにある。)NRWB はリハビリと 3 つの追加貯水池、追加の水源、水圧を上げるため新し

い圧力区域を建設することでムズズの現在の水供給システムを拡張することを計画し、そのため

リハビリおよび拡張工事の優先プロジェクトに着手している。

一方、国家衛生政策によって水公社が衛生の責任を有している。しかし、実際には、水公社は

衛生に責任を負っていない。5 つの水公社のうち NRWB だけがムズズ市役所と協力して 2010 年〜

2025年ムズズ市、Rumphi Boma、と Chintheche Center、その他の戦略的衛生計画を策定した。それ

は、水関連の衛生コンポーネントが NRWB に移管される過程であることに留意すべきである。

(4) ゾンバ市 (南部地域水公社のゾンバサブスキーム)

南部地域水公社(SRWB)は、他の 2 つの地域水公社と同様に設立され、5 つのスキームおよび

23 のサブスキームで構成される分散型の組織構造により運営されている。ゾンバサブスキームは、

それらの一つであり、それはゾンバ市をカバーしている。それは SRWB が供給する水量全体の約

53%であり、ゾンバスキームの給水人口の 82%、生産量の 89%を占める。

ゾンバサブスキームは、1950 年代にさかのぼり、もともと Mulunguzi 川から取水された原水に

よるものであった。その後、水供給の深刻な不足のために、マラウイ政府はより信頼性の高い水

源の建設を含む水供給システムを拡大・拡張するプロジェクトを開始した。 2001 年に開始したプ

ロジェクトでは、以下のコンポーネントが含まれていた:3,375,000 m³の容量を有するロックフィ

ル型 Mulunguzi ダム、 500mm 配水パイプライン、直径 400mm 水圧管、古い処理能力を考慮した

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5-3

2005 年の水需要のために設計された日量 12,200 m³の従来型の処理プラント、貯蔵タンク、石綿セ

メント(AC)、PVC、亜鉛メッキ鉄(GI)、ダクタイル鋳鉄(DI)パイプを用いた 41.3kmのパイ

プライン。

5.1.3 その他の都市部における給水

表 5.2 は北部、中部と南部地域の水公社の給水の概要である。 2012 年のサービスエリア(町/市)の

人口は、2008 年の国勢調査の人口推計から推定した。約 100 万人がサービスエリアに居住している。

被サービス人口は地域の水公社から収集した接続数の情報に基づいて推定した。推定の結果、2012

年の給水人口は、人口の 60%に相当する約 61 万人である。この 60%と福祉モニタリング調査の結果

(水道および共同水栓の 88.2%)の差は、基になった人口の差によるものである。

3 つの地域の水公社は全部で 52 水スキームを有している。乾期における給水時間は北部地域で 11〜

24 時間、中央部地域での 1〜24 時間、および南部地域での 2〜24 時間と地域ごとに異なる。

表 5.2 北部、中央部、南部地域水公社の概要

Item NRWB CRWB SRWB 合計 2012 年の町/市における推定給水地

域の人口 311,212 344,266 353,184 1,008,662

2012 年の給水人口 211,497 151,922 245,305 608,724 給水スキームの数 9 20 23 52 給水率(%) 68.0% 44.1% 69.5% 60.3% 乾期における給水時間 11-24 1-24 2-24 - 雨期における給水時間 12-24 1-24 8-24 - 出典: The Regional Water Boards

5.1.4 地方給水

農村部で実際に使える給水点ポイントの数を表 5.3 に示す。合計 68,265 の給水ポイントが、マラウイ

全国に存在する。給水点ポイントのおよそ 87%が深井戸または重力方式の地方給水スキームである。

表 5.3 農村部の給水ポイント

地域 地方の給水ポイント

合計 水道 深井戸 浅井戸 保護された泉 北部地域 14,944 5,086 6,016 3,829 13 中部地域 22,932 3,815 15,724 2,966 427 南部地域 30,389 12,446 16,390 1,464 89

合計 68,265 21,347 38,130 8,259 529 出典: Water Supply Department, MoAIWD, 2012

(1) 深井戸

2008年の国勢調査に基づいて、マラウイの総人口の 48%、農村人口の約 55%が乾期に飲料水の

水源として深井戸を使用している。南部、中央部、北部地域にそれぞれ 6,016、15,724、16,390 の

深井戸があり、マラウイ全体で 38,130 である。

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(2) 自然流下式給水

MoAIWD 給水局によると、マラウイには 86 の農村水道計画がある。1968 以来 MoAIWD や援助

機関が重力式給水施設を建設している。合計で 21,347の給水栓のうち、北部 5086、中央部3,815、

南部 12,446 である。現在、86 のうち 9 スキームは、リハビリ中であり、21 スキームのリハビリ/

拡張が計画されている。

5.1.5 衛生/下水

人間の排泄物の不適切な処理が、下痢、コレラを含む各種の水系感染症と関連している。国が定め

たし尿処理用の衛生設備の選択肢は、下水道へ流し込む水洗トイレ、セプティックタンクに貯める水

洗トイレ、改良型汲み取り式トイレ、VIP、eco-san トイレ、基本型汲み取り式トイレとなっている。現

在の衛生サービスへのアクセスの状況は、2011 年マラウイ分野別実績レポートの主要指標に要約され

ている。そのうち一部のデータが 2011 年福祉モニタリング調査(WMS2011)を出典として表 5.4 に示

されている。

表 5.4 衛生サービスの主要指標

実績と重要指標 実績の傾向 目標の詳細 2006 2007 2008 2009 2010 2011

1

改善されたトイレにア

クセスできる人口の比

率 地方、町、マーケット

センター、都市別 数字は: 1) 上段: 改善型 2) 中段: 基本型 3) 下段: トイレ無し

29 53 18

47 44 9

35 59 6

46 48 7

9 81 11

国: MGDS II: 2005 年の 83%か

ら 2011 年までに 95% ODF Strategy paper: 2015 年までに 100%

27 53 19

43 47 10

29 64 7

44 48 7

7 82 11

地方: MDG: 2015 年までに 67% MGDS I: 2016 年までに

75% JSR: 2011 年までに 75% 、 2015 年までに 85%

45 51 4

79 21

0.4

61 38 1

50 47 3

22 85 3

都市: MDG: 2015 年までに 95% MGDS II: 2016 年までに

80%

2

「適切」な WASH 施設

のある学校:改善され

た給水施設のある学校

の比率(%) 改善されたトイレ 1 つあたりの男の子と女の

子の数

81.5

122

78.2

120

目標: 改善された給水施設

のある学校 100% 目標:トイレ 1 つあたり生

徒 60 人

3 トイレに石けんまたは

灰が備えてある家庭の

比率(%)

デー

タ無

MDGS II: 衛生についての

意識を高める National Handwashing Campaign 2011-12での目標

出典: Welfare Monitoring Survey, 2011 (WMS2011)

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5.2 灌漑

5.2.1 耕作

農業の重要な 2 つのカテゴリーとして、小規模農家(農業の GDP 寄与分のうちの 70%以上)と大規

模農園(農業の GDP 寄与分のうちの 30%以下)がある。小規模農家は、トウモロコシ、キャッサバ、

サツマイモなど様々な種類の作物を自給のために生産している。大規模農園では、タバコ、茶、砂糖、

コーヒー、マカダミアなどの輸出を目的とした高付加価値な商品作物を生産している。小規模農家は、

慣習的な土地保有条件の下での小規模かつ分散した農地で生産しているため、大規模農園に比べて生

産性が低い。

5.2.2 小規模農家の耕作

普通の農民のほとんどは、このタイプに属し、政府からの支援を受ける。 2010/11 の年次報告書によ

ると、小規模農家のための灌漑累積面積は 2009/10 年の 37,960ha から 2010/11 年の 42,181ha に増加して

いる(11.1%増)。灌漑方法に 4 種類あり、表 5.5 に 2010/2011 年の灌漑種類別の灌漑面積と農民数を示

す。

表 5.5 2010/2011 年の灌漑種類別灌漑面積と農民数

灌漑方法 スキーム数 灌漑利用面積

(ha) 受益者

男 女 合計 Gravity Fed 2,954 22,028 38,212 29,837 68,049 Motorized Pump 865 2,875 13,363 10,562 24,056 Treadle Pump 12,157 12,162 71,880 50,788 122,658 Watering Can 27,820 5,116 72,561 46,564 119,125 合計 43,796 42,181 196,016 137,751 333,888 出典: DOI Annual Report, 2010/11

5.2.3 大規模農園の耕作

2010/11 年に民間部門によって使用される総灌漑面積は 48,382ha であった。大規模農園は、砂糖や茶

が中心であった。しかし、民間の農家が部分的な灌漑によってタバコを栽培したり、穀物や野菜を栽

培している。Illovo Sugar Malawi 農園は、大規模農園用地の約 60%を保有しており、近隣諸国、すなわ

ち、ザンビア、タンザニア、スワジランド、南アフリカに関連工場を持っている。

使用される灌漑方法はモータ駆動ポンプ、ドリップ灌漑、スプリンクラー、センターピボットシス

テムが含まれている。本プロジェクトで大規模農園の調査を行い、灌漑面積の合計額は約 6 万 ha であり、

この結果は、全体の灌漑面積の推定に使用している。

5.2.4 Irrigation Potential Area 灌漑可能エリア

表 5.6 は、小規模農家と大規模農園の全体概要を示す。

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マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

5-6 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

表 5.6 灌漑可能エリア

ISD 面積 (ha) 農園 (ha)

小規模農家 (ha)

(2)/(1) (%) 合計 Arable (1)Irrig. Potential (2)Under Irrig.

Shire V. 684,000 313,215 80,000 27,808 23,990 3,818 34.8 Blantyre 1,023,900 604,101 51,876 8,467 2,383 6,084 16.3 Machinga 1,340,000 550,000 203,000 6,820 1,800 5,020 3.4 Lilongwe 1,042,457 600,000 48,190 23,808 11,820 11,988 49.4 Salima 656,410 357,713 94,500 9,227 8,010 1,217 9.8 Kasungu 1,584,550 966,100 50,000 5,506 179 5,327 11.0 Mzuzu 476,900 228,483 48,000 6,836 200 6,636 14.2 Karonga 862,700 374,500 35,000 2,091 - 2,091 6.0 Total 7,670,917 3,994,112 610,566 90,563 48,382 42,181 14.8

出典: Annual Report 2010/11 Annex 7b, DOI

5.3 水上交通

上記の飲料、産業や灌漑のための水利用とは対照的に、水上交通が特定の航行水域で行われ、水を消

費しない水利用方法のひとつであるため、on-stream 水利用と呼ばれる。マラウイの内陸水上交通シス

テムは、マラウイ湖とシレザンベジ水路の 2 つの水域に分けることができる。

内陸水運のインフラに関しては、MGDS IIは、下記のとおり国の経済成長のための重要性を指摘して

いる。

「水上輸送は、他の輸送手段よりも比較的安価である。国内外で大きくて重い貨物を輸送するため

のより良い、より安価な手段を提供する。マラウイは、湖や航行可能河川に恵まれているため、水上

交通という利点がある。しかし、水上交通システムは、完全に開発されている訳ではなく、老朽化し

た港湾インフラ、船舶の老朽化、人材の問題など数多くの課題に直面している。」

5.4 水力発電

水力発電のために使用する水は川に戻ってくるため、その使用は非消費的である。既存の水力発電

の設備容量は、286MWで、そのうちの 98%がシレ川沿いにあり、残りの 2%が Wovwe 川沿いにある。

水力発電のための既存の水関連のインフラは以下のとおりである。この表の情報は ESCOMにより提

供されている。これらの水力発電所の全ては、流れ込み式発電といって、川の流れを調節しないか、

またはわずかの貯水地だけを有するため、自然な流れの範囲内で水を取るタイプである。このタイプ

は、通常、日負荷曲線においてベースロードを担当する。水力発電所は、通常、全電源レベル(FSL)

よりも高くならないように最小操作レベル(MOL)の上に操作される。貯水池の操作は次のとおりであ

る:

貯留水位が MOL の下にある場合、電力を発生させることなく、河川の流入量が貯水池内に

貯留されるだけである。

貯留水位が MOL を超える場合、河川流入が電力を発生させて排出される。河川の流入が最

大電力発電よりも大きい場合、FSL より高くならないように余剰の水が放水路から排水され

る。これは、水位が FSLに達しようとしている場合に、電力が発電されて、すべての河川の

流入量が下流に放流される。

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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5-7

表 5.7 既存の水力発電所とその主な特徴

河川 ダム名 ダム高[m]

満水位[masl]

最小稼働水

位[masl] 発電所 放水位[masl]

総落差 [m]

設備容量 [MW]

最大排水量 [m3/s]

Shire

Nkula 12 376 374.5 Nkula A 326 50 3 x 8 3 x 23 Nkula B 326 50 5 x 20 5 x 39

Tedzani 10 318.53 315.78 Tedzani I 283.5 35.03 2 x 10 2 x 30 Tedzani II 283.5 35.03 2 x 10 2 x 30 Tedzani III 276.8 41.73 2 x 26.35 67.5 + 68.3

Kapichira 30 147 144 Kapichira I 86 61 2 x 32.4 2 x 67.3 Wovwe Wovwe 1 1107.5 1105 Wovwe 591.9 515.3 3 x 1.45 3 x 0.339 出典: プロジェクトチーム、ESCOM in September, 2012

前の項で説明したように、電力の 98%がマラウイ湖の唯一の流出口であるシレ川に階段状に設置さ

れた流れ込み式発電所から供給される。

マラウイの電力供給はシレ川での水力発電にあまりにも多くを依存している。シレ川における水力

発電は、堆砂、貯水池の取水口での水草の除去、発電所への洪水被害、Liwonde ダムの操作、および利

用者間の調整といった水力発電へのマイナスの影響を引き起こす問題がある。

さらに、既存の水力発電所は、長期間の使用、浮き草やごみが河川から流され、それが原因で時々

機械的なトラブルが発生している。そのため、電源の多様化や既存の発電所のリハビリがマラウイに

おけるエネルギーの安全保障にとって重要な課題である。

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6-1

6. 基礎解析

6.1 水文解析

図 6.1 に示すように欠測のない雨量観測所数が 1980 年以降減少している。図 6.2 は、蒸発量データの

取得率を示している。取得率が 50%以上となっているのは、1974 年から 1997 年まで(24 年間)となっ

ている。

出典: プロジェクトチーム

図 6.1 欠測のない雨量観測所数 出典: プロジェクトチーム

図 6.2 パン蒸発量観測所データの取得率

標高と雨量の関係を図 6.3 に示す。北部および中部地域のマラウイ湖岸においては標高が 600m 以上、

南部地域においてはシレ川下流域の 200m 以上の観測所雨量と標高に正の相関がみられる。雨量と標高

の相関は、地域の特性によって違いがある。

北部地域 中部地域 南部地域 出典: プロジェクトチーム

図 6.3 標高と平均雨量との関係図

図 6.4 に示すように、年間の雨量の 95%が雨期に集中している。つまり、乾期には、水資源量と水需

要量のバランスが崩れることにより生じる水不足が起こりやすいことを示している。一方で、乾期に

おける蒸発量は、図 6.4 に示すように雨期より少し大きくなっている。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

1900

1905

1910

1915

1920

1925

1930

1935

1940

1945

1950

1955

1960

1965

1970

1975

1980

1985

1990

1995

2000

2005

2010

Num

ber o

f Sta

tion

with

out M

issin

g D

ata

Year

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1970

1972

1974

1976

1978

1980

1982

1984

1986

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

Per

cent

ile o

f A

vaila

bility

Data

Hydrological Year

Evaporation Station

Average Rainfall Max Rainfall

NorthRegion

MiddleRegion

SouthRegion

y = 0.3667x + 796.25R² = 0.5138

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 1000 2000 3000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4527x + 834R² = 0.4926

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000 2500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4146x + 661.06R² = 0.3865

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000 2500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4723x + 759.46R² = 0.1489

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.0311x + 739.69R² = 0.0038

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 1000 2000 3000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 200m

y = 0.104x + 674.43R² = 0.0194

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 200m

Average Rainfall Max Rainfall

NorthRegion

MiddleRegion

SouthRegion

y = 0.3667x + 796.25R² = 0.5138

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 1000 2000 3000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4527x + 834R² = 0.4926

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000 2500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4146x + 661.06R² = 0.3865

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000 2500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4723x + 759.46R² = 0.1489

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.0311x + 739.69R² = 0.0038

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 1000 2000 3000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 200m

y = 0.104x + 674.43R² = 0.0194

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 200m

Average Rainfall Max Rainfall

NorthRegion

MiddleRegion

SouthRegion

y = 0.3667x + 796.25R² = 0.5138

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 1000 2000 3000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4527x + 834R² = 0.4926

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000 2500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4146x + 661.06R² = 0.3865

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000 2500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.4723x + 759.46R² = 0.1489

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 600m

y = 0.0311x + 739.69R² = 0.0038

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 1000 2000 3000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 200m

y = 0.104x + 674.43R² = 0.0194

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

0 500 1000 1500 2000

Alt

itu

de

(m)

Raifnfall (mm)

* In case that altitude is over 200m

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出典: プロジェクトチーム

図 6.4 雨量およびパン蒸発量の雨期および乾期の割合

流量解析のために、同じ WRA 内において相関係数が 0.7 以上の利用可能な流量データを用いて欠測

補填を行った。

流量は観測水位と水位-流量曲線より算出される。そのため、流量データに加え、観測水位と水位-流

量曲線の精度の確認は現地調査により行われた。また、流量データの精度は、流量と雨量の関係であ

るダブルマスカーブ、水位-流量曲線および観測流量により検証された。

図 6.5 に示すように、流出率と流域面積の関係は、負の相関を示している。つまり、小流域において

は、降った雨は河川に流出しやすいということである。図 6.6 に示すように、流出率と年雨量の関係は、

正の相関を示している。つまり、年雨量が大きい場合、降雨強度や土壌水分は大きくなり、そのため

流出率が大きくなりやすいということである。

出典: プロジェクトチーム

図 6.5 流出率と流域面積の関係図 出典: プロジェクトチーム

図 6.6 流出率と年雨量との関係図

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

All basin

WRA1

WRA2

WRA3

WRA4

WRA5

WRA6

WRA7

WRA8

WRA9

WRA10

WRA11

WRA14

WRA15

WRA16

WRA17

Ratio of Rainfall in Wet and Dry Season (%)

Wet Season (Nov-Apr)Dry Season (May-Oct)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

All basin

WRA1

WRA2

WRA3

WRA4

WRA5

WRA6

WRA7

WRA8

WRA9

WRA10

WRA11

WRA14

WRA15

WRA16

WRA17

Ratio of Evaporation in Wet and Dry Season (%)

Wet Season (Nov-Apr)Dry Season (May-Oct)

1G1

2B213E3

4C2

5C16D107G18

8A5

9B7

11A6

14D1

15A8

16F2

17C6

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80

0.90

1.00

10 100 1,000 10,000 100,000 1,000,000

Run

offR

atio

Watershed Area (km2)

1G1

2B213E3

4C2

5C16D107G18

8A5

9B7

11A6

14D1

15A8

16F2

17C6

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80

0.90

1.00

800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400

Run

offR

atio

Annual Rainfall (mm)

Rainfall

Pan Evaporation

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6-3

MoAIWDから収集したマラウイ湖の水位を図 6.7に示す。水位は周期的な変動を示しており、1980年

および 2003年 4月に周期的なピークを示している。既往最高水位は 1980年に生起した約 477m、既往最

低水位は 1995年および 1997 年に生起した 473mとなっている。マラウイ湖水位は、至近 60 年において、

4m程度の変動が確認される。

図 6.8 に月毎の平均水位を示しているが、雨期が終わった 4 月または 5 月頃に水位のピークが生起し

ている。年間の変動は 1m 程度となっている。

出典: プロジェクトチーム

図 6.7 マラウイ湖水位の変動 出典: プロジェクトチーム (1981-2008の平均値)

図 6.8 マラウイ湖における月平均水位

6.2 地下水

マラウイにおける地質は、一般的に 3 つに分類される。

沖積層が厚く覆っているリフトバレー

風化層からなる台地

基盤岩が露出している山地

ミクロスケールの帯水層の構造は調査が十分ではないため不明確であるが、概略的にみると、第四

紀沖積層、風化層、基盤岩の 3 つに分類できると考えられる。

地下水流動が定常状態で長期的な地下水貯留は無視できると考えられるならば、年間の地下水流動

量は涵養量とバランスしていると考えられる。この場合、涵養量はダルシーの法則により算出できる。

ダルシーの流れは、風化層および沖積層を流れるが、基本的に不透過性と考えられている基盤岩では

流れることができない。ダルシーの理論で考えられている涵養量は下記の数式により計算される。

Q = T × i × W

Q:地下水流動量

T:透水量係数

i:水勾配

W:地下水が流れる領域幅

ダルシー流の法則を適用して推定された地下水涵養量は、各 WRA の平均値を代表値とした場合、4

mm /年から 201mm/年となった。図 6.9 に示す涵養量の分布をみると、涵養量は透水量係数より動水勾

Lake Malawi Lake levels

473.0

473.5

474.0

474.5

475.0

475.5

476.0

476.5

477.0

477.5

1955

1957

1959

1961

1963

1965

1967

1969

1971

1973

1975

1977

1979

1981

1983

1985

1987

1989

1991

1993

1995

1997

1999

2001

2003

2005

2007

2009

Avera

ge w

ate

r le

vel

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

7.5

8.0

8.5

9.0

9.5

10.0

Monkey B

ay W

ate

r le

vels

Average levels

Monkey Bay

Periodical Peaks

473.80

474.00

474.20

474.40

474.60

474.80

475.00

475.20

475.40

Nov_Ave Dec_Ave Jan_Ave Feb_Ave Mar_Ave Apr_Ave May_Ave Jun_Ave Jul_Ave Aug_Ave Sep_Ave Oct_Ave

Wat

er

leve

l of

Mal

awi

lake

(m

)

Month

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配に大きく影響を受けていると考えられる。例として涵養量は、Zomba 山や Mulanje 山、南部の

Blantyre、Ntcheu、Balaka、Mangochi県の山地の麓において 100mm/年以上となる傾向が明らかにみられ

る。一方で、中部のLilongwe、Mchinji、Kasungu県などの高原地では、非常に緩い勾配の地形で、風化

層のため低い透水量係数となっており、涵養量が 20mm/年以下と小さくなっている。

このアプローチでは、地下水ポテンシャルを評価するうえで、以下の点を考慮すべきである。

ダルシー流の手法では、飽和された半被圧状態の帯水層を想定している。計算領域の帯水層

外からの水の供給や損失はないものとしている。つまり、この手法では、降水による地下水

への浸透量、地下水からの河川への流出は無視している。

この手法は、ダルシーの理論に基づいたシンプルな式を用いている。しかし、地下水の時系

列的な変動は表現できない。それゆえ、解析結果は、帯水層の地下水ポテンシャルを示すも

のであり、将来の状況を評価することはできない。

マラウイにおいて降水は地下水涵養にとって重要な水源であり、涵養量の妥当性は、実際のボーリ

ングを利用してクロスチェックを行う必要がある。

出典: プロジェクトチーム

図 6.9 ダルシーの法則により計算された涵養量

Exclusion of the Evaluation

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6-5

6.3 人口予測

本プロジェクトにおいて、4 大都市(リロンゲ、ブランタイヤ、ムズズ、ゾンバ)に関しては、詳細

に検討された世銀のプロジェクトの人口予測を適用した。4 大都市以外の都市および地方の人口予測は、

2008 年センサスの予測をもとに推定した。(4 大都市に関しては、人口予測に違いがみられ、世銀プロ

ジェクトの予測値は小さくなっている。)

6.4 水需要

6.4.1 生活用水および工業用水

生活用水の水需要は、以下のように各分類毎に推定した。

(a) カテゴリー1:4 大都市の水は、Water Boards により給水されている

(b) カテゴリー2:タウンの水は、Water Boards により給水されている

(c) カテゴリー3:地方の水は、水利組合または水委員会により管理されている浄化された水源により

供給されている、または浄化されていない水にアクセスしている場合もある。

表 6.1 にそれぞれのカテゴリーの人口予測の情報源を示す。

表 6.1 人口予測の方法

カテゴリー エリア 人口予測ベンチマーク

都市

Lilongwe, Blantyre, Mzuzu and Zomba

Estimation of for Lilongwe, Blantyre, Mzuzu の SOGREAH Feasibility Study Reports、Zomba の SSI Report

RWB(Mzuzu と Zomba を除く)が

給水している町と bomas NRWB、CRWB、SRWB からの情報と NSO の人口増加

地方 上記以外のエリア 2008 年国勢調査と計画給水原単位 出典: プロジェクトチーム

都市とタウンの水需要はそれぞれの人口より推定される。地方の人口は都市人口を減じて県ごとに

推定される。工業用水、商業用水および公共用水は Water Boards のデータをもとに推定される。全人口

およびその割合を、それぞれに図 6.10 および図 6.11 示す。

出典: プロジェクトチーム

図 6.10 マラウイにおける 1966 年-2035 年の全人口 出典: プロジェクトチーム

図 6.11 2012 年における人口の割合

0

5

10

15

20

25

30

35

1966 1977 1987 1998 2008 2012 2015 2020 2025 2030 2035

Po

pu

lati

on

(x

mill

ion

pe

rso

n)

year

4

Cities

13% Towns

5%

Rural

82%

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National Water Development Program に準拠し、人口予測における給水率は表 6.2 に示す値を適用し

た。

表 6.2 推奨される給水率

対象 2015 年 2025 年 2030 年

都市 95% 98% 98% 地方 73% 98% 98% 出典: プロジェクトチーム

都市および地方の一日当たりの水使用量を表 6.3 にまとめた。

表 6.3 水需要予測に適用した一人一日当たりの水使用量

カテゴリー エリア 条件

Water Board から給水さ

れる人々

Lilongue, Blantyre, Mzuzu and Zomba SOREAH Feasibility Study で使われた 2010年のデータ、2010 年 SSI Report

3 Regional Water Boards

家庭接続:2015 年-2020 年に 93 L/c/d、2025年に 115 L/c/d、2035 年に 130 L/c/d 共同水栓:2012 年-2020 年に 36 L/c/d、2025年-2035 年に 50L/c/d 深井戸/浅井戸 そして安全な水にアクセス

できない人々:2012 年-2035 年に 27L/c/d

地方で改善された水源

にアクセスできる人々

マーケットセンター 2012 年-2020 年に 45 L/c/d、2012 年-2035 年に 50 L/c/d

自然流下式水道 2012 年-2035 年に 40 L/c/d

深井戸、保護された浅井戸・泉 2012 年-203 年に 36 L/c/d

浄水施設のない池また

は小川のような改善さ

れていない水源を利用

している人々

地方 2012 年-2035 年に 27 L/c/d

出典: プロジェクトチーム

表 6.4 に水需要予測結果を示す。約 239 百万 m3/年は約 2.5 倍の 580 百万 m3/年に増加する。都市部の

一人当たりの水需要は地方より大きいため、都市部の人口が継続的に増加するとき、水需要は線形的

な増分より大きな増加となっている。

表 6.4 水需要予測結果

カテゴリー 単位 2012 2015 2020 2025 2030 2035

都市 m3/day 339,502 386,933 478,058 588,877 732,489 900,939 million m3/year 123.9 141.2 174.5 214.9 267.4 328.8

地方 m3/day 369,399 410,091 459,424 550,883 635,447 731,793 million m3/year 134.8 149.7 167.7 201.1 231.9 267.1

合計 m3/day 708,901 797,024 937,482 1,139,759 1,367,936 1,632,732 million m3/year 258.7 290.9 342.2 416.0 499.3 595.9

出典: プロジェクトチーム

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6-7

6.4.2 農業

(1) 灌漑水需要の計算

灌漑水需要の推定するために適用したアプローチを以下の 3 つのステップにまとめた。

ステップ 1:選定された農作物の灌漑面積を算定

-耕作面積の推定

-灌漑面積の推定

ステップ 2:農作物の作物水分および用水量を算定

ステップ 3:灌漑水需要を算定

基準年における水需要を算定し、表 6.5 にまとめた。

年間の増加量として、DOIは図 6.12 に示すように年間 5,000ha の灌漑計画を適用している。

表 6.5 基準年における水需要

WRA Irrigated Area(ha)

Monthly gross water requirement (x103m3) Total

Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec

1 29,564 14,091 8,775 18,508 44,781 56,725 48,292 22,117 15,060 28,292 37,305 44,099 23,217 361,261

2 3,320 0 0 0 3 615 693 3,387 5,268 6,162 995 558 505 18,185

3 2,368 720 647 433 326 1,753 3,892 6,281 9,233 8,461 1,309 936 815 34,805

4 4,668 421 201 1,345 102 2,818 8,045 14,105 19,288 18,788 2,200 2,160 1,549 71,022

5 6,159 593 293 1,839 469 2,640 7,716 18,359 24,880 23,657 1,716 1,728 554 84,444

6 9,918 2,157 1,227 7,251 14,589 19,618 19,572 12,265 9,729 14,631 16,206 20,348 6,345 143,939

7 2,840 0 0 0 15 140 888 3,303 5,904 5,900 880 282 20 17,331

8 445 0 0 0 0 259 550 473 845 985 510 296 171 4,089

9 2,119 3 0 0 0 1,546 3,273 2,343 4,152 4,857 2,330 1,664 1,185 21,354

10 531 130 125 98 183 407 709 1,372 2,001 1,841 443 232 67 7,608

11 1,160 355 312 237 231 1,058 2,226 2,996 4,391 4,119 821 647 610 18,004

12+13 7 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

14 14,749 1 0 0 4 2,820 2,043 12,021 17,881 24,340 13,395 1,405 101 74,010

15 6,589 15 266 0 5 2,195 6,588 3,785 4,389 6,299 6,153 5,005 1,275 35,974

16 4,823 2 102 0 9 1,101 4,511 6,878 11,373 10,826 3,107 1,886 918 40,714

17 982 0 28 0 0 1,221 3,112 1,743 2,835 2,965 904 1,232 1,238 15,278

Total 90,242 18,487 11,977 29,711 60,718 94,917 112,110 111,429 137,228 162,123 88,271 82,476 38,570 948,016

出典: プロジェクトチーム

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出典: プロジェクトチーム

図 6.12 水需要予測および進行中/将来のプロジェクトとの関係

(2) 家畜用の水需要

家畜用の水需要は下記のステップにより算出した。

1) 家畜数および家畜の割合

2) 家畜の水消費量

3) 家畜用の水需要

6.4.3 水力発電

現在、3 つの水力発電ダム(Nkula、Tedzani、Kapichira)が WRA1 の Shire 川にあり、1つの小水力発

電用堰(Wovwe)が WRA17 の Wovwe 川にある。また、WRA1、5、7、9、14、16 に 15 の水力発電プロ

ジェクトが計画されている。South Rukuru川とNorth Rumphi川のLower Fufu HPP以外の水力発電に利用

する水は、消費されず川に戻ってくる。Lower Fufu HPPにおける発電に使用した水は放水路を通じて直

接マラウイ湖に放流される。表 6.6 に各 WRAにおける水力発電の最大水需要をまとめた。

90,000

100,000

110,000

120,000

130,000

140,000

150,000

160,000

170,000

180,000

190,000

200,000

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

2025

2026

2027

2028

2029

2030

2031

2032

2033

2034

2035

Irri

gatio

n A

rea

(ha)

Year

Total Irrigation Area Malawi Irrigation Development Support Programme (MIDSUP)

Small Farms Irrigation Project (SFIP)

Agriculture Infrastructure Support Project (AISP)

Small holder Irrigation & Value Addition Project

GBI

Support to GBI

Shire Valley Irrig. Proj.

Shire River Basin Management Project

Songwe River Basin Development Programme

Development of Medium Scale Irrig. Proj.

DOI Major Irrigation Project

Total Irrigation Area with DOI Major Irrigation Project

6,000ha/year

5,000ha/year

4,000ha/year Annual Increase

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6-9

表 6.6 各 WRA における水力発電の最大水需要のまとめ

WRA 河川 最大排水量 Hydropower Plant of the largest maximum plant discharge Remarks

1 The Shire River 418 m3/s Mpatamanga HPP (Planning) 5 The Bua River 60 m3/s Chasombo HPP (Planning)

7 The South Rukuru River The North Rumphi River 合計 40 m3/s Lower Fufu HPP (Planning) 使われた水は河川

に戻されない

9 The Songwe River 159 m3/s Middle Songwe (Sofwe) HPP (Planning) 14 The Ruo River 60 m3/s Zoa Falls HPP (Planning) 16 The Dwambazi River 20 m3/s Chimgonda HPP (Planning) 17 The Wovwe River 1 m3/s Wovwe HPP (Existing)

出典: プロジェクトチーム

6.5 水収支

(1) シミュレーションモデルの概要

水収支シミュレーションモデルはマラウイにおける水収支を把握するために構築された。マラ

ウイには、マラウイ湖に流入する流域および流出する流域があり、それらをモデル化した。マラ

ウイ以外の国からの流入を考慮することが必要なため、マラウイ湖のモデルを別途構築した。

雨量、蒸発量、流量、土地利用、地質を用いてマラウイにおける水収支を計算するために流出

解析モデル(MIKE-SHE)を適用した。MIKE-SHE は DHIにより開発された分布型物理モデルであ

る。流出量および涵養量が雨量および蒸発量から算出される。地下水にはタンクモデルを適用し

た。

さらに、水配分計算のために、利水計算モデル(MIKE BASIN)を構築した。水配分のバランス

は流出解析モデルの結果および水需要を入力して計算した。

モデル構築のフローを図 6.13 に示す。MIKE-SHE による水収支シミュレーションモデルの検証

のための入力データを表 6.7 に示す。

(2) 流出解析モデルの検証

モデルの検証は、1980 年から 1986 年の 6 年間において、年間および乾期の月流出ボリュームの

観測値および計算値との比較により行われた。検証期間は、水資源開発が進められる水資源マス

タープランが策定された年(1986 年)および信頼できる蒸発量データの存在期間(1980 年以降)

を考慮して設定された。検証地点は、下流における信頼できる既存の流量データの存在状況を考

慮して設定された。

検証結果として、月流出ボリュームの観測値および計算値の相関係数を表 6.8 に示す(相関係数

を算出する際、観測値はデータの精度を考慮して選定された)。相関係数は 0.71 から 0.99 と非常

に高くなっている。それゆえ、パラメータは他流域にも適用でき、マスタープラン検討のために

シミュレーション結果を利用できるとして、モデルの適用性が証明された。

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表 6.7 シミュレーションモデルの入力データ

項目 説明

観測データ

降雨量(日) 降雨量は、キャリブレーション期間中に適用される。これは、WRAごと与えられ、ティーセン法により算出される。日によって異なるテ

ィーセンポリゴンが、利用できる観測所に応じて使用されている。

発散量(日) 発散量は、キャリブレーション期間中に適用される。これは、WRAごと与えられ、ティーセン法により算出される。日によって異なるテ

ィーセンポリゴンが、利用できる観測所に応じて使用されている。

地理情報

土地利用図 1990 年に作られた土地利用図が適用される。土地利用は、以下の 6種類に分類される。林地、草地、農地、湿地、居住地、およびその他

の土地。

土壌・地質図 1987 年に作られた土壌・地質図が適用される。それは、基盤岩、沖積

堆積物、風化した基盤の 3 つに分類される。

DEM 2000 年に作られ SRTM が適用される。 SRTM は 90 mのメッシュサイ

ズに DEM が格納されている。 流域界 流域界は WRU ごとに SRTM から確定されている。 地下水流域界 地下水流域界は、流域界に基づいて確定されている。 河川網 主要な河川は、上流から下流に水を運ぶと考えられている。

横断面 横断面は、DEM に基づいて形成されている。これは、単純な形状で

あると仮定されている。

その他 観測所の位置 水文観測所 メッシュサイズ 1 km のメッシュサイズ 地図座標 Arc 1960 UTM Zone 36S

出典: プロジェクトチーム

出典: プロジェクトチーム

図 6.13 モデル構築とシミュレーションのフロー図

Data and Condition- Calculation Area,

Basin Boundary- DEM- Rainfall- Evaporation- Landuse- River- Overland Flow- Geological Condition- Unsaturated and

Saturated Zone

Setting of Data and Condition

Calibration

Comparison

Result of Calculation

(Surface Water)

Not Match

Calculation of Water Balance (30 Years*)

Setting Basin and River

Input of Result (Surface Water)

Data Summary- Dam- Water Demand

Calculation of Water Utilization(30 Years*)

Input

Input

Observed Discharge Data

in Reliable Location and

Period

Rainfall Runoff Model Water Utilization Model

Match

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6-11

表 6.8 適用結果

WRA 評価観測所 適用可能性(流量の相関係数)

註 通年 乾期

1 1P2 0.90 0.89 2 2B22 0.96 0.71 1983/5-1985/10 3 3E3 0.94 0.91 4 4C2 0.96 0.79 5 5D1 0.99 0.87 6 6D10 0.93 0.98

7 7G14 0.97 0.95 7H3 0.76 0.80

8 8A5 0.86 0.94 1981/11-1986/10 9 9A2 0.99 0.91

11 11A7 0.83 0.85 1981/11-1986/4

14 14B2 0.80 0.80 14C8 0.84 0.81

15 15A8 0.91 0.91 16 16F2 0.90 0.92 17 17C6 0.75 0.78 1980/11-1985/4

出典: プロジェクトチーム

(3) マラウイ湖における水収支モデル

マラウイ湖はマラウイ、タンザニア、モザンビークの 3 カ国と国境を接しており、それらの国

における河川がマラウイ湖に流れ込んでいる。一方で、マラウイ湖から流出する河川はマラウイ

湖南端にある Shire 川のみである。取水によるマラウイ湖の水位および流出量への影響を推定する

ために、マラウイ湖における水収支モデルを構築する。検証期間は、1981 年 11 月から 2010 年 10

月までの 30 年間とした。検証結果を図 6.14 に示す。雨期乾期の変動や年変動がモデルにより適切

に表現されている。

出典: プロジェクトチーム

図 6.14 マラウイ湖水位の検証

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100470

471

472

473

474

475

476

477

478

479

480

19

79

19

80

19

81

19

82

19

83

19

84

19

85

19

86

19

87

19

88

19

89

19

90

19

91

19

92

19

93

19

94

19

95

19

96

19

97

19

98

19

99

20

00

20

01

20

02

20

03

20

04

20

05

20

06

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07

20

08

20

09

rain

fall(

mm

)

Wat

erL

eve

l(m

)

Average-rainfall over watershed

Calculated Water Level of Lake Malawi(m)

Average Water Level of Lake Malawi (m)

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マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

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㈱ニュージェック

(4) マラウイにおける水資源量の推定

図 6.15 に示すように、流出解析モデルおよびマラウイ湖における水収支モデルを適用すること

により算出された 1980 年 11 月から 2010 年 10 月までの 30 年間の平均値から、マラウイにおける

水収支が推定された。

出典: プロジェクトチーム

図 6.15 マラウイにおける水収支

(5) 利水計算モデル

マラウイにおける水収支を把握するために、水資源量と水需要を比較し、水不足量を推定した。

地表水収支計算のために、利水計算モデル(MIKE BASIN)を構築した。河川流量は、検証された

流出解析モデルの結果を使用した。それゆえ、利水計算モデルの検証は必要とされない。図 6.17

および図 6.18は、10年渇水における現況および 2035年の水需要に対する充足率を示している。地

域的および時期的な水資源量と水需要のアンバランスが生じている。

地下水収支を把握し、水利用の持続可能性を検討するため、図 6.16 に示すように涵養量および

地下水の水需要量の比較を行う。

現況および将来(2025 年、2035 年)のマラウイ湖における水収支を検討した。取水によるマラ

ウイ湖への影響はマラウイ湖水位および Shire 川に流出する渇水流量により検討した。

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6-13

出典: プロジェクトチーム

図 6.16 地下水収支

出典: プロジェクトチーム

図 6.17 10 年渇水における WRU ごとの 現況水需要の充足率

出典: プロジェクトチーム

図 6.18 WRU ごとの 2035 年水需要の充足率

6.6 水質

少数の観測所しかないが本プロジェクトで観測した水質によりマラウイにおける水環境の一部を把

握した。全国における観測から把握した問題を下記に示す。

おそらくほとんどの観測井は人間の排泄物、糞尿で汚染されていた。自然状態では地下水への汚

染はなかったが、井戸の構造の問題により汚染された水が地表から井戸に直接流れ込んでいるこ

とが原因であった。本当の地下水の状況を測定するためには、地表水が入り込むのを防ぐための

しっかりした遮蔽構造が観測井に必要である。

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

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90,000

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

Vol

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(1,0

00m

3)

WRA

Demand (2035)Demand (2025)Demand (Present)Groundwater Potential (Water Balance)Groundwater Potential (Darcian Flow)

Enlarged Figure

0

100,000

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

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00m

3)

WRA

Demand (2035)Demand (2025)Demand (Present)Groundwater Potential (Water Balance)Groundwater Potential (Darcian Flow)

Overall View

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5 メートル以内の深さの浅層地下水は、一般的に飲料水として安全ではない。それゆえ、地下水開

発は、地表水からの人間の汚染の影響がない 15 メートルより深い帯水層とすべきである。

栄養塩の濃度の傾向が、雨期および乾期では大きく異なっていた。高地のエリアでは、乾期にお

ける流量の著しい低下により、水溶性物質が河川に集中したことが理由かもしれない。雨期には、

低地および高地エリアで主要河川の中・下流域において富栄養化の可能性が確認された。富栄養

化は下水処理場および灌漑施設から未処理の汚水が流出したためにもたらされたかもしれない。

雨期には、特に Shire 川や Linthipe-Lilongwe 川において下流にいくほど濁度が高い傾向がみられる。

濁度の増加は無秩序な森林伐採や耕作の拡大が原因となっている土壌浸食の結果であると思われ

る。

都市部では、目視および水質検査により水環境の悪化が明らかに認められた。現在、殆どの汚染

は家庭からの雑排水によるものである。しかし、さらに工業化が進むと、将来は水利用者にとっ

て重金属や有機溶媒は、排水源の下流域では重大な健康問題の原因となるであろう。

季節により変動がみられるものの、Linthipe川やShire川流域で、熱水や他の地質学的要因に起因す

るフッ化物の濃度が高くなっていた。それは、現在は人間にとって深刻な脅威となってはいない

ものの、そのような高濃度のフッ化物(10mg/l 以上)を示す水源は人間に有害な影響を与える可能

性がある。自然界でフッ化化合物が高濃度になるメカニズムと起源を特定し、これらの危険な水

源は避けなければならない。

6.7 気候変動の影響の傾向

マラウイにおける気候変動の影響の傾向を調べるために UNDP の再グリッドデータを用いた。降雨

量の増加率および気温の変化値より換算された蒸発散量を用いて水収支シミュレーションを行った。

シミュレーション結果を、排出シナリオごとに表 6.9 にまとめた。シナリオにかかわらず、降雨量と蒸

発散量は小さな増加傾向を示している。一方で、河川流量と涵養量は小さな減少傾向を示している。

表 6.9 気候変動シナリオごとの水収支

出典: プロジェクトチーム

6.8 GISのコンセプト

効率的に水文解析およびマスタープラン検討を行うために GIS データベースが開発された。GIS デー

タベースの開発にあたり、本プロジェクトではデータベーステーブルおよびフォルダーの枠組みを明

確に定義した。

Unit: mmWRA P Ep Q Re Re/PPresent 980 701 225 53 5%B1 981 711 219 51 5%A1B 983 714 218 51 5%A2 989 717 221 52 5%

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7-1

7. 能力開発

7.1 対象組織

人事計画ユニット(HRPU)がキャパシティ・アセスメントを実施し、研修計画を策定している。プ

ロジェクトチームは、HRPU の作成したレポートを検討し、彼らと協議を行いながら研修計画実施のた

めの協力を行った。対象組織については、修得した技術をマスタープランの改訂作業に適用するにあた

って研修効果を最大にするため、農業省と灌漑・水開発省に設定した。

7.2 プロジェクト期間中における能力開発プログラム

プロジェクト期間中において、マスタープランの策定過程を理解してもらうために能力開発プログラ

ムが実施された。

7.2.1 プログラムのスケジュールと内容

プログラムは、プロジェクトのフェーズ I におけるデータ収集活動中に実施された。それぞれのトピ

ックに関するセミナーが、2012 年 8 月から 2013 年 10 月に実施された。

7.2.2 個別のプログラムの実施状況

(1) GIS 入門ワークショップ

研修の前に実施したインタビューや評価によって、一般的に、参加者は GIS システムに関する

実践的な知識を持っていなかったことが明らかになった。そのため、プログラムは GPS と GIS シ

ステム、アプリケーション、および技術の実践的な可能性について一般的な説明をすることから

始まるようにした。参加者は、本省の政府職員のうち、現在ないし将来データ編集、加工、プロ

ジェクトの企画、統計を担当する者から選択した。ほとんどの参加者は、研修の開始時に GIS 技

術についてほとんど知識を持っていなかった。講義と実践的な演習の後、評価点が 5 点満点で平

均 2.7 点改善した。

(2) 水文観測・モニタリング(流量測定および横断面調査)

参加者は、概して研修前において流量測定および横断面調査についてある程度の知識と経験を

持っていた。他方で、トータルステーションやプロペラ型流速計のような機器に精通していなか

った。研修では流速観測に関する機器の概要を入門的に説明した。理解率はほとんどの質問項目

で研修前に 50%であったが、研修後には 3 つの例外を除いてほぼ 100%になった。

(3) 水文学および水文データ管理

参加者は、概ね水文学とデータ管理に関するある程度の知識を持っていた。このコースは、基

本的なやや高度な水文学の理論的理解に多くの時間を当てた。水文学と横断面調査の訓練が 2 週

間前に行われたため、基本的な理解は他の主題よりも比較的高かった。なお、概念的な流出モデ

ルと貯留モデル、および流出解析の手順は、比較的高度な技術であることから、完全な理解を得

るためにはさらに演習が必要である。

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(4) 地下水資源のデータ管理

すべての事務職員及び技能者は、地下水に関する種々の分野で訓練を必要としている。これは、

地下水分析については、データ分析と、マップ化(実践的な GIS)を含めた様々な形での提示の仕

方、異なるマップにおける異なる情報の操作、図化を重視している。組織としては、マップ化、

その土地の地下水データを用いたモデル化に関する能力強化を要望している、とりわけ、地下水

探査、地下水リスク評価、科学論文発表とライティングの分野で有用であろう。

7.2.3 政策ガイドラインおよび組織の機能

能力開発は、政策形成能力および水資源管理に関する様々な組織の活動の理解を強化するために行

われた。主な焦点は、政策の実施戦略の修得に当てられた。研修は日本で実施された。

(1) 政策と実施戦略:研修 I

期間:2012 年 12 月 3 日から 12 月 15 日まで

目的:特に以下の点について組織の役割と政策実施のメカニズムを学習すること。

日本で行われている統合水資源管理

持続可能な水資源管理政策の実施

水利施設の調整・管理

研修プログラムには、様々な組織での講義、プレゼン、討論と施設見学が含まれている。研修

の終わりに参加者は以下の感想を持った。

国際水路にかかる紛争の解決はマラウイとマラウイ湖に国境を有するタンザニアにおけ

る喫緊の課題である。国際法の考え方や他の国の事例を学習することは有用である。

日本において採用されている水資源管理は下流域における環境保全を考量して計画され

ており、マラウイの水資源にとって実践的かつ有用な事例である。

多目的ダムの管理と基本方針はマラウイの水資源管理にとって非常に有用である。ダムの

目的は、水管理、水利用、リクリエーションと多面的である。現時点で、マラウイのダム

は小規模である。戦略的水資源管理の観点から、マラウイでも多目的ダムが計画されるべ

きである。

マラウイでも洪水は課題となっている。十分に検討のうえ、その対策が立てられる必要が

ある。

(2) 政策と実施戦略:研修 II

期間:2013 年 9 月1日から 26 日まで

目的:研修は、中堅クラス職員を対象に特に以下の点について組織の機能と政策実施メカニズムを学

習すること。

統合的水資源管理、河川管理

表流水、地下水の利用と管理

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7-3

持続可能な水資源管理政策の実施

水利施設の調整・管理

講義とプレゼンが関係組織と水利施設において実施された。参加者は討論と質疑応答に積極的

に参加した。参加者の感想は以下の通り。

組織構造は効果的な水資源管理を実施するために重要である。マラウイにおける省庁間の

役割と責任の重複は水分野での利益の衝突を引き起こしている。

物事は計画したとおりに実施されなければならない。物事を前進させるためには実施が重

要な要因である。

日本では、計画や実施にあたって十分に検討して少ない資源を利用している。マラウイで

は資源が効率的に利用されていない。計画と実施を改善する必要がある

7.2.4 2013 年 10〜11 月技術セミナー

コンサルタントは 2013年 10月と 11月の現地調査中に、以下のトレーニングとセミナーを省職員のた

めに実施した。地下水分析、水力発電、水資源のセミナーも 2013 年 4 月に実施された。マスタープラ

ン案策定の過程で、アウトプットの品質を向上させるために省の主要な職員とプロジェクトチームと

の間で議論が行われた。

(1) GIS データ管理トレーニング

トレーニング前は、参加者は GIS ソフトウェア上で水資源データと地理空間情報データを処理

した経験がほとんどなかった。しかしながら、座標参照システム、地図の精度、ソフトウエア操

作といった知識を得ることによって、位置情報と水資源データを共にに管理する必要性を学ん

だ。。

(2) 雨水流出と水利用モデル

トレーニングの前は、参加者は水文モデリングについて少しの知識しかなかった。訓練の後、

彼らは水利用モデルのモデル化と操作の概要を学んだ。

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8-1

8. 水資源の管理および開発の基本方針

8.1 マラウイの水資源の現況

マラウイ国の水資源賦存量は図 8.1に示すように、降水量として年間980mmの水量が地表に供給され、

そのうち23%(225mm)が地表水、5%(53mm)が地下水となる(残りは蒸発散量72%)。地表水については、

全国の 63%がマラウイ湖へ注ぎ、28%がシレ川本川に直接流入している。マラウイ湖に直接流入した表

面流および地下水は、一旦マラウイ湖に貯留され、マラウイ湖出口の地形やリウォンデ堰により調節

されて、Shire 川に流入する。このように Shire 本川は、マラウイ湖の天然のダムとしての恩恵を受けて、

他の河川に比べて流況の変化が少なく、年間通じて水量が豊富である。

出典:プロジェクトチーム

図 8.1 マラウイの水収支

水需要量は、本調査で年間合計 11 億 m3(2012 年時点)と見積もられ、その内訳は図 8.2(左)のとお

りである。農業用水(IR)の水需要量は全体の 87%をしめ、上水(WS)は 13%であり、2035 年には約 2.5

倍になる。マラウイ湖の貯水量を除いた年間水資源量と年間水需要量を比較すると、水資源量は水需

要量の 20 倍(現況)から 10 倍(将来)となっているが、図 8.2(右)に示すように水資源量の季節的な

偏りにより、乾期の水不足(特に 10 月の最乾期)が顕著である。

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出典:プロジェクトチーム LS: 畜産, IR: 灌漑, WS: 上水 右の図は WRA2, 4, 5, 6, 9, 10, 11, 17 の合計

図 8.2 年間水需要量の変遷(左図)および最乾期の水需要量と水資源量の比較(右図)

8.1.1 水資源開発管理計画策定における課題と検討結果概略

マラウイ国には水資源開発管理に関する様々な問題・課題が残されているが、それらを集約して下記

(1)から(5)項に整理した。本マスタープランにおいては、それらの課題・問題を解決・緩和する

ために、マラウイ国で認識が高まりつつある IWRM および SWAp のコンセプトに基付き、解決策となる

各種プロジェクトを提案している。

(1) 水資源開発ポテンシャル

実際のところ、本 M/P の目標達成年の 2035 年においては、水需要量が 4 倍になると予想される

ことから、このままの状況ではますます乾期の水不足が激しくなると考えられる。全国的な水資源

開発管理・水配分についてはマスタープランのような全国的展開を図る政策的指針がない限り、水

セクター間の調整を行って、MoAIWD が提唱する各種政策を実施していくことは不可能に近い。

また、これまでの調査結果に基づいた MoAIWD との協議を経て、「雨期の豊富な水資源の活用は

マラウイ国にとって重要な課題であるが、一方で MoAIWD は、限りある予算および自然社会環境

を考慮して季節変動に応じた水利用を行う」ことを認識した。

なお、WRA 毎の水資源量と灌漑エリア(既存および開発可能地域)の水需要量について図 8.3

に整理した。この図より、特に WRA4、7、14 および 16 については、既存および灌漑開発可能地

域への合計水需要量を大幅に上回る水資源量を保有していることが判る。マラウイ国では、まず

最初に、このような水と土地(灌漑開発可能エリア)のバランスを考慮して、水利用施設の建設費

および水利用量を最小限に抑えながら水資源開発を実施することが重要である。

0500

1,0001,5002,0002,5003,000

Pre 2025 2035

Dem

and

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(mil.

m3 )

Year

Whole Basin LS IR WS

Annual

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8-3

図 8.3 WRA 毎の水資源量と灌漑地区/灌漑開発可能地区への水需要量の比較

(2) 適切な組織・制度への変化・順応

New Water Resources Act に基付き、今後は National Wtaer Resources Authority、Catchment

Management Committee によって統合的な水資源開発管理が実施されようとしている。MoAIWD に

よると、具体的な内容や支援の実施時期については定まっていないが、世銀で上記組織の構築をサ

ポートするための準備調査・活動が開始されている。本件では、これら組織がマラウイ国の各流域

の特性に応じて統合的水資源開発管理を適切に実施できるような、構成・機能を提案した。

(3) 不適切なモニタリング・システムと低いデータ信頼性

水文観測網は近年縮小傾向にあり、水資源開発管理のための基準地点となるような主要観測所で

さえ停止しているケースもある。このような状況に陥った原因としては、いずれの活動に対しても

付きまとう財政的な制約に加え、MoAIWD の職員の認識の欠如および地方事務所の機能不全等が

拍車を掛けてきたことにあると言える。実際のところ、本業務においては、MoAIWD の水文デー

タの管理状況が適切でないため、生データの確認・精査に非常に時間を費やした。

(4) 水関連施設・水利権情報の未整理

水利用施設や水利権に関する情報は、持続可能な水資源開発管理を実施するにあたって必要不可

欠な情報である。しかしながら、ダム、貯水池、灌漑関連施設、取水地点・取水量等の水利用施設

に関連する情報が適切に管理されておらず、今後の水資源開発管理上看過できない問題の一つとな

っている。

(5) 水収支についての無考慮

WRU レベルの水収支バランスを実施した上で、各種水資源開発事業について水セクター間およ

び WRU 間で発生するであろう影響を把握していないため、各事業実施による相互影響・干渉を考

慮せずに個々に事業の実現可能性を評価している傾向にある。本 MP においては、将来このような

-

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

800,000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

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WRA

Potential(90%) Irrigation DemandWater Supply Potential for Irrigation DevelopmentPresent Irrigation DemandSurplus Surface Water Resources

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検討が MoAIWD 主導で実施することが可能となるように、MP 策定終了後も職員の教育プログラ

ムや組織強化についてフォローしていく必要がある。

8.1.2 マスタープラン(M/P)の基本方針

(1) 水資源開発管理 M/P の完成目標年

水資源開発管理にかかる目標年次については、第 1 回ステアリングコミッティにおいて長期目標

を 2035 年に置くことが合意された。また、短期目標、中期目標については、それぞれ 2020 年、2025

年と設定した。

(2) 水資源開発管理の基本方針

マラウイ国の水資源開発については、今後増加していく水需要に対して、①乾期の効率的な水需

要管理、②各流域の雨期の豊富な水資源の活用、③常時豊富な水量を有するマラウイ湖-シレ川の

水資源の活用が、持続的な開発を実施するうえでのキーになる。なお、現在のところ村落の飲料水

以外はコストの安い表流水の利用が主となるが、将来は地下水の利用や、水利用の合理化(節水対

策、作物転換およびクロッピングパターンの変更)が必要になる。水資源管理については、本 M/P

にて調査された流域の特徴をベースにして、①適正な水文水質モニタリング、②関連組織の体制・

能力の強化、③流域管理体制の強化が主要な対応となる。

(3) 水利用の優先順位

MoAIWD との協議の結果、上水、農業、畜産業の順とする。環境流量については、環境流量の

具体的ユーザー(特定保護種等)が明らかになっていないばかりか、マラウイ国の水資源開発管理方

針・政策において環境流量維持に関する明確な方針・指針が述べられていない。本事業では、ダム

を計画する際には水文学的な手法(Q90)による義務放流量(下流の水利流量と環境流量)を、環境流

量として設定し、水資源開発による河川流量への影響を調査した。流量 Q90で環境流量を設定する

と、灌漑の水需要量に匹敵するほど過大な量となってしまうため、環境流量の優先順位を第 1 番目

にすると、上水水需要を満たすことができないケースが頻発し、そのために水利用施設の大型化が

要求されることとなる。本 M/P においては、将来の水資源開発量と環境流量の関係を示すととも

に、適正な環境流量を設定するために、特定保護種の調査および環境流量の算定手法の選択並びに

環境流量設定ガイドラインの策定等を提案した。

(4) 水利用の安全度

水資源開発レベルについては、MoAIWD や MoE と数回協議したうえで、下記のように設定して

いる。特に灌漑セクターについては DoIとの協議を数回行い、近隣諸国における事例および渇水年

と投資規模の関係について説明した上で、最終的に DoIの承諾を得た。また、上水については、マ

ラウイ国における上水計画(F/S レベル)およびガイドラインを参考にして、MoAIWD に逐次確認

を行って設定した。

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8-5

表 8.1 マスタープランの安全レベル

水セクター レベル 渇水年 目標達成年 設定方法

農業 大規模・小規模 5 年渇水 2035 年 DOI との協議

上水 大都市(4 都市) 20 年渇水 2035 年 MoAIWD および WBの報告書、その他 F/S報告書

地方都市 マーケットセンター

10 年渇水 2035 年 MoAIWD、WB の報告

書、MoAIWD ガイドライ

ン、F/S 報告書

村落 5 年渇水 2035 年 MoAIWD との協議

発電 設備利用率の確認 2035 年 MoEと確認 出典:プロジェクトチーム

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9-1

9. 都市および地方給水開発計画

9.1 都市給水開発計画

9.1.1 現況における課題

過去数年間に 4 市の都市給水分野には、世界銀行、欧州連合(EU)などの出資により多くのプロジェ

クトが実施された。それにもかかわらず、4 市における水道事業には多くの課題がまだ残されている。

4 市の給水に関わる具体的な課題を以下に記述する。

表 9.1 4 市の現況における課題

課題 No. 課題 対象の市 UWS-0 改善された水源へのアクセス率が低い 4 市 UWS-1 新たな水源と追加の浄水施設の基本/詳細設計 Lilongwe UWS-2 送水施設(ポンプ場、送水幹線、配水用貯水池)の詳細設計での機能診断 Lilongwe UWS-3 配水管網設計の機能診断 Lilongwe UWS-4 無収水の更なる削減計画の策定 Lilongwe UWS-5 新たな水源と追加の浄水施設の基本/詳細設計 Blantyre UWS-6 送水施設(ポンプ場、送水幹線、配水用貯水池)の詳細設計での機能診断 Blantyre

UWS-7 配水管網設計の機能診断 Blantyre

UWS-8 無収水の更なる削減計画の策定 Blantyre

UWS-9 新たな水源と追加の浄水施設の基本/詳細設計、および給水施設(取水施設、浄水場、

ポンプ場、送水幹線、配水用貯水池、配水管)詳細設計の機能診断 Mzuzu

UWS-10 新たな水源のフィージビリティ調査および給水施設(取水施設、浄水場、ポンプ場、

送水幹線、配水用貯水池、配水管)詳細設計の機能診断 Zomba

UWS-11 財務の健全性と水の料金 Lilongwe, Blantyre 出典:プロジェクトチーム

9.1.2 計画策定のコンセプト

マラウイの都市水供給網は、人口増加、水不足、衛生上の問題から生じる環境汚染に関連する多く

の問題に直面している。こうした状況においては、都市給水の全体的なコンセプトは、公平性、安全

性、持続可能性および効率性を考慮して策定されなければならない。また、関係機関から発出された

10 以上の関連する条例/政策が、計画策定のコンセプトと指標設定にあたって適用された

(1) 目標実績評価指標および開発目標

給水事業者の目標業績評価指標によって分類される役割のうち最優先されるのは、給水範囲と

無収水(NRW)の削減である。マラウイの過去の多くの給水開発計画では、戦略の基礎となる実

績評価指標が、給水範囲と無収水率(および浄水プラント効率)に関して設定されている。目標実

績評価指標は、表 9.2 にまとめられている。

(2) 開発目標

実際には、このマスタープランでは過去のフィージビリティ調査を考慮して、ブランタイアと

ゾンバの 2市で、それぞれ 3つのシナリオと 2つのシナリオを用意した。しかし、詳細な検討が行

われていないため、公式な計画として 2 市の最終的なシナリオを現段階で決めることができない。

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まだ水源に関するフィージビリティ調査が実施されていないのであるが、ブランタイアのための

シナリオ 3 は、100%の給水率となっており、また、ゾンバのためのシナリオ 2 は、2035 年までの

水需要計画がある(プロジェクトでは 2020 年から 2035 年までの拡張が含まれている)。したがっ

て、そのシナリオ(ブランタイアのためのシナリオ 3、ゾンバのためのシナリオ 2)はフィージビ

リティスタディを実施することによって検討されるべきである。

表 9.2に示したとおり、4市の実績評価指標についての短期、中期、長期の目標は以下を考慮し

て設定されている。

リロングウエ:具体的な目標として、「ミレニアム開発目標(MDGs)と国家政策」に基づい

て給水率を 2015 年に 95%、2025 年に 100%と設定した。また、「Sogreah 報告書(2010 年)」

に基づいて、NRW を 2015 年に 25%、2025 年に 20%に設定し、その他に 2035 年までの人口予

測、水需要なども設定している。2017 年までの施設に対する投資計画は「LWB 今後の投資計

画(2013 年)」に基づいており、2018 年以降の計画については、プロジェクトで検討している。

取水量(水源の容量)は、井戸の建設、Kamuz ダムの嵩上げ、Diamphwe 上流および下流ダム

の建設によって増加する。

ブランタイア:3 つの考えられるシナリオの中では、世銀の WISP によって証明された技術的

妥当性の観点からシナリオ 2 がプロジェクトに採用されている。具体的な目標としては、現状

の 2013 年の推定給水率 82.6%に基づいてシナリオが作成され、BWB 戦略計画の目標(100%:

高いシナリオ)と現在の目標 70% (低いシナリオ)の中間値 87.1%を 2029 年の目標として設

定している。シナリオ 2 における 2035 年までの無収水率については、「WSIP(2012 年)」に基

づいている。シナリオ 2 の施設計画は Sogreah 報告書のコンセプトを参照している。また、シ

ナリオの新しい水源は、世銀による WSIP の評価結果によればその位置に問題があることから、

「Mombeziダム」から「Walker's Ferry 近傍のシレ川」に変更されている。

ムズズ:設計条件とパラメーターはすべて、オリジナルの 「Sogreah 報告書(2010 年)」に基

づいている。 (ちなみに、ムズズの開発計画は 2040 年までである。)2025 年の給水率 100%

が「国家政策」を参照し、2015 年と 2030 年の無収水率は「Sogreah 報告書」に基づいている。

水の取水量は2つのダムの建設によって増加されるが、第1ダムの建設が予定より遅れている。

ゾンバ:給水率は、SSIの 2020 年における 95%から国家水政策による 2025 年における 100%

を目標としている。採用されたシナリオの家庭用水原単位は、ゾンバによる当初の計画におい

て驚異的な値に設定されているため、ムズズの原単位を参照している。シナリオのための公共

/商業/産業用水消費は、プロジェクトチームによる 1.8%の年間成長率で計算されている(1.8%

はリロングウエとブランタイアの平均成長率である)。水需要が、既存の Mulunguzi ダムの容

量を超えた際には、新しい水源の開発が必要になる(例えば、Mulunguziダムを嵩上げする)。

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9-3

表 9.2 4市の実績評価指標

出典:プロジェクトチーム

9.1.3 アクションプランと実施スケジュール

プログラム、プロジェクトや活動は、具体的なアクションプランや実施スケジュールとして策定さ

れる。プログラム、プロジェクトや活動の基本的なアクションプランについては、以下の点を考慮し、

スケジュール化されている。

水資源開発によって、供給量の増加に対応して開発計画を促進させる—「NWDPII」に基づい

たプロジェクトなどがある。

需要管理を実施する−「無収水率の低減」、「漏水の管理とモニタリング」、「節水技術の適用」、

「ユーザーの啓発」などがある。

水需要調査の再検討—「都市計画と給水調査との連携」、「中期人口予測の再検討」などがある。

プロジェクトのコンポーネント/活動にかかる実施計画を表 9.2 に示す。4 市の実施計画に応じた開発

の手順を図 9.1 と図 9.2 に示す。

12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35給水率

1 MDGs 世界銀行

2 National Water Policy マラウイ国

3 Lilongwe Water Board (Sogreah Report)4 Blantyre Water Board (Sogreah Report)5 Mzuzu (Northern Region Water Board) (Sogreah Report)6 Zomba (Southern Region Water Board) (SSI Report by 2020)

無収水率 (実損失水量、非請求認定給水量、商業的損失水量。ただし、浄水場での損失は除く)1 Lilongwe Water Board LWB (Sogreah Report)2 Blantyre Water Board 30%↘ BWB Recommendation by WB3 Mzuzu (Northern Region Water Board) NRWB (Sogreah Report)4 Zomba (Southern Region Water Board) SRWB (SSI Report by 2020)

浄水場での損失

1 Lilongwe Water Board LWB (Sogreah Report)2 Blantyre Water Board BWB (Sogreah Report)3 Mzuzu (Northern Region Water Board) NRWB (Sogreah Report)4 Zomba (Southern Region Water Board) SRWB (SSI Report by 2020)

減少傾向を示す。

5%5%5%

青色 は増加向を示す。 ピンク色

現状から25%↘ 25% to 20%↘ 20%現状から 20%↘ 20%

現状から5%↘ 5%

現状から25%↘ 25% to 20%↘ 20%30% to 25%↘ 25%

NRWB現状から 76%↗ 76% to 95%↗ 95% to 100%↗ 100%現状から100%↗ 100% NRWB

to 82.6% 82.6% to 87.1%↗ 87.1% to 86.9% BWBLWB

2026-2035

現状から95%↗ 95%現状から100%↗ 100%

現状から95%↗ 95% to 100%↗ 100%

番号 主要指標

時間軸

考案元備考

(参考資料情報)

短期 中期 長期

2012-2020 2021-2025

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出典: Sogreah Report and LWB future investment plan 出典: Sogreah Report and WB

図 9.1 リロングウエとブランタイアにおける施設の給水率と拡張計画

出典: Sogreah Report 出典: Sogreah report and Project Team

図 9.2 ムズズとゾンバにおける施設の給水率と拡張計画

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9-5

表 9.3 短期、中期、長期のアクションプランと実施スケジュール

(WB) および (JICA)は、世界銀行および JICAが協力を検討中ということである。 "-"は担当ドナーが決まっていない状態を示す 出典:プロジェクトチーム

9.1.4 事業とそのコンポーネントの評価

フィージビリティ調査及び詳細設計調査が、4 市のために実施されているにもかかわらず、表 9.4 に

示すように、それぞれの計画は計画レベルや事業のスケールに違いがある。それらの調査において、

給水のためのすべての事業は、多くの視点から評価され、各市のために最適な計画が選択される。成

熟度については、以下の事項についてフィージビリティ調査、より詳細な調査や議論がブランタイア、

ムズズとゾンバの各市のために必要である。

12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35Lilongwe (LWB) 518,960

LW-1 新規井戸の開発 (+10,000m3/日) 2,600 2,600 ● ◆ LWB IDA 5,200

LW-2 浄水場IIの拡張1(+30,000m3/日) 2,500 2,500 ● ◆ LWB IDA 5,000

LW-3カムズダムIの嵩上げ及び関連復旧工事(+30,000m3/d)

1,275 1,275 1,275 1,275 ● ◆ LWB EIB 5,100

LW-4 浄水場IIの拡張2(+30,000 m3/d)及び技術支援 4,850 4,850 ● ◆ LWB (JICA) 9,700

LW-5 流域保全および改善 0 0 0 0 0 0 ● ◆ LWB (JICA) 0

LW-6 送配水の改善 67 67 67 ● ● ◆ LWB (WB) 200

LW-7 GIS情報整備および水理計算モデルの構築 100 ● ◆ LWB (WB) 100

LW-8Diamphweダムおよび送水システムの建設(フェーズ1) (取水量+75,000 m3/d, 浄水処理+66000 m3/d)

24427.5 24427.5 24,428 24427.5 24427.5 24427.5 24427.5 24427.5 ● ● ● ● ◆ LWB (WB) 195,420

LW-9 テレメトリーシステムの構築 300 ● ◆ LWB (WB) 300LW-10 浄水場IIのリハビリ 1,333 1333. 333333 1333. 333333 ● ◆ LWB (WB) 4,000LW-11 送配水網の拡張 14,113 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 14112.5 ● ● ◆ LWB (WB) 225,800LW-12 水需要量の再調査 750 750 ● ◆ LWB - 1,500

LW-13Diamphweダムおよび送水システムの建設(フェーズ2) (取水量+75,000 m3/d, 浄水処理+66000 m3/d)

22213. 33333 22213. 33333 22213. 33333 ● ● ● ● ◆ LWB (WB) 66,640

Blantyre (BWB) 321,940BW-1 送配水の改善 1800 1800 1800 1800 1800 ● ● ◆ BWB (WB) 9,000

BW-2 新規無収水対策の実施 1666. 666667 1666. 666667 1666. 666667 ● ◆ BWB -

BW-3 漏水対策および給水量計測 ● ◆ BWB -

BW-4シレ川からの取水および送水システムの建設

(フェーズ1) (+39,000 m3/d)18394 18394 18394 18394 18394 ● ● ● ● ◆ BWB (WB) 91,970

BW-5 送配水網の拡張 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 8112.5 ● ● ◆ BWB - 129,800BW-6 貧困対策 (キオスクとトイレの開発) 3500 3500 3500 3500 ● ◆ BWB - 14,000

BW-7 シレ川からの取水および送水システムの建設(フェーズ2) (+39,000 m3/d)14134 14134 14134 14134 14134 ● ● ● ● ◆ BWB (WB) 70,670

BW-8 水需要量の再調査 750 750 ● ◆ BWB - 1,500Mzuzu (NRWB) 233,030

MW-1Lambilambiダムおよび送水システムの建設(フェーズ1) (+45,000 m3/d)

18035 18035 18035 18035 ● ● ● ● ◆ NRWB (WB) 72,140

MW-2 送配水網の拡張 360 360 360 360 360 ● ● ◆ NRWB - 1,800MW-3 水需要および原水に関する再検討 500 500 ● ◆ NRWB - 1,000

MW-4Lichelemuダムおよび送水システムの建設(フェーズ2) (+29,600 m3/d)

14758 14758 14758 14758 14758 ● ● ● ● ◆ NRWB (WB) 73,790

MW-5 送配水網の拡張 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 4752. 941176 ● ● ◆ NRWB - 80,800MW-6 無収水対策の実施 1166. 666667 1166. 666667 1166. 666667 ● ◆ NRWB - 3,500

Zomba (SRWB) 21,100

ZW-1 既存浄水場の拡張 (18,200 to 30,000 m3/d) ● ● ● ● ◆ SRWB (WB) - (8,140)

ZW-2 送配水網の改善 720 720 720 720 720 ● ● ◆ SRWB - 3,600

ZW-4a2Mulunguziダムの嵩上げ及び関連復旧工事(6,100 m3/d)

2550 2550 2550 2550 ● ● ● ● ◆ #REF! - 10,200

ZW-5a2 送配水網の拡張 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 486. 6666667 ● ● ◆ SRWB - 7,300

5,000

94,205 27,011 111,814

3,853 5,703 11,543

218,669 120,751 179,540

133,808 80,831 107,302

予算

(千ドル)短期 中期 長期

2012-2020 2021-2025 2026-2035主要組織 協力組織

送水

配水

その他

新設

復旧

関連組織

事業No. 事業 / 活動

時間軸

貯留

取水及び送水

浄水施設

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また、事業については各市の給水開発のための指標として経済的内部収益率(EIRR)が計算されてい

る。EIRR の値が(社会的割引率である)10%を超えていることから、提案された各市の事業は経済的に

実現可能であると判断される。

表 9.4 4 市の給水施設開発の状況

出典:プロジェクトチーム、世銀

提案されたプロジェクトに関して、表 9.5 に給水人口、技術的難度、コスト、事業の熟度、緊急性の

各指標に基づいて、施設建設の優先度を採点し、優先順位を設定した。

表 9.5 4 市の事業コンポーネントについての優先順位

出典:プロジェクトチーム

(1) リロングウエ市

計画の成熟度は、他のブランタイア、ムズズとゾンバに比べて非常に高い。提案されたすべて

の施設の建設、特に 2 つのダム(Diamphwe 下流および上流)は、2035 年の水需要を満たすために

不可欠なものであると認識されている。また、給水人口は都市の中で最も高い。この意味におい

て、リロングウエ市の給水計画は最も優先度の高い事業であると言うことができる。

Lilongwe (LWB)

Blantyre (BWB)

Mzuzu (NRWB)

Zomba (SRWB)

5 20 91 4 9 1

10 10 43 1

Com-2(ZW-4a to 5a)

Mulunguziダムの嵩上げ及び関連復旧工事, 送配水網の拡張

3 10 104

Com-1(ZW-1 to 2)

既存浄水場の拡張, 送配水網の改善(実施中)

5 17 105 2 4 1

5 10 28 5

MW-3 to 6)水需要および原水に関する再検討, Lichelemuダムおよび送水システムの建設(フェーズ2) , 送配水網の拡張, 無収水対策の実施

6 2 53

Com-1(MW-1 to 2)

Lambilambiダムおよび送水システムの建設(フェーズ1) , 送配水網の拡張

1 22 77 6 3 5Com-2(BW-4 to 8)

貧困対策 (キオスクとトイレの開発), シレ川からの取水および送水システムの建設, 水需要量の再調査

5 10 30 47 6 2

6

2

Com-1(BW-1 to 4)

送配水の改善、新規無収水対策の実施, 漏水対策および給水量計測, シレ川からの取水および送水システムの建設(フェーズ1)

10 2 6 5 1 24

22 7

Com-4(LW-12 to 13)

水需要量の再調査, Diamphweダムおよび送水システムの建設(フェーズ2)

9 2 1 5 5

10 35 3

Com-3(LW-8 to 11)

Diamphweダムおよび送水システムの建設(フェーズ1),テレメトリーシステムの構築, 浄水場IIのリハビリ、送配水網の拡張

4 4 7 10

10 10 38 2

Com-2(LW-3 to 7)

カムズダムIの嵩上げ及び関連復旧工事, 浄水場IIの拡張2, 流域保全および改善, 送配水の改善(無収水対策の実施と協働実施)

2 8 8

1

Com-1(LW-1 to 2)

新規井戸の開発+浄水場IIの拡張1

コスト事業の熟度

緊急性合計スコア

ランク人口からみた重要性

技術的難易度

市レベルの

優先順位事業組み合わせ 事業内容

評価指標

都市事業費

(29mil USD) EIRR総給水人口(2035年)

給水人口増加分(2035年まで)

裨益人口当たりのコスト(USD/人)

他ドナーによる調査レベル

主な取水施設

リロンゲ 517.1 13.2 1,914,280 1,027,696 503 F/S 地下水+ダム嵩上

げ+2ダム建設

ブランタイア 315.4 19.4 1,577,208 827,879 381 F/S シレ川からポンプアップ

ムズズ 228.5 10.1 375,216 226,914 1,007 F/S 1ダム建設

ゾンバ 29.2 20.7 189,042 89,329 327 2020年までのDD ダム嵩上げ

(mil USD)

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(2) ブランタイア市

水源の開発に関しては、世銀の WSIP は、Mombezi ダムではなく Walker’s Ferryでの設置を推奨

している。しかし、MoAIWD は選択を明らかにしなかった。どんな計画が選択されても、水源容

量が 2035 年における水需要より大きい。それはブランタイアのプロジェクトの成熟度はリロング

ウエ市の計画と比較して低いレベルであると言える。また、ブランタイヤ市の給水人口はリロン

グウエ市に次いで 2 番目に大きい。

(3) ムズズ市

2 ダムの建設は、水源容量を開発するために計画されたが(ステージ 1: Lambilmbi ダム、ステ

ージ 2:Lichelemu ダム)、世銀の WSIP は、2040 年以降の水需要を満たすために、ステージ 2 用

のダムサイトを再検討することを勧告している。このため、2026 年までのムズズ市の水源能力の

開発計画はほとんど修正されたが、将来の状況を考慮したうえで、将来の水需要に対応し、水資

源開発施設の有効活用を検討するため、その計画をさらに検討する必要がある。この状況のため、

ムズズ市の給水計画の成熟度はリロングウエ市およびブランタイア市に比べて低いレベルである

ことがわかる。また、ムズズ市の給水人口はリロングウエ市とブランタイア市から大きく引き離

されて、4 市の中で第 3 位である。

(4) ゾンバ市

詳細設計調査では、ゾンバ市の家庭用水消費の原単位はブランタイア市、リロングウエ市およ

びムズズ市のそれに比べて 2〜3 倍である。プロジェクトでは、将来の水需要に対応するために

Mulunguziダムの嵩上げが提案されているが、計画は、1)水消費の原単位および 2)2020 年以降の

新たな水資源開発の観点から改訂されるべきである。この意味では、ゾンバ市の給水計画の成熟

度は、ブランタイア市とムズズ市と比較して低いレベルである。給水人口は、ゾンバ市は 4 市の

中で最も低い。

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9.1.5 地域水公社による町への給水

(1) 計画策定のコンセプト

地域水公社(RWB)は、マラウイの町に家庭用水を供給している。3 つの RWB が町の給水整備

計画を以下のプロセスで策定している。

給水率:2015 年に 95%、2025 年から 2030 年の期間に 98%(世銀の WISP に従う)とする。

2020 年から 2035 年の期間の水需要は、RWB の管轄地域の 2012 年における人口に基づいて推

定する。

河川、湖、地下水、ダムからの水資源による、2012 年における水源からの取水量は、水需要

予測と比較して検討する。

表 9.6 に示された「優先要因」に従って、給水スキームを優先づける。

表 9.6 地域水公社の事業概要

項目 対象・内容 事業内容 将来需要を満たすための給水施設のリハビリ/拡張(維持のための公

社の能力開発を含む) 需要予測 人口 管轄区域内の全人口

増加率 2008 年国勢調査からの推定 水消費 パート Iに示した予想水消費、家庭接続の普及率、公共栓

計画の優先度の要因 - 取水条件= 既存の取水能力/ 2012 年の水需要 <60%: A, 61-90%: B, 90%< : C - 2035 年の人口

<10,000 : C, 10,000-50,000: B, 50,000< : A - 取水条件と人口の組み合せによる優先度

AA, AB, BA -> Priority A -> 短期 BB, AC, CA -> Priority B -> 中期 Others -> C -> 長期

出典:プロジェクトチーム

(2) スキームごとの整備優先順位

3 つの RWB におけるスキームごとの優先度を表 9.7 に示す。優先度 A、B、C はそれぞれ短期、

中期、長期の計画に対応している。表流水と地下水の双方を水源として町の給水計画に沿って開

発される。

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9-9

表 9.7 既存の取水量および給水システムの将来の水需要

出典:プロジェクトチーム、RWB

2,012 2,015 2,020 2,025 2,030 2,035

Chitipa CHITIPA Boma 23,313 Borehole 75,918 780 1,237 1,721 2,575 4,271 7,135 10,431 63% A B A

KARONGA Boma 45,368 Lake 97,696 3,600 3,628 3,968 4,744 6,780 10,315 14,143 99% A C B

CHILUMBA 21,732 Lake 43,455 1,195 1,552 1,810 2,320 3,404 4,952 6,598 77% B B B

NKHATABAY 24,334 Lake 36,632 1,944 1,802 1,883 2,366 3,309 4,568 5,794 108% B C C

CHINTHECHE 7,933 Lake 15,863 850 876 915 1,032 1,366 1,946 2,552 97% B C C

Rumphi RUMPHI 44,122 River 73,354 1,008 2,361 2,800 3,652 5,550 8,051 10,522 43% A A A

Mzimba MZIMBA 27,824 River 63,672 1,224 2,566 2,763 3,241 4,533 6,840 9,359 48% A A A

Total 406,588 10,601 14,024 15,859 19,931 29,214 43,807 59,400 76%

76% 67% 53% 36% 24% 18%

Karonga

Nkhata Bay

2035年人口による優

先順位

取水状況に

よる優先順

2012年人口

取水状況 =既存施設容量/ 水需要予測

2035年人口及び取

水状況による優先

順位

水源の種類既存取水可能量

(m3/day)地域 県 給水地区 2035年推定人口

RWB 給水地区ごとの水需要予測(m3/day)

北部

2,012 2,015 2,020 2,025 2,030 2,035

Kasungu KASUNGU 66,117 Dam 143,321 2,432 3,034 3,803 4,968 7,500 13,270 20,390 80% A B A

NKHOTAKOTA 32,729 Borehole 55,923 936 1,735 2,217 2,951 4,470 6,394 8,352 54% A A A

DWANGWA 12,662 Borehole 26,009 288 459 603 822 1,293 2,327 3,599 63% B B B

Ntchisi NTCHISI 18,404 Borehole 38,483 576 828 1,015 1,296 1,948 3,480 5,379 70% B B B

DOWA 16,298 Borehole & River 39,293 576 636 874 1,242 1,971 3,561 5,540 91% B C C

MPONELA 20,745 Borehole 50,013 576 719 1,022 1,493 2,423 4,445 6,963 80% A B A

MADISI 10,507 Borehole 25,331 288 357 521 776 1,263 2,287 3,561 81% B B B

SALIMA 42,838 Borehole 89,575 2,400 2,274 2,727 3,403 4,948 8,563 13,041 106% A C B

SENGA-BAY 2,929 Borehole 5,718 360 240 277 332 483 655 807 150% C C C

CHIPOKA 3,371 Lake 6,582 504 303 345 407 535 808 1,136 166% C C CPARACHUTTEBATTALLION

1,346 Borehole 1,346 158 623 644 664 711 744 777 25% C A B

MAFCO 5,457 Lake 5,457 1,800 2,910 2,991 3,057 3,241 3,390 3,547 62% C B C

LIKUNI 52,160 Borehole 92,620 2,400 2,802 3,343 4,149 5,911 9,636 14,042 86% A B A

BUNDA 27,109 Dam 48,137 478 502 917 1,573 2,710 4,620 6,881 95% B C C

MCHINJI 17,288 Borehole & River 39,737 1,000 1,586 1,793 2,088 2,893 4,349 5,933 63% B B B

KOCHILIRA 4,515 Borehole 10,043 432 410 512 670 926 1,374 1,932 105% B C C

DEDZA 36,747 Borehole 66,850 720 1,573 2,056 2,792 4,436 6,722 9,080 46% A A A

BEMBEKE 1,937 River 3,308 57 89 114 152 224 356 509 64% C B CDEDZA SECONDARY

SCHOOL2,982 River 5,093 160 381 444 539 692 938 1,222 42% C A B

Ntcheu NTCHEU 14,953 Borehole & River 34,915 1,500 879 1,101 1,437 2,208 3,443 4,835 171% B C C

Total 787,754 17,641 22,338 27,320 34,811 50,786 81,362 117,526

79% 65% 51% 35% 22% 15%

Dedza

Mchinji

Lilongwe Rural

Dowa

Salima

水源の種類県取水状況 =既存施設容量/ 水需要予測

2035年人口による優

先順位

取水状況に

よる優先順

2035年人口及び取

水状況による優先

順位

2035年推定人口給水地区2012年人

既存取水可能量

(m3/day)地域

RWB 給水地区ごとの水需要予測(m3/day)

中部

Nkhotakota

2,012 2,015 2,020 2,025 2,030 2,035

MANGOCHI 34,944 River 80,322 2,700 2,895 3,205 3,852 5,523 8,442 11,618 93% A C B

MONKEYBAY 14,300 Lake 32,467 1,498 1,824 2,012 2,408 3,213 4,430 5,806 82% B B B

NAMWERA 7,626 Borehole 17,314 108 398 465 593 882 1,575 2,458 27% B A A

MACHINGA 3,909 River 8,184 108 914 965 1,098 1,347 1,718 2,132 12% C A B

LIWONDE 26,977 River 61,593 1,531 2,028 2,204 2,589 3,757 5,951 8,337 76% A B A

Balaka BALAKA 31,340 Dam 78,360 1,629 1,907 2,286 2,990 4,642 7,463 10,646 85% A B A

DOMASI 144,186 River 284,564 923 569 587 645 887 1,290 1,675 162% A C B

CHAWE 8,065 River 12,243 144 566 582 638 753 898 1,040 25% B A A

CHIRADZULU 2,426 River 3,683 101 234 253 298 411 559 695 43% C A B

NAMADZI TradingCenter

3,182 River 4,287 142 217 219 233 308 431 541 66% C B C

Mwanza MWANZA 2,835 River 3,819 576 1,100 1,474 2,130 3,480 6,541 10,218 52% C A B

Thyolo THYOLO 29,305 River 74,947 840 1,094 1,171 1,353 1,803 2,565 3,396 77% A B A

LUCHENZA 9,501 Borehole & River 20,595 346 924 1,005 1,183 1,634 2,634 3,771 37% B A A

MIKOLONGWE 15,356 Borehole & River 24,827 36 62 67 78 105 142 177 58% B A A

MULANJE 684 River 1,047 1,700 2,097 2,216 2,516 3,263 4,237 5,144 81% C B C

MULOZA Trading Center 20,685 Borehole 28,233 302 408 499 665 1,036 1,310 1,504 74% B B B

Phalombe PHALOMBE 7,826 River 10,682 330 453 572 786 1,215 2,275 3,662 73% B B B

CHIKWAWA 7,865 Borehole 25,737 648 1,407 1,706 2,258 3,416 4,549 5,562 46% B A A

NGABU Trading Center 18,674 Borehole 36,879 576 783 896 1,117 1,640 2,859 4,339 74% B B B

NCHALO Trading Center 15,453 Borehole 30,518 432 613 788 1,101 1,759 3,157 4,857 70% B B B

NSANJE 17,821 Borehole 35,194 504 883 1,123 1,555 2,382 3,954 5,841 57% B A A

BANGULA 21,928 Borehole 39,433 130 442 519 666 988 1,676 2,502 29% B A A

Total 914,926 15,303 21,817 24,814 30,753 44,446 68,656 95,921

70% 62% 50% 34% 22% 16%

Zomba rural

Machinga

Mangochi

Nsanje

Mulanje

Thyolo

Chiradzulu

取水状況 =既存施設容量/ 水需要予測

2035年人口による優

先順位

取水状況に

よる優先順

2035年人口及び取

水状況による優先

順位

水源の種類

Chikwawa

2012年人口

既存取水可能量

(m3/day)

南部

地域 県 給水地区 2035年推定人口

RWB 給水地区ごとの水需要予測(m3/day)

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㈱ニュージェック

(3) 事業の概要

表 9.8 は、実施がスケジュールどおり行われ、スキーム数が改善された場合の、2035 年の人口

予測に基づいた RWB 事業概要を示す。図 9.3 は、短期、中期、長期計画がスケジュールどおり実

施されたときの水需要予測と取水能力を示している。これにより、既存の取水容量は水需要予測

の下で 2020 年にはほぼ半分になることが明らかである。

この選択は、2012年の給水施設に基づいて荒く実施されたものであり、各RWBはより詳細な調

査ないしフィージビリティ調査を実施し、それに基づいて事業計画を守成する必要があることは

言うまでもない。

表 9.8 短期、中期、長期の事業概要

事業エリア 責任主体 事業概要、優先度

の考え方

2012年-2020年(短期計画) 2021年-2025年(中期計画) 2026年-2035年(長期計画)

スキームの数 人口 スキームの数 人口 スキームの数 人口

北部地域の町 NRWB

-施設のリハビリ/拡張

-取水能力の必要性

-町レベルの人口

3 212,943 2 141,151 2 52,494

中部地域の町 CRWB 同上 5 408,727 7 225,576 8 153,451

南部地域の町 SRWB 同上 10 390,244 10 519,349 2 5,334

出典:プロジェクトチーム

出典:プロジェクトチーム

図 9.3 RWB ごとの水需要と事業の実施

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

100,000

2012 2015 2020 2025 2030 2035

Cap

acit

y(m

3 /d

ay)

Wat

er

De

man

d(m

3/d

)

year

NRWB

既存・計画給水量 水需要

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

2012 2015 2020 2025 2030 2035

Cap

acit

y(m

3 /d

ay)

Wat

er

De

man

d(m

3 /d

)

year

CRWB

既存・計画給水量 水需要

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

2012 2015 2020 2025 2030 2035

Cap

acit

y(m

3 /d

ay)

Wat

er

De

man

d(m

3 /d

)

year

SRWB

既存・計画給水量 水需要

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9-11

9.2 地方給水

9.2.1 開発コンセプト

地方給水マスタープランの開発コンセプトは以下のとおりである。

マーケットセンターの事業に高い優先順位をつける:マーケットセンターは地方の中心地であ

り、地方の人口が流入して高い人口増加傾向にある。給水施設の建設を急ぐことが重要である。

地方における自然流下式水道スキームの事業を進める:自然流下式水道は建設後 20 年から 30

年経過している。そのため、いたるところで給水施設は老朽化し、破損している。修復や拡張

が重要である。この事業の給水率は地方の 8%である。

既存の深井戸および保護された浅井戸のモニタリングと評価:Borehole のスキームのためには、

村の運転・維持能力を向上させることが急務である。過去 3 年の間、モニタリングと能力開発

への支援が行われてきたが、一層の強化が必要である。

新規の深井戸掘削:依然として 30%の人々、すなわち約 300 百万人が安全な水にアクセスでき

ない。もし、帯水層があるのであれば、深井戸は地方における水の確保にとって効果的なアプ

ローチである。

地方における給水事業は、MoAIWD、地方政府および関係する地域水公社が実施している。表 9.9 にこの 3 組織の事業についての責任および活動を示した。

表 9.9 3 組織の事業についての責任および活動

分類 MoAIWD 地方政府 3 つの RWB

マーケットセン

ター

政策、法令、と戦略 モニタリングと評価 調整基金 研究開発の調整 FMCWSS から RWB への移行

促進

調整活動 WUAの管理と監督 計画策定と管理への参加 モニタリングと評価 WUAまたは他の管理組織の設立

の促進

F/S のコンサルタントとコント

ラクターの採用と監理 事業計画の策定と実施 村落への技術指導と OJT 地方政府から RWB への以降の

際のスキームの管理 自然流下式地方

給水スキーム 政策、法令、と戦略 計画策定 モニタリングと評価 調整基金 研究開発の調整

村落への技術指導と OJT

深井戸、保護さ

れた浅井戸、保

護された泉

-

出典:プロジェクトチーム

9.2.2 マーケットセンター

(1) マーケットセンターにおける事業の促進

パート I の 5.1.3 に述べたように、マーケットセンターは地方の中心としてとても重要である。

表 9.11 から表 9.13 にマーケットセンターをリストアップしている。このリストは基本的に

MoAIWD および地域水事務所から提供された情報に基づいている。

リストにある 154 のマーケットセンターのうち 18 が地域水公社によって管理されている。その

他については給水スキームがほとんどなく、すなわち給水は手押しポンプによって行われている。

詳細な人口および現況について、地区の役所、保健所、水事務所から情報を収集した。

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マーケットセンターにおける既存の給水施設は以下のとおりである。

リストには全部で 154 のマーケットセンターが記載されている。

水源は渓流または地下水である。

給水スキームは、自然流下式地方給水あるいは手押しポンプによる深井戸である。 人口が増加したため、スキームの給水能力で需要を十分に満たすことが出来ない。

(2) ロードマップ、開発目標、優先リスト

表 9.11から表 9.13に、マーケットセンターのリスト、2015年から2035年までの人口予測、およ

び優先順位を示した。給水スキームが地域水公社によって管理されている、もしくは管理される

計画である場合に、ランクが「A」に設定されている。MoLGRD によって優先順位が「1 番」とさ

れているスキームも「A」が付与されている。人口規模も優先させる要因として使用されている。

総合的優先度の決定に、これらの評価と人口規模を選択した。

表 9.10 マーケットセンターの事業概要

項目 対象・内容 責任主体 MoAIWD 事業内容 将来需要を満たすための給水施設のリハビリ/拡張(維持のための

公社の能力開発を含む) 給水人口: 2015 年 73%、2025 年-2035 年 98%

需要予測 人口 マーケットセンターの人口(マーケット施設を含む) 増加率 2008 年国勢調査からの推定

水消費 予想水消費、家庭接続の普及率、公共栓 計画の優先度の要因 RWB が給水スキームを管理ないし管理を計画している: A

MoLGRD が優先第1位にしている: A 2035 年の人口 <5,000 : C, 5,000-10,000: B, 10,000< : A RWB 管理と MoLGRD 優先順位の組合わせによる優先度 AAA A 短期 “A”と“C” B 中期 人口 “ C” C 長期

出典:プロジェクトチーム

(3) 水源の利用可能性

マーケットセンターのための水源の大半は電力ポンプによる地下水である。その他は、湖や川

の水によるものである。量と質の面から見た地下水の利用可能性については見直しが必要であり、

十分に調査する必要がある。マーケットセンターのための水需要は村落のそれよりも大きく、水

源のための情報が十分ではない。

(4) 給水スキームのコンポーネント

マーケットセンターの施設のコンポーネントは、深井戸、給水タンク(適切な場所がない場合に

は、地面に設置するほうが良い)、公共栓のついた配水施設である。マーケットセンターの中心部、

特に商業ゾーンから各戸に接続される。

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9-13

表 9.11 マーケットセンターのリスト (1/3)

出典:プロジェクトチーム、RWB、 MoLGRD

地域 県 マーケットセンター 2012年人口 2012年県人

口2015年人口 2020年人口 2025年人口 2030年人口 2035年人口

想定する水源

MoLGRDの優先度

プロジェクトの有無(計画・RWB管

理)

2035年人口 /MoLGED / プロジェクトの有無による優先

Nthalire 5,400 5,933 6,949 8,133 9,491 11,021 Groundwater No.1 A

Misuku 6,000 6,592 7,722 9,037 10,545 12,245 River No.2 A

Kameme 4,598 5,052 5,917 6,925 8,081 9,384 Groundwater B

Songwe 4,000 4,422 5,224 6,144 7,199 8,367 Groundwater Y A

Chilumba 7,039 7,782 9,193 10,813 12,668 14,724 Lake No.1 Y A

Nyungwe 2,573 2,844 3,360 3,952 4,630 5,382 Groundwater B

Chitimba 3,957 4,374 5,168 6,078 7,121 8,277 Groundwater B

Kaporo 4,218 4,663 5,508 6,479 7,591 8,823 Groundwater No.2 B

Mulare 3,716 4,083 4,824 5,674 6,647 7,726 Groundwater B

Mzenga 8,705 9,438 10,756 12,160 13,683 15,256 Groundwater No.1 A

Usisya 6,341 6,875 7,835 8,857 9,967 11,113 River No.2 A

Kande 1,078 1,169 1,332 1,506 1,694 1,889 Groundwater C

Mpamba 9,220 9,997 11,393 12,880 14,494 16,160 Groundwater A

Chintheche 4,205 4,559 5,196 5,874 6,610 7,370 Lake B

Chikwina 4,535 4,917 5,603 6,334 7,128 7,948 River Y A

Likoma Likoma 7,683 7,683 8,335 9,505 10,755 12,339 14,140 Lake A

Katowo 3,718 4,084 4,767 5,554 6,442 7,434 River No.1 A

Nchenachena 6,691 7,349 8,580 9,995 11,593 13,379 River No.2 A

Livingstonia 9,321 10,238 11,953 13,925 16,151 18,638 River A

Mphompha 4,887 5,368 6,267 7,301 8,468 9,773 Groundwater B

Bolero 8,046 8,838 10,318 12,020 13,941 16,088 River A

Chiweta 5,314 5,837 6,815 7,939 9,208 10,626 Groundwater A

Euthini 5,699 6,271 7,365 8,579 9,936 11,396 Groundwater No.1 A

Emfeni 1,925 2,118 2,488 2,898 3,356 3,849 Groundwater No.2 C

Ekwendeni 13,695 15,069 17,698 20,616 23,876 27,386 River A

Mbalachanda 3,750 4,126 4,846 5,645 6,538 7,499 Groundwater B

Bulala 2,984 3,283 3,856 4,492 5,202 5,967 Groundwater B

Edingeni 5,503 6,055 7,112 8,284 9,594 11,004 Groundwater A

Chikangawa 2,751 3,027 3,555 4,141 4,796 5,501 River B

Embangweni 5,489 6,040 7,093 8,263 9,570 10,976 Groundwater A

Champhira 1,875 2,063 2,423 2,823 3,269 3,749 River C

Kafukule 2,500 2,751 3,231 3,763 4,359 4,999 Groundwater C

Manyamula 1,832 2,016 2,368 2,758 3,194 3,663 Groundwater C

Jenda 3,089 3,399 3,992 4,650 5,385 6,177 Groundwater B

小計 34 172,337 337,932

Mzimba 51,092

Rumphi 37,977

Karonga 25,504

北部

Chitipa 15,998

Nkhata-Bay 34,083

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マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

9-14 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

表 9.12 マーケットセンターのリスト (2/3)

出典:プロジェクトチーム、RWB、 MoLGRD

地域 県 マーケットセンター 2012年人口 2012年県人

口2015年人口 2020年人口 2025年人口 2030年人口 2035年人口

想定する水

MoLGRDの優先度

プロジェクトの有

無(計画・RWB管

理)

2035年人口 /MoLGED / プロジェクトの有無による優先

Nkhamenya 6,990 8,607 11,782 15,569 20,094 25,057 River No.1 Y A

Chisemphere 3,540 4,359 5,967 7,885 10,177 12,691 River No.2 Y A

Chamama 7,400 9,113 12,474 16,484 21,274 26,528 River A

Santhe 6,286 7,741 10,596 14,002 18,071 22,535 River Y A

Msenjere 3,730 4,141 4,923 5,833 6,892 8,085 Groundwater No.1 A

Dwambazi 8,000 8,882 10,559 12,510 14,781 17,342 River No.2 A

Dwangwa 12,662 14,058 16,712 19,801 23,395 27,448 Groundwater Y A

Mwasambo 6,400 7,105 8,447 10,008 11,825 13,873 Groundwater A

Benga 4,130 4,585 5,451 6,458 7,631 8,953 Groundwater No.2 B

Bua 2,190 2,431 2,890 3,425 4,046 4,747 Groundwater No.1 C

Liwalazi 1,980 2,198 2,613 3,096 3,658 4,292 Groundwater No.2 C

Kasitu 2,100 2,331 2,772 3,284 3,880 4,552 Groundwater No.2 C

Ngala 2,430 2,698 3,207 3,800 4,490 5,267 Groundwater No.2 B

Malomo 4,200 4,670 5,570 5,185 6,165 5,741 Groundwater No.1 A

Khuwi 1,908 2,122 2,530 2,355 2,801 2,608 Groundwater No.2 C

Madisi 10,500 11,533 13,506 15,831 18,497 21,568 Groundwater Y A

Nambuma 4,870 5,349 6,264 7,342 8,579 10,003 Groundwater No.1 A

Bowe 3,400 3,734 4,373 5,126 5,990 6,984 Groundwater No.2 B

Mvera 3,968 4,358 5,104 5,982 6,990 8,151 Groundwater B

Mponela 4,300 4,723 5,531 6,483 7,575 8,833 Groundwater No.1 Y A

Lumbazi 4,500 4,943 5,788 6,785 7,927 9,243 Groundwater No.1 Y A

Thavite 1,460 1,615 1,906 2,247 2,653 3,125 Groundwater No.1 C

Chagunda 1,800 1,991 2,350 2,770 3,270 3,852 Groundwater No.2 C

Khombedza 2,800 3,097 3,655 4,309 5,087 5,993 Groundwater B

Chipoka 7,640 8,450 9,974 11,756 13,881 16,351 River Y A

Kaphatenga 2,400 2,654 3,133 3,693 4,360 5,137 Groundwater No.1 A

Kasiya 3,915 4,460 5,476 6,630 7,965 9,439 Groundwater Y A

Nkhoma 5,320 6,060 7,441 9,009 10,823 12,826 Groundwater No.2 A

Nsaru 2,620 2,984 3,664 4,436 5,330 6,316 Groundwater Y A

Namitete 6,891 7,850 9,638 11,669 14,020 16,613 Groundwater A

Sinyala 2,400 2,734 3,357 4,064 4,883 5,786 Groundwater B

Mitundu 6,872 7,828 9,612 11,637 13,981 16,568 Groundwater Y A

Nathenje 5,645 6,430 7,896 9,559 11,485 13,609 River A

Chimutu 2,800 3,189 3,916 4,741 5,697 6,750 Groundwater B

Lumbadzi 7,400 8,429 10,350 12,531 15,055 17,840 Groundwater Y A

Kabudula 2,130 2,426 2,979 3,607 4,333 5,135 Groundwater No.2 B

Mpingu 1,980 2,255 2,769 3,353 4,028 4,774 Groundwater No.2 C

Mkanda 8,750 9,390 10,602 12,023 13,665 15,537 Groundwater No.1 Y A

Kapiri 5,645 6,058 6,840 7,757 8,816 10,024 Groundwater No.1 A

Kamwendo 10,110 10,850 12,251 13,893 15,790 17,953 Groundwater Y A

Kochirira 1,780 1,910 2,157 2,446 2,780 3,161 Groundwater No.1 C

Nthema 1,850 1,985 2,242 2,542 2,889 3,285 Groundwater No.2 C

Mtakataka 6,369 7,604 10,012 12,826 16,131 19,732 Groundwater No.1 A

Mayani 5,039 6,016 7,921 10,147 12,762 15,611 Groundwater No.2 A

Linthipe 3,886 4,639 6,108 7,825 9,841 12,038 Groundwater Y A

Lobi 9,905 11,826 15,571 19,947 25,086 30,687 Groundwater A

Golomoti 6,400 7,641 10,061 12,888 16,209 19,828 Groundwater A

Chimbiya 1,750 2,089 2,751 3,524 4,432 5,422 Groundwater No.2 B

Bembeke 2,500 2,985 3,930 5,034 6,332 7,745 River No.1 A

Lizulu 4,696 5,221 6,227 7,412 8,813 10,444 River A

Senzani 5,333 5,930 7,073 8,419 10,011 11,863 Groundwater No.2 A

Bwanje 4,137 4,601 5,487 6,531 7,766 9,202 Groundwater B

Bilila 3,665 4,076 4,861 5,786 6,880 8,153 Groundwater B

Tsangano 2,659 2,957 3,526 4,198 4,991 5,915 River B

Manjawira 3,000 3,336 3,978 4,736 5,631 6,673 River No.2 B

Chingeni 2,700 3,002 3,581 4,262 5,068 6,005 River No.2 B

Mlangeni 3,000 3,336 3,978 4,736 5,631 6,673 Groundwater No.1 A

Kampepuza 1,800 2,001 2,387 2,841 3,379 4,004 River No.2 C

小計 58 264,532 264,532 634,567

24,216

43,622

6,108

31,538

16,100

47,973

Ntcheu

35,849

30,991

Mchinji

Dedza

28,135

Salima

Lilongwe

Ntchisi

Dowa

Kasungu

Nkhotakota

中部

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート:要約

㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ ㈱ニュージェック

9-15

表 9.13 マーケットセンターのリスト (3/3)

出典:プロジェクトチーム、RWB、 MoLGRD

地域 県 マーケットセンター 2012年人口 2012年県人

口2015年人口 2020年人口 2025年人口 2030年人口 2035年人口

想定する水

MoLGRDの優先度

プロジェクトの有

無(計画・RWB管

理)

2035年人口 /MoLGED / プロジェクトの有無による優先

Makanjira 5,800 6,289 7,178 8,174 9,305 10,551 Groundwater A

Malindi 6,800 7,373 8,416 9,583 10,909 12,371 Groundwater No.1 A

Namwera 6,500 7,047 8,045 9,160 10,427 11,825 Groundwater Y A

Nankumba 1,200 1,301 1,485 1,691 1,925 2,183 Groundwater C

Chilipa 2,108 2,286 2,609 2,971 3,382 3,835 Groundwater C

Maldeco 5,400 5,862 6,745 7,781 8,949 10,271 Lake Y A

Namiyasi 3,450 3,745 4,310 4,971 5,717 6,562 Lake No.1 A

Monkey Bay 6,300 6,839 7,870 9,078 10,440 11,983 Lake Y A

Cape Maclear 3,200 3,474 3,997 4,611 5,303 6,086 Lake No.1 A

Phalula 7,293 7,959 9,240 10,740 12,448 14,402 River No.1 A

Ulongwe 5,311 5,796 6,729 7,821 9,065 10,488 Groundwater No.2 A

Mangochi Turn off 3,100 3,383 3,928 4,565 5,291 6,122 Groundwater No.1 A

Kachenga 2,170 2,368 2,750 3,196 3,704 4,285 Groundwater No.2 C

Nayuchi 3,200 3,474 3,997 4,611 5,303 6,086 Groundwater No.1 A

Ngokwe 1,800 1,954 2,248 2,594 2,983 3,424 Groundwater No.2 C

Chikweo 1,740 1,889 2,173 2,507 2,883 3,309 Groundwater C

Nsanama 2,175 2,361 2,717 3,134 3,604 4,137 River Y C

Ntaja 2,181 2,368 2,725 3,143 3,615 4,149 River Y C

Namwera T/Off 1,800 1,998 2,389 2,865 3,424 4,087 River Y C

Turn Off (Malosa) 1,202 1,334 1,595 1,913 2,286 2,729 River C

Chinseu 2,700 2,997 3,583 4,297 5,136 6,130 River No.1 A

Jali 3,240 3,596 4,300 5,156 6,163 7,356 River No.2 B

Kachulu 1,348 1,496 1,789 2,145 2,564 3,061 Groundwater C

Mayaka 3,400 3,774 4,512 5,411 6,468 7,719 Groundwater B

Chingale 3,600 3,996 4,777 5,729 6,848 8,173 River B

Malosa 2,145 2,381 2,846 3,414 4,080 4,870 River No. 1 C

Thondwe 4,115 4,568 5,461 6,549 7,828 9,343 Groundwater No.1 Y A

Namadzi 2,944 3,227 3,780 4,454 5,236 6,163 RiverSRWB manages

water schemeB

Namitambo 1,500 1,644 1,926 2,270 2,668 3,140 Groundwater No.1 C

Mbulumbuzi 3,100 3,398 3,981 4,690 5,514 6,490 Groundwater No.2 B

Mbulumbuzi 3,120 3,420 4,007 4,721 5,550 6,532 Groundwater No.1 A

Nguludi 2,150 2,357 2,761 3,253 3,824 4,501 Groundwater No.1 C

Milepa 2,130 2,335 2,735 3,223 3,789 4,459 Groundwater No.1 C

Lirange Nkula 7,620 9,182 12,239 15,876 20,174 24,935 GroundwaterSRWB manages

water schemeA

Linjidzi 3,194 3,848 5,130 6,654 8,455 10,451 Groundwater No.1 A

Chikuli 1,460 1,759 2,345 3,042 3,865 4,778 Groundwater No.2 C

Thambani 4,200 4,493 5,037 5,639 6,277 6,955 Groundwater No.1 A

Kunenekude 3,800 4,065 4,558 5,102 5,679 6,293 Groundwater No.2 B

Neno 2,281 2,451 2,782 3,177 3,639 4,181 Groundwater No.1 C

Lisungwi 2,350 2,525 2,867 3,274 3,749 4,308 Groundwater No.2 C

Thekerani 4,087 4,615 5,597 6,714 7,988 9,394 Groundwater B

Goliati 6,804 7,683 9,318 11,178 13,299 15,640 Groundwater No.1 A

Bvumbwe 8,800 9,937 12,051 14,457 17,200 20,228 Groundwater No.2 A

Luchenza 16,901 19,084 23,145 27,766 33,034 38,848 RiverSRWB manages

water schemeY A

Masamanjati 2,800 3,162 3,834 4,600 5,473 6,436 Groundwater No.2 B

Muloza 5,248 5,497 5,918 6,325 6,704 7,039 Groundwater Y A

Chinyama 1,347 1,411 1,519 1,623 1,721 1,807 River No.2 C

Nkando 1,375 1,440 1,550 1,657 1,756 1,844 River Y C

Mkando 5,285 5,536 5,960 6,369 6,751 7,089 Groundwater No.1 A

Kamwendo 4,855 5,085 5,475 5,851 6,202 6,512 River No.1 A

Migowi 2,456 2,581 2,827 3,115 3,421 3,759 River No.1 C

Chitekesa 1,895 1,991 2,181 2,404 2,639 2,901 River No.1 C

Sombani 6,120 6,431 7,044 7,763 8,524 9,368 River No. 1 B

Mulomba 2,125 2,233 2,446 2,695 2,960 3,253 Groundwater No.1 C

Chiringa 3,120 3,279 3,591 3,957 4,346 4,776 River No. 1 C

Phaloni 4,180 4,393 4,811 5,302 5,822 6,398 River No.1 A

Chapananga 6,027 6,264 6,700 7,192 7,696 8,227 River No.1 A

Ngabu 15,889 16,511 17,661 18,959 20,287 21,687 GroundwaterSRWB manages

water schemeY A

Nchalo 18,323 19,042 20,367 21,865 23,395 25,010 GroundwaterSRWB manages

water schemeA

Bangula 10,147 10,936 12,487 14,401 16,525 19,020 Groundwater SRWB manages waterscheme A

Miseu Folo 4,250 4,580 5,230 6,032 6,922 7,967 Groundwater No.2 Y A

Marka 3,032 3,267 3,731 4,303 4,937 5,683 Groundwater B

小計 62 268,191 268,191 511,605

154 705,059 1,484,104

17,873

17,428

Mangochi 40,758

11,096

23,550

14,944

Nsanje

Chikwawa

Phalombe

Thyolo

40,239

18,110

19,896

Mulanje

39,392

Neno

8,000

4,631

Mwanza

Chiradzulu

Blantyre 12,274

Zomba

南部

Balaka

Machinga

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マラウイ国

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9.2.3 自然流下式水道による給水スキームで給水される村落

農村地域の人々は、マーケットセンターとコミュニティ(村落)に分類される。マーケットセンター

は、半都市のようなもので、村落は、ほとんど自然流下式水道あるいは地下水利用の深井戸による給水

方式で分類される。まず、自然流下式地方給水スキームは、1968 年に開始された。多くのスキームは、

1970 年から 1980 年の間に実施されている。地区水事務所の役員へのインタビュー調査によると、以下

の課題が指摘された。

リハビリテーション事業は、近年MoAIWDまたはNGOによって行われてきた。給水施設はリハビリ

と人口増加のために拡張した。加えて、事業の持続可能性のために以下に説明するように水利組合

(WUA)による管理システムがガイドラインに従って導入されている。

自然流下式水道による給水方式は、多数の利用者があり、多くの場合 10,000 人を超えると考えられ

ている。この事業では、大規模な事業エリア内に多くの村落が含まれている。MoAIWD が、円滑な事

業の促進と水利組合の組織化を主導することが非常に重要である。

(1) 自然流下式水道事業の促進

基本的に、(進行中であれ、計画段階であれ)自然流下式水道事業がその地域で行われるのであれば、

本マスタープランの効率性の観点から、その農村での給水の実施に優先度を与える。 表 9.15 から表 9.17

表 9.14 自然流下式水道事業の優先性

項目 対象・内容 責任主体 MoAIWD に支援された地方政府 事業内容 自然流下式水道施設のリハビリ/拡張

給水人口: 2015 年 73% 、2025 年-2035 年 98% 需要予測 人口 既存の給水スキーム

増加率 2008 年国勢調査からの推定 水消費 40 L/p/d 計画の優先度の要因 既存の給水スキームの計画人口と 2008 年国勢調査からの推定増

加率で推定された 2035 年の人口 <10,000: C, 10,000-50,000: B, 50,000<: A 2008 年国勢調査から推定された、安全な水へアクセスできない人

口率 <30%: A, 30%<:B 資金の利用可能性 YES: A, NO: B 優先度の組み合せ 資金の利用可能性=A A短期 人口とアクセス可能性 AA, AB, BA B 中期 Others C 長期

(2) 水源の利用可能性

自然流下式給水のスキームでは、多くの場合に河川水を水源とし、緩速ろ過を採用している。

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート:要約

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9-17

(3) 給水スキームのコンポーネント

自然流下式給水のスキームは、取水施設、搬送パイプ、処理プラント、給水池、配水池から構

成されている。

表 9.15 自然流下式水道スキームのリスト (1/3)

出典:プロジェクトチーム、MoAIWD

表 9.16 自然流下式水道スキームのリスト (2/3)

出典:プロジェクトチーム、MoAIWD

建設時の計画人口

給水栓数給水量

(m3/day)建設年

推定人口増加率

(%) 2015 2020 2025 2030 2035

MZIMBA Champhira South 32,000 206 1334.88 1987 3.4 71,391 0.22 15,706 76,973 90,404 105,307 121,961 139,889 27.3% A B B B

MZIMBA Champhira North 24,000 211 1367.28 1984 3.4 59,192 0.22 13,022 63,821 74,957 87,313 101,121 115,986 27.3% A B B B

MZIMBA Luwazi 8,000 72 466.56 1981 3.4 21,813 0.22 4,799 23,518 27,622 32,175 37,263 42,741 27.3% B B B C

MZIMBA Luzi 8,000 51 330.48 1975 3.4 26,658 0.22 5,865 28,743 33,758 39,323 45,541 52,236 27.3% A B B B

MZIMBA Msaka 3,000 48 311.04 1986 3.4 6,920 0.22 1,523 7,462 8,764 10,208 11,823 13,560 27.3% B B B C

MZIMBA Khosolo 10,356 139 900.72 1983 3.4 26,410 0.22 5,810 28,475 33,444 38,957 45,117 51,750 27.3% A B B B

RUMPHI Nkhamanga 12,000 168 1088.64 1978 3.0 31,828 0.39 12,413 14,945 18,417 24,168 27,155 31,430 ACGF & WB 30.3% B A A A

RUMPHI Hewe 8,000 60 388.8 1977 3.0 21,855 0.39 8,524 10,262 12,646 16,595 18,646 21,582 AFDB 30.3% B A A A

RUMPHI Ng'onga 2,000 48 311.04 1972 3.0 6,334 0.39 2,470 2,974 3,665 4,810 5,404 6,255 AFDB 30.3% C A A A

RUMPHI Livingstonia 3,000 21 136.08 1984 3.0 6,664 0.39 2,599 3,129 3,856 5,060 5,685 6,581 AFDB 30.3% C A A A

RUMPHI Muhuju 1,000 61 395.28 1973 3.0 3,075 0.39 1,199 1,444 1,779 2,335 2,623 3,036 AFDB 30.3% C A A A

RUMPHI Ntchenachena 3,200 122 790.56 2002 3.0 4,175 0.39 1,628 1,961 2,416 3,170 3,562 4,123 AFDB 30.3% C A A A

RUMPHI Chitimba 950 64 414.72 1997 3.0 1,437 0.39 560 675 831 1,091 1,226 1,419 AFDB 30.3% C A A A

RUMPHI Bale 4,800 36 233.28 1994 3.0 7,934 0.39 3,094 3,725 4,591 6,024 6,769 7,835 30.3% C A B C

NKATA BAY Lifutazi 11,000 64 414.72 1987 2.8 21,342 0.22 4,695 19,683 25,173 30,212 33,997 37,907 46.4% B A B B

NKATA BAY Msese 7,560 32 207.36 1991 2.8 13,134 0.22 2,889 12,113 15,491 18,593 20,922 23,328 46.4% B A B B

NKATA BAY Luwawa 8,880 74 479.52 1999 2.8 12,369 0.22 2,721 11,407 14,589 17,510 19,704 21,970 46.4% B A B B

NKATA BAY Usisya 14880 124 803.52 1997 2.8 21,903 0.22 4,819 20,201 25,835 31,007 34,892 38,904 WB 46.4% B A A A

NKATA BAY Ruarwe 1008 12 77.76 1995 2.8 1,568 0.22 345 1,446 1,849 2,220 2,498 2,785 46.4% C A B C

KARONGA Lufira/Karonga 30,000 250 1620 1983 3.4 76,506 0.14 10,711 51,344 64,876 86,898 100,824 116,395 19.9% A B B B

KARONGA Chilumba 4,000 37 239.76 1975 3.4 13,329 0.14 1,866 8,945 11,303 15,140 17,566 20,278 19.9% B B B C

KARONGA Ighembe 4,000 36 233.28 1983 3.4 10,201 0.14 1,428 6,846 8,650 11,586 13,443 15,519 19.9% B B B C

KARONGA Iponga 5,600 37 239.76 1983 3.4 14,281 0.14 1,999 9,584 12,110 16,221 18,820 21,727 19.9% B B B C

CHITIPA Chisenga/Chitipa 2,800 204 1321.92 1986 3.5 6,617 0.22 1,456 4,089 5,032 6,404 6,998 7,598 37.2% C A B C

CHITIPA Misuku 8760 73 473.04 1984 3.5 22,177 0.22 4,879 13,703 16,865 21,462 23,453 25,463 WB 37.2% B A A A

CHITIPA Nthalire 6120 51 330.48 1983 3.5 16,035 0.22 3,528 9,908 12,195 15,519 16,958 18,412 ISP 37.2% B A A A

CHITIPA Sekwa 10200 85 550.8 1997 3.5 16,511 0.22 3,632 10,202 12,556 15,979 17,461 18,958 37.2% B A B B

CHITIPA Chinunkha 4200 35 226.8 1975 3.5 14,491 0.22 3,188 8,954 11,020 14,024 15,325 16,639 37.2% B A B B

CHITIPA Ifumbo 3600 30 194.4 1982 3.5 9,763 0.22 2,148 6,033 7,424 9,448 10,325 11,210 37.2% B A B B

CHITIPA Chintekwa 5160 43 278.64 1998 3.5 8,070 0.22 1,775 4,987 6,137 7,810 8,534 9,266 37.2% C A B C

248,074 2,494 573,982 131,292 467,552 568,255 696,568 795,617 904,782計

2012年センサス

より県別自然流

下式利用者の割

自然流下式利用割合から換算され

る2012年地区別人口

地域 県

予測人口

北部

給水地区

既存施設建設年から換算される20 1 2

年人口

プロジェクト融資予定に

よる優先性

総合優先性プロジェクト

融資予定

2008年センサスによる

安全な水へのアクセス

ができない割合(%)

人口による

優先性

安全な水へのアクセス

率による優先性

建設時の計画人口

給水栓数給水量

(m3/day)建設年

推定人口増加率

(%) 2015 2020 2025 2030 2035

NTCHEU Mpira Balaka 222000 1850 1992 2.5 354,900 0.11 39,039 88,512 137,985 180,606 204,573 231,659 AFDB 24.1% A B A A

NTCHEU Dombole 22,000 146 946.08 1984 2.5 42,852 0.11 4,714 10,687 16,661 21,807 24,701 27,971 24.1% B B B C

NTCHEU Ntonda 25,000 109 706.32 1980 2.5 53,750 0.11 5,913 13,405 20,898 27,353 30,983 35,085 AFDB 24.1% B B A A

NTCHEU Sanjike 12,000 40 259.2 1980 2.5 25,800 0.11 2,838 6,435 10,031 13,129 14,872 16,841 24.1% B B B C

NTCHEU Kasinje 14,000 95 615.6 1983 2.5 27,951 0.11 3,075 6,971 10,867 14,224 16,112 18,245 24.1% B B B C

NTCHEU Nanyangu 20,000 118 764.64 1983 2.5 39,930 0.11 4,392 9,959 15,525 20,320 23,017 26,064 24.1% B B B C

NTCHEU Kalitsiro 1,000 13 84.24 1977 2.5 2,315 0.11 255 577 900 1,178 1,335 1,511 WB 24.1% C B A A

NTCHEU Chilobwe 1,200 14 90.72 1975 2.5 2,919 0.11 321 728 1,135 1,485 1,683 1,905 WB 24.1% C B A A

NTCHEU Lizulu 6,000 34 220.32 1978 2.5 13,553 0.11 1,491 3,380 5,269 6,897 7,812 8,847 WB 24.1% C B A A

MCHINJI Mchinji 20,000 105 680.4 1976 3.5 66,672 0.44 29,336 55,245 81,155 92,031 104,597 118,927 37.5% A A B B

DEDZA Ngwere 4200 35 226.8 1976 2.6 10,314 0.24 2,475 9,221 15,966 20,453 25,723 31,466 WB 34.5% B A A A

DEDZA Mongwera 1,400 10 64.8 1983 2.6 2,872 0.24 689 2,568 4,447 5,696 7,164 8,764 34.5% C A B C

DEDZA Mvula 8760 73 473.04 1983 2.6 17,973 0.24 4,314 16,069 27,824 35,644 44,828 54,836 ACGF 34.5% A A A A

DEDZA Ngodzi 19800 165 1069.2 2006 2.6 22,511 0.24 5,403 20,126 34,849 44,643 56,146 68,681 34.5% A A B B

NKHOTAKOTAMwansambo/ Kasakula 25,000 238 1542.24 1984 2.9 54,095 0.16 8,655 30,306 51,958 70,330 82,695 97,012 34.6% A A B B

NKHOTAKOTA Mwansambo/Mwadzama

18,000 100 648 1983 2.9 40,078 0.16 6,412 22,453 38,494 52,106 61,267 71,874 34.6% A A B B

NKHOTAKOTA Dwambazi 20000 250 1620 2004 2.9 24,431 0.16 3,909 13,687 23,466 31,763 37,348 43,814 34.6% B A B B

SALIMA Chipoka 10080 84 544.32 1991 3.2 18,926 0.49 9,274 20,923 24,697 29,111 34,372 40,490 19.4% B B B C

NTCHISI Mpamira 1680 14 90.72 1983 3.0 3,844 2.04 7,841 17,778 27,715 36,276 41,090 46,530 33.1% B A B B

452,120 3,493 825,686 140,345 349,031 549,841 705,054 820,317 950,523計

2012年センサス

より県別自然流

下式利用者の割

自然流下式利用割合から換算される2012年地区別

人口

既存施設建設年から換算される201 2

年人口

予測人口

地域 県 給水地区

中部

プロジェクト融資予定

2008年センサスによる

安全な水へのアクセスができない割合(%)

人口による優先性

安全な水へのアクセス率による優先性

プロジェクト融資予定による優先性

総合優先性

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ファイナルレポート:要約

マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

9-18 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

表 9.17 自然流下式水道スキームのリスト (3/3)

出典:プロジェクトチーム、MoAIWD

9.2.4 深井戸で給水される村落

(1) 深井戸/保護された浅井戸の新規設置

依然として深井戸/保護された浅井戸の新規設置が必要である。さらに、残りの場所では、地形、

水文地質、そして掘削機械の導入において困難が生ずる可能性がある。

建設時の計

画人口給水栓数

給水量

(m3/day)建設年

推定人口増加率

(%) 2015 2020 2025 2030 2035

MANGOCHI Lingamasa 12,000 210 1360.8 1981 2.7 26,687 1.59 42,432 37,733 33,034 37,615 42,819 48,557 24.4% B B B C

BALAKA Mpira-Balaka 222000 1,850 11988 1983 2.3 419,634 0.14 58,749 103,665 148,582 200,728 235,894 276,315 ACGF 17.0% A B A A

MACHINGA Kawinga 70,000 500 3240 1983 2.9 155,858 0.13 20,262 59,061 97,859 131,985 155,433 182,702 AFDB 33.0% A A A A

MACHINGA Liwonde 23,000 235 1522.8 1983 2.9 51,210 0.13 6,657 19,406 32,154 43,367 51,071 60,031 AFDB 33.0% A A A A

MACHINGA Naungu 1800 15 97.2 2001 2.9 2,396 0.13 311 908 1,504 2,029 2,389 2,808 AFDB 33.0% C A A A

MACHINGA Nkala 1080 9 58.32 2002 2.9 1,397 0.13 182 529 877 1,183 1,393 1,637 AFDB 33.0% C A A A

MACHINGA Chagwa 7,000 230 1490.4 1976 2.9 19,039 0.13 2,475 7,214 11,954 16,123 18,987 22,318 AFDB 33.0% B A A A

MACHINGA Chinkwenzule 2,000 9 58.32 1983 2.9 4,453 0.13 579 1,687 2,796 3,771 4,441 5,220 AFDB 33.0% C A A A

MACHINGA Lifani 20,000 151 978.48 1977 2.9 52,863 0.13 6,872 20,032 33,192 44,766 52,719 61,968 AFDB 33.0% A A A A

MACHINGA Zumulu 23,500 42 272.16 2001 2.9 31,277 0.13 4,066 11,852 19,638 26,486 31,191 36,664 AFDB 33.0% B A A A

MACHINGA Chanyungu 7800 65 421.2 2000 2.9 10,682 0.13 1,389 4,048 6,707 9,046 10,653 12,522 AFDB 33.0% B A A A

MACHINGA Chanyungu 2 1320 11 71.28 1983 2.9 2,939 0.13 382 1,114 1,845 2,489 2,931 3,445 AFDB 33.0% C A A A

MACHINGA Machinga 1200 10 64.8 1983 2.9 2,672 0.13 347 1,012 1,678 2,263 2,665 3,132 AFDB 33.0% C A A A

MACHINGA Doza 1320 11 71.28 2003 2.9 1,659 0.13 216 629 1,042 1,405 1,655 1,945 AFDB 33.0% C A A A

MACHINGA Mirala 13,000 146 946.08 1985 2.9 27,337 0.13 3,554 10,359 17,164 23,149 27,262 32,045 AFDB 33.0% B A A A

MACHINGA Mangale 1320 11 71.28 1983 2.9 2,939 0.13 382 1,114 1,845 2,489 2,931 3,445 AFDB 33.0% C A A A

ZOMBA Zomba East-Domasi 100,000 852 5520.96 1981 0.6 119,657 0.22 26,325 85,040 143,756 181,052 198,009 215,201 ACGF 19.1% A B A A

ZOMBA Zomba west 60,000 366 2371.68 1986 0.6 69,679 0.22 15,329 49,521 83,712 105,430 115,305 125,316 AFDB 19.1% A B A A

ZOMBA Makwawa south 8040 67 434.16 1986 0.6 9,337 0.22 2,054 6,636 11,217 14,128 15,451 16,792 AFDB 19.1% B B A A

ZOMBA Makwawa North 16,000 59 382.32 1986 0.6 18,581 0.22 4,088 13,205 22,323 28,115 30,748 33,417 AFDB 19.1% B B A A

ZOMBA Chingale 5,000 60 388.8 1968 0.6 6,467 0.22 1,423 4,596 7,769 9,785 10,701 11,630 AFDB 19.1% B B A A

MULANJE Namitambo 60,000 432 2799.36 1979 2.0 113,072 0.13 14,699 26,371 38,042 46,915 50,389 53,956 AFDB 22.3% A B A A

MULANJE Mulanje West 90,000 398 2579.04 1975 2.0 183,590 0.13 23,867 42,816 61,766 76,174 81,814 87,605 AFDB 22.3% A B A A

MULANJE Mulanje SW 24,000 181 1172.88 1989 2.0 37,104 0.13 4,823 8,653 12,483 15,395 16,535 17,705 AFDB 22.3% B B A A

MULANJE Lichenya 46,000 575 3726 1982 2.0 81,689 0.13 10,620 19,051 27,483 33,894 36,403 38,980 AFDB 22.3% B B A A

MULANJE Muloza East 32,000 89 576.72 1983 2.0 55,713 0.13 7,243 12,993 18,744 23,116 24,828 26,585 AFDB 22.3% B B A A

MULANJE Nalipiri 9,000 55 356.4 1983 2.0 15,669 0.13 2,037 3,654 5,272 6,501 6,983 7,477 AFDB 22.3% C B A A

MULANJE Chambe 28,000 460 2980.8 1979 2.0 52,767 0.13 6,860 12,306 17,753 21,894 23,515 25,179 22.3% B B B C

MULANJE Muloza crater 15,000 100 648 1983 2.0 26,115 0.13 3,395 6,091 8,786 10,836 11,638 12,462 22.3% B B B C

MULANJE Nalipili 25920 216 1399.68 1983 2.0 45,127 0.13 5,867 10,525 15,182 18,724 20,110 21,534 22.3% B B B C

MULANJE Phwera 32000 46 298.08 1983 2.0 55,713 0.13 7,243 12,993 18,744 23,116 24,828 26,585 AFDB 22.3% B B A A

MULANJE Nansato school 3000 7 45.36 1983 2.0 5,223 0.13 679 1,218 1,757 2,167 2,328 2,492 22.3% C B B C

MULANJE Mbewa VH 18 116.64 1983 2.0 0 0.13 0 0 0 0 0 0 22.3% C B B C

PHALOMBE Phalombe Major 145,000 907 5877.36 2005 3.1 174,149 0.28 48,762 56,428 64,095 84,047 96,620 110,518 14.5% A B B B

PHALOMBE Sombani 54,400 300 1944 1979 3.1 144,503 0.28 40,461 46,822 53,184 69,739 80,172 91,704 14.5% A B B B

PHALOMBE Phalombe Minor 46000 100 648 2005 3.1 55,247 0.28 15,469 17,901 20,334 26,663 30,652 35,061 14.5% B B B C

PHALOMBE Sakanena(Action aid) 4920 41 265.68 2007 3.1 5,559 0.28 1,557 1,801 2,046 2,683 3,084 3,528 14.5% C B B C

PHALOMBE Migowi 9,420 90 583.2 1971 3.1 31,945 0.28 8,944 10,351 11,757 15,417 17,723 20,273 14.5% B B B C

PHALOMBE Chiringa 3,200 41 265.68 1972 3.1 10,525 0.28 2,947 3,410 3,874 5,080 5,840 6,680 14.5% C B B C

THYOLO Didi 12,000 37 239.76 2005 2.5 13,916 0.38 5,288 12,295 19,301 23,155 27,548 32,396 35.2% B A B B

THYOLO Sankhulani 15,000 181 1172.88 2005 2.5 17,395 0.38 6,610 15,368 24,126 28,943 34,434 40,495 DAPP &UNICEF

35.2% B A A A

THYOLO Limphagwi 8000 85 550.8 1983 2.5 15,972 0.38 6,069 14,111 22,152 26,575 31,617 37,181 35.2% B A B B

THYOLO Mvumoni 9,000 85 550.8 2005 2.5 10,437 0.38 3,966 9,221 14,476 17,366 20,661 24,297 35.2% B A B B

THYOLO Mdala 1920 16 103.68 2005 2.5 2,227 0.38 846 1,967 3,088 3,705 4,408 5,183 35.2% C A B C

THYOLO Kalintulo 1440 12 77.76 1983 2.5 2,875 0.38 1,092 2,540 3,987 4,783 5,691 6,693 35.2% C A B C

CHIKWAWA Mwanza/ chapananga 60000 500 3240 1983 2.0 104,461 0.26 27,160 70,751 114,342 122,748 131,341 140,404 WB 26.3% A B A A

CHIKWAWA East Bank 18720 156 1010.88 1997 2.0 24,701 0.26 6,422 16,730 27,037 29,025 31,057 33,199 ACGD 26.3% B B A A

MWANZA Thabwani 4900 28 181.44 1983 4.1 15,094 0.05 755 3,550 6,345 7,047 6,637 6,030 28.5% C B B C

MWANZA Kukhoma 3500 15 97.2 1983 4.1 10,782 0.05 539 2,535 4,532 5,034 4,740 4,307 28.5% C B B C

MWANZA Nsupe 4080 34 220.32 1999 4.1 6,608 0.05 330 1,554 2,778 3,085 2,905 2,640 28.5% C B B C

MWANZA Mpeni 9189 47 304.56 1983 4.1 28,307 0.05 1,415 6,657 11,898 13,216 12,446 11,308 28.5% B B B C

NSANJE Mapelela 1200 10 64.8 2001 2.1 1,477 0.44 650 1,226 1,803 2,079 2,386 2,746 18.9% C B B C

NSANJE Chididi 3120 26 168.48 1972 2.1 7,017 0.44 3,088 5,826 8,564 9,877 11,334 13,045 18.9% B B B C

1,377,309 10,197 35,472 2,391,741 0 897,077 1,326,377 1,666,401 1,875,312 2,105,356計

自然流下式利用割合から換算される2012年地区別

人口

建設年から換算される20 1 2

年人口

2012年センサス

より県別自然流

下式利用者の割

予測人口プロジェクト融資予定

南部

地域 県 給水地区

既存施設

総合優先性

2008年センサスによる

安全な水へのアクセスができない割合(%)

人口による優先性

安全な水へのアクセス率による優

先性

プロジェクト融資予定による優先性

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート:要約

㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ ㈱ニュージェック

9-19

表 9.18に示されている優先度 A、B、Cは、安全な水源へのアクセスの有無、そして村の配水塔

(=自然流下式水道)の 2 つの評点に基づいて決められている。地区ごとの事業の優先度はこれら

の評点を組み合わせたものである。

表 9.18 地域水公社の事業概要

項目 対象・内容 責任主体 MoAIWD に支援された地方政府 事業内容 深井戸ののリハビリ/拡張

給水人口: 2015 年 95% 、2025 年-2035 年 98% 需要予測 人口 村落の全体又は一部

増加率 2008 年国勢調査からの推定 水消費 深井戸 1 基について 27-36 L/p/d 計画の優先度の要因 2008 年国勢調査から推定された、安全な水へアクセスできない

2012 年の地方人口率 <25%: A, 26-30%: B, 31%< : C 自然流下式給水率=2008 年国勢調査から推定された 2012 年の

共同配水塔率、表流水の可能性を意味する <5% : A, 6-14%: B, 15%< : C 取水条件と人口の組み合せによる優先度 AA, AB, BA A 短期 BB, AC, CA B 中期 その他 C 長期

出典:プロジェクトチーム

地区ごとの優先度が表 9.19に示されている。しかし、村の深井戸はBHNに基づいて設置される

べきである。この意味で、村の深井戸は要請があれば設置すべきである。

表 9.19 地区の優先順位に基づく深井戸事業のリスト

出典:プロジェクトチーム

2012 2015 2020 2025 2030 2035 2012 2015 2020 2025 2030 2035

All Malawi 9,348,577 10,297,882 10,952,810 12,391,082 14,266,077 16,408,636 9,348,577 9,406,256 9,562,786 10,735,484 12,403,477 14,323,072

Northern Region 1,146,393 1,239,464 1,315,181 1,490,607 1,723,184 1,986,257 1,146,393 916,143 928,153 1,035,511 1,204,246 1,399,295

CHITIPA 127,489 133,359 136,475 145,272 158,748 172,355 127,489 101,073 96,739 94,706 103,491 112,362 37.2% C 7 14.0% B C

KARONGA 177,912 195,852 209,665 239,975 278,432 321,432 177,912 134,570 132,233 136,258 158,094 182,510 19.9% A 4 8.3% B A

NKHATABAY 148,182 153,030 164,058 190,834 225,525 264,765 148,182 111,326 110,722 131,879 161,403 196,007 46.4% C 5 9.3% B C

RUMPHI 84,411 75,619 74,662 78,363 88,047 101,911 84,411 67,609 64,791 65,409 73,492 85,064 30.3% C 8 27.7% C C

MZIMBA 608,400 681,604 730,321 836,163 972,433 1,125,794 608,400 501,565 523,668 607,258 707,764 823,350 27.3% B 6 7.3% B BLIKOMA 0 0 0 0 0 0

Central Region 4,097,360 4,572,140 4,936,272 5,689,243 6,616,974 7,696,929 4,097,360 4,422,282 4,658,679 5,365,301 6,246,767 7,276,770

KASUNGU 539,397 604,205 665,813 795,905 960,236 1,157,706 539,397 618,396 690,558 838,825 1,016,457 1,229,912 49.8% C 3.8% A B

NKHOTAKOTA 207,988 227,813 242,729 279,567 328,719 385,629 207,988 184,035 156,888 163,373 192,096 225,353 34.6% C 3 8.5% B C

NTCHISI 203,104 223,774 245,113 287,020 338,209 399,262 203,104 226,696 252,034 297,226 350,060 413,097 33.1% C 1 3.7% A B

DOWA 495,807 575,698 652,222 799,776 970,206 1,167,583 495,807 580,784 661,582 816,462 992,174 1,195,669 47.6% C 1.6% A B

SALIMA 271,841 300,419 325,711 375,382 434,202 500,545 271,841 288,743 312,748 361,951 417,967 480,963 19.4% A 1 3.3% A ALILONGWE Rural 1,101,248 1,204,731 1,281,430 1,437,735 1,625,044 1,842,305 1,101,248 1,208,480 1,289,440 1,452,250 1,643,261 1,864,815 37.0% C 1.2% A B

MCHINJI 369,363 437,283 478,015 561,871 670,453 799,212 369,363 423,227 450,152 543,213 653,385 784,597 37.5% C 1 7.3% B C

DEDZA 544,529 586,425 614,648 677,686 752,661 836,309 544,529 553,444 549,578 594,257 644,110 700,455 34.5% C 4 2.3% A B

NTCHEU 364,083 411,791 430,591 474,302 537,245 608,378 364,083 338,477 295,698 297,744 337,257 381,910 24.1% A 8 14.5% B A

Southern Region 4,104,824 4,486,278 4,701,357 5,211,232 5,925,919 6,725,450 4,104,824 4,067,830 3,975,955 4,334,672 4,952,464 5,647,008

MANGOCHI 672,530 774,972 849,911 1,006,574 1,209,919 1,449,625 672,530 784,318 877,599 1,052,787 1,267,862 1,521,792 24.4% A 1 5.9% B A

MACHINGA 404,606 451,392 482,724 550,910 648,780 762,601 404,606 368,327 321,873 333,966 393,296 462,295 33.0% C 14 10.9% B C

ZOMBA Rural 502,944 542,520 561,783 604,191 660,778 718,149 502,944 433,434 355,673 344,607 376,883 409,604 19.1% A 5 8.7% B A

ZOMBA CITY 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 76.5%CHIRADZULO 264,820 283,500 293,913 313,406 334,981 356,355 264,820 283,079 294,225 314,700 336,633 358,363 12.6% A 1.5% A ABLANTYRE rural 215,590 226,124 216,956 222,975 231,250 236,433 215,590 225,653 218,499 228,016 237,072 242,743 21.5% A 6.9% B A

MWANZA 67,345 58,847 57,234 54,683 51,495 46,790 67,345 47,223 34,697 29,649 27,921 25,369 28.5% B 4 4.3% A A

THYOLO 500,034 512,616 526,045 563,889 614,741 667,753 500,034 485,198 473,024 501,872 536,858 572,131 35.2% C 5 4.5% A B

MULANJE 397,611 419,337 420,867 433,600 465,706 498,669 397,611 349,379 300,296 284,904 306,000 327,659 22.3% A 12 17.7% C B

PHALOMBE 187,930 225,289 222,837 229,739 264,106 302,095 187,930 199,839 206,484 208,295 239,454 273,897 14.5% A 6 38.2% C B

CHIKWAWA 368,988 394,700 424,408 485,108 564,427 654,786 368,988 341,983 326,750 392,506 471,094 561,533 26.3% B 2 8.5% B B

NSANJE 200,123 218,915 234,048 265,012 302,845 346,906 200,123 215,510 228,221 259,014 295,933 338,913 18.9% A 1 1.8% A A

BALAKA 220,545 253,665 267,098 300,266 352,871 413,335 220,545 209,182 194,350 201,987 237,373 278,047 17.0% A 1 20.5% C B

NENO 101,757 124,401 143,531 180,880 224,020 271,955 101,757 124,706 144,263 182,369 226,086 274,661 32.8% C 0.9% A B

ケース2:深井戸による給水人口 = センサス予測人口 - 既存・推定される自然流下シ

ステム給水人口- 想定される安全な水へアクセスできない人口 安全な水へのアクセスが出

来ない割合

2008年時点の自然流下

システム割合による優先性

深井戸の優

先性

既存の自然流下システ

ム給水地区数

2008年セン

サスによる

自然流下シ

ステムで給水されてい

る人口の割合

安全な水への

アクセスによる

優先度地域、県

ケース1: 深井戸による給水人口 = センサス予測人口-2008年センサスをベース

に増加率で推定される自然流下システム利用人口

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ファイナルレポート:要約

マラウイ国

水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

9-20 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

(2) 水源の利用可能性

残りの場所では、良好な帯水層が見つからなかったり、掘削機の導入が困難であるため深井戸

がないことがある。MoAIWD の地下水課が地方政府と調整して深井戸を設置し、深井戸の設置を

促進すべきである。

(3) リハビリの促進

現在、機能していない状態にあるものの多くは、ポンプの機械的な問題が原因である。経済的

効率性のアプローチによってリハビリ作業を促進することは重要である。これらのスキームの持

続可能性を確保するために運転担当の組織の強化が不可欠である。

(4) 給水スキームのコンポーネント

深井戸は、深さ 50 から 100 メートルの掘削孔、手押しポンプ、洗濯槽を持つ台から構成され

る。

9.2.5 地方給水事業のまとめ

表 9.20 に全てのプロジェクトが優先度に基づいて進行した時の地方給水、すなわち自然流下式によ

るマーケットセンター、村落への給水事業の結果を示している。上述の通り、深井戸の設置は全ての

地区で同時に行われる。

表 9.20 地方給水事業のまとめ

事業エリア 責任主体 事業概要、優先度

の考え方

2012年-2020年 (短期計画)

2021年-2025年 (中期計画)

2026年-2035年 (長期計画)

スキーム

の数 人口 スキーム

の数 人口 スキーム

の数 人口

マーケット センター

地区役所/RWB /MoAIWD/MoL

GRD

新しい給水シス

テム、人口の優先

度、MoLGRDの

インフラ事業

81 1,094,438 35 249,342 38 140,324

自然流下式給

水による村落 地区役所/MoAIWD

WUAのリハビ

リ・拡張・設立 47 2,112,983 22 1,358,125 33 516,327

深井戸給水に

よる村落 地区役所/MoAIWD

安全な水へのア

クセス可能性、地

下水の可能性

全ての地

2,546,778 (増加し

た人口)

全ての地

3,349,732 (増加し

た人口)

全ての地

4,356,115 (増加し

た人口)

出典:プロジェクトチーム

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート:要約

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10-1

10. 灌漑用水開発計画

10.1 計画フレームとコンセプト

マラウイは、食糧安全保障、所得増加、そして持続可能な経済成長を達成するにあたり、天水農業に

依存している。天水農業に過剰に依存しているため、農業生産高が低く、天候の激変や自然災害によっ

て生産性も低くなっている。水システムを十分に発達させることは、灌漑強化のためにきわめて重要で

ある。灌漑による農業の集中化を通して農業生産高と生産性を向上させることが可能性である。これに

より食料安全保障と農村生活を向上させる。農業の多様化を促進し、付加価値を高める。地方から都市

への人口流入を減らす。そして、持続可能な経済成長と発展に貢献する。上記を十分に考慮し、計画フ

レームは段階的に高めながら、目標年次に合わせ設定する。灌漑面積を拡大してゆく灌漑開発シナリオ

も同様である。

10.1.1 計画渇水年

水不足を解消するため、計画渇水年を灌漑局(DOI)との協議の結果、5 年に設定する。

10.1.2 段階的改善

マスタープランの最終目標年次である 2035 年までの約 25 年間を、2020 年までの短期、2025 年までの

中期、2035 年までの長期に区分する。灌漑開発スキームを灌漑開発効果のパラメーターである(a)費用効

率、(b)水資源の利用可能性、(c)開発の高い有効性に従って整理する。

10.1.3 灌漑開発シナリオ

毎年の灌漑開発計画について、DOIとの間で議論した。両者は以下の 2 つの開発シナリオに合意した。

第 1 は 2,500 ha/年という現実的なシナリオであり、第 2 は 5,000 ha/年という少し野心的なシナリオであ

る。図 10.1 に示したように、後者は SADC 諸国の標準的な開発進度にほぼ等しい。図は、既存の継続

プロジェクトと将来において計画されたプロジェクトを示している。2035 年の総灌漑面積は 2,500 ha/

年の低いシナリオで 150,000 ha、5,000 ha/年の高いシナリオで 210,000 ha である。

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㈱ニュージェック

出典: プロジェクトチーム、MoAIWD

図 10.1 灌漑開発シナリオ

10.1.4 計画コンセプト

灌漑開発計画は以下のプロセスとコンセプトの下で策定される。

a) 開発可能性にかかる意思決定は、水資源賦存量と 2 つのシナリオによるシミュレーションを通じ

た水需要量のバランスに基づいて行う。

b) 灌漑開発スキームは構造物対策と非構造物対策の組み合せとする。

c) 構造物コンポーネントは、堰又はポンプによる取水施設、搬送および分配用水路網、そして、配

水池および貯水池から成っている。適切なコンポーネントは、水の利用可能性と地形特性に応じ

て決められる。さらに、貯水池のスキームは大規模な水不足にも対応できるように提案される。

d) 非構造物対策としては、通常の品種から促成の品種への転換あるいは節水農法の導入などがあげ

られる。

e) 25 年間という長期の改善計画であるため、段階的、地域別の灌漑開発計画を策定する。このため、

費用効率、開発効果、水賦存量に基づいて開発の優先順位を決定する。 f) 最終的に、プロジェクトの妥当性を投資可能性、環境への影響、費用便益の面から検討する。

上記の計画策定プロセスとコンセプトを図 10.2 に示す。

Total Irrigation Area

90,000

100,000

110,000

120,000

130,000

140,000

150,000

160,000

170,000

180,000

190,000

200,000

210,000

220,000

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

2025

2026

2027

2028

2029

2030

2031

2032

2033

2034

2035

Year

Irri

gatio

n A

rea

(ha)

Malawi Irrigation Development Support Programme (MIDSUP)

Small Farms Irrigation Project (SFIP)

Agriculture Infrastructure Support Project (AISP)

Small holder Irrigation & Value Addition Project

GBI

Support to GBI

Shire Valley Irrig. Proj.

Shire River Basin Management Project

Songwe River Basin Development Programme

Development of Medium Scale Irrig. Proj.

DOI Major Irrigation Project

Total Irrigation Area with DOI Major Irrigation Project

#N/A

#N/A

#N/A

#N/A

#N/A

2,500 ha Annual Increase

2,500 ha Annual Increase

5,000 ha Annual Increase

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10-3

出典: プロジェクトチーム

図 10.2 灌漑用水開発プロセス

10.2 灌漑開発エリアおよび非構造物対策

水収支解析について述べる前に、その前提条件となる以下の事項について整理する:(a) 灌漑可能エ

リア、(b) 作付パターンと非構造物対策、(c) 既存の灌漑方法や灌漑効率等その他の要因。

10.2.1 灌漑可能エリア

現在、マラウイ全国灌漑マスタープラン調査が世銀の支援で行われている。灌漑可能エリアについて

は、地形、土地利用、人口、土壌条件、土地の勾配、環境、その他の GIS データの分析を通して検討し、

4,137,000 ha と見積もった。灌漑開発の可能性を明らかにするために、水資源エリア(WRA)ごとに灌

漑可能エリアを上限として水収支のシミュレーションが行った。

10.2.2 作付パターンと非構造物対策

作付方法の変更および作物転換を実施することにより、図 10.3 に示すように灌漑エリアの水消費量を

逓減することが可能となる。つまり、大規模な水利用施設を建設することなく費用対効果の高い灌漑の

開発を実施する可能性が高まる。なお、当初の水収支分析の結果から、乾期の初期段階においても依然

として水利用が可能であることが分かった。従って、耕作時期の前倒しや促成品種への転換などの作

水収支シミュレーション: 水収支シミュレーションを介して、各水資源区毎に水資源ポテンシャルと灌漑需要を比較する

灌漑開発方針: 非構造物的対応と構造物的対応の両者を組み合わせる

非構造物的対応:

1) 乾季栽培用トウモロコシから、3ヵ月で収穫できるグリーン・トウモロコシに作物を変更す

2) 節水灌漑により水消費量を削減する

総合評価:

1) 費用 (費用投入の可能性)

2) 環境 (影響度合い)

3) 費用対効果 (事業実施の可能性)

開発優先順位付け:

1) 費用効果

2) 開発効果

3) 水供給ポテンシャル

構造物的対応:

位置と水資源ポテンシャルに応じた灌漑施設計画とする

1) 取水堰、 水路整備、 配水池

2) 取水堰、 水路整備、 灌漑用ため池

3) 取水ポンプ、 水路整備、 配水池

4) 取水ポンプ、 水路整備、 灌漑用ため池

5) 農業用ダム貯水池、水路整備、 配水池

プロジェクト計画策定

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㈱ニュージェック

物の多様化が非構造物対策の一つとして提案された。5,000 ha/年のケースでは、作付方法の変更によっ

て通常の作付に比べてコストを 34%下げることが示されている(図 10.3)。

2500ha/年 5000ha/年 現在の作付方法 作付方法変更後 現在の作付方法 作付方法変更後

出典: プロジェクトチーム

図 10.3 作付方法の変更による水不足の改善効果(2035 年時点)

出典: プロジェクトチーム

図 10.4 耕作方法の変更による経済効果

充足率100%(支川による)

充足率100%(支川、本川による)

充足率100%(支川、本川、ダンボによる)

充足率75%以上(支川、本川、ダンボによる)

充足率75%以下(支川、本川、ダンボによる)

0

50

100

150

200

250

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

mill

ion

USD

WRA

Investment Cost (mil USD)

Normal Cropping Modification

TotalNormal Cropping : 1,247 mil USDModification : 817 mil USD

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

USD

/ha

WRA

Unit Cost (USD/ha)Normal Cropping Modification

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10-5

10.2.3 灌漑方法による灌漑効率の違い

灌漑用水の還元率を稲作地で 10%とし、その他の作物地では 0%に設定した。また、灌漑効率につい

て DOIと協議を行い、下表に示されているように設定した。

表 10.1 灌漑方法による灌漑効率の違い

灌漑方法 搬送効率 農地への適用効率 全体

Surface (border, furrow, basin) 80% 60% 48% Sprinkler 90% 75% 68% Drip 90% 90% 81%

出典: プロジェクトチーム

10.3 水収支解析

灌漑開発エリアの場所の設定を含む水収支分析と畜産用を含む灌漑水需要見積りが記載されてい

る。

10.3.1 水収支解析

月ベースの作付パターンと灌漑用水の供給や家畜の需要を含む水需要を用いて、水収支解析を WRA

ごとに行った。5月から 10月までの乾期での水収支解析の結果を、2,500ha/年と 5,000ha/年の 2つの開発

シナリオで図 10.5 に示す。両図に示したように、ほとんどの WRU でその第 2 次流域、本川、そしてダ

ンボから良好に灌漑用水を取水することができる。しかし、特定の WRA では、十分な水を取水するこ

とができない。66 の WRU のうち、乾期に 2,500ha/年と 5,000ha/年の開発シナリオのもとでそれぞれ 7

のWRU、11のWRUにおいて水不足が発生する。言い換えれば、2,500ha /年の開発シナリオにおいて、

すべてのWRUの 89%に相当する 59のWRUで大規模な貯水施設がなくても灌漑用水の開発を行うこと

ができる。

出典: プロジェクトチーム

図 10.5 2,500ha/年と 5,000ha/年の開発シナリオにおける WRU ごとの灌漑用水賦存量

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10.4 構造物対策

10.4.1 構造物対策の適用基準

地形、河川特性、取水施設の位置の優位性、および構造物構成の柔軟性の観点から、次の 4つの構造

物構成が灌漑開発に適用できると考えられる。

表 10.2 灌漑開発における構造物対策の適用基準

構造物構成 適用基準 コスト 1 a 支流の堰 貯水施設のない、通常のプロトタイプ。 低 b 水路/配管 c 配水池 2 a 支流の堰 プロトタイプに加えて、ポンプ施設またはダンボによって本川から

追加的に給水する。貯水施設はない。 中

b 水路/配管 c 本川のポンンプ場 d 配水池 3 a 支流の堰 プロトタイプに加えて、ポンプ施設またはダンボによって本川から

追加的に給水する。水不足に備えて余剰水を溜池に貯水する。 中

b 水路/配管 c 本川のポンンプ場 d 農業用溜池 4 a 支流の堰 プロトタイプに加えて、ポンプ施設によってマラウイ湖から追加的

に給水して水不足に備える。貯水施設はない。 高

b 水路/配管 c マラウイ湖のポンンプ場 d 配水池 出典: プロジェクトチーム

さらに、上述の構造物対策の構成は外部や周辺の環境に応じて調整される。

表 10.3 灌漑開発における構造物対策の適用可能性判断基準

水収支と第 2 次流域 水源 適用される主な施設

通常

支流 a 堰 b 水路/配管 c 配水池

支流および本川/ダンボ a 支流の堰 b 水路/配管 c 配水池 d ポンプ施設

山岳地の第 2 次流域におけ

る水不足

支流および本川/ダンボ a 支流の堰 b 水路/配管 c 農業用溜池 d ポンプ施設

マラウイ湖第 2 次流域での

水不足 支流およびマラウイ湖 a 支流の堰

b 水路/配管 c 配水池 d ポンプ施設

出典: プロジェクトチーム

10.4.2 灌漑開発における構造物対策の単価

灌漑開発のコストは、灌漑面積に同様の事業のコストと関連するレポートのデータから得られた単

価(USD/ha)を乗じて算出される。単価は、上記適用基準に基づいて以下に示される。

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10-7

表 10.4 構造物対策の単価

灌漑施設 単価 註 1 堰 + 水路/配管 +配水池 4,800 USD/ha プロトタイプ

2 堰 + 水路/配管+ ポンプ場+配水池 10,100 USD/ha 本川のポンプ No.1 に 5,300 USD/ha追加

3 堰 + 水路/配管+ ポンプ場+配水池 10,500 USD/ha 本川のポンプ

4 堰 + 水路/配管+ ポンプ場+配水池 13,300 USD/ha マラウイ湖のポンプ No.1 に 8,500 USD/ha追加

出典: プロジェクトチーム

10.5 事業費用と実施計画

10.5.1 事業費用積算

費用積算の条件を以下にまとめた。

表 10.5 費用積算の条件

内容 積算条件

(1) 建設費 労賃、建設資機材 (2) 物理的予備費 建設費総額の 12% (3) エンジニアリング業務費 建設費総額と物理的予備費の合計の 10% (4) 事務費 建設費総額物理的予備費、エンジニアリング業務費の合計の 4%

出典: プロジェクトチーム

建設費は WRU ごとに積算した(表 10.9 および表 10.10 参照)。下表にまとめたように、建設費と上

記の条件により、事業費用を積算した。総事業費は、2,500ha/年シナリオで 385 百万ドル、5,000ha/年シ

ナリオで 817 百万ドルである。

表 10.6 総事業費

WRA 2,500 ha/year 5,000 ha/year WRA 2,500 ha/year 5,000 ha/year

1 55.60 111.36 10 - -

2 1.33 2.07 11 - -

3 21.74 44.63 12 - -

4 4.25 8.50 13 - -

5 22.05 46.35 14 66.75 157.85

6 - - 15 58.71 123.56

7 55.55 111.70 16 55.56 111.31

8 22.92 56.89 17 17.36 36.72

9 2.86 5.88 Total 384.68 816.82

出典: プロジェクトチーム

次の図は、WRA ごとの灌漑開発地域、総事業費、単価を示す。図によると、水資源賦存量が豊富な

ため、灌漑開発は以下の 5 つの WRA に集中している:Shire(WRA1)、South Rukuru(WRA7)、Ruo

(WRA14)、マラウイ湖沿岸流域(WRA15 と WRA16)。

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出典: プロジェクトチーム

図 10.6 WRA ごとの総事業費積算結果

10.5.2 事業の優先順位付け

実施計画を策定するために、事業エリアを WRU として、定量的に優先順位付けを行った。費用効率、

開発効果と水供給賦存量を優先順位付けのためのパラメーターとして選択した。これらのパラメータ

ーは以下のように表現される。

費用効率:面積あたりの単価

開発効果:灌漑開発エリアの面積 水供給賦存量:面積あたりの水供給賦存量

表 10.7 事業の優先順位付けの評点

パラメーター 2,500 ha/年シナリオでの評点 5,000 ha/年シナリオでの評点 3 2 1 3 2 1

費用効率 6,500 USD/ha未満 6,500 USD/ha以上 7,000 USD/ha未満

7,000 USD/ha以上

6,500 USD/ha未満

6,500 USD/ha以上 7,000 USD/ha未満

7,000 USD/ha以上

開発効果 1,000 ha以上 500ha以上 1,000 ha未満 l500 ha 未満 2,000 ha以上 1,000 ha以上

2,000 ha未満 1,000 ha未満

水供給賦存量 60 m3/ha 以上 30 m3/ha 以上 60 m3/ha 未満 30 m3/ha 未満 60 m3/ha 以上 30 m3/ha 以上

60 m3/ha 未満 30 m3/ha 未満

出典: プロジェクトチーム

10.5.3 実施計画

実施計画を策定するために、灌漑開発エリアの面積に応じて以下の事業実施期間を設定した。

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

ha

WRA

Irrigation Area (ha)

2,500ha/year 5,000ha/year

Total2,500ha/year: 60,000ha5,000ha/year: 120,000ha

0

20

40

60

80

100

120

140

160

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

mill

ion

USD

WRA

Investment Cost (mil USD)

2,500ha/year 5,000ha/year

Total2,500ha/year: 385 mil USD5,000ha/year: 817 mil USD

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 14 15 16 17

USD

/ha

WRA

Unit Cost (USD/ha)2,500ha/year 5,000ha/year

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10-9

表 10.8 実施期間の設定

実施期間 開発シナリオにおける灌漑エリア

2,500 ha/年 5,000 ha/年 2 年 less than 500 ha 未満 1,000 ha 未満 3 年 500 ha 以上 1,000 ha 未満 1,000 ha 以上 2,000 ha 未満 4 年 1,000 ha 以上 2,000 ha 以上

出典: プロジェクトチーム

実施計画は、2 つの灌漑開発シナリオに従って、下記の方法で策定している。

表 10.7 に示されている評価点数により優先順位付けする:高い優先順位のものほど早期に開

始する。

表 10.8 に示されている実施期間を用い、年平均事業費用を算出(総事業費/実施年数)する。

灌漑開発の投資コストは毎年滑らかに上昇させる。

策定された実施計画を 2,500ha/年シナリオについては表 10.9 に、5,000ha/年シナリオについては表 10.10 に示す。さらに、毎年の累積開発面積と累積投資コストを図 10.7 に示す。

出典: プロジェクトチーム

図 10.7 策定された実施計画の累積面積と累積コスト

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表 10.9 2,500 ha/年開発シナリオにおける実施計画

Summary of Implementation Schedule of Irrigation Development Area (2500ha/year) Unit: ha

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035

A 584 3.61 6,182 3 7 584

B 710 4.37 6,155 3 7 710

C 766 4.70 6,136 3 7 766

E 515 3.33 6,466 3 1 515

F 263 1.64 6,236 2 13 263

G 677 4.25 6,278 3 1 677

K 823 5.05 6,136 3 7 823

L 578 3.55 6,142 3 7 578

M 626 3.85 6,150 3 32 626

N 273 1.68 6,154 2 44 273

O 761 4.68 6,150 3 32 761

P 587 3.62 6,167 3 32 587

R 1,051 6.48 6,166 4 1 1,051

S 731 4.5 6,142 3 7 731

T 90 0.55 6,111 2 13 90

A 21 0.6 30,000 2 44 21

B 60 0.4 5,982 2 13 60

C 14 0.09 6,278 2 13 14

D 7 0.25 37,774 2 44 7

A 530 3.28 6,189 3 32 530

B 481 2.96 6,154 2 44 481

C 1,020 6.28 6,157 4 13 1,020

D 562 3.45 6,139 3 32 562

E 730 4.48 6,137 3 32 730

F 211 1.29 6,114 2 32 211

A 15 0.10 6,761 2 32 15

B 299 1.84 6,154 2 13 299

C 67 0.43 6,418 2 13 67

D 187 1.15 6,150 2 13 187

E 100 0.61 6,102 2 13 100

F 19 0.12 6,192 2 13 19

C 464 2.28 4,914 2 44 464

D 399 2.50 6,266 2 44 399

E 1,543 9.69 6,280 4 13 1,543

F 1,209 7.58 6,270 4 13 1,209

A 2,229 13.71 6,151 4 13 2,229

B 930 5.73 6,161 3 32 930

C 1,030 6.32 6,136 4 13 1,030

D 2,727 16.78 6,153 4 13 2,727

E 405 2.49 6,148 2 44 405

F 864 5.30 6,134 3 32 864

G 557 3.42 6,140 3 32 557

H 292 1.80 6,164 2 13 292

8 A 3,728 22.92 6,148 4 13 3,728

A 209 1.28 6,124 2 44 209

B 256 1.58 6,172 2 44 256

B 95 3.22 33,853 2 57 95

C 8,974 63.53 7,079 4 44 8,974

A 3,094 19.02 6,147 4 13 3,094

B 4,983 35.37 7,098 4 44 4,983

C 608 4.32 7,105 3 56 608

E 3,374 20.75 6,150 4 1 3,374

F 3,785 23.29 6,153 4 1 3,785

G 1,873 11.52 6,151 4 1 1,873

A 16 0.10 6,314 2 44 16

B 970 5.97 6,155 3 32 970

C 1,836 11.29 6,149 4 13 1,836

Total 59,808 384.93 0 0 1,192 8,210 0 2,451 3,973 2,903 359 1,020 5,333 4,270 0 562 8,090 1,225 1,936 2,738 16 6,556 0 0 0 8,974

Accumulated Irrigation Development Area 0 0 1,192 9,402 9,402 11,853 15,826 18,729 19,088 20,108 25,441 29,711 29,711 30,273 38,363 39,588 41,524 44,262 44,278 50,834 50,834 50,834 50,834 59,808

Project Cost(mil USD)

WRA WRU Irrigation Area(ha)

Unit Cost(USD/ha)

ImplementationPeriod(year)

RankingTime Frame

Short Term Middle Term Long Term

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2

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5

7

9

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10-11

表 10.10 5,000 ha/年開発シナリオにおける実施計画

Table: Summary of Implementation Schedule of Irrigation Development Area (5000ha/year) Unit: ha

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035

A 1,171 7.20 6,149 3 5 1,171

B 1,422 8.93 6,280 3 5 1,422

C 1,534 9.63 6,278 3 5 1,534

E 1,032 6.82 6,609 3 5 1,032

F 527 3.31 6,281 2 12 527

G 1,356 8.77 6,468 3 1 1,356

K 1,649 10.36 6,283 3 5 1,649

L 1,158 7.27 6,278 3 5 1,158

M 1,254 7.87 6,276 3 28 1,254

N 547 3.43 6,271 2 41 547

O 1,525 9.61 6,302 3 28 1,525

P 1,176 7.39 6,284 3 28 1,176

R 2,107 15.81 7,504 4 28 2,107

S 1,464 9.2 6,270 3 5 1,464

T 180 1.10 6,111 2 12 180

A 41 0.8 19,756 2 41 41

B 120 0.8 6,231 2 12 120

C 29 0.19 6,627 2 28 29

D 13 0.32 24,175 2 41 13

A 1,063 6.53 6,143 3 28 1,063

B 964 5.94 6,162 2 41 964

C 2,044 12.57 6,150 4 12 2,044

D 1,125 7.99 7,102 3 53 1,125

E 1,462 9.00 6,156 3 28 1,462

F 422 2.60 6,161 2 28 422

A 30 0.21 7,099 2 41 30

B 600 3.69 6,150 2 12 600

C 135 0.84 6,215 2 12 135

D 376 2.31 6,144 2 12 376

E 200 1.22 6,102 2 12 200

F 39 0.23 5,934 2 12 39

C 930 6.68 7,183 2 55 930

D 799 5.02 6,283 2 41 799

E 3,091 19.42 6,283 4 12 3,091

F 2,422 15.23 6,288 4 12 2,422

A 4,467 27.47 6,150 4 12 4,467

B 1,864 11.46 6,148 3 28 1,864

C 2,064 12.70 6,153 4 12 2,064

D 5,464 33.61 6,151 4 12 5,464

E 811 4.99 6,153 2 41 811

F 1,730 10.86 6,277 3 28 1,730

G 1,115 7.00 6,278 3 28 1,115

H 584 3.61 6,182 2 12 584

8 A 7,470 56.89 7,616 4 41 7,470

A 418 2.64 6,316 2 41 418

B 515 3.24 6,291 2 41 515

B 190 4.05 21,289 2 55 190

C 17,911 153.80 8,587 4 41 17,911

A 8,200 44.01 5,367 4 12 8,200

B 9,986 70.90 7,100 4 41 9,986

C 1,219 8.65 7,096 3 53 1,219

E 6,761 41.57 6,148 4 1 6,761

F 7,586 46.65 6,149 4 1 7,586

G 3,754 23.09 6,151 4 1 3,754

A 32 0.25 7,892 2 55 32

B 1,943 11.96 6,155 3 28 1,943

C 3,679 24.51 6,662 4 28 3,679

Total 121,770 822.14 0 0 1,356 18,101 0 3,166 7,824 7,457 256 3,542 12,666 3,679 5,983 8,153 2,525 1,120 8,595 8,200 32 11,205 0 0 0 17,911

Accumulated Irrigation Development Area 0 0 1,356 19,457 19,457 22,623 30,447 37,904 38,159 41,701 54,367 58,046 64,029 72,182 74,707 75,827 84,422 92,622 92,654 103,859 103,859 103,859 103,859 121,770

Project Cost(mil USD)

WRA WRU Irrigation Area(ha)

Unit Cost(USD/ha)

ImplementationPeriod(year)

RankingTime Frame

Short Term Middle Term Long Term

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2

3

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5

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9

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11-1

11. 水力発電開発計画

11.1 水力発電開発計画の背景

水力発電事業は天然資源・エネルギー・環境省(MoNREE)によって 2030 年までの計画が策定され

ており、その計画に沿っていくつかの事業が実施されている。本章においてはその水力発事業を評価し、

現在および将来の条件に基づいて統合水資源管理(IWRM)の観点から整理する。

11.2 電力開発のロードマップ

水力発電開発およびその運転期間は、予算および調達状況によって変動するものの、MoNREE では

下表のとおり予想運転年数を算定している。

表 11.1 水力発電需要の評価結果

短期 ( -2020 年) 需要管理(DSM) 水力発電開発 ディーゼル発電開発

中期 (2021 年-2025 年) 水力発電開発 石炭火力発電の開発 バイオマス、風力 SAPP への相互接続

長期 (2026 年-2035 年) 石炭火力発電の開発 水力発電開発 地熱発電開発

電源開発のロードマップの概要は以下の通りである。短期には、主に、ピーク需要を下げるといっ

た効率的な電力使用の推進を意味する需要管理(DSM)によって電力需要に対応する。この期間におい

て、発電量の拡大といったような即効性の高い開発がそれに続く。中期には、主に、大規模な水力発

電開発によって需要に対応するが、石炭火力発電の開発と SAPP(南部アフリカ電力プール)への相互

接続やその他の再生可能エネルギー(バイオマス、風力)の開発がそれに続く。2026 年以降の長期には、

主に火力発電開発によって電力需要に対応し、水力や地熱発電開発がそれに続く。

*DSM (需要管理)は発電に含まれていない。 出典: プロジェクトチーム、Report by expert on electricity (2013) and MCC (2011)

図 11.1 電源開発のスケジュール

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030

Ele

ctri

city

Dem

and

& S

uppl

y [M

W]

Year

(Forecast) Private generation(Planning) Interconnection to SAPP(Planning) Geothermal power plant(Planning) Wind power plant(Planning) Biomass power plant(Planning) Coal thermal plant(Planning) Diesel plant development(Planning) Hydropower developmentExisting private generationExisting hydropower plantsMEIP Planned CapacityMEIP Demand ProjectionAverage of IAEA & MCC Demand ProjectionMCC (accelerate)IAEA (moderate)

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11.3 水力発電開発の評価結果

各水力発電貯水池について運転シミュレーションとエネルギー計算を実施した。各年の水力発電用

水需要の安全レベルを考慮して、水力発電利用に十分かどうかを評価した。図 11.2 は、上流に他の需

要が「ある」場合と「ない」場合の比較結果を示している。河川流域の上流における将来の水資源開発

が影響して水力発電貯水池に流入する水量が減少するため、この結果は、水力発電へのインパクトを

評価することができる。

下記の評価結果によれば、WRA-1(Shire)、WRA-5(Bua)、WRA-7(South Rukuru)、および WRA-17

(Wovwe)における水力発電事業は、上流で灌漑等の水資源開発を行った場合においてさえも、水資源

の十分性の観点から実現可能である。一方、WRA-9(Songwe)と WRA-16(Dwambezi)における水力

発電事業については、フィージビリティ調査において設計および運転についての詳細な最適化調査が

必要である。また、Songwe川とDwambezi川の水位観測所では河川流量データが不十分であるため、低

水解析結果に対する信頼性が低い。したがって、これらの河川についての水文観測は、水力発電開発

だけでなく水資源開発のためにも不可欠である

出典: プロジェクトチーム

図 11.2 水力発電にかかる水需要評価結果

11.3.1 水力発電開発についての提言および結論

評価結果によれば、マラウイにおける水力発電事業は、水資源の観点から実現可能であるといえる。

さらに、世銀の 1998 年におけるマスタープランレベルの調査で提案された複数の連続した開発は、単

一の開発よりも有益である。したがって、進行中の事業のためのフィージビリティ調査、さらに詳細

な設計のための調査は、より実現性の高い水力発電開発のために推奨される。

0

20

40

60

80

100

Kho

lom

bidz

o

Nku

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Tedz

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Mpa

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Kap

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Mal

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Bup

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olo

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mgo

nda

Wov

we

WRA 1 WRA 5 WRA 7 WRA 9 WRA14

WRA16

WRA17

Suff

icie

ncy

[%]

WITHOUT other demand WITH 2035 demand Safety Level

Sufficiency of Power Discharge Volume [%]= Annual Average Power Discharge Volume [M.m3/yr] / Max.Required Volume [M.m3/yr]

Shire River(Steady river flow is available) Bua River South Rukuru River Songwe River

Ruo River

Dwam-bedziRiver

WovweRiver

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11-3

11.4 情報の共有

降雨データを含む気象データは MoNREEによって、河川流量データを含む水文データは MoAIWDに

よって観測されていることから、これらのデータを水力発電開発調査のために共有することは、水力

発電を管理するために非常に重要である。灌漑や都市生活のための需要増を考慮すると、水力発電を

含む多目的ダム開発の必要性は、今後高まっていく。また、流域の上流における開発は下流の施設や

環境にかかる河川流量の状態に影響を与える。したがって、これらのデータ(水文データ、気象データ)

の共有と流域統合開発はいっそう重要になる。また、上記の観点から、MoNREE と MoAIWD との連携

がますます重要になる。

11.5 施設管理

11.5.1 土砂対策

水力発電貯水池内の堆砂は、持続可能な発電にとって最も重要な課題の一つである。貯水池内の堆

砂は、貯水容量を低下させるだけでなく、取水口からの流入によってキャビテーション及び発電用タ

ービンの損傷を引き起こす。

現時点では、Nkula、Tedzani、およびKapichiraなどの既存の水力発電貯水池での堆砂が深刻である。

ESCOM(マラウイ電力供給公社)によると、これらの土砂のほとんどは Liwonde の Kamuzu Barrage下

流の支流から来る。支流の川の土手が保護されていないため、洪水が発生したときに、河川沿いの耕

作地から土壌が河川に流れ込む。

対策としては、浚渫を行うことである。これらの貯水池は、マラウイ全体の発電にとって重要な役

割を果たしているので、貯水池の水位を下げて土砂を押し流すことは不可能ではない。そのため、浚

渫は、現時点で主要な対策である。ESCOM によると、Nkula 貯水池内の浚渫船は1年を通じて毎日 16

時間運転している。これらの除去された堆砂は肥沃であり、農業用肥料の一種として利用することが

できる。

浚渫による土砂の除去は短期的に主要な対策であるものの、砂防ダムや土地利用規制によって土砂

流入を減少させるなどの統合的な流域土砂対策が中·長期的に必要となろう。上流での支流からの土砂

の流入を低減するため、土砂流入量が大きい支流での砂防ダムが重要な対策の一つである。流域管理

の観点からは、河川沿いの耕作地を保護し、また、伐採から森林を保護することも効率的な対策であ

る。

11.5.2 雑草対策

取水口への雑草の流入も水力発電にとって問題である。ESCOM は、取水口での雑草の除去に苦しん

でいる。雑草の中には、Liwondeの Kamuzu Barrageや支流を通って流れて来るものもある。対策として、

Liwonde の上流点で雑草を除去することが効果的であり、Liwonde を通過してくるものの量が減少して

いる。しかし、上述の堆砂の増加と同じ原因によって支流からの土砂と一緒に流れる雑草が増加して

いる。したがって、前述したとおり、川岸を保護することが土壌浸食を防ぐために重要である。また、

川沿いの土地を耕作地として利用するのを制限することも有効である。

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11.6 コンフリクト・マネジメント

前述したように、灌漑で使用された水が川に還元される割合が低いので、上流における灌漑用の水消

費が水力発電への影響を与えることになる。水力発電のための水の使用は、はるかに多くの便益がある。

一方、灌漑用の水利用は、この国の食料安全保障に必要不可欠である。複数のセクターの間、特に灌漑

と水力発電の間に水利用上の競合が時々起こる(South Rukuru 川やシレ川での事例)。このような場合に

は、それぞれのセクターで水需要がどのくらい発生するのかを互いに議論することが不可欠である。 お

互いに議論する機会として、セクターワイドアプローチ(SWAp)や河川流域局(RBA)といった活動

や組織などが紛争解決に重要な役割を果たす。世界銀行が支援しているシレ川流域管理プロジェクト

(SRBMP)が施設管理だけでなくコンフリクト・マネジメントのために重要な役割を果たしている。

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12-1

12. 水関連災害

12.1 水関連災害の背景

12.1.1 災害状況一般

過去 30 年間のうちに干ばつ、地震、伝染病、洪水、嵐など 47 以上の自然災害が記録されている。そ

の中でも、洪水それに続いて干ばつが最も頻繁に発生し、嵐が最も少ない。 1991 年の洪水は 1989 年に

発生した地震による被害に次ぐ、2 番目に高い経済的損失を記録した。

加えて、1992 年から 2007 年の期間において、他の災害に比べて干ばつによる被害者が最も多く、

1992 年の干ばつ被害者数が最大であった。「マラウイおよび南部アフリカレポート:気候変動と経済パ

フォーマンス」(2003 年、世銀)によると、Karonga、Salima,、Zomba、Chikwawa、Nsanje の 6 地区が洪

水や干ばつの被害に脆弱であるとのことである。

UNDP の支援を受けて 2010 年に「マラウイ洪水リスク管理戦略報告書」が、DoDMAから出されてい

る。同戦略には、現況、直面している困難の説明、課題、機会と選択肢、洪水リスク管理戦略、そし

て実施計画が記述されている。しかし、DoDMA によると、活動が予定より遅れて再検討が必要となり、

さらに 2013 年水法の考え方と調和させる必要がある。

12.2 統合的洪水管理(IFM)

12.2.1 洪水制御の目的と基本方針

システム、機能、人材、DRM のような政府機関の予算を有効活用するため、洪水災害は、他の災害

防止活動を考慮した上で、防止および軽減がなされるべきである。また、国家災害リスク管理基本方

針において、マラウイ政府は、国のすべての利害関係者が、国、地方、コミュニティの各レベルにお

いて災害に強靭となるよう、この基本方針に沿って協力すべきであると宣言している。そのため、洪

水災害リスク管理は、国家 DRM に統合されるべきであり、その対策は政府組織から民間人のグループ

に至るすべての利害関係者が関与して行われるべきであるとしている。この文脈において、統合洪水

管理(IFM)はマラウイで推奨されるべきである。

土地と水の統合管理は、マラウイの河川流域のために非常に重要である。 IFM 計画は、すべての洪

水氾濫地域において、洪水被害を軽減することを目指すべきである。しかし、洪水被害地域があまり

に広範囲かつ散乱している。洪水被害領域が未開発であり、人口が少ないため、マラウイにおける大

規模な構造物対策の効率は非常に低くなっている。したがって、構造物および非構造物対策のベスト

ミックスで作られた適切な洪水管理が、洪水に強靭な社会を構築するために適用されるべきである。

12.2.2 洪水の状況と洪水管理戦略

(1) 常習的な洪水被害地域における洪水防止と軽減

常習的に洪水に脆弱な地域を見つけるための調査と分析がマラウイ政府およびプロジェクトで

実施されてきた。次の段階では、常習的に洪水に脆弱な地域での洪水防止と軽減のために、より

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詳細な調査と対策が実施されるべきである。対策は、気候変動の影響と費用便益を考慮した、構

造物および非構造物対策で構成される必要がある。

(2) 洪水に強靭な土地利用の創出

洪水の発生しやすい地域での無秩序な土地開発によって、洪水被害の可能性と洪水発生リスク

が増大する。マラウイでは、後背地と河川区域を適切に開発するための、河川区域と地籍エリア

の定義がうまく整理されていない。 2014 年 9 月に開催されたステークホルダー会議では、河川施

設の障害となり、また、河川からの越水を引き起こす堆砂を増加させないため、河川区域での耕

作の規制について利害関係者から提案があった。

土地の劣化と不適切な耕作方法によって、ほとんどの大河川で、かなりの堆砂を生じさせ、結

果として河川関連施設の容量を低下させている。これは、単純に河床が深いため数年前では洪水

とならなかっ水量でも、現在では洪水となることを意味する。例えば、Lifidzi川のLinthipe川に合

流する地点において、堆砂で河道が完全埋まってしまっている。こうした河川がいくつかある。

また、人々が洪水が発生しやすい地域に住んでいることも、直接、間接の洪水被害を防ぐために

問題である。対策を検討し、実施機関およびコミュニティを含む非構造対策や構造物対策を考慮

して、それらが状況に応じて提案されるべきである。

(3) 安全な避難の確保

人間の命を救うことが IFM 計画の最優先事項である。洪水への適切な対応もまた、洪水の被害

を最小限に抑えるために重要である。洪水予警報システムだけでなく、地域密着型の洪水管理を

伴った避難システムは、洪水時に人々を安全な場所に導くためのツールである。2014 年 9 月の時

点で、洪水予警報システムは世銀の技術支援によってシレ川流域に導入されようとしている。同

様の活動やプロジェクトは、洪水常習地域で実施されるべきである。

12.2.3 IMF の目的とロードマップ

IFM計画の目的は、マラウイで洪水に強い社会を構築するためのロードマップを提供することである。

IFMのロードマップは、洪水の条件、関係機関、政策や戦略の現在のフレームワークに基づいて変更さ

れる。 短期、中期、長期的な計画の概要は「洪水リスク管理戦略(2010)」で提案されている。しかし、

その戦略はDoDMAによる DRM活動開始や水法の制定、および 2011年の最大の洪水の発生前に策定さ

れたものである。条件に関しては、戦略がプロジェクトにおいて再検討され提案されなければならな

い。

12.2.4 IMF ロードマップのためのアクションプラン

IMF のためのアクションプランを以下に提案する。

DRM の整備状況を考慮した洪水リスク管理戦略の向上

河川の土地利用規制とハザードマップの整備

優先地域選択のためのリスク評価と将来における洪水緩和計画の策定

統合的な水資源管理を目的とした、関係政府期間および水利用者に情報をスムーズに提供する

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12-3

情報管理システムの強化

主要な脆弱地域に対して、洪水緩和工事が実施される前に地方政府によって臨時に実施される

べき対策や工夫を明らかにするためのフィージビリティ調査の実施

鉄砲水発生条件の調査

洪水防御工事のための技術ガイドラインの整備

洪水防御および緩和活動のための能力開発

洪水警報システムの整備

洪水防御工事の実施

災害復旧工事の実施

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13-1

13. 土壌浸食対策計画

13.1 調査結果

土砂流出にかかる現状と問題点については、いくつかのパイロットエリアにおいて調査分析が行われ

ている。調査分析は非常に限られたものであるが、その結果を如何に示す。

浮遊砂量は乾期よりも雨期にかなり大きい。

浮遊砂量は森林被覆率に反比例する。 土砂流出は、集水域条件によって異なるが、マラウイでそれほど大きくない。

13.2 流域保全の状況と方向性

流域の土壌浸食や劣化の主な要因は、低電化率による森林伐採、耕作地の拡大、人口増加、貧困、低

識字率、不十分な遵法によって引き起こされ、流域保全の課題となっている。こうした課題を解決する

ための主要なカギは、人口増加と貧困の下で如何にエネルギーを確保するかにある。薪、木炭等からエ

ネルギーを生成するバイオマスへの依存度は、2000 年に 93%であり、国家エネルギー政策では、2020

年に 50%に減少させ、同時に電力への依存度を 2.3%から 40%に増加させなければならないとしている。

今マラウイにおける電力の 94%は、水力によって発電され、依然として将来も主要な電気エネルギー源

となる。水力発電は、発電に非常に重要な役割を果たしており、水力発電の効率的かつ安定的な利用が

国の発展のために必要である。そのため、水力発電貯水池内の堆砂を防ぐために、植林などの土壌侵食

対策や流域保全を行うべきである。木炭などのバイオマスについては、悪影響を様々な分野に影響を与

えないために、持続的な利用及び管理が必要である。

13.3 ロードマップと活動

土砂量と既存および計画されたダムの位置を考慮して、土壌浸食対策や流域保全に関する行動を取る

ための優先的な WRU が選択される。下記の土壌浸食や流域保全のためのアクションのリストは、優先

的な WRA から実施されるべきである。

保全および共同管理計画の策定(土壌および森林の保全、流域の共同管理計画)

薪ではなく、燃料および電力の効率的利用

植林、里山、森林農業の促進

土壌浸食低減のための既存の農地における等高線農業

森林や流域の乱開発および破壊を防ぐための、居住地および農地に関する土地利用規制

沈砂施設、捨石護岸等による流域の土壌浸食の防止

NWRA、CMS および関連機関による管理

村民の啓発、能力開発による行動変容の促進 土壌浸食、土砂流出、貯水池の堆砂量を計測するためのモニタリング、評価

PDCA サイクルを考慮すると、非構造物および構造物対策は、そのいくつかが並行して実施されてい

るのであるが、適切な計画が策定された後に実施される。そして、モニタリングと評価、適切な維持管

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理が行われ、それが再び計画に反映される。これが繰り返し実施され、より良い土壌浸食対策や流域保

全が行われる。

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14-1

14. 水資源管理

14.1 マラウイの統合水資源管理

統合水資源管理(IWRM)の原則に従っ水資源管理は、非常に広いセクターで様々な社会経済活動の

ために水を利用している中心的な人々に認識され採用されている。IWRM は、地域および国の多様な状

況に適応することができる、水管理に対する柔軟なアプローチであることが証明されている。計画策定

と実施の詳細については地域の水問題や管理状況を反映する必要がある。

統合水資源管理システムは、水資源の管理と利用のための共通の概念的枠組みとなっている。マラウ

イ政府高官はその概念について納得している。しかし、組織制度は、過渡的なプロセスのままである。

以下の項目は、省庁の IWRM に向けた制度的な取り組みを向上させるため、地区の協調や国際協力活動

の実施チームとともに新しい部局を設置する提案を含め、上記のように明らかにされた課題の解決を目

的とするものである。

14.2 統合管理のための組織制度

国家水資源局と流域管理委員会の設立はマラウイにおける IWRM の実現に大いに貢献する。2012 年

の水資源法に基づいて、両組織の機能は、以下のように要約される。

14.2.1 組織の管理と調整

(1) IWRM による調整の概要

水資源法の意味するところと IWRM 政策に基づいて、NWRA と流域管理委員会を中心としたす

べての利害関係者の調整は、マラウイの IWRM の実現において大きな課題であろう。NWRA は独

立した組織であるが、MoAIWD と密接な関係があるため、水資源管理と開発プロジェクトに関す

る情報を共有するためにはMoAIWDと相互関係を持っていなければならない。MoAIWD以外の関

連する政府機関については、NWRA がセクター間調整を行うものとする。それらの間の適切な関

係は、次の図に示されている。

出典:プロジェクトチーム

図 14.1 組織間の関係と必要な調整活動

******** Forestry* Transport

* ** ** ** * Involving NGOs and Academic Society

Data/Information Exchange & SharingCoordination on Project's Effects to Both SidesSolving Emerging Problems in Both Sides

Relevant GovernmentalAgencies

Stream Flow & QualityGroundwater Table

Water SupplyServices Department

SanitationDepartment

Water ResourcesDepartment

Irrigation Areas &Status

Examining Wastewater Deterioration

NewOrganization

National Water ResourcesAuthority

Catchment ManagementCommittees

MoWDI

Wastewater &Hygiene

IrrigationDepartment

Monitoring Data/Information & Planning InformationUrban & Rural WaterSupply

HealthTourismAgriculture

Data/Information Sharing: Updating Monitoring Data & Progress of ProjectsEstablishment of Database System for Catchment Management Examining Available Water for Water Allocation

Land MatterNatural ResourcesEnergyEnvironment

MoAIWD

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(2) 水資源管理の組織能力強化の提案

プロジェクトチームは、課題を明らかにし、IWRM のための新しい組織の提案を行った。これ

らの新しい組織は、水分野の政策を舵取りするための中心的存在であり、国中の地区事務所の活

動を改善し、国際的な活動を調整する。図 14.2 は、水開発灌漑省(MoAIWD)と NWRA の提案さ

れた組織構成を示している。点線の四角で示すセクションは、このマスタープランで提案されて

いる新たな組織単位である。

出典:プロジェクトチーム 註:Water Tribunalは 2013年水資源法により設置される。

図 14.2 提案された MoAIWD と NWRA の組織構成

1) 国家水資源局の制度的フレームワーク

NWRA 設立に向けての移行過程にあるため、現在負っている省の責務の移転が少しづつ行われ

ている。NWRA の能力開発に必要なプロジェクトの概要を表 14.1 にまとめた。

Minister for Water Development

NWRA Water Boards

Dept.of Water

Resources

MoWDI

Dept. of Water Supply

Dept. of Sanitation

Dept. of Irrigation

Dept. of Admin

Water Tribunal

International Cooperation

(SWAp)

District Coordination

Office

Proposed Section

Dept. of Planning

These will be established according to

the new Water

Resources Act

MoAIWD

Minister responsible for Water Affairs

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14-3

表 14.1 NWRA の能力開発のために提案されたプロジェクト

プロジェクトの主題と背景 プロジェクトの構成 対象となる関係者

1.河川分類 河川水管理の目的のため、特に水質基準、保全規

則、分類による管理システムなど、規則によって

河川を分類システムが必要である。

1. 分類基準を設定する 2. 河川分類によって規則を制定する 3. 河川に関係する活動を行う利害関

係者が従うべき行動基準を知らせ

1. NWRA職員 2. 表流水セクション 3. 河川水のユーザー

2.河川の緩衝地帯の管理 川や湖の水などの水辺の管理を容易にし、川岸で

の耕作活動による堆砂と水の汚染を避けるため

に、緩衝地帯を設定する必要がある。しかし、人々

は園芸から食料と収入を得ていることから、実際

には園芸に対する別の方法が必要である。

1. 分類基準を設定する 2. 河川分類によって規則を制定する 3. 啓発活動への支援と配管を設置す

るなど別方法の給水による園芸

1. NWRA職員 2. 水の課題を担当す

る省庁 3. 河川水のユーザー

3. 流域管理 流域管理は、17 の WRAと全国の流域の管理と監

督の重要なカギである。1 つの流域管理委員会が

1又はそれ以上の流域を担当する。

1. 流域管理ガイドラインの作成 2. 流域委員会の設置 3. 水の配分、水利用の保全と規制に関

する活動の実施

1. NWRA職員 2. MoAIWD 職員 3. 地区役所 4. 水のユーザー

4.水利組合の登録 多くの水利組合が水利用を監視・管理するために

設立されている。しかし、これらの組織は現在法

令によって登録・規制されていない。多くの農民

が灌漑局、ブランタイア水公社、リロングウエ水

公社の下で水利組合を設立したが、そうした水利

組合を実際の活動レベルで規制し支援する監督

機関がない。

1. マラウイの全水利組合をリストア

ップし登録する 2. 水利組合の設置や規制の根拠とな

る法令の策定 3. 水利権料を NWRAに支払うことを

納得させる

1. 水利組合 2. 地区役所 3. NWRA職員 4. 水の課題を担当す

る省庁

出典:プロジェクトチーム、水資源法

2) セクターワイドアプローチ

セクターワイドアプローチ(SWAp)のための組織は、水分野に利害関係者の参加を得て、管理

体制を強化するために設立されている。技術作業グループは個々のプロジェクトや改善の進捗状

況を報告しているだけであるため、SWG は戦略的な課題を特定し、適切な政策介入と適切なプロ

ジェクトやプログラムを策定することができない。したがって、TWG と SWG の機能を調整して、

戦略的な課題を特定し、政策を形成するために、水開発灌漑省の各局から職員をTWGに参加させ

て、その活動を調整させ、計画策定活動を報告させる。また、全体の調整のため、事務局と連絡

を行わせる。図 14.3 は TWGs に配置される同省職員と SWAp 組織を提案している。

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図 14.3 水分野 TWG 組織構造の提案

14.3 表流水の管理

14.3.1 情報管理の状況

データおよび情報は、既存の水資源、開発の可能性、適切な水配分と水利用管理、水資源の保全、水

資源の管理と開発の計画の評価などの水資源管理のための活動の基礎となっている。マラウイでは、中

断期間があるものの、降雨観測は 1900 年代の初めから、水位観測と流量観測は 1940年代後期から、地

下水モニタリングはいくつかのエリアで 1970 年代から行われている。

14.3.2 水位観測と流量観測

300 以上の水文観測所がこれまでにマラウイに存在していたので、現在、MoAIWDの 136観測所と水

公社の 3 観測所の合計 139 観測所が稼働し、164 観測所が閉鎖されている。稼働している観測所のうち、

許容可能な稼働条件を有する局はわずか約 40%である。しかし、既存の観測所の改善またはリハビリ

や新規の設置は、資金不足が主な原因で実施されていない。現在、約 20 の自記観測所が稼働している

か、近い将来に稼働されることになっている。すなわち、SADC-HYCOS(南部アフリカ開発共同体水循

環観測システム)の観測所、アフリカ開発銀行によってデータ記録機が設置された観測所、およびゾン

バ水公社が経営するMulunguziダムに設置されたものである。優先観測所は、図 14.4に示されている。

TWG Secretariat (Ministry Official)

TWG Secretariat (Ministry Official)

TWG Secretariat (Ministry Official)

TWG Secretariat (Ministry Official)

TWG Secretariat (Ministry Official)

TWG Secretariat (Ministry Official)

Dept. official in charge at each TWG SWAp Secretariat

Sector Working Group

TWG Water Supply

TWG Sanitation and

Hygiene

TWG Water Resources

Management

TWG Monitoring &

Evaluation

TWG Irrigation

TWG Institutional

Development & Capacity Building

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14-5

表 14.2 短期、中期、長期の活動計画

期別 具体的活動 短期 “観測システム(組織と人材)”

以下の活動を、適切な観測と観測データの適切な収集・管理システムの開発のために優先観測所で行う: 観測員に適切な手当を設定し支給する。 優先観測所に勤務する観測員の訓練を実施する。 必要なスタッフを雇用する、空席のポジションに人を入れる、スタッフを訓練する、迅

速な活動のために移動手段を確保し予算を拡充するなど、地区事務所を強化する。 本部のデータ管理システムを強化する。

水位観測システムのための、信頼のおけるかつ安定した稼働・維持体制を整備するため、以下の活動を実施する。 観測員、観測所、機器の状況を確認する規則を制定し、また、その規則に従って各観測

所の状況を定期的に確認し、記録する 適切な数の人員を確保する。

“観測網(観測所と観測機器)” 優先観測所での信頼のおけるかつ安定した観測のため、観測所と観測機器の改善とリハビリを実施する。観測所の優先度に応じて、以下の活動を実施する。 観測所の現状確認と観測機器のリハビリまたは再設置 草刈り、木々の伐採、フェンスの清掃とリハビリ、必要な場合の再設置など観測所周辺

の維持 観測所へのアクセスロードのメンテナンス 1 次レベル観測所における交流量測定器のリハビリと再設置 1 次から 3 次レベルの観測所における流出量の横断観測

“観測活動” 現状の確認とリハビリを終えた観測所において流出観測を再開し維持する。流出観測結

果に基づいて既存の目盛り曲線の利用可能性の確認とアップデートを実施する。 中期 “観測システム(組織と人材)”

短期での活動のいくつかを引き続き実施する。 必要性の高い観測所を対象にして適切な観測システムを再構築する。 観測所の自動化に対応した適切な稼働・維持システムを構築する。 リハビリの済んだ観測所の増加に対応して適切な頻度での流出観測システムを開発し、

強化する。 “観測網(観測所と観測機器)” 必要性の高い観測所を対象に改善とリハビリを実施するため、短期での活動のいくつか

を引き続き実施する。 必要性の高い観測所を対象に観測所と観測機器の改善とリハビリを実施する 必要性の高い観測所を対象に自動水位計を設置する。

“観測活動” 短期の活動と同じ。

長期 “観測システム(組織と人材”) 中期において開発された信頼性の高く安定した観測システムと稼働・維持体制を適切に

実施して行く。 再開された観測所を対象に適切な観測システムを再構築する。 新しい観測所や自動観測所の設置を促進し、テレメーターシステムがあってもなくて

も、適切な管理システムを強化する。 “観測網(観測所と観測機器)” 中期で設置ないしリハビリを受けた観測所と観測機器を適切に維持して行く。 必要性の高い、再開された観測所を対象に観測所のリハビリを実施する。 必要な場合、新しい観測所や自動観測所の設置を促進する。 観測データが洪水予警報に使われる観測所のためにテレメーターシステムを導入する。

または水利用の観点から極めて重要でタイムリーなデータが必要とされる観測所にテレメーターシステムを導入する。

出典:プロジェクトチーム

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出典:プロジェクトチーム 図 14.4 優先度の高い水位・流出観測所

14.3.3 降雨観測

降雨観測など気象観測は MoNREE 下の気候変動・気象業務局によって管理されている。プロジェク

トでは、69 観測所のうち 23 観測所が十分な日雨量データを持っているとして選択された。この場合で

あっても、一つのステーションのカバーするエリアが 1,000 から 2,500 km2あり、平均して 1,400 km2で

大きい。また、観測所が均等に分布していない。例えば、WRA6 と WRA8 の上流にはない。さらに、

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14-7

69 観測所のほぼ半分で、1990 年代以降日雨量データが存在しない。上述の条件を改善するために、短

期、中期、長期計画が以下のように策定できる。

また、水資源管理の観点から、MoAIWD は降雨観測所を管理していないので、気候変動・気象業務

局による降雨データを入手する必要がある。タイムリーなデータ共有のためのフレームワークも開発

する必要がある。

表 14.3 短期、中期、長期活動計画

期別 具体的な活動 短期 “観測システム(組織と人材)”

信頼のおける安定した観測システムを構築するため、以下の活動を実施する。 配置された観測員の訓練 観測データ検討のためのマニュアル整備 データ収集、入力および管理の体制・システムの強化

信頼のおける安定した稼働・維持体制を構築するため、以下の活動を実施する。 観測員の必要な活動を確認するため明確な規則を制定する。 気候変動・気象業務局に適切な数の職員を配置し維持する。

“観測網(観測所と観測機器)” 約 100以上の観測所からなる、信頼のおける十分に分散した観測網を構築するため、信頼のおける観測所を増加させる。理想的な状態においては、(i)流域ベースの水資源管理のために各 WRUに1以上の観測所を設置する。また、(ii)各観測所の担当エリアは約 1,000 km2にする。

中長期 信頼のおける観測所がないエリアやほとんど存在しない流域に雨量観測所を設置し、観測網を持続的に強化する。 (i)観測の持続可能性を確保し、(ii)観測データを確認・比較してデータの質を確保する。

さらに、(iii)降雨強度を観測する目的で、既存の観測所に自動雨量観測機を設置して行く。

短期において構築された、信頼のおける安定した観測システムと稼働・維持体制を維持し、新たな観測所を設置する。

観測データが洪水常習地域の洪水予警報に使われる観測所のためにテレメーターシステムを導入する。

14.3.4 環境流量

通常、環境流量は、灌漑や家庭用水の摂取といった人間活動の影響を低減するために、河川環境のた

めに確保された流量である。マラウイでは川が乾期に干上がる傾向があるので、第一に、例えば特定の

種の維持やレクリエーション確保ために、環境流量を確保する目的を明らかにすべきであり、第二に、

基準点における環境流量はさらに詳細な調査を通じて決定されるべきである。特に大規模な水資源の開

発がある場合に、下流での環境と水のユーザーの補償のために環境流量を確保する必要がある。灌漑開

発が進むにつれ、河川流量が減少する。しかし、作付けパターンを改変することにより、ある程度改善

される。灌漑セクターは、水のほとんどの消費者である。そのため、開発による河川環境への影響を慎

重に考慮してすすめるものとする。

14.4 地下水管理

マラウイの人口増加により、地下水開発は次の 2点を目的に行われる:(a)深井戸からのポンプ汲み上

げ量を地下水の涵養量の範囲に維持するため、そして(b) ポンプ汲み上げ量の効率を高めるため。

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14.4.1 地下水開発のガイドライン

(1) マラウイの地下水資源賦存量

地下水賦存量は、一般的に涵養量に対応する。マラウイの各WRAの涵養量は、大まかにダルシ

ーフロー法及びマスタープランにおける水収支法を用いて推定されている。ほとんどすべての

WRUは、WRU5Dおよび5Eを除いて、2035年までの需要を満たすために十分な地下水が利用可能

である。Mchinji、Dowa、Nitchisi とリロングウエ地区の一部を含む 5D と 5E 流域は、2035 年に約

500 万 m3 にのぼる水不足が発生する。これらの水資源領域は、一般的に高原の一連の平らな土地

で構成されており、マラウイで最も低い涵養量(4 mm /年)を示している。このように、マラウイ

政府は、これらの地域において地下水に依存しないような水資源の利用を慎重に管理しなければ

ならない。

(2) 村落における方針

掘削孔建設の際の試験結果に基づいて調査を行ったところ、毎分 18.8 リットル以内の供給速度

である限り、各々の井戸の影響範囲は50m以内であることが判明した。そのため、井戸を100m間

隔で配置すれば、維持可能な井戸給水の実現が可能となる(ただし、供給速度は、帯水層のポテン

シャルを超えない状態であることが必要条件である。図 14.5 参照)。

図 14.5 村落における深井戸の適切な設置

(3) マーケットセンターにおける方針

150m3/day 以下の消費量を必要とする小規模なマーケットセンターにおいては、無理に大規模な

水供給施設を導入すると経済的効果が期待できなくなる。そのような場合は、村落と同様に、ハ

ンドポンプ式深井戸による供給が、最も適切な対策であると考えられる。一方で、250 から

1,000m3/day の給水量を必要とする中規模から大規模のマーケットセンターに対しては、基本的に

は水中ポンプを設置した井戸が望ましい。30m2/day 以上の高い透過率を有する良好な沖積帯水層

Lateritic soil (Impervious layer)

Confined aquifer (Pervious layer) Influence distance

50m

Borehole Interval Over 100m Basement Rock (Unpervious rock)

Depth: 30 – 50m (Down to Basement)

Basement Rock (Unpervious rock)

Discharge Rate: 18.8 liter/min

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14-9

である場合、マーケットセンターの状況に応じてグループ井戸を構築することにより、高い生産

性および費用効率を保ちつつ、比較的大きな水量の供給が可能となる。

しかしながら、グループ井戸構築による他の井戸への水位低下に係わる影響範囲は比較的広い。

そのため、グループ井戸は少なくとも他の井戸と 1km の間隔が必要である。また、適切な帯水層

から取水するためには井戸の深さは 70mまでに設定する必要がある。表 14.4 に地下水開発計画を

立案するに当たっての指標とその概略範囲を示す。なお、個々のマーケットセンターへの給水の

詳細計画立案においては、社会状況、地形・地質条件調査等を含むフィージビリティ調査の実施

が必要となる。

表 14.4 マーケットセンターにおける地下水開発の要件

帯水層 マーケットセンターの給水

対象人口 計画水消費量

(m3/日) ポンプの

種類. 井戸の配置

形式 井戸或いはグループ

井戸の個数 井戸の深さ

(m) 推奨取水量 (m3/井戸/日)

AL

< 3,000 < 150 Afridev Single < 15 30 - 50 10 5,000 250 Motive Single 1 - 4 50 80 - 250 10,000 500 Motive Single 2 - 5 50 - 70 100 - 250 20,000 1,000 Motive Group One group 70 - 100 350

30,000 < 1,500 Motive Group More than 2 groups 70 - 100 300

WB

< 3,000 < 150 Afridev Single < 15 30 - 50 10 5,000 250 Motive Single 5 50 50 - 60 10,000 500 Motive Single 7 - 10 50 - 70 60 - 80

20,000 < 1,000 Motive Single 10< 50 - 70 120 出典:プロジェクトチーム

14.4.2 地下水管理計画

マラウイでは、地方人口の増加に応じて水需要を満足させるために、地下水資源がより重要な役割

を占めている。しかしながら、井戸開発が急速に広まる一方で、地下水情報管理における責務とルー

ルの不在が原因で、1990 年以降の大量の貴重な井戸データが消失している。地下水の維持可能な使用

のためには、MoAIWD の職員が地下水情報を常に運用管理できるように、適切かつ体系的な管理シス

テムが必要である。ここでは、地下水管理システムを構築するためのロードマップと各種活動につい

て、短中長期の視点から下表に整理する。

表 14.5 地下水管理についての短中長期活動

期間 活動内容 短期 <地下水管理システムの枠組みの構築のための活動>

井戸データベースとデータベース管理システムの構築 地下水管理に関する総合的なガイドラインの構築(基本技術、通常業務、調達、データ処

理、データ整理・保管、データベースのメンテナンス等) <MoAIWD の Groundwater Division の強化のための活動> 地下水情報・資源の処理、解析、評価を実施するための“Groundwater Management Section”

の設立(Groundwater Division 内) 職員の能力強化および水文技術者の配備

<既存井戸の状況把握のための活動> 地下水資源に関するインベントリー調査の実施および調査を実施する職員の配備

中期及び長期

<短期の活動結果に基づいた地下水管理システムの構築> 短期における活動内容・結果のガイドラインへのフィードバック 運営管理に関する継続的なトレーニングの実施 地下水管理活動実施のための十分な予算の確保

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㈱ニュージェック

地下水に関するデータが蓄積したとしても、現在はデータフォーマット及び保存媒体が標準化され

ていないため、データは無計画に、様々な場所に保管されている状況である。そのため、データユー

ザーは、マラウイの地下水情報を有効に活用できないばかりか、情報収集および解析に必要以上の時

間を割くことになる。また、MoAIWD 内の部局間のコミュニケーションの欠如により、貴重なデータ

が不必要なものとして扱われ消失・廃棄されているケースが見受けられる。したがって、地下水情報

管理のためのシステムは、IT の基本原則および厳格なガイドラインに基づいて構築する必要がある。

以上を踏まえ、以下に持続可能な地下水管理を実施するために必要な活動についての提言を行う。

14.4.3 地下水観測

定期的な地下水観測が 2009 年に始まり、2013 年に自記水位観測計が観測可能な状態にある観測井に

設置され、地下水観測の状況は段階的に向上してきた。しかしながら、観測井の数は全国にわずか 30

井しかなく、マラウイ国の地下水の状態や将来の予測を実施するには不十分である。加えて、

MoAIWD の職員はデータロガー装置に不慣れであることも問題となっている。地下水観測は地下水の

挙動を即座に把握するための唯一の手法であるため、長期的な視点から、さらに密度の高いモニタリ

ングネットワークを構築する必要がある。

表 14.6 地下水観測に関する短中長期的活動

期間 活動内容 短期 自動観測に関する通常業務を強化するために、次の活動の実施が必要である。

データロガーからのデータ収集についてのマニュアル準備、コンピュターへのデータインプット、異常値の抽出、データロガーのメンテナンス

データ収集スタッフの配置及び教育 適切な維持管理費用の投入 新観測井の設置のために、観測井の適正な分布及び配置に係わるフィージビリティ調査の実

施および新規観測井の建設 中 期及 び長期

観測井の運営維持管理の活動の継続実施が必要である。 通常業務における観測井およびデータロガーのコンディションの確認 井戸の運営維持管理およびモニタリングの継続実施のための適正な費用の投入

14.5 観測情報管理システム

MoAIWD の水文データは、複数のデータベースに散逸しており、矛盾したデータが混在する状況であ

る。加えて、水文データの品質およびデータ処理を管理する適切なシステムが存在しない。現在は、デ

ータ収集システムおよびデータ品質の改善のため、“Strengthening Water Sector Monitoring and Evaluation

Project”および“Establishment of Water Resources Monitoring System”の二つのプロジェクトがNWDP-IIの一

環として実施されてきた。その結果、MoAIWD は情報管理システムの構築の重要性を認識するようにな

っている。その情報管理システムのコンセプトは、全ての MoAIWD の部局が中央データバンクに情報

を提供し、提供されたデータを政策意思決定のために処理・活用するというアイデアである。将来は、

NWRA が MoAIWD のシステムを引き継ぎ、地表水、地下水、水質等の水文情報をモニター・管理する

ことになるが、NWRA による観測・管理業務をスムーズに実施するために、MoAIWD においては次図

のような水文情報管理システムの設置が必要である。

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14-11

出典:プロジェクトチーム

図 14.6 提案する情報・データ管理システムの概観

このような中、上記情報・データ管理システムを効果的に運用管理するために必要な技術支援および

技術支援プログラムの実施および構築が必要である。次表に、MoAIWD 内の各分野において情報・デー

タ管理システムに関して実施すべきトレーニングプログラムを整理する。

Data Process (basic analysis)

District Level

Data Collection

Water Resource Node

Irrigation

Node

Excel

Irrigation area

Crop types

Irrigation methods

Water fees

Sanitation and

Hygiene NodeExcel

Wastew aterSew age

Monitoring

Wastew ater Quality

Water Supply

Node

Excel

% people w ith

improved w ater

Average total time

to collect w ater

Water point

functionality

No. of connection

Planning M&E Node

M&E coordination Process data

Sector Working Group

Policy Strategies formulation

Water Quality

Access/excel

Monitoring data

Surface Water

Hydstra

Flow Volume

Gauging data

Groundw ater

Excel/WISH

Borehole database

Construction records

Project Intervention

Data Provision/ recommendations

Central

Database

Quality Control of dataMoAIWD/NWRA

Process of Information

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表 14.7 情報管理システム導入において必要な能力強化

分野 情報管理システムに関する能力強化 現状 (2014) 給水 都市給水 ・システムの検査に関するトレーニングおよび実務演習 実施促進への支援が必要

地方給水 ・情報収集に関するトレーニングおよび実務演習 *EWB および WaterAid が 3 つの

ディストリクトで実施している。

灌漑 ・データベースの開発と活用に関するトレーニング JICAが 11ディストリクトで実施

した。 水資源

水質 ・水質観測および情報収集の実施 ・データベースの構築

NWDPIIの下で5 つのウォーターボード

にて実施中

表流水 ・システムの操作に関するトレーニングおよび実務演習 ・HYDSTRA データベースの構築・精査 実施促進への支援が必要

地下水 ・システムの操作に関するトレーニングおよび実務演習 ・WISH データベースの構築・精査 実施促進への支援が必要

公衆衛生 ・排水水質・観測に係わるデータベースの構築・活用に関

するトレーニング 実施促進への支援が必要 Water Resources Board(WRB) WRB のデータベースシステムの改善は、NWRAの設立に向けた一つの重要なステップである。全ての取水行

為を登録し、ライセンスを水利用者に配布し、その上でライセンス料が政府に支払われるべきである。WRBは、

現在一部の水利用者の情報をデータベースに登録しているが、情報の損失を防ぐために、それらのバックアッ

プファイルを定期的に更新し、加えてデータの欠損、ウィルスによる破壊、盗難等を防ぐ必要がある。 資料室 MoAIWD の資料室は、当該省に関係するドキュメント、報告書、年報および技術資料収集の役割を有している。

現在は、ハードウェアの資料が保管され、登録・保管システムは存在しないが、今後は、収集した全ての資料

に番号を付け、データベースに登録する必要がある。このような整備を経て、資料室を“National Water Resources Information Center”として位置付け、その活動を改善することは、今後の水資源開発管理における情報管理の一

助となる。 ICT office MoAIWD の Administration Department には ICT事務所を新設し、省内の PC、ネットワークシステム、データ管

理システムおよびサーバー等の設備について効率的に管理・メンテナンスを実施する必要がある。 地方水管理事務所(District Water Office) District Water Office は水位・流量・水質観測所を管理している。しかしながら、十分な職員を有する事務所は少

なく、特に水文技術者を有しているのは二つの事務所のみである。また、観測者への報酬が十分でないため、

観測者を継続的に雇用することが難しく、十分な移動手段を有してないことも相まって、観測所のメンテナン

スが適切に実施されていない場合が多い。このため現時点では MoAIWD が管理している 136 の水位観測所のう

ち、70 観測所における観測機器の再導入、交換が必要である。 *EWB: Engineers without Boarders (Canada)

14.6 水質管理

マラウイでは、水質管理活動および水質管理に関連する法整備は、他の水資源管理に係わる諸活動に

比べて遅れている。水質管理は、人の健康にとって必要不可欠な要素であるので、現在のように中央ラ

ボラトリーのみが中心になって実施するのではなく、政策策定に係わる根幹組織が参加して水質管理を

行う必要がある。また、人の健康および生態系を脅かす水質悪化による多くのリスクを、水質管理指標・

基準・ガイドラインの策定・順守を通じて逓減させ、マラウイ全土の水質管理システムを運営する必要

がある。これらを実現するために、水質管理のテクニカルワーキンググループを強化した上で、水質管

理の諸活動の NWRA への移管を効率的に進める必要がある。

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14-13

表 14.8 水質管理のための短中長期活動

期間 活動内容 短期及び中期

適切な水質管理を実施するために次のような活動が必要である。 水質管理のテクニカルワーキンググループ(TWG)メンバーの能力強化 TWG メンバー間の情報共有システムの構築 水質管理に使用している Dbase III から新データベースへの変換・活用 新データベースシステムの設計 新データシステムの運用管理に係わるラボラトリー職員へのトレーニング 水質サンプル収集・検査およびデータ入力・保管等の通常業務に係わるマニュアル作成 必要な水質検査機器の配備 水質観測および検査機器に係わる運営管理、情報管理および水質判読に係わる能力強化 ラボラトリーの運営管理のための十分な予算の配備 取水地点のインベントリー調査の実施 中央ラボラトリーにおける定期的な水質解析の実施(26 項目)

長期 短中期において作成・実施した諸活動の継続実施のために次のような活動が必要である。 短中期に実施した活動の評価と水質基準およびガイドラインへのフィードバック それぞれのラボラトリーにおける運営管理トレーニングの継続実施

出典: プロジェクトチーム

14.7 公衆衛生

汚水におけるマラウイの基準を満足させるために現状の汚水処理施設の能力を向上するためにも施

設のメンテナンスを確実に実施する必要がある。“National Urban and Rural Sewage Development and

Management Master Plan”を策定し、マラウイ国の水資源の安全を確保するために、下記に記述した内

容を含めた必要な活動を実施することを提言する。

(1) 都市における公衆衛生サービス

“National Sanitation Policy 2008”が Water Boards に関連する法的なガイドラインであり、このガイド

ラインには 1995 年の Water Actと同調して、市議会から Water Boards に公衆衛生に関する担当を移管す

る旨が記述されている。しかしながら“Annual Business Plan 2012/2013”によると、Water Board は公衆

衛生に関する具体的活動を未だ実施していないと指摘されている。しかしながら、実際のところ、市

議会が都市部における汚水の流集、処理、排水といった下水道システムのサービス提供者となっている

が、“Water Policy (2005) and Sanitation Policy (2008) ”によると、水道公社がサービス提供責任者である

と定義されている。このような状況であるため、都市部のサービス提供責任者については、担当機関、

責任範囲および役割の定義がマラウイ政府によって早期にオーソライズされるべきである。

(2) 地方における公衆衛生サービス

地方の公衆衛生サービス向上のために、おとし便所、セプティックタンク等のオンサイトの下水処

理の促進が District Council と健康省および MoAIWD (Sanitation and Hygiene Department)の連携で実施さ

れている。これらの関係機関においては地方の公衆衛生を向上するための組織・職員の能力の強化が

必要である。

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14.8 水資源開発施設の管理運営向上

14.8.1 上水関連施設

上水関連施設の管理については、飲料水の安全・安定供給に影響するため、適切かつ効果的・合理的

に実施する必要がある。一般的に上水関連施設の運営管理は、運営管理技術と維持管理技術の二つに大

きく分かれる。下表に上水関連施設の運営管理に必要な短中長期の活動を整理する。

表 14.9 上水関連施設の運営維持管理のための中短長期の活動

期間 活動内容 運営管理 短期 運営管理に係わる記録システムの準備(業務記録・日誌等)

運営管理マニュアルの準備 管理のための必要資機材の調達. 老朽化に関する調査の実施およびスペアパーツのストック 運営管理に関する関連組織の職員の能力強化

中期及び長期

運営管理業務および施設運営に係わる情報の記録の実施 運営管理に資するデータベースの構築 配送水の水量及び水圧の管理 水質管理の実施

維持管理技術 短期 メンテナンスマニュアルの準備

コンプライアンスマニュアルの準備 施設のメンテナンスのために必要な資機材の調達 老朽化施設の状況調査 短中長期のメンテナンス計画の立案 維持管理技術に係わる組織及び職員の能力強化の実施

中期及び長期

維持管理活動の実施および施設の機能向上の実施 施設の予防保全および改修の実施 施設の信頼性に関するリスク管理 メンテナンス記録保管のためのデータベースの構築

出典: プロジェクトチーム

14.8.2 灌漑施設

灌漑施設の管理は灌漑農業の発展に密接に関連している。灌漑施設の効率的な管理のために、それ

ぞれの灌漑開発スキームにおいて水利用組合(WUA)の構築および中央管理事務所の構築を提案する。

なお、管理事務所の管理システムは、灌漑開発の規模に応じて設定し、WUA は政府の灌漑担当職員と

共に灌漑施設の管理の役割を担う。また、灌漑施設の運営管理については、(1)中央管理事務所(CCO)、

(2)地方および灌漑区域毎の事務所および、(3)オンファーム管理事務所の3つに分け、下記の短中長期

の活動を実施することを提言する。

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14-15

表 14.10 灌漑施設の運営維持管理のための短中長期活動

期間 必要条件および活動内容 短期 <必要条件>

WUA が灌漑開発事業の受益者によって 2020 年までに構築される。中央管理事務所がそれぞれの灌漑エリアに設立され、必要なスタッフが 2020 年までに配備される。 <活動> 灌漑についての情報収集、プロジェクトサイト間の情報共有促進およびコミュニケーション

形成 灌漑施設の操作を通じた施説の運営管理についての経験確保 関係職員に対する灌漑施設の適切な運営管理のための能力強化の実施

中期及び長期

<必要条件> 2035 年までの灌漑開発事業の実施と同時に継続的な WUA および CCOs の設立。DOI が 2035 年まで灌漑情報および人的資源のネットワークの構築を継続実施する。 <活動> 灌漑施設の操作を通じた施説の運営管理についての継続的な経験確保. 関係職員に対する灌漑施設の適切な運営管理のための能力強化の継続的な実施

出典:プロジェクトチーム

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15-1

15. 事業実施計画

15.1 費用積算

15.1.1 費用積算の条件

事業の費用は、建設費、土地収用費、物理的予備費、予備・詳細設計および施工監理にかかるエン

ジニアリング業務費、施主による事務管理費が含まれる。これらの費用項目については下表に示され

ている条件に基づいて積算されている。

表 15.1 事業費用の積算条件

費用項目 費用積算条件

(1) 建設費 労賃、建設資機材 (2) 土地収用費 4 市の給水プロジェクトを除いて含まれていない。 (3) 物理的予備費 建設費と土地収用費の合計の 12% (4) エンジニアリング業務費 建設費、土地収用費、および物理的予備費の合計の 10%

(5) 事務管理費 建設費、土地収用費、物理的予備費、およびエンジニアリング業務費の合

計の 4% 出典: プロジェクトチーム

(1) その他の前提条件

1) 費用積算の基準年

マスタープラン(M/P)の費用は米ドル(USD)で積算され、2012 年 12 月の通貨換算レートを

用いている。すなわち、USD 1.00 = MK 329 = EURO 0.77 である。基準年(2012 年)の建設費と単

価は、以下の換算式と修正係数を用いて算出している。修正係数は、マラウイの GDP デフレータ

ーに基づいて算出している。

基準年(2012 年)の建設費 =その時の建設費

修正係数

2) 外貨および内貨の区分と事業コンポーネントの供用年数

投資費用は、過去の世銀レポートに基づいて、外貨および内貨に区分している。同様に、事業

コンポーネントの供用年数も過去のレポートに基づいて設定している。

15.1.2 事業費用の概要

本 M/P では、提案された事業を 4 つの分野に分類している。すなわち、統合プロジェクト、4 市の給

水、町と地方の給水、灌漑給水である。提案された各事業の費用概要を表 15.2 から表 15.4 に示した。

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15-2 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

表 15.2 マスタープラン事業の費用概要(1/3)

出典: プロジェクトチーム

Unit: Million USD

Short Term(2012-2020)

Middle Term(2021-2025)

Long Term(2026-2035)

■Integrated Project

Upgraded Kamuzu Barrage 35.83 35.83 0.00 0.00

■Water Supply for 4 Cities

Lilongwe New water source from Diamphwe dam 262.06 123.77 71.65 66.64

Development new groundwater borehole(+10,000m3/d) 5.20 5.20 0.00 0.00

Extension TWII (purification plant: +30,000m3/d) 5.00 5.00 0.00 0.00

Raising Kamuzu dam I and associatedrehabilitation works (+30,000m3/d) 5.10 5.10 0.00 0.00

Extension TWII(2nd) (purification plant:+30,000m3/d) and Technical Assistance 9.70 9.70 0.00 0.00

Network improvement 0.20 0.20 0.00 0.00

Rehabilitation of TWII 4.00 2.66 1.34 0.00

Network expansion 225.80 42.30 70.50 113.00

Sub-total 517.06 193.93 143.49 179.64

Blantyre New water source from Shire river 162.64 91.97 2.58 68.09

Network improvement 9.00 9.00 0.00 0.00

Network expansion 129.80 24.33 40.55 64.92

Poverty program (Kiosk and Toilet development) 14.00 3.50 10.50 0.00

Sub-total 315.44 128.80 53.63 133.01

Mzuzu New water source from Lambilambi andLichelemu dam 145.93 72.14 0.00 73.79

Network improvement 1.80 0.70 1.10 0.00

Network expansion 80.80 19.04 23.80 37.96

Sub-total 228.53 91.88 24.90 111.75

Zomba Raising of Mulunguzi dam and associatedrehabilitation works 10.20 0.00 0.23 9.97

Expansion existing TW (18,200m3/d to30,000m3/d) 8.14 8.14 0.00 0.00

Network improvement 3.60 2.88 0.72 0.00

Network expansion 7.30 0.98 2.45 3.87

Sub-total 29.24 12.00 3.40 13.84

Total 1,090.27 426.61 225.41 438.24

Proposed Projects Project CostTime Frame

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マラウイ国 水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

ファイナルレポート:要約

㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ ㈱ニュージェック

15-3

表 15.3 マスタープラン事業の費用概要(2/3)

出典: プロジェクトチーム

Unit: Million USD

Short Term(2012-2020)

Middle Term(2021-2025)

Long Term(2026-2035)

■Water Supply for Towns & Rural Water SupplyTowns 143.28 65.06 61.55 16.67Market center 123.23 77.52 24.86 20.85Community by Gravity-fed WS 136.82 73.56 44.49 18.77Community by Borehole WS 287.42 71.88 71.88 143.66Total 690.75 288.02 202.78 199.95

■Agriculture & IrrigationWRA WRU

A 3.67 3.67 0.00 0.00B 4.48 4.48 0.00 0.00C 4.78 4.78 0.00 0.00E 3.44 3.44 0.00 0.00F 1.78 1.78 0.00 0.00G 4.26 4.26 0.00 0.00K 5.14 5.14 0.00 0.00L 3.62 3.62 0.00 0.00M 3.87 3.87 0.00 0.00N 1.71 0.00 1.71 0.00O 5.10 0.00 5.10 0.00P 3.65 3.65 0.00 0.00R 7.04 7.04 0.00 0.00S 4.57 4.57 0.00 0.00T 0.60 0.60 0.00 0.00A 0.56 0.00 0.00 0.56B 0.41 0.41 0.00 0.00C 0.09 0.09 0.00 0.00D 0.14 0.00 0.00 0.14A 3.76 0.00 0.00 3.76B 3.42 0.00 0.00 3.42C 7.25 0.00 5.44 1.81D 3.99 0.00 0.00 3.99E 5.19 0.00 0.00 5.19F 1.50 0.00 0.00 1.50A 0.23 0.00 0.00 0.23B 2.09 2.09 0.00 0.00C 0.44 0.44 0.00 0.00D 1.22 1.22 0.00 0.00E 0.64 0.64 0.00 0.00F 0.12 0.12 0.00 0.00C 3.11 0.00 0.00 3.11D 2.61 0.00 0.00 2.61E 10.17 10.17 0.00 0.00F 7.94 7.94 0.00 0.00A 14.68 14.68 0.00 0.00B 6.14 0.00 6.14 0.00C 6.77 6.77 0.00 0.00D 18.23 18.23 0.00 0.00E 2.70 0.00 0.00 2.70F 5.78 0.00 5.78 0.00G 3.72 0.00 3.72 0.00H 1.94 1.94 0.00 0.00

8 A 24.94 12.47 12.47 0.00A 1.37 0.00 0.00 1.37B 1.64 0.00 1.64 0.00B 0.63 0.00 0.00 0.63C 63.88 0.00 0.00 63.88A 22.01 0.00 0.00 22.01B 46.81 0.00 0.00 46.81C 7.40 0.00 0.00 7.40E 24.00 12.00 12.00 0.00F 26.93 0.00 20.20 6.73G 13.33 6.67 6.67 0.00A 0.25 0.00 0.00 0.25B 6.91 0.00 0.00 6.91C 13.06 0.00 9.80 3.27

Total 425.71 146.78 90.66 188.28

Project CostTime Frame

1

2

2,50

0ha/

year

3

4

5

7

Proposed Projects

9

14

15

16

17

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水資源マスタープラン策定能力強化プロジェクト

15-4 ㈱建設技研インターナショナル ㈱オリエンタルコンサルタンツ

㈱ニュージェック

表 15.4 マスタープラン事業の費用概要(3/3)

出典: プロジェクトチーム

Unit: Million USD

Short Term(2012-2020)

Middle Term(2021-2025)

Long Term(2026-2035)

■Agriculture & IrrigationWRA WRU

A 7.36 7.36 0.00 0.00B 8.94 8.94 0.00 0.00C 9.54 9.54 0.00 0.00E 6.91 6.91 0.00 0.00F 3.53 3.53 0.00 0.00G 8.54 8.54 0.00 0.00K 10.28 10.28 0.00 0.00L 7.20 7.20 0.00 0.00M 7.73 7.73 0.00 0.00N 3.41 0.00 3.41 0.00O 10.18 6.79 3.39 0.00P 7.32 7.32 0.00 0.00R 14.07 14.07 0.00 0.00S 9.12 9.12 0.00 0.00T 1.22 1.22 0.00 0.00A 0.73 0.00 0.00 0.73B 0.81 0.81 0.00 0.00C 0.20 0.20 0.00 0.00D 0.21 0.00 0.00 0.21A 7.55 0.00 0.00 7.55B 6.84 0.00 0.00 6.84C 14.51 0.00 10.88 3.63D 19.33 0.00 0.00 19.33E 10.39 0.00 0.00 10.39F 3.00 0.00 0.00 3.00A 0.43 0.00 0.00 0.43B 4.16 4.16 0.00 0.00C 0.88 0.88 0.00 0.00D 2.42 2.42 0.00 0.00E 1.28 1.28 0.00 0.00F 0.24 0.24 0.00 0.00C 6.20 0.00 0.00 6.20D 5.25 0.00 0.00 5.25E 20.31 20.31 0.00 0.00F 15.92 15.92 0.00 0.00A 29.37 29.37 0.00 0.00B 12.25 8.17 4.08 0.00C 13.58 13.58 0.00 0.00D 36.48 36.48 0.00 0.00E 5.42 0.00 0.00 5.42F 11.54 7.69 3.85 0.00G 7.45 4.97 2.48 0.00H 3.89 3.89 0.00 0.00

8 A 56.60 0.00 42.45 14.15A 2.75 0.00 0.00 2.75B 3.30 0.00 3.30 0.00B 1.48 0.00 0.00 1.48C 153.80 0.00 0.00 153.80A 45.38 0.00 0.00 45.38B 103.05 0.00 0.00 103.05C 15.87 0.00 0.00 15.87E 48.01 24.01 24.01 0.00F 53.85 0.00 53.85 0.00G 26.66 13.33 13.33 0.00A 0.46 0.00 0.00 0.46B 16.52 0.00 0.00 16.52C 31.21 0.00 23.41 7.80

Total 914.93 296.25 188.44 430.24

15

16

17

5,00

0ha/

year

5

7

9

14

1

2

3

4

Proposed Projects Project CostTime Frame

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15-5

15.2 事業の経済評価

15.2.1 方法

(1) 概説

この経済評価の主な目的は、事業への投資効率を検討することである。投資効率の指標として

内部収益率(IRR)をここでは用いている。経済評価に用いられる IRR を経済的内部収益率(EIRR)

という。

(2) 前提条件

経済評価では下記の前提条件を想定している。さらに前提条件を必要とする場合は、その際に

明らかにしている。

1) 評価期間

評価期間は、2012 年から 2060 年までとしている。

2) 標準変換係数(SCF)

ここでは、SCF として 1.0 を採用している。この数字は水開発省の報告書"The Integrated Water

Resources Development Plan for Lake Malawi and Shire River System"(2003 年)で採用されているもの

である。

3) Other Preconditions

物価水準 : 2012 年

社会的割引率 : 10% (上記の水開発省の報告書に従う)

15.2.2 事業の費用便益分析

費用便益分析(CBA)を、家庭用および工業用給水事業(地方給水を除く)、そして灌漑事業につい

て実施した。CBA は、EIRR の計算に必要である。しかし、この計算は地方給水事業になじまないもの

である。なぜならば、上述したようにEIRRは投資効率あるいはGDP増加の確認のために計算されるも

のであるが、地方給水事業は、GDP 増加のためではなく、農村の BHN を満たすため、さらに、政治的

統合の観点から都市と地方の格差を是正するために実施されるものであるからである。

(1) 事業費用

費用計算には、下記の項目が含まれている。

建設費

土地収用費(必要な場合)

エンジニアリング費

物理的予備費

事務管理費

運転・維持費

施設・機材の置換え費(必要な場合)

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(2) 事業の便益

1) 家庭用および工業用給水

この事業の便益は、給水に対する支払意思額(WTP)を用いて算出する。

支払意思額(WTP)

JICAの報告書「開発調査における経済評価手法研究 9.上水道」(2002年)によれば、仮想市

場法(CVM)を用いた給水のWTPに関する様々な調査の結果、可処分所得の3〜5%の範囲にあ

る。従って、ここでは可処分所得の5%を採用する。

2) 灌漑

灌漑事業の便益は、農業生産の増加によってもたらされる農民の所得の増加である。灌漑開発

と促成品種への転換により、1年間の収穫が増加する。新たに灌漑が行われるエリアではトウモロ

コシと稲が作付けられるものとし、灌漑開発によって1年間の収穫が 1回から 2回になると想定し

ている。換言すれば、新たに灌漑が行われるエリアでトウモロコシと稲の生産が 2 倍になる。

トウモロコシと米の経済価格は、FAO の国際価格データに基づいている。

乗数効果

上記の直接便益に係数をかけて、原料や下流部門(すなわち、運送や農産品加工)での雇用創

出といった灌漑の間接便益を算出している。灌漑・水開発省の報告書 "Water Resource

Investment Strategy"(2011年)では、1.5を適用している。すなわち、直接便益の50%を間接便

益と想定している。

(3) 計算結果

1) 家庭用および工業用給水

計算結果を下表に示す。

表 15.5 家庭用および工業用給水の計算結果

EIRR (%) NPV (Million USD) B/C 都市 Lilongwe City 13.21 40.49 1.20 Blantyre City 19.39 97.97 1.85 Mzuzu City 10.06 0.38 1.00 Zomba City 20.67 16.20 2.26 町 17.30 50.10 1.81 地方 マーケットセンター 15.14 30.49 1.54 出典: プロジェクトチーム

全ての事業で社会的割引率(10%)を超えており、国民経済の観点から効率的なものであると判

断される。

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15-7

2) 灌漑

計算結果を下表に示す。

表 15.6 灌漑の計算結果

EIRR (%) NPV (Million USD) B/C 2,500ha/年のシナリオ 2.19 -86.24 0.41 5,000ha/年のシナリオ 3.16 -159.72 0.48 出典: プロジェクトチーム

EIRR は社会的割引率(10%)よりも低いが、全てプラスである。この結果は、投資効率の観点

からは至当とは言えないということであるが、国民の食糧安全保障の観点からは意味があるとい

える。

15.3 社会および環境の観点からの評価

15.3.1 社会および環境の観点からの評価の目的

この評価の主な目的は、現在の自然と社会環境の条件を検討し、さらに、M/Pで提案された事業が、

それらにどのように影響を与えるかを検討することである。事業の実施によってマイナスの影響が予

想された場合には、必要な緩和策を検討する。

15.3.2 IEE を通じた評価

スコーピングに基づいて、それぞれの分野でマイナスの影響に対して以下の緩和策が提案されてい

る。

1) ダム分野

ダム分野で予想されるマイナスの影響に対して緩和策が以下に整理されている。

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表 15.7 潜在的なマイナスの影響と緩和策(ダム分野)

潜在的な影響 段階 緩和策

非自発的移転 PL 事業の便益を説明するため、事業によって影響を受ける人々(PAP)や地

元の居住者とのパブリックコンサルテーションを実施する。PAPに対しては補償の詳細な分析を行う。

現地資源の利用 C ダム建設材が採取される地域のために利用計画と利用後計画を作成する。

交通 C 交通渋滞を避けるために車両や重機の数を規制する。 病原菌媒介生物 O 健康診断プログラムを実施する。 HIV/AIDS等の感染症 C 健康診断プログラムを実施する。

堆砂 O マラウイの多くのダムで既に発生しているように、土砂がダム湖に流入

してその貯水容量を低下させる。影響を最小限にするため、森林管理を含む流域管理を推奨する。

土壌の浸食 C 貯砂排水路の設置

自然保護地域、 植物相および動物相

PL, C

合計で10ダムが、森林保全地区ないしその予定地に位置している。しかし、森林保全地区のリストが古く、その内のいくつかは現在指定の位置にはない。従って、森林保全地区を確認するために、EIAの段階で候補地の確認をすることが推奨される。いずれにせよ、保全地区で事業が実施されれば、数多くの紛争が発生する。森林プランテーションを生物多様性の場としたり、ダムの建設で失った森林の補償をするなどの緩和策が必要である。

O 水生生物を保全するため、下流に最小限度の環境流量を維持する。

流動様式 O 下流に最小限度の環境流量を維持する。この問題に関して、ダム操作マニュアルを作成する。

大気汚染(ほこり、車両および機器からの排気ガス

C, O 車両や機器の数ないし速度を制限する。 連絡道路や作業現場に散水する。土はシートで覆う。 車両や機器を適切に維持する。

水質汚濁 C 貯砂排水路の設置 建設の適切な管理 車両の維持の際に出る廃油を適切に管理する。

O ダムを湛水する前に植物を除去する。 廃棄物 C 建設廃棄物の適切な管理

騒音 C, O

現状の騒音レベルを維持するために、トラックに排気マフラーを取り付ける。

車両や機器の数ないし速度を制限する。 機器の適切な維持 作業スケジュールを公表し、重機の操作を日中のみに制限する。

凡例: PL: Planning Phase; C: Construction Phase, O: Operation Phase 出典: プロジェクトチーム

2) 給水分野

この分野の事業実施の活動は、使用する水源(表流水または地下水)の種類によって異なる。こ

のように、緩和策は、水源に(a)表流水を用いる事業(浄水場の建設)と(b)地下水を用いる事

業(深井戸の建設)とに分けて提案する。以下の表は、2つのケースの影響と緩和策を示している。

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表 15.8 水源に表流水を用いる事業の潜在的なマイナスの影響と緩和策(給水分野)

潜在的な影響 段階 緩和策

現地資源の利用 C 施設建設地の土地造成に用いる材料が採取される地域のために利用計画と利用後計画を作成する(浄水場および取水施設)。

交通 C 交通渋滞を避けるために車両や重機の数を規制する。 HIV/AIDS等の感染症 C 健康診断プログラムを実施する。 土壌の浸食 C 貯砂排水路の設置 流動様式 O 下流に最小限度の環境流量を維持する。 植物相および動物相 O 水生生物を保全するため、下流に最小限度の環境流量を維持する。 大気汚染(ほこり、車両および機器からの排気ガス

C, O 車両や機器の数ないし速度を制限する。 連絡道路や作業現場に散水する。土はシートで覆う。 車両や機器を適切に維持する。

水質汚濁 C

貯砂排水路の設置 車両の維持の際に出る廃油を適切に管理する。 建設の適切な管理

O 機器の維持に使用した化学物質や廃油を適切に管理する。 浄水場から発生する排水やヘドロの処理施設を設置する。

廃棄物 C,O 建設廃棄物の適切な管理 化学廃棄物の適切な管理

騒音 C, O

現状の騒音レベルを維持するために、トラックに排気マフラーを取り付ける。

車両や機器の数ないし速度を制限する。 機器の適切な維持 作業スケジュールを公表し、重機の操作を日中のみに制限する。

底部の堆砂 O 浄水場から発生する排水やヘドロの処理施設を設置する。 凡例: PL: Planning Phase; C: Construction Phase, O: Operation Phase 出典: プロジェクトチーム

表 15.9 水源に地下水を用いる事業の潜在的なマイナスの影響と緩和策(給水分野)

潜在的な影響 段階 緩和策 HIV/AIDS等の感染症 C 健康診断プログラムを実施する。 大気汚染(ほこり、掘削用トラックおよび発電機からの排気ガス)

C, O 車両や機器を適切に維持する。

水質汚濁 C 貯砂排水路の設置 深井戸建設の適切な管理

廃棄物 C 建設廃棄物の適切な管理

騒音 C, O

現状の騒音レベルを維持するために、建設トラックに排気マフラーを取り付ける。。

機器の適切な維持 機器の操作を日中のみに制限する。

凡例: PL: Planning Phase; C: Construction Phase, O: Operation Phase 出典: プロジェクトチーム

3) 灌漑分野

灌漑分野で予想されるマイナスの影響に対して緩和策が以下に整理されている。

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表 15.10 潜在的なマイナスの影響と緩和策(灌漑分野)

潜在的な影響 段階 緩和策

現地資源の利用 C 灌漑用地造成のための資材を採取される地域のために利用計画と利用後計画を作成する。

交通 C 交通渋滞を避けるために車両や重機の数を規制する。 病原菌媒介生物 O 健康診断プログラムを実施する。 HIV/AIDS等の感染症 C 健康診断プログラムを実施する。

堆砂 C 適正な農業慣行の導入 貯砂排水路の設置

流動様式 O 下流に最小限度の環境流量を維持する。灌漑用取水施設操作において灌漑マニュアルを作成する。

大気汚染(ほこり、車両および機器からの排気ガス

C, O 車両や機器の数ないし速度を制限する。 連絡道路や作業現場に散水する。土はシートで覆う。 車両や機器を適切に維持する。

水質汚濁

C 貯砂排水路の設置 車両の維持の際に出る廃油を適切に管理する。 建設の適切な管理

O

機器の維持に使用した化学物質や廃油を適切に管理する。 農民が扱う化学物質に関して彼らに訓練を行う。 現場では認められた化学物質のみが使われていることを確認する。 既存の飲料水用井戸について水質モニタリングを実施する。汚染されて

いる場合は、彼らに深井戸を掘る。 機器の維持に使用した廃油を適切に管理する。

土壌汚染 C, O 化学物質の適切な管理

廃棄物 C,O 建設廃棄物の適切な管理 化学廃棄物の適切な管理

騒音 C, O

現状の騒音レベルを維持するために、トラックに排気マフラーを取り付ける。

車両や機器の数ないし速度を制限する。 機器の適切な維持 作業スケジュールを公表し、重機の操作を日中のみに制限する。

底部堆砂 O 機器の維持に使用した化学物質や廃油を適切に管理する。 凡例: PL: Planning Phase; C: Construction Phase, O: Operation Phase 出典: プロジェクトチーム

15.3.3 結論と提言

一般的には、M/P で提案されたプロジェクトは、発電、給水と灌漑の 3 つの主要な分野の便益になる。

発電用としては、高いプラスの影響が国の経済発展に及ぶことが期待されている。水供給としては、

高いプラスの影響が水道の使用によって家庭での衛生習慣が定着し、受益者の健康レベルに及ぶこと

が期待されている。灌漑用としては、農業生産が増加し、就業機会が増大することによって人々の社

会経済的地位が向上することが期待される。さらに、国民の食料安全保障を向上させることが出来

る。

事業の実施によって、環境への悪影響もまた予想されている。悪影響は、提案された緩和策を通じ

て緩和される必要がある。それは巨大な物理的対策を伴い、候補地周辺に住む人々の移転が必要な場

合があり、その意味では、特別な注意がダム分野に払われなければならない。

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16-1

16. 提言

本水資源マスタープラン策定のための現況調査および計画策定の過程において、さまざまな課題に

遭遇した。他のアフリカ諸国に比して比較的豊富な水資源は、マラウイ国の将来における経済浮揚に

寄与する数少ないドライバーの一つと言われている。これら課題は、将来のマラウイ国の効率的な水

資源管理における克服すべきものであるばかりでなく、国家経済の浮揚に寄与する重要な構成要素で

あるため、ここに提言として整理しておくものである。

(1) MoAIWD の組織強化と NWRA への円滑な移行

2013年に新水資源法が制定され、新たな組織として NWRAが設立される運びとなった。これに

よって水利権の管理が強化されることにより、モニタリング活動を含む水資源管理の財政基盤が

強固になると期待できる。今後は、MoAIWDの組織内の水文モニタリング部門等がNWRAに移行

していくものと思われるが、スムーズな移行と機動的な組織への改編を期待するものである。

さらに、水位観測と流量観測といった水文モニタリングは、全国 28 カ所にある地区水事務所が

主として担当しているが、観測所の稼働状況も低く、必要な人員も確保できていないのが現状で

ある。これら地方組織を NWRA がどのように連携ないし吸収していき、水文モニタリング活動を

如何に活性化していくか、地方組織も含めた将来の活性化を展望した組織改編が肝要である。

(2) 表流水・地下水・水質の観測体制の強化と観測データの共有と活用

上記の事項と関連するが、表流水の水位・流量のみならず、観測井における地下水水位観測、

水質監視地点における水質観測を定期的に実施し、これらの結果をデータべースに入力し、さら

にプロジェクトで別途観測したデータも追加して、統合的な観測データの管理を目指すべきであ

る。

これら統合データベースの運用をNWRAに移管して、MoAIWDのみならずマラウイの関連組織

が利用出来るようなデータ提供システムないしアクセスシステムを構築するものとする。これに

よって、NWRA はマラウイの水文・水質データセンターの機能を果たすこととなり、経年的に観

測所の稼働状況が低下していることに見られるような活動状況の沈滞を解消できる手立ての一つ

となると考えられる。

(3) 都市および地方給水事業の推進

都市および地方給水における事業費の概算によると、4大都市で 11.9億USD、地方都市で 1.4億

USD、さらにマーケットセンターと村落に 5.5 億 USD と膨大な事業費が必要であることが分かっ

た。安全な水へのアクセスは、都市・地方住民の安全で快適な生活を支える最低限の保障である。

これらの事業を支え得る事業費を確保すべく、世銀、アフリカ開発銀行および支援国等の援助を

確定していくべきである。

新規の水源開発のみならず、配水網のリハビリ等の漏水対策を実施し、都市域での無収水率の向

上を図ることが必要である。また地方給水における深井戸に対しても、目詰まりや底泥堆積による

機能低下対策として、ジェティング工法やブラッシング工法の機材を用いた機能回復も有効である。

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(4) 灌漑開発計画の促進と世銀灌漑マスタープランとの調整

灌漑開発計画では、水資源区(WRU)毎の水資源ポテンシャルに対する開発方式を提案している。

本プロジェクト期間に世銀による灌漑マスタープランが開始され、時間的制約から互いの成果に十

分な調整が取れなかった。現在継続中の世銀の灌漑マスタープランに水収支シミュレーション結果

を提供している関係から、本マスタープランの成果を活用されることを期待する。

さらに、灌漑開発における国家プロジェクトとして GBI(Green Belt Initiative)プロジェクトがあ

るが、小規模農家への灌漑水の供給とともに、経済活性化のためには、民間投資家による換金作物

を栽培する農業への大規模投資が不可欠である。したがって、海外の民間投資家が投資しやすい環

境整備を行い、民間投資を呼び込むような努力を国を挙げて行うべきである。

(5) 環境流量の詳細検討

水資源開発管理を検討する際に重要なユーザーとして環境があり、対象となる環境を保全すべき

環境流量を設定する必要がある。しかしながら、本マスタープランでは、具体的な保全対象となる

環境因子が定かではなく、水文的なアプローチによると水資源開発をむしろ阻害する要因にすらな

るため、優先順位を落とさざるを得なかった。今後、各河川の水資源開発の F/S を進める際に、よ

り具体的な保全対象の生存特性を踏まえて、的確なアプローチによる環境流量の設定を行っていた

だきたい。

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