4H-SiC...

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DLTS測定による4H-SiCAl準位の捕獲断面積の評価 Evaluation of the capture cross section for an Al level in 4H-SiC by DLTS measurements 名古屋工業大学 1 産業技術総合研究所 2 ▲景荻 1 加藤正史 1 市村正也 1 児島一聡 2 Nagoya Inst. of Tech. 1 AIST 2 ▲D.Jing 1 ,M.Kato 1 ,M.Ichimura 1 , K.Kojima 2 E-mail: [email protected] 4H-SiC 本研究:注入パルス幅を変えた電流DLTS測定を行 い、Al準位の捕獲断面積の温度依存性を評価 研究目的 研究背景 測定試料 エピタキシャル成長、Alドープ、膜厚5.2μ m、p型4H-SiC 参考文献 測定結果 本研究ではDLTS測定を使ってAl準位を観測した 結論 我々とKawahara[1] σ の値と本研究で見積ったσ T の値をアレニウスプロットし、内挿で得られたσ 300K の値はそれぞれ 1.5×10 -17 cm -2 9.1×10 -16 cm -2 である 大電力・低損失超高耐圧バイポーラデバイスとして期待 Alドープ (4.2-5.7)×10 16 cm -3 C面成長 C/Si1~3 Alドープ (1.2-1.4)×10 17 cm -3 C面成長 C/Si0.8~2 Alドープ (1.6-6.4)×10 17 cm -3 Si面成長 C/Si1~3 p4H-SiC C原子空孔が深い準位(Z 1/2 )を形成し、再結合中心 として働く事が判明された n4H-SiC 再結合中心についての報告がほとんどない ドーパントであるAl準位に対する報告はわずかしか ない [1] Al準位は再結合中心となる可能性 バンドギャップ内の準位がキャリアライフタイムを低下 バイポーラデバイス特性に影響を及ぼす キャリアライフタイムの制御が課題 バンドギャップ内の準位 Al準位の室温での捕獲断面積は一般的な再結合中心となる欠陥のものより若干小さいと考えられる 各試料に対し、電流DLTS測定で 110K付近に一つピークを観測 活性化エネルギーと捕獲断面積 の値が近い 各ピークが同じ欠陥によるもの トラップ濃度と正味の アクセプタ濃度の相 関関係から、我々は 観測したのはAl準位 だと考えられる トラップ濃度の計算で 使ったデータはパル ス幅10msと設定した 電流DLTS測定結果 [1] Kawahara. et al, Mater. Sci. Forum 821-823 (2015) 403. σ T の算出 σ 300K の見積 パルス幅が100msの場合が捕獲の 飽和状態と判断した Al準位の確認 捕獲断面積の温度依存性の評価 試料を洗浄した後に、エピ膜の上にオーミック電極と してAl、ショットキー電極(φ 1mm)としてNiを蒸着 アレニウスプロットで算出した各ピー クの活性化エネルギーと温度無限大 での捕獲断面積を他のグループの報 告値と比較、本研究で見積った値は より小さいていう事が分かった 計算で正孔の有効質量を1にした 比較のため、 本研究と Kawahara[1] Al準位 におけるσ の値と本研 究で見積ったσ T の値を 図のようにプロットし、 内挿でσ 300K の値が得ら れる

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Page 1: 4H-SiC n型4H-SiCik-lab.web.nitech.ac.jp/SiC/2015kei.pdfDLTS測定による4H-SiC中Al準位の捕獲断面積の評価 Evaluation of the capture cross section for an Al level in 4H-SiC

DLTS測定による4H-SiC中Al準位の捕獲断面積の評価

Evaluation of the capture cross section for an Al level in 4H-SiC by DLTS measurements 名古屋工業大学1 産業技術総合研究所2 ▲景荻1 加藤正史1 市村正也1 児島一聡2

Nagoya Inst. of Tech.1 AIST2 ▲D.Jing 1 ,M.Kato1 ,M.Ichimura1 , K.Kojima2

E-mail: [email protected]

4H-SiC

本研究:注入パルス幅を変えた電流DLTS測定を行い、Al準位の捕獲断面積の温度依存性を評価

研究目的

研究背景

測定試料 エピタキシャル成長、Alドープ、膜厚5.2μ m、p型4H-SiC

参考文献

測定結果

本研究ではDLTS測定を使ってAl準位を観測した

結論

我々とKawaharaら[1]のσ∞の値と本研究で見積ったσTの値をアレニウスプロットし、内挿で得られたσ300Kの値はそれぞれ

1.5×10-17cm-2 、 9.1×10-16cm-2である

大電力・低損失超高耐圧バイポーラデバイスとして期待

Alドープ (4.2-5.7)×1016cm-3 C面成長 C/Si比1~3

Alドープ (1.2-1.4)×1017cm-3 C面成長 C/Si比0.8~2

Alドープ (1.6-6.4)×1017cm-3 Si面成長 C/Si比1~3

p型4H-SiC

C原子空孔が深い準位(Z1/2)を形成し、再結合中心

として働く事が判明された

n型4H-SiC

再結合中心についての報告がほとんどない

ドーパントであるAl準位に対する報告はわずかしか

ない[1]

Al準位は再結合中心となる可能性

バンドギャップ内の準位がキャリアライフタイムを低下 バイポーラデバイス特性に影響を及ぼす

キャリアライフタイムの制御が課題

バンドギャップ内の準位

Al準位の室温での捕獲断面積は一般的な再結合中心となる欠陥のものより若干小さいと考えられる

各試料に対し、電流DLTS測定で

110K付近に一つピークを観測

活性化エネルギーと捕獲断面積

の値が近い

各ピークが同じ欠陥によるもの

トラップ濃度と正味の

アクセプタ濃度の相

関関係から、我々は

観測したのはAl準位

だと考えられる

トラップ濃度の計算で使ったデータはパルス幅10msと設定した電流DLTS測定結果

[1] Kawahara. et al, Mater. Sci. Forum 821-823 (2015) 403.

σTの算出 σ300Kの見積

パルス幅が100msの場合が捕獲の飽和状態と判断した

Al準位の確認

捕獲断面積の温度依存性の評価

試料を洗浄した後に、エピ膜の上にオーミック電極としてAl、ショットキー電極(φ 1mm)としてNiを蒸着

アレニウスプロットで算出した各ピークの活性化エネルギーと温度無限大での捕獲断面積を他のグループの報告値と比較、本研究で見積った値はより小さいていう事が分かった

計算で正孔の有効質量を1にした

比較のため、 本研究とKawaharaら[1]のAl準位におけるσ∞の値と本研究で見積ったσTの値を

図のようにプロットし、内挿でσ300Kの値が得られる