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第 2章 第 2節 非定常法の測定事例
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1.はじめに
近年開発される材料は、熱伝導性などの機能を付加するためにいくつかの材料を組み合わせた
複合材料として開発されることが多い。主に CPUとヒートシンクの間など熱抵抗を低減させる
ために使用するサーマルインターフェースマテリアルや、射出成型用高熱伝導性樹脂は、樹脂の
中に熱伝導率の高いセラミックスフィラーを配合させて作られる。
微小領域の熱物性測定装置は非常に困難であるが、我々はフィラーや薄膜の測定に対応可能な
熱物性顕微鏡1)を開発した。約 3nmの空間分解能を持ち、各種のセラミックス材料や2-4)サブミク
ロンオーダーの厚みの薄膜の測定も可能としている。
セラミックスフィラーは従来の技術ではその大きさのため、単体での測定は不可能であり、z5mm以上の焼結体の熱伝導率を測定しその値からフィラーの熱伝導性を予想するしかなかった。
熱物性顕微鏡の高い空間分解能によりセラミックスフィラー単体の熱浸透率測定が可能となっ
た5)。
本稿では、熱物性顕微鏡の測定原理及び装置とセラミックス材料及びセラミックスフィラーの
測定について述べる。
2.サーモリフレクタンス法の原理
熱物性顕微鏡は、サーモリフレクタンス法と周期加熱を組み合わせた熱浸透率及び熱伝導率測
定法である。物質の反射率の温度依存性を利用して温度計測を行う方法であるサーモリフレクタ
ンス法は、高い空間分解能と時間応答性で試料表面の温度変化を検出することを可能にしている。
反射率 Rの温度変化 DRは温度 DTに比例し、温度Tにおける反射率 Rは R0を室温T0の反射率
として式(1)であらわされる。
R=R0+DR=R0[1+lDT ] (1)
ここで l=(1/R0)(uR/uT )である。試料表面に一定強度のレーザを照射しその反射光の強度を
測定する。温度上昇による反射光の強度変化 DSを測定すれば次の式で試料の温度変化 DTを求
めることができる。
第2章 熱伝導率・熱拡散率測定の事例
第2節 非定常法の測定事例
第8項 �熱物性顕微鏡によるセラミックス材料及びフィラーの熱浸透率測定
株式会社ベテル ハドソン研究所 羽鳥 仁人
SAMPLE
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DS
S0
=DR
R0
=lDT (2)
ここで S0は室温における反射光の強度であり、反射光の検出器としてフォトディテクタを用
いれば高い空間分解能で温度変化の計測を行うことができる。
3.熱物性顕微鏡の原理
3.1 測定原理 図 1に測定の模式図をしめす。上段は試料と加熱及び検出用のレーザの模式図である。下段は
加熱レーザの波形と試料の温度変化である。試料表面は鏡面研磨をしたのちに 100nmのモリブ
デン薄膜をスパッタリングで製膜する。まず、測定対象に周期的に強度変調した加熱レーザを照
射する。加熱レーザによる強度変調に対して試料の表面温度は基板の熱浸透率に応じて変化する。
このとき、モリブデン薄膜表面は温度が変化することにより反射率が変化するため、強度一定の
検出レーザを照射すると、反射光の強度は反射率に応じて変化する。この反射光の変動成分を
サーモリフレクタンス法によって検出する。一方、加熱レーザによる強度変化と温度変化の位相
の差は基板の熱浸透率により変化することを利用し熱浸透率が測定される。
図1 測定の模式図
赤外レーザによる周期加
検出レーザ
モリブデン薄膜
測定対象試料
加熱レーザの位相
サーモリフレクタンス信号
δ(位相遅れ) t(時間)
I (強度)
図 1 測定の模式図
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第 2章 第 2節 非定常法の測定事例
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試料表面を角周波数 ~の正弦波で強度変調したレーザで加熱する。表面温度の交流成分は、角
周波数 ~の正弦波となり、位相の遅れ dは次式であらわされる1)。
arc
tan
tanh tanhtan
cos
cosh
43
2 2
2 2 2
f f
f f f
2 1
2 1
d r~x
b b~x
~x ~xb
~xb
= +
-
+ +
-
-
fe
]
e
g
o o
p (3)
xf=d2/af=d2tf Cf/mf=d2tf2Cf
2/bf2 (4)
b=bs
bf
= mstsCs
mf tf Cf
(5)
ここで、xf は薄膜の熱拡散率についての特性時間、dは薄膜の厚さ、bは熱浸透率、mは熱伝導
率、tは密度、Cは比熱、添え字の f及び sはそれぞれ金属薄膜及び試料を示す。従って位相遅
れ dを測定すれば、試料の熱浸透率 bsを式(4)及び(5)から求めることができる。試料の熱伝導率ms及び、熱拡散率 asは次の式から求められる。
bs= as tsCs= ms tsCs (6)
熱物性顕微鏡のもう 1つの特徴は加熱変調の周波数が可変であるとともに、微小な領域を測定
する目的から加熱変調の周波数が1MHzないしは2MHzと従来の熱物性計測装置に比べ非常に高
いことである。測定可能深さは熱拡散長 Lthと密接な関係があり、熱拡散長は下記のようにあら
わされる。
Lth= m
r fCt (7)
ここで、f は加熱変調の周波数である。
熱拡散長 Lthは温度変調の波の一周期の間に温度波が進む距離を表わしており、しかも温度波
はほぼ一周期で減衰する。従って、計測の際には温度波が伝搬するほぼ一周期分の情報が得られ
る。また、熱拡散長の定義からわかるように加熱変調周波数が高ければ高いほど熱拡散長も短く
なることから、加熱変調周波数を高めることで試料の薄膜層に限定して計測が可能である。
3.2 装置構成 図 2に装置構成を示す。試料表面に加熱用レーザ(近赤外 830nm)と検出用レーザ(赤色635nm)を顕微鏡光学系により集光する。加熱用レーザは波形発生器からの正弦波信号により強
度変調される。検出用レーザは強度一定で、試料表面で反射されフォトディテクタに入力される。
加熱用レーザはフォトディテクタの前にある加熱用レーザカット用のバンドパスフィルターによ
り検出用レーザとの波長の違いを利用して遮断される。フォトディテクタに入力された検出用
レーザは電気信号に変換されロックインアンプに入力される。加熱用レーザの強度変調信号との
位相の差が計測される。
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