FUJITSU Network SR-X コマンドリファレンス...3 本書の構成と使いかた 本書は、本装置のコンソールから入力するコマンドについて説明しています。本書の読者と前提知識
Face your challenge, Be smart - CSJicho.csj.jp/45/TheoreticalExam_J.pdf4⋅6H 2O...
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Face your challenge,
Be smart
理論問題
2013 年 7 月 20 日 モスクワ(ロシア)
2
一般的な注意
- 生徒番号:すべてのページに自分の名前と生徒番号を記入せよ。
- 制限時間:問題を解く時間は5時間である。終了の合図があったら直ちに解
答をやめなければならない。5分経っても終了しない場合、理論問題は0点と
なる。
- 解答:解答は冊子の指定された解答枠にのみ記入すること。それ以外の部分
に書かれた解答はいっさい採点の対象とならない。解答に至る計算過程は
全て記載しなければならない。要求されたときは推論過程も書くこと(日本
語でもかまわない)。下書きをしたい場合は、紙の裏を使いなさい。その部
分は採点の対象にはならない。
- ペン、および与えられた計算機だけを使うこと。
- 問題と解答の冊子:この冊子は解答枠、表紙、元素の周期表を含めて46 ペ
ージからなり、問題は8問ある。
- 英語公式版:確認のためだけに試験冊子の英語公式版を見ることができる。
アシスタントに申し出ること。
- トイレ:行きたいときは手を挙げよ。アシスタントが連れて行ってくれる。
- 終了の合図があったら:この冊子を封筒に入れ(封はしないこと)、自分の
机の上に置くこと。許可なく部屋を離れないこと。
- 問題の確認時間:解答開始前に15分間この冊子を読む時間が与えられてい
る。
- 平衡定数に用いる濃度は1 mol/Lで規格化されている。
3
物理定数、単位、公式
アボガドロ定数 NA = 6.0221 × 1023 mol–1
気体定数 R = 8.3145 J∙K–1∙mol–1
光の速度(真空中) c = 2.9979 × 108 m∙s–1
プランク定数 h = 6.6261 × 10–34 J∙s
ファラデー定数 F = 96485 C∙mol–1
地球の重力加速度 g = 9.81 m∙s–2
標準状態の圧力 p° = 1 bar = 105 Pa = 750 mmHg
大気圧 1 atm = 1.013 × 105 Pa = 760 mmHg
セルシウス(セ氏)温度の 0℃ 273.15 K
1 ナノメートル (nm) = 10–9 m
1 Da = 1 原子質量単位
1 エレクトロンボルト (eV) = 1.6022×10–19 J = 96485 J∙mol–1
1 M = 1 mol·L–1 = 1 mol·dm–3
光子 1 個のエネルギーE と波長λの関係 E = hc / λ
光子 1 mol のエネルギーEm Em = hcNA / λ
ギブズ(Gibbs)エネルギー G = H – TS
標準ギブズエネルギーと平衡定数の関係 = exp GKRT
∆ −
標準ギブズエネルギーと起電力(標準電極電位
または標準還元電位)の関係 = G nFE∆ −
相転移についてのクラペイロン(Clapeyron)の式 = dp HdT T V
∆∆
蒸気を含む相転移についてのクラウジウス-クラペイロン(Clausius-Clapeyron)の積分式
2
1 1 2
1 1ln = p Hp R T T
∆−
4
反応のギブズエネルギーと濃度または圧力との
関係
prod
reag
= lna
G G RTa
∆ ∆ +
areag : 反応物の活量 aprod : 生成物の活量
溶液中の物質については a = c / (1 mol/L)
気体については a = p / (1 bar)
半径 R の球の体積 343
V R= π
半径 R の球の表面積 S = 4πR2
静水圧 p = ρgh
Name______________Student code________
5
問題 1. クラスレート爆弾(8 点)
Question 1 2 3 4 5 6 Total Marks 2 1 3 5 6 2 19
一発で全人類を死に至らしめうる唯一の爆弾
海底には莫大な量のメタンが、メタンハイドレートと呼ばれ
るクラスレート化合物(包接化合物)の形で存在している。
この資源は、発掘してエネルギー源や有機合成の原材料とし
て使える。しかし、科学者は海水温の上昇により引き起こさ
れるメタンハイドレートの自発的な分解を懸念している。も
し十分な量のメタンが大気中に放出されると、その温室効果
により海水温はより速く上昇し、メタンクラスレートの分解
がさらに加速されると考えられている。その結果として、メ
タンと空気の混合気体の爆発や大気組成の変化が起こり、地球上の全生物が絶滅する
かもしれない。この悲劇的な展開は、クラスレート爆弾(Clathrate gun)と呼ばれてい
る。
25 °C、大気圧(101.3 kPa)条件下において、ある組成のメタンハイドレート 1.00 g の分
解により、205 mL のメタンが放出された。 1. 上記のメタンハイドレートについて、構造式 CH4⋅nH2O における n(整数とは限ら
ない)の値を決定せよ。 計算過程: 解答: 実際のメタンハイドレートは、CH4⋅6H2O に近い組成で表される非化学量論的な組成
をもつ。大気圧条件において、メタンハイドレートは –81 °C で分解する。しかし、
高圧条件(海底など)においては、より高温でも安定に存在する。メタンハイドレー
トの分解によって、気体のメタンと水が生成される。水は、温度によって固体か液体
として生成される。
Name______________Student code________
6
2. 1 mol の CH4⋅6H2O が分解して固体の水(氷)H2O(s)が生成される反応式を 書け。 この過程のエンタルピー変化は 17.47 kJ·mol-1である。これ以後の問いでは以下のこと
を仮定せよ: ・ エンタルピー変化は温度や圧力に依存しない。 ・ メタンハイドレートの分解による体積変化は放出されたメタンの体積に等しい。 ・ メタンは理想気体として取り扱うことができる。 3. メタンハイドレートのメタンと氷への分解が–5 °C で起こるときの外圧を 求めよ。 計算過程: 解答:
Name______________Student code________
7
4. 純粋な液体の水の中でメタンハイドレートが安定に存在しうる最小の水深を求め
よ。この問題を解くにあたって、まずその深さでメタンハイドレートが液体の水
と共存しうる最低の温度を推測しなければならない。適切な選択肢を一つチェッ
クせよ。 272.9 K 273.15 K 273.4 K
推論過程(日本語でもよい): 水深:
2009 年 7 月、深海調査船 Mir-2 の乗組員によって、ロシア最大、そして世界最大の淡
水湖であるバイカル湖(Baikal lake)の底から大量のメタンハイドレートが発見された。
水深 1400 m から水面へ上がっていったところ、メタンハイドレートは水深 372 m から
分解し始めた。 5. バイカル湖の水深 372 m における水温を求めよ。氷の融解エンタルピーは
6.01 kJ·mol-1 である。
Name______________Student code________
8
計算過程: 解答: 地球上の全てのメタンハイドレート中に存在するメタンの総量は、5×1011 トンにも
及ぶ。 6. もし、これらのメタンが大気中の酸素と反応して燃焼したとすると、地球の大気は
何 K 上昇するか。メタンの燃焼エンタルピーを –889 kJ·mol-1 とし、地球の全大気
の熱容量を約 4×1021 J·K-1 として求めよ。 計算過程: 解答:
Name______________Student code________
9
問題 2. 光合成の分割―ヒル反応 (7 点)
Question 1 2 3 4 5 6 Total a b c a b
Points 1 2 2 2 3.5 1 2 3 2.5 19
光合成の研究の歴史では、この非常に複雑な反応についての我々の知見を大きく増す
ような、ブレイクスルーとなる研究がいくつかあった。そのうちの一つが、1930年代
にイギリスの生化学者ロバート-ヒル(Robert Hill)によってなされた実験である。この
問題では、彼の実験データをより最近のデータと合わせて考察する。 1. 植物中では、光照射によって、二酸化炭素が炭水化物({CH2O}と書く)に還元され、
酸素が生成される。植物中の光合成の全反応式を記せ。
光合成反応の多くは葉緑体中で起こる。葉緑体は植物中に見られる細胞内小器官であ
り、光吸収体であるクロロフィルを含んでいる。ヒルはショ糖溶液中で葉をすり潰す
ことで葉緑体を細胞から単離した。無細胞系の(細胞から取り出された)葉緑体は、
CO2 が存在しても、光照射によって酸素を生成しなかった。しかし、(過剰のシュウ
酸カリウムの存在下で)トリス(オキサラト)鉄(III)酸カリウム K3[Fe(C2O4)3]を葉緑
体の懸濁液に添加すると、CO2 が存在しなくても、光照射によって酸素が生成される
ことを、ヒルは見出した。 2. ヒルの実験によって、光合成における酸素源を決定することができる。植物細胞
内での光合成、および無細胞系の葉緑体でのヒル反応における酸化剤と還元剤の化学
式を記せ。 天然の光合成 ヒル反応 酸化剤 還元剤 酸化剤 還元剤
ヒルは発生した酸素の量を筋肉中のヘモグロビン(ヒルは Hb と表記した)を用いて
測定した。ヘモグロビンは酸素分子と 1:1 のモル比で結合し、HbO2 となる。Hb の初
期濃度は 0.6×10-4 M である。様々なシュウ酸鉄(III)酸イオンの濃度に対応する HbO2
の収率の時間変化が図に示されている(一番上の曲線が 2.0×10-4 M に対応する)。
Name______________Student code________
10
酸素が結合したヘモグロビンHbO2 の初期Hb量に対す
る割合を時間の関数として示したもの。X 印は反応終了
点である。 (出典:ヒルの原論文の Figure 2a: R. Hill. Oxygen produced by isolated chloroplasts. – Proc. R. Soc. B, 1939, v. 127, pp. 192-210)
3. a. 反応終了時の Fe と O2 のモル比 n(Fe) / n(O2)を図から見積もれ。Hb 中の鉄は考慮
しなくてよい。 b. ヒル反応が高い収率で進むと仮定して、その反応式を記せ。 c. 表の標準電極電位(標準還元電位)を用いて、T = 298 K、酸素分圧 1 mmHg、
pH = 8 であり、他の化学種の濃度が標準濃度である場合のヒル反応の反応ギブズ
エネルギーを決定せよ。この反応はこの条件で自発的に進行するか?
半反応式 E°, V
O2 + 4H+ + 4e– → 2H2O +1.23
CO2 + 4H+ + 8e– → {CH2O} + H2O –0.01
Fe3+ + e– → Fe2+ +0.77
Fe3+ + 3e– → Fe0 –0.04
[Fe(C2O4)3]3– + e– → [Fe(C2O4)3]4– +0.05
[Fe(C2O4)3]4– + 2e– → Fe + 3C2O42– –0.59
時間(秒)
Name______________Student code________
11
a. 計算過程: n(Fe) / n(O2) = b. 反応式: с. 計算過程: ΔG = 反応は 自発的に進む 自発的には進まない
以下では、植物細胞内で、あるいは無細胞系の葉緑体により行われる、二酸化炭素以
外の物質を酸化剤とする水の光化学的酸化を「ヒル反応」と呼ぶ。 別の実験(1952)で、酸性溶液中でキノンを酸化剤として、クロレラ藻に光を短時間照
射してヒル反応が行なわれた。実験結果を図に示す。天然の光合成系および無細胞系
の葉緑体それぞれについて、クロロフィル1 g、光照射1回あたりに生成される酸素の
体積(単位 mm3、温度 10 oC、圧力 740 mmHg)を光強度の関数として決定した。酸素
の最大収量は天然の光合成とヒル反応で同一であった。
Name______________Student code________
12
(出典:H. Ehrmantraut, E. Rabinovitch. Kinetics of Hill reaction. – Archives of Biochemistry and Biophysics, 1952, v. 38, pp. 67-84 より Figure 1 を抜粋)
4. a. 光の強度が弱いときと強いときのそれぞれに関して、光化学的なヒル反応の光
強度についての反応次数を以下の三つの値から選べ。 反応次数: 低強度 高強度 0 1 2 0 1 2 b. ヒル反応の飽和極限において、酸素 1分子の生成に関与するクロロフィル分子の
数 n(Chl) / n(O2)を求めよ。クロロフィル分子の分子量は約 900 Da である。
ヒル反応
天然の光合成
光強度の相対値
光照射一回当たりの酸素生成量
(mm
3 ) / クロロフィル量
(g)
Name______________Student code________
13
計算過程: n(Chl) / n(O2) =
光酸化還元反応の要求量子数は、一つの電子を還元剤から酸化剤に移行させるために
必要な光子の個数の平均(必ずしも整数とは限らない)で定義される。無細胞系の葉
緑体に強度が 0.503 mJ/s の単色光(波長は 672 nm)を 2 時間照射したところ、総量 47.6 mm3 の酸素(条件は問い 4 と同じである)が生成した。 5. ヒル反応の要求量子数を計算せよ。 計算過程: 要求量子数:
Name______________Student code________
14
6. 以上の実験(問い 2~5)の結論を考えよう。以下のそれぞれの記述について、
正誤いずれかを選べ。 正 誤
天然の光合成では、水の酸化と CO2 の還元が空間
的に異なる場所で起こる。
葉緑体中では、O2 は CO2 から生成される。
葉緑体中での水の酸化には光照射が必要である。
葉緑体中のクロロフィルのほとんどが、光化学的
O2 生成に直接関与している。
無細胞系の葉緑体中では、吸収された光子一つが
電子一つを移動させる。
Name______________Student code________
15
問題 3. Meerwein-Schmidt-Ponndorf-Verley 反応(8 点)
Question 1 2 3 4 Total a b
Marks 7 3 8.5 6 8 32.5 Meerwein-Schmidt-Ponndorf-Verley (MSPV)反応は、カルボニル化合物のアルコールへの
還元に有用な方法である。この反応は、アルミニウムなどの金属のアルコキシドの存
在下での、低分子量のアルコールによるカルボニル化合物の還元である。
OH
R1 R2
OOHO
R1 R2 Al(OiPr)3
(1)
反応機構は、まずカルボニル化合物のアルミニウムアルコキシドへの配位が起こり、
次にヒドリド転移が錯体の内圏(inner sphere)で起こり、続けてアルコキシド交換反応
(transalkoxylation)が起こる。これらは以下の図のように示される(簡単のため、アルコ
キシド交換反応は 1 ステップの反応として示されている):
Al
O
O O
O
R1 R2
O
R1 R2
Al
O
O OH O
R1 R2
Al
O
O
H
OiPrOH Al
O
O O
OH
R1 R2
O
(2)
反応は可逆で、目的の化合物の方に平衡を移動させるには、過剰量の還元剤が必要と
なる。ある場合(例えば、芳香族アルデヒドやケトンの還元)には、平衡定数が非常
に大きく、逆反応を無視できる。 以下の表には、298 K における液体化合物の標準生成エントロピーと標準生成エンタ
ルピーが示してある。1 bar における各化合物の沸点も与えられている。
物質 ΔfHo298, kJ/mol So
298, J/(mol∙K) tvap, оС アセトン –248.4 200.4 56 イソプロパノール –318.1 180.6 82 シクロヘキサノン –271.2 229.0 156 シクロヘキサノール –348.2 203.4 161
Name______________Student code________
16
1a. 298 K において、反応の収率が 99%となるようなイソプロパノール:シクロヘキサ
ノンの質量比の最小値を計算せよ。以下のことを仮定せよ: a) 反応混合物は最終的に平衡に達する。 b) 反応開始時には生成物は存在しない。 計算過程: 解答: m(C3H8O) : m(C6H10O) =
Name______________Student code________
17
1b. シクロヘキサノールの収率を上げるのに適切な方法を(一つまたはそれ以上)選
べ。 注意:間違った答えを選ぶと減点される。
還流管をつけて温度を 50 оC まで上げる
温度を 60 оC まで上げ、アセトンを蒸発させる(蒸留す
る)
反応溶液にエタノールを加える
反応溶液にアセトアルデヒド(エタナール)を加える
2. 多くの場合、MSPV反応の律速段階は、ヒドリド転移、またはその後のアルコキシ
ド交換反応である。これら二つの場合について、上述の反応機構(2)に基づいて、反
応速度 r を表す式をカルボニル化合物、イソプロパノール、および触媒の濃度の関数
として導け。両方の場合に関して、反応剤と触媒についての反応次数を決定せよ。律
速段階の前の全ての反応段階で、反応は速く可逆であると仮定し、必要であれば平衡
状態であると近似せよ。簡単のために、カルボニル化合物を A、イソプロパノールを
B、触媒を C として書くこと。中間体はどのように書き表してもよい。
Name______________Student code________
18
律速段階がヒドリド転移の場合 導出過程: r = 解答 カルボニル化合物についての反応次数: ________ イソプロパノールについての反応次数: ________ 触媒についての反応次数: ________
Name______________Student code________
19
律速段階がイソプロパノールによるアルコキシド交換反応の場合 導出過程: r = 解答 カルボニル化合物についての反応次数: ________ イソプロパノールについての反応次数: ________ 触媒についての反応次数: ________ キラルな触媒を用いると、MSPV 反応でキラルなアルコールを得ることができる。例
えば、 Campbell らはキラルな 2,2'-dihydroxy-1,1’-binaphthyl (BINOL)を基本構造とする
触媒を用いている。この触媒は、ビナフトール(binaphthol)とトリメチルアルミニウム
(trimethylaluminium)を系中(in situ)で反応させることにより得られる:
O
OAl O
OH
OH
Al(CH3)3 O
OAl
iPrOH
(BINOL)Al(OiPr) (3)
BINOL
Name______________Student code________
20
BINOLのキラリティーはC-C結合周りの回転に伴う立体障害によって生じる。BINOLは室温では完全に安定であるが、加熱するとラセミ化しうる。 3. 以下のフェノール類のうち、室温で安定なエナンチオマーを生成し、上と同様な
方法でキラル触媒を形成するために使用可能なフェノールはどれか。適切なフェノー
ルをチェックせよ。 注意:間違ったフェノールを選ぶと減点される。 物質 使用可能か 物質 使用可能か
OH
OH
OCH3
OCH3
OH
OH
OH
OH
OCH3
OCH3
OCH3
OH
HO
CH3O
OH
OH
OH
OH
4. 鏡像体(エナンチオマー)過剰率(enantiomeric excess, ee)は、ある化合物の光学純度
の指標として用いられる。この値は、その化合物の R 体と S 体の濃度の差と和の比で
示される: [ ] [ ][ ] [ ]R SeeR S
−=
+
純粋な R 体であれば ee = 1、ラセミ体であれば ee = 0 となる。 ある条件で、光学的に純粋な(BINOL)Al(OiPr)を触媒として、α-ブロモアセトフェノン
(α-bromoacetophenone)を還元したところ、生成物の ee が 81%であった。同じ条件で
Name______________Student code________
21
ee が 50%の触媒を使った場合、生成物の ee はどのようになるか。最終的な表式に至
るまでに用いた図や導出過程を示すこと。 導出過程(日本語でもよい): ee =
Name______________Student code________
22
問題 4. 単純な無機実験(6 点)
Question 1 2 3 Total Marks 5 12 7 24
化合物 A は、金属元素 X を含む無色の結晶性固体であり、水に高い溶解性を示す。Aは分析試薬として用いられ、アルカリ性条件下で酸素を 6.9 wt%含む二元化合物(二種
類の元素からなる化合物)B を生成する。A は加熱すると 36.5 %の重量減少を伴って
分解する。 1. 金属元素 X と化合物 A、B を決定せよ。
推論過程(日本語でもよい): X =______ A = ______ B = ______ 2. A の溶液にチオ硫酸ナトリウムを添加すると、溶液は直ちに赤色に変化し、
それから赤褐色になり、そして数分後には暗褐色の沈殿 C が生成する(反応 1)。沈
殿の上澄みの溶液は無色である。C を空気中で 600 ºC に加熱すると、灰色の粉末 X と
なる(反応 2)。1.10 g の C から得られる X の粉末は 0.90 g である。C を真空中で加
熱すると気体が発生する(反応 3)。水酸化カルシウムを懸濁した水溶液は、反応 3で発生した気体を吸収する(反応 4)。沈殿 C を、0.1 M の過塩素酸水溶液に過塩素酸
バリウムを飽和させた水溶液中に長期間保存すると、沈殿 C の色が薄くなる。一方、
過塩素酸バリウムの代わりに過塩素酸マグネシウムを用いても、そのような効果は見
られない。C は何か。反応 1~4 の化学反応式を記せ。
Name______________Student code________
23
推論過程(日本語でもよい): C = _______ 化学反応式:
Name______________Student code________
24
3. 化合物 C を過剰量の A を含む母液中で保存すると、D への変化によって黄色
に変色する。C が懸濁された母液にバリウムイオンを添加すると、D と白色沈殿の混
合物が生成する。D の化学式を提案し、D の生成の化学反応式を与えよ。ただし、D中には 77.5 wt%の X が含まれている。
推論過程(日本語でもよい): D = _______ 化学反応式:
Name______________Student code________
25
問題 5. グラフェンの性質のシンプルな推測(7 点)
Question 1 2 3 Total a b
Marks 2 2.5 4 5.5 14 グラフェンは、1 原子分の厚みを持つ炭素の二次元状物質である(図 1a)。グラフェ
ンのシートが何層にも積み重なったものがグラファイトである(図 1b)。
S = 5,16 *10-20 m2
(a)
(b)
図 1. (a) グラフェンの構造。球は炭素原子を表す。各原子は六角形に配置されて
いる。 炭素で形成される六角形一つの面積は 5.16×10-20 m2 である。 (b) グラファイ
トの結晶構造。グラフェン 3 層分が示されている。 グラフェンのこのような構造は、長い間不安定だと考えられていた。しかし、2004年にAndrey GeimとKonstantin Novoselovがこの特異な物質の調製法を初めて報告した。
この画期的な発見に対して、2010 年にはノーベル賞が贈られた。 グラフェンの実験的な研究は、未だに多くない。この新しい物質の大量生産は、未だ
に大きな問題を抱えている。そのため、グラフェンの多くの性質は推測されたものである。グラフェンについて現在得られている知見は厳密な計算をするには不十分であ
る。このため、通常はいくつかの仮定をおいて、重要でない要因を無視することで推
測を行う。この問題では、グラフェンへの吸着に関する性質を推測していく。
S = 5.16×10-20 m2
Name______________Student code________
26
1a. グラフェン上の吸着可能な比表面積 S を、m2/g の単位で計算せよ。ただし、グラ
フェンの面は他のあらゆる固体や液体の物質と接触していないと仮定すること。 計算過程:
S = _________ m2/g
グラファイトの表面に単層吸着した窒素分子の模式図を図 2 に示す。グラフェンの表
面でも、窒素分子はグラファイトと同じ配置で吸着すると仮定せよ。
図 2. グラファイトの表面上の窒素分子 N2(灰色の○で示した)
1b. グラフェンは固体基板上に置かれていると仮定して、1 gのグラフェンに対して吸
着しうる窒素分子の質量2Nm を計算せよ(単位:g)。さらに、1 g のグラフェンに吸
着した窒素分子が完全に脱着したときに、その窒素の気体が占める体積 を計算せ
よ(圧力 1 bar、温度 298 K)。
Name______________Student code________
27
計算過程:
2Nm = _______ g
2N _______ V = . 吸着を通常の化学平衡のように考える: gas adsA A→← (1) (Agas は気体状態の分子 A を、Aads は吸着分子 A を表す) 平衡定数 K は次式で与えられる:
ads
gas
2A
A
(mol/m )(bar)
nК
p=
(この仮定は、表面上に吸着している分子が少ないときには成り立つ) グラフェンへの吸着特性は、通常の三次元のグラファイトへの吸着に関するデータか
ら推測できる。どのような分子 A についても、グラフェンに対する吸着エンタルピー
(反応(1)の ΔHo)は、グラファイトに対する吸着エンタルピーに比べて、絶対値で平
均 10%小さくなる。なぜならば、グラファイトではより下の層のグラフェンのシート
との相互作用のために、吸着分子がより強く吸着され(図 1b)、吸着エンタルピーが
より負に大きくなるためである。一方、標準吸着エントロピーは、グラフェンとグラ
ファイトとで同じ値であると仮定せよ。 2. p(CCl4) = 1.0×10–4 bar のときに、グラフェン 1 g あたりに吸着される CCl4 のモル数
n(CCl4)を計算せよ。p(CCl4) = 6.6×10–5 bar において、グラファイトの表面 1 m2 あたり
に 2.0×10–7 molのCCl4が吸着されるとする。グラフェンは固体基板上に置かれている
が、CCl4 とその固体基板との間にはたらく相互作用は、グラフェンに対する CCl4 の
吸着エンタルピーに影響しないと仮定せよ。どちらの場合も温度は 293 K である。グ
ラファイトに対する CCl4 の吸着エンタルピーΔHoは− 35.1 kJ/mol である。
Name______________Student code________
28
計算過程: n(CCl4) = _______
グラフェンのフィルムは鋭敏なガス検知器になると期待されている。グラフェンの表
面 1 cm2あたりに 109個の気体の粒子が吸着されていれば、グラフェンのシートの電気
抵抗の変化を測定することが十分可能であり、環境中におけるその気体の存在を検出
することができる。 3. グラフェンをガス検知器として用いた場合の、大気中に存在するエタン С2Н6 に対
する大気圧条件下での検出下限(T = 293 K)を計算せよ(単位:モル分率, mol%)。アル
カンのグラファイトに対する吸着のデータを図 3 に示す。大気はエタンの吸着特性に
影響を及ぼさないものと仮定せよ。
2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4-15
-14
-13
-12
-11
-10
-9
-8
-7
ln K
ln M
(a)
(a)
Name______________Student code________
29
2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 4.0 4.2 4.4
-40
-36
-32
-28
-24
-20
-16
-12
-8
∆Η0 , k
J m
ol-1
ln M
(b)
図 3. グラファイトの表面に対するアルカンの吸着に関する熱力学特性。(a) ln M に対
する ln K。ただし、ln は自然対数、K の単位は mol/(m2·bar)、M はアルカンの分子量を
表す。(b) ln M に対する吸着エンタルピーΔHo。どちらの場合も線形の依存性が仮定さ
れている。
(b)
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30
計算過程: С2H6 の含有量 = _________ mol%
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31
問題 6. シクロプロパン 極めて単純で極めて気まぐれな(8 点)
Question 1 2 3 Total Marks 8 22 70 100
たとえば化合物 A のように、隣り合わせた炭素原子上に電子供与性基と電子求引性基
をそれぞれもつシクロプロパン化合物は優れた反応性を示し、1,3-双性イオン B であ
るかのように振る舞う。
そのため、A1(X = 4-OMe)は、ルイス酸触媒の存在下、1,3-ジメトキシベンゼンを求
核剤として作用させると、三員環の開環が起こり、生成物として C が得られる。 1. C の構造式を書け。
C の構造式:
A1 は環化付加反応、環化反応、多量体化など、さまざまな反応に関与する。たとえ
ば、A1 と 4-メトキシベンズアルデヒドは形式的に[3+2]環化付加反応を行ない、五員
環を持つ化合物 D を与える。D の全てのカルボキシ基を完全に脱炭酸(脱カルボキシ
化)すると、E(C18H20O3)が生成する。E は対称面を持つ分子である。
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32
2. 立体化学を明示して、D と E の構造式を書け。 D E
一方、A にさまざまな触媒を作用させると、それだけで A 自身がさまざまな変換反応
を起こす。A1 に特徴的ないくつかの変換反応を下のスキームに示す。
F〜J の構造を決定するために、物理化学的な一連の情報を集めた。一部のデータは
表 1 にまとめてある。以下のようなことが明らかになった: a) F と G は、A1 と同じ分子式をもつ b) G は最も安定な立体異性体である c) H と I は構造異性体の関係にある d) H は単一のジアステレオマーとして得られ、C2 対称軸を持っている(つまり、その
軸の周りで H の分子を 180°回転すると元の構造に一致する) e) I は二つのジアステレオマーの混合物として生成する f) J はナフタレン環を持つ I が生成する過程では、一分子目の A1 は最初に述べた一般的な反応性(B であるかの
ような反応性)を示すが、もう一分子の A1 は異なった振る舞いをする。シクロプロ
パン化合物 A2(2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)シクロプロパン-1,1-ジカルボン酸ジメ
チル;A で X = 3,4,5-(MeO)3)を SnCl4 で処理すると、K を二つのジアステレオマーの
混合物として与えるが、このときに、同様の「異なった振る舞い」が見られる。K の
二つのジアステレオマーのうち、主生成物となるのは、対称中心をもつものである。
Sn(OTf)2 を触媒として A2 を G と反応させると L が生成するが、このときにも同様の
「異なった振る舞い」が見られる。
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33
表 1. 各化合物について得られた分析情報 水素を含む部分構造の存在比 実験式
芳香族領域以外 芳香族領域 CH CH CH2 CH3 OH
A1 1 1 1+1+1 0 2+2 (C14H16O5)n F 1 1 1+1+1 0 2+2 (C14H16O5)n
G 1+1+1 0 2+1 0 2+2 (C14H16O5)n H 1 1 1+1+1 0 2+2 (C14H16O5)n I 1+1+1 1+1 2+1+1+1+1 0 2+2+1+1+1 (C14H16O5)n J 0 0 1+1 1 1+1+1+1+1 (C13H12O4)n K 1+1 1 2+1+1+1 0 1 (C16H20O7)n L 1+1+1+1+1 1 2+2+1+1+1+1 0 2+2+1 (C5H6O2)n 3. F〜J と L の構造式を書け。また、K の立体異性体のうち主生成物の構造式を 書け。
F G
H I
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34
J K (主に生成する異性体)
L
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問題 7. 多様な過マンガン酸イオン滴定 (8 点)
Quest. 1 2 3 4 5 Total a b c d a b
Marks 2 2 4 2 2 6 7 7 2 34 アルカリ性溶液中での過マンガン酸イオン滴定によって、さまざまな還元剤の量を決
定することができる。このとき過マンガン酸イオンは還元されてマンガン酸イオンに
なる。 1. 約 0.5 M NaOH 水溶液中で、ギ酸イオンを過マンガン酸イオンで滴定したときに
起こる化学反応式を書け。
アルカリ性溶液中での過マンガン酸による滴定では、しばしばバリウム塩を加える補
助的な操作が行われる。これによりマンガン酸イオンは BaMnO4 として沈殿する。 2. マンガン酸イオンを含む酸化還元の副反応のうち、バリウム塩により抑制される
ものは何か。半反応式の例を一つ書け。
濃度 0.0400 M (cMn) の KMnO4 水溶液 10.00 mL (VMn)を、それぞれフラスコ A、B、お
よび C に入れ、各フラスコで異なる反応を行った。 3. フラスコ A に、質量 (mCA) が未知のクロトン酸 (CA) CH3—CH=CH—COOH を含
む試料溶液を加え、アルカリと硝酸バリウム(どちらも過剰量)を加え、混合物を 45分間反応させた。この実験条件下で、クロトン酸は 1分子当たり 10個の電子を失うこ
とが知られている。CA のモル質量は、86.09 g/mol である。 a) この反応の化学反応式を書け(イオンを含んでもよい)。
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この反応混合物に、濃度 0.0100 M (cCN) のシアン化カリウム水溶液 8.00 mL (VCN) をさらに加えた。その結果、次の反応が完結した:
2Ba2+ + 2MnO4– + CN– + 2OH– → 2BaMnO4 + CNO– + H2O
BaMnO4の沈殿をろ別した。ろ液の中にある過剰のシアン化物イオンを、濃度0.0050 M (cAg) の AgNO3 水溶液で、沈殿が観察できるまで滴定した。 CN–と CNO–はどちらもハロゲン化物イオンと類似の挙動をするが、CNO–と銀との塩
は水溶性であることを考慮せよ。 b) シアン化物イオンの溶液に Ag+イオンを加え始めたときから沈殿が生じるまで、
溶液中にできている錯体は何か。その化学式を書け。
c) 生じた沈殿の化学式を書け。 d) 滴定終点に達するまでに、5.40 mL (VAg) の銀塩水溶液を使った。このとき、元の
試料溶液中にあったクロトン酸の質量(単位 mg)を計算せよ。
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4. フラスコ B に、フラスコ A の場合と異なる量のクロトン酸と過剰量のアルカリを
加えた。この混合物にはバリウム塩は含まれていない。シアン化カリウムの代わりに
過剰量の KI を還元剤として加えた。この混合物を酸性にし、生成したヨウ素を 0.1000 М (cS) のチオ硫酸塩水溶液で滴定した。終点に達するまでに 4.90 mL (VS1) のチオ硫酸
塩水溶液を要した。 クロトン酸の質量(単位 mg)を計算せよ。
5. フラスコ C に、スズ(II) を含む試料を加えて、さらに溶液を弱塩基性にした。スズ
(II) が定量的に酸化されて Sn(OH)62–となると共に、過マンガン酸イオンが還元される
ことにより沈殿が生じた。沈殿を単離し、よく洗い、250 ºC で乾燥し、秤量した。乾
燥した沈殿は二元化合物 MnxOy であり、その質量 (mprec) は 28.6 mg であった。過剰量
のヨウ化カリウムを含む希硫酸にこの沈殿を全て溶かした。生成したヨウ素を 0.1000 М のチオ硫酸塩水溶液で滴定した。終点までに 2.50 mL (VS2) の チオ硫酸塩水溶液を
要した。
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a) x と y を決定せよ。沈殿が生成する反応の化学反応式を書け。 計算過程: x = y = 反応:
b) 試料中のスズの質量を計算せよ(単位 mg)。
問題 8. 独特の生命体:古細菌(8 点)
Question 1 2 3 4 5 6 7 8 9 Total a b
Marks 2 7 3 8 4 4 5 4 3 5 45 古細菌は単細胞微生物である。古細菌はバクテリア(真正細菌)や真核生物とは分子
レベルで大きく異なる。 酵素反応によるメチルアミンと水との反応は、ある種の古細菌の主たるエネルギー源
となっている。この実験では、ある古細菌株を pH 7 の嫌気性(無酸素)条件下、13CH3NH2 のみをエネルギー源として含む培地で培養した。十分に長い時間培養した
後、培養している古細菌から発生した気体を採取し分析した。気体は 2 つの物質 A と
B からなり、そのモル比は 1.00:3.00 であった。この混合気体の密度は H2 の 12.0 倍で
あった。 1. 混合気体中での、A と B の体積分率を計算し、%で答えよ。
2. 採取した混合気体の中には窒素原子が含まれていないとして、A と B が何か 決めよ。 計算過程(日本語でもよい):
A B
3. この実験で示された、メチルアミンの水との酵素反応の式を書け。ただし、反
応式はそれぞれの化学種がとっている主要な形を使って書くこと。
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40
α-アミノ酸 X の残基を含む酵素は多くの古細菌に見られる。α-アミノ酸 X について
は以下のことが分かっている: • X は 4 種の元素の原子からなる • X は質量で 18.8%の酸素を含む • X には、それに対応する単一の tRNA があり、X は翻訳過程で古細菌のもつタン
パク質に直接導入される 古細菌において、アミノ酸の L-リシン(構造は下記のスキームを見よ)が X の前駆体
となることが分かっている。X の中の全ての炭素と窒素は、生合成系でその出発原料
となる二つの L-リシン分子に由来する。X の生合成経路を明らかにするために、同位
体でさまざまにラベルされた L-リシンを生合成系に加えた。得られた結果を表にまと
める。
L-リシンの同位体組成 tRNA に結合している X の残基部分 (RCH(NH2)CO)の分子量(整数で示す), g/mol
天然存在比 238 全ての炭素が 13C で全ての窒素が 15N 253 ε-アミノ基が 15N 239
4. X の分子式を決定せよ。 計算過程(日本語でもよい):
X:
古細菌では X は次のスキームに示すようにして生合成される。ただし、E1〜E3はいず
れも酵素である。
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HOOC
NH2
NH2E2 E3 SpontaneouslyC D E XE1
-H2O -H2O?L-lysine
HOOC
NH2
NH2
L-lysine
L-リシンはまずその構造異性体(α-アミノ酸 C)に変換される。D はペプチド結合を
持つ。E はホルミル基(-CHO)を持つ。上の反応スキームの中の全ての反応係数は 1である(1 分子ずつが関与する)。 5. C、D、および E の分子式を与えよ。下記の反応の形式の一覧から、酵素 E3が触
媒する反応として適切な選択肢を一つだけ選びチェックせよ。 計算過程(日本語でもよい):
C
D
E
酸化的脱アミノ化 脱炭酸(脱カルボキシ化) 分子間脱アミノ化 ヒドロキシ化 ペプチド結合の加水分解
X は次のような部分構造をもつ:
N
(R,Me,H) (H,Me,R)
(R,Me,H)34
5
L-リシン
L-リシン
自発的反応
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42
R は分子量にして 100 以上の大きい置換基である。3-位の炭素は立体中心ではなく、
4-位と 5-位の炭素は立体中心である。環内の全ての炭素原子は少なくとも 1 つの水素
原子と結合している。それぞれの置換基(H、Me、および R)はそれぞれどこかに重
複なく結合している。 6. 置換基 H、Me、および R の位置を決定せよ。 解答(日本語でもよい):
7. CとXの構造式を、立体化学が明確になるように書け。C からXへの変換過程で、
立体中心はいっさい変化しない。X のそれぞれの立体中心に、R か S の印をつけよ。 C
X
古細菌では、X の残基をタンパク質に導入する時に利用されるコドンはただ一つであ
る。このコドンを形成する 3 つの核酸塩基には、芳香環から外につき出たアミノ基が
あわせて 2 つ、外につき出た酸素があわせて 3 つ含まれている。
8. 下記の表の適切なセルを埋め、X をコードしているコドンの核酸塩基の組成を明
らかにせよ。各行で1つのセルだけにチェックを入れよ。
アデニン(A) グアニン(G) シトシン(C) ウラシル(U)
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導出過程(日本語でもよい):
核酸塩基 コドンに含まれるそれぞれの核酸塩基の数
1 2 3 0 or 1 1 or 2 A C G U
下記の mRNA の断片は、古細菌の酵素となるタンパク質に翻訳される情報 (コドン)を含む。このタンパク質は X の残基を含んでいる。
5’…AAUAGAAUUAGCGGAACAGAGGGUGAC…3’ 9a. この問題の末尾の遺伝暗号表を使い、この mRNA 断片の翻訳によって、何個の
アミノ酸残基が酵素に導入されるか決めなさい。 導出過程(日本語でもよい): アミノ酸の数 = ___
9b. この mRNA 断片から翻訳されるアミノ酸配列を書きなさい。ただし、この断片
には、X の残基に翻訳されるコドンが二つ以上含まれている。 解答欄にはアミノ酸の略号などを記入しなさい(N-末端から C-末端の順で)。 解答欄の数は必要以上に用意されているので、解答欄を全て埋める必要はない。もし
1 つの欄にあてはまるものが 1 つ以上ある可能性があるなら、その全てを「/」で区
切って書きなさい。もし翻訳があるところで止まるなら、そこに「STOP」と書き、そ
の右側は空欄としておきなさい。
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導出過程(日本語でもよい):
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45
RNA の翻訳暗号表
アミノ酸の略号: 第二塩基
U C A G
Ala = Alanine
U Phe Ser Tyr Cys U
第三塩基
Arg = Arginine
Phe Ser Tyr Cys C
Asn = Asparagine Leu Ser STOP STOP A
Asp = Aspartic acid
Leu Ser STOP Trp G
Cys = Cysteine
C
Leu Pro His Arg U
Glu = Glutamic acid Leu Pro His Arg C
Gln = Glutamine
Leu Pro Gln Arg A
Gly = Glycine Leu Pro Gln Arg G
His = Histidine
A Ile Thr Asn Ser U
Ile = Isoleucine
Ile Thr Asn Ser C
Leu = Leucine Ile Thr Lys Arg A
Lys = Lysine
Met(start) Thr Lys Arg G
Met = Methionine
G Val Ala Asp Gly U
Phe = Phenylalanine
Val Ala Asp Gly C
Pro = Proline Val Ala Glu Gly A
Ser = Serine
Val Ala Glu Gly G
Thr = Threonine
Trp = Tryptophan
Tyr = Tyrosine
Val = Valine
第一塩基
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